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シャープに学ぶ、SNSの上手な使い方

2021-03-16 19:36:15 | マーケティング

今や、「SNSのアカウントを持たない企業など無い」という位、SNSで情報を発信している企業は多い。
多いだけではなく、企業によっては、広報部門などの中にSNSの担当者がいるのでは?と、感じる事が多々ある。

しかし、残念ながら多くの企業のSNSは、情報を発信するばかりでSNSの最大の魅力であり、強みを活かし切れていないのでは?と感じる事がある。
確かに、SNSを広告の一つとして考えた時、情報発信は企業側からだけで終わってしまうことは多い。
特にTwitterのようなSNSは、次から次へと投稿されるので、自社から発信したはずの情報が瞬く間に利用者からスルーされることになる場合が多いだろうし、「プロモーション」あるいは「広告」と表示する必要があるため、「削除→興味がない」とクリックされてしまうことのほうが、多いだろう。

そんな企業のSNSの利用が多い中、少し変わった使い方をしているのでは?と感じるのが「シャープ」だ。
4年前、大ブームになった「恋ダンス」でおなじみの「逃げ恥」で、夫・平匡さんがリストラされるという展開の時には、いち早く転職のオファーを出し話題となった。
ドラマでは自社製品が重要な場面で使われていた、という縁もあってのコトだろうが、素早いtweetで「目のつけどころがシャープ」というretweetされるなど、「逃げ恥」のTwitterでありながら、シャープの話題で盛り上がる、ということがあった。

そして、今日中日スポーツのサイトに「お米を洗う時内釜で洗う論争」に、シャープがtweetし話題になった、という記事があった。
中日(東京中日)スポーツ:”内釜で米を洗ったらガサツ女扱い”シャープ公式が論争に終止符「いまの炊飯器は大丈夫」

この論争というのは、読売新聞の読者投稿サイト「発言小町」で、ある女性が「炊飯器の内釜でお米を洗ったら、彼氏から『ガサツな女扱いをされた』内釜でお米を洗ってはいけないの?」という内容だった。
「内釜で米を洗う」ことが「〇なのか✖なのか」という、論争に発展した時、シャープが「内釜で洗って問題ない」というコメントを投稿だけではなく、取説まで掲載することでこの「内釜で米を洗う論争」に終止符を打った、ということになる。

表面的に見れば「メーカー側の公式見解で、内釜でお米を洗う論争に終止符を打った」ということくらいしか思えないが、シャープのこのコメントによって生活者は、シャープという企業に対して好意(あるいは好感度)を持ったはずだ。
何故なら、生活者の不安(この場合は、内釜で米を洗う)を解消する、という「安心感」や「使い方」等を提供したコトになるからだ。
それが、シャープという企業イメージや社会的責任(=この場合は、生活者に正しい使い方を伝える)を果たすことになり、生活者からの信頼度が高くなることにつながるからだ。

同業他社であっても、同様のコメント投稿はできたはずだ。
だが、そのような投稿をすることは無かったのは、SNSを中心にインターネットを「自社から情報を発信するツール」だと、思い込んでいるからだろう。
SNSはその名の通り「ソーシャル・ネットワーク・サービス」だ。
一方的に情報を流すだけなら、それは旧来の広告と何ら変わりはない。

シャープは、「生活者とのコミュニケーションツールとしてSNSを利用する」ことによって、未知の顧客を創りだすことに成功している、数少ない企業のような気がしている。




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