北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成25年度自衛隊統合演習、島嶼部防衛主眼で明日から九州沖縄を中心に開始

2013-10-31 23:40:14 | 防衛・安全保障

◆島嶼部防衛・統合輸送・陸海空作戦を演練

 明日11月1日より九州沖縄を中心とした自衛隊統合演習が開始されます。
Bimg_2262 今年度の自衛隊統合演習は昨年度と同じく島嶼部防衛に主眼が置かれ、我が国離島に対する軍事的圧力が増大したとの想定の下で自衛隊が長距離を機動展開し、防衛体制を固めると共に、着上陸事案の発生を受け統合運用の下、その周辺空海域での優勢を確保すると共に陸上部隊を展開させ、奪還する、というもの。
Bimg_0814 演習参加部隊は報道などによれば3万4000名規模とされ、第2師団より戦車部隊が九州に展開している北部方面隊及び東北方面隊が展開する協同転地演習や東北方面隊実動演習に九州で実施されている西部方面隊実動演習などもこの一環として行われるもよう。
Bimg_1326 統合輸送と島嶼部防衛に陸海空の各種訓練が実施され、この関係上、千歳基地や百里基地など自衛隊統合演習と関係した航空機の発着などが行われるほか、基地防衛訓練なども重ねて行われ、早朝夜間など通常では飛行しない時間帯や土曜日などでも訓練飛行が実施されます。
Bimg_1502 航空優勢確保に関する訓練の一環として南西諸島周辺以外の空域でも航空部隊が活発に行動を展開しますが、これは南西方面への航空部隊の増援を念頭に置き実施されるもので、加えて陸上部隊や航空部隊の作戦能力維持に必要な物資輸送などの訓練も統合輸送訓練として実施されます。
Bimg_8996 また島嶼部防衛訓練の一環として南西諸島沖縄県の宮古島及び石垣島に対し射程180kmの88式地対艦誘導弾を運用する地対艦ミサイル連隊を展開させる実動訓練も計画されており、現在最も軍事的圧力を受けている先島諸島及び尖閣諸島に対する実動訓練は、大きな抑止力となるでしょう。
Bimg_7097 特にこの地域に対しては、北朝鮮弾頭ミサイル事案に際する航空自衛隊高射隊を中心とした迎撃部隊等、統合任務部隊として沖縄救援隊の編成と展開が実際に行われており、南西諸島への軍事的圧力が実際に切迫した際には、地対艦ミサイル連隊は着上陸阻止の重要な部隊となります。
Bimg_9875 展開する地対艦ミサイル連隊は北部方面隊隷下の第1特科団か、西部方面特科隊か、公表はされていませんが、仮に前者であれば併せて洋上の艦艇間通信などの情報を集積し見通し線外の水上目標群位置情報を観測する第1電子隊の展開が行われ、このほか西部方面特科隊であれば無人偵察機が装備されており、投入されるかもしれません。
Bimg_2190 加えて1999年の硫黄島三自衛隊統合演習以来の規模となる統合輸送訓練が沖縄本島南東420kmの太平洋上に浮かぶ沖大東島において実施され、航空自衛隊による航空打撃戦と護衛艦などによる艦砲射撃、海上自衛隊の支援を受けての陸上部隊揚陸等を行う、とのこと。
Bimg_5062 揚陸部隊の規模は、現在のところ公表されておりませんが、普通科部隊による水路進入と沿岸情報収集、航空攻撃と艦砲射撃、輸送艦によるエアクッション揚陸艇による揚陸と護衛艦及び輸送艦からのヘリコプターによる空中機動などが展開され、沿岸部の確保と高射特科部隊の展開などがおこなわれるのでしょう。
Bimg_0500 沖大東島は戦前に台風観測を目的とした気象台があり、大戦中には航空攻撃により地上施設のほぼすべてを破壊されていますが、戦後は今日に至るまで米軍射爆場として用いられている無人島で、70年代までは硝石鉱山としても利用されていました。
Bimg_7977 防衛省では来年度予算に島嶼部防衛部隊として水陸両用団の陸上自衛隊への創設を盛り込んでおり、今年米本土西海岸で実施された日米合同実動演習での上陸訓練などの訓練が今回の訓練を元に研究され、水陸両用団の将来編成にも少なくない影響を与えるかもしれません。
Bimg_3188 一方、中国海軍は10月24日より北海艦隊と東海艦隊に南海艦隊の稼働艦を全て集めたとされる十数隻の艦艇を用いての訓練をフィリピン北方から台湾東方海域において実施すると発表し、沖縄本島と宮古島の中間海域での艦隊航行が活性化し、自衛隊は警戒を強化していました。
Bimg_6028 中国海軍がフィリピン北方海域から台湾東方海域にかけての太平洋上での大規模演習を行う意図は不明確ですが、これが台風27号と台風28号の発生により制限されていたことから期間が延伸し、自衛隊統合演習の実施海空域と重複する可能性が考えられましたが、中国海軍が演習期間を短縮したため双方の部隊が洋上で対峙する状況は回避されましたもよう。
Bimg_7393 他方、中国海軍の太平洋上での活動と我が国周辺海域での行動は年々活性化しており、着上陸準備の兆候を掴みにくくなるため、我が国としては情報収集を綿密に行うと共に、抑止力を構築し維持し続けなければならず、自衛隊統合演習はその大きな一要素となるでしょう。

北大路機関:はるな

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江田島第62期一般幹部候補生・第64期飛行幹部候補生課程修了式詳報⑤ 総員乗込み

