■大阪でトライポッド多数撃破!
新型コロナウィルス対策緊急事態宣言一カ月延長が政府検討の昨今、今外に出るとこちらがヤラれるの精神で皆様もう少し頑張りましょう、そんな時は映画鑑賞だ。
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宇宙戦争、昨日放映されました作品はスティーブンスピルバーグ監督による2005年の映画です。そして火星人の地球侵略兵器“トライポッド”について、“大阪では何体か倒した”という劇中台詞がありましたが2005年といいますと、大阪を防衛警備管区とする陸上自衛隊第3師団、2020年の今日から見ますと近代化の過渡期といえる状況でもあったのです。
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2005年、どんな時代だったでしょうか、なにしろ15年前のはなしですから、ね。福知山7連隊の連隊長さんが佐藤さんの時代でした、そして伊丹駐屯地や千僧駐屯地のグラウンドが芝生、薄っすらと芝生が残っていた時代なのですね。映画を見る限り、例えば白兵戦に持ち込めば、下車した火星人などは銃剣で喉笛を狙えば一発のような印象がありますが。
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64式対戦車誘導弾やM-3短機関銃、ぎりぎり60式自走無反動砲と106mm無反動砲が現役で、ぎりぎり軽装甲機動車の配備準備が進められていたという。いや、1998年までは第3戦車大隊に僅かに61式戦車が残っていたのが漸く74式戦車に置き換わりましてまだ7年というもの、しかし戦車大隊本部には60式装甲車がまだ現役という、そんな時代という。
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ガメラⅢイリス覚醒、この公開時に漸く戦車大隊が74式戦車に完全に置き換わったものでして、第3師団はそもそも1995年防衛大綱改正に際して政経中枢師団へ、練馬の第1師団とともに位置付けられ重装備の近代化は後回しとされた師団です。もっともその分、87式対戦車誘導弾やL-16/81mm迫撃砲に120mmRT重迫撃砲は比較的早く導入されましたが。
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89式小銃が導入開始されていますが、特科部隊や施設科部隊、そして偵察隊はまだ64式小銃であり、機関銃は悪名高い62式軽機関銃、いうこと機関銃、として知られる難しい機関銃が活用されていまして、訓練展示では一発か二発で排莢不良か装填不良若しくはこれが同時に、という事もありました。あんな装備でどうやって勝ったのでしょうか、いやいや。
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ジャベリンを使え!、という台詞は宇宙戦争終盤のボストン市内に侵入したトライポッドがシールド装置が故障して防御力が無い状態となっている事に主人公が気付き、付近で避難誘導していた州兵に知らせますと、即座にFGM-148ジャベリン対戦車ミサイルで地形や遮蔽物を活かして慎重に接近し、一斉射撃で撃破しました。普通装甲換算で500mm以下か。
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01式軽対戦車誘導弾、通称軽MAT,陸上自衛隊にはジャベリンミサイルと同程度のミサイル、こちらは川崎重工が国産したものがありまして、要するに01軽MATがあればシールドさえない状況で撃破できるのですが、シールドがありますと効果が無い、そして第3師団には2005年当時、01軽MATは無い。するとこの他の装備を活用するほかありません。
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トライポッドと74式戦車、攻撃力で戦車砲と熱線を比較した場合はトライポッドが遙かに上回り、防御力でもほぼすべての攻撃を正面から受け止める、74式戦車よりも頑強です。機動力は74式戦車が54km/hですので同程度ですが、ここで並んだところで全く意味がありません。すると第3師団はどのようにしてトライポッドへ立ち向かったのでしょうか。
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弱点。トライポッドの防御力は高いようにみえるのですが、少なくともシールドは透明であり、ポリカーボネイトのような強靱な透明樹脂を装着しているようではありません、すると、可視光線は通っているのですね。実際、トライポッドは索敵に際し探照灯を用いていました。光は通すのです、そして探照灯という点で一つ気づかされる点があります。
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探照灯で探すトライポッド、実は74式戦車にも探照灯のようなものが搭載されています、赤外線アクティヴ照準装置という強力なサーチライトに赤外線フィルターを装着し非可視化した暗視装置です、フィルターを取り外せば5km先で新聞を読めるほどの明るさ、しかしそのまま照らすと自車位置が暴露するために赤外線フィルターを通すのですね。しかし敵の可視光なんて旧式だ。
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赤外線アクティヴ照準装置は結局赤外線を照射するために探知されやすく、第3世代戦車では全て熱線暗視装置、相手が発する熱を感知する照準機となっています。逆に考えるならばトライポッドは暗視装置が搭載されていない、ということになります。サーチライトで照射して戦闘するなど、第二次世界大戦の時代の話でして、敵は戦争のやり方を知らない。
