北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

二〇二〇年:大晦日,思い返せば新しい日常を満喫でき案外楽しい一年,それでは皆様良いお年を

2020-12-31 20:10:03 | 北大路機関特別企画
■二〇二〇年一年間に感謝
 2020年大晦日、みなさま今年一年お世話になりました。今年は何か雰囲気は違いますけれども大晦日という一年の締めくくりは大切にしたい。

 2020年といえばCOVID-19感染拡大により他のあまたの出来事がかき消されるという不思議な一年となりましたが、多くの方にとりまして、これほど“健康”というものを考えさせられた事も無い一年となったように思い、みなさまご壮健でしょうか。2020年、この一年は愉しみ方を知っている方や情緒情感の嗜みが、一年を大きく変えたのかもしれません。

 武漢新型肺炎、いや習志野での空挺降下訓練始めの際に、咳き込んだお友達を、おお中国の奇病だ、とからかっていたものが一転、当時最悪の状況を想定したのは2002年のSARS重篤肺炎でしたが、一月下旬に武漢封鎖以降、1959年アジア風邪の規模に達するのか、スペイン風邪や黒死病の再来となるのか、と緊張が高まっていった事には、想像力の欠如を知った。

 自衛隊関連行事。Weblog北大路機関と云えば毎年執り行われる膨大な自衛隊行事を紹介し、また防衛第一線というものの解説を通じ国の安全保障の概説へ理解の一助と視野の転機を示す内容を構成していますが、こうした中で考えますと、今年唯一行われた公開行事、第一空挺団降下訓練始めを撮影出来た事で、全行事を網羅する事となったのは不思議の極み。

 自衛隊行事という視点から見ますと、何も行われていないよう見えて2020年は練習艦隊近海練習航海部隊外洋練習航海部隊の緊張下での出航、感染拡大が進む中での伊勢湾機雷戦訓練、また毎月の舞鶴基地か岐阜基地撮影、その他行事や最新鋭イージス艦まや神戸港入港と、COVID-19緊張下ではありますが、不思議な日常を比較的愉しむ事も出来ました。

 ファントム。1971年から我が国の航空防衛第一線に在ったF-4EJ,F-4EJ改戦闘機が2020年に遂に第一線での運用を完了しました、実はこのCOVID-19が無ければ、予定されていました百里基地での航空観閲式に併せて記念塗装機を撮影へ茨城へ、とも考えていたのですが、こちらは実現せず、しかし今年は久々に何度も岐阜基地を探訪する事ができている。

 三重塔。実はCOVID-19流行禍下ではありますが、今年重点を置いて散策探訪しましたのは、近世以前の古い三重塔を幾つも行脚する事でした。朱印巡りのような高尚ではなく、文字通り日常の合間の幕間旅情、という趣きではありましたが、自衛隊行事が執り行われない最中でも、一つ明確な軸線を描きますと撮影と考証、併せて中々に興味深いものです。

 COVID-19流行禍では、精神的な息苦しさを覚える方も多々思い当るところでしょうけれども、なにかこう、気張って消耗を重ねるのでなく切替えて日々の習慣と趣向を組み立ててみますと、敢えて雑踏に身を投じて買い物に右往左往し、はるか遠くの有名観光地を行脚せずとも好奇心を満たすものは案外、身近に関心が向くのを待っていてくれるのですね。

 さてさて、長々となりましたが、2020年は色々ありましたけれども、COVID-19に驚かされ、ワクチン完成の後の変異種出現と、もう少し緊張は続くようです。こうした中で、大晦日、というものもだいぶ印象は変ってしまいましたが、思い返せば万全の感染対策は安心を生み、その結果として案外楽しい一年ではありました。皆様もどうか良いお年を、です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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【京都幕間旅情】大豊神社,医薬祖神少彦名命祀り大国社の狛鼠迎える干支の社で振り返る一年

2020-12-30 20:15:07 | 写真
■鼠年は哲学の道のその奥に
 年の瀬という風情を感じる今日この頃に改めて干支というものを感じる社殿を紹介しましょう。

 狛鼠の大豊神社。ここは京都市左京区鹿ケ谷宮ノ前町、銀閣寺や南禅寺に程近く、有名な哲学の道、その静かな清流と石畳の小路を進んだ先に静かに鎮座しています社殿です。鹿ケ谷と南禅寺一帯の産土の神であり氏神という、鼠年に参詣者が増える不思議な社殿だ。

 大豊神社に参詣を思い立ちましたのは、鼠年がそろそろという時節であるとともに、この社殿が大病平癒を願い創建されたというものでして、今年いっぱいに世界を覆う百年ぶりといえる流行禍、COVID-19祓い、こうしたものを祈念しようと、歩み進めましたしだい。

 宇多天皇の御悩平癒祈願、神社は仁和3年こと西暦887年に女官である藤原淑子の命により創建されました、贈正一位尚侍で権中納言藤原長良の子である藤原淑子は右大臣藤原氏宗の後妻、清和天皇の時代から醍醐天皇の時代まで後宮を司り藤原北家を中興しました。

 東山三十六峰の椿ヶ峰を御神体とする社殿は上掲の哲学の道から、東の山手に決して大きくは無く華美でも無いながら律として存在感ある鳥居を潜り、こう、山に往くのだ、という細い参道の先に鎮座しています。佇む、とはこういう風情をいうのだ、という気風が。

 医薬祖神の少彦名命を祭神とした社殿は、創建当時にはもう少し奥深い椿ヶ峰山中の立地に在ったといいまして、社殿によれば平安朝後期の寛仁年間、西暦1020年前後に現在地へと遷座されたという。創建当初は椿ヶ峰天神と奉じられており、創建の地を物語ります。

 藤原淑子の創建した社殿、淑子が発願した円成寺の鎮守社という創建当初には、実のところ神域も今からは考えられるほど広かったといい、多分に山中故に参詣には難渋注う名立地ではあったのでしょうが、当時には貴人の参詣も多かったと、社殿には記録されます。

 椿ヶ峰天神と有る通り、菅原道真を祀るほかに応神天皇も合祀され、治病健康、福徳長寿、縁結び、安産祈願、学業成就、こうした御利益があるといいます。しかし、鹿ケ谷の立地もあり鎌倉時代末期の南北朝時代、1331年からの建武の動乱により社殿を焼失してしまう。

 建武の動乱から再建を果たしました社殿は、しかしやはりといいますか定番と云いますか、1467年からの応仁の乱にて兵火の煽りを受けまして、やはり焼失します。狛鼠を祀る社殿ですが、創建の後に二度も兵火に焼かれた厳しい歴史があるのです、しかし、復興する。

 狛鼠とは兵火に二度にわたり焼かれるというところが一つ、不思議な御縁があるものでして、そもそも何故神社に狛犬ではなく、狛鼠なのか、という。もちろん社殿の入り口には狛犬様も鎮座し威容を示しているのですけれど、境内末社大国社に狛鼠が迎えてくれる。