2013-10-30 23:06:56 | 海上自衛隊 催事

◆候補課程修了者、修了証書と共に艦隊へ

 練習艦隊及び練習航海参加護衛艦の機関が始動し始め、いよいよ出港は間近となりました。

Img_0309 江田島第62期一般幹部候補生・第64期飛行幹部候補生課程修了式が完了し、いよいよ候補生たちが新任幹部として第一歩を、その大海原に向け歩み始めるべく交通船に乗船を開始しました。江田島基地の桟橋は呉基地のように大型の護衛艦が多数停泊することはできません、したがって交通船にて乗込むことに。

Eimg_0294 ヘリコプター搭載護衛艦くらま、外洋練習航海部隊として参加です。近海練習航海部隊へ練習艦及び護衛艦が併せて3隻、外洋練習航海へ護衛艦2隻、江田島の湾内に停泊する五隻の自衛艦へ、これからの乗り組みが開始されるため、上甲板は俄にあわただしくなってきました。

Eimg_0310 乗込みには交通船から機動船、曳船まで多種多様な支援船が支援に当たります。この中で珍しいのは機動船4017号型、中央に写っている船体が大きく曲がりこんでいる一隻が機動船4017号で、速力10ノット、基準排水量16t、第三種支援船の一隻として1985年に建造、江田島基地に配備され、同型船は無し。

Eimg_0311 右側を行くのは交通船1029号型で、5隻が建造、基準排水量11tで速力18ノットを発揮、よく似た交通船2123型とは窓の数が異なる。左側を高速で進む一隻は機動船4025号型、速力30ノットを発揮し日産自動車により1996年より3隻が建造されています。

Eimg_0315 交通船は沖留の艦艇や基地内での人員移動、もしくは物資移動に際し、支援船として用いるもので写真の1029号型は前部と後部にキャビンを有し、中央部に操舵室を配置しています。艦艇一般公開とは対照的に中々一般公開されないのが、この種の支援船ですが、基地開放では稀に見る事も出来るようです。

Img_03160 このほか、交通船には揚陸艇型のものもあり、基地での小型車両の輸送や車載のままでの物資輸送にも活躍します。海軍を扱った戦争映画などでは旧海軍の内火艇役でそのまま海上自衛隊の交通船が出ていることもあります、長魚雷を搭載していた護衛艦が現役の頃は護衛艦が旧海軍の駆逐艦役で出ていることもありました。

Eimg_0313 湾内で一斉に各種支援船が動き始めました。そして出港見送りに各種航空機が接近しつつあるようで、多くのエンジン音が撮影している此処まで響いてきます。各種支援船は練習艦や護衛艦まで距離がありますが、行事は分刻みで予定されているため、時刻通りに輸送を行わなければなりません。

Eimg_0326 練習艦かしま、にもタラップが降ろされ、候補生課程修了者乗込み準備が進んでいます。横付けしているのは曳船60号型、海上自衛隊最小のタグボートに当たり、基準排水量35tです。さすがに沖留の、かしま出港支援とは考えられませんので、こちらも候補生の輸送支援に展開しているのでしょうか。

Eimg_0327 輸送を終えた交通船、機動船、清掃船などが練習艦から離れてゆきます。今回の終了式のために近傍の呉基地や岩国航空基地などから展開した支援船も相当数あるのでしょう、そして背景の山の稜線付近には先ほどからのエンジン音の重なりの正体、見送りのために展開する航空部隊の編隊が見え始めてきたところ。

Eimg_0329 清掃船1号、かしまタラップに近づく一隻はYS-1というものです。珍しい、岩国航空基地に配備され飛行艇の支援などを行うもので、基準排水量80t、速力9ノットで同型船は無くこの一隻のみ。右端もう一隻は曳船75号型、所謂タグボートですが基準排水量は50t、海上自衛隊の曳船では比較的小型のものです。

Img_0338 良く見ますと、曳船にも候補生課程修了者がしっかりと整列して乗艦を待っています。江田島湾は大きな波浪が起こりにくい地形であるため、船伝いに練習艦へと乗艦するのですが、交通船ではなく、曳船で江田島基地を出て清掃船経由で練習艦へ、なにやら文字にしてみますと不思議な印象ですね。

Eimg_0336 ちなみに当方は、輸送人員が百名単位ですので交通船2121型のような揚陸艇型の交通船で一斉に運ぶ、という印象を持っていたのですが、違ったようでした。他方、中々他では見られないような機動船に清掃船を観ることが出来た、というのは少々嬉しい誤算かもしれません。

Eimg_0339 ヘリコプターの編隊はSH-60J哨戒ヘリコプターでした。練習艦隊の近海練習航海部隊と外洋練習航海部隊の出航ということで何の予備知識もなく、時間表のみを頼りに地図から撮影位置を推測して展開したのですが、航空部隊の見送りがる、というのは恥ずかしながらこの時初めて知りました。

Eimg_0342 そして航空部隊は意外と多くの航空機が見送りに参加します。全国の既往先で近海練習航海部隊の入港を撮影しましたが、それとは異なる出港、候補生課程修了者の門出を空から祝うのですから、そういうものなのかもしれませんが、その様子、海上自衛隊航空部隊の精鋭などの雄姿は次回お伝えすることとしましょう。

北大路機関:はるな

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榛名防衛備忘録:無人汎用車へ特科観測、重要施設及び災害巡回任務付与は不可能か

