北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成二十四年度三月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2013.03.03)

2013-02-28 21:00:06 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 明日から三月になり多少暖かくなりつつも花粉が飛び始めた今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか。 

Mimg_7093 今週末の自衛隊行事ですが、日曜日に四国南端の足摺岬にほどちかい土佐清水分屯基地開庁記念行事が行われます。土佐清水分屯基地は土佐清水通信隊が展開する春日基地の分屯基地で、中部航空方面隊ではなく西部航空方面隊の基地です。飛行場はありませんので他基地からの飛来、地上展示が中心となります。

Eimg_1602 海上自衛隊の基地一般公開は今週末から舞鶴基地が二月行われなかった桟橋一般公開を再開します。また、呉基地では日曜日の艦艇広報に護衛艦あぶくま、が一般公開を行います。他方、佐世保基地の倉島桟橋一般公開は土曜日日曜日とも都合により中止、となっていましたのでご注意ください。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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P-1哨戒機三号機&四号機 海上自衛隊への納入へ最新国産哨戒機P-1飛行順調!

2013-02-27 22:36:15 | 先端軍事テクノロジー

◆P-1が二機飛行!岐阜基地撮影紀行

 本日撮影しました岐阜基地の様子、KC-767やJDAM搭載F-2など久々の見どころは流石でしたが、ひとつ。

Pimg_9960 P-1哨戒機四号機、海上自衛隊がP-3C哨戒機の後継として導入を進めるP-1哨戒機の量産機で、川崎重工を中心に国内の防衛産業が結集した国産機、試作機の試験飛行を元に量産機として必要な修正を行った機体です。岐阜基地近くへ到達したのは昼過ぎでしたが、P-1が撮影出来るとは嬉しい誤算で、幸先がいい。

Pimg_9982 アメリカ海軍ではボーイング737を基本とした新哨戒機P-8を開発していますが、同機は旅客機を原型としており対潜哨戒機として必要な機動性を欠いているほか、米海軍仕様は洋上の水上艦艇などの監視に重点を置き磁気探知装置MADを搭載していないなど問題も多々あるところ。

Pximg_0003 P-1哨戒機は対潜哨戒機としてソノブイやその管制装置に磁気探知統治と対水上レーダ装置に火器管制装置などを集約させた対潜哨戒から対水上哨戒までをこなす航空機であるのに対し、P-8は常時高高度を哨戒しつつ対潜哨戒は無人機等の支援を受け、無人機を管制しつつ洋上哨戒を行う期待として完成しました、この点、最初から哨戒機として開発されたP-1は自己完結性の高い航空機と言えるでしょう。

Pimg_0042 P-1四号機を撮影し、岐阜に久々に展開していきなりP-1哨戒機を撮影できたのならば言うことは無しだ、と。幸運を喜んでいたところ、P-1は一機ではなく二機が飛んでいる、即ち、この日は四号機のほか三号機も岐阜を離陸している、という事をお教えいただきました。

Pximg_0065 ただ、三号機はそろそろ海上自衛隊へ引き渡しなので、岐阜を離陸して第51航空隊の厚木航空基地へ向かったのでは、という推測をお教えいただきまして、・・・、こういうのをフラグというのでしょうか、四号機着陸の後一時間と十分ほど経ったところを、・・・、頭上をそろそろ聞き覚えのあるところとなったエンジン音が。

Pimg_0110 これはP-1哨戒機三号機です。一度岐阜基地上空をフライパスしたのち、機体は大きく旋回しました。まさしく三号機でして、海上自衛隊へ引き渡しを間近に控えたP-1哨戒機三号機が岐阜基地を離陸してのち、試験飛行などを終えて岐阜基地へと戻ってきたところ。

Pimg_0133 岐阜基地の四発機といいますと、これまでは川崎重工岐阜工場でのP-3C哨戒機を示すものでしたけれども、P-3C哨戒機の定期整備などは今後厚木航空基地に隣接する日飛、つまり日本飛行機に託されることとなり、今後は岐阜の川重、P-1哨戒機の製造と定期整備を重点化することとなる。

Pximg_0151 一日でP-1哨戒機二機を撮影できたのは、今回が初めてやもしれません。P-1の三号機には厚木への引き渡しを間近とするあかしとして垂直尾翼に〝51”、第51航空隊の番号が記されていました。このほか、様々な写真を撮影でき、撤収しました。やはり岐阜基地の平日は凄いですね。

北大路機関:はるな

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舞鶴地方隊舞鶴展示訓練2011詳報⑤ 観閲飛行に向け展示訓練参加部隊一斉回頭

2013-02-26 22:39:55 | 海上自衛隊 催事

◆舞鶴地方隊の艦艇勢揃い

 日本海で実施された舞鶴展示訓練は観閲式が完了し、展示訓練参加艦艇は一斉回頭を開始します。

Mimg_6659 写真では音が伝わらないのが残念ですが、艦艇の機関が放つ音が海を越えて、こちらの乗艦するイージス艦ちょうかい、の機関音と重なり、今海に出て護衛艦部隊と反航しているのだ、ということを実感する観閲式でした、そして受閲部隊の先頭を往くイージス艦ちょうかい、は舵を切りはじめました。

Mimg_6982 ちょうかい、の動きと共に後続する艦艇も、ちょうかい、を基準艦として変針を開始します。このとき、先頭を往く基準艦がしっかり操舵していなければ、揃えることが必然的にできなくなり、艦隊行動が大きく乱れてしまうため、文字通り全体の基準、責任重大、というところ。

Mimg_6658 この時ですが、舞鶴地方隊に所属する各種艦艇、多用途支援艦に掃海艇と輸送艦が一列となりました。見ての通り、舷側の形状も全く異なる艦艇ですので、操舵特性も違います。これはそれぞれの艦艇の任務に最適化した姿、という事なのですけれども、全く異なる艦艇の一列は写真として面白い。

Mimg_6678 受閲部隊と観閲部隊の配列を転換して、艦隊の縦列を組みなおすための変針のようで、観閲部隊を真後ろから望む航路を進んでゆきます。真後ろから見ますと、はつゆき型、あたご型、あさぎり型の各型それぞれ異なるヘリコプター格納庫の形状が一度に見れます。