 狛鼠と兵火、これは神話の時代に日本建国の父という大国主命が国を預かる大任への試練として素戔嗚尊により広大な平野ごと野火に囲まれるという修験があり、この際に大国主命を窮地から救ったのが、野火に囲まれない経路を案内した鼠、という古事記の記載が。

 古事記に記された鼠と大国主命、その所縁を感じる風情とともに、やはり鼠と云えば十二支の一員、鼠年には参詣者が増えるという次第です。もっともこの境内末社大国社は古いものではなく、平安朝でも江戸期でもなく戦後、応仁の乱後ではなく第二次大戦後です。

 境内末社大国社が造営されたのは1969年といいまして、しかし、こう考えますと難しい造形の鼠様ながら彫像当時の可愛らしい姿にて拝む事が出来るものでして。さて、こう干支送りのようになりました今年もあと僅か、来年の丑年も趣き深い一年を願いたいですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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北大路機関『自衛隊最新装備2020』イージス艦まや&はぐろ-護衛艦あさひ(年末特集)

2020-12-29 20:17:49 | 北大路機関特別企画
■自衛隊最新装備二〇二〇
 2020年も残すところあとわずか、そこで年末特集としまして本年撮影しました自衛隊最新装備を紹介しましょう。

 自衛隊最新装備、2020年の特集は海上自衛隊の護衛艦が中心となっています。これはCOVID-19新型コロナウィルス感染拡大を受け2020年が自衛隊行事の一般公開全面停止という最中であり、中々に新装備が行事や航海訓練、展示訓練等で公開される事が無くなり、Weblogに掲載できる写真というものは限られる中、最新鋭の護衛艦を撮影できたかたち。

 まや型護衛艦、一番艦まや、二番艦はぐろ。2020年の一年間はこの最新鋭イージス艦の一年という印象です。海上自衛隊はイージス艦8隻体制の完成に向け、まや型2隻の建造を進めています。四個護衛隊群に二隻の防空中枢艦を配備する、8隻体制はこうした狙いがありました。これは8隻8機体制の“88艦隊構想”の延長線上にあり、一つの到達点です。

 DDG-179まや。一番艦まや、は2018年7月30日にジャパンマリンユナイテッド横浜磯子工場にて命名式と進水式を迎え、2020年3月19日に就役、ヘリコプター搭載護衛艦いずも、等が配備される第1護衛隊群第1護衛隊へ配備され、母港は横須賀となっています。イージス艦こんごう1993年竣工から7隻目、イージス艦8隻体制へいよいよ王手という。

 摩耶、重巡洋艦摩耶の名前を継承する護衛艦は、竣工の後、COVID-19の感染拡大によりなかなか横須賀まで撮影に行く事も難しく、思い切って五月連休直後の繁忙期後を考えていたところ、COVID-19に関する政府緊急事態宣言が発令、これにより横須賀での軍港めぐり遊覧船からの撮影を断念した背景があり、神戸初入港を撮影する機会は僥倖でしたね。

 はぐろ。まや型護衛艦の二番艦です。イージス艦はぐろ、は基準排水量8200tで満載排水量は10250t、ベースラインJ7のイージスシステムを採用し、イージスBMDシステムとしてBMD5.1を搭載し、弾道ミサイル防衛に対応した護衛艦です。この情景はジャパンマリンユナイテッド横浜磯子工場にてまさに今建造中の様子、磯子海釣り公園近くで撮影です。

 DDG-180はぐろ、2019年7月17日に進水式を迎えまして、2020年内には公試に漕ぎ着け、竣工は来たる三月の予定です。ミサイル護衛艦しまかぜ交代として第4護衛隊群第8護衛隊に配備されると考えられ、母港は佐世保基地となる見込みです。第4護衛隊群は隷下の第4護衛隊にヘリコプター搭載護衛艦かが、が配備され、こちらの母港は呉基地だ。

 羽黒、重巡洋艦羽黒の名を冠する護衛艦竣工は、同時に護衛艦あまつかぜ以来のターターシステム艦が第一線を退き、イージス艦8隻体制が漸く完成する事も意味します。いずも型護衛艦の配備される護衛隊群へ、まや型が配備されるのも不思議な縁ではありますが、ターターシステム艦である、はたかぜ型2隻は揃って練習艦隊に移管、練習艦任務に就く。

 護衛艦あさひ。2018年に竣工した汎用護衛艦で、あさひ型護衛艦の一番艦です、あさひ、基準排水量5100tで満載排水量7000t、汎用護衛艦としては最大規模の護衛艦であるとともにOPY-1多目的レーダーを搭載する新世代の護衛艦です。また護衛艦としてハイブリッド推進であるCOGLAG方式を採用した初の護衛艦で、まや型にも継承された推進方式です。

 あさひ。二番艦しらぬい、は昨年横須賀入港の際に撮影する機会に恵まれまして、一番艦あさひ、も艤装中の様子を三菱重工長崎工場にて撮影する機会に恵まれましたが、竣工して後の様子は、江田島練習艦隊出航の際にはじめて撮影する事が出来ました次第です。まや、がイージス艦8隻体制へ王手の一隻ならば、あさひ、も同様にいえるかもしれません。

 朝日、戦艦朝日の名を冠し海上自衛隊の護衛艦として二代目の護衛艦あさひ、は護衛艦はつゆき型に始る第一世代型汎用護衛艦を置き換え、ミニイージス艦と当時愛称された護衛艦むらさめ竣工から連綿と建造された護衛艦隊汎用護衛艦20隻の第二世代交代への王手というべき一隻で、二番艦しらぬい竣工により汎用護衛艦の世代交代が完成しています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【防衛情報】A-400M輸送機納入,タイフーン増強にF-35巡る商戦と中古ラファールの用途

2020-12-28 20:19:38 | インポート
■週報:世界の防衛,最新11論点
 今回は航空防衛に関する11の話題、先ずは日本のC-2輸送機と並ぶ世界の最新鋭輸送機A-400Mについての話題です。

 ルクセンブルク空軍は10月初旬、エアバスA-400M輸送機の初号機を受領した。ルクセンブルクはNATO加盟国にあって人口や国土の広さではA-400M輸送機を必要とする規模ではないが、これは2001年に隣国のベルギー空軍がA-400M輸送機を導入する際、8機の導入契約を結ぶにあたって、内1機をルクセンブルク政府と共同購入の契約を結んでいる。

 ルクセンブルク空軍は平時からベルギーへ要員を中集させており、輸送機部隊ではベルギー空軍輸送調整本部へ空軍参謀1名、操縦士4名、機内要員2名を派遣しておりベルギー空軍と一部のC-130輸送機を共同運用している。かなり特殊な運用に見えるがNATOのA-400MそのものもEATC欧州航空輸送司令部隷下で、統合運用の態勢が執られている。
■C-130をミサイル発射母機化
 輸送機のミサイル爆撃機化、なにか映画モスラ対ゴジラのC-46輸送機改造爆撃機を思い出す。

