日々是マーケティング

女性マーケターから見た日々の出来事

垣根を越えるところからはじまる?イノベーション

2014-10-18 18:10:30 | ビジネス

ノーベル物理学賞の受賞が決まった名古屋大学の天野先生が、先日他の大学で講義をした、と言うニュースがあった。
Yahooトピックス 毎日新聞:<ノーベル賞>天野氏、愛知工大で特別講義 大教室に立ち見
この記事の主な趣旨は、見出しにある通り「ノーベル物理学賞」の受賞が決まった天野先生の講義を聴講する為に、学生だけではなく大学職員なども集まり講義を聴いた、と言う内容だ。

ただ、個人的に注目したのは「聴講する為に、立ち見が出るほどだった」ということではなく、「青色LED」のこれからの使いかたとして、医療の分野を挙げている点だった。

引用
注目すべき医療応用として、LEDを頭部に挿入して光の刺激で生物の行動を制御する研究を紹介した。赤や青など神経細胞に照射する光の色の違いで、行動が活発になったり止まったりするといい、「まだ実用化には時間がかかるが、生まれつき手が震える人を治療できる可能性がある」と語った。

「青色LED」は、既に私たちの生活にはなくてはならないものになりつつある。
テレビ、携帯電話やスマートフォン、PCなどだけではなく、信号機の「青」や照明など幅広い使われ方をしている。
それはある程度、「こんな使い方があるのかな?」と、想像が出来る範囲での使われ方だと思う。
それが全く異なる分野である、医療への利用となるとやや驚く。
理論など全くわからない市民からすると、「え!そんな使われ方があるの?!」と驚くことになる。
言い換えれば、「イノベーション(=変革)」の一つだとも言えると思う。

そしてこの様な、一見ミスマッチな分野同士が協力し始めている、と言うことを今年の春知ったのだった。
拙ブログに来て下さる方はご存じかも知れないが、時々地元大学で開催される「市民公開講座」に出掛ける。
行って「はぁ~~~???」となる講座もあるのだが、「え!」と驚く講座もある。
その一つが、「医療分野におけるプラズマの利用」というものだった。
「プラズマ」といって思い出されるのは、何だろうか?
「オーロラ」だろうか?はたまた生産中止となった「プラズマテレビ」だろうか?
「プラズマ」の仕組みそのもの話は、理解できない部分が多く「はぁ~~~???」だったのだが、手術などの止血などに使われている、と言う話は「オーロラ」や「プラズマテレビ」をイメージしていた私には、結びつかないことだった。
もちろん、「プラズマ」を使ってPCや携帯電話、スマートフォンの基盤などを作っている、と言うのは「なるほど」とは思ったのだが、その様な工業製品と医療が結びつかなかった、と言うのが本当のところだ。

そして話を聞けば聞くほど、「異なる分野の研究が、様々なカタチで組み合わされると、イノベーションが起きる」という気がしたのだった。
「青色LED」にしても、「光」という視点だけで考えていれば、「光」に関連する製品作りで終わってしまう。
そこに「青色LED」が発する「波」に注目すると、全く違ったアイディアが浮かび、それが医療分野での使用ということに繋がっていく。

「イノベーション」を起こすことは、とても難しい。
多くの企業が「イノベーション」を起こそうと、躍起になっている。
だが、一つのモノ・コトを一つの方向で観ているだけでは、新たな発想など生まれてこない。
それを刺激するのは、これまでとは全く違う分野からの視点、と言うことかも知れない。
天野先生の研究はその点で、私達にも分かり易い「イノベーションの作り方」という気がした。


「都道府県別大学進学率」が示すこと

2014-10-16 20:22:02 | ビジネス

先日、朝日新聞に「都道府県別大学進学率」という記事が、掲載されていた。
朝日新聞:大学進学率の地域格差、20年で2倍 大都市集中化で二極化

このデータは、文科省の「学校基本調査(速報値)」から4年制大学へ進学した高卒生の割合を都道府県別に朝日新聞が算出したデータなので、信頼性という点では「・・・・」な部分もあるかも知れないが、比較的信頼ができるデータだと思う。
毎年、受験シーズンになると高校別有名大学の進学記事を掲載しているのだから、ある程度の確かさはあると思う。