Mimg_6683 航続する護衛艦あぶくま型の護衛艦ちくま、現在は護衛艦隊直轄護衛隊に所属していますが、2008年の部隊改編以前は本型そのものが舞鶴地方隊など地方隊用に建造され運用されていました。護衛艦隊の大型艦と地方隊用の小型護衛艦、というような棲み分けが出来ていた、ということ。

Mimg_6695 しかし、地方隊は防衛警備管区を持つ部隊運予当事者であるので、部隊を常時もつ必要はなく、護衛艦隊を部隊訓練担当として訓練に専念させ、各地方隊や自衛艦隊が任務上必要となった場合にのみ抽出し、任務対応部隊をその都度編制すればよい、という観点から現在の体制となったもよう。

Mimg_6697 ただ、この方式ですと地方総監は自前の即応戦力が少なく、平時から実動部隊を以て運用訓練を行うことが難しくなります。また、元来は自衛艦隊司令官と海上幕僚長が同格で在ったのに対し、近年、護衛艦隊と航空集団に潜水艦隊などを有する自衛艦隊司令官の地位が向上する半面に地方総監の地位が相対として低下したかの如く、二期連続で自衛艦隊司令官から海上幕僚長への昇任人事が続いています。

Mimg_6699 多用途支援艦ひうち、舞鶴地方隊最大の艦艇に当たり、直轄艦として運用されています。標的曳航や訓練魚雷回収などの訓練支援に当たると共に比較的大きな後部甲板を利用し、車両輸送や各種補給資材の運搬にも用いられています。個人的には有事の際、護衛艦が対応するには大きすぎる任務、基地の入り口において敵潜水艦の機雷封鎖などに備える湾口防衛等の哨戒艦として本型の派生型を建造しては、と思うところ。

Mimg_6701 ミサイル艇はやぶさ、本艇と僚艇のミサイル艇うみたか、を以て第二ミサイル艇隊を編成しています。ミサイル艇は後部甲板の艦対艦ミサイルにより高い打撃力を有しますが、自艦が攻撃を受けた際には欺瞞弾などを散布し回避の一点に対応が限られ、対潜哨戒を行う装備を有さないなど、一撃必殺以外の用途がありませんが、日本海においては海上警備行動命令などによる工作船対処に期待されるもの。

Mimg_6702 掃海艇まえじま、現在は比較的新しい掃海艇すがしま、とともに舞鶴地方隊第44掃海隊を編成しています。数少なくなった掃海艇うわじま型の一隻で、港湾施設の機雷封鎖などに備えます。機動運用部隊である護衛艦隊に対し小型護衛艦を多数そろえていた頃の地方隊は、舞鶴警備管区であれば新潟や敦賀等の重要港湾近くにおいて、小型護衛艦による対潜哨戒と掃海艇による機雷対処と任務を分けてきました。

Mimg_6705 輸送艦のと、現在は除籍されている舞鶴地方隊直轄艦で、海上自衛隊の艦としては最小のものでした。自衛艦隊の輸送艦おおすみ型のような満載排水量14000tの大型艦には対処できない沿岸部での木目細かな輸送任務に対応する目的で整備され、東日本大震災では小型艦ながら同型艦ゆら、とともに北海道と東北の輸送任務にも対応しています。がんばれ東北、と横断幕が見えるでしょうか。

Mimg_6713 巡視船ほたか、最高速力40ノットといわれますが、実際にはもう少し出るとも言われる海上保安庁の工作船対処切り札で、敦賀の第8管区海上保安部に所属しています。今回は舞鶴展示訓練へ海上保安庁からの参加船として加わっています。こうして一斉回頭した展示訓練参加部隊は次の祝賀飛行へ、臨むこととなります。

北大路機関:はるな

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第4師団創設58周年 福岡駐屯地創設62周年記念行事詳報② 第4師団長武内誠一陸将

2013-02-25 23:18:07 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆武内師団長の部隊巡閲と指揮官訓示

 本日夕刻に発生した栃木県北部の震度五強地震に端を発する群発地震、気象庁によれば火山性地震ではないとのことですがあのあたりの白根山が気になるところです。

Fimg_5166 快晴に恵まれた福岡の福岡駐屯地、師団創設58周年を祝う福岡駐屯地祭は、前回の観閲部隊指揮官第4師団副師団長が到着しました。観閲部隊指揮官の到着と共に整列した部隊は敬礼し迎えましたが、続いて警務隊の白バイが先導し車両が式典会場へと入場してまいりました。

Fimg_5170 第4師団長武内誠一陸将、武内師団長はこの行事が行われた四ケ月前に師団長に着任、第4師団長の前職は、東北方面隊幕僚長として東日本大震災災害派遣任務統合任務部隊の運用立案や補給と稼働率維持に奔走し、同胞のために尽くした指揮官の一人です。

Fimg_5182 師団旗が続いて入場、師団とは英語でDivisionですが、この単語は事業部という意味を持ちます。その意味が全てを示しており、一方面の全ての想定任務を対応する情報と運用に補給を自己完結する戦闘部隊の単位が、師団、つまりDivisionということになり、九州北部と壱岐対馬地域の防衛警備及び災害派遣に備えています。

Fimg_6439 師団長を迎える連隊旗、自衛隊の師団を支える基幹部隊は普通科連隊で、普通科連隊は師団の支援の下で独自の運用と任務に当たります。連隊旗は部隊旗の敬礼動作が勢いよく振り上げるのに対し、高く掲げる敬礼動作、日本において連隊の位置づけが良く分かるでしょう。

Fimg_5191 師団長へ敬礼、第4師団は管区に朝鮮半島を睨む対馬海峡があり、冷戦時代には朝鮮戦争の休戦状態の崩壊やソ連軍による重要海峡対馬海峡への軍事的圧力を跳ね返すべく厳しい訓練を積んできました。師団管区の境界線は対馬海峡を越えた対馬から大韓海峡の日韓境界線を挟む国境の師団ですから。

Fimg_6445 国旗入場。旗手と警衛とともに日章旗が式典会場へとん入場してきました。日章旗は快晴にこそ最も輝く白地に描かれた太陽という日の丸、観客は起立し国旗を迎えます。国旗は車両にて入場する行事が多い中で、福岡駐屯地では徒歩にて入場します。