 C-130輸送機に大量の長距離ミサイルを搭載するアメリカ空軍戦略開発計画についてロッキードマーティン社のアドバンストストライクシステムズ計画チームは2500万ドルにて第四段階の契約を締結しました。これはMC-130J特殊作戦航空機の貨物室にJASSM-ER巡航ミサイルを大量搭載し、空中発射母機として運用する全く新しい航空打撃技術という。

 JASSM-ERはロッキードマーティン社製で射程は930km以上、C-130輸送機であれば24発は搭載可能で、極めて射程が大きい事から戦闘爆撃機などに依存せずとも脅威対象より十分に離隔を以て投射できるスタンドオフミサイルです。計画では評価試験をMC-130Jにて実施していますがC-17戦域輸送機からの運用も想定、ゲームチェンジャーとなりえます。
■米政府専用機の超音速化案
 外交には速度が必要だとは考えるところですが、物理的な速度も必要なのでしょうかね。

 アメリカ大統領専用機エアフォースワンの超音速型が早ければ2025年にも開発される可能性があります、これはカリフォルニア州のベンチャー企業エキソソニック社が進める超音速旅客機構想がアメリカ空軍大統領政府高官空輸局に注目されたもので、試作機開発契約が既に8月に締結されていたようです。同社は低騒音超音速機の開発を進めている。

 エキソソニックが開発する低騒音超音速機は双胴体型という特殊な形状を採用していますが、アメリカ空軍大統領政府高官空輸局はもう一つ、ジョージア州アトランタの航空ベンチャー企業ハーミアスとも試作機開発契約を締結しており、こちらはマッハ5の極超音速機を開発しています。エキソソニックの超音速機は早ければ2025年に試作機完成見込み。
■ドイツ,ユーロファイター追加
 日本もこの方式でF-2の改良型を細々と開発していたらば後継でもめなかったのかもしれません。

 ドイツ空軍は11月5日、ユーロファイタータイフーントランシェ4戦闘機38機の導入を決定し、調達へ55億ユーロの予算を連邦議会予算委員会へ提出しました。ユーロファイター戦闘機は欧州共同開発の戦闘機ですが、進化する戦闘機というユーロファイターをドイツ空軍が最初に受領したのは2003年、この初期型の機体を今回取得する分が代替します。

 ユーロファイターは初期の機体をトランシェ1とし、マルチロールファイターとして設計されていますが、初期の機体はその完成度よりも素早い導入が念頭とされ、空対空戦闘を第一に完成しました。レーダーは従来のアンテナアレイ式であり、今回導入するトランシェ4は画期的なAESAレーダーを搭載したユーロファイターの遅いながらの完成系という。

 ユーロファイターをユーロファイターで置き換える事となる背景には、トランシェ1の維持部品が製造終了となり、いずれ運用不能となる事を受けてのもので、トランシェ4の納入は今後2030年まで順次行われます。一方、ドイツ空軍は2025年よりF/A-18E戦闘機の導入を開始、更に次期戦闘機開発が本格化、これと並行し二機種同時調達される計画です。
■ギリシャ,質流れF-35を希望
 F-35導入は理解できるのですがこの選択肢は禍根を残しつつ財政負担も大きくなりそう。

 ギリシャ空軍はF-35戦闘機取得を計画、ラファール戦闘機と同時に2022年に取得する予定とのこと。エーゲ海におけるギリシャ離島沖でのトルコ海底資源開発を契機として緊張状態にあるギリシャトルコ関係ですが、ギリシャ空軍が導入するF-35戦闘機により新しい摩擦を生む可能性があります、何故ならばこのF-35は質流れ品に近い所以があるため。

 F-35はトルコ軍が取得予定であった機体をギリシャが取得する為で、これはトルコがロシア製S-400防空システムを導入した事を受け、データリンクでの情報流失を懸念したアメリカ政府が引渡を拒否していたもの。ギリシャ空軍はトルコとの対立を背景に戦闘機の近代化を急ぎ、フランスから中古機を含む極めて有利な条件でラファールを取得しました。

 ギリシャ空軍がラファール戦闘機とF-35戦闘機をほぼ同時期に調達する、第五世代戦闘機と第4.5世代戦闘機を調達するのは規模の大きな空軍では運用ならばハイローミックスとして一種の常とう手段ではありますが、確実に整備補給体系は複雑化すると共にこの二機種には誘導弾などの互換性も高くは無く、大丈夫なのか、と懸念しないでもありません。
■クロアチア,中古ラファール
 こうした輸出方法もあるのかもしれませんが日本の次期戦闘機開発に参考点と出来るのでしょうか。

 クロアチア空軍は10月4日、フランス政府より12機のラファール戦闘機を無償譲渡されるとの発表を行いました。ラファール戦闘機はフランス空軍が運用していた中古の機体であり、これによりクロアチア空軍次期戦闘機選定は候補となっていたF-16block70やJAS-39Dとイスラエルからの中古のF-16block30は事実上ラファール優位を意味しよう。

 ラファール戦闘機は先ごろにギリシャ空軍へ新規のラファール導入や旧型ミラージュ2000導入の見返りに8機を無償譲渡した事例が記憶に新しいが、今回のクロアチア無償譲渡は兵装や訓練の有償提供を含んだものであり更なる追加を期待したものと考えられる。クロアチア空軍は現在MiG-21戦闘機24機を運用しているが、旧式化と稼働低下に悩んでいる。
■フライングウイングマン前進
 無人僚機という新しい区分は戦闘機の効率運用を進める光明となるのか、中途半端な随伴機となるのか。

 ロイヤルウイングマン無人僚機、オーストラリア空軍がボーイングとともに開発を進める次世代無人航空機は十月下旬、初のタキシングに成功したとの事です。ロイヤルウイングマンは2020年内にも初飛行を予定しており、今後はタキシングから滑走路へ向かい、滑走試験や急制動試験を経て初飛行へ、そして最も難しいとされる自動着陸試験に臨みます。

 無人の自動管制により行われた今回のタキシング試験では26km/hまで加速し、トラブルなどは確認されなかったとの事です。ロイヤルウイングマンは自動僚機という名の通り、オーストラリア空軍が運用するF/A-18F,そして遠くない将来に導入が見込まれていますF-35戦闘機とともに緊急発進や航空打撃戦へAI人工知能を用いて自律飛行により随伴します。

