北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

京都清水寺夜の特別拝観 紅葉舞う秋の夜の東山散策

2010-11-30 23:17:07 | 写真

◆八坂神社、清水寺、法観寺

 Weblog北大路機関ですが、いちばん人気が無いのが京都写真や旅行記、続いて人気が無いのが鉄道特集。

Img_1743  そうしたなかで、最低限の需要はあるみたいで、京都は今、というような記事も書いてほしい、という声がありましたので、今後は定期的に掲載します。清水寺夜の特別拝観、今行われているのですけれども、来月十二月の上旬まで行われます。毎年恒例だったこの特集を本日は写真カテゴリとして掲載。

Img_1637  清水寺までは京阪清水五条駅が最寄り、と紹介されているんだけれども徒歩25分、多分迷わないだろうけれども途中の五条坂で人生について深く考えるほどの距離があったり、バスに轢かれそうになったり、そういう事があるんで、四条駅からの徒歩が一番いいのだろうと思います。

Img_1641  八坂神社、祇園祭を行う神社っていうことで有名な八坂さんを経て東山の清水寺に行ける四条駅からの徒歩が一番のお勧めという背景には、確かにバスが最寄りの場所まで進めるのだけれども土曜日日曜日だと車道が大渋滞するので身動きとれず、それなら渋滞のない電車が一番だろう、と。

Img_1649  八坂神社へは阪急河原町駅からも見えるほどなんで、まず八坂神社を参拝。ここから東山へは八坂之塔方向へ行く方法、円山公園から高台寺方向へ行く道と色々あるのだけれども、目的地が清水寺と明確な場合は、極力人が集まる場所は避けたいところ、両方とも避けて高台寺の南側に出る経路を選択。

Img_1650  八坂神社の能楽堂。明日から師走なんだけれども、大晦日になるとここでも茅之輪廻しという火縄をくるくるさせて、これを自宅に持ち帰って竈にくべると翌年無病息災、という行事が行われる。で、過去には足を運んだものの全身化繊の防寒着で赴いた事を思い出し、下手すれば全身火達磨と慌てて撤収した事も。

Img_1656  茅之輪廻しの無病息災というので思い出したのは、祇園祭もその昔は疾病祓いの行事として始まったっていう事、その昔は医療技術も発展途上、どれだけ病魔が畏れられていたのか、ということがちょっと見えてくる、そういう意味で八坂神社を詣でると風景も変わって見えるかも。

Img_1657  八坂神社参拝を経て清水寺へ。清水寺といえば、個人的には夜間撮影というものを本格的に試すようになった、ひとつの聖地。今でこそデジタル一眼レフを駆使しているんだけれども写真歴の中ではフィルムを使っていた時代の方が実は圧倒的に長いので、夜景撮影というのは失敗の多い鬼門だった。

Img_1663  なにしろ現像設備を自室に持っている訳でもないんで、しっかり写っているかは翌日以降のお楽しみ、失敗が圧倒的に多い。それがCanonEOS-Kiss-Nでデジタル一眼レフに入ってからはその場で確認できるようになり、リモートシャッターに小型三脚をバッグに押し込み盛んに撮影に向かう事に。

Img_1670  Kiss-NはISO-1600までだったんだけれども、EOS-50Dは最大でISO-12800まで、まあ実用はISO-3200までなんだけれどもKiss-Nも実用はISO-800までくらいだったんで、大分夜にも強くなった。これは混雑度合いによっては迷惑なんで三脚が使えない事も多いという京都の夜景で心強い。

Img_1677  清水寺。分かってはいたんだけれども物凄い人の出、いやはや、紅葉のピークは過ぎたと思ってたんだけれども、コミケか清水寺か、と言われる事は決して無いのだが混雑している。拝観券を入手しようにも警備員が頑張って誘導している場所に人波を泳がなけりゃならない、程ではないけど混んでる。

Img_1691  清水寺。法相宗の寺院として知られ、建立は八世紀778年にまで遡り、平安遷都以前に起源を持つ寺院としては広隆寺や鞍馬寺と並ぶ歴史を誇る。清水寺の名は、奈良子島寺の延鎮上人が木津川上流の清水に寺院を建立すべしとのお告げを受けて音羽の地に辿りついたことから清水の寺、清水寺となったと伝えられています。