Fimg_6459 国旗に対し敬礼、会場全体に響き渡る号令の反響と共に、隊員は各々の小銃に着剣し捧銃姿勢を、指揮官は国旗へ挙手の敬礼を、各部隊の部隊旗を預かる旗手は旗の敬礼動作を行います。号令一下、勢いよく振り上げられる旗の敬礼動作はこの瞬間に式典会場がぎゅんと引き締まる。

Fimg_5199 指揮官巡閲、師団の基幹を果たす連隊旗が並ぶ林のなかを進んでゆきます。整列した部隊は、第4師団隷下の師団司令部及び司令部付隊、第16普通科連隊、第19普通科連隊、第40普通科連隊、第41普通科連隊、対馬警備隊、第4対舟艇対戦車隊、第4戦車大隊、第4偵察隊、と続きます。

Fimg_5209 第4特科連隊、第4高射特科大隊、第4施設大隊、第4後方支援連隊、第4通信大隊、第4飛行隊、第4特殊武器防護隊、第4音楽隊と並び、師団管内を主として福岡駐屯地、大村駐屯地、小倉駐屯地、別府駐屯地、久留米駐屯地、目達原駐屯地、玖珠駐屯地、対馬駐屯地から参加した部隊の前を往く。

Fimg_5242 師団長は、上記師団隷下部隊を平時において想定される任務へ対応すべく訓練し、最高度の練度を維持することに努めると共に、有事の際には方面隊からの支援部隊や他管区からの支援部隊とともにこの地域の防衛に責任を持つこととなります、目の前の師団長へ観客からも自然と拍手が湧く。

Fimg_5251 武内師団長の訓示、式典では九州北部の防衛上の重要性や変動する国際情勢に触れると共に近年の九州における地震災害や毎年の台風及び豪雨災害にも触れ、精強な部隊創りを師団一体となって求めると共に、国民住民との理解と支援を求める内容となっていました。

Fimg_5253 様々な装備や隊員の練度も当然必要不可欠ではあるのですが、同時に国民と共に歩む組織でなければ軍事機構は存続し得ません、現代の国家には様々な脅威や難題問題がありますが、これらを共有し共に解決へ向かうという姿勢と枠組みが、遠回りのように見えて唯一の対処法、ということですね。

Fimg_6440_2 他方、冷戦時代においては米ソ緊張に依拠しつつ、二大国の衝突は即第三次大戦を意味しましたため、ある種の抑制と緊張の下の均衡が図られていたのですが、冷戦後にこの秩序が崩壊、北東アジア地域では冷戦構造の残滓が秩序崩壊を武力紛争へ転換させない枠組みが自然と成り立っていたのですが、近年、秩序の均衡に新しく大陸側から挑戦する動きがあり、今日の緊張となっています。

Fimg_5261 祝辞を述べる福岡県の山崎建典副知事、山崎副知事は県庁総務部長を経て副知事に任命され、防災担当でもあります。福岡県の小川洋知事が多忙のため来場できず、代わって師団創設記念行事に祝辞を述べていました。来賓祝辞は、この行事が民主党政権時代に行われていたため、政治決定により支援団体の祝辞などを行えなくなっている状態でした。

Fimg_5285 祝辞自粛は、支援団体の会長さんがとある基地での行事において、とある与党議員さんが駐車場誘導に従わず喚いていた話を例に祝辞において窘めたところを与党批判だと曲解して反発し、当時の与党民主党は戦後初の自衛隊への言論統制命令となる支援団体祝辞自粛要請の通達が出されたことによるものですが。

Fimg_6482 この通達もようやく今月取り消されました。こういう事をする政府は何れ主権者の厳しい主張の前に跪くだろう、とおもいましたが、その通りの総選挙を経まして、自民公明連立政権の下で取り消された、という事。祝電披露が終わり、観閲行進準備の号令が掛かります。

Fimg_5286 観閲行進準備の号令と共に車両待機位置へ隊員が走ります。いよいよ福岡駐屯地祭は観閲行進へと転換しました。当方にとって初めて見る九州の自衛隊部隊の観閲行進が、いよいよ始まる。その様子は次回から写真と共に紹介することとしましょう。

北大路機関:はるな

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尖閣諸島防衛への一視点⑪ 理想はEFV?,現実はLAV-25,難しい防衛用水陸両用装甲車

2013-02-24 23:45:11 | 防衛・安全保障

◆今までの自衛隊に無かった装備体系

 防衛省は来年度予算に米水陸両用装甲車AAV-7を試験調達するとのことです。国産装備の重要性を説いている防衛産業関連の特集と相反する部分もありますが、これまで無かった技術は学ぶ、という姿勢は必要でしょう。

Img_4817 写真は89式装甲戦闘車ですが、今回導入されるAAV-7は陸上自衛隊が久々に導入する装軌式装甲車となります。このAAV-7は25名乗りの大型装甲車で陸上を72km/h、そして水上を13km/hで航行出来、島嶼部防衛において占領された我が領域に対し逆上陸任務を行える装備として期待されています。

Dimg_5168 しかし、89式装甲戦闘車は戦闘受領27t、全長6.8m、全幅3.2m、全高2.5mであるのに対し、AAV-7は重量24t、全長7.9m、全幅2.7m、全高3.26mとかなり大きく、原型のとなったLVTP-7は米軍へ1971年に配備開始、正直なところ設計面ではそこまで新しい装備ではありません。

Gimg_2232 AAV-7の導入は防衛用水陸両用装甲車の研究を行った防衛省が国内に技術基盤が無いとして参考品の取得として決定したものですが、米海兵隊では2010年まで、AAV-7の後継として洋上を25ノットで陸上に向かい、安定化された30mm機関砲により高い戦闘能力を有する将来水陸両用装甲車EFVが開発されていました。

Img_8533 EFVは2700馬力級という74式戦車のエンジンの三倍以上の高出力エンジンを搭載し洋上での高い機動力を備えていた野心的な装甲車でしたが、開発費の高騰と、そして取得費用が2000万ドルを超える費用が見込まれたため、米海兵隊ではAAV-7の延命改修を決定、EFVの開発を中止したという経緯があります。