 試作機は三機。ロイヤルウイングマンの実用化により、ロッテ編隊を組むための最低数が戦闘機2機であったのに対して、有人機と無人僚機を組み合わせる事で単機による戦術機動が可能となり、無人僚機は航空打撃戦では先行しての危険な索敵や空中戦では危険な囮を担い、その取得費用はF-35戦闘機の十分の一強に留まる、新世代の無人機運用戦術です。
■独仏FCAS無人機計画
 無人僚機の必要性というものは旧世代戦闘機と新世代戦闘機の製造費用差が著しく、1:1で置き換えられない為の打開策なのですが、どこまで実用性を持ちうるのでしょうか。

 欧州無人航空戦闘システムFCASについて、ドイツのFCMS合弁会社とフランスのタレス社及びスペインのインドラ社はフェーズ1のセンサーシステム完成を11月に発表しました。センサーシステムは地上試験や有人航空機を用いての適合試験が2021年前半にかけて実施され、フェーズ1を土台に、その後のフェーズ2へ2023年にかけて進む計画である。

 FCASは2040年代の欧州における航空戦闘を念頭とした無人航空システムであり、欧州共同開発のNGF第六世代戦闘機との無人僚機としての適合性、また無人機単体での任務遂行能力などを見込んでいる。欧州では過密航空空域での無人機運用に大きな制約があり、フェーズ1のセンサー開発は現在のところ無人機へそのまま搭載する試験は見込んでいない。
■ナイジェリアにJF17迂回供与か?
 JF-17,性能を絞った分だけ必要な任務ではかなり高い能力を持ち、実のところ日本の防衛から興味深い機種です。

 パキスタン空軍に納入された中国製JF-17戦闘機の一部がナイジェリア空軍の国籍表示に塗装された写真が11月6日にインターネット上に投稿された写真から発見され、JF-17戦闘機がナイジェリアに供与される可能性が示されています。JF-17戦闘機は中国が輸出用に開発した最新型軽戦闘機で性能はアメリカ製F-16戦闘機block30に匹敵するとされる。

 パキスタン国内報道によればJF-17戦闘機はフライアブルコストで6120万ドルとF-16E等の最新鋭戦闘機よりも割安で、照準装置や武器システムを省いた機体そのものは3500万ドルに抑えられています。ナイジェリア空軍では40機の次期戦闘機を選定中であり、パキスタン政府はJF-17戦闘機3機の国籍を明らかにしない第三国への有償供与を検討中です。
■インドネシア,F-35供与に固執
 インドネシアは日本が高速鉄道入札で痛い目を見ましたがアジアの奥深さのような難しさを感じますね。

 インドネシアのスビアント国防大臣は次期戦闘機についてF-35を要求するとしてアメリカが提案するF-16VやF/A-18Eを一蹴しました。アメリカ政府はF-35の製造に余裕が無く新規調達の場合は9年間が必要であるとともに第5世代戦闘機の前にインドネシアは第4.5世代戦闘機を有していない為、先ずこれらでの慣熟が必要、という見解を示しました。

 インドネシア空軍はF-16C戦闘機33機とロシア製Su-27やSu-30戦闘機16機を運用中ですが、SU-27とSu-30戦闘機の老朽化が予想外に進み後継機を必要としています。インドネシアはアメリカとの友好関係を強化する一方で次期戦闘機選定に難渋しており、韓国が開発する第五世代戦闘機KF-Xとの共同開発を模索していますが実現性が低く混迷中です。
■比空軍,スーパーツカノ
 フィリピン空軍、先ずは現実的に運用可能で必要性も高いCOIN機を揃える模様だ。

 フィリピン空軍は10月13日、新たに導入計画を進めていたブラジル製EMB-314/A-29スーパーツカノ軽攻撃機6機の引き渡しを受けた。フィリピン空軍は旧式化と老朽化が進むOV-10ブロンコ軽攻撃機/観測機の後継機を選定しており、EMB-314/A-29スーパーツカノ軽攻撃機は現在フィリピン空軍が進める空軍近代化計画の重要な一歩をすすめた構図だ。

 EMB-314/A-29スーパーツカノ軽攻撃機は元々はジェット練習機を補完する高等練習機として強力なエンジンを搭載したターボプロップ機となっているが、強力な推進力のエンジンから1.5tもの兵装を搭載した軽攻撃機でテロ対処任務を担うCOIN機だ、2017年にはイスラム過激派が南ラナオ州マラウィに浸透、五か月間の市街戦となった事は記憶に新しい。

 フィリピン空軍はマラウィの戦いにて装備するOV-10が充分な性能を発揮出来なかった事から後継機を模索していた。なお、空軍は現在戦闘機が無く韓国製A-50攻撃機で代替しているが、空軍近代化計画は老朽化し飛行不能となったF-5軽戦闘機後継に新たにF-16戦闘機12機を導入し航空打撃力強化へAH-1対戦車ヘリコプター6機の導入を希望している。

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【日曜特集】中部方面隊創隊五〇周年記念祭【6】高射と通信と後方部隊(2010-10-17)

2020-12-27 20:20:42 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■03式中距離地対空誘導弾
 中部方面隊の観閲行進は続きます、指揮官も10年前の50周年記念行事の際という一昔ですから大きく変わっています。

 03式中距離地対空誘導弾の行進が続く、第8高射群第332高射中隊です。部隊の編成は本部管理中隊、第338高射中隊、第339高射中隊、第340高射中隊、第343高射中隊、第308高射搬送通信中隊。本部管理中隊は指揮小隊や通信レーダ班に衛生小隊、補給班で成る。

 第8高射群のミサイルは発射装置のみが2両行進し次の部隊が続く。03式中距離地対空誘導弾は改良ホークの後継で射程は50km以上、垂直発射方式で射撃が自由、同時多目標対処能力が特筆され、航空機は勿論、巡航ミサイル対処や限定的な弾道弾迎撃能力さえ持つ。

 第3高射特科大隊第2中隊の81式地対空短距離誘導弾の発射装置が。第3高射特科大隊はこの当時第1中隊に93式近距離地対空誘導弾と第2中隊に81式短距離地対空誘導弾を装備しますが、こののちの改編により93式は指揮情報中隊へ配備され81式は高射中隊へ。

 第10高射特科大隊第1中隊の93式近距離地対空誘導弾が続行します。93式は中隊に9両程度が配備されていまして、普通科連隊への支援へ3両づつ戦闘団編成に際して派遣、師団対空戦闘システムの支援を受け戦術防空を担います。データリンク受け情報を共有する。

 中部方面通信群群長秋山賢司1佐以下行進へ臨む。群本部と映像写真小隊、第104基地システム通信大隊、第104通信運用大隊、第302搬送通信中隊より成る。基地システム通信大隊は各駐屯地の通信アンテナを管理し総監部衛星システムと4個中隊が36駐屯地を結ぶ。

