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「経済格差」が生む新たな問題?-自粛生活がしにくい人達-

2021-09-18 19:56:13 | マーケティング

朝日新聞を見ていたら、興味深い記事があった。
朝日新聞:外出自粛せぬ人にうつ、精神障害傾向「ムチだけではメンタル悪化」

「コロナ禍」による、「自粛生活」が始まって1年数カ月。
この間に、政府の「Go Toキャンペーン」等があったこともあり、一旦解けた緊張感を元に戻すということそのものの難しさを実感した方も多かったはずだ。
結果として、それまで「感染者数が少なかった地域」でも、感染者数が急激に増える等「人の移動」によって、感染症は拡大するのだ、という社会実験の検証のような状況になってしまった。

このような「行動制限」から解放されたことで、「自粛生活」に戻ることなく行動する人達も現れてきた。
そのコト自体は、ある程度予測されていたコトだと思う。
理由は上述した通り、解けた緊張感を元に戻すこと自体、相当意識的な行動を強いられるからだ。

そのような中で問題になった一つが「自粛疲れによる『うつ状態、精神障害』」だろう。
調査の結果を見れば、納得する部分も多い。
例えば、「自粛生活を続けている人」が多い層が、60歳以上であり、年金生活者である、という点だ。
特に、年金支給額という問題はあるにせよ、ある程度「経済的生活基盤ができている」と、考えることができる。
その余裕があるからこそ、「自粛生活」でも持ちこたえることができるのだ。

一方、「自粛生活」の中で、自粛することが難しかった人達の多くは「非正規雇用者」が多かったという。
元々「経済的生活基盤」が不安定であるところに、「コロナ禍」により、よりいっそう経済的不安が強くなった、ということは想像に難くない。
そのように考えれば、元々「うつ状態、精神的不安定な状態」であったところに、「コロナ禍」が拍車をかけた、ということではないだろうか?

「経済的生活基盤」が不安定だからこそ、孤独感や社会的孤立感を感じやすくなり、そのような条件を持つ人同士で集まることで「不安を解消したい」という気持ちになったのでは?という、気がするのだ。
もちろん「自粛することの重要性」は認識しているはずだ。
しかし「自粛しても先が見えない不安」というモノが大きくなるだけではなく、ニュースやSNS等を通じて「社会的地位のある人達が、自粛をせず飲み歩いている」という話題を知ると、「何故、自分だけが我慢しなくてはならないのか?」という、気持ちに陥ってしまうのは当然かもしれない。

以前拙ブログでも書いているのだが、今回の「コロナ禍」によって、人は「不公平・不利益」を感じた時、他者に対して攻撃的になったり自暴自棄になりやすくなる。
そこに以前から不安定な雇用=経済的不安を抱えていれば、その気持ちはより一層強くなるはずだ。

「経済格差」による「社会的孤立感」が、解消されなければ「自粛生活がしにくい人たち」は減らないだろうし、そのような人たちを批難することは、益々「社会的孤立感」を高めるだけなのでは?

自民党総裁選が、社会の話題の中心となっているが、このような「社会的孤立感」を持っている人たちに対して、どのような政策を打ち出すことができるのだろうか?