Img_1700  清水寺が建立されて後、征夷大将軍坂上田村麻呂が安産祈願のために鹿狩りへ音羽へ入山した際、延鎮上人と出会い、殺生の非を諭したことから交流が生まれ、多くの寄進を集めた事で小さな山寺であった清水寺は多くの崇敬を集め今日の清水寺へとひろがってゆくこととなりました。

Img_1705  延鎮上人と坂上田村麻呂との出会いより数年後の794年、長岡京より平安京へ遷都が行われ、810年に鎮護国家清水寺となり、北観音寺としての法号を朝廷より賜りました。そのときより千年以上を経て今日まで、音羽の地から京都と日本の行く末に幸あれと、鎮護国家の祈りを続け今日に至る訳ですね。

Img_1707  ちなみに、昼間ではここまで拝観料は不要で、ここで拝観料300円を奉じて本堂へと行く訳ですけれども、夜の特別拝観ではもっと手前で拝観料ということに。しかし、何か修繕しているようですね。ちょっときになったんで、夜間撮影はISO-2500でやってるんだけれどもISO-12800に挙げてみて撮影。

Img_1725  本堂より奥の院を望む。平日なら、本堂の段差のところで腰かけて、十分十五分と物思いに耽る余裕があるんですが、何分この日は日曜日、座っていれば物思いに耽るどころかこの重いのどけろ!と怒鳴られて押しのけられそうなほどだったので、欄干にカメラを置いて写真を撮ります。

Img_1726  ISO-12800で1/5の露光時間似て撮影すればどのくらい暗くとも何とかなるのですが、しかし、写真の通りノイズが大きい事になるので、ここは培ったテクニックです。カメラ、置くんですね、そうすると手ぶれしない。フラッシュは焚くだけ無駄です、そんなに遠くまで届くのは外付けで積層電池使うものでないと無理。

Img_17131  今回は三脚もリモートシャッターも持っていきませんでした。AF値を最低限にまで下げて何か安定したものにカメラを置くか押し付けて、シャッターを押しっぱなしにして二枚ほど撮影、一枚目はシャッターを押した瞬間にぶれるけれども、二枚目は余分な圧力が掛からないので撮影できるという訳。

Img_1735  ISOは上げられる訳上げてもいいのだけれども、ノイズが大きくなるので実用の範囲内で、絞り優先というよりはマニュアルで設定した方が3秒とか5秒とか目茶苦茶長い露光時間にならないので安心なのですが、まあ、1.5秒程度の露光時間ならば、この方法で経験上何とかなります。

Img_1748  本堂と三重塔。清水寺の全景と言えばこの写真でしょう。夜空にはライトがまたたき、ライトアップされた木々の紅葉に千年以上の歴史とともに伽藍が浮かぶようです。本堂を真横から撮影できる奥の院から撮影を試みたのですけれども、あまりにも多くの人が入っていて入場制限がかけられていました。本堂は一時荒廃したとのことですが徳川家光により再建。

Img_1781  音羽の滝。子安塔は現在修繕中でハリボテのようなものが巡らされていましたので、音羽の滝に降りてきました。奥の院の下に湧き出る清水で、三つにわかれていまして、この霊水が清水寺の所以となっています。この日も写真の通りご利益を求めて多くの人々が集っていました。

Img_1783  本堂から下へ紅葉の回廊が続きます。この階段は奥の院を回る時間の無い方が通る通路で、夜の特別拝観の終了時刻間近になると、まわる時間が無くなりますので奥の院へ向かう通路が封鎖となってこの道に通されます。この日は1830時の特別拝観開始の時間帯に入ったので、大丈夫でしたけれども、ね。

Img_1792  三重塔を見上げる情景。先ほどのところから200m程進みました。経路には新しい立体経路が設けられていて混雑を緩和するようになっているのですが、しかしこういう通路を建設しなくても景観を維持することを重視しては、と思ったりもしました。まあ、どこぞの天守閣のように無理に景観無視のエレベータ設置などバリアフリー化を進められるよりはまともなのですが。