 第302搬送通信中隊が八木アンテナとともに行進を行う。第302搬送通信中隊は2012年の群改編により第303中枢交換通信中隊へ改編された。またこの改編で第104通信運用大隊も第104指揮所通信大隊へ改編、通信のデジタル化に対応すべく常に改編を続けている。

 中部後方支援隊が群長保坂收1佐以下の行進、輸送科の花形だ。中部方面後方支援隊は方面直轄部隊への支援を任務として2004年に新編、第107全般支援大隊と第104施設直接支援大隊、第302通信直接支援隊、第103不発弾処理隊、中部方面輸送隊より成る部隊だ。

 第107全般支援大隊の観閲行進、本部に補給中隊と整備中隊より成り、整備中隊は明野派遣隊と今津派遣隊に善通寺派遣隊という編成をとる。方面後方支援隊は2017年に大規模増強が行われ、即応予備自衛官主体の第101補給大隊と第301弾薬中隊が新編されている。

 3-1/2tトラックに電子整備用シェルターが、107大隊の車両だ。このほか中部方面混成団を支援する豊川の第306普通科直接支援中隊、海田市の第307普通科直接支援中隊、方面高射部隊を支援する第302高射直接支援中隊、施設団を支援の第104施設直接支援大隊など。

 第302高射直接支援中隊、重装輪回収車、青野原駐屯地に駐屯の中隊だ。方面直轄部隊は諸外国の軍団直轄部隊を示し、ただ中部方面隊は軍団砲兵にあたる方面特科隊は有していないものの、地対空ミサイルや戦闘工兵と建設工兵部隊、即応予備自衛官の連隊など揃う。

 重装輪回収車は03式中距離地対空誘導弾システムと共通車体を採用する。現在開発中の19式装輪自走榴弾砲も当初は本車を基本とする構想でしたが、この場合は全長が道路運送車両法の車両限界を超える大きさとなり、MAN社製車体を採用、日本の道路状況強は厳しい。

 中部方面衛生隊が隊長名取章夫1佐とともに、観閲行進に臨みます。名取1佐は指揮官であるとともに医官でもあるのですね。方面衛生隊は有事に際しては師団段列地区や旅団段列地区を支援すると共に後方策源地に強力な野外病院拠点を構築し全般支援に当たります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【土曜特集】榛名から鹿島へ(2)"はるな"と"みょうこう"と朝晴れの舞鶴基地(2008.03.22)

2020-12-26 20:04:10 | 旅行
■懐かしい護衛艦はるな
 ヘリコプター搭載護衛艦はるな、今その艦容の写真を観返しましても一時代を築いた歴史とともに趣き深いですね。

 はるな。海上自衛隊初のヘリコプター搭載護衛艦で、これ以前にも無人ヘリコプターの搭載や護衛艦意外に南極観測支援に充てる砕氷艦に艦載機を搭載した事例、飛行甲板だけは練習艦かとり、などにもありましたが、対潜ヘリコプター搭載は護衛艦はるな、が初めて。

 はるな、みょうこう、停泊の様子。はるな満載排水量は6800tに対して、みょうこう満載排水量は9500tで、満載排水量の差が如実に感じさせる情景です、が1973年竣工の護衛艦はるな、基準排水量4700tは当時最大の護衛艦が3050tでしたので突き抜けた巨艦です。

 はるな、みょうこう、停泊の様子。みょうこう基準排水量は7200t、これも基準排水量19500tの護衛艦が出てきました今日では普通に大きめの規模ですが、建造当時は巨大でした。なお、はるな建造当時の最大の護衛艦はミサイル護衛艦あまつかぜ、3050tというもの。

 はるな、みょうこう、停泊の様子。みょうこう竣工は1996年です、みょうこう、ミサイル護衛艦こんごう型三番艦で一番艦こんごう竣工は1993年、はるな竣工20年後に護衛艦はここまで大きくなりましたが、その16年後の2009年に護衛艦ひゅうが竣工、13500tです。

 すずなみ、順光の位置にて。たかなみ型護衛艦5番艦、第二世代汎用護衛艦むらさめ型の拡大改良型で、汎用護衛艦というものはワークホースとしてそれほど大きな護衛艦が当てられなかったのですが、基準排水量4600t、満載排水量6300t、はるな型並という。

 すずなみ、全体の艦容。喫水線を中心に構図を決めてみました。当時は第三護衛隊群第3護衛隊の所属で、第3護衛隊は護衛艦すずなみ、護衛艦あまぎり、の2隻から編成、第三護衛隊群は直轄艦はるな、第3護衛隊、第7護衛隊、第63護衛隊、三個護衛隊基幹でした。

 はるな、一歩近づき。HSS-2を筆頭にこの2008年の時点では艦載機はSH-60Jとなっていましたが、海上自衛隊は独自の運用研究から外洋対潜哨戒でのヘリコプターの有用性に着目、一時は対潜空母建造や中古空母貸与を模索しつつ、ヘリコプター搭載護衛艦に画定へ。

 はるな、目一杯に。8隻6機体制として、3機を搭載可能とするヘリコプター搭載護衛艦を護衛隊群に2隻配備する運用を構想、続いて1980年代から汎用護衛艦にヘリコプター1機を搭載する8隻8機体制へと護衛艦隊の能力近代化を進める一歩目となったのが、はるな。

 みょうこう、手前に護衛艦はるな艦砲。はるな建造後、当時の冷戦時代にあってソ連太平洋艦隊の脅威が潜水艦から巡洋艦部隊とミサイル爆撃機に移行し始めますと、日本のシーレーン防衛に対潜に加え防空の要素が求められるようになり、イージス艦が導入されます。

 みょうこう、手前に艦砲。はるな建造の延長線上に洋上防空を担えるハリアー攻撃機を搭載した全通飛行甲板型艦の建造も検討されましたが、洋上防空ではハリアーとサイドワインダーミサイルよりもイージス艦、海上自衛隊が漸く意見をまとめ、早い時期から構想へ。

 はるな艦砲と艦橋みょうこう。イージス艦は昭和68年頃の導入を見込み、当時最新鋭技術故にアメリカ議会が輸出に難色を示すも、アメリカ海軍との間でターターD防空システム以来の海上自衛隊艦隊防空への熱意を伝えていたことが結果的にイージス艦実現へ繋がる。

 はるな艦砲と艦橋みょうこう。護衛艦は、はるな、みょうこう、この22年で大型化したのですけれども、更に20年をへた2015年には満載排水量27000tの護衛艦いずも、が竣工し、この流れでゆきますと2040年代にはどんな護衛艦が、となかなか想像力が働きますね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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令和二年度十二月期一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2020.12.25-2021.01.03)

2020-12-25 20:19:13 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 年末年始も自衛隊行事や基地公開は無く、イギリスで変異ウィルスの拡大が続いています。そこでCOVID-19対処へ災害派遣に当った第2師団の写真とともにCOVID-19の話題を。