この記事を読んでみると、地域別の経済格差が大学進学率にも影響を及ぼしている、と言うことになりそうだが、本当にそうなのだろうか?と、進学率がさほど高くない地域出身者としては感じるところだ。
と言っても、私が進学したのは20年以上も前。
この調査の対象以前の話なので、当時よりも地方と都市部との格差は開いている、と考えた方が自然かも知れない。

「経済的格差」という影響は大きいと思うのだが、それ以前に地方の考え方や地方での就職などを十分考える必要があると思う。
例えば、地方公務員の試験だが都市部では大卒、短大・専門学校卒、高卒と受験資格が分かれているはずだが、私の地元の市役所の採用試験では、大卒も高卒も一緒だった。
同じ試験問題を、一緒に同じ受験会場で受けるのだ。
一見、大卒有利かと思われるかも知れないが、案外高卒のほうが有利だったりする。
数年前、実家の近所に住む大卒→市役所職員になった男性に聞いたが、「同じですよ」という話だったので、今でもさほど変わってはいないと思う。
その様な試験であれば「何も無理をして大学へ進学させる必要はない」と考える親がいても、当然だろう。

もう一つは、私自身が経験をした「就職先がない」ということだ。
都市部の大学を卒業してUターン就職をしようとしても、採用を予定している企業そのものがほとんど無い、と言うのが現状だ。
高卒であれば、地元の比較的優良企業と呼ばれる企業への就職があるのに、大卒、短大・専門学校卒となると、ほとんど無くなってしまうのだ。
大卒、短大・専門学校卒として就職をしても、給与面などではほとんど変わらず。
そう考えれば、経済的負担部分と合わせて考えても、進学に二の足を踏むことになる、と言う現実があると思う。

地方と都市部の進学率の格差を埋めようとするなら、大学の一極集中という問題だけではなく、地方における様々な「進学ハンディ」の様な問題も解決する必要があるのでは?
また、産業構造という視点で考えても、一次産業が中心となる地方では「大学進学」の意味そのものを感じていないかも知れない。
何故なら、一次産業は頭で考えたことよりも経験のほうが大事だからだ。
その経験さえも、当てにならないことも多い。

確かに、少子化の影響で「大学全入時代」と言われているが、数字上は「全入時代」かも知れないが、進学をするメリットを感じられない地方の実情があるのではないだろうか?
最低賃金が低い地域は確かに大学進学率も高くはない。
だからと言って、一言で「経済格差」や「地元に大学がない(または、少ない)」というのが、理由だけではないと思う。



名古屋の繁華街が、ファストファッションの街になる?!

2014-10-14 13:52:46 | ビジネス

ここ数年、名古屋の再開発と言えば名古屋駅周辺だった。
先日、地下鉄名古屋の駅で冠水の原因となったのも、名古屋駅西側で再開発が進んでいる、名古屋中央郵便局の新局舎とその周辺の再開発建設中に起きた出来事だった。

一方、それまで名古屋の「顔」というか、繁華街と言えば栄だったわけだが、上述した通り「名古屋の顔」はすっかり名古屋駅周辺へと移ってしまったのでは?と言う感じだった。
とは言っても、名古屋の百貨店などが集まっているのは、栄なので買い物客の多さでは名古屋駅周辺よりも、多いのでは?と言う気がしている。
その栄でも、実はしばらく前から古い建物が取り壊され新しい建物が建ちはじめていた。
その中でも老舗料亭があった跡地が、随分長い間野ざらしのようになっていたのだが、そこに大きなファッションビルが建った。
「大津通り」と呼ばれる大きな通りに面して、ガラス張りのファッションビルが建ったのだ。

この夏くらいから、外装の一部が見えるようになり9月に入ってからは内装工事がはじまった。
その頃になると、中に入るテナントの一部がわかる様になっていた。
大型スポーツ用品店などは、栄地区ではなかったので、出店するのもわかる。
私が驚いたのは、「フォーエバー21」が出店しているのだ。
東京や関西の方からすれば、「今更?!」と思われると思うのだが、「フォーエバー21」が名古屋に初進出したのが、今年の春。
大型ショッピングモールでの出店だった。
しかし、新しくできたショッピングモールはアクセスが良いとは言い難い立地。
クルマ社会の名古屋であっても、比較的人口が集中している地域から出掛けるには、随分遠いと感じる場所だった。