Img_09_84 自衛隊としては、EFVが高速を要求された背景に米海兵隊が構想した水平線越の揚陸作戦、96浬程度の敵地上火力が届きにくい洋上からの揚陸作戦を念頭に性能が設定されており、96浬の行動半径があれば例えば宮古島から尖閣諸島までの展開も可能となるのですから、実用化されていれば興味があったのでしょうが、費用は恐らくUH-60JA多用途ヘリコプター並となったことでしょう。

Img_33_68 高コストから開発中止となったEFVですが、他方で現用のAAV-7についても老朽化は進んでいますので、いずれ後継車両は必要となります。ここで考えるのは、一応日本にも60式装甲車や73式装甲車に89式装甲戦闘車と装軌式装甲車の開発経験はあるため、共同開発としてアメリカのAAV-7後継車を開発できないか、ということ。

Mimg_1508 もしくは、米海兵隊には同じく老朽化が進むLAV-25装甲車があります。水陸両用式で長距離の洋上を機動する事は出来ませんが25mm機関砲を搭載した八輪式装甲車です。自衛隊には同じく八輪式の96式装備車輪装甲車がありますが、LAV-25は車幅は96式と同程度の2.5mで日本の道路事情にも合致するほか、アメリカとしてはC-17輸送機に並列二両を並べることが出来、有用な車両です。

Img_5285 LAV-25とAAV-7,全く経路が異なる車両ではあるのですが、これまで自衛隊が考えてこなかった両用戦任務に対応する装甲車で、日本には技術要素はあるものの、具体的にどのような装甲車として仕上げればよいのか、という経験や研究が無い、というものですので、この分野での日米協力は考えるのではないでしょうか。

Img_4407 LAV-25は、スイスのピラーニャⅠを原型とする装甲車であり、設計は非常に古いのですが、米海兵隊は欧州や米陸軍で過去のものとなりつつある装甲車の浮航能力を海兵隊という上陸任務を担う組織上必須のものとしていまして、これは浮く必要から重装甲を断念し設計されている車両が多いのですが、一方で日本は道路利用の観点から狭隘道路が多い国土を背景に車幅と必然的に装甲厚を犠牲とする装甲車を開発してきました。

Img_5855 実のところ、これは重要でして、世界の装輪装甲車は装甲防御をどんどん重視する設計に転換、ドイツのボクサー装甲車などは正面装甲が30mm機関砲弾に直撃に耐え、フランスのVBCIなど各国の装甲車も25mm機関砲弾に耐える重装甲へと向かっています。こうして必然的に大型化してしまう装甲車が多く、日本の道路には向かない外国製装甲車が増えているのです。海兵隊は前述の理由から大型化できず、揚陸艇や輸送機への搭載から車幅も大きくできない背景があるので、日本が求める大きくない装甲車と重なる要素をもっている、ということ。

Img_8985 AAV-7やその後継車EFVも欧州ではあまり考えられなくなっている上陸戦闘を海兵隊という任務城必要不可欠な装備であるため、米海兵隊としては今後とも何らかの後継車両を模索してゆくこととなるのでしょうが、この点で島嶼部での防衛を安全保障上防衛政策から除外できない日本と重なるところに気づきます。

Img_9912 もちろん、島嶼部防衛は空挺部隊や空中機動部隊によっても達成できる任務が多いのですが、橋頭堡確保には軽歩兵だけの強襲ではなく装甲車両が必要な状況も多々あります。この点から、必要性を異なる背景ではありますがともに有する日米において開発、もしくは技術基盤の共同研究だけでも実施することはできないでしょうか。

Img_5529 特に戦車の技術では駆動系の変速装置や懸架装置等で一応世界的に最先端を往く車両を開発しています。基本的に陸上車両の技術は水陸両用車両にどの程度応用できるかは、また別の話となってしまうかもしれませんが、日米だからこそできる部分、あるようにも考えます。

Img_3840 加えて、これは蛇足で、またその話か、と言われる方もいるでしょうが、南海トラフ地震を筆頭とした津波災害に対し、例えばLAV-25後継車両となるような水陸両用車両が各師団や旅団に一個大隊、可能ならば各普通科連隊の一個中隊に配備されていたならば、大災害という有事に人々を救う重要な装備ともなるでしょう。

北大路機関:はるな

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防衛産業、我が国防衛力を構成する重要要素の将来展望⑮ 日本の新装備は新技術の結晶

2013-02-23 23:31:24 | 国際・政治

◆その都度生まれる一つの流れの結晶体

 防衛産業について、前回は多国間国際分業という視点から切り込み、もう少し考えたいところですが、それはいずれ。今回は海外装備と国産装備の中で国産装備はひとつの潮流にあり、無駄が少ない、というところを少し考えてみましょう。

Iimg_0776 中距離多目的誘導弾、ミリ波レーダーと光学照準器を複合させ、同時多目標に即座に対処可能な新世代の誘導弾です。日本の防衛装備ですが、昨今、中国空軍がSu-34を模倣した新型戦闘爆撃機を開発したとの報道や、Su-30を原型とした新型艦載機の報道がなされる中、確かに華やかではありますが、落ち着いて考えれば新しい技術は何処か、という視点からは形を変えた前世代装備というものばかりです。

Iimg_2281 実のところ、日本の装備は一つの技術的潮流に依拠し、日々開発される新技術は逐次新装備へ反映されてゆきます。一つの技術的潮流とは、我が国の自衛隊が必要とする任務遂行を達成する、日本の戦術と戦略に合致し、最適化された装備の実現に向けた流れということ。

Iimg_1595 もちろん、海外装備を導入しなければ実現できない技術、特に一国で開発したのでは採算性に合わないものがありますが、これらは稼働率向上へ生産基盤を構築し、最小限の数で最大限の能力を発揮できるよう尽力してきたのは過去にも記載しました。他方、例えば戦闘機の電子戦装備など供与されないものもあり、これらは国産装備により置き換えられました。

Iimg_0078 海外装備は安いという視点から導入することの危険性はこの特集で何度も紹介してきていますが、安くとも装備単体は安くとも装備体系で運用する場合は高くつく場合があり、もう一つの視点では、そもそも装備開発は様々な技術を生み出す潮流なのだから、流れがあるにも拘らず他の技術を輸入により取得してしまうと、これを遮る可能性も出てきます。