Img_1813  三重塔と紅葉の写真。一部では紅葉の時期は終わり、とも言われているのですけれども、日の当たる向きや位置によってはまだまだ紅葉は続いています。まだ清水寺夜の特別拝観は二週間ほどありますので、足を運ばれてみてはどうかな、と思います。高速道路は混むので新幹線の利用がお勧め。

Img_1823  法観寺八坂之塔。六世紀に聖徳太子が建立したと伝えられるのがここ法観寺です。一度は荒廃しましたが、源頼朝をはじめ時の権力者によりその都度復興しました、東山花燈路では有名ですが、八坂神社と清水寺や高台寺に向かう途上にあります。あまり大きな寺院ではないのだけれども、歴史があるわけですね。

Img_1834  東山には、高台寺や知恩院、圓徳院、様々な寺院があります。夜の特別拝観が全ての寺院で行われている訳ではないのですけれども、山門の散策だけでもこの季節ならではの風情があります。陽の上っている日中とはまた違った京都の趣を感じる事が出来る秋の夜の散策、暖かい服装でどうぞ。

HARUNA

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ハイチ国際平和協力任務への自衛隊派遣 期間を2012年まで延長決定

2010-11-29 22:04:40 | 国際・政治

◆派遣後の出口戦略は?

 地震で国家が崩壊の危機に瀕する、という事態が実際にあり得る事が世界に示されたハイチ地震から間もなく一年が見えてきました。

Img_3792  陸上自衛隊のハイチ復興人道支援任務は当初半年程度の派遣と説明されていました。派遣命令が今年一月末でしたので、派遣部隊は確か二月から派遣開始、六月ごろに撤収の話が出ると思いきやなかなか出ず、はて、派遣期間は八カ月の聞き間違いだったかな?と思いまして急いで派遣期間を確認しました。

Img_4141  ハイチ復興PKO 帯広の第5旅団派遣は半年程度(01/27 07:52、01/27 07:59 更新)  鳩山由紀夫首相は26日の参院予算委員会で、ハイチ大地震復興支援を行う国連平和維持活動(PKO)への自衛隊派遣について「6カ月あたりを見当に努力を求めていきたい」と述べ、活動期間は半年程度を想定していることを明らかにした
http://www.hokkaido-np.co.jp/news/politics/212330.html

Img_14257  やはり半年程度でした。しかし、二月に派遣してから半年程度というと、どう考えてももう秋ごろには撤退しているべきなのですが、どんどん長くなっていたようです。ううむ、派遣当初、当方は遅すぎて復旧に関与できず、復興の方に派遣してしまうといつまで続くか分からなくなる、と記載したのですが、なるほどいつまで続くのかという状況。

Img_3973  11/25日付 ニュース トップ :ハイチ救援隊 24年1月まで派遣期間延長・・・ 政府は11月16日の閣議で、ハイチ国際平和協力業務の実施計画を変更、ハイチ派遣国際救援隊の派遣期間を平成24年1月31日まで1年2カ月延長した。合わせて協力業務の実施事項に医療、防疫活動が加えられた。ハイチ内でコレラの感染が広がっているための措置http://www.asagumo-news.com/news/201011/101125/10112506.html

Img_6772  長引きました。コレラが蔓延しているという報道があった時点で、もう間もなく撤収と思っていましたので派遣部隊は大変だろうと思っていましたが防疫任務も加わり、しかも派遣期間が延長となりました。ハイチでの状況を報じる写真には瓦礫撤去も完了していない状況ではあるのですが、治安状況はどうなのかな、と。

Img_7525  コレラ蔓延で治安は極度に悪化しているのですが、この以前の状況であればこれは治安も安定したようで、自衛隊の任務も数人単位での瓦礫撤去任務などが統合幕僚監部HPで発表されていました、数人単位で行動できるという事は警備の為に警戒する必要が無かったという事を示していまして治安状況が安定している事を物語っています。

