北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

戦略爆撃機B-52を自衛隊超長距離シーレーン防衛用に売り込み

2009-01-31 13:05:02 | 防衛・安全保障

◆20年前に横田へ飛来した怪鳥の噂

 F-22が30日、嘉手納基地にて報道陣に一般公開されたとのこと。これが日本への売り込みか否かは、評価の分かれるところである。しかし、20年前、怪鳥が日本に売り込まれていたとの噂があった。

Img_9466  1989年、日本では海上自衛隊が続々とP-3Cを配備しており、かつて鈴木首相が表明した一千海里シーレーン防衛構想が着々と実現に向かっていた時代。航空自衛隊も、これを援護し、且つ対米貿易黒字の相殺のためにも役立つということで早期警戒管制機の導入や空中給油機の導入を検討していた時代のお話である。他方、世界を見渡せばいよいよ冷戦は終局に向かいつつあり、7月にソ連海軍のスラヴァ級ミサイル巡洋艦、ソブレメンヌイ級ミサイル駆逐艦など3隻が米海軍のノーフォーク基地を親善訪問、続く八月にはアメリカ海軍のイージス艦トーマス・S・ゲイツ、ミサイルフリゲイトのカウフマンがソ連海軍のセバストポリを親善訪問していることに、当時の緊張緩和の様子が端的に示されている。

Img_9496  そうしたなかで、744機が生産され、一機だけの搭載量で第二次世界大戦中に使用された前爆薬の破壊力に匹敵するだけの核爆弾を搭載し、24時間体制での哨戒任務につき、また、ヴェトナム戦争では絨毯爆撃を担ったB-52戦略爆撃機も、その役目が終わろうとしていた。今日でこそ、アフガニスタンなどで、上空に長時間滞空し、地上からの座標送信に応じてGPS誘導爆弾をリアルタイムで投下し、地上部隊の作戦を支援する、戦略爆撃機による近接航空支援任務が付与されるようになって久しいが、冷戦が終結しようとしている当時、グアム島の第43爆撃航空団には新しい任務が付与されていた。それは、洋上攻撃仕様のB-52による哨戒や対水上攻撃の任務である。

Img_9446_1  1989年8月19日、20日にかけて行われた恒例のアメリカ空軍横田基地フレンドシップデーでは、横田基地には1965年6月27日以来24年ぶりにB-52爆撃機が着陸、来場者に一般公開された。この時に飛来したのはB-52Gで、193機が生産された機体、現在現役の機体はB-52Hであるが、G型はこの一つ前の型である。B-52による24時間体制の核パトロールは1991年まで継続されているのだが、横田にて一般公開されたB-52Gの装備はかなり特異なものだった。

Img_5800  B-52Gの主翼下兵装パイロンには、ATM-84A-1Cハープーン空中発射型とMk56対潜機雷、Mk60キャプター機雷が装着されており、機体内部の爆弾倉には、Mk52機雷が装備されていた。この装備でのB-52Gの飛来に、一部では自衛隊の超長距離シーレーン防衛用にB-52Gを売り込んでいるのではないか、という噂が流れたようで、この内容などは、月刊丸の通巻520号に触れられている。もちろん、単なる噂ではあるがB-52G、シーレーン防衛で海上自衛隊か航空自衛隊が装備することになっていれば、当然、P-3CやXP-1よりも搭載量や滞空時間が長く、任務対応能力も向上するのだろうが、あの巨大な機体が配備される基地には、一種想像できないような情景があったことだろう。

Img_2065   ちなみに、2000年代に入ってのち、オーストラリア空軍のF-111C/G戦闘爆撃機、イギリス空軍のトーネードGR.4攻撃機の後継にJDAMを搭載したB-1Bが売り込まれたことがある。これは用途廃止される32機のB-1Bのうち、8機を地上展示や博物館展示に回し、残る24機の機体を、部品予備としてアリゾナ州のデイビスモンサン基地に保管する予定であったのを、保管するよりも24機あれば、一個飛行隊8機と予備機4機でもって二個飛行隊を編成できる、として、イギリスとオーストラリアに売り込んだもの。しかし、価格面で折り合いがつかず、実現には至らなかった。これについては月刊航空ファン通巻601号に記載がある。あたかもF-16でも売り込むようにB-1B売り込むなよ、と考えるのは小生だけではあるまい。

