■岐阜基地航空祭07
岐阜基地航空祭2007の詳報第三回は、オープニングフライトを終えて着陸が始まるところである。岐阜基地外周道路ぶらり旅(?)、今回は誘導路を行く機体を間近に撮影した写真を特集したい。
岐阜基地航空祭2007、そのオープニングフライトは離陸した機体の機動飛行、模擬対地攻撃を交えながら、さっそくF-15,F-4,F-2という、岐阜基地ならではの異機種編隊による飛行を見せたのち、T-7を加えた編隊の妙技も披露した。しかし、これはまだまだ前座。岐阜基地異機種大編隊として多くの航空愛好家を唸らせる展示はこれからなのだ。
オープニングフライトを見せつけてのち、離陸した編隊は順次着陸してゆく。しかし、ただ着陸したのでは芸が無い、ということなのだろうか。T-7が全速で先ほど編隊飛行していたF-2と並んで飛行している。F-2は低速運動性能なども重視して設計された航空機である、ゆっくり飛ぶのは得意だ。
そしていきなりエンジン出力を上げると、そのままF-2はT-7を追い抜いていった。と書いてみると勇ましいが、前回までの記載をご覧の方はご存じ、当方一行は、遥か滑走路の南側に向けて徒歩にて移動中である。順光の航空機写真を追い求めて。まだ着かないのかよ!と思われるかもしれないが、本当に遠いのだ。
滑走路沿いに移動しているので、着陸の模様もよくみえる。ちょうど着陸したF-4EJが減速のためにドラッグシュートを開いた瞬間だ。撮影した滑走路までの最前列は、混んでるんじゃないの?と思われるかもしれないが、それはエプロン地区での話。遥か外周道路沿い後方1kmの話である。
着陸したF-4EJの上空をF-15Jが航過する。この写真を見ると、山がちの基地、という印象がある。実際、ストラトスフォーのOVA(岐阜基地が出てくる作品は、これくらいしか思い浮かばない)などでも、山奥の基地という印象があったが、名古屋まで約30km、岐阜や犬山の市街地からもほど近い立地だったりする。
着陸したT-7練習機。誘導路沿いなので、こういった写真も撮影できる。T-7は、これまでのT-3練習機の後継として開発され、2004年3月26日に部隊使用承認を受けた初等練習機。防府北基地の第12飛行教育団より部隊配備が開始、最後までT-3を運用していた飛行開発実験団にもT-7が配備された次第。
T-4練習機が、着陸し、こちらの誘導路に向かってくる。誘導路沿いの外周道路を歩いていると見ることができる情景、このためだけに4km歩く価値がある!かも。T-4は212機が生産された川崎重工の国産練習機。1985年4月17日にここ川重岐阜工場にて試作初号機がロールアウト、2003年3月6日に完納式が行われた。エンジンも含め、純国産機として完成した機体だ。反対側に見える機体は保存展示機のF-104,そこが目指す撮影場所だ。
F-4がドラッグシュートを切り離す。傍らには、ドラッグシュートを回収するための隊員が車両で展開している。F-4は、1971年より要撃戦闘機として導入され、1971年7月25日に最初の二機が、ここ岐阜基地に空輸された。1973年8月1日から百里基地の第7航空団に配備された航空機である。
F-4EJはマクダネルダグラス社からの直輸入に続き三菱重工によりノックダウン生産、ライセンス生産が行われ130機、ノックダウン生産を合わせ140機が配備された。当初APQ-120レーダーを搭載していたが現在はルックダウン・シュートダウン性能を有するAPG-66レーダーを搭載する改修を受けている。
F-4EJの性能を列挙すると全長18.6㍍m、全幅11.76㍍、全高4.99㍍、主翼面積は49.24平方㍍。最大離陸重量は26.3㌧、搭載エンジンはJ-79-GE-17で、アフターバーナー使用時の推力は8.12㌧あり、このエンジンを二基搭載している。航続距離は4200kmである。
武装は、サイドワインダーなど短射程ミサイル、スパローなど中射程ミサイルを計8発、機首には20㍉多銃身機関砲M61を搭載、機関砲弾は638発である。F-4EJは、F-4EJ改へ改修され、1999年1月に最後の改修機である90機目の機体が航空自衛隊に納入された。F-4からパイロットが手を振っている。
F-15Jイーグルが誘導路をこちらに向かう。このF-15Jも最初の機体は1981年3月27日に沖縄の嘉手納基地から、ここ岐阜基地に空輸され、航空自衛隊に納入された機体で、岐阜において実用試験を実施、1984年3月新田原基地の第204飛行隊に配備、百里の第7航空団に移駐した。航空自衛隊はライセンス生産など213機を調達。
F-15は、全長19.5㍍、全幅13㍍、全高5.6㍍で主翼面積は56.7平方㍍、最大離陸重量は25.4㌧。エンジンは二基のP&W F100エンジンで推力は各10.615㌧、最大航続距離は5550km。レーダーは探知距離185kmのAPG-63を搭載し、AIM-7やAIM-120、AAM-4といった射程の長いミサイルの性能を最大限活かしたアウトレンジ戦闘を実施、強力なエンジンによる近接した空中戦も得意な航空機だ。
航空自衛隊では、三菱重工とともにこのF-15Jの近代化改修計画を推進中である。現在、飛行開発実験団において試験が実施されており、セントラルコンピュータの換装やエンジン、レーダーの近代化に加え前方赤外線捜索追尾装置の搭載も実施、21世紀の日本の防空にも重要な任務水準を維持するべく岐阜において試験中である。
F-2支援戦闘機は、1995年10月7日に初飛行を達成した、日米共同開発の支援戦闘機である。全長15.52㍍、全幅11.13㍍、全高4.93㍍。主翼面積は34.84平方㍍。推力13.43㌧のF-110-GE-129エンジンを一基搭載し、航続距離は4000km。武装搭載量はこの種の機体としては大きい8.085㌧に達する。
三菱電機製J/APG1レーダーはアクティヴフュードアレイ方式のレーダーでルックダウン・シュートダウン能力の保持はもちろん複数目標への対処能力も高い。搭載する電子機器は統合ミッションコンピュータにより管制、電子測定記録機能搭載レーダー警戒装置・機上電波妨害装置・機械的電子妨害装置を統合した統合電子戦システムを搭載、脅威に対する回避能力は高い。
慣性航法装置も国産リングレーザージャイロを内蔵する高性能なものが搭載されている。操縦性も高く、三つの独立したコンピュータにより制御されるデジタル式フライバイワイヤ制御システムを搭載。これは機体制御最適化・自動安定・旋回自動制御・強化機動応答性・非バンク旋回能力を備えたCCV制御機能を有している。大きな兵装搭載量、高度な電子的防御能力、高い空中機動性を兼ね備えた小柄な高性能機、これがF-2だ。
ようこそ岐阜基地へ、おかげさまで50周年!と書かれた車両。F-4のドラッグシュートを回収する任務をおえた車両。任務遂行に必要な車両の総数は、実は人員が三倍ほど大きい陸上自衛隊よりも、航空自衛隊のほうが多いということだが、この種の後方支援車両が無ければ、いかな高性能機といえども性能をすべて発揮することはできない、重要な存在だ。
着陸した機体は、誘導路を曲がり終え、そして一列にエプロン地区に向けて進んでゆく。一般公開されているエプロン地区前を通過し、これら機体は、そのさらに奥で整備を受ける。そして次の異機種大編隊飛行に備えるのだが、そこでは次なる飛行展示、救難展示の準備が進められていた。救難展示や大編隊の展示詳報は次回以降に掲載、お楽しみに。
HARUNA
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