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「ストロング系」から「ライト系アルコール飲料」へ

2021-09-24 19:45:47 | ビジネス

HuffpostにPR記事として、アサヒ飲料がチョッと変わった広告を出している。
Huffpost:”微アルコール”と選ぶ人が増えている。アルコール分1%未満で、の見方の多様性は広がるのか?

「新型コロナ」が感染拡大が懸念され、「リモートワーク」を実施する企業が増え始めた昨年の春。
その頃から、アルコール飲料の購入傾向が変わりつつあった。
いわゆる「ストロング系」と呼ばれる、酎ハイを中心とした「高アルコール飲料」が、爆発的に売れ始めたのだ。
その背景には、先行きが不透明の中「1本で酔える」という、「お手軽現実逃避」のような心理と「自宅にいるという気安さ」や「外出できないストレス発散」があったのでは?と、言われている。

その後「ストロング系アルコール飲料」は、「潜在的なアルコール依存者を増やしているのでは?」という、指摘があり「お酒と程よい付き合い方」ということが言われるようになった。
とはいうものの、昨年春から夏にかけ口当たりの良い「レモン」に特化した缶酎ハイが、酒造各社から発売され昨年のヒット商品になった。
市場的には「ストロング系」は、生活者の支持を得られた、ということになるだろう。

その流れが変わったのが、今年になってからだ。
「ライト系アルコール飲料」が、各社から発売されるようになったのだ。
「ストロング系」とは違い、「ライト系アルコール飲料」であれば、アルコール依存症へのリスクも少ないだろう、という安心感や「ストロング系」に飽き始めた生活者が、現れ始めているのかもしれない。
というよりも、「昨年のストロング系よりもライト系アルコール飲料のほうが、安心をして飲める」という、知人もいる。
その方が新幹線通勤をしている為、お酒を飲む場所は新幹線の車内という、理由も大きいかもしれないのだが、リモート中にお酒を飲むようなことは無くても、自宅で仕事をするという時間が長くなればなるほど、何かしらの飲み物をそばに置き、仕事をするということがあたりまえのようになる。
昼間はコーヒー等を飲みながら、という人であっても、夕方仕事がひと段落したらビールの1杯でも飲みたい、という気分になる人は多いのでは?

そのような人の気持ちに応えたのが、アサヒスーパードライ「生ジョッキ缶」もその一つだろう。
「缶ビールなのに生ジョッキのような泡が楽しめる」という商品等は、今回の「コロナ禍」があったからこそ誕生した商品だと考えている。
事実、余りのヒットで、生産が追い付かず限定販売状態が続いている。
アサヒビール:アサヒスーパードライ 生ジョッキ缶

「家飲み」需要が増えた結果、「ストロング系」と呼ばれるような「1本で酔える」と思ったのだが、結局1本で酔えるというよりも、2本、3本と飲んでしまい、「潜在的アルコール依存症」という懸念が生まれ、それに対応した商品が「ライト系アルコール飲料」ということになる。
アルコール分が少ないので「罪悪感なく、2本3本と飲める」からだ。
この「罪悪感」の中には、「アルコール依存症」というリスクの他に、「家族の目(というか、家族に対する言い訳か?)」等も含まれているだろう。
「緊急事態宣言」解除後も「ストロング系」よりも、生活者の支持を得るのでは?という気がしている。