Iimg_4406 もちろん、技術開発を継続しているのですから、技術開発の費用さえ予算を計上し続ければ途絶えにくい流ではあるのですけれども、予算計上には事業評価があり、海外装備を導入することで日本が開発した技術を装備として評価させられる、いわば具現化できなければ予算が削られるという事を忘れてはなりませんし、これでは開発装備を量産する防衛産業が存続できないことを忘れてはなりません。

Iimg_2948 加えて海外装備を導入する場合、その構成技術のうちどの程度が国産では不可能なのか、というところを厳密に考えねばなりません。技術基盤があっても開発費が少ないため具体化できない分野はあり、これを考えず、構成技術要素が遅れている装備を導入してしまうと、無駄な遠回りをしてしまうでしょう。

Iimg_2072 海外装備では大きすぎる、重すぎる、など使いにくい場合もあり国産化が為されるのですが、同時に戦車では狭隘地形での高機動を担保する電子制御式懸架装置や従来以上に優れた目標自動追尾技術に加え、昨今の潮流である部隊間情報共有技術などが盛り込まれ、日本の地形に合致し相手を圧倒できる戦車へと技術は進んでゆきます。

Iimg_3488 護衛艦についても、従来の広域洋上防空システムが遠距離探知を企図しSバンドレーダーを採用しましたが、Sバンドレーダーは遠距離目標を探知する性能に優れる一方、小型目標や低空目標への対処能力に限界があるため、これを補完するものとして海上自衛隊では従来から開発されているレーダーFCS-2を抜本的に改良したFCS-3としてCバンドレーダーを開発、実用化してきました。

Iimg_1771 海外装備では、特に汎用性を重視しているものが国際市場において大きく評価されています。これら装備の中にはもちろん、その能力の一端が日本の防衛に非常に有意なものもあるのですが、一方で日本の防衛と関係ない能力にも注力されているものが少なからずあり、近年の装備は段階近代化改修によりその都度能力を想定脅威に対応するものが基本ですので、時には日本の求める能力と全く異なる近代化改修であっても、ソフトウェア面であるので費用を支出し、対応しなければならなくなる面も想定しておくべきでしょう。

Iimg_4317 また、各種装備の中には日本が有する戦闘情報システムや情報伝送体系が想定している能力とは異なるものがあり、日本が海外での高い評価を背景に仮に新装備を導入した場合でも、その評価の背景には装備品を支援するシステムと併せた性能があり、そのシステムと日本が有する同様のシステムが異なる運用思想に基づき開発されていたならば、性能を発揮できないか、支援システムを一から調達する必要に見舞われるという事も有り得ます。

Iimg_9032 例えば新哨戒機などは、海上自衛隊の開発した国産機は長大な航続距離を有しつつ、独自の対潜哨戒任務能力を有し、洋上哨戒をも担う機体ですが、海外装備として導入が当時の与党一部から求められた装備は対潜哨戒も可能な一種の警戒管制機であり、無人機との協同が前提となっていたものもありました。

Iimg_2869 日本は一つの潮流に向け技術開発を継続していますが、各技術は流れ作業のように新しい新技術を具体化させる新装備を生みます、いわばこの潮流こそが一種の防衛力や、変な例えではありますが金の卵を産む鶏という役割を担っており、そのなかで開発中の技術を応用すれば、多国間開発の新装備へ資するものも多いことがあります。応用例としては昨今、ミサイル防衛技術やF-35共同生産などがあげられるでしょうか。

Iimg_6146 しかし、見方を変えますと、海外装備をそのまま、特に安いだけ、という理由から導入してしまいますと、この潮流に罅が入ります、金の卵を産む鶏に暇を出すことになるのですから。そして、これまで揃えてきた周辺技術、支援技術が応用できない場合があり、余程注意しないと費用を節約、という方式となならない。

Iimg_9280 国産装備という金の卵を産む鶏に、暇を出してしまいますと、飛ぶ練習を始めどこかに行ってしまいます、技術者が別の技術へと流出すれば戻ることは難しくなり、再度国産装備を産もうとした場合、散ってしまった技術を再度始動させるには時間と費用を要し、時間が掛かりすぎれば従来装備を置き換える上で必要な時間を、つまり耐用年数を迎えて、失ってしまうことにもなり得る。

Iimg_6965_1 日本の新装備は新技術の結晶です。そして新技術は絶え間ない技術開発の潮流に基づくもので、海外装備を導入する場合はこれを遮らないよう細心の注意を怠らず、併せて海外装備を取得する場合には既に日本が潜在的に実用化できる技術を導入すれば同じ技術の上塗りになり無駄となる、防衛産業とともに防衛技術基盤の潮流は評価が充分行われているかを考えつつ、海外装備と国産装備を比較せねばなりません。

北大路機関:はるな

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新田原基地航空祭2011詳報⑧ ファントム飛行隊緊急発進展示と近接航空支援

