北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

令和五年度四月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2023.03.25-2023.03.26)

2023-03-31 20:10:46 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 新年度から北大路機関は創設20周年を迎えますが本日はこれはさておき、新年度早々の自衛隊行事紹介とまいりましょう。

 年度末、いよいよ2022年度も今日限りですが行事予定は明日土曜日から新年度となりますので、来年度の行事紹介です。昨年は年度初め、緩慢に限定公開から様子見となりました自衛隊関連行事は、いよいよ再始動、本格的に入場制限のない行事が執り行われます。久しぶりとなりますのでカメラの点検とともに、混雑は凄いことになるとおもうのですね。

 熊谷基地さくら祭、4月2日日曜日に開催が決定しました。COVID-19感染拡大前には毎年新年度の記念行事として有名であるとともにブルーインパルスの飛行展示が新年度最初に行われるという事で注目を集めていましたが、残念ながら復活の熊谷基地さくら祭では今年はブルーインパルス飛行展示、飛行展示全般予定されていないとのことでした。

 熊谷基地さくら祭、今年はCH-47J輸送ヘリコプター展示が行われるという事で航空自衛隊らしい行事にはなりそうです。このほかに地上展示には保存機のF-86FやT-33にF-86Dという昭和の怪獣映画でおなじみの機体が並びます。基地太鼓部、そして航空自衛隊中央音楽隊の音楽演奏、高射機材や通信機材の展示が行われ、基地祭を盛り上げる事でしょう。

 奈良基地一般開放。4月1日土曜日、0900時から1600時の時間に予定されています。こちらは航空自衛隊幹部候補生学校が置かれている基地で、例年六月位に開港祭は行われていましたが、今回の一般開放は“令和五年度航空自衛隊奈良基地一般開放”という位置づけで、基本的には観桜のための桜並木一般開放なのですが、装備品展示も行われるという。

 奈良基地一般開放では桜並木の公開とともにペトリオットミサイルの一般公開と基地太鼓部の演奏、また基地厚生センターも解放されるとの事で、幹部候補生学校土産などを買うこともできるとの事、ただ留意事項としまして、悪天候の場合は中止の可能性があり基地SNSなどで情報を確認する、また体温が37.5度以上の方は入場できない、ご留意下さい。

 新町駐屯地創設72周年記念行事、群馬県高崎市の、比較的駅に近い駐屯地で二日連続で実施されますので日程と実施行事をお間違えにならないようご注意ください。1日土曜日が記念行事で2日日曜日が桜まつり一般開放、観閲行進やミサイル部隊の迫力を眺めたい方には土曜日、ミサイルよりさくらを静かに観桜したいという方には日曜日がおすすめ。

 第12対戦車中隊や第12後方支援隊などが駐屯する新町駐屯地、79式対舟艇対戦車誘導弾が配備されている最後の部隊であり、同時に師団長最後の手札といわれた対戦車隊の系譜を持つ、旅団隷下部隊ですが対戦車中隊が残る最後の部隊でもあります。79式対舟艇対戦車誘導弾はもうそろそろ用途廃止が近く、この機会に対戦車中隊を見ておくのもいい。

 近海練習航海部隊は明日4月1日に沖縄の那覇に入港します。那覇港での寄港は土曜日から4日の火曜日までが予定されています。そして練習艦隊は木曜日の出航に続いて、今度は南九州の鹿児島港へ6日木曜日に寄港、8日土曜日までの期間鹿児島に。鹿児島での入稿は運が良ければ桜島の噴煙とともに迫力ある情景を見ることができるかもしれません。

 新年度は行事の実施がコロナ前とは若干異なっていますので注意が必要です、例年新年度最初に行われていました静岡の駒門駐屯地祭は四月半ばに、そしてゴールデンウィークに行われていました岩国基地日米フレンドシップデイも四月中旬に移動しています、このあたり日程を十分確認し、感染対策も重要ですが宿泊先の確保などにも余念なきよう。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・4月1日:新町駐屯地創設72周年記念行事
・4月2日:熊谷基地さくら祭
・4月1日:奈良基地一般開放


■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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ウクライナ軍無人機"エンタープライズ"開発,日本も退役UH-1Jヘリコプター等を無人航空機へ活用できないか

2023-03-31 07:00:31 | 先端軍事テクノロジー
■有人航空機の無人機化
 日本はかつてF-104戦闘機を退役後に無人標的機へ改造したことがありましたが。

 ウクライナ軍は独自の無人攻撃機エンタープライズを完成させたとの事です。これは既存の小型飛行機を無人運用可能としたもので、比較的簡単に開発する事が可能、実際に2020年のナゴルノカラバフ戦争においても旧式であるAn-2コルト小型輸送機を転用した同様の無人機がありました。この方式、実はもう少し日本でも真剣に検討しては、と思うのです。

 UH-1J多用途ヘリコプターやUH-60J救難ヘリコプターなど、用途廃止航空機は毎年多数が出ています、またAH-1S対戦車ヘリコプターなども用途廃止機が多く、間もなくAH-1S対戦車ヘリコプターは完全廃止が見えていますし、OH-6D観測ヘリコプター等は全廃されています。ただ、その耐用年数限界がそのまま飛行不能を意味するわけではありません。

 無人機の原型機とはできないか。アメリカ陸軍では現在、UH-60多用途ヘリコプターの無人運用に向けた改修実験が進められており、兵員輸送に使う計画は無いようですが、敵防空火器などにより飛行が危険とされる地域への強行輸送や、操縦士に過度な負担を掛けないよう第一線への輸送任務などに無人型のUH-60多用途ヘリコプターを充てるという。