Img_0975_1_2  もっとも、この種の話は装備品が退役間近になると、どうしても出てくるもので、空母キティーホークをインド海軍に売却しようとか、S-3艦上哨戒機を消防用に使えないかなどなど話としてはよく出てくるものではある。他方、商談が成立する場合もあるため、すべて、与太話と片づけるわけにもいかず、B-52Gについては、どこから囁かれだした噂なのか、気になったりもする。

Img_0025  B-1Bに関する余剰機売り出しという実際の話を聞くと、もしかしたらばB-52Gの自衛隊売り込みという話は多少現実味があったのかもしれない。B-52Gは、その任務をB-52Hに譲り、第一次戦略兵器削減条約の削減対象となったことでほぼ全機が廃止されている。B-1BやB-2と比べて経済性の高い米空軍のB-52Hは2045年まで維持され、延命措置の上で運用が継続されるとのこと。仮に、の仮にではあるが、海上自衛隊の哨戒機として採用されていたらば、XP-1の開発も無くなっていたか、相当遅れていたかもしれない、と想像してみるのも一興か。

HARUNA

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航空自衛隊新造救難ヘリコプターUH-60J-588号機 給油プローブを装着し試験飛行

2009-01-30 13:08:45 | 先端軍事テクノロジー

◆空中給油対応のUH-60J 試験飛行

 航空自衛隊向け救難ヘリコプターUH-60Jが飛行試験を行っている様子を撮影した写真が入手できたので掲載したい。三菱重工小牧南工場で製造された新造機の写真だ。

Img_2621  UH-60Jは航空自衛隊に救難ヘリコプターとして制式化されており、全国の救難隊に配備、運用されている。写真はその新造機である588号機。機首部分に注目してみると、細長い管のようなものが突き出ているのがみてとれるが、これが空中給油機からの燃料を送るドローグホースから燃料を受け取る給油プローブである。

Img_2605  空中給油方式としては、KC-767のように給油ブームから流し込む方式で戦闘機などに給油する方式があるが、上部にローターが装着されているヘリコプターに対してはこの方式は不可能である。従って、ヘリコプターに対する空中給油ではドローグホース方式を米軍が採用している。なお、ヘリコプターに対する空中給油というのは世界各国の航空救難体制を俯瞰しても稀有な事例とのこと。

Img_2630  航空自衛隊では、現在、救難ヘリコプターとともにC-130H輸送機に対してドローグホース装置や機内燃料タンクを増設し、空中給油機として運用する計画だ。現行でもUH-60Jは滞空時間では救難機U-125よりも長いのだが、滞空時間を延ばすことにより、燃料消費が増大する悪天候時や、天候急変で着陸基地を替えなければならない状況、回送の距離を延ばすことにもつながる。

Img_2632 他方で、ヘリコプターへの空中給油というのは高い操縦技量を必要とする。何分、固定翼の空中給油機と回転翼のヘリコプターが同じ速度で飛行し、空中給油機の後方気流やローターが巻き起こすダウンウォッシュが吹き荒れる中、ドローグホースに給油プローブを挿入しなければならないからだ。

Img_2647   この588号機は、小牧の救難教育隊に装備されるのだろうか。小牧基地であれば、空中給油機に転用する計画のC-130Hが配備されている基地でもあるし、合点はいくのだけれども、給油プローブ付の機体は、例えば米海軍艦載機の移転に伴う救難体制の見直しを睨んだ一部地域の能力充実を目指したものなのか、C-Xが実用化され輸送機数に余裕が出るという見通しのもとで、C-130H空中給油機仕様の機体を今後分遣隊として広く配備する構想があるのか、気になったりもするしだい。

Img_2668  UH-60J-588号機について、航空雑誌などをみてみると、小牧での初飛行は昨年十二月上旬とのこと、ただし、この時点では。給油プローブは装着されていなかったとのことで、給油プローブを取り付けての飛行試験は、今年の今月上旬からとの事だ。つまり、かなり貴重な写真、ということができるのかな、と。