Img_4370  人員を最小限以下で実施している自衛隊の任務ではなく、民間の建設会社の方が効率的に対応できると思うのですが何故、移管しなかったのか。新しいスタイルの公共事業として民間の企業から入札を募っても良かったと思いますし、民主党はアフガニスタン支援で民間団体の活用を政権交代当時強調していましたし、むしろこの分野で行った方が良かったのではないのかと考えました。現在の政権には出口戦略というものが無いのではないか、そういう不安を抱く今日この頃です。

HARUNA

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防衛省が進める第1師団の首都防衛集団改編構想 現状では反対せざるを得ない

2010-11-28 23:49:13 | 防衛・安全保障

◆第1師団は頭号師団、全自衛隊の模範

 防衛省では、陸上自衛隊改編の一環として陸上自衛隊の全戦闘部隊を統括する陸上総隊の創設と第1師団の首都防衛集団への改編を検討中です。

Img_8432  この中で陸上総隊については、必要性は高いといえます。海上自衛隊では機動運用部隊として自衛艦隊に護衛艦隊や航空集団、潜水艦隊を筆頭に戦闘部隊を集約して、沿岸警備と基地機能維持、教育訓練にあたる地方隊と任務を分けていますし、航空自衛隊では戦闘機を運用する航空団と航空方面隊は航空総隊の指揮下にあります。陸上自衛隊は、陸上幕僚監部の下には戦闘部隊を統括する司令部が無く、そのまま方面総監部が置かれているという現状。

Img_3847  陸上自衛隊では北部方面総監、東北方面総監、東部方面総監、中部方面総監、西部方面総監と長官直轄部隊があって、有事の際には方面隊に長官直轄部隊が支援に充てられるという運用があるのですが、しかし、航空自衛隊と合同で防衛出動に当たる、と考えた場合、航空総隊司令官は陸上自衛隊の誰と調整すればいいのか、方面総監では指揮官の格が違ってきますし、かといって陸上幕僚長も違います。そこで司令部を置こう、これが陸上総隊。この方式は最も陸上自衛隊に求められるものです。

Img_6906  しかし、同時に東京を中心とした南関東と静岡県を防衛警備管区に持つ第1師団を首都防衛集団に改編して、長官直轄部隊として独立させる構想があるのです。これは陸上総隊とセットで考えられているのですが、理由は簡単です、東部方面隊の廃止が背景にある。東部方面隊は、信越地方と北関東を防衛警備管区にもつ第12旅団と、第1師団から編成されています。この地域を独立した方面隊として維持するには相応の意味があるものでした。その重点は新潟県の位置と中部山岳地帯。

Img_5806  新潟。対岸には冷戦時代にソ連があり、北朝鮮による拉致事案も多々発生しているほど、実は防衛の重要地域だったのですが、ここに対岸のソ連太平洋艦隊によって部隊が侵攻した場合、新潟県と群馬県の県境にある谷川岳を制圧されると、あとは水上を経て首都東京まで地形障害が無いのです。

Img_1713  現実問題として、自動車化狙撃師団が二個でも投入されれば、新潟港が占拠され、この地域から首都への脅威が大きくなります。中部方面隊や東北方面隊から支援しようにも新潟への兵力展開が陸上から難しいのは戦国時代以来の常識ですし、関越自動車道沿いに首都に侵入される可能性があって、そのために第12師団の二個連隊を新潟県において、北関東に戦車と火砲を置き、第1師団がこれを支える体制をとりました。

Img_1357  それで、冷戦後は第12旅団が旅団に縮小され、第1師団と第12旅団で東部方面隊を編成しているのですが、第1師団を大臣直轄部隊として独立させれば、東部方面隊は第12旅団だけとなって結果的に方面隊を維持できなくなります、こうして第12旅団を東北方面隊に編入すれば、東部方面隊はその歴史的役割を終えるのですが、方面隊は巨大な幕僚機構を持っていますので、この機構をそのまま陸上総隊に転用しよう、という考えなのです。

Img_3951  しかし、第1師団を首都防衛集団に改編する、というのが良く分からない。第1師団は“1”という数字が全てを示しているように頭号師団です。つまり、全陸上自衛隊の模範たれ、という厳しい掛け声とともに部隊を錬成してきましたし、第1師団、ということに隊員は誇りを持っています。陸上自衛隊から第1師団という名前を消してしまうのでは、これまでの歴史を屑籠に投げ込んでしまうという構図。