 アメリカ軍のUH-60による実験、日本であれば飛行場は全て周辺に住宅地か人口密集地域という問題はあるのですが、例えばUH-1Jを原型とした無人機であれば、飛行場でなくとも演習場や海岸線までトラックにより輸送する事は可能です、そこから発進し、飛行経路を海上や河川上空などに限定するならば、墜落による危険はそれほどおおきくありません。

 SH-60J哨戒ヘリコプターなどは一部を輸送用に改修する計画もあるようですが、人員を輸送せず物資輸送に特化するのであれば、かりに老朽化により墜落事案が発生した場合でも、人口密集地や住宅などに墜落しないかぎり、人的損害は生じません、なにしろ機体は無人なのですから。用途廃止航空機をそのまま税金で解体するのではなく別に活用できないか。

 無人機に改造した場合、操縦は自動操縦と遠隔操作の併用になるため、操縦技術さえ確立させれば操縦訓練は地上シミュレータだけで飛行させる事無く訓練可能で、これは整備負担や運用費用を大きく抑える事になりますし、なにより飛ばさないのであれば機体の構造負担にも繋がりません。用途廃止とはいえ国家財産、解体せず活用する選択肢が、必要です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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南海トラフ連動地震と十二年目の東日本大震災【6】道路は何時復旧するか-重要な被害把握

2023-03-30 20:23:43 | 防災・災害派遣
■想定される広大な被災地
 南海トラフ連動地震の課題は被災地が非常に広大であり後方拠点から被災地までが遠くなることです。

 被災地への道路復旧見積もりをどのように考えるか、これにより救援物資輸送は空輸から陸送に転換できます、また貨物列車の運行が可能となれば、救援拠点への物資輸送能力は大幅に増大するのですが。この場合、長周期振動による本州四国連絡橋の倒壊がどの程度免れるかも大きな要素となるのかもしれません、倒壊してしまうと対処計画は破綻する。

 本州四国連絡橋倒壊の懸念、耐震性は十分確保されているのでしょうけれども、設計当時に長周期振動をどこまで想定していたかは未知数であり、一方で本州四国連絡橋完工と同時に本四連絡船の多くが廃業しており、もちろんオリーブラインやオレンジラインなどいくつかのフェリーは運行されていますが、かつての規模とは輸送力が比較になりません。

 安全確認のための通行止め、もっとも懸念するのは一部損壊した状況で通行可能と見えるのだが念のため止めることで災害初動の通行が不能となる懸念です。もちろん管理者としては安全第一、被災地救難だから通せといわれても被災地救助は橋梁管理者の所掌外です、そして問題は遅発性連動地震、つまり半割れとして次の発災が懸念される状況でしょう。

 半割れという、南海トラフ連動地震は、南海地震、東南海地震、東海地震、この三つの地震が連動することを示すのですが、過去連動しているのですが連動は必ずしも同時発生を意味することではなく、数時間から数年の間隔が開くことをしめします、1944年東南海地震と1946年南海地震は2年間離れていました、二度目で倒壊する懸念も十分あります。

 本四連絡橋はその象徴的な事例として提示しましたが、南海トラフ地震ではどの程度、道路網や橋梁と埠頭などが被害を受けるかが全く未知数です、津波被害も想定されますし山岳崩壊による道路寸断、盛り土崩壊や高架崩落も懸念しなければなりません、ただ、懸念してう回路を探すばかりでは輸送計画を立てられないことも確かで、するとどうすべきか。

 MQ-9無人偵察機とAH-64D戦闘ヘリコプター、MQ-9は導入計画がまだ成立していませんしAH-64Dについては用途廃止が見込まれているために、例示でしかないのですが、まず、修復が必要な道路網は、被害の把握が必要です。しかし現段階では情報収集の手段が十分にない、という点と、広域被害を確認するための研究さえ今はまだ不十分という。

 スキャンイーグル無人機を、例えば集中投入することはどの程度できるのか、発災当日はあらゆる航空機が飛行します、救難ヘリコプターに防災ヘリコプターと消防ヘリコプターに報道ヘリコプターと輸送ヘリコプター、こうした過密空域において同じ飛行高度を飛ぶ無人機をどのように安全に運用するかという技術研究は、十分行われているのでしょか。

 情報収集能力についても未知数の段階があり、例えばスキャンイーグルは監視航空機で、長時間にわたる滞空能力はありますが、第14情報隊が善通寺駐屯地から発進させて四国山地を超え高知県沿岸部を監視させるほどの進出能力はありません、通信管制能力が100㎞、高知市はなんとか範囲内ですが南部までは中継装置をもう少し進出する必要があります。

 MUM能力構築が不可欠となる、今回AH-64D戦闘ヘリコプターを例示しましたが、この機体には無人航空機の管制能力があり、MUM能力、つまり有人航空機と無人航空機の連携能力があるのです。とにかく、無計画に物資さえ送ればよい、という災害規模ではありません、必要な物資を必要な時間帯に輸送する、広範囲が被災するため、無駄な物資はない。

 スキャンイーグルと遠距離偵察能力、特に道路運用をどの程度、限定的に通行できるのか、数時間施設科部隊による障害除去により通行可能なのか、完全寸断しているのか、そして激甚被害地域とある程度地域防災能力が維持されている地域とを把握し、救助計画を立てなければなりません、すると必要なのは道路輸送計画、通行可能な交通量と経路選定です。

 南海トラフ連動地震は、非常に大きな規模ではあるのですが、悪意はありません、これが軍事行動であれば物資集積所や橋梁だけをピンポイントで破壊する、または交通結節点というその一か所が破壊されると迂回路へ移動できない要衝などが重点的に破壊されるのですが、地震は無差別であるものの悪意はない、被害予想に絶望する必要性はないのですね。