HARUNA

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日欧ともに開発難航の次期輸送機 エアバスA-400Mと川崎C-X

2009-01-29 21:43:22 | 先端軍事テクノロジー

◆A-400MとC-X

 多忙につき、コネタです。検証とかもやっていないので、雑談的な扱いということで。写真は、小牧基地のC-130H,傑作輸送機として名高い一機。

Img_2499  聞くところでは、欧州共通輸送機を目指して開発されているエアバスA400Mの開発の遅延がさらに深刻な状況になっているとのこと。機体の設計ミスなのか、エンジンの関係なのかは調べていないけれども所要の輸送能力が発揮できない、具体的にはかなり搭載量が落ちてしまうということが判明した模様。

Img_2502  A400Mの遅延はこれまでも問題になっているものの、搭載量の不足は、戦域間輸送機としての役割を担うA400Mには大きな問題となる。試作機としての問題なのか、量産機に相当軽量化や機体形状の変更、エンジン出力の強化を盛り込まなければならないのかは、資料不足にて不詳。

Img_2522  他方で、航空自衛隊次期輸送機として開発が進められているC-Xも中々進展の情報が入ってこない。伝え聞くところでは、強度試験の結果が、ここに書けないような情報もWebやその他に流れている。順調に進めばXC-2として飛行試験を行っているはずなのだが、試験飛行は遂に2008年中には行われなかった。

Img_2525  エアバスA-400Mと川崎C-Xは、次世代を担う戦域間輸送機としての機能を期待されつつも、現状はご覧のとおり、C-130は、J型が価格高騰という状況にあり、C-17も現在ではAWACS並の価格となっている。輸送機というのは、一見簡単そうに見えて、高性能化を盛り込むと中々難しい機種なのかな、と思った次第[情報入り次第続報で出します]。

HARUNA

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新幹線700系のぞみ運用 動脈列島をゆく主力新幹線

2009-01-28 15:29:58 | コラム

◆700系新幹線

 本日もコネタです。寝台特急や次期戦闘機選定、それにソマリア派遣問題など扱いたいのは山々なれど、肝心の時間が無く、更新を継続するのがやっと、という今日この頃。

Img_5537  700系新幹線の京都駅到着。背景には近代的な京都駅ビルがみえる。少し高い視点からみてみると、700系は正面から見た時よりも違った印象を受ける。性能では500系に及ばないけれども、コスト重視の車両で、速度と量産性を重視し乗り心地に難点があった300系に換えて主として、のぞみ号に充当されている。

Img_5521  京都から東京へ、名古屋へ行く際には一番利用している新幹線が700系。そういう意味ではお世話になっている車両だ。実は、小生、その昔には500系がデビューした際の鮮烈なイメージが大きく、これからは、500系の時代が来るのだ、と思っていたがコスト面では700系が優れており、主力となっている。

Img_5526  しかしながら、東海道山陽新幹線の、のぞみ号運用は2009年度までにN700系に統合されるため、この“のぞみ号”表示はそれまでとなるやも[東京~新大阪の、のぞみ運用では残るのかな?]N700系のLED表示のみとなる。加速性能は毎秒1.6km/h、山陽区間でも毎秒2.0km/hであるから、N700系の2.6km/hに及ばないのも確かではあるが。

Img_5514  新大阪と博多間では、7000系短編成により、ひかりレールスターとして、新大阪駅から博多駅まで一度も、のぞみ号に抜かれない高速運行を行っているが、九州新幹線の山陽新幹線乗り入れが実現した後は、短編成については、500系短縮編成とともに、こだま号運用に充当される見通しとのこと。

Img_5522  700系は、東海道新幹線では500系やN700系と並び270km/h運転が可能[ただしカーブでは車体傾斜装置の装備されたN700の方が通過速度は高い]で、山陽新幹線区間では285km/h運行が可能な車両である。こだま号、ひかり号にも用いられており、当分は日本を代表する新幹線車両であることに変わりがないことも確かだ。

HARUNA

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新幹線N700系のぞみ号 米原駅通過を18mm広角で撮影

2009-01-27 20:25:34 | コラム

◆やっぱり、のぞみ号は速い!

