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【京都発幕間旅情】名古屋城(愛知県名古屋市),ロシアウクライナ戦争におけるウクライナ文化財被害を憂う

2023-09-06 20:23:15 | 旅行記
■軍事目標は住民と文化
 軍事目標は住民と文化、国際公序や強行規範の範疇から外れた目的達成手段としての軍事行動は度々こうした非常識がまかり通る。

 ウクライナの視点に戻る。名古屋からウクライナは遠いが。2022年2月にロシア軍がウクライナ国内のナチス勢力を一掃するという名目で侵攻したさいには、21世紀にとんでもない理由を突きつけて侵攻するものだ、と19世紀的視点に驚かされました。

 ロシア系住民保護を名目に侵攻したのですが、ロシア大統領府はロシア系住民の定義をロシア語話者と定義しましたので、それじゃあ京都外語でロシア語専攻の子もロシア人なのか、と耳を疑ったものの、ロシアの定義ではそうなってしまうらしい。

 侵攻する側の言い分なんてものはまじめに受け止めるよりも、まず、相手に侵攻させない選択肢を防衛力により突きつけなければ、結果的に住民は浄化され文化財は破壊されるのだ、と思った。日本の相手は話が通じるアメリカだったのが僥倖なのか、と思わせるのだ。

 戦うしかないのだよなあ。日本の順番がいつなのかはまだ余地があるのですが、ロシアの視点からウクライナをみれば、ウクライナという国家は元々無く、ロシアのウクライナ地方を敵対勢力のウクライナ人が不法占拠している、という構図で理解している。

 文化財というか、住んでいる住民の価値観を守るためには戦い他ないという、第二次世界大戦後日本がみようとしてこなかった現実をこうも毎日報道で突きつけられますと。占領されても同化政策を受け入れねば、ブチャのように住民が浄化されてしまうから。

 戦災と城郭、廃藩置県が行われた時点で城郭は破却されていますので、この時点で役割は終えていたのでしょうが江戸時代の城郭は軍事施設と言うよりは行政施設の意味合いが大きく、実際問題示威的な建物ではあったものの縄張りは意匠的なものとなっている。

 空襲でこれを根本から、いや櫓部分は無事でしたから天守閣を狙い澄ましたように破壊したことは逆に誤爆であったことを指し示すのですが、返す返すも残念なことです。かりに櫓だけ破壊されていれば、天守が残っていたら、いま考えるのは空しいことですが。

 文化財の破壊、降参とか非武装平和都市宣言をおこなえば、という甘えがありましたが、空襲に対して無防備都市宣言をおこなって免れた事例はあったでしょうか、いや戦後日本の都市は無防備都市宣言をした都市を含め空襲されていない、と反論はあるでしょうが。

 地上戦であれば、占領されるまえに撤退し、市街地を巻き込まないように占領する側に無傷でわたす、という事例は幾つもあります、パリもパレルモも、ローマもこれにあたるところでしょうか。しかしこれは後退する側が追撃を受けないという互恵に基づく。

 無防備都市宣言は防備していた側が撤収する際に行い、そして占領する側も占領の際にインフラを活用する視座から受け入れるものですので、特に航空攻撃に際しては、第二次世界大戦の頃は都市部への無差別爆撃が国際法上禁止されていないことから、行われた。

 文化の破壊は、軍事行動の目的は一つの地いきの併合、攻める側に言わせれば取り返すだけという事になるのでしょうし、歴史的に我が領土とか、我が国に軍事脅威を与えたので併合する、というような主張の前では、相手のアイディンティティを破壊する意味となる。

 お前たちは最初からいなかったのだよ、というような行動、若しくは、あなたたちが消えれば平和になる、という言い分からの平和も求める行為を執られた場合は、まだ人類は武器をとって戦うという選択肢以外見つけていない事を、しょうしょう寂しく思うのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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