2013-10-29 22:03:49 | 先端軍事テクノロジー

◆我が国が最先端且つ出遅れていない分野
 無人機と自衛隊の関係で、先日観測ヘリコプターと無人機についての話題を紹介した際の備忘録も含めて。 
Img_3978 東日本大震災、その原子力災害における避難区域において窃盗事件が多発した旨を記憶していたのと、昨年度の防衛省技術研究本部研究発表会に無人走行可能なジムニーが展示されていたと聞き、自衛隊がこの種の車両を無人哨戒車両として、もちろん警察でもいいのですが、大量に運用していたならば、この種の被害は防げたのではないか、と、ふたつの出来事を重ねて考えたことがあります。
Dimg_6430 昨今、特にトヨタ自動車やグーグルなどが自動運転車両の技術実証車を相次ぎ試験走行に供しています。この技術は、現段階では技術的に整備中の分野であり、加えて事故発生時の責任の所在が、運転者を自動運転としていることで、管理者である所有者に及ぶのか、メーカーの制御システムに責任があるのか、道路行政の欠陥を指摘するのかが不明確であるため、普及にはまだ少し時間を要する分野ではあるようですけれども。
Oimg_5034 さて、無人車両ですが、技術研究本部が研究試作した無人ジムニーは、必要な地域までは隊員が乗車し自走させること、もしくは軽量な車両ですので、輸送車両や航空機でも一度に大量を輸送することが出来ますし、例えば平時の公道上でも、連結技術などを開発すれば、一名の運転者により複数の車両を連結し、走行することが可能となります。そして有事の際にも、様々な用途があることは確かでしょう。
Gimg_0297 無人ジムニー、軽オフロード車の傑作で、自衛隊の業務車両として一部が採用されるほか、メーカーであるスズキ自動車が一大拠点を構築したインドではインド軍が少ない搭載量の中で、携帯式対戦車ミサイルの自走発射装置や携帯無反動砲の機動車両として重宝しており、この汎用車両に遠隔管制装置を取り付けただけ、という、技術試作ではありますが、そのまま汎用車両用管制装置として部隊使用許可を申請できるほどのものとして完成していました。
Fimg_6540 無人車両は、武力攻撃事態に際しては、哨戒任務、特に後方でのゲリラコマンドーに対する警戒や、航空基地にレーダーサイト、弾薬補給処や艦船基地などの重要施設でありつつ、警備要員に限界がある防衛施設を哨戒することが出来るほか、輸送部隊の前衛として後方からの兵站部隊の露払い、彼我混交の競合区域第一線への弾薬や水に食料などの強行輸送、緊急時の負傷者後方搬送など、まあ挙げてみるだけで切が無いほどに用途は幅広い。
Kimg_0478 国際平和維持活動に際しても、宿営地付近の機動巡察、輸送コンボイの簡易爆発物IEDに対する先導囮車両、待ち伏せ攻撃を受けた際の盾、等など用途は広いですし、平時に国内では演習場の機動巡察、これは特にオフロード車ユーザーの演習地区不法侵入に対する警戒任務にも運用可能です。また、非常に稀有な事例ですが、原子力災害被災地への巡回、火山災害住民退避区域への巡回、治安出動ではありませんので防犯巡回とは言えず、阪神大震災のように民心安定協力、としなければなりませんが、用途は広いわけです。
Img_05_33 また、先日紹介した、観測ヘリコプターと無人機の関係で指摘した、無人機よりも無人観測車の方が現実的、という部分で、無人機は滞空型無人機や航続距離の大きな無人機の機体規模は大きいため墜落すれば、場所によっては無視できない被害が出ると共に、法律上の制約が大きく、特に航空法上の位置づけが不明確であると共に、市街地などを任務区域として飛行する機会が多い自衛隊にとり、まだまだ事故発生率は、アフガニスタンでのISAF派遣部隊での実運用などを踏まえれば看過できる水準ではありません。
Hbimg_1256 対して、無人車両であれば、軽量ですので多用途ヘリコプターでの空輸も機種によては可能ですし、輸送ヘリコプターでは多数を同時に空輸可能です。有人ヘリコプターを無人飛行できる構造として、必要に応じ無人運用する構造の機体を開発したとしても、飛行中に乗り捨てて落下傘降下することは不可能ですが、無人車両であれば、市街地などを有人走行し、演習場や有事の際の競合地域へ隣接する地域に進入する際に乗り捨てて、複数台分の操作人員のみを高機動車で回収することも可能です。
Img_3360 特科火砲の前進観測は、伸縮式センサーを無人車両に搭載し、複数の車両を多くの山頂部などの観測点に展開し、無人観測網を構築すれば、無人機ほど現行法に差障らない範囲で、有効な、そして長期間運用可能な特科火砲の前進観測網を構築可能です。平時の駐屯地からの演習場までの進出も、有事の際の運用も弊害が少なく、連結輸送を行うことで運用人員は最小限とできるほか、遠隔操作人員が平時の路上機動時に牽引輸送を行う、という方式も考えられるでしょう。
Nimg_2272 海外では、米軍やイスラエル軍を中心に打撃力を有する車両を開発していますが、技術面でこの種の能力を付与させるかは判断が時期尚早であるものの、巡回と監視と先導に用いることが出来る無人車両の価値、というものは防衛上利点が大きく、加えて災害時にも巡回車両に用いることが出来ます。もちろん、非装甲車ですので、機銃掃射や対戦車火器により簡単に破壊されてしまいますが、有人車に不可能な任務が遂行でき、原子力災害はもちろん、火砕流やラハールの危険がある地域では有人巡回が危険であり難しいですが、無人車両ならば運用が可能、逃げ遅れた被災者を同乗させ退避することも可能で、用途は広いことだけは確かです。

北大路機関:はるな

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第3000号記事:平成25年度築城基地航空祭(2013.10.27) PowerShotG-12撮影速報

2013-10-28 23:55:34 | 航空自衛隊 装備名鑑

◆北大路機関第3000号記事

 北大路機関3000号の記事は、日曜日に撮影しました築城基地航空祭の速報記事を紹介しましょう。

Dtimg_9243 今回の記事は第3000号記事、2005年7月29日の第1号記事掲載以来、今回で3000回目の記事作成となりました。この節目となる記事が九州での航空祭の記事、2999号記事が神戸での護衛艦くらま夜景、その前が700万アクセス記念記事、ここ数日間は北大路機関の節目となる日々です、今後ともよろしく。