 輸送計画は、自衛隊はもちろん、自治体と協力企業や消防救急の輸送も調整することとなります、どれだけの規模が集まれるのか、どの程度の道路網に被害が及ぶのかは、実際発災するまで不明ではあるものの、先ず情報収集を行う、そのうえで割り振る、幸いIT化された現代ですので、システムさえ構築してしまえば計画交付は短時間で実施可能でしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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イギリスTPP環太平洋包括協力協定加盟へ各国11か国の合意見通し,日英次期戦闘機開発へも好影響

2023-03-30 07:01:03 | 国際・政治
■世界GDP15%の規模へ
 TPPがまた一歩前進するようです。そしてこの協定はF-2戦闘機とユーロファイター戦闘機後継機を目指す国際共同開発にも影響する可能性があるのです、

 29日のロイター通信報道によれば、イギリス政府が要請しているTPP環太平洋包括協定加入について、その加入手続き上必要とされている加盟国11か国の合意が間もなく得られる事となる見通しという。これによりイギリスはTPP12か国目の参加国となります。TPPのイギリス加入は、同時に今後本格化する日英伊の戦闘機共同開発にも好影響があります。

 TPP環太平洋包括協定、日本が主導する事になってしまった環太平洋地域での総合的な協力関係で、これは非関税協定のような経済分野は勿論、投資枠組の制度共通化や知的財産権管理、法手続き制度の共通化、紛争解決枠組などが盛り込まれており、また未発効の枠組みとしては電気通信などの共通化など、より踏み込んだ内容も交渉されているものです。

 日本が主導する事となってしまった、という背景には、これは元々アメリカのオバマ政権時代に進められた施策であり、しかしトランプ政権が成立した際、政権公約としてTPP離脱を表明、その協定には署名したものの加盟は凍結したままであり、これは同じ民主党政権であるバイデン政権でも継承され、結果的に日本の位置づけが重くなったというもの。

 イギリスのTPP加盟交渉は、イギリスジョンソン政権時代のEU欧州連合イギリス離脱とともにイギリスの巨財経済圏へのアクセス喪失に伴う代替案として提示されたもので、TPPは欧州共通市場の代替という位置づけです。イギリスは環太平洋諸国かとの問いですが、海外領土として南太平洋にピトケアン諸島という人口数十人規模の領土を有している。

 イギリスTPP加盟により、オーストラリア、ブルネイ、カナダ、チリ、日本、マレーシア、メキシコ、ニュージーランド、ペルー、シンガポール、ヴェトナム、この加盟国にイギリスが加わる、これによりTPP参加国は全世界のGDP15%に達する事となり、これはEUの25%ほどではないがアメリカも中国も参加しない経済協力としては特筆できる規模です。

 EU欧州連合のような共通安全保障枠組機能を有するものではありません、しかし単なる非関税協定よりも包括協力の名の通り深い分野での協力が盛り込まれ、これは必然的に現在進める戦闘機共同開発など防衛装備品開発に伴う知的財産権保護などの問題にも対応することとなります。そして加入国増大は、アメリカ復帰など別の波及効果も期待できるものです。

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【京都幕間旅情】城南宮,梅林は開戦の地-承久の乱勃発の地は二重権力の統一へ向けての現代日本への原点

2023-03-29 20:22:44 | 写真
■梅園の当地に歴史あり
 カメラのホワイトバランスを変えていないのにさっとく尾の中から太陽が光さし情景を一変させる事があり、これが曇天の日の撮影の醍醐味か。

 平安朝末期の時代には有名な治承三年の政変、これにより後白河法皇が平清盛によりここに幽閉され、院政を停止するという一幕はありましたが、やがて鎌倉時代が到来します。歴史的に見て不思議なのは鎌倉幕府、東国武士は瀬戸内など西国に興味を示さなかったこと。

 西園寺氏、藤原家の傍流ですが、そもそも平清盛が栄華を誇ったのは西国の瀬戸内海賊討伐を経て瀬戸内海の制海権を握り海上交易航路を一手に掌握したことにありました、ここを抑えれば得られる巨万の富を以て、福原京造営や関門開発など一気に推し進めている。

 海上交易航路を、鎌倉時代に掌握したのは源氏かと問われますと、鎌倉幕府は一応形式的な掌握は行うものの実益は全て西園寺氏が掌握することとなり、そこにより得られた莫大な富はそのまま宮中行事などの費用として拠出、貴族政治を強力に支える事となった。

 東西では、一応征夷大将軍の襲名を続けていたものの、鎌倉幕府そのものは執権政治による二重権力状態となり、これはいわば今の価値観で知る征夷大将軍、暴れん坊将軍や水戸黄門で無意識下に刷り込まれている価値観、その征夷大将軍とは全く性質が異なるのです。

 承久の乱は、自らは院と朝とに分かれる二重権力状態ではあったのですが、鎌倉幕府が源頼朝の没後、源頼家と源実朝と相次ぐ将軍暗殺による北条氏執権による二重権力状態が醸成されることでの御家人の二重権力状態を突き、院が支配回復を目指したものでした。

 戦闘の経過は、これは墨俣木曽川の戦いや砺波の戦いなど興味深いのですが、動員計画の不得手と指揮系統の不明瞭、恰も関ケ原の戦いの西軍の様な不手際を先取りする形、上皇は敗北しています。ただ、これにより日本社会と統治機構は確かな変容が生まれたのです。