 先日掲載した500系新幹線撮影の際に、同じく京都までの列車の待ち時間で撮った新幹線通過の写真を本日は掲載。多忙につき、本日はコネタです。

Img_5105  新幹線のぞみ号の通過は、速度がかなりあるので[もちろん、通過ならば、ひかり号でも同じなのだが]、駅のホームから撮影しようとすると、ズームレンズで遠距離にいるところを撮影するのはともかくとして、近くまで来ると、もう、在来線特急を撮影するのとは訳が違う!としか言えないほどのスピート。EOS40Dの高速連写に18㍉広角で挑戦。

Img_5102  新幹線N700系は、低騒音と高速性能、経済性に加えて、車内空間を最大限に活かしての収容力が求められた。つまり、500系のように丸みを帯びた側面ではなく箱型、500系のように先端が尖っておらずそれでいて同等の空気抵抗の低さとトンネル通過時の低騒音が求められ、コンピュータにて最高の形状を求めたらこうなった、という車体形状。

Img_5096  まだ、700系のほうが、白鳥のようなフォルムでよかったのだけれども、さらによくわからないデザインに到達したN700系。しかし、真横からみると、どことなく、0系の先端、100系のライト、300系の車体形状、700系の流線形を足して21世紀に適合させた、とも取れるデザイン。しかし、真横から撮るにはスピードが凄い、というのがポイントで、今回は18㍉を使ったので、そこそこ撮れたのかな、という写真ができた。

HARUNA

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九州ブルートレイン三月のダイヤ改正で全廃 寝台特急の明日について

2009-01-26 18:20:11 | コラム

◆寝台特急存続の鍵とは

 九州ブルートレイン、最後の一本である、富士・はやぶさ号が三月に廃止される。これにより、九州と東京を結んだ夜行列車は、その歴史的役割を終え、新幹線にその道を継承させることとなる。

Img_5607  かつて、非有効時間帯を利用しなければ行くことができなかった九州が、新幹線により五時間少々で結ばれることとなったのは、鉄道技術の勝利であり、喜ぶべきことなのかもしれないが、一方で、夜行列車には新しい果たすでき役割が生まれているのではないだろうか。まず、ブルートレインが生き残るには、攻めの姿勢が必要である。別に攻めの姿勢といっても、装甲列車や列車砲を開発して、自衛隊共同転地演習にB寝台車を大量に動員する、というものでは全くない。ブルートレイン、客車方式が機関士不足により難しいのであれば、定義を一新し、電車方式としてでも、その意義を見出す必要があるのではないか、という視点。

Img_8596  まず、寝台列車、もしくは寝台車を運行できる、ということは、一つの鉄道文化であり、これは路線長が一定以上広がっていなければ成り立たない、鉄道先進国の一つの象徴ではないか、と考える次第。そして、鉄道が持つべき余裕の一形体であると考えれば、移動手段に優雅な寝台車の旅、という選択肢を残すことはややこれまでとは違った意味を持つのではないか、ということ。これを踏まえ、九州ブルートレイン、ブルートレインのみならず、首都圏から九州に向かう夜行列車が全廃される、という状況は、もう少し重くとらえられてはいいのではないか。さもなければ、北海道方面へのブルートレインや寝台列車も遠からず新幹線の延伸により危機にさらされることは明白だからである。

Img_0287 そこで、まず最初に、九州ブルートレインが終えた歴史的役割とは何か、ということ。雑誌鉄道ファン2009年3月号に、寝台特急はやぶさ号の食堂車スタッフとして乗務してきた九州鉄道記念館副館長の宇都宮照信氏のインタビュー、その一節が、その答えとなっているようにおもうので引用する。そのころの東京というのは、今日の飛行機で一時間半でつけるような場所ではありませんでした、一度行ったら二度と帰ってこられないような、そんな感覚さえあるような場所でした、。ところが一夜明けると列車は東京の複々線の中を走っている。その変化は感動的で、寝台特急ブルートレインというのは、そういう感覚が味わえる列車でした[P45~46]。つまり、九州はこれまでと違い、近くなったのだ。いまや在来線で東京~浜松間を移動する時間で、新幹線は博多に到達する。こうして、所要時間を要するブルートレインは歴史的役割を終え、新幹線に代替されたのである。