Img_4058  また、首都防衛集団ですが、まず市街戦を念頭に置いた部隊の編成、という事が今でも未知数です。イラク戦争でのバクダッド攻略を見る限り一部では戦車が重要性を持ってきているという事なのですが、同時にファルージャ治安作戦では歩兵大隊を多数投入する重要性が認識され、結局中隊ごとに戦車小隊を配属させる方式が成り立ちました。

Img_4126  しかし、市街地の戦闘を考えると通信中継の為にヘリコプターや無人機の必要性が大きいのはソマリアでのブラックシーの戦いで証明されており、一方で近接戦闘では砲兵のきめ細やかな支援の必要性がアフガンで・・・、結局は普通科連隊を幾つかと大きめの戦車大隊、空中機動のヘリコプター隊を置いて特科連隊、必要なのは普通の編成の師団であって、何も市街戦だけを考えた編成になる必要はないのですよね。

Img_7095  地下鉄に地下街、オフィスビルの掃討に、となれば、まあ、首都防衛集団がそれこそ旅団のような小型編成の普通科連隊を十個とか置いて市街戦に必要な頭数をそろえよう、というのでしたらまた違うのですが、そういう話でもない。もっとも、こういう都市の特性は東京に限った事ではないので、全自衛隊に普遍的に求められるものなのですが。

Img_7182  すると、無理して直轄にする意味はあるのかな、と。いや、首都防衛集団が必要なのでしたら、第1師団を機械化して敵主力の市街地での掃討に充てて、第12旅団に東部方面隊直轄のヘリ部隊を全部廻して、それでUH-1とAH-1とOH-6で40機以上になるのですが、この二つを合わせて東部方面隊を東部方面隊:首都防衛集団というように改編した方がいいのかな、と。東部方面隊の名前を残せばいいですし、第1師団も新しい集団に置き換える意味はないでしょう。

Img_7149  結局、幕僚機構は首都防衛集団でも必要になるのですし、東部方面隊をそのまま置き換えたとしても過不足なく、という構図は考えられません。そして大きな問題がもう一つ、それは後方支援。方面隊には方面後方支援隊や駐屯地業務隊の統括に警務隊等の司法業務、基地通信の維持など、それに新隊員教育。

Img_7296  これらは駐屯地ごとに必要なのですが師団や旅団にこうした業務を頼む事は出来ず、方面隊が担ってきました、首都防衛集団を編成した場合、この地域の駐屯地を維持して新隊員教育から駐屯地通信まで統括する部隊は首都防衛集団が全て行うのか、首都防衛集団に駐屯地業務隊等を指揮させれば物凄く戦闘以外の部隊が大きくなってしまいます。

Img_7243  それに方面隊直轄の中SAMやホークミサイル部隊のように全般防空に当たる部隊はどうするのか、まさか首都防衛の中で全般防空を担えるほどに首都防衛集団高射特科大隊に高射群を編入して、7個中隊基幹の高射特科連隊とする訳にも行かないでしょう。新隊員教育も、駐屯地を統括する部隊か方面隊が行っていますので、東部方面隊は必要になります、そのためにも第1師団は維持されるべき、そう確信します。

HARUNA

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北朝鮮が新型のムスダン弾道ミサイル発射試験実施の可能性?

2010-11-27 18:13:51 | 防衛・安全保障

◆正体は旧ソ連潜水艦発射弾道弾陸上型

 情報の出所が不明確なので、何とも言えないのですが産経新聞が北朝鮮によるムスダン弾道ミサイル発射試験の可能性を報じ、韓国のメディアでも引用し騒ぎとなっています。

Img_6470  来月上旬には日米合同演習が九州沖縄近海で予定されているのですが、ミサイル試験が事実とすれば影響はどうなるのでしょうかね。ムスダン弾道ミサイルは90年代より北朝鮮が開発を行っているとされている弾道ミサイルで、写真が公表されていないため現時点では実在するのかは確証がありません。このミサイルの原型は旧ソ連の戦略ミサイル原潜に搭載されていた長射程ミサイル。