その様な場所から、一気に名古屋の繁華街・栄に進出したのだ。
その場所も、ビックリする様な場所。
と言うのも、「フォーエバー21」が出店するビルの向かいには、松坂屋があり。その松坂屋の1階部分に「H&M」が出店しているのだ。
こちらは、松坂屋の中でもファッション関係ばかりが集まった「松坂屋」と言うよりも「松坂屋が運営しているテナントビル」という感じの場所。
その中でも「H&M」は1階と地下1階の一部を占める程の、売り場面積がある。
その真向かいに「フォーエバー21」が進出したのだ。

それだけではなく、「フォーエバー21」が出店したビルの裏手側には「ユニクロ」があり、同じ通りの北側には「GAP」と「GAP」のセカンドライン「OldNavy」がある。
ファストファッションブランドが集まることで、街全体の集客力が上がる、と言う期待もあると思うのだが、余りの集中度に「大丈夫だろうか?」という心配もある。
と言うのも、名古屋の人にとって「百貨店」という場所は、東京や大阪の人達よりも「高級品を扱う」というイメージが強いからだ。
その中でも「松坂屋」のブランド力は、強力だ。
事実、名古屋の百貨店の中でも海外の有名ファッションブランドが一番多く入っているのは、松坂屋なのだ。
いくらJR名古屋高島屋や名古屋三越栄店が、売上げなどで松坂屋を凌ぐ様になったとしても、「松坂屋でなくては・・・」という方は多い。
「ファストファッション」の中に「松坂屋」がある、と言うことになってしまったのだ。
これまでの「松坂屋」という「ブランドイメージ」とは、随分違う「ファストファッション」のお店が周囲にできることで、これまでの「松坂屋」の贔屓客が遠のくのでは?と言う懸念を持ってしまうのだ。

街の活性化としては、良いと思う。
しかし周囲の百貨店からすれば、それまでのイメージを崩しかねない「ファストファッション」の進出、と言う部分もあるのでは?と、考えてしまうのだ。


連休中、お休みします

2014-10-12 21:22:24 | 徒然

今年は、秋の訪れが早かったように感じましたが、昼間はまだまだ汗ばむ陽気。
こんな時には、お出かけもしたくなるのですが、沖縄は昨日から、九州から本州にかけては、明日あたりから台風が直撃、と言うニュース。
早々とJR西日本だけではなく、航空各社も運休・欠航を決めはじめているようです。
こんな時には、家でのんびりと過ごすのも良いかも知れません。

「連休は出掛けなくてはいけない」と言う思い込みが、強すぎるのかも知れません。
「連休中のお出かけ=休日の過ごし方」と言うのは、ここ20年ほどのこと。
「ハッピーマンデー」で、祝日が月曜日になって3連休は増えたけど、本当に「ハッピーなのか?」と考えると、最近疑問に感じることが多い。
この制度が始まってから、追い立てられる様に「連休は何かしなくては!どこかへ出掛けなくては!」という雰囲気が強くなった様な気がする。
「気がする」だけではなく、実際「休日は何をしますか?」というインタビューなども多い様に感じる。

この様なインタビューを受けると「何も為ないで、家でのんびり」とは答えにくい。
結果、家でのんびり過ごしたくても「何かしなくては!」という、思いに駆られて「どこかへ出掛けなくては!」と言う行動になってしまい、休めなくなってしまっている様な気がしている。
「台風が来ている」ことを理由に、何もしない休日もアリでは?

かくいう私は、体調不良。
どうやら風邪を引いてしまったらしい。
それに加え、胃痛まで・・・トホホ。
と言うことで、連休中はお休みをさせて頂きます。


独裁者は「自由と教育」が嫌い?!

2014-10-10 20:02:39 | 徒然

ノーベルウィークも終盤。
今日は、「ノーベル平和賞」の発表があった。
「憲法九条を保持している日本国民」も候補として上がっていたようだが、最終的にはパキスタン人のマララさんとインドの代表・カイラシュ・サティアティ氏に決まった。

今年の平和賞のキーワードとなっているのは、「女性や若者に対する教育」と言うことのように感じた。
マララさんについては、学校への通学途中に狙撃をされ「九死に一生を得る」という中での受賞。
マララさんは現在はイギリスに住んでいるので、身の安全は確保されてはいると思うが、彼女が狙撃をされた理由はご存じの通り「女性の教育機会を奪わないで欲しい」という訴えに対する報復だった。