Dtimg_9246 さて、日曜日、福岡県の築城基地にて行われた航空祭へ行ってまいりました。築城基地には第8航空団が展開、F-15戦闘機を運用する第304飛行隊とF-2支援戦闘機を運用する第6飛行隊が隷下にあり、戦闘機と支援戦闘機を各一個飛行隊有する航空自衛隊唯一の混成航空団です。

Img_9538 航空祭は色々とまわりましたが、当方にとり実戦部隊のF-2配備基地へ展開するのは今回が初めて、観艦式と富士総合火力演習以外で実戦部隊のF-2支援戦闘機が編隊飛行しているのを撮影するのも今回が初めてです。個人的にF-2は好きな機体なのですが、配備されている実戦部隊は三沢基地と築城基地、なかなか行き難いという印象もありましたが、今回初めて展開してみた、というわけ。

Dtimg_9247 第8航空団は同じ福岡県の芦屋基地にて1957年、草創期の航空自衛隊における防衛力整備計画の一環として創設された臨時築城派遣隊が第16飛行教育団、臨時築城航空隊等を経て1964年に第8航空団へ拡大改編され誕生しました。創設当時は第6飛行隊、第10飛行隊を以て編成され、共にF-86F戦闘機を運用していました。

Dtimg_9309 築城基地そのものは1942年に海軍築城飛行場として創設された航空基地であり、海軍航空隊の基地の多くの基地と共通し周防灘、海に面しています。なお、海に面した基地ですが周防灘は九州の国東半島と四国の佐多岬半島により太平洋から守られ、津波に対しては一定の安全性を確保しているもよう。

Dtimg_9252 この築城基地は第二次大戦中、艦上戦闘機である零戦や陸上攻撃機銀河の基地として活躍したのち、戦後は米軍に接収されましたが、1955年には創設間もない航空自衛隊に返還され、我が国初の実用ジェット戦闘機操縦教育課程を開始、ジェット戦闘機部隊発祥の地としても知られている、とのこと。

Dtimg_9541 航空祭ですが、福岡市から特急ソニックで一時間少々の距離にあり、加えて山陽新幹線小倉駅からも30分と少しという立地にあるほか、JR九州は特急の臨時停車や普通列車臨時増発、航空祭割引往復切符など全力で輸送を支援するため、開門から飛行展示までの間に多くの来場者が集まります。

Dtimg_9543 基地で開放される入口は一か所のみであるため、帰りの駅までの経路はかなり混雑し、このため駅での入場制限を緩和するべく、基地からの出場制限が行われます。このため、混雑を最小限とするべく、一度の多くが帰らないように航空祭のプログラムへ様々な工夫も行われていました。

Dtimg_9343 さて、航空祭ですが当方は運よく最前列を確保することが出来ました。G-12での撮影は、G-12を携帯小型三脚にて地上設置し、レリーズで一眼列の撮影と共に同時操作します。機動飛行など同時操作で追随できる訳が無いので、地上の誘導路を進む機体しか撮影できないため、この撮影位置確保はかなり大切です。

Dtimg_9383 芦屋基地からT-4の編隊が飛来、編隊を組みかえ航過飛行を展示です。芦屋基地は前述の通り築城基地の生みの親というべき基地ですが、こちらの航空祭は11月17日におこなわれます。しかし、芦屋というと、どうしても阪急沿線を思い出してしまうのですよね。なお、この芦屋レッドと呼ばれる塗装の四機編隊を観たのは今回が初めてかもしれません。

Dtimg_9500 第8航空団の飛行展示は、編隊飛行、模擬対地攻撃、模擬緊急発進、機動飛行などなど、盛り沢山でしたが、こちらはEOS-7DとEOS-50Dの独壇場、G-12は機動飛行の撮影に同時撮影では追随不能です。一部、ストロボ装着部分に搭載する器具があるようですが、それではちょっと。

Dtimg_9476 そんなわけで、新田原基地第5航空団の第301飛行隊40周年記念塗装機の機動飛行は、一眼レフではF-4凄い、F-4頑張る、と唸らせるような理想的な写真に仕上がりましたが、G-12ですと、高速飛行にシャッター速度の自動設定が対応しきれず、せっかくの一コマもこんな感じの仕上がり。

Img_9528 さて、前述の通り初の実戦部隊F-2飛行隊の基地へ展開したわけですが、この第6飛行隊は今年度三年ぶりに実施された航空総隊戦技競技会F-2部門で見事優勝、気合を入れて第6戦術戦闘飛行隊の表札が掲げられ、日本最強F-2飛行隊の表示がありました。対地攻撃展示では爆発も再現されるほどの凝りよう。

Dtimg_9545 その航空祭は見事なまでの快晴、聞けば戦闘機部隊の基地は本年、千歳基地航空祭を除けば百里航空祭と三沢航空祭は豪雨で多くの飛行展示が中止となり、特に百里航空祭では救難飛行展示以外ほとんど飛べなかったのだとか、小松航空祭も晴天とは言い難く、青空が欲しかった、とは足を運ばれた方から築城で聞いた御話し。

Dtimg_9608 二つの台風接近、しかも巨大な台風が列島に大きく折り返し低速で接近した際には少々航空祭はもちろん、その被害へ不安を感じましたが、台風27号は太平洋上を往く台風28号に勢力を奪われ、そして列島直撃を回避し洋上に転進、航空祭当日は台風一過を絵に書いたような快晴、ブルーインパルスも冴えていました。

Dtimg_9487 築城航空祭は前述の出場時、帰路の混雑を避けるべく、ブルーインパルスが飛行展示を行ったのちに第8航空団がF-2とF-15の飛行展示を実施、実はブルーインパルスが航空祭の〆という展示内容では、ブルーインパルス飛行前に基地を出て外から撮影するのですが、そののち展示があるならば、と基地に残る方も多く、実は混雑緩和にならなかったのかな、と思ったりもしましたが。