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トライポッドには暗視装置が搭載されておらず、そして夜間に探照灯を照射する、自己位置が暴露し、目標である人間に逃げられてしまう難点を是認しているからには、暗視装置のほかにレーダーのようなものを索敵に用いることも出来ないのでしょう、これは重大な弱点です。つまり白リン弾や発煙装置で煙覆されるとなにも見えなくなる、ということ。
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宇宙戦争の舞台はニュージャージー州のベイヨン、というのは前述の通りですが、ニュージャージー州と日本では時差が13時間あります、すると世界で同時に攻撃を開始したとして、日本は夜間ですので、ベイヨンでは白昼に攻撃を開始し、その弱点が曖昧にしか見えませんでしたが、日本の場合は時差の関係から、夜間攻撃で先端を切った構図となります。
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夜間攻撃。まともな暗視装置を持たないトライポッドは恐らく大阪平野で索敵に相当苦労させられたのでしょう、もっともそのあたりの正確な描写がないのは残念ですが。もう一つ、2005年には武力攻撃事態法が整備され、自衛隊の即応体制は比較的高い水準にありました、ここが、火星人には不利に、自衛隊にはここが有利に作用した可能性があります。
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FH-70榴弾砲などで白リン弾による攪乱射撃を受けた場合、容易に視界不良に陥る、トライポッドには重大な弱点があります。そしてもう一つ、轟音で威嚇するように攻撃を開始していましたトライポッド、劇中で幾度かトライポッドが攻撃を開始する際には例外なく音響で合図を送っていました、すると可能性として、あの音響は意志疎通用ではないか。
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無線機を搭載していない可能性がある、トライポッドは、あの轟音で相互に意思を疎通しているものであり、データリンク装置はもちろん、無線機さえも搭載していない可能性がある、劇中では世界規模で攻撃を開始したものの各個機動が基本、視程外のトライポッド同士で連携がとれている描写がありませんでしたが、もともと出来ないのかもしれません。
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自衛隊にそうした装備はありませんが、相手が音響で意志疎通するならば通信傍受は容易、軍団ごとに心理戦旅団を有しているアメリカ軍であれば、例えばトライポッドの意志疎通用音響を分析し、同じ音程の音を心理戦用拡声器、本来は住民宣撫や敵対勢力への広報用、こうしたもので発することで、トライポッドの誘導も可能なのかもしれません。弱点だ。
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そして強力な熱線を放射できるトライポッドは、その熱線の威力に驚かされるのですが、言い換えれば熱線は直進します、貫通力は相当強そうですが、地形、山間部を山ごと破壊できるほどではないようで、すると放物線を描いて30km以遠から攻撃する砲兵火力にたいしては、無傷であっても相手を捕捉する索敵手段が無く、一方的に撃たれるだけです。
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特科火砲、FH-70榴弾砲が投射するM-107榴弾や03式多目的砲弾はシールドを貫徹できない可能性が高いのですが、白リン弾で煙覆できることは確かです、無線通信が出来ない以上、煙覆で敵は前進さえできずパニックに陥るでしょう。しかし問題は、シールドを貫徹する方法が無いという。見えるのだから可視光は透過している、弱点の一端は此処でしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
新型コロナウィルス対策緊急事態宣言一カ月延長が政府検討の昨今、今外に出るとこちらがヤラれるの精神で皆様もう少し頑張りましょう、そんな時は映画鑑賞だ。
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宇宙戦争、昨日放映されました作品はスティーブンスピルバーグ監督による2005年の映画です。そして火星人の地球侵略兵器“トライポッド”について、“大阪では何体か倒した”という劇中台詞がありましたが2005年といいますと、大阪を防衛警備管区とする陸上自衛隊第3師団、2020年の今日から見ますと近代化の過渡期といえる状況でもあったのです。
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2005年、どんな時代だったでしょうか、なにしろ15年前のはなしですから、ね。福知山7連隊の連隊長さんが佐藤さんの時代でした、そして伊丹駐屯地や千僧駐屯地のグラウンドが芝生、薄っすらと芝生が残っていた時代なのですね。映画を見る限り、例えば白兵戦に持ち込めば、下車した火星人などは銃剣で喉笛を狙えば一発のような印象がありますが。
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64式対戦車誘導弾やM-3短機関銃、ぎりぎり60式自走無反動砲と106mm無反動砲が現役で、ぎりぎり軽装甲機動車の配備準備が進められていたという。いや、1998年までは第3戦車大隊に僅かに61式戦車が残っていたのが漸く74式戦車に置き換わりましてまだ7年というもの、しかし戦車大隊本部には60式装甲車がまだ現役という、そんな時代という。
