■特報:世界の防衛,最新論点
日本の戦車よりもよほど元気ではないか、やはり大量生産基盤と共に輸出による各国要求性能の繁栄は防衛産業を堅実なものとするのだなあとの実感です。
ノルウェー陸軍は次期主力戦車としてレオパルド2A7主力戦車を選定しました。この主力戦車選定には韓国のヒュンダイロテム社がK-2ブラックパンサー戦車の最新改良型を提案しており、各国の候補車両との競合を超えて、ドイツ製戦車と韓国製戦車の一騎打ちとなり、評価試験が2022年より実施されていました。今回、ドイツ製戦車が選定されたもの。
レオパルド2A7主力戦車は54両が導入されることとなります。今回選定された背景には、ノルウェー軍に配備されている主力戦車が、オランダ軍の冷戦後における戦力削減を受け余剰となったレオパルド2A4戦車52両となっていまして、性能的には主砲の長砲身化や正面と車体防御増強、暗視装置やデータリンク装置改良が挙げられるも共通点ある戦車です。
K-2ブラックパンサー戦車については、今回、韓国製戦車が初めて欧州に採用される可能性を受け、全力で売り込みを行いました。ただ、不採用の背景は不明ですが、決め手となったのは北極圏での運用性能という。これにともないノルウェー政府は昨年末に予定されていた選定決定を二か月以上延期しています。北極圏での戦車運用を想定した結果でしょう。
ノルウェー軍が採用を決定したレオパルド2A7主力戦車は2026年より納入が開始されることとなります。一方、ノルウェー政府は2022年末に予定された戦車選定の延期について、優先する防衛装備品調達を挙げており、これは長距離打撃兵器の取得を戦車の導入に優先したのではないかという憶測が上がりました。しかし延期は二か月強に留まっている。
レオパルド2A7主力戦車の選定について、北極圏での運用評価がもう一つの候補戦車であるK-2ブラックパンサー戦車を上回った、としています。韓国の戦車は朝鮮半島の厳寒期における運用を想定していますが、レオパルド戦車については元々ノルウェー、そしてフィンランドとスウェーデンでも運用実績があり運用情報を受け改良されていたのでしょう。
北極圏、印象的であるのはおそらく2022年末から2023年年始にかけての大寒波を評価試験に反映させた、ということです。そして北極圏は2010年代後半からロシア軍軍事施設の建設強化など、新しい戦場となりつつあり、ここで動くことができるのは機械化部隊、中でも戦車の機動力と防御力をNATOとノルウェー軍は重要視しているということでしょう。
トルコは開発が難航するアルタイ主力戦車について韓国製変速機の採用を決定しました。アルタイは韓国の技術援助を受け開発が進められているトルコ初の国産戦車です、しかし技術的な難航にさらされています。先にトルコは国産エンジンの開発を目指しましたが、トルコの技術では戦車用1500hpエンジンを開発することがどうしてもできず中断しました。
三菱重工製エンジン採用を調整したのですが、トルコがアルタイ戦車を第三国に輸出する方針を示すと三菱重工側が難色を示し、トルコ配備のものに限り三菱製エンジンを搭載し、輸出用はトルコが開発しているエンジンを搭載するよう三菱が提案したものの、トルコが難色を示し、トルコのエンジン開発が全く目処が立っていないことを示していますが。
エンジンは韓国からK-2戦車のエンジンをそのまま輸入することとしましたが、その後、変速機の開発で再度難航し、輸入した変速機を戦車に搭載したところ接合が稚拙で破断する事故を起こしました。このため、ヒュンダイドーサン製1500hpエンジンとともに今回韓国のSNTダイナミクス社製変速機をパワーパックの形で供給を受ける方針が決定しました。
トルコ初の国産戦車として開発が難航しているアルタイ主力戦車ですが、2023年5月にも試作車2両をトルコ軍へ引き渡す方針であることは発表されました。これはすべてトルコ製部品で製造するという構想を、繰り返す開発遅延によりとうとう見切りをつけ、パワーパックの部分を済めて韓国から輸入するという決定により完成のめどがついたためです。
SNTダイナミクス社製変速機、EST15K今回新たに韓国から供給されるのは2027年まで7490万ドル規模の契約にのぼるとのことで、またトルコ製変速機が完成しなかった場合のオプション契約として、EST15Kのオプション契約が含まれており、これによれば2028年から2030年までの間に追加の1億4100万ドル規模の変速機追加発注がありうるとのこと。
アルタイ戦車は2018年に完成目処がついたとして250両の第一次生産契約がトルコ政府との間で結ばれています、ただエンジンが完成せず、韓国からDV27K戦車用エンジンの輸入を決定しました。この250両は初期型であり、トルコ政府としては最終的にトルコ国産部品で構成されるアルタイ生産に移行し1000両を揃え、カタールなどにも輸出する構想です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