考えて見れば、昔から「独裁者」とか「独裁組織」と言われる人達は、「(自分達以外の)自由と(自分達に都合の悪い)教育」に対して、排除をしてきた。
今世界的に問題となっている、過激派集団「イスラム国」も、彼らにとって都合の悪い「自然科学」や「語学」などの教育は排除し、自分達の勝手な解釈による「宗教教育」だけを、男子に教えている。
ここでも、女子の教育というのはないがしろにされ、彼らのにとって「都合の良い存在としての女子」だけが求められている。

「自然科学」などの教育は、自分達の勝手な解釈ができず、都合が悪いので教育の対象とならないのだと思う。
そして、「自然科学」の他の民族とコミュニケーションを図ることができる「語学」などの「教育」は、人々に自由を与える。
人々の自由は、行動だけではなくその発想(「思想」と言うべきか?)を生み、独裁者や独裁集団にとって都合の悪いことを、支配している人達が起こす可能性が高いからこそ、自分達の「(身の)安全のため」に排除をし続けるのだろう。
逆に考えれば、独裁者や独裁集団にとって都合の良い社会は、「教育も自由もない社会」ということだろう。
もっと違う見方をすれば、「息苦しいだけの社会」ということになる。

今回のノーベル平和賞は、その様な独裁者や独裁集団に対する、懸念のあらわれの様な気がする。
何故なら、今「イスラム国」へ行きたがっている若者達の中には、これまで言われていた様な、イスラム圏からの貧困層の移民ではなく、比較的裕福な家庭の若者達が参加する様になってきているからだ。
裕福な家庭と言うよりもこれまで受けてきた「教育」や今手にしている「自由」の意味を、考えなさい!と言っている様にも感じる。

なにはともあれ、マララさん、カイラシュ・サティアティさん、ノーベル平和賞受賞おめでとうございます。
特にマララさんの行動は、途上国における女性の教育と自由の意義を世界に知らせるモノだったと、思います。


「イノベーティブ」が起こりやすい社会になるのだろうか?

2014-10-09 19:42:01 | ビジネス

先日来から、政府案として「社員の発明・特許は企業のもの」という話が出ている。
これは、企業側から自民党(?)に強く申し入れがあり、それに応える形で政府案として早ければ今国会に提出される、と言う話があった。
その話が、どうやら現実味を帯び出来そうだ。
時事通信:社員発明「企業のもの」=報酬規定義務付け-政府

今週発表されたノーベル物理学賞を受賞された、カリフォルニア大サンタバーバラ校の中村修二先生は「青色LED」の製品化の過程で出願した特許をめぐり、かつて在籍していた日亜化学と「特許」について裁判を起こしている。
このことは、相当ニュースにもなったしこのコトで中村先生は「青色LEDの開発者」というイメージが、世間的にできあがった。
世間的イメージは別にして、この時の争点は「特許は誰のものか?」というコトだった。
当然、「特許によって得た収益は誰のものか?」と言うことになる。

中村先生がこの裁判を起こしたことで、次々と業種を超えて様々な製造メーカーの研究者達が、自分が所属していた(あるいは「所属してる」)企業を相手に、「特許」についての裁判を起こした。
それを切っ掛けに、現在の様な「企業と個人の報酬のあり方」が取り決められる様になった、と言う背景がある。
今でも、その当時裁判を起こした人達に対して、良い印象を持っていない同僚達もいるだろう。
何故なら、日本の研究は「チーム」で行うコトが多く、個人がひとり研究・開発をしている訳ではないからだ。

だからと言って、今回の政府案の様に「社員の発明は企業のもの」としてしまうのも、変な気がする。
と言うのも、研究・開発の過程で生まれるアイディアや発想は、個人によるトコロが大きいからだ。
そのアイディアや発想をカタチにし、実現化していく過程で企業の支援が必要となると考えるのが、普通だろう。
とすれば、今の司法の判断では不足かも知れないが、現実的な部分も大きいのではないだろうか?
今のように、様々な分野で「イノベーション」が求められるコトを考えれば、「所詮、良いアイディアを出しても、企業のメリットにならなければ『×』と判断されてしまうのだろう」と考えてしまう可能性もある。
それほど、日本の企業には余裕がない様な気がしている。