2013-02-22 23:11:58 | 航空自衛隊 装備名鑑
◆新田原で原子力空母信濃シリーズを思い出しつつ
 今回はファントムの緊急発進展示と共に続いて行われる近接航空支援の様子です。
Nimg_8689_1 緊急発進展示として編隊離陸してゆくファントム。新田原基地といいますと、小説や映画でいろいろと活躍した基地だったりします。映画ですと東宝の“東京湾炎上”、松竹の“宇宙大怪獣ギララ”で、小説ですと“原子力空母信濃”シリーズや“死都日本”というところでしょうか。どれもお勧めの作品です。
Nimg_8697_1 新田原基地が登場する様々な小説と映画の中で、とりわけ印象に残るのは私としては鳴海章氏の人気シリーズ“原子力空母信濃”シリーズです。私が手にした文庫版が出たのが当方中学生の頃でしたか、今話題の中二病ではありませんが、日本がニミッツ級空母を導入したら、と当時心躍らせましたが、面白かった。
Nimg_8712_1 現実の視点に依拠すれば、日本がニミッツ級を自衛隊の戦力として運用するのはほぼ不可能です。ローテーションを考えた場合最低二隻、しかし単一海域以上の任務を考えるならば三隻から四隻が必要になる航空機当社のための航空母艦ですが、乗員が航空機整備要員を併せ5000名にもなる空母を何隻も整備できるものではありません。
Nimg_8721_1 ただ、フィクションと割り切った上で、フィクションならば定期整備中で造船所に入っているときに有事は起きませんので、一隻の空母と共に、という内容は楽しめるものでした。まあ、現実味と言いますと、F-4EJ改の装備では航空母艦から運用はできませんし、E-2Cについても同じことが言え、このあたりを深く掘りすぎるのは無粋というもの。
Nimg_8756_1 原子力空母信濃とは、中曽根政権時代に日本がレーガン政権と1997年に就役するニミッツ級原子力空母を海上自衛隊が導入する密約を交わした、というフィクションで、日本列島不沈空母論とはこのカモフラージュであった、との設定、海上自衛隊は米海軍空母を利用し密かに大量の空母要員を養成、一方、艦載機であるファントムを航空自衛隊から集め、新田原基地へ空母航空団を創設する、というはじまり。
Nimg_8791_1 アメリカから引き渡された新空母は、太平洋戦争で悲運の最期を迎えた巨大空母信濃の名前を冠され、海上自衛隊はヘリコプター護衛艦しらね、イージス艦こんごう、ミサイル護衛艦はたかぜ、ミサイル護衛艦あさかぜ、の四隻を空母の直衛とする信濃艦隊を創設、様々な日本を取り巻く国際関係の激変へ臨む、というもの。
Nimg_8807_1 シリーズは、南シナ海海戦、激突ファントム飛行隊、中米侵攻作戦、最後の出撃、と進んでいきます。対米関係の微妙な変化と日中関係の悪化で、信濃は中国のソ連製大型空母海南龍やアメリカ空母インディペンデンス、カールビンソンと戦いを繰り広げ、イランのペルシャ湾封鎖に出動したり、南米のクーデターによる政府要人と邦人人質事件への対処など、進んでゆきます。
Nimg_8825_1 ファントムは作中で、特にAMRAAMを遠距離から運用する米海軍のF-14や、中国海軍が空母艦載機として運用するSu-27を相手に苦戦する描写が多く、ベテランパイロットや、米空母に対する対処法の研究などでF-15を思いもよらない方法で運用するなど、物凄い損害が出てくるものの何とか乗り切ってゆく、印象的でしたね。
Nimg_8877 原子力空母信濃へは、ファントムがどんどん近代化改修され、火器管制装置を新型とした現実のF-4EJ改よりも高性能を目指した機体が出てきますし、新しくEF-4電子戦戦闘機が出てきます。EF-4はサンダーファントムという名称で、主翼下及び垂直尾翼上に電子戦アンテナを搭載、電子戦機でF-14に挑む姿はEF-18GがF-22に模擬空戦で接近に成功し撃破できた近年の話と繋がるやも。
Nimg_8891 作品はシリーズを通してパイロットの視線が特に多く、日本の原子力空母計画を進めた政治家や空母航空団に空母機動部隊の指揮官からの視点も多いのですが、パイロットこそが主役と言える作品でお互いをタックネームで呼び合い、しかし、運や技術の些細な違いから簡単に命を落とす中、戦い抜いて成長してゆく描写も印象です。
Nimg_8901 艦載機としてハリアーの改良型が三菱重工で開発され、これが搭載されることとなります。ファントムとハリアーにホークアイとシーホーク、という四機種が信濃航空団の編制だったわけですね。そして、鳴海章氏はこの時期、日本の国産戦闘機計画を小説にしていまして、そこで出てくるのもハリアーの改良型だったりする。
Nimg_8909 鳴海章氏が同時期に書いていたゼロ、ハリアーを原型とした純国産戦闘機ゼロをと、中東戦争派遣の経験を持つ自衛隊パイロットを描くシリーズで“ゼロと呼ばれた男”、“ネオゼロ”、“スーパーゼロ”、“ファイナルゼロ”と四作から成るシリーズとを交互に信濃シリーズを読みますと、現実味というよりは海洋冒険小説を一歩進めた作品と出合ったような感慨に浸れます。
Nimg_8912 信濃シリーズでは、ファントムとともに活躍するハリアーが、信濃に続いて日本が独自に建造する小型空母二隻に搭載する将来計画が、“最後の出撃”作品中に語られますので、そちらのほうも独立した作品として発表されるのかな、と期待していたのですが、そういった流れにはなっていません。
Nimg_8913 さてさて、先ほど、日本には正規空母は、という文脈で一節記しましたが、例えば我が国が今後、空母艦載機による戦力投射を行うことが求められるような政治体制、例えば脱原子力を強行し、世界の資源地域の平和と安定に責任ある行動、つまり平和維持のために自衛隊が想定する以上の地域へ航空打撃力を展開させなければならない政策を摂るならば話は別です。
Nimg_8917 航空母艦は自己完結した兵器システム、もしくは戦略投射基盤としての地位を有するのですから、例えば現在建造中の22DDHに対し、F-35Bを搭載し、航空打撃へ、もしくはイージス艦では対処の限界となるような地域での艦隊運用を考える場合には、日本の航空母艦、としてヘリコプター搭載護衛艦を航空母艦として運用する必要は出てくるやもしれません、新田原のファントムを見上げつつ、そんなことを考えていました。
北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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平成二十四年度二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2013.02.23・24)

2013-02-21 23:30:24 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 今冬最強の寒波と呼ばれる数々の寒波を越える寒波が列島に迫る最中、皆様如何お過ごしでしょうか。

Gimg_5125 今週末の自衛隊関連行事ですが兵庫県にてミサイル艇うみたか、一般公開が行われます。海上自衛隊HPによれば兵庫地方協力本部の実施行事として哨戒されていまして、一般公開は兵庫県豊岡市の津居山港小島岸壁でミサイル艇うみたか、が24日日曜日に一般公開されるとのこと。

Gimg_4699 はやぶさ型ミサイル艇うみたか、は満載排水量240tと小型ですが強力な艦対艦ミサイルにより大型艦に対抗し得、高速を以て敵工作船の制圧にも活躍します、が、なにぶん一般公開は兵庫県の日本海側にあたる豊岡市、積雪時などは一般公開が中止となる可能性がありますので下記HPよりご確認ください。