 城南宮、ここは王城鎮護の裏鬼門を守る社殿という平安遷都の頃の造営を経て、鳥羽離宮造営とともに院政が始まりますと離宮鎮守社へ変容し、ここで後鳥羽上皇が開いた流鏑馬揃えの神事、実は当時の鎌倉幕府打倒に向けた兵力集中の一環となり歴史の表舞台へ。

 承久の乱勃発の地、歴史的な転換点となりました遺構です。その戦闘経過は、別の機会などで詳しく議論したいところですが、京都と鎌倉の二つの王都という日本史の分岐点、この戦闘の敗戦処理により一つとなった、という点は実は今のニッポンを形作ったといえる。

 西園寺公経、佐幕派の公家でありました西園寺公経は承久の乱勃発とともに後鳥羽上皇の捕虜となりましたが、逆にこの行動そのものが全く騒乱に無関係であったことを立証、幕府の指示により内大臣へ、西園寺家の朝廷における権力基盤を固めることとなりました。

 後鳥羽上皇に付き従った一条信能、葉室光親、源有雅、葉室宗行、高倉範茂、そうそうたる公家たちはそのまま鎌倉へ送られ、途上で粛清されました。後鳥羽上皇は隠岐の島へ配流となり、しかし朝廷権威は鎌倉幕府に尊重され、今に至る分権体制の下地の一つとなる。

 六波羅探題が幕府により新設され、鎌倉による京都の監視という結果的な行政の一本化が執り行われ、そして名実ともに院政は終焉を迎えます。逆に二重権力と思われた鎌倉幕府の執権と将軍の権力基盤は北条政子による号令とともに一本化、すっきりまとまります。

 権威の朝廷と実権の幕府、海外の理解ではキリスト教民主主義とローマ教皇の制度やスルタンカリフ制のような理解もあるようですが、どことも異なる日本の制度は院政の二重権力のもとで幕府が開かれ機能不随が見えていました、ここに筋が通ったという訳です。

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【京都幕間旅情】城南宮,日本史の白河天皇の鳥羽離宮造営と後鳥羽上皇の承久の乱-かつての新都心を包む梅花

2023-03-29 20:00:09 | 写真
■咲き誇る梅花の梅園
 2023年は前にもまして桜前線の北上が早く京都は最早満開から散り始めの様相ですが、順番ですので先ずはここ城南宮の梅花を愛でました日常の中の旅情を。

 梅花の季節はなぜこう心地よいのか、考えてみるとようやく今年思い至ったのは、静かであるという意味が大きく違ったという事です。梅の花見は静かで桜の花見は賑やか、というのは前々から宴会というものの有無、宴会か歌会かを考えていたのですけれども、ね。

 花見が静か、というのは気づきました、蜂の羽音の有無です。梅花にはまだ蜂が飛び始めていないのですね、つまりまだ寒いのだ、という事にもなるのかもしれませんが、そう考えてみると桜の花にはぶんぶんと蜜蜂の羽音が大きいのです、梅花の際はまだ飛びません。

 酒宴になる桜の花見、COVID-19の季節もようやく終わりましたのでそろそろ2023年は再開、というところになるのか、もう少し慎重となるのか。そして桜花観桜の酒宴は、蜂の音が気付かないほどに賑やかなのだろうなあ、と思うのですが観梅は蜂が静かなのです。

 蜜蜂であっても、刺されれば多少は痛いものですし、アナフィラキシーショックというアレルギー反応の問題もありますから、ぶんぶんと音が鳴り響くのは多少緊張感を強いるものでしょう、実際、数が多いものですから樹上を数百数千と飛ばれますと音はよく響く。

 観桜の際に、そう確かに羽音がしているもので、考えると桜の真下では長時間、一人二人の観応の際には散策することはあっても、真下に長時間、というものはないように感じた、歩いているか動いたまま、時折立ち止まって撮影する、座るのはもう少しとおいところ。

 蜂の羽音、考えれば相手も警戒音として翅を使う習性があるのですし、人類には太古の昔から蜜蜂にやられた方も少なからず多いのでしょう、ゆえに生理的に不安となる音のような考えも成り立つ、なるほど、梅花が落ち着くには、そうしたものもあるのだろうなあ。

 城南宮、鎌倉時代の一つの転換点となった、あの承久の乱はここから始まったのだ、こう思い起こしますと、なるほど幾多の戦火により当時の遺構は失われているのだけれども、今のニッポンへ至る分水嶺の一つがここであったのだなあという素朴な感慨がわきます。

 後鳥羽上皇は鎌倉時代の承久3年こと西暦1221年、武芸を奉納するべく流鏑馬揃えを城南宮にて執り行う為に信頼のおける貴族や武士に呼びかけています。流鏑馬ならば墨染神社だろうとか、弓の神様なのだから石清水八幡宮だろう、とおもうのは一般的でしょう。

 城南宮の歴史は平安遷都の頃に平城京から王城鎮護の社殿を移築したのが始まりとされています、しかし城南宮と平安京は、特に桓武天皇が晩年に軍事と造作という、特に首都移転事業を式年遷宮のごとく繰り返す造作政策を終了したことで市域がどんどん広がります。

 白河天皇が鳥羽離宮、所謂“城南離宮”を造営したのは平安朝後期の時代ですが、帳級が造営されるとともに城南宮は離宮の鎮守社として実質取り込まれることとなりました。いや、元々城南宮は王城鎮護へ裏鬼門を固める社殿であり平安京はここを南端に整備された。

 鳥羽離宮の整備は、同時に鴨川と桂川の合流点であり水運の起点で、そして山陽道と東海道が交錯する緊要地形を醸成してゆくのですが、同時に市域の南端ということは南方には避暑地となる緑と木々が茂り、ここに離宮を造営し院政を始めたことで重要性は増す。