もし、その様な状況を変えることができるとすれば、企業が積極的に研究者を大学などの研究室へ、送り込むコトかも知れない。
事実、同じ「青色LED」の赤崎先生は、松下電器に勤めていた時に「青色LED」の研究がしたい、と言うことで名古屋大学へ移籍し研究をしている。
それだけではなく、研究には豊田合成などが参加している。
その結果、「青色LED」に関する基本的な部分の特許(=赤崎先生、天野先生が携わった研究部分の特許)は、名古屋大学と豊田合成他が所有し(この話は、赤崎先生の講演の時に伺った話なので、本当のことだと思います)名古屋大学だけではなく豊田合成他にも多大な特許による利益を与えている。

それにしても、この問題の切っ掛けになった中村先生がノーベル賞を受賞した週に、この様な政府案を出してくるとは・・・チョット時期を考えた方が良かったのでは?政府関係者の皆さん。


迷走し始めた?アベノミクス???

2014-10-08 12:39:38 | アラカルト

安倍さんが「円安で、家計や中小企業にはデメリット出てきている」 と言う内容のコトを話している。
日経WEB:円安「家計や中小企業にはデメリット出てきている」

円高傾向が出はじめた頃から、「かつてのような輸出産業で、日本経済が回復する様な時代ではない」と、いろいろなトコロで指摘されていたにもかかわらず、安倍さんは随分強気な発言をされていた様な気がする。
それが一転して、円高のデメリットを言い始めた。
実際の景気実感なども、経済紙などで言われる様な「高額商品が売れている」という印象は、余りない。
むしろ「財布の紐は固くなっている」という感じを受ける。
生鮮スーパーなどに行っても「食料品」など日々消費していくモノはともかく、総合スーパー(=ショッピングモール)などの衣料品売り場などは、決して売れ行きがよいという印象がない。
「必要ではない(と思われる)モノは、買わない」という、生活者の姿が見え隠れしている様に感じる売り場が、多い様な気がする。
もちろん、「高額商品が売れている」と言うのは、事実だと思う。
それは、大手企業の夏のボーナスなどが良かった(=アベノミクス効果?)というコトなど、大手企業に限っての「アベノミクス効果」のためだったのではないだろうか。

ご存じの通り、日本の「会社」のほとんどは一部上場をしている企業ではない。
いわゆる「中小企業」がほとんどで、この「中小企業」が日本の経済を支えている、と言っても過言ではない。
その「中小企業」が、円高の影響で原材料などの値上がりで喘いでいる、と言う現実を安倍さんがやっと理解し始めた、と言うのが、日経の記事だと思う。

しかし、日銀の黒田総裁はそう考えていらっしゃらない様だ。
日経WEB:日銀総裁、円安「むしろプラス」 官邸・産業界と温度差
日銀は中央銀行として独立した存在なので、政府と同じ考えである必要はないと思うが、それにしても真逆の発言を同じ日にされると言うのは、如何なモノだろう。
同じ昨日、IMFの「日本経済に対して下方修正」という発表があったのだ。
日経WEB:世界成長3.3%に減速 14年IMF予測、日本を大幅下方修正
どうやら、IMFは黒田さんとは違う見方をしているようだ。

「アベノミクス」の考えは、「脱デフレ」が目的でその為には「円安による輸出産業の中心である製造業の活性化」だった。
現実は、日本の製造業の大手は輸出先で「現地法人」をつくり、製造・販売をしている。
結果、原油価格が値下がっているにも関わらず、ガソリン価格は高値安定。原材料の高騰になり、中小企業に打撃を与えた。
そこへ、4月の消費税のUp。
景気回復感を生活者が実感する前の消費税Upは、生活者の財布を引き締めるだけになってしまった様に思う。

「アベノミクス」が迷走し始めた感がある、安倍さんの発言と黒田総裁、そしてIMFの発表だ。


メディアの力とALL JAPANの力

2014-10-07 19:11:20 | アラカルト

今週は「ノーベルウィーク」。
昨日の医学生理学賞に続き、今日、物理学賞の発表があった。
受賞されたのは、名古屋大学特別教授であり名城大学終身教授の赤崎勇先生と名古屋大学教授の天野浩先生、そして米国サンタバーバラ大の中村修二先生が、受賞された。
受賞対象となったのは、「青色LEDの開発と製品化」。