Img_9549 こうして航空祭を満喫し、その後いったん日豊本線宇島駅まで南下し、新幹線さくら号指定券最後の一席を確保、ソニックで小倉に向かい、さくら号乗り換えで500km先の新神戸に向かい、そして神戸港ポートターミナルにて、ヘリコプター搭載護衛艦くらま夜景撮影を行いました次第です。

北大路機関:はるな

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神戸寄港!ヘリコプター搭載護衛艦くらまポートターミナル夜景PowerShotG-12撮影速報

2013-10-27 23:38:48 | 海上自衛隊 催事

■DDH-144KURAMA

 本日撮影しました神戸港のヘリコプター搭載護衛艦くらま夜景写真を速報にてお送りします。

Img_9702 神戸港に寄港したヘリコプター搭載護衛艦くらま、神戸の夜景とともに中公園から撮影しました。母港佐世保からの神戸寄港はなかなかない機会といえるかもしれません、神戸港ポートターミナルの中寄りに接岸し、本日は一般公開もされています。

Img_9709 G-12での撮影ですが、夜景の撮影はG-12苦手ですね、戦車の発砲焔も押さえ、航空祭の編隊も一眼レフと並んで撮影をこなすG-12,そのほぼ唯一の泣き所は夜景が苦手、というところでしょうか。夜景モードで撮影すればもう少し何とかなると思うのですけれども。

Img_9722 EOS-7Dの方は三脚とレリーズを用いて一定以上の水準の写真を撮影できました、速報用のG-12,本番用のEOS-7D,こうした関係、ということになるのでしょうかね。最後になりましたが、本日現地でお世話になりました皆様、ありがとうございました。

北大路機関:はるな

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ありがとう!7000000アクセス!、10月25日:Weblog北大路機関700万アクセス突破

2013-10-26 14:10:35 | 北大路機関特別企画

◆2006年10月アクセス解析開始から

 10月25日、Weblog北大路機関はアクセス解析開始から700万アクセスを突破しました。

Aimg_6550 Weblog北大路機関は2005年7月29日に運用を開始し、アクセス解析は2006年10月より開始しました。当初は運用方針と作成要領の途上段階から、毎日百数十アクセスと歩みを初め、そののち様々な企画とともに制作を続けましたが直近の90日間アクセス解析では400627アクセス、一日平均で4451アクセスを頂いています。

Aimg_1441 依然として誤字脱字は多く、編集の最終締め切りである0000時近くまで制作に時間を要する点に加え、連載記事の定期掲載遅延、速報記事続報の未定、プロフィール欄の未更新など、中々改善点ばかり目につく一方で是正措置を採れないことは運用当事者として申し訳ない限りではありますが、今後ともよろしくお願いいたします。

Aimg_1952 安全保障を中心に扱うサイトとして多くのご高覧頂きますところですが、我が国の安定は世界の安定へ直結している問題であり、この問題へ偏見を取り除いた視野を広く持たれる関心分野へ昇華することが、結果的に平和の実現へ繋がると信じるところです。一方、運用開始から、当時は想定しつつも想像は難しかった、大規模地震災害、原子力事故、着上陸脅威顕在化、核恫喝、等など、安全保障は抑止から防衛実任務へと転換を迫られる危惧をも感じる昨今ではありますが、我が国防衛と安全保障を考える一助となれば幸いです。

北大路機関:はるな

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平成二十五年度十月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2013.10.26・27)

2013-10-25 22:57:32 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 大型二大台風列島接近、と緊張に見舞われましたが、台風は転進し太平洋上を北上、なんとか直撃をされられたところ、皆様如何お過ごしでしょうか。

Eimg_4493 ヘリコプター搭載護衛艦くらま神戸寄港、今週末最注目の行事はこの行事でしょう、異論は認めません。阪神基地HPによれば、神戸新港第四突堤ポートターミナルに入港し、27日日曜日0900時から1700時まで一般公開が行われます。観艦式では総理大臣乗艦の旗艦となる海上自衛隊の象徴的な護衛艦です。

Gimg_0422 今週末は自衛隊記念日行事として陸上自衛隊中央観閲式が行われます。総理臨席のもと、東部方面総監部が置かれる朝霞駐屯地にて実施され、多数の航空機と車両が参加します。写真は予行の様子ですが、本番は台風一過となるのでしょう。一般非公開行事ですが、陸上自衛隊HPよりインターネット中継が行われますので、こちらをご覧いただけると面白いかもしれません。

Gimg_9999 今週末、最も注目の行事は福岡県の築城基地航空祭です。築城基地は航空自衛隊第八航空団が展開しており、F-15要撃機一個飛行隊とF-2支援戦闘機一個飛行隊を以て編成、朝鮮半島に最も近く航空自衛隊創設以来、半島情勢に対する我が国防衛の最前線として位置づけられてきました。

Gimg_8681_1 春日基地祭、明日行われる福岡市の航空自衛隊行事は、西部航空方面隊司令部が置かれている基地で、九州とその周辺海域及び島嶼部の防空を担っています。滑走路こそありませんが、近くの方は土曜日に春日基地と日曜日に築城基地、と足を運ばれるのもいいかもしれませんね。

Gimg_2816 陸上自衛隊関連行事で注目は、飯塚駐屯地祭、西部方面隊直轄のホークミサイル部隊で方面隊策源地防空を担う第2高射特科団の司令部が置かれている駐屯地です。写真は東千歳の第1高射特科団です。なお、方面高射部隊の多くは高射群を編成していますが、九州は北海道と並び朝鮮半島に面するという防衛上の必要性から団編成を採っています。