Gimg_4419 海上自衛隊基地一般公開ですが、呉基地では24日日曜日に基地一般公開が行われるものの、毎週行われている艦艇一般公開は今回行われません。江田島に渡れば、幹部候補生学校卒業式準備の艦艇などが時期的に見れるやもしれませんが、確証はありませんので足を運ばれた方など情報を頂けると嬉しいです。

Gimg_5245 佐世保基地倉島桟橋一般公開は、23日の一般公開が中止となっており、24日の一般公開は多用途支援艦あまくさ一般公開が行われます。舞鶴基地北吸桟橋の一般公開は今週も行われません。ただ、いよいよ来週からは舞鶴基地北吸桟橋の一般公開が再開となる模様です。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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日米共同訓練鉄拳作戦(アイアンフィスト) 米西海岸海兵隊施設へ280名派遣

2013-02-20 23:22:32 | 防衛・安全保障

◆日米での離島奪還実動訓練も実施

 日米共同訓練鉄拳演習が1月15日から明日2月22日まで行われていますが、なかなか内容の濃い訓練だったようです。

Mimg_0092 今回派遣されたのは西部方面隊直轄部隊として相浦駐屯地へ駐屯している西部方面普通科連隊で、西部方面総監宮下寿広陸将と米海兵隊第一海兵遠征軍副司令官スピアーズ少将が訓練担当官として参加しました。海兵遠征軍とは、海兵師団と海兵航空団及び兵站部隊から編制される自己完結型の部隊で、日本には第3海兵遠征軍が置かれているのですが、米本土の海兵遠征軍は戦車や火砲を完全充足した編制です。自衛隊からは280名が派遣、これは過去最大規模の参加となりました。

Aimg_7590 西部方面隊は九州及び沖縄を防衛警備管区とし、福岡第4師団、北熊本第8師団、那覇第15旅団、第2高射特科団、第5施設団、第3教育団、西部方面後方支援隊、西部方面航空隊、西部方面普通科連隊などから編制され、人員規模は25000名程度です。第1海兵遠征軍は、第1海兵師団、第3海兵航空団、第1海兵兵站群、第1海兵遠征旅団、第11海兵遠征隊、第13海兵遠征隊、第15海兵遠征隊と指揮部隊を以て編制され、人員規模は84000名に達する部隊です。

Cimg_6383 演習の訓練部隊指揮官は日本側が西部方面普通科連隊長國井松司1佐、アメリカ側が第13海兵遠征隊長テイラー大佐です。演習に参加した西部方面普通科連隊は西部方面直轄部隊として2002年に新編され、本部管理中隊と三個中隊を基幹とする、旅団普通科連隊のような編制となっており、現在の連隊長國井松司1佐は空挺団出身、南西諸島や五島列島に対馬と島嶼部防衛を任務とする西部方面隊の任務を反映し、西部方面航空隊のヘリコプター部隊と協同する空中機動能力を重視した訓練で知られており、第一空挺団や中央即応連隊と並び自衛隊を代表する精鋭部隊の一つ。

Img_1530 第13海兵遠征隊は、海兵大隊と航空部隊及びその支援部隊を基幹とする緊急展開部隊で、約2200名を以て編成、歩兵大隊は水陸両用装甲中隊と複合強襲艇中隊に空中機動中隊を基幹とし、ここに対戦車ミサイルと迫撃砲を運用する火力中隊が付き、M-198野砲を運用する砲兵中隊、LAV-25を運用する軽装甲偵察中隊、M-1A1戦車を有する戦車小隊、工兵小隊等の1200名を以て陸上戦闘部隊を構成、CH-53重輸送ヘリコプター、MV-22中型可動翼機、UH-1Y多用途ヘリコプター、AH-1Z攻撃ヘリコプター、AV-8攻撃機を有する航空戦闘部隊と支援部隊を以て遠征隊を構成しています。

Img_1624 演習は前段と後段に分けられ、前段演習では機能別訓練として水泳斥候や水路進入訓練、海上航法訓練、エアクッション揚陸艇を用いての車両搭載訓練、上陸訓練、ヘリキャスト訓練、戦闘射撃訓練などが実施されています。この機能別訓練は各種戦闘行動の構成要素を一つ一つ技術的に練成する訓練で、これら訓練を元に機能別訓練を統合した総合訓練の形で後段がおこなわれる、というかたち。西海岸の海兵隊キャンプペンドルトン北東150kmにある海兵隊29パームス訓練施設が用いられました。

Img_0392 29パームスの地形は砂漠地形とのことで、この地形の下で日米共同での戦闘射撃訓練や迫撃砲による空中からの目標誘導等が実施され、機動訓練には米海兵隊がCH-46の後継として後半に配備を行っているMV-22による陸上自衛隊の部隊展開も演練されたとのことです。併せて指揮所訓練が日米共同で行われ、ここでは日米の幕僚が協力して訓練計画を作成し、日米間の連携行動を前提とした指揮官同士の協同なども訓練の一環としておこなわれたとのこと。

Img_1431f 実動訓練としてキャンプペンドルトン沖合120kmの無人島サンクレメンテ島を演習地として、敵が上陸し占領した離島を奪還するとの想定に立ち、主として空中機動により上陸を実施し、島嶼部での戦闘訓練及び地域確保を演練したとのことです。訓練には強襲揚陸艦ペリリューが支援に当たったとのことで、将来的には陸上自衛隊の輸送手段について、海上自衛隊の輸送艦に求める輸送能力をどう考えるのか、これは予算面から政治の理解と決定を要するのですが、考える時期となっているのかもしれません。

Gimg_1048 陸上自衛隊は戦車の数や全体の人員規模と比較した場合に装甲車の数が少ないことから装備が不足し不十分と誤解されがちですが、一機で3個中隊分の装甲車の調達費用に匹敵する攻撃ヘリコプターや重輸送ヘリコプターに分類される航空機の保有数では世界の陸軍の中でも非常におおきな規模を誇り、また地形上の利点を生かすべく普通科部隊を重視した編制をとってきましたので、練度の面では決して世界の第一線部隊から後れを取っていません。