 院政の時代はこうして始まり、一方で上皇権限はいまよりもずっと強く、といえる上皇陛下の時代再来にはなにか素朴な郷愁感を満たされる優雅さを感じるのですが、院政の聖地は次第に貴族邸宅の増設が放射線状に広まり、一種の新都心を形成していったのですね。

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ロシア軍の冬季攻勢は攻勢限界か?春季攻勢準備-ウクライナ軍へ最初のレオパルド2戦車引き渡しと搬入開始

2023-03-29 07:00:05 | 国際・政治
■臨時情報-ウクライナ情勢
 ウクライナへレオパルド2主力戦車最初の18両が到着したとのことでいよいよ春季攻勢への準備が大詰めとなります。この海外製装備の迅速な戦力化は自衛隊も学ぶべき点が。

 ロシア軍の冬季攻勢は、攻勢限界に達したとみられます。根拠としては、バフムト包囲を試みるも弾薬不足と装甲車両の不足から包囲機動を執ることができない点、バフムト外縁での防御陣地構築の動きとともに攻撃発起点から距離の遠いバフムトを避けた戦線構築の動きがみられるという点です。ただ、防衛線を維持する補給路維持について不安がある。

 ウクライナ軍の春季攻勢は、このところのウクライナ軍砲兵部隊は弾薬集積を継続しており、攻勢が近いことを意味します。特にロシア軍がバフムト近郊において防御線を構築中ですが、ウクライナ軍が運用をまもなく開始すると思われるレオパルド2主力戦車、第三世代戦車については、第二世代戦車よりも高い防御力と機動力を有している点が肝要だ。

 第三世代戦車は第二世代戦車開発当時にはなかった軽量だが強靭な複合装甲による戦車砲弾の直撃に耐える防御力、第二世代戦車開発当時にはなかった戦車に搭載可能である1500hp級エンジンにものをいわせての機動力の高さがあり、また、データリンク装置を搭載するため、敵の防衛線の間隙に分散して浸透攻撃を行い、目標直前で集合が可能だ。

 防御線といいましても、第一次世界大戦中のような幾重にも重なっての塹壕線と砲兵陣地や地雷原が隙間なく維持されているわけではありません、何故ならばそんな陣地を維持するには当時、一個師団の責任正面範囲が3㎞ほどであり、そんな密度の戦線を維持できるほどロシア軍はウクライナへ兵力を展開していないためです、すると間隙は必ずある。

 防御陣地と広報連絡船を浸透して遮断する能力が、レオパルド2やチャレンジャー2戦車にはあります、ロシア軍はウクライナ軍のHIMARS高機動ロケットシステムを警戒し、戦線の後方、80㎞の射程圏外に物資集積所を置いていますが、現代の戦車運用は浸透することで相手の後方策源地を叩き潰すことが可能だ。この戦い方はロシア軍にはありません。

 ロシア軍は損害を顧みない運用を、特にロシア政府が民意の反発を完全に圧殺しているために、無茶苦茶な兵力運用が可能です。しかし、ウクライナ軍の戦闘は洗練されており、思わぬ損耗を強いられることもあるでしょう。他方、ロシア政府は損耗が大きくなるほど、成果がなければ停戦さえ応じることができず、戦争はさらに長期化する懸念があります。

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【防衛情報】アメリカ軍無人機,ALEイーグレット空中発射無人航空機システムとエアロゾンデ無人航空機

2023-03-28 20:01:51 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 今回はアメリカ軍の無人機動向について。無人機から発進する無人機や観艦式の際に横須賀沖に居ました機動揚陸プラットフォームを母艦とする無人機などなど。

 アメリカのジェネラルアトミクス社はALEイーグレット空中発射無人航空機システムの飛行実験に成功しました、この実験は2022年12月8日に行われたもので、無人航空機に搭載して敵対空域付近まで接近し発進、既存の無人機はドローンと愛称されますが、ドローンは元々無人標的機を示し、広域防空システムなどが展開する状況では運用が難しい。

 ALEイーグレット空中発射無人航空機システムは小型で探知が難しく、また機体形状はステルス性に配慮されているものです。この試験にはアメリカ陸軍が運用するMQ-1グレイイーグル無人偵察機が用いられており、グレイイーグルは滞空時間が大きく戦場監視航空機としては有用な設計の航空機ですが防空システムが展開する空域で運用は制限される。

 MQ-1グレイイーグル無人偵察機とALEイーグレット空中発射無人航空機システムの連携は、イーグレットよりもグレイイーグルの方が大きな航続距離を活かし進出するというものですが、今回試験には成功したものの、本機をリモートセンサーとするのかデコイの一種として運表するのか、徘徊式弾薬として用いるのか、これから開発される事となります。

 アメリカのテキストロンシステムズ社は水上艦ミゲルキースからのエアロゾンデ無人航空機試験に成功しました。エアロゾンデ無人航空機は内燃式ライカミングEL-005エンジンを搭載した軽量無人機で、全幅は3.7mとなっていますが140㎞圏内での14時間以上にわたる滞空時間と36.4㎏の物量輸送能力があり、簡易カタパルトからの運用が可能です。

 ミゲルキースは機動揚陸プラットフォームとして建造されたルイスBプラー級遠征海上基地の二番艦で満載排水量は81435t、今回の試験では簡易カタパルトからの発進とともに展張ネット方式での着艦回収を試験したといい、今回の実験にはこのほかにイージス艦2隻が参加、艦艇の協同とともに周辺での情報収集や監視能力を実験したものと思われます。