Gimg_8616 戦車を観るなら日本原、明日は岡山県の日本原駐屯地祭が行われます。日本原駐屯地は山陽山陰地区の第13旅団に所属する第13戦車中隊と四国を担当する第14旅団の第14戦車中隊が駐屯しており、やや鉄道での交通の利便性は悪いですが、中部方面隊管区では今津駐屯地と並ぶ戦車部隊駐屯地です。

Gimg_55480 対馬駐屯地祭、九州からの交通がやや不便ですが国境の島対馬にて対馬駐屯地祭が行われます。対馬駐屯地には第4師団隷下の対馬警備隊が駐屯しており、部隊は本部管理中隊と一個普通科中隊という小振りの編成ながら、有事には増勢を想定した本部指揮機能の強化を図っているほか、通称ヤマネコ部隊、隊員の多くがレンジャー資格を有し、生地訓練を繰り返している最精鋭部隊の一つ。

Gimg_1387 山口駐屯地祭、第13旅団隷下の第17普通科連隊が駐屯する駐屯地です。旅団普通科連隊として中隊数等の面で師団普通科連隊ほどの規模はありませんが、日本海側、特に工作員浸透事案の危険がある地域では沿岸防備体制の強化へ無人航空機の装備なども行われています。なお、上記行事ですが、全て一応台風の進路や豪雨状況により実施は変更がある可能性がありますので、お出かけの際には部隊HPや地方協力本部HPを必ずご確認ください。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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四演習同時展開、九州南西諸島・本州北部同時侵攻対処主眼に協同転地・方面実動演習

2013-10-24 23:57:42 | 防衛・安全保障
◆直前には南海トラフ地震対処も想定
 防衛省陸上自衛隊は、今月から来月にかけ、四件の演習を同時に展開します。更に日米統合防災訓練も実施する為、同時五演習実施、といえるかもしれません。
Bimg_7346 四演習とは、平成25年度北部方面隊協同転地演習、平成25年度東北方面隊協同転地演習、平成25年度西部方面隊実動演習、平成25年度東北方面隊実動演習以上の四演習です。そしてもう一つは平成25年度日米共同統合防災訓練で、首都圏では東部方面隊が中央観閲式を実施するため、陸上自衛隊の北部、東北、東部、中部、西部、各方面隊が同時に演習や観閲式を実施する、という非常に大きな訓練の同時実施です。
Gimg_0048 これは、大まかな流れとして、九州沖縄を防衛警備管区とする西部方面隊管内へ武力攻撃事案が発生し、西部方面隊隷下の部隊が防衛行動を展開しつつ、防衛大臣直轄の緊急展開部隊である中央即応集団と共に東北方面隊第6師団、北部方面隊第2師団が増援に向かい、その一方、防衛上の空白となった東北地方にも脅威が及び、併せて東北方面隊隷下部隊と中央即応集団が対処する、というもの。
Gimg_1048 併せて、東部方面隊管区では中央観閲式、中部方面隊管区では米軍や海上自衛隊及び航空自衛隊と共に南海トラフ地震対処演習として日米統合防災訓練が今週末実施されることとなっており、勿論台風の影響はありますが、時期的に南海トラフ地震対処の行動を採りつつ、南西諸島への軍事圧力が増大、このほかの地域に対しても脅威度が増大しつつ防衛行動を採る、という極めて厳しい状況想定が朧ながらも見えてまいりました。それでは、個々の演習の概要を観てみましょう。
Img_0046 平成25年度日米共同統合防災訓練は明日実施され、こちらは南海トラフ地震を想定、統裁官に中部方面総監堀口英利陸将が就き、中国四国地方及び九州の周辺区域と海域で実施、陸上自衛隊は人員200名と航空機2機に車両20両が参加、海上自衛隊は呉地方隊と自衛艦隊より、ヘリコプター搭載護衛艦いせ、ほか、航空機2機など200名が参加、航空自衛隊は航空総隊より100名と航空機5機が参加し、米海兵隊からは第三海兵機動展開部隊よりMV-22が2機参加、我が国での防災訓練へMV-22が参加するのは今回が初めて。
Gimg_9378 北部方面隊協同転地演習は、北部方面区から西部方面区への展開が実施され、西部方面管区の大矢野原演習場と日出生台演習場への展開と訓練が実施される、とのこと。統裁官は北部方面総監田邉揮司良陸将で、参加部隊は第2師団より1個普通科連隊基幹の人員850名と車両350両が参加します。参加部隊には戦車6両及び自走榴弾砲3門が含まれており、長躯九州まで90式戦車と99式自走榴弾砲が展開するもよう。
Kimg_0911 訓練は10月22日から11月1日にかけてを長距離機動訓練とし、自走や輸送艦に民間輸送船、ヘリコプターや輸送機に民間航空機などを用いて北海道から九州へ展開、11月2日から11月18日の期間を防御訓練等に重点を置いた演習場等における訓練を日出生台演習場などにおいて展開、上記訓練終了後に復路として11月19日から11月25日までの期間を以て道北の駐屯地まで戻ることとなります。
Simg_9022 東北方面隊協同転地演習は、東北方面総監田中敏明陸将を統裁官として11月1日から12月2日までの期間に実施、参加部隊として第6師団の1個普通科連隊基幹の部隊が展開します。展開部隊の規模は人員2000名、車両850両、更に航空機7機というもので、航空機はOH-6DとUH-1Jが参加するとのこと。ただ、現在第6師団は伊豆大島へ一部部隊が災害派遣中ですので、参加規模は変更があるかもしれません。
Aimg_0792 日程については、長距離機動訓練を11月1日から11月8日にかけ往路として実施、その上で演習場等における訓練を11月9日から11月26日にかけ実施し、主として防御訓練と射撃訓練等を行うとの発表です。訓練終了後、復路に11月27日から12月2日をかけ実施、足掛け一ヶ月以上の訓練を完了させる計画です。
Fimg_6652 平成25年度西部方面隊実動演習は、上記協同転地演習と連動して実施され、日出生台演習場においてその主要な展開が予定されています。訓練統裁官にはイラク派遣部隊長として名高い西部方面総監番匠幸一郎陸将が就き、訓練参加部隊は西部方面隊より第8師団、第4師団、第15旅団、ほか方面隊直轄部隊。更に増援として中央即応集団、北海道の第2師団、東北南部の第6師団が参加すると発表されました。
Mimg_0983 期間は11月1日から11月18日にかけてで、訓練参加規模は人員5600名と車両1600両に航空機30機、参加航空機としてはUH-60JA、CH-47JA、AH-64Dと陸上自衛隊の最精鋭機種が並び、島嶼侵攻対処訓練、基地警備訓練、兵站施設の開設訓練、射撃訓練等を演練します。方面隊の各種事態における対処能力の向上を図るとの訓練主眼が掲げられており、日出生台演習場を離島に見立てた展開を行うのでしょう。
Img_0879 平成25年度東北方面隊実動演習は、九州で大演習が展開されている最中、11月1日から12月2日にかけ、統裁官を東北方面総監田中敏明陸将として実施されます。明示はされていませんが、時期的に九州への増援部隊を展開している最中に、その部隊の空白地帯に対し軍事的圧力が生じたという想定が考えられます。我が国への武力攻撃事態に際しては、その空白地帯に対しても牽制のための攻撃の可能性は無視できず、こうした訓練の重要性はやはり大きい。
Img_0435 訓練は、王城寺原演習場と東北方面区内各駐屯地において実施されることとなっていて、参加部隊へは東北方面隊及び中央即応集団より人員3700名と車両400両、航空機5機が参加し、防御訓練と基地等警備訓練及び警戒監視訓練、更に射撃訓練等が予定されています。各駐屯地、とありますので、警備訓練なども重ねて広範囲で行う事となるのかもしれません。
Gimg_0234 一連の動きを包括しますと、南海トラフ地震対処訓練に続いて、協同転地演習で部隊を展開させ、そこで方面隊演習として西方への軍事圧力に対処していたところを、東北方にも軍事的圧力が掛った、しかも中央観閲式で部隊が動いているときなのに、というかなり盛り沢山と言いますか、厳しい想定を行っているところが見えてきます。あわせて、同時kには自衛隊統合演習が行われます。
Uimg_2400 なお、現在、陸海空自衛隊は東部方面総監を司令官に統合任務部隊を編成し、伊豆大島へ大規模な災害派遣を実施中です。加えて、訓練参加部隊は上記の通りですが、これは訓練参加の戦闘部隊の数字であり、後方支援部隊や演習場警備、その他の支援へ数字よりも多くの部隊が参加している、という事も併せて記しておきましょう。ここまで厳しい想定の下で訓練を行えば、本当の最悪の状況にも対処できる、というものですが、これが抑止力となり、有事を回避出来る事も演習の最大の目的と言えるかもしれませんね。
北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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那覇空港第二滑走路来年着工へ、航空自衛隊緊急発進回数増大と飛行隊増勢へ対応