 感染対策は不要、という発言は日本に軍備は不要、という程に危険な極論であると考えています。日本国内の感染者は12月24日1700時までの累計で20万9246名、死者数は3085名です。疫学上の一般論として人口の六割が免疫を獲得する事で、実行再生産数は1を超えられない、感染者が出た場合でも周りに染り得る人が免疫を持ち感染しないといいます。

 日本の場合はワクチン接種と感染からの回復者の合計が7200万人に達する事で集団免疫を獲得できることとなります、すると仮にワクチン接種が実現しない場合という極論で計算しますと、343倍の感染拡大を放置しなければなりません。ここで医療崩壊しないと仮定した楽観的な数字ですが、その場合の死者数は105万8155名となります、安心できますか。

 太平洋戦争の戦死者は350万名ですので、日本社会は105万の死者を受け入れられる、という反論はあるかもしれません。しかし、反対です。何故なら重症化率を考えた場合、医療従事者を現在の十倍以上短期間で確保したとして医療崩壊は避けられませんので、この105万8155名という数字もかなり楽観的に考えなければなりません、日本社会は恐らく耐えられないでしょう。

 日本人にはコロナ免疫がある。これは一部正しいものです、日本人が免疫を持たないコロナウィルスの中で治療法がないものなど数種類でしかありません、しかし、コロナウィルスとはウィルス分類の一本鎖プラス鎖RNAウィルスのコロナウィルス科のもので、国際ウィルス分類委員会の分類で46種類あるのですね、この多くは人間に感染さえしません。

 コロナウィルスで治療法が無く感染が危険とされるのはSARS-CoVとMERS-CoVそしてCOVID-19です。実際、コロナウィルスであっても例えば11世紀ごろから流行を繰り返すHCoV-299Eコロナウィルスや2006年に発見されたHCoV-HKU1コロナウィルスであれば抗生物質で増殖を抑えられますし、HCoV-NL63コロナウィルスは多くの人が免疫を持つ。

 ヒトコロナウィルス以外のコロナウィルスは、そもそも免疫以前に感染しません、感染するとしたならばそれは変異したヒトコロナウィルスです。サルベコウィルスやノベコウィルスなどのコロナウィルスは人に感染しないのですね。もっとも、COVID-19は中国国内でコウモリに感染するノベコウィルスが変異したもの、と考えられているのですけれども。

 重篤性肺炎SARSを引き起こすSARS-CoVは危険だ、ということは2002年に中国本土に置いて爆発的感染が発生し、その後も治療薬や予防薬が開発されていない事から、その危険性は分かるでしょう。これと同じように、現在世界で流行しているCOVID-19も治療法は無く、予防薬として漸くワクチンが開発されたばかり、だからこそ、危険なのですね。

 HCoV-299Eコロナウィルスに耐性があるからCOVID-19にも耐性がある、という考え方は極論過ぎまして、例えば東京マルイ製89式小銃からの6mmBB弾に撃たれても大丈夫なのだから豊和工業製89式小銃の5.56mm弾に撃たれても大丈夫、というようなもの。ただ、ワクチンを接種し、集団免疫が確立した後には、危険度を管理できるようになるでしょう。

 日本では大規模な感染爆発が、少なくとも四月の時点までは発生していなかったのだから免疫が在るのだ、という視点があります。本当でしょうか、これは水際感染対策が成功していただけではないか、という反論が成立ちます。実際、武漢在留邦人の感染率や、欧州海外旅行帰国者の感染率は、日本人に免疫があると仮定させるだけの予防率はありません。

 感染対策の徹底こそが日本の大規模感染を防いだ要素である、こう考えられるのは、国境全面封鎖に踏切るのが迅速であった北朝鮮や台湾、ロックダウンの速かったヴェトナムと中国、徹底した感染者PCR検査体制を確立した韓国、日本以上に感染抑制に成功した諸国は、水際で阻止しているのか、感染者を徹底し鎮圧していた国にのみ当て嵌まるのですね。欧州米州はマスクさえしてなかった。

 毎日3000名以上感染者が出ている日本では欧州やアメリカのように累計何万何十万も死亡していないのが免疫のある証拠だ、と反論されるかもしれません。しかし、これはこのCOVID-19が“新型肺炎”と呼ばれていたことを思い出せば、理解は容易となります、いまはどの報道機関もCOVID-19を新型肺炎とは呼んでいません、肺炎では無かったという。

 肺炎と云えばクループ性肺炎のように肺機能が炎症を起こして窒息状態となります、が、COVID-19は肺機能が全体で一度に炎症を起こすために危険な肺炎である、と当初“新型肺炎”と呼ばれていた頃には警戒されていました、この為に人工呼吸器や体外人工肺装置ECMOを用いていました、しかしCOVID-19死者はECMOを用いても駄目だった、と。

 サイトカインシンドローム。サイトカイン炎症という症状がCOVID-19死者の共通点として注目されるようなったのは、六月以降、COVID-19では体全体が一斉に炎症を引き起こし、肺炎では無く前進が炎症を引き起こすサイトカインシンドロームの一部として肺機能も炎症を引き起こしていた為なのですね、これは免疫の過剰反応が原因と分析される。

 新型肺炎、とCOVID-19が呼ばれなくなった頃から、無暗に人工呼吸器を装着するのではなく、先ずサイトカインシンドロームを抑える事が必要となり、コルヒチン抗炎症剤や非ステロイド性抗炎症剤といったものが、応急的な対処療法として用いられるようになり、死亡率が低下したという背景があるのです、治療薬は無くとも応急対策ができたのですね。

 日本人は免疫が、というものは疑似科学に他ならないか、免疫はCOVID-19という言葉を避けてHCoV-299Eあたりを差しているのかもしれません、日本で多くの死者が出ていないのは、欧州で肺炎と誤解し人工呼吸器にのみ依存し大量の死者が出ている時間に水際阻止に成功、コルヒチン抗炎症剤や非ステロイド性抗炎症剤療法が発見されるまでの時間稼ぎとなっただけ。

 コルヒチン抗炎症剤や非ステロイド性抗炎症剤が在れば安心か、というとそうではありません、対処療法に過ぎないからです。あくまで本命はワクチン。コルヒチン抗炎症剤や非ステロイド性抗炎症剤を使い炎症を抑えると、今度は免疫過剰反応から血液の粘性が増して血栓が生じ死亡する事例が出始めました、この為に更に抗血栓薬が投与される対処療法が始り、今日に至ります。

 日本人にCOVID-19免疫はありません、実際に在るならば日本人の血液から血清を精製すれば、アメリカが行った様な100億ドル規模の治療薬開発を何社にも総がかり方式で対応させる必要はありません、日本人に免疫が無いからこそ日本人血清が注目されないのです。もし日本人に免疫があるのならば、献血の血液を遠心分離機に掛けるだけで良いのですから、ね。

