■大量のCH-47輸送ヘリを集中
邦人救出、隣国韓国には多数の邦人が居留しており難易度を高めますが、隣国故の距離の短さという光明もあります。
九州へ釜山から輸送ヘリコプターによる邦人救出を政府は想定している。昨年からの朝鮮半島緊張を背景に報道されたところによれば、陸上自衛隊と航空自衛隊が多数を保有しているCH-47J輸送ヘリコプターやUH-60JA多用途ヘリコプターを邦人救出へ活用の指針を示しています。今回はこのヘリコプターによる邦人救出の可能性を検証してみましょう。
在韓邦人は5万7000名、一時滞在者と長期滞在者の合計はこれほどの規模となります。500名乗りのボーイング777旅客機を120機程度準備して初めて達成できる規模だけに果たしてヘリコプターでの空輸は可能なのか、不安である事は確かです。ただ、必ずしも5万7000名全員をヘリコプター輸送するのではなく、また自衛隊保有数の多さも加味するとどうか。
陸上自衛隊はCH-47J/JA輸送ヘリコプターを55機運用しています。実は世界的に見て大型輸送ヘリコプターを20機以上保有する国は非常に限られているのです。理由は簡単で、大型ヘリコプターは最新戦車の十倍前後という高価なものであり、導入したくとも出来ないのです。自衛隊は山間部と離島の多い国土防衛の観点から特に重視、多数を揃えました。
航空自衛隊もCH-47J輸送ヘリコプターを20機保有しています。これはレーダーサイトへの部品緊急空輸や弾薬輸送支援の任務にあたるものです。世界に20機以上の大型輸送ヘリコプターを保有する国は少ないと前述しましたが、航空自衛隊も20機保有している。CH-47は高価な航空機ですが川崎重工にてライセンス生産が行われ、少数を調達し続けている。
CH-47J輸送ヘリコプターは55名乗りの輸送ヘリコプターで航続距離は1000kmあり、とはCH-47Jの航空祭や駐屯地祭での展示パネルに記載されている内容ですが、実は70名から80名程度は搭乗できます。55名とは完全武装の歩兵や普通科隊員を空輸する状況で、実は新潟中越地震山古志村全村避難の際にも緊急時ということで実施されたという事でした。
フォークランド紛争では200名以上を詰め込んだ事例もある。1982年のイギリス領フォークランド諸島へアルゼンチン軍が侵攻した際、イギリス軍が奪還作戦を行う際、イギリスの航空機輸送貨物船アトランティックコンベア号がミサイル攻撃により撃沈、多数の航空機材をイギリスは失いました。しかし沈没前にCH-47を一機脱出させる事に成功します。
イギリス軍はCH-47を貴重な航空輸送力として活用し、特に軽武装の空挺兵を“ロンドン地下鉄の朝ラッシュ並に”詰め込む事で驚く事に200名も搭乗させたという。操縦士は対空砲火にでも曝されないかと気が気ではなかったと回顧する資料があります。流石にここまではやりすぎといえますが、それでもCH-47潜在輸送能力の一端を示すといえましょう。
2500名、これは毎年行われる木更津航空祭における体験搭乗と地上滑走の定員です。500名が抽選で体験飛行を、2000名が先着順に地上滑走を体験できます。体験飛行は東京湾中部を一周する15分程度の飛行時間、地上滑走は木更津駐屯地で高度数百mまで上昇し駐屯地内の飛行体験するもの。何が言いたいかといえば、自衛隊は大量輸送に慣れている。
自衛隊が保有する75機のCH-47,もちろん朝鮮半島有事となれば防衛出動待機命令が発令され、ミサイル防衛や特殊部隊浸透などへの対処も必要となりますが、総数の四割を投入できたとして30機、新潟中越地震並みに邦人を搭乗させ一往復2400名、釜山から長崎県対馬まで70km、24時間で最大8往復、釜山まで脱出した在韓邦人の多くを救出できます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