2013-10-23 23:00:09 | 防衛・安全保障

◆増大し続ける国籍不明機接近飛行への対応

 那覇空港第二滑走路の工事が始まります。那覇空港は沖縄の玄関として有名で、京阪神はもちろん軍用機以外で本土から沖縄へ行くには那覇空港を経由せねばなりません。

Iimg_3314 しかし、滑走路が一本しかなく、加えて民間空港とともに航空自衛隊那覇基地、海上自衛隊那覇航空基地、陸上自衛隊那覇駐屯地、海上保安庁那覇航空基地、多くの施設が集中しており、滑走路は常に過密状態でした。航空管制は民間が行っているのですが、優先順位は緊急発進を優先せねばならず、緊急発進の回数が増大した際、管制ミスなども発生しており、問題視されています。

Iimg_1930 那覇基地は近傍の基地が宮崎県の新田原基地であるため、多方面からの増援を受けることが難しく、沖縄本島以南の島嶼部は中国本土からの短距離弾道弾射程圏内にあるため、那覇基地の機能は重要であり、発着件数の増大への対処は必要、このため第二滑走路の必要性が指摘されていたわけです。

Dimg_2529 第二滑走路が必要なのですが、那覇空港が抱える大きな問題は、隣が海であり、そして山があるため安易に拡張できないという地理的問題を抱えていました。海側に拡張できないならば陸側へ、と思われるかもしれませんが陸側は丘陵地で、既に施設や市街地もあり、こちらも拡張は現実的ではありません。

Nimg_3143 こうした事情の反面、那覇基地での緊急発進は我が国南西諸島への周辺国航空機防空識別圏進入とともに増大し、那覇基地第83航空隊だけでは対応できず、他航空方面隊の戦闘機部隊を訓練展開させ、早期警戒機を飛行、警戒態勢を強化しなければならない状況となっています。このままでは、遠からず那覇空港へ向かう航空便の上空待機など支障をきたすことは自明の状態でした。

Simg_0823 こうした現状への対応から那覇空港は来年度からの第二滑走路建設へ決断を行った、というもので、既に国土交通省によれば年間9500回に及ぶ戦闘機の発着回数を14800回程度まで増大したとしても第二滑走路により空港機能を維持できる、としており、併せてこの工事は南西諸島全般の防空能力強化にも寄与することでしょう。

Simg_6050 那覇基地は現在F-15一個飛行隊を基幹として防空任務に当たっていますが、現在の防衛計画大綱に従い、F-15戦闘機を二個飛行隊化する方針が定められていると共にE-2C早期警戒機などの運用拠点が構築され、冷戦時代の千歳基地に匹敵する防衛拠点として強化されます。