 国内では毎日3000名規模の感染が続いています、クリスマスイヴの時点での感染者は20万規模でしたが、毎日この規模で抑えたとしても一ヶ月で10万が感染する状況です、ワクチンは完成し、来年二月には厚生労働省が認可する見通しで、私は政府が覚悟を決め緊急承認すべきともおもうのですが、ワクチン普及まであと数か月間の我慢をすべきでしょう。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・今週末の行事なし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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【京都幕間旅情】わら天神敷地神社,紅葉照らすは加賀と京都繋ぎ金閣寺が結ぶ不思議な社殿

2020-12-24 20:05:06 | 写真
■北大路通先の社殿を詣でる
 本日はクリスマスイヴということで紅葉のツリーを。北大路通は大徳寺前から金閣寺道へ壮大な上り坂が続きますが本日の散策はその上りました先のところ。

 わら天神。敷地神社は北大路通りの終着地に在ります。市バス205系統や12系統をご利用の方にはバス停わら天神として耳にする方も多いでしょうが、隣が金閣寺道故にどうしても世界に知られた金閣寺を拝観しようと参拝の機会を逸しているという方も多いでしょう。

 木花開耶姫命、このはなのさくやびめ祀る社殿はしかし歴史を辿りますと金閣寺に至ります。ただし歴史を紐解けば金閣寺よりも遥かに古く、遡ること社史によれば創建は天長年間の西暦831年に加賀国は菅生石部神社より敷地天神を勧請したところまで至るという。

 衣笠山を拝するこの地は平安遷都前には葛野郡衣笠村として人々の営みが在り、敷地天神勧請より先には天神地祇が北山の神として奉じられていました。加賀国と衣笠山は距離こそ遠いですが当時は加賀白山寺と延暦寺とで荘園の繋がりあり、身近な地方だったのです。

 平安遷都前にはこの衣笠山中腹には氷室が在り、加賀国からは氷塊を冬の間にこの地へ運び込み夏のこの地へ避暑へ訪れる殿上人に供したというのですが、その際に加賀国の人夫が氷塊の輸送と氷室の管理に移り住み、故郷の菅生石部神社より神を勧請したというわけ。

 敷地神社に、わら天神、と親しまれる由来は木花開耶姫命、このはなのさくやびめ、富士山近くでは浅間大神として親しまれる日本神話の神であり、天照大御神の孫にあたる邇邇芸命と南九州日向の地で出会い、結ばれる事で木の花が咲く様に繁栄するとの謂れが在る。

 このはなのさくやびめ、その通り花が咲くが如くという由縁ですが、この花が咲くという御利益で広く子沢を願う神社となりまして、古くから安産祈願の参拝に際しては御守として藁が授与される為、親しみこめて神社には、わら天神、と呼ばれるようになったという。

 わら天神。お守りに授与されるわらについては、そのわらに節があれば男児の子宝が、わらに節がなければ女児という子宝に恵まれるという。しかし北大路通りの終着点、云わば洛中の境界線に位置する社殿は、創建当初から此処に在った訳ではない、というのですね。

 北山殿金閣寺造営、足利義満による造営が始まったのは応永年間の1397年即ち神社創建から550年の後でした。実は創建当時、この社殿は北山のより奥は衣笠山の麓というよりは中腹に位置していました。氷室が設けられた地という事ですので確かに現在置は暑すぎだ。

 足利義満、室町幕府第三代にして絶頂期の幕府実力者が治世下の時代ですので、北山殿金閣寺造営に際してその敷地を確保する必要が生じ、わら天神に遷座を命じた、これが現在地である北大路通りの終着地であり西大路通りの終着地近くに鎮座しています由来です。

 天神地祇が祀られた社殿と菅生石部神母神木花開耶姫命を祀る社殿、遷座前の境内には確たる資料が残らないとの事ですが摂社というかたちであったのでしょうか、足利義満による遷座に際し二つの社殿は一つに合祀されまして今日の、わら天神敷地神社となりました。

 金閣寺造営に併せての遷座ですが、しかしその結果としまして北大路通りと西大路通りに面する云わば日当たりの良い場所に遷座した訳でして、令和時代の今日的視点に立てば市バスで行きやすい立地ともいえます。しかし隣に金閣寺がありそちらに向かう人がおおい。

 子孫繁栄の御利益ですが、考えてみれば足利義満の金閣寺造営に併せての遷座が二つの神社を一つとしたのですから、足利義満が二つの社殿を縁結びしたのだなあ、そんな不思議な事を考えつつ参拝いたしました。皆さんも金閣寺拝観前に是非参拝してはどうでしょう。。

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【7D特報】ファントム!百里航空祭三個飛行隊F-4EJ改/RF-4E編隊飛行(2016-11-27)

2020-12-23 20:20:18 | 詳報 陸海空自衛隊関連行事
■ファントム!ファントム!!
 上皇陛下誕生日という事で今月15日まで本土防空重責担い続けたファントムが三個飛行隊による大編隊飛行を実施した際の写真を紹介しましょう。

 F4EJ改戦闘機の9機編隊、百里基地航空祭のもっともファントムが活況を呼んでいた時代の編隊です。航空祭は残念ながら曇天でして、百里基地は鹿島灘から上る朝日が順光の撮影環境となっていますので、晴天ならばすばらしい構図に仕上がっていた、とは、思う。

 F-15の基地、私の世代は百里基地といえばイーグル二個飛行隊に偵察機RF-4の飛行隊が展開している、そんな印象でした。首都防空を担う百里基地はソ連時代もロシア時代も三陸沖を急速南下する爆撃機、いわゆる"東京急行"に備える重責を有している故にイーグルが。

 自衛隊ファントム発祥の地、百里基地は航空自衛隊におけるマザースコードロンの基地としまして、航空自衛隊に最初のファントム飛行隊が置かれ、そしてこの部隊から暖簾分けするかたちにて、全国へ総勢8個のファントム飛行隊を編成乃至改編してゆきました。

 ファントム無頼。百里基地をファントムの基地という印象を決定づけたのはこの作品かもしれません、機体の限界寸前までの激しい機動飛行を行う操縦士神田鉄雄2尉と計器飛行だけで本州を横断できるレーダー士官栗原宏美2尉という破天荒な二人組を描く劇画です。

 百里基地が作品の舞台となっていまして、史村翔原作で新谷かおる作画、1978年から連載され六年にわたり読者を魅了したとのこと。ただ、やはり個人的には百里基地は当方にとり、イーグルの基地、という印象が強いものでして、実際映画"ガメラⅢ"でもそうでした。

 イーグルの百里基地、恐らく北大路機関創設前、護衛艦はるな母港がまだ佐世保だった頃に全国自衛隊部隊総覧地図に、百里基地にはイーグルのマークが二つ並んでいた事の強い影響があったように思います。実際、ファントム無頼もイーグル時代を予感させ完結する。