Img_0346  ブルートレイン復活への道筋は、宇都宮氏のインタビューの中にもうひとつ含まれているのである。九州への足と言えば、まず人々の心に浮かんだのは寝台列車であった、中でも豪華な設備を備えた20系ブルートレインはあこがれの的であった[中略]“あさかぜ”の登場直後に東京から博多まで、三段寝台の下段を利用すると、料金は寝台料金など込みで3420円となった。この金額は現代に換算してみるとおよろ7万円台後半ということになる。決してリーズナブルとは言えない。それでも、“あさかぜ”にお客は殺到した。ほかの列車とは別格と目された別格と目された列車の運転は見事成功を果たしたのである。[P42~43]とある。つまり位置づけとしてが、北斗星のようなものだったといえる。逆にいえば、現代では完全に陳腐化してしまっているわけだ。

Img_8602  ひとつ考えてみてほしいのは、上野駅と札幌駅を結ぶ寝台特急カシオペア、大阪駅と札幌駅を結ぶトワイライトエクスプレスは、何故乗車率が高いのか。たんに北海道に行く、という理由だけではないだろう。そうであれば、寝台特急日本海も、青森から函館までの延長運転を行っていただろう。トワイライトエクスプレスはともかくとして、二人用個室A寝台しか無いカシオペアは、移動のための手段としては利便性は高くない、なにより一人旅には向いていないためだ。しかし、トワイライトエクスプレス、カシオペアともに最上級の個室から予約が満席になってゆく。理由は、あさかぜ号のデビューのときのような、既存の特急との別格化が成功しているためではないだろうか。

Img_2352  九州ブルートレインは、もともとデビュー時から食堂車を連結し洋食を供していたのに加えて1985年にロビーカーが連結され、寝台の二段化、国鉄時代から個室A寝台が連結されるようになった。しかし、個室A寝台は、国鉄時代のものは非常に狭く、古く、そして設備も陳腐化していることは否めない。また、シャワー設備がなく、食堂車は営業終了し編成から省かれ、駅弁や軽食をつまむ場所として使われていたロビーカーも省かれた。他方で、開放型B寝台の寝台券よりも安価なビジネスホテルが次々と生まれ、価格競争では折り合わなくなっているというのも否めない。これでは、例えば九州ブルートレイン以外にも、日本海のような利便性の高い時間帯に運行される列車でなければ、淘汰されることは致し方ないのだが、仮にトワイライトエクスプレスの編成を用いて、九州まで高品質のサービスと共に、運行されていれば話は違ったかもしれない。東京駅を2000時に出発すれば、所要時間はカシオペアと概ね同じ、付け加えて、九州は温泉地を中心として観光名所では北海道に引けを取らず、車内施設を向上させ、食堂車やサロンカーとともに運行すれば少なくない需要はあるようにおもう。

HARUNA

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SL北びわこ号 今年も湖北へ 米原~木ノ本間来月運転

2009-01-25 11:06:28 | コラム

◆2月1日・2月8日・2月15日に運転

 SL北びわこ号が、今年も琵琶湖の北、米原駅から木之元駅の間の区間にて運行される。今年最初の運行は、二月の三日間、三日間とも日曜日だ。

Img_1152  SL北びわこ号の運行予定は、北びわこ1号が、米原1009→長浜1021→虎姫1030→高月1044→木ノ本1052時。北びわこ3号が米原1326→長浜1340→虎姫1349→高月1403→木ノ本1410時、となっている。米原駅へは、新幹線こだま号と、一部の、ひかり号が停車する。

Img_1159  また、米原までは、のぞみ停車駅である京都駅、名古屋駅から新快速で50~65分となっている。SL北びわこ号は、全席指定席で普通乗車券に加えて指定席券として510円[こども料金250円]が必要となっている。この指定席券は、JRみどりの窓口で購入することができる。