日本の戦車よりもよほど元気ではないか、やはり大量生産基盤と共に輸出による各国要求性能の繁栄は防衛産業を堅実なものとするのだなあとの実感です。
ノルウェー陸軍は次期主力戦車としてレオパルド2A7主力戦車を選定しました。この主力戦車選定には韓国のヒュンダイロテム社がK-2ブラックパンサー戦車の最新改良型を提案しており、各国の候補車両との競合を超えて、ドイツ製戦車と韓国製戦車の一騎打ちとなり、評価試験が2022年より実施されていました。今回、ドイツ製戦車が選定されたもの。
レオパルド2A7主力戦車は54両が導入されることとなります。今回選定された背景には、ノルウェー軍に配備されている主力戦車が、オランダ軍の冷戦後における戦力削減を受け余剰となったレオパルド2A4戦車52両となっていまして、性能的には主砲の長砲身化や正面と車体防御増強、暗視装置やデータリンク装置改良が挙げられるも共通点ある戦車です。
K-2ブラックパンサー戦車については、今回、韓国製戦車が初めて欧州に採用される可能性を受け、全力で売り込みを行いました。ただ、不採用の背景は不明ですが、決め手となったのは北極圏での運用性能という。これにともないノルウェー政府は昨年末に予定されていた選定決定を二か月以上延期しています。北極圏での戦車運用を想定した結果でしょう。
ノルウェー軍が採用を決定したレオパルド2A7主力戦車は2026年より納入が開始されることとなります。一方、ノルウェー政府は2022年末に予定された戦車選定の延期について、優先する防衛装備品調達を挙げており、これは長距離打撃兵器の取得を戦車の導入に優先したのではないかという憶測が上がりました。しかし延期は二か月強に留まっている。
レオパルド2A7主力戦車の選定について、北極圏での運用評価がもう一つの候補戦車であるK-2ブラックパンサー戦車を上回った、としています。韓国の戦車は朝鮮半島の厳寒期における運用を想定していますが、レオパルド戦車については元々ノルウェー、そしてフィンランドとスウェーデンでも運用実績があり運用情報を受け改良されていたのでしょう。
北極圏、印象的であるのはおそらく2022年末から2023年年始にかけての大寒波を評価試験に反映させた、ということです。そして北極圏は2010年代後半からロシア軍軍事施設の建設強化など、新しい戦場となりつつあり、ここで動くことができるのは機械化部隊、中でも戦車の機動力と防御力をNATOとノルウェー軍は重要視しているということでしょう。
トルコは開発が難航するアルタイ主力戦車について韓国製変速機の採用を決定しました。アルタイは韓国の技術援助を受け開発が進められているトルコ初の国産戦車です、しかし技術的な難航にさらされています。先にトルコは国産エンジンの開発を目指しましたが、トルコの技術では戦車用1500hpエンジンを開発することがどうしてもできず中断しました。
三菱重工製エンジン採用を調整したのですが、トルコがアルタイ戦車を第三国に輸出する方針を示すと三菱重工側が難色を示し、トルコ配備のものに限り三菱製エンジンを搭載し、輸出用はトルコが開発しているエンジンを搭載するよう三菱が提案したものの、トルコが難色を示し、トルコのエンジン開発が全く目処が立っていないことを示していますが。
エンジンは韓国からK-2戦車のエンジンをそのまま輸入することとしましたが、その後、変速機の開発で再度難航し、輸入した変速機を戦車に搭載したところ接合が稚拙で破断する事故を起こしました。このため、ヒュンダイドーサン製1500hpエンジンとともに今回韓国のSNTダイナミクス社製変速機をパワーパックの形で供給を受ける方針が決定しました。
トルコ初の国産戦車として開発が難航しているアルタイ主力戦車ですが、2023年5月にも試作車2両をトルコ軍へ引き渡す方針であることは発表されました。これはすべてトルコ製部品で製造するという構想を、繰り返す開発遅延によりとうとう見切りをつけ、パワーパックの部分を済めて韓国から輸入するという決定により完成のめどがついたためです。
SNTダイナミクス社製変速機、EST15K今回新たに韓国から供給されるのは2027年まで7490万ドル規模の契約にのぼるとのことで、またトルコ製変速機が完成しなかった場合のオプション契約として、EST15Kのオプション契約が含まれており、これによれば2028年から2030年までの間に追加の1億4100万ドル規模の変速機追加発注がありうるとのこと。
アルタイ戦車は2018年に完成目処がついたとして250両の第一次生産契約がトルコ政府との間で結ばれています、ただエンジンが完成せず、韓国からDV27K戦車用エンジンの輸入を決定しました。この250両は初期型であり、トルコ政府としては最終的にトルコ国産部品で構成されるアルタイ生産に移行し1000両を揃え、カタールなどにも輸出する構想です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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