Img_6733_1  北朝鮮製ミサイルはこれまでスカッドの派生型が基本でしたが今度のは基本が新型、だからこそ騒がれているのです、SS-N-61972-1973年のジェーン海軍年鑑を書架から引っ張り出して調べたのですが、SS-N-6潜水艦発射弾道弾は射程が2780km、ヤンキー級戦略ミサイル原潜に搭載されていました。

Img_6287  これ以前のソ連製潜水艦発射弾道弾は発射において海上に浮上して行う必要があり、潜水したまま発射できるSS-N-6の導入によりソ連海軍の戦略的能力は大きく向上したという訳で、続いて1971年には改良型のSS-N-8が開発されました。射程の大きな弾道ミサイルを中距離目標に向けて運用した場合、より高い天頂を描く軌道で運用し、落達速度を向上させ弾道ミサイル迎撃網を掻い潜る運用も可能、日本にとっても脅威となりますね。

Img_2016  横須賀港外で米海軍のミサイル巡洋艦シャイローがSM-3の搭載を行っている様子が報道のヘリコプターにより撮影され話題となっているようですが、日本のマスメディアはあまりこの話題を報じていません。SM-3は弾道ミサイル迎撃用の長射程ミサイルで、実は射程が1000kmを超える装備、海上自衛隊も保有しています。

Img_6349  報道ヘリに見える位置、と言いますか聞くところでは横須賀軍港めぐりの経路からも何とか見える位置なのでは、と思うのですが、これには見せたい、という意図でもあったのでしょうか、この一点と産経新聞の報道を重ねると、確かに注意を要する情報のようにも思えてくるのです。

Img_2019  さて、このSS-N-6なのですが、発射重量は14㌧、半数命中界いわゆるCEPが1500m程度とされていまして、これ、大きな問題なのですよね。CEPは発射した半数が命中する半径なのだけれども、1500m以内に命中して大きな威力を、という弾頭は、考えれば、ひとつ。

Img_8901  単純に長射程ミサイルとして北朝鮮がこのSS-N-6の設計方式を流用して新型ミサイルを開発して、命中精度の部分について向上させているのならば、CEPを150mくらいとした場合、通常弾頭として充分な威力があります。しかし、もとの1500m程度ですと、弾頭重量が14㌧のうちどれだけを占めていたとしても炸裂して通常弾頭のHE弾頭では目標を破壊することはできません。

Img_3245  早い話がアメリカはSS-N-6の設計を応用したムスダン弾道ミサイルが核弾頭を搭載している事を警戒しているのです。CEPが1500mとしても、20kt程度の核弾頭を搭載していれば、基地や軍港、補給拠点など充分目標を破壊出来ます。こうした脅威が、大規模武力戦争を行う可能性があり、現実に核兵器を先制使用、つまり通常戦力で対応できないような状況では使用する可能性がある国に配備される、という事は重大な脅威となってしまいます。

Img_7090  射程が3000kmを超えていた場合、グアムの米軍基地が射程に収まるという事に足り、太平洋上の米軍拠点はハワイの米軍基地を除けば米本土以西の拠点が北朝鮮の核ミサイルの脅威に曝される事となり、日本国内の嘉手納や横田、横須賀のような戦略拠点の維持や有事の際の日本周辺への展開に大きなリスクが生じることに、重大だ。

Img_4422  南西諸島での、例えば尖閣諸島や先島への中国軍の軍事的圧力が掛かる状態を想定すれば、南西諸島への沿岸監視隊の配置や自衛隊を南西諸島に迅速に展開できるように戦略展開能力を向上させる、という方法があるでしょう。ほかには、空中機動部隊の増強によってもこの目的を達成する事も出来ます。また現状のまま護衛艦隊を近代化すればシーレーンの維持も可能でしょう。

Img_5512  北方からの軍事的圧力に対しては、これが現在の民主党では空洞化と形骸化を侵攻させるような改編が行われそうなのですが、戦車を中心とした重火力により着上陸へ備えるとともに航空優勢確保の態勢を維持するべく、戦闘機の能力向上と機体の近代化を行えば脅威を抑止して対処できます。