Img_1151  北びわこ号乗車後、昭和時代の古き余韻に浸りたいのならば、ここは一つ敦賀駅まで新快速で北上し、国鉄急行型を撮りつつ、485系特急雷鳥に乗車して、京都、大阪へ帰る、というのもいいかもしれない。時間帯にもよるが、雷鳥の車窓より、夕日が沈む琵琶湖、という美しい情景にも巡り合えるかもしれない。

HARUNA

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500系新幹線 のぞみ9号米原駅通過 のぞみ29号京都駅到着

2009-01-24 10:43:14 | コラム

◆500系新幹線

 本日は、500系新幹線の駅を通過する高速運転の様子と、駅に停車する新幹線の日常風景を掲載したい。その姿は対照的で面白い。

Img_5077  500系新幹線を久々に撮影に行くことができた。今回撮影したのは、のぞみ9号の米原駅通過、そして、のぞみ29号の京都駅到着である。米原駅は、通過する新幹線の撮影に良好なカーブを添えた撮影ポイントとして知られ、京都駅は現ダイヤでは貴重な上下500系のぞみ号が同時に停車する時間のある駅として知られている。

Img_5066  500系新幹線、のぞみ9号博多行きが米原駅から遠くみえる。蒼い稲妻と表現するに相応しい高速列車は、望見できた直後、一瞬にして撮影車の目前に迫る。この高性能新幹線の撮影へ万全を願えば、新鋭のデジタル一眼レフEOS40Dの毎秒6.5枚高速度シャッターモードのフルポテンシャルを活かして撮影するほかない。

Img_5070  のぞみ号通過、通過の時間は時刻表には記されていない。しかしながら、米原駅など、新幹線通過駅では、安全確認のために駅員が通過時間の一瞬前に待機所からホームに出て、安全を確認する。この瞬間からカメラを始動、シャッター速度、絞り、撮影モードを瞬時に確認する。蒼い稲妻はそこまで来ていた。

Img_5076  疾風の如く米原駅を通過する500系。300km/h営業運転の達成という目的に特化した高速車両は、東海道新幹線においてカーブの多さから最大性能を発揮できないながらも、尋常ならざる速度で通過する。今回使用したレンズは、SIGMA18-200mmOS、望遠から広角まで幅広く使用できる手ブレ防止レンズ。200mm望遠で500系接近を撮影、瞬時に18mmに切り替え、通過をカメラに収める。

Img_5078  500系新幹線が、高速運転と低騒音を両立させる夢を実現したのが、航空機を思わせるこの長いノーズと丸みを帯びた形状。速度を出すだけならばどの鉄道メーカーでも可能かもしれない、しかし、安全性と確実なダイヤ、高密度運転を前提とした高速運転と低騒音の両立の実現した大量輸送機関、というのは、稀有な存在であり、その稀有な存在の一つが新幹線。なお、通過したのはW7編成だった。

Img_5467  のぞみ29号、京都駅到着。停車寸前の500系からはほの暖かい雰囲気を感じる、先ほどの、のぞみ9号米原駅通過と、同じ車両とは思えないほどの登場だ。のぞみ29号が東海道新幹線では珍しい、500系と初めて知り微笑む乗客の顔も。旅行だろうか、老夫婦で記念撮影を始める方もいた。

Img_5471  500系は、停車すると扉を開いた。停車時間はわずかである、こちらも撮影を開始する。京都駅14番ホームは端の方にあるので撮影には適していない。13番ホームに停車してくれると、撮影は反対ホームから楽にできるのだけれども、こういうときは金属柵の内側からカメラを高く掲げて撮影する。

Img_5479  のぞみ29号博多行にはW8編成があたっていた。現在、山陽新幹線用に500系の編成を短縮化して充てる作業が行われている。運用は、こだま号。300km/hの最高速度を活かして運行できなくなると同時に、もともと500系は高速運転に特化した編成。車内容積では、新鋭、もしくは旧車両と比べ、見劣りする点も否めない。

Img_5497  500系の、東京~博多間のぞみ号運転は、当分は残るものの、先は長くはない。また、本数も激減している。撮れる時に撮っておきた特急だ。他方で、こだま号運転が始まっているので、通過退避として停車する500系こだま号を追い抜く500系のぞみ号、という、過渡期だからこそ撮影できる情景もあるようだ。