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ガメラⅢイリス覚醒、この公開時に漸く戦車大隊が74式戦車に完全に置き換わったものでして、第3師団はそもそも1995年防衛大綱改正に際して政経中枢師団へ、練馬の第1師団とともに位置付けられ重装備の近代化は後回しとされた師団です。もっともその分、87式対戦車誘導弾やL-16/81mm迫撃砲に120mmRT重迫撃砲は比較的早く導入されましたが。
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89式小銃が導入開始されていますが、特科部隊や施設科部隊、そして偵察隊はまだ64式小銃であり、機関銃は悪名高い62式軽機関銃、いうこと機関銃、として知られる難しい機関銃が活用されていまして、訓練展示では一発か二発で排莢不良か装填不良若しくはこれが同時に、という事もありました。あんな装備でどうやって勝ったのでしょうか、いやいや。
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ジャベリンを使え!、という台詞は宇宙戦争終盤のボストン市内に侵入したトライポッドがシールド装置が故障して防御力が無い状態となっている事に主人公が気付き、付近で避難誘導していた州兵に知らせますと、即座にFGM-148ジャベリン対戦車ミサイルで地形や遮蔽物を活かして慎重に接近し、一斉射撃で撃破しました。普通装甲換算で500mm以下か。
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01式軽対戦車誘導弾、通称軽MAT,陸上自衛隊にはジャベリンミサイルと同程度のミサイル、こちらは川崎重工が国産したものがありまして、要するに01軽MATがあればシールドさえない状況で撃破できるのですが、シールドがありますと効果が無い、そして第3師団には2005年当時、01軽MATは無い。するとこの他の装備を活用するほかありません。
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トライポッドと74式戦車、攻撃力で戦車砲と熱線を比較した場合はトライポッドが遙かに上回り、防御力でもほぼすべての攻撃を正面から受け止める、74式戦車よりも頑強です。機動力は74式戦車が54km/hですので同程度ですが、ここで並んだところで全く意味がありません。すると第3師団はどのようにしてトライポッドへ立ち向かったのでしょうか。
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弱点。トライポッドの防御力は高いようにみえるのですが、少なくともシールドは透明であり、ポリカーボネイトのような強靱な透明樹脂を装着しているようではありません、すると、可視光線は通っているのですね。実際、トライポッドは索敵に際し探照灯を用いていました。光は通すのです、そして探照灯という点で一つ気づかされる点があります。
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探照灯で探すトライポッド、実は74式戦車にも探照灯のようなものが搭載されています、赤外線アクティヴ照準装置という強力なサーチライトに赤外線フィルターを装着し非可視化した暗視装置です、フィルターを取り外せば5km先で新聞を読めるほどの明るさ、しかしそのまま照らすと自車位置が暴露するために赤外線フィルターを通すのですね。しかし敵の可視光なんて旧式だ。
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赤外線アクティヴ照準装置は結局赤外線を照射するために探知されやすく、第3世代戦車では全て熱線暗視装置、相手が発する熱を感知する照準機となっています。逆に考えるならばトライポッドは暗視装置が搭載されていない、ということになります。サーチライトで照射して戦闘するなど、第二次世界大戦の時代の話でして、敵は戦争のやり方を知らない。
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トライポッドには暗視装置が搭載されておらず、そして夜間に探照灯を照射する、自己位置が暴露し、目標である人間に逃げられてしまう難点を是認しているからには、暗視装置のほかにレーダーのようなものを索敵に用いることも出来ないのでしょう、これは重大な弱点です。つまり白リン弾や発煙装置で煙覆されるとなにも見えなくなる、ということ。
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無線機を搭載していない可能性がある、トライポッドは、あの轟音で相互に意思を疎通しているものであり、データリンク装置はもちろん、無線機さえも搭載していない可能性がある、劇中では世界規模で攻撃を開始したものの各個機動が基本、視程外のトライポッド同士で連携がとれている描写がありませんでしたが、もともと出来ないのかもしれません。
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北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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