日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

人生を楽しむ自主規制をして欲しくない

2021-09-07 20:27:22 | 徒然

先月末、愛知県の常滑で開催されたヒップホップの野外音楽フェス。
今日になり、このフェスの観客14名が、新型コロナ陽性者と判明した。
判明したのが14名なだけで、陽性者そのものはもっと多いだろう、と想像している。

このような事態を受け、これまで「感染予防対策」を徹底していたライブが次々と中止となっている。
多くは、会場となる施設を管理する自治体側の要請によるものだ。
ライブの主催者側、ミュージシャン側にとっては苦渋の決断、ということになるとは思うのだが、今の社会状況では開催すること自体、社会的批判を浴びることになりかねない。
それほど、愛知で行われた傍若無人な野外音楽フェスの影響は大きい。

「新型コロナウイルス」の感染拡大が始まり、1年数カ月経つ。
その間、生活者の多くは「自粛」という名の元、様々な「生活行動の自主規制」を行ってきた。
マスクや頻繁な手洗い・うがい等だ。
ただ「自主規制期間」が長引けば長引くほど、人の心は荒んでくる。
「自分は、こんなに我慢しているのに!」という気持ちの増大し、「我慢していない人はけしからん!」と、攻撃の対象となる。
自分に対する「不利益感」は「不平等感」へと発展し、それが他者を攻撃する心理へと変わっていく、という指摘が随分前からされている。
そして正に今の社会状況は、「不利益感」と「不平等感」のピークに達し始めているのでは?と、感じている。

確かに要因となっているのは「新型コロナ」による感染拡大だ。
感染拡大によって、亡くなられた方も数多くいらっしゃる。
このような状況では「新型コロナ憎し」ということに、フォーカスされるのは当然だ。
「新型コロナ」さえ感染拡大しなければ、以前と変わらない生活が送れていたはずだからだ。

ただ「新型コロナ」にばかりフォーカスしすぎると、今の社会を覆う「不利益感」や「不平等感」の本質を見失ってしまうのでは?という、気がしている。
上述したように、ここにきて次々と中止を様られているライブイベントを「中止」に追いやったのは、傍若無人な振舞をした野外音楽フェスの主催者であり、それに乗じた観客だ。
この野外音楽ライブが無ければ、主催者側と自治体側が考えうる限りの「感染症対策」の実施により、ライブが開催できたはずなのだ。
「憎し」と思う相手は、今や「新型コロナ」よりも、基本的なルールを守らない人たちへと、移っているという状況なのだ。

だからと言って、「憎し」という気持ちばかりを心に持ち続けることは、決して精神的にも肉体的にも良いことだとは思えない。
そこにフォーカスしすぎることは、自分の人生を楽しむ時間と労力を「憎い」気持ちに費やしている、ということでもあるからだ。
このような社会状況だからこそ、「不利益感」や「不平等感」から逃れるのは、難しいと思う。
ただ「自分の人生を楽しむコト」を自主規制してまで費やすのは、もったいない。
些細なことで構わない、道を歩いていたら公園の萩が咲き始めていた、程度の発見をすることを、今だから大切にする必要があると思うのだ。
それは「新型コロナ」から解放された時、より大きな人生の楽しみとなって帰ってくる種だからだ。