邦人救出、隣国韓国には多数の邦人が居留しており難易度を高めますが、隣国故の距離の短さという光明もあります。
九州へ釜山から輸送ヘリコプターによる邦人救出を政府は想定している。昨年からの朝鮮半島緊張を背景に報道されたところによれば、陸上自衛隊と航空自衛隊が多数を保有しているCH-47J輸送ヘリコプターやUH-60JA多用途ヘリコプターを邦人救出へ活用の指針を示しています。今回はこのヘリコプターによる邦人救出の可能性を検証してみましょう。
在韓邦人は5万7000名、一時滞在者と長期滞在者の合計はこれほどの規模となります。500名乗りのボーイング777旅客機を120機程度準備して初めて達成できる規模だけに果たしてヘリコプターでの空輸は可能なのか、不安である事は確かです。ただ、必ずしも5万7000名全員をヘリコプター輸送するのではなく、また自衛隊保有数の多さも加味するとどうか。
陸上自衛隊はCH-47J/JA輸送ヘリコプターを55機運用しています。実は世界的に見て大型輸送ヘリコプターを20機以上保有する国は非常に限られているのです。理由は簡単で、大型ヘリコプターは最新戦車の十倍前後という高価なものであり、導入したくとも出来ないのです。自衛隊は山間部と離島の多い国土防衛の観点から特に重視、多数を揃えました。
航空自衛隊もCH-47J輸送ヘリコプターを20機保有しています。これはレーダーサイトへの部品緊急空輸や弾薬輸送支援の任務にあたるものです。世界に20機以上の大型輸送ヘリコプターを保有する国は少ないと前述しましたが、航空自衛隊も20機保有している。CH-47は高価な航空機ですが川崎重工にてライセンス生産が行われ、少数を調達し続けている。
CH-47J輸送ヘリコプターは55名乗りの輸送ヘリコプターで航続距離は1000kmあり、とはCH-47Jの航空祭や駐屯地祭での展示パネルに記載されている内容ですが、実は70名から80名程度は搭乗できます。55名とは完全武装の歩兵や普通科隊員を空輸する状況で、実は新潟中越地震山古志村全村避難の際にも緊急時ということで実施されたという事でした。
フォークランド紛争では200名以上を詰め込んだ事例もある。1982年のイギリス領フォークランド諸島へアルゼンチン軍が侵攻した際、イギリス軍が奪還作戦を行う際、イギリスの航空機輸送貨物船アトランティックコンベア号がミサイル攻撃により撃沈、多数の航空機材をイギリスは失いました。しかし沈没前にCH-47を一機脱出させる事に成功します。
イギリス軍はCH-47を貴重な航空輸送力として活用し、特に軽武装の空挺兵を“ロンドン地下鉄の朝ラッシュ並に”詰め込む事で驚く事に200名も搭乗させたという。操縦士は対空砲火にでも曝されないかと気が気ではなかったと回顧する資料があります。流石にここまではやりすぎといえますが、それでもCH-47潜在輸送能力の一端を示すといえましょう。
2500名、これは毎年行われる木更津航空祭における体験搭乗と地上滑走の定員です。500名が抽選で体験飛行を、2000名が先着順に地上滑走を体験できます。体験飛行は東京湾中部を一周する15分程度の飛行時間、地上滑走は木更津駐屯地で高度数百mまで上昇し駐屯地内の飛行体験するもの。何が言いたいかといえば、自衛隊は大量輸送に慣れている。
自衛隊が保有する75機のCH-47,もちろん朝鮮半島有事となれば防衛出動待機命令が発令され、ミサイル防衛や特殊部隊浸透などへの対処も必要となりますが、総数の四割を投入できたとして30機、新潟中越地震並みに邦人を搭乗させ一往復2400名、釜山から長崎県対馬まで70km、24時間で最大8往復、釜山まで脱出した在韓邦人の多くを救出できます。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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