3、4年ほど前、名古屋大学で赤崎先生の記念講演があり、「無料だし、取りあえず青色LEDとは何か?わからないから、聞いてみよう」という軽い気持ちで、出掛けたのだった。
その時、初めて赤崎先生が「青色LED」の開発者で、一緒に研究をされていたのが天野先生だというコトを知った。
今では当たり前の様にある「青色LED」だが、LEDの中でも青色の実現は不可能と言われていた時代が長くあった(と言う)。
その為、「青色LEDが作られたら、即ノーベル賞」と言われていたらしい。
それほど難しい「青色LED」だったのだが、様々な苦難の乗り越え成功したのが赤崎先生と天野先生だった、と言う。
「様々な苦難」と言うのは、難しい物理の話だったので全くと言って良い程理解できずに「なんだか凄い研究をされていたのだな~」と、感心したことと「青色LED」の特許によって、名大にもたらされた特許利益の凄さに驚いて帰ってきたことだけは覚えている。

ただ、「青色LED」の開発に当たっては、赤崎先生が勤められていた松下電器(現パナソニック)の協力や、トヨタ系の研究機関、そして文科省の研究支援があっての成果だというコトで、赤崎先生は、自分の研究としてではなく、様々な人が関わってできた研究で、言うなれば「All Japanの成果」だったという趣旨と感謝の言葉を講演の最後にされていた。

そんな控えめな研究者のためか(?)、「青色LED」というと、中村修二先生ばかりにスポットライトが当たる。
中村先生は、「製品化が難しい」と言われていた青色LEDの量産化に道筋をつけた研究をされていた、と言うことがスッポリ抜け落ち、いつしか「青色LEDの開発者」というイメージが作られてしまった。
その大きな理由の一つが、中村先生が当時勤務していた会社との「特許を巡る裁判」だと思う。

実は私も名古屋大学の講演会があるまで、赤崎先生が青色LEDの開発者だとは知らなかった。
それほどメディアの力は大きかったのだ。
今日の速報でも、赤崎先生の写真を掲載するメディアよりも、中村先生の写真を掲載しているメディアのほうが多い。
残念なコトだと思うのだが、それが「(メディアによって)つくられたイメージ」というモノなのかも知れない。

いずれにしても、久しぶりのノーベル物理学部門での受賞者の誕生は、素晴らしいコトだと思う。
赤崎先生、天野先生、ノーベル物理学賞受賞おめでとうございます。


「昼マック」は、復活のメニューになるか?

2014-10-06 19:07:01 | ビジネス

昨日あたりからだろうか?Yahoo!のトップにマクドナルドの「昼マック」の広告が、掲示される様になった。
マクドナルド: 「昼マック」

今年の夏、マクドナルドは過去にない程のダメージを受けた(と思う)。
それはご存じの通り、「チキンナゲット」を製造していた中国の工場での衛生管理のずさんさによる、売上げの急激な落ち込みだ。
元々、ここ2,3年マクドナルドの売上げは決して好調と言えるモノではなかった。

次々に出される新メニューもテコ入れ策とはならず、そこに直撃した「チキンナゲット」の製造工場の問題だった。
それまで「売上げが好調ではない」と言われつつも、名古屋の栄周辺のマクドナルドに行けば、若者が列を作っていた。
あくまでも個人的な印象だが、マクドナルドの不振を招いていたのは、大手スーパーなどが展開する「ショッピングモール」のフードコートや郊外の店舗だったのでは?と言う気がしている。
逆に言えば、若者が集う様な場所では、それなりの売上げが保てていたのでは?と言う、印象を持っている。

しかし「チキンナゲット」の衝撃は、これまで若者が集まっていた店舗からも人が去る、と言う状況をつくってしまったようだ。
繁華街で見かけた若者達の列が一気にひいてしまい、近所にあるスターバックスがいつもより大人気、と言う光景をこの夏なんども見かけた。
ここ1,2週間は少し客足が戻ってきたかな?と言う感じはしているのだが、それでも以前のような賑わいはない。

そのテコ入れ策として「昼マック」を打ち出したのだと思うのだが、果たして効果のほどは?と、考えてしまう。
と言うのも、滅多にいかないので価格などはすっかり忘れて締まったのだが、我が家の近所のマクドナルドでは「ランチメニュー」として、今回マクドナルドが展開をはじめた「昼マック」の様なメニューを、展開しているからだ。
予定されている「昼マック」に比べると、メニューそのものは少なかったと思う。
我が家の近所のマクドナルドが独自に行っている「ランチメニュー」なのか?とも考えられない訳では無いが、事細かくマニュアル化された店舗運営を基本としているコトを考えると、マクドナルドが、その様な独自メニューの提供を了解しているとは思えないのだ。

