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的外れな発言が提議した問題

2023-01-30 20:31:39 | ライフスタイル

先週末、岸田首相が「育休期間中のリスキング(学び直し)を後押しする」という発言が、批判を浴びている。
毎日新聞:岸田首相「育休の学び直し」答弁に批判 「育児をしていない人の発想」 

そもそも育児休暇は、乳児である子どもを育てる期間なので、その期間を利用して「学び直し」を後押し、という発想は「違うだろう!」という批判が出ても仕方ないと思う。
まして乳幼児という期間は、決められた時間に出社して仕事をする、というようなスケジュールが組めるわけではない。
幼稚園に上がるくらいまでは、親としての時間はあってもビジネスパーソンという時間は、ほぼないに等しいはずだ。
そして長い間、この期間に男性が時間を割いて乳幼児と過ごす、ということは「ビジネスパーソンとしてあり得ない」という、社会的慣習が当たり前とされてきた。
いくら岸田首相が「育児をしたことはある」と言われても、この発言を聞く限りでは「育児って、気が向いた時に抱っこした程度なのでは?」と、思われても仕方ないような気がする。
朝日新聞:子育て「私も経験した」岸田首相、育休中のリスキング発言を釈明 

岸田首相の「育休期間にリスキングを勧める」というのは、育児の現実が分かっていない、と思うし批判も当然の事だろう。
ただ、視点を変えて「リスキング」という点について考えた時、「社会人が学ぶ」ということの重要性という指摘は、あながち間違っていないのでは?という気がしたのだ。

これまでのような「年功序列」で勤め人人生が終わるのであれば、ある程度の規模の企業や公務員に就職すれば「安泰」ということになる。
バブル経済が崩壊してから、「年功序列」という時代は終わり、「成果主義」へと転換した。
その「成果主義」という名前のもと、企業は「リストラ」という首切りを躊躇なくするようになった。
今や大企業に勤めていても、「将来安泰」という時代ではなくなったのだ。
加えて、一昨年あたりから「副業禁止」としてきた大企業が、方針転換をし「副業歓迎」ということを打ち出した。
「副業歓迎」の狙いには、一つの企業にいるだけでは物事の考え方が偏るのでは?という危機感と給与そのものを上げる事が難しくなってきたので、副業で生活費維持をしてください、ということがある、と言われている。
企業側の本音は、はっきりとしないがおそらく後者の考え方が本音で、建て前が前者なのだろう。
建て前の部分だけを読めば、日本のビジネスパーソンは就職してしまえば、自らスキルアップのための学びに投資をしていない、ともとれるのだ。

確かに、大手企業では従業員のスキルアップを目的とした「通信教育講座」を推奨し、受講者には一定の補助金を出している。
これらの通信講座の目的は「資格取得」であり、リスキングと言ってよいのか?という気がしている。
よりアカデミックで専門的な知識を得よう!とすると、やはり大学や大学院のようなところで、学びたい!というビジネスパーソンもいるのでは?と考えた時、日本の大学や大学院で社会人が学ぶハードルが高い。
授業料の高さもさることながら、「一括入試」と言われるように、年1回の受験時期に合わせて受験をしなくてはならない。
だからと言って、休職をしてまで大学や大学院に通わせてくれるような企業などは、ほとんどないだろう。

そう考えると、岸田首相の言う「リスキング」の機会は、ほとんどないということになる。
もし、岸田首相が本気で「リスキング」ということを考えるとすれば、それは「育休期間」ではなく、全ての社会人を対象として考えるべき事なのだ。
その管轄となるのは、厚労省ではなく文科省なのではないだろうか?





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