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これから必要なのは、共感性と認知力かもしれない

2019-12-01 11:55:27 | アラカルト

今年のベストセラー本の一つは「ケーキが切れない非行少年」だろう。
発刊された時から、気にはなっていたのだがなかなか手に取ることができずにいたのだが、やっと読む気になった。
そして読み進めるうちに、「何らかの問題を抱えた結果非行に走ってしまった少年たち」と自分の違いは何だろうか?と、考えてしまったのだ。

内容については本を読んでいただきたいが、非行少年たちのうち高い確率で「認知力に問題がある」という。
「参考図形を描きうつす」ということができない、という内容については衝撃的だったが、遠すぎる記憶の中に小学校の入学前に同様の認知テストがあったのでは?という気もした。
参考として描かれている図形は、小学校の入学前に出された認知テストの図形よりも遥かに複雑なものであったが、図形を覚えて描くという設問ではないことを考えれば、多くの人にとって「何故?」という疑問符が付くのは当然だろう。

しかし、非行に走ってしまった少年たちだけが、このような問題を抱えているのだろうか?と、疑問にも思ったのだ。
「認知」と言う言葉の幅が広いので、「何をもって認知理解力とするのか?」ということにもなるのだが、例えば自分の失敗を認められないとか、保身のためというより相手のことが理解できないという、認知力の欠如という視点を持つと、案外「認知力が低い人」が多いのでは?ということなのだ。

例えば、今年の流行語大賞にも選ばれた「上級国民」は、東京で起きた高齢者が起こした自動車事故の加害者のことだ。
官僚から関連団体に天下りをし、民間企業の役員も務めていただけではなく、事故後逮捕されない為に「上級国民だから逮捕されない」という言葉がネット上に数多く書き込まれた。
その後、この高齢加害者が書類送検される時に出されたコメントに、相当な反発が起きた。
おそらくこの加害者となった高齢者は、経歴云々ではなく「自分が起こした事故を理解できていないのでは?」という気がしたのだ。
理解できていない=認知できていないからこそ、ピントがずれたコメントを平気でしてしまっているのでは?ということなのだ。

本を読んでみると分かるのだが、この「認知力」は学力などの問題ではない。
官僚というキャリアを考えれば、勉強はできたが「自分の失敗を理解できない、認められない」という素地があった人物なのでは?ということなのだ。
認知力の他にも「共感性」や「想像力」が無い(あるいは著しく低い)人物なのでは?という気もするのだ。

そう考えると、AIが急速に発展していくであろうこれからの社会で必要な力は「自己認知力」、「共感性」そして「想像力」なのではないだろうか?
〇×で判断する力だけなら「東大ロボくん」のほうが、優秀かもしれない。
今のAIは「東大ロボくん」からより進歩し、様々なデータから「推論」を立てることができるようになっているだろうし、それが当たり前になるだろう。

とすれば単に「学力」という部分だけでは、AIのほうが優秀という時代がすぐそこに来ている、と言っても過言ではないだろう。
だがAIが苦手とするのは「推論」ではなく、「想像力」であり「人のこころに共感する力」だ。
それらを総合的に「知る力=認知力」が必要、ということになるような気がするのだ。



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