となると、現在の「ランチメニュー」の発展メニューとして、「昼マック」を始める、と言うことだろうか?
サラリーマンのお財布に優しい、ワンコイン(=500円)以内という価格設定から考えても、ある程度客足を戻すコトはできると思う。
思うのだが、それよりも「チキンナゲット・ショック」を払拭する様な「食品衛生安全管理」を、もっと生活者に訴えるべきではないだろうか?
一時期、大幅な売上げ減となるコトを覚悟で、ナゲットだけではなくチキンメニューすべてを外すとか、もっと大胆にコーヒーやデザート中心の「カフェメニューだけ」にしばらく切り替える、などをしながらハンバーガーのパテなどの製造工場の見直しとその報告を、逐次していくコトで「食品衛生安全管理体制」を整えていく過程を、生活者に示しながら、本当に「アメリカ型のメニュー(ボリューム)で、日本の生活者は満足しているのか?」というコトを、考えるコトのほうが大切なような気がするのだが・・・。


ガソリンの「高値安定」がもたらす社会的変化とは

2014-10-04 19:37:28 | ビジネス

今年に入ってから、原油が値下がっているにも関わらず、ガソリンの「高値安定」が続いている。
以前なら「原油が値上がったのだから、ガソリンの値上がりも仕方無い」と言う気がしていたのだが、原油が値下がり傾向にあるのにガソリンの値段が値下がらないなんて?と、思われている方は多いのでは?
ただ、ガソリンの「高値安定」がもたらす社会的変化と言う視点で考えると、「日本のモータリゼーション」だけではなく、「日本のエネルギー政策」や「高齢者政策」にも大きく影響する様な気がする。

例えば「ハイブリッド車」の普及。
街中を歩いていると、「ハイブリッド車が、増えた」と実感している。
「ハイブリッド車=トヨタプリウス」というイメージが強かったが、今ではトヨタ車だけではなくホンダなどでも「ハイブリッド車」が目に付く様になった。
しかも「ハイブリッド車」の代名詞とも言える「プリウス」だけではなく、様々な車種のハイブリッド車が増えている。
今年の夏には、三菱のEV車を個人で乗っている方を何度か見かけた。
ご存じの通り、三菱のEV車というのは電力会社の営業(兼PR車)として使われているのがほとんどで、一般での普及はなかなか進んでいないのが現状だ。
先日は、ハイブリッドワゴン車のタクシーを見かけた。
その様な傾向が強いのは、いわゆるタクシー会社。特に「個人タクシー」が多くなっている様な気がする。
理由は「個人タクシー」の場合、ガソリンなどの「燃料費の値上がり」は日々の収益に直結する問題だからだ。

ハイブリッド車の普及は、単にメーカー側の宣伝などの努力だけではなく、「ガソリンの高値安定」というコトも大きく影響しているのだと、実感できる。
その様な「ガソリン事情」を踏まえ、自動車メーカー各社は「脱ガソリン」への動きを加速させている様な気がする。
ホンダは「水素自動車」普及のために、「水素ステーション」の設置に積極的に動き始めているようだし、日産は「EV車の充電放題」を始める、と言うニュースが先日あった。

ホンダ:スマート水素ステーションを、さいたま市東部環境センター内に設置 ~高圧水電解システムを採用した「パッケージ型」水素ステーション~

東洋経済:日産リーフ、急速充電器使い放題の新プラン

このほかにも自動車メーカー4社が集まりEV車両普及のための「新会社」も設立している。
そう考えると、「ガソリンの高値安定」は、ハイブリッド車の普及を進めるだけではなく、社会のインフラも変えていく可能性があると思う。
例えば、先日エントリさせて頂いた電力会社の「再生エネルギー買い取り中止」に対して、自治体などは電力会社ではなく、自動車メーカーが設立した新会社に「売電する」というコトもできるからだ。
そうなれば、「再生エネルギー」の設備が造りやすいトコロから、EV車の普及がはじまるかも知れない。
社会実験的に行われている「ひとり用EVビーグル」などは、高齢者の移動ツールとして使われる様になる可能性もある。

「ガソリンの高値安定」は、もしかしたら社会のインフラを変える始まりかも知れない・・・と思うのだ。