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中国恒大集団とリーマンショック

2021-09-21 22:06:51 | ビジネス

「世界同時株安」が起きている、と日経新聞をはじめ新聞各社が報じている。
日経新聞:世界同時株安、見えぬ中国恒大処理 リスク連鎖に警戒

「中国恒大集団」という企業が、不動産事業で業績を伸ばし、その後多角経営に転じた結果膨大な負債を抱え、今のような状況に陥っている、というのが現状のようだ。
ご存じのように、中国企業の多くは「国営」ということになっている為、中国政府がどのような後処理をするのかという点に注目が集まっている、というのが今の状況のようだ。

「新型コロナ」の世界的感染拡大により、世界経済が大きく停滞してしまった。
その結果、富裕層の間で「金余り」という状態になり、それが積極投資という動きになった。
今や米国を追い抜く勢いで経済発展(と軍備強化)を進めてきた、中国は恰好の市場となったということになる。
確かに中国そのものは人口も多く、労働コストも安かったため日本をはじめとする海外企業が積極的に進出・投資をしてきた。
それらの経済活動を背景に、中国は経済発展を遂げてきたと言っても過言ではないと思う。

ところが、一旦どこかでほころび始めると、元々共産主義を基にした経済基盤の中国は、一気に崩壊の危険性があったはずだ。
それが表面化したのが、今回の恒大集団だったのでは?という気がしている。

「不動産関連の経済破綻」というと、「リーマンショック」を思い浮かべる方も多いと思うのだが、今回の恒大集団と「リーマンショック」とでは、その要因が大きく違う。
「リーマンショック」は、元々住宅等の購入資金が無い人に「住宅を買いませんか?」と持ち掛け、ローンを組ませたことに端を発している。
元々購入資金が無い=低所得層に、無理やり高額な住宅ローンを組ませていたわけだから、いつかどこかで破綻をすることは明白だった。
それが分からないようにしていたのが、アメリカの住宅バブル(=リーマンショックの引き金)となった、複雑な「金融工学」を使った「住宅ローンの債権を分散、再投資する」というものだった。

それに対して今回の恒大集団の場合は、元々不動産事業が行き詰っていたところに多角経営に失敗が要因になっているようだ。
どちらかというと、日本の「バブル経済崩壊」の方に近いのでは?という、気がしている。
日本の場合、都市銀行や証券会社が次々と倒産、生き残りをかけ統合を進めた。
もちろん日銀の介入等により、日本経済に与えた影響は多大なものではあったが、トヨタ自動車をはじめとする「モノづくり日本」が何とか支えたことも大きかったように感じている。
とはいうものの、バブル経済崩壊から30年余りたっても、「日本経済復活」というには、程遠い状況にあると、実感されている方のほうが多いのでは?と、想像している。

そう考えると、中国政府の恒大集団に対する支援策いかんによっては、これまで中国に対して積極的に投資をしてきた企業や個人は大ダメージを受けるかもしれない。
その意味では「株価暴落」が続く可能性は高いが、それは中国に対する投資であって、新たな投資先としてどのような国が対象になるのか?というところを注意深く見る必要があるのでは?と、感じている。