 エアロゾンデ無人航空機はその輸送能力からソノブイ運搬能力や小口径爆弾などの運用能力はあると考えられ、例えばヘリコプターに依存しない対潜戦闘なども可能となりまる、これまで水上戦闘艦より運用されていたスキャンイーグル無人航空機よりもセンサー搭載能力が大きく、単なる搭載センサーによる情報収集以上の性能などが期待されています。

 インド海軍はアメリカよりリース貸与されたMQ-9無人機を2年間で10000時間飛行させました。インド海軍が貸与を受けたMQ-9は2機、貸与期間は2年間ですが、仮に半分づつ飛行したとして5000時間、これは日数換算で208日間以上飛び続けたこととなり、別個に飛行させた場合でも一週間の内丸々四日間はどちらかが飛行していたこととなる。

 MQ-9無人機は相性がリーパー、インド海軍向けの機体貸与は2020年11月21日に初飛行しました、これは驚くべきことです。メーカーであるゼネラルアトミクス社としても長時間の滞空時間を示してはいるのですが、一個飛行隊定数は8機とされています、その四分の一である2機でも一週間の半分以上を2年間常時飛行させ続けられる証明なのですから。

 MQ-9無人機の滞空時間は24時間を超えるものですが、最終的に一度は着陸し、燃料補給やエンジン整備を行う必要があります、このため、年間どの程度飛行させられるかは今回の試験が実質的にその限界値を示した構図で、既にMQ-9はアメリカ、イギリス、フランス、イタリア、オランダ、スペインで採用されていますが今後採用も増えるでしょう。

 アメリカのテキストロンシステムズ社はアメリカ陸軍将来戦術無人航空機システムFTUAS-Increment-2の主契約企業に選定されました。FTUAS-Increment-2により整備される無人航空機は、陸軍旅団戦闘団単位で運用する戦術無人機であり、厳しい野外状況での継続的運用能力や最小限の人員での可搬性、乏しい補給下での運用能力が求められます。

 FTUAS-Increment-2へテキストロンシステムズ社が提示した案は二名での可搬能力を持ち、現地で組み立てる固定翼方式無人航空機です。その形状はOV-10ブロンコ観測機のような胴体構造とともに、パイオニア無人機のようなエンジン配置を採用、それでいて車輪は四本の支柱で一定高度までの上昇にはヘリコプター方式の回転翼二基を配置するもの。

 複合ヘリコプターの表な設計哲学に基づき、その機体形状も一見複雑な田桁状構造を採用していますがスキャンイーグル無人機と異なりカタパルトや改修ネットなどは必要としませんし、無理に電動化することなく航空燃料を用いて運用するとのこと。ただ、この無人航空機の行動半径や滞空時間、センサーなどの搭載能力はまだ明らかにされていません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌-広島,広島港に復活のガネーシュは香辛料と麦酒が迎える

2023-03-28 07:01:44 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 広島と云えば呉地方総監部が置かれる文字通りの総監部の街並みとともにかつての軍都でもある街です。

 練習艦隊江田島出航、2012年から毎年撮影できています自衛隊行事であり、これは一般公開行事ではありませんのでCOVID-19感染拡大下の部隊行事中止が続いた2020年と2021年に2022年、そして今年2023年も撮影する事ができた自衛隊行事でもあります。

 広島港、宇品はかつて船舶工兵司令部が置かれた港ですが、いまは江田島へ、そして呉と松山へ、また厳島へも航路が展開していますが、広島駅から路面電車で45分、距離としては近いものの広島市内の交通渋滞を縫って、しかし駅から直通運行されているのですね。

 ガネーシュ。2023年はいろいろと凄いことがあったのですが、特になぜかインド軍とご縁があるところ、そして広島港を江田島へ船出するまでの待ち時間、そういえば昨年再訪した際に閉店していた、あのカレー屋さんはどうなったか、港ビル二階へ上ってみました。

 営業しているではないか。いや、視点が残っているのはインターネットでも調べられたのですが、あのガネーシュさん、復活していた、広島港店、これは、驚いた。ほう、と思いつつランチタイムは中々の混雑で江田島行高速船出航まで30分ほど、では帰路に寄ろう。

 キングフィッシャービール。練習艦隊出航の際にもカレーのことばかり考えていました、出向は土曜日で、カレー曜日は前日なのに、青の日江田島であれだけカレーのことばかり考えていたのはわたしくらいじゃあないのか。そして高速船で広島に戻り、ビールを頼む。

 とくとくとくと注ぐビールに片手でカメラを操作するのは忙しいのですが注文した料理が出てくるまでの間にふと一息入れる、そうこのキングフィッシャーから始まる海辺のインド料理、この感じを久々に思い出しました、ここのお店が復活していてよかったなあ。

 ひよこ豆のサラダ、実はキュウリが苦手なのですけれども、昔福岡の若松は戸畑で焼酎と一緒ならばキュウリの苦手な香りがどうにかなることを知った、そしてまあ酒精は薄いもののひよこ豆のサラダをキュウリともども頂きました、ひよこ豆は色々な料理の馴染み。

 タンドリーチキンが焼きあがりました。この二つのピースを巧く並べて一つの大きなチキンのように仕上げる焼き方は、これは昔ときれいに同じなのだなあ、さてナイフとフォークで頂きます、短ドリーは指先に香辛料がつくと翌日までタントリーな香りが続くから。

 チキンにはもう一つビールだ、とはのん兵衛的発想なのだろうか、インド風焼き鳥という訳ではないのだけれども焼き鳥とビールがよく合うようにタンドリーチキンとキングフィッシャービールはとても良く合うのだ。熱々すぎる窯出しチキンを冷やしているだけか。