Img_1715  しかし、北朝鮮のミサイルに対しては弾道ミサイル防衛を行い着弾する数を低減し、日米が一体となって策源地に対する無力化を行うくらいしか方法がありません。このなかで、米軍の能力を大きく制限する可能性がある、という意味でもムスダンという長射程ミサイルの存在は大きな脅威になります次第。

Img_2831  ううむ、ミサイルの性能が核ミサイルとして運用で実用に達すると判断されれば重大な脅威です。日米合同演習の時期に照準を合わせて弾道ミサイル実験を行ったり、という事があれば一挙に朝鮮半島を含む東アジア地域の安全保障関係は沸騰してしまいますし、冗談抜きでミサイル施設に対する米軍による限定空爆、という可能性も出てきます。

Img_8931  ミサイル実験のほかに、日本の一部地域に対して、演習名目でミサイルを発射してくる可能性もありますし、とにかく日本の安全保障には重大な問題となりますので、長期単位でロシア軍の際整備による北方への圧力、中国海軍の増強によるシーレーンと南西諸島への脅威、北朝鮮の新型弾道ミサイル、考えておくべき必要はあります。しかし、それにしては政府もマスコミも、危機感が足りない。今回実験が行われるという情報が仮に間違いだったとしても、核弾頭を搭載できるミサイルは開発中であり、弾道ミサイル防衛網の整備と早期警戒網の充実、自衛艦隊の近代化と増強、機甲部隊近代化と空中機動部隊の増強、法整備、どれもそう急に必要です。

HARUNA

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沖縄県知事選いよいよ明後日 仲井間候補、伊波候補、ともに普天間の辺野古移設反対

2010-11-26 23:15:37 | 国際・政治

◆逃避続き“新”与党の普天間問題は総決算間近

 仙石官房長官への問責決議がいよいよ秒読み、と国会から伝えられています。尖閣諸島事案、北朝鮮韓国砲撃、ロシア大統領北方領土訪問、官房長官自衛隊暴力装置発言、防衛大臣民間言論封殺命令、法務大臣問責決議可能性。

Img_1791  普天間飛行場移設問題は安全保障一つとっても様々な事案が山積していて、完全に忘れられている可能性も危惧するのですが、明後日、この問題を左右する沖縄県知事選が投票日を迎えます。今日の緊張状態に鑑みれば、米軍の抑止力は、それを置き換える自衛隊の大規模増強と法整備を行わない限り日本と世界の安定に直接影響する問題に発展しかねない状況です。今回の沖縄県知事選には現職の仲井間知事、そして伊波氏が立候補しているのですが、注目すべきは両候補ともに公約には在日米軍基地である普天間飛行場の辺野古移設を明確に反対している、という状況があります。ただ、仲井間候補については沖縄の振興策を加味すれば妥協の余地があり、伊波候補は、普天間基地の県外か海外への移設を求めている、というところに注目が集まります。

Img_2046  未だに結論を出せない、というのは、一部からでているように“まだ政権交代したばかり、一年しか経ってない”、という浮かれた気分なのでしょうか。政府が、日米合意がありながらも具体的な政策は、今回の沖縄県知事選の結果を見てから最終的に判断する、という意思を表明しているのですが、上記のとおり双方とも、基地には反対です。しかも、民主党は既に鳩山内閣時代に辺野古移設で日米合意しており、これを継続させるという条件で菅内閣が成立しているにもかかわらず、与党民主党が沖縄県知事選に候補者を立てないという、責任逃れをきめこんでいる、というのがかなり大きな問題といえるでしょう。結局は強権発動を行うのか、日米合意を反故にして日本独自でロシア、北朝鮮、中国に対応できる強大な防衛力を整備するのか。

Img_1896  在日米軍の重要性は、直接的に考えるのではなく長期的に二段論法か三段論法で考えなければなりません。朝鮮半島と台湾海峡という、今日世界で最も大規模武力紛争の危険がある地域双方ににらみを利かせる沖縄本島は、中国の台湾への軍事的冒険を、台湾有事の際には費地全的に米国民保護に米軍が即応して対処できるという体制を築く事で、言い換えれば米中軍事衝突の大きなリスクを北京に提示する事でこの上ない抑止力とし、朝