Cgimg_2274 このため、飛行訓練も増大しますが、加えて地上整備施設なども拡張しなければならず、弾道弾攻撃や巡航ミサイル攻撃を考慮すれば航空掩体等の建設も必要となります。このため飛行場施設の拡張が求められていたわけで、第二滑走路建設はその一環として行われるのでしょう。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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東北方面隊創設50周年記念行事詳報② 式典参加部隊入場、飛行場地区埋め尽くす隊員

2013-10-22 23:35:22 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆東北方面隊2000名以上の隊員が集結

 東北方面隊記念行事は当方にとり2006年以来の展開となった2010年度記念行事、詳報第二回の掲載です。

Simg_9914 式典開始時間の到来と共に参加部隊が続々と更新し会場へ入場してきました。この行事は東北方面隊創設50周年記念行事、東日本大震災より半年前の記念式典ですが、東日本大震災という国難の矢面に立ち向かった隊員の、その直前の姿、ということで今見ますと感慨深いものも。

Simg_9910 他方、飛行場地区での自衛隊記念行事と言いますと、当方も八尾駐屯地や明野駐屯地に木更津駐屯地などなどと、幾つか撮影した機会もあるのですが、飛行場地区で行われる方面隊記念行事というのは、ここ東北方面隊の創設記念行事くらい、というもの。

Simg_9909 即ち、当方にとり方面隊記念行事と言いますと、多くの機会に撮影した伊丹駐屯地の中部方面隊記念行事の印象が強いのですが、伊丹駐屯地は面積の限界があり、此処まで多くの人員が展開することはできません、式典参加の隊員がざっと視界を見回すほどに入場する様子を見ますと、多いな、と。

Simg_8384 東北方面隊は、司令部を仙台駐屯地に置き、隷下に神町駐屯地の第6師団、青森駐屯地の第9師団を有する、第6師団は東北南部の防衛警備に当たると共に首都有事の際には輪s熱詩応援へ向かう師団、第9師団は冷戦時代にソ連の圧力を受けた青函地区の防衛警備を受け持つ師団、ともに掛かる重責は大きい部隊でした。

Simg_9915 整列した部隊、人員規模は2000名を越えるとのことで、師団普通科連隊戦闘団に匹敵する人員規模です。この2000という規模は、日常生活ですと実感しにくい規模ではあるのですが、並ぶと広角レンズの写真でも端から端まで隊員が埋める、という写真の構図となるのが分かるでしょうか。

Simg_8393 威容を以て並ぶ連隊旗も、多く、神町第20普通科連隊、多賀城第22普通科連隊、福島第44普通科連隊、郡山第6特科連隊、神町第6後方支援連隊、青森第5普通科連隊、秋田第21普通科連隊、弘前第39普通科連隊、岩手第9特科連隊、八戸第9後方支援連隊、多賀城第38普通科連隊、とずらり並ぶ。

Simg_8395 執行責任者である第6師団長久納雄二陸将が入場します。久納師団長は、西部方面隊幕僚長を経ての師団長着任、半年後の東日本大震災において師団管区が津波被害と原子力災害に見舞われ、師団全力を挙げ災害派遣に出動、その手腕から、この式典より約一年後、陸幕副長として昇任しています。

Simg_9947_2 東北方面隊は、川内駐屯地の東北方面総監部の下、上記の第6師団、第9師団とともに、方面隊直轄部隊として、方面施設部隊に第2施設団、新隊員と即応予備自衛官を所管する東北方面混成団、多連装ロケットシステムMLRSと地対艦誘導弾により長距離打撃力と対艦攻撃を担う東北方面特科隊、など。

Simg_8394 対戦車ヘリコプター隊と多用途ヘリコプター隊に野整備隊を統合した東北方面航空隊、ホーク地対空誘導弾による後方策源地防空を担う第5高射特科群、方面隊部内での通信網確立と指揮命令系統に電子情報戦を担う東北方面通信群、重整備と兵站輸送の全般支援や方面隊直轄部隊の整備支援を担う東北方面後方支援隊など。

Simg_9944 更に東北方面隊の直轄部隊としては、東北方面会計隊、東北方面衛生隊、東北方面指揮所訓練支援隊、東北譜面情報処理隊、東北方面警務隊、東北方面音楽隊、東北方面補給処、と言った部隊を方面直轄部隊として運用しています。

Simg_9943 隷下には、駐屯地として青森県内に青森駐屯地、弘前駐屯地、八戸駐屯地。秋田県内に秋田駐屯地。岩手県内に岩手駐屯地。山形県内に神町駐屯地。宮城県内に仙台駐屯地、多賀城駐屯地、霞目駐屯地、大和駐屯地、船岡駐屯地、福島県内に福島駐屯地、郡山駐屯地が配置されています。

Simg_9937 駐屯地は上記13か所となり、更に仙台駐屯地の分屯地として反町分屯地と1か所の分屯地が配置されています。方面隊管区全ての県に駐屯地が置かれているほか、陸海空の共同機関として地方協力本部が置かれ、地元と密接な関係を構築しているといえるでしょう。

Simg_9949 方面隊創設記念行事ということで、一般来場者の数は凄いこととなっています。ただ、招待席はそこまで充足率が高いわけではないらしく、式典はいよいよ開始されるというところではありますが、椅子席には空席が目立っていました。東北方面隊記念行事は、一般スタンド席などの設置が無く、一般来場者には見えにくい行事というのが残念なところ。

Simg_9960 式典参加部隊が集合したところで、警務隊の車両に先導され、東北方面総監君塚陸将が入場してまいりました。いよいよ東北方面隊創設50周年記念行事が始まりました。続くのは方面隊旗、記念行事の詳細については、次回紹介することとしましょう。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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