 計算外だ、というのは、ガネーシュさんが昨年閉店して復活しているとは思わなかった点で、実はこの日別のお店に行く予定があったのでした、故にカレーとバターナンにケバブともう少しお酒を入れたいところなのだけれども、時間もおなかの余裕も残しておきたい。

 COVID-19は日本の飲食業界には試練という以外表現がない激震でした、いや京都市の観光業もものすごい打撃を受けましたし宿泊業も物流も製造業もあらゆるところに激甚被害を及ぼしたものです、しかし、いったん仕舞った暖簾を、また出したところも多い。

 路面電車とともに、もう間もなく感染症法五類に変更され、また危険な変異株もこの一年間は発生せずWHO世界保健機関もPHEIC解除の可能性を検討し始めました。すると、ダメかと思ったお店のその後を探訪する旅行を、もう一度全国に広げてみたいものですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【防衛情報】韓国軽攻撃ヘリコプター計画とインドネシア国産戦車ハリマウ中戦車,フランスルクレルクXLR

2023-03-27 20:00:21 | インポート
■週報:世界の防衛,最新11論点
 今回は陸軍関連11の話題です。

 韓国陸軍はAH-64E戦闘ヘリコプターと国産軽攻撃ヘリコプターのハイローミックス計画を発表しました。南北軍事境界線を隔てて北朝鮮軍と対峙する韓国軍は北朝鮮が数十隻を装備するエアクッション揚陸艇による離島地域への攻撃を警戒しており、AH-64E戦闘ヘリコプターを導入しましたが、充分な数を揃えるには取得費用の高さが大きな課題でした。

 2023年から2028年の期間、韓国軍はAH-64Eアパッチガーディアンを追加調達する計画を進めており、このために取得費用として3兆3000億ウォンの予算を計上しています。しかし、これをもてしても韓国が導入したAH-64Eは36機であり、旧式化したAH-1対戦車ヘリコプターやMD-500軽攻撃ヘリコプターを置き換えられず、今回の決定となりました。

 インドネシア陸軍は初の国産戦車ハリマウ中戦車を2022年内に受領する方針を発表しました。ハリマウはトルコの技術協力を受け開発している中戦車で、MMWT現代型中規模戦車計画として開発が進められていたもの。初期の車両をトルコのFNSS社が製造支援し、本格的な量産はインドネシアのPTピンダットが担当、ハリマウとは虎を意味する。

 ハリマウの形状は正面からは中砲を搭載した自走榴弾砲のようにみえるもので、主砲はコッカリル社が開発したC3-105自動砲塔を採用、これは自動装填装置と火器管制装置を一体化した電動砲塔です。車体は自走榴弾砲にみえるのはトルコの水陸両用装甲車の技術を応用したためで、エンジンにキャタピラー社製711hpディーゼルエンジンを積む設計です。

 防御力は基本装甲がNATO防弾規格レベル4となっていて200m以内からの14.5mm重機関銃弾に耐えるとともにモジュラー装甲を採用しており、増加装甲の装着により正面装甲は25mm機関砲弾に耐えるとされています。インドネシア軍はドイツから中古のレオパルオ2A4戦車を装備していますが、近年インドネシア国内防衛産業強化政策を進めています。

 日本政府は自衛隊の装備の中で装甲車両と対戦車ミサイルの中古装備を輸出する方向で検討している、日本経済新聞が報道しました。自衛隊の装備に余剰がどの程度あるかについては疑問符がつきますが、79式対舟艇対戦車誘導弾や73式装甲車については老朽化とともに退役が進んでいます、装甲車ではないが74式戦車なども退役が進むところです。

 陸上自衛隊の装甲車や弾薬は基本的に不足しており、余剰装備を供与できる状態ではありません、しかし、73式装甲車でも使い方によっては用途はあるため、高い解体費用を捻出してさらに防衛予算を逼迫させるよりは、友好国への供与という選択肢を考えているのでしょう。もっとも、既に解体を進めているMLRSであれば各国から引く手数多でしょう。

 韓国軍はKAI韓国航空宇宙産業社が開発したLAH軽攻撃ヘリコプターの導入を決定しました。これはAH-64Eアパッチガーディアンとのハイローミックス運用を念頭としたもので、エアバスEC-155ヘリコプターを原型としてライセンス生産しエアバスの協力を受け2015年より開発をおこなっていたLCH/LAHヘリコプターの攻撃型を用いる計画という。

 LAH軽攻撃ヘリコプターは一見してEC-155ですが、20mm機関砲ターレットを機首に搭載し側面のスタブウィングに対戦車ミサイルを搭載可能、試作機がカナダのイエローナイフ飛行場にて試験中です。今回の決定で5兆7500ウォン規模の契約となり、2024年にも韓国陸軍へ納入が開始されるのですが、海兵隊は別の機体を導入する計画を進めています。

 ヴェトナム人民軍はZSU-23シルカ自走高射機関砲の近代化改修型を発表しました。これは旧ソ連に供与され多数を長期にわたり運用してきましたZSU-23について、主武装を従来の23mm機関砲四連装としたまま、ヴェトナムが独自設計した電子光学照準装置とロシアから供給されたイグラ携帯地対空ミサイル発射装置を追加したものとなっています。

 ZSU-23は23mm機関砲の射程に大きく制約されていました、その背景には大きな車体が航空機から発見されやすいものの機関砲の射程が2500mしかなく高度1500m以上の目標へは打つ手なしの状況でした。イグラは連装発射機2基の4発を搭載、これにより交戦距離は5500mとおおはばに延伸し高度3000mまでの航空機に対して戦闘が可能となります。