 世代というものなのかな、とは、知人友人で十年二十年ほど年上の方のお話でして、ファントム無頼世代では百里はファントムの基地という。個人的にファントムの基地というとファントム時代の長かった那覇基地の印象があるのですが、世代的にF104の印象なのかな。

 ゲートー自衛隊彼の地にて斯く戦えり。柳内たくみ原作のライトノベルですが、この作品、異世界から銀座が突如攻撃され自衛隊が反撃し異世界での講話のための安定化作戦や冒険を行う作品なのですがここでもファントム無頼を思わせる操縦士が登場しているのですね。

 迷彩君、劇画で有名な竿尾悟によるゲートの劇画版ではまさにファントム無頼的な二人組がファントムを操縦してドラゴンを相手に大暴れしたり、と頑張っていますので、その上の世代の方からは、敢えていまこそ百里といえばファントムだろう、といわれるのですが。

 百里といえばファントムですよ、とは若い方のお話、いやはやジェネレーションギャップ、百里基地のイーグル飛行隊は一個飛行隊が中国の沖縄への軍事圧力が沖縄に強く掛かった為に那覇基地のファントムと交代し、イーグルとファントムの混成航空団となってゆく。

 ファントムの世界最大の拠点が百里だ、とは最近の方のお話、そう、続いて中国の軍事圧力は沖縄を超えて九州まで至るようになりまして、新田原基地のファントム飛行隊が百里基地最後のイーグル飛行隊と交代しまして、RF-4とともに百里はファントム基地となった。

 ファントムはF-2へ、そして引退に向かっています、自衛隊がファントムを導入決定したのは1960年代、そろそろ2020年代は限界を超えているといえる。このためにファントム12機編隊飛行、大団円を飾る情景といえまして今日的にみても貴重な一幕といえましょう。

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【防衛情報】フランス原子力空母シャルルドゴール後継は75000t大型艦で2038年竣工計画

2020-12-22 20:00:12 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 我が国が護衛艦かが、その次を建造する場合に一つの視点と成り得るかもしれないフランスの次期空母計画の話題です。

 フランスのマクロン大統領は12月8日、ルクルーゾにあるフラマトームでの海軍シンポジウムに際し、フランス海軍の次世代航空母艦は原子力推進を採用し満載排水量は75000tへ大型化させる方針を発表しました。これによりフランス海軍が現在唯一運用する原子力空母シャルルドゴールの満載排水量42000tを大幅に上回る巨大空母が建造される方針に。

 フランス海軍の次期航空母艦は全長300m、全幅80m、原子力推進により最高速力は27ノットを想定しており、今後開発する方針の電磁カタパルトを搭載、艦載機として30機の将来戦闘機搭載を見込むとのこと。新しい空母の推進方式について、原子力を採用した背景を大統領は将来にわたるフランス防衛原子力産業の維持と継承に在る、と説明しました。

 建造計画では先ず2025年までに設計を行い、その後は建造に着手、2038年までに竣工させる構想で、設計と建造にほぼ18年間を要する長大な計画です。新しい空母は現在のシャルルドゴールと比較し、原子炉の点検期間を現在の7年間隔から10年間隔と新型原子炉により稼働期間を長くする方針とされ、また一時的にフランスは空母二隻体制に戻ります。

 シャルルドゴールは2038年に現役を引退する計画で、フランス海軍は新空母を2036年までに公試に漕ぎ着け、2038年までに竣工させると同時に作戦運用体制構築へ持って行きたい計画です。ただ、言い換えれば18年という長期的な建造計画では、同時に一年の遅れも許されない事を示しています。こういうのもシャルルドゴールは建造の遅れの連続でした。

 建造の遅延としては、シャルルドゴールは潜水艦原子炉を空母に転用するという全く必要な出力や運用特性の異なる領域での運用にて建造中に原子炉からの放射能漏れ事故が発生し、また、公試開始の際には海軍が新たに導入したE-2C早期警戒機に対して、飛行甲板の長さが足りず、急遽飛行甲板を延伸するという一幕が竣工を更に遅らせた事も記憶される。

 フランス政府は2038年までに建造する次期航空母艦について現在独仏共同開発が進むFCAS将来戦闘機を搭載する方針を明らかにしました。次期航空母艦は30機の艦載機を搭載する計画です。FCAS戦闘機は第六世代戦闘機を期し、現在必要な構成要素について研究を進めているもので、全備重量や離着陸距離は勿論、搭載エンジンも未定となっている。

 フランス海軍では空母の全長を330mとしており、大統領の発言した300mよりも一割大きなものとしています、一方でFCASについてはフランスのラファール戦闘機とドイツのユーロファイター戦闘機の後継となるものの、アメリカのF-35Bのような垂直離着陸型の開発は予定されておらず、陸上戦闘機を基本型とした上で艦上型を開発する事となります。

 ラファールにおいて艦載機と戦闘機型を同時に開発したフランス航空産業ですが、今回難しいのは、ラファール開発当時にはフランス海軍は、クレマンソーとフォッシュの空母二隻体制であり、空母艦載機についても予備機を含め100機程度の需要が見込まれ、またシャルルドゴールも二番艦が建造され、PA-2計画として空母二隻体制が見込まれていました。

 クレマンソー級空母建造の時代にも空母艦載機として艦載攻撃機のシュペルエタンダール、エタンダールと艦載機の開発経験がありましたが、しかし、艦載戦闘機としてはとうとう、当初計画されていたジャギュア/ジャガー艦上型が実現せず、アメリカからF-8クルセイダーを導入し2000年代まで運用し、ラファールへ引き継いだ経験があります、しかし今は。

 FCASはどの程度の飛行甲板長を必要とするかは不明ですし、艦載機用の強力な衝撃に耐える降着装置と設計が適合するかは不明です、一方で今回は空母が一隻なのですから、艦載機30機、予備機を見込んでも40機程度しか需要は無く、専用機を開発する訳にはいきません。すると、ジャガーのように陸上機の艦載機転用の難しさに再度挑まねばなりません。

 FCASについて、フランスは過去、欧州共同戦闘機開発に小型のクレマンソー級空母へ搭載する必要から小型化を主張しすぎ、結果的に開発から離脱し独自にラファールを開発する事となり、今日に至るまで格安の中古機を除き海外販売に難渋する事となりました、今回は空母に艦載機を合せるのではなく艦載機に空母を併せ空母を大型化する方針のようです。

 75000t級空母というものは文字通りフランス海軍史上空前の大型艦ですが、無理にFCASを導入するのではなくASMP核ミサイル運用用にラファールを維持し、艦載機だけはF-8クルセイダーのようにアメリカからF-35B戦闘機を輸入する45000t級空母を2隻建造した方が、稼働率は良くなるのではないか、とも考えるのですが政治的に難しいのでしょう。

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