Gimg_5548 こうした陸軍機構を支える基本能力に加え、戦術の重視、隊員個々人には射撃と銃剣格闘といった能力を重視し、特に隊員の平均年齢の高さが諸外国と比較し高いことが指摘される反面、隊員個々人の学歴が充実しているため、難しい戦術や新装備への慣れも早く、米側訓練部隊指揮官テイラー大佐は朝雲新聞社の行った記者会見において難しい水陸両用の戦術を一気に吸収したことについて、非常に驚いている、と賞賛しました。もちろん記者会見ですので言葉は選んでいるのでしょうが、自衛隊の能力の高さが役立ったといえるでしょう。

Img_1356 対して、朝雲新聞社の記者会見を見ますと、國井連隊長による今回の問題点として、第一にやはり隊員個々人の英語力と、指揮官の指揮命令に関する専門英語力がまだまだ不足しており、戦術用語と軍事用語面での英語において本質的な理解が日本語の専門用語と異なることから、意味合いが離れてゆくことがあったとのこと。そして、自衛隊には陸海空の統一通信システムが未整備であるため、上陸任務は文字通り統合運用となることを背景に課題は多い、と問題点を提示しています。

Img_1345 海兵隊は、日本でいう普通科連隊戦闘団と海兵遠征隊の規模が同程度であるのですが、日本側が重火力として戦車中隊や特科大隊を配置しているのに対し、海兵隊では戦車小隊と砲兵中隊により地上火力を最小限とし、その分、陸上自衛隊が運用していない攻撃機などの空中打撃力にかなりの火力の重点を置いています。また、人員規模に対しての戦闘要員比率を抑えた遠征重視の編制に対し、自衛隊は専守防衛のため、戦闘要員重視の編制を採ってきている点は考慮すべきでしょう。

Bimg_3936 また、陸上自衛隊は世界的に見て非常に高度な多層野戦防空能力を有し、50km前後の中距離と20km前後の短距離に10km以下の近距離と5km前後の自隊防空というような独自の非常に高い野戦能力を、質と量の面で整備してきていますが、米海兵隊では基本的に米空軍及び海軍空母航空団の航空優勢確保に自信があり、併せて沿岸部の戦術防空はイージス艦の支援が期待できるため、陸軍防空砲兵や海兵隊の野戦防空能力は高くありません。

Aimg_9773 したがって、海兵隊方式がそのまま日本に導入できる訳ではありませんし、運用方式などは戦車や火砲に中距離地対空誘導弾などの重装備を輸送させるには輸送艦を充実させる必要があるのですが、普通科部隊を輸送する場合、島嶼部防衛一つをとっても離島ごとに距離が大きくはなく、多用途ヘリコプターにより機動が可能という面がありますので、これらの運用体系をどう考えるか、というところも、部隊編制やヘリコプターの調達面なども含め考えるべきでしょう。

Gimg_8624_1 なお、今回の訓練へは佐世保地方隊や西部航空方面隊や南西方面航空混成団からも数名ですが隊員が参加したとのことです。いまや護衛艦では横須賀基地よりも佐世保基地を母港とする艦の方が多く、護衛艦基地としては佐世保基地は海上自衛隊最大の規模を有しています。航空自衛隊も南西方面航空混成団の二個飛行隊化が現防衛大綱に画定されていますので、連携という視点や統合運用という視点から、更に協力を進めてゆかねばなりません。

Img_7088 他方、我が国の場合、北方からの脅威も最盛期と比較すれば減退したとはいえるのですが、将来的に脅威が増大する可能性はあり、戦車部隊や自走榴弾砲といった重装備の重要性も低くはありません。こうしたことを踏まえたうえでも、財政的に我が国には決して余裕はなく、防衛費にも上限がある実じょうに鑑みれば、防衛政策は綱渡りであっても長期的視野に依拠した着実な防衛力整備と、訓練体系の構築、指揮官の練成が必要となってゆくでしょう。

北大路機関:はるな

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BMD(弾道ミサイル防衛)特別訓練 横須賀基地にて自衛艦隊・米第七艦隊が実施

2013-02-19 22:10:46 | 防衛・安全保障

◆今回が三回目となる日米のミサイル防衛特別訓練

 防衛省によれば、2月25日から28日まで、横須賀基地においてBMD特別訓練が実施されるとのことです。

Img_8445 BMD特別訓練は、短時間の間に長距離を飛来する弾道ミサイル防衛に必要な瞬時の情報共有及び即座の判断といった弾道ミサイル対処に関する戦術技術向上及び、協同する日米の部隊間における戦術連携要領の演練を目的として日米間で実施されてきたもので、今回のBMD特別訓練をもって三回目を迎えることとなりました。

Bimg_4088 日米の訓練統裁官は、海上自衛隊が自衛艦隊司令官松下泰士海将、アメリカ側の訓練統裁官が第七艦隊司令官スコットHスウィフト中将で、訓練は横須賀基地にて行われます。同じ期間中には自衛隊統合演習指揮所演習が実施されており、演習に合わせて、と考えることが出来るやもしれません。

Img_6918_1 参加部隊は、海上自衛隊からは自衛艦隊司令部、護衛艦みょうこう、護衛艦こんごう。米海軍からは第七艦隊司令部、第七艦隊所属艦艇、とのこと。司令部が得たミサイル情報を、洋上にて迎撃を行うイージス艦との間で素早く共有し、迎撃担当艦を決定し、即座に対処する、というような演習が考えられるでしょう。

Img_6592 弾道ミサイル迎撃と言いますと、洋上を往くイージス艦の垂直発射装置からSM-3ミサイルが点へ火柱を挙げて上昇してゆく様子を髣髴させるのですが、訓練に必要な議事弾道ミサイルを日本は保有していませんので、今回は実施されないでしょうが、実質的には発射までの手順を如何に短縮するかが重要、ということ。

Img_3528 特に昨今、北朝鮮の弾道ミサイルへ核弾頭が搭載される懸念が高まっています。いっそ日本も核武装を行い核不拡散秩序を破たんさせてしまおう、という提案はこの北大路機関へのコメントでも寄せられましたが、それは韓国の核武装を推奨することともなり、核戦争の危険を現実とさせるのみです。それよりはミサイル防衛を充実させることが日本国家の今後を左右するといっても過言ではありません。

北大路機関:はるな

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