 ギリシャ陸軍はアパッチガーディアン戦闘ヘリコプター搭載用のスパイクNLOSミサイルを導入します。ギリシャ陸軍ではスパイクNLOSについてヘリコプター搭載用とともに海軍の特殊作戦用舟艇への搭載や空軍航空機への搭載も見込まれているとのことで、非公式にその導入費用は4億ドルにのぼるものであるとギリシャ国内地方紙が報じています。

 スパイクNLOSはイスラエルのラファエルアドバンスドディフェンスシステムズ社が開発した長射程の対戦車ミサイルであり、初期型は光ファイヴァー誘導方式、現在量産されているものはTV電波誘導方式を採用し射程は25kmに達しています。ラファエル社では射程を実に50kmにまで延伸した第六世代型スパイクNLOSを開発試験中と発表しています。

 フランス陸軍はルクレルク主力戦車のルクレルクXLRへの近代化改修型配備計画を発表しました。フランス陸軍は冷戦時代に開発された多種多様な車両の刷新を進めるスコーピオン計画を推進中であり、この計画には現在装備されている222両のルクレルク戦車のうち、2025年までに122両をシステムに適合化改良し当面維持する方針が盛り込まれました。

 EMBTとしてフランスは将来戦車開発も進められていて、ルクレルクXLRはパワーパックなどについては既存のルクレルクとおなじものを搭載しますが、防御力は相応に強化され、車体部分と砲塔部分に追加のモジュール装甲を装着、これは30mmから50mmの装甲厚となっています、ルクレルクにはモジュール式の複合装甲が基本型として装備されています。

 ルクレルクXLRはデータリンク能力向上も含み、また改修は赤外線ステルスの分野にも及ぶとのことで、搭載するエンジンにハイパーバーシステムを追加し赤外線放射を抑制するとともに視覚に入りやすい白煙や黒煙を抑制する効果があるとのこと。そしてギャリックス80mm発煙弾発射装置が14発搭載され、いざというときに車体を迅速に煙覆します。

 インドネシアのPTピンダット社はトルコFNSS-ZAHA-MAV水陸両用装甲車試験をインドネシア国内で実施しました。MAVとはマリンアサルトヴィーグルの略称であり、インドネシア海兵隊では旧式化したフランス製AMX-10P装甲車の後継として水陸両用装甲車を模索しており、ZAHA-MAVは潜在的な候補車両の一つを考えられています。

 ZAHA-MAVはインドネシア軍にかつて200両も多数が装備されていたAAV-7やソ連製BTR-50など水陸両用装甲車がありましたが、現在大幅な定数割れとなっていまして、一時はロシアからBT-3F水陸両用装甲車79両を導入する計画だったものの、ロシア軍ウクライナ侵攻により棚上げとなっています。FNSS社はこの点で協力を申し出ています。

 アメリカ陸軍はFLRAA将来長距離強襲航空機としてベル社のV-280ヴァロー可動翼航空機を選定しました。FLRAA計画とは現在のUH-60ブラックホーク多用途ヘリコプターの後継機を選定するもので、従来のヘリコプターよりも高度な巡航速度と航続距離が要求、これにより計画に参加する候補機は複合ヘリコプターなど新技術を採用しました。

 V-280ヴァローはアメリカ海兵隊などに採用されているMV-22オスプレイと共通する可動翼航空機構造を採用しています、一方でMV-22は海軍強襲揚陸艦搭載を念頭に可動翼そのものを折りたたみ構造とする非常に難しい設計を強いられ、技術的に難航しましたがこの点でV-280は輸送機への搭載条件を大幅に緩和し構造を単純化することに成功している。

 可動翼航空機は優れた巡航速度と主翼による大きな航続距離を獲得していますが、他方で空気抵抗の少なさが急減速に対応しないことからヘリコプターのような超低空の匍匐飛行能力を有していません。ただ巡航速度は実に520km/hに達し航続距離は3900km、戦闘行動半径も930kmから1480kmに達し、試作機は2017年に初飛行し試験されてきました。

 ポーランド政府はM-1A2戦車に関する37億5000万ドルの有償供与認可をアメリカ国務省から受けました。ポーランド軍ではロシア軍脅威の増大を受け、レオパルド2の不足と旧式のソ連製T-72戦車を迅速に置き換えるべく韓国からK-2戦車のライセンス生産契約を結ぶとともに、世界最強戦車と考えるアメリカ製M-1A2戦車の導入計画を進めています。

 M-1A2戦車は2022年8月にポーランド国内のビエドルスコに戦車教育センターを開設していますが、今回戦車輸出が正式に許可され、戦車116両と戦車回収車12両、戦車橋8両とM-577指揮車6両おおびJLTV統合戦術車両26両、M-829弾60000発とM-865APFSDS弾50000発、M-830HEAT弾100000発、M-1147榴弾など130000発が含まれています。

 韓国陸軍はCH-47輸送ヘリコプター18機を15億ドルで取得する計画についてアメリカ国務省からのたいがい有償軍事供与認可をうけました。韓国陸軍では現在第2航空旅団の第301ヘリコプター大隊と第302ヘリコプター大隊で運用しているCH-47D輸送ヘリコプターの老朽化へ、新型のCH-47F輸送ヘリコプターへの置き換え計画を進めているところ。

 15億ドルの契約にはヘリコプター18機とともにヘリコプター用エンジンとしてT55-GA-714Aエンジン42基とCMWSミサイル警報システム22基、AN/APR-39レーダー警戒システムとRT-1987通信装置やAN/APX-123A敵味方識別装置など一式を含んだものとしています。この計画は2022年1月に韓国国防省で決定され、調整を進めてきました。

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