Img_5510  京都駅を発車する、のぞみ29号。九州新幹線と山陽新幹線相互乗り入れの車両関係考慮すれば現実的な案ではないけれども、500系を、ひかりレールスター運行に充当して、始発から終点まで、のぞみ号に一度も追い抜かれないというレールスターに、さらに300km/h運転、という高速度を付与してみては、と思ったりもした次第。

HARUNA

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平成二十年度二月期 陸海空自衛隊主要行事 実施詳報

2009-01-23 23:32:42 | 北大路機関 広報

◆海上自衛隊護衛艦一般公開

 2月期は、公式行事の情報はない、ただし、護衛艦の一般公開などが行われ、加えて、自衛艦ではないが、地球深部探査船の一般公開が神戸で行われる。

Img_2505  2月11日に、海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦しらね、が静岡県の清水港において一般公開される。自衛隊静岡県地方協力本部HP[]に詳細が掲載されている。場所は、清水港日の出埠頭四号岸壁。ヘリコプター搭載護衛艦しらね、は米海軍第七艦隊旗艦ブルーリッジとの姉妹艦として有名。昨年末に一昨年年末に発生した火災事故からの修理が完了し、任務に復帰した護衛艦として知られる。

Img_3337  名古屋港ガーデン埠頭にて、護衛艦おおなみ、が一般公開される。日時は1月31日1330~1630時と、2月1日0900~1130,1330~1630時の予定。自衛隊愛知地方協力本部HP[]に詳細が掲載されている。満載排水量6300㌧の護衛艦で、横須賀基地が母港。一般公開には整理券などは不要で、行けば見学できる。場所は名古屋駅、金山総合駅から地下鉄名古屋港駅に、そこから徒歩で五分。

Img_3860  地球深部掘削船ちきゅう、が2月15日に神戸港で一般公開される。詳細は海洋研究開発機構HP[]ちきゅう、の写真が無いので、よこすか、で代用。ちきゅう、は排水量59500㌧、マントル内部を掘削し、地球の内部、マントルの構造や地震発生のメカニズムを研究する船。神戸港六甲アイランド西側岸壁[六甲ライナー、マリンパーク駅より徒歩15分]にて0900~1530時まで一般公開の予定。

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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三菱重工海上自衛隊向け新造哨戒ヘリコプターSH-60K-8430号機

2009-01-22 22:18:39 | 先端軍事テクノロジー

◆30機目のSH-60K

 海上自衛隊向け哨戒ヘリコプターSH-60K新造機が飛行試験を行っている様子を写した写真が入手できたので掲載したい。小牧で生産された機体で試験飛行を行っている様子だ。

Img_2265  三菱重工小牧南工場では、空中給油受油プローブを装着した航空自衛隊向け救難ヘリコプターUH-60Jの588号機が飛行試験を開始したとのことであるが、写真は、同じ小牧南工場において生産されているSH-60K。ちなみに、UH-60Jの588号機は、空中給油受油プローブを装着しない状態で飛行試験も行うとのことで、時間がでてきたら、久しぶりに小牧の公園から撮影したい、と考える今日この頃。

Img_2260  さて、このSH-60Kであるが、機体番号が“30”と記されているため、8430号機、つまり新造されたヘリコプターであるということがわかる。8430、つまりSH-60Kも製造されて30番目の機体ということになる。海上自衛隊哨戒ヘリコプターの航空隊は、整理統合の結果、現在八個ある航空隊は五個航空隊へ集約され、結果、調達数は50機程度になるといわれているので、調達も後半に差し掛かってきた。先代のSH-60Jが103機導入されたことを考えるとずいぶんな縮小のようにみえる。

Img_2259  調達が順調なSH-60Kであるが、このほかにも航空機の順調な話題がある。聞くところによれば、神戸の新明和工業では、US-2洋上迷彩塗装の三号機となる9903号機[量産初号機]が初飛行を迎えた、とのこと。嘉手納基地には米空軍のF-22A前方展開が実施されており、航空関連では話題が多い日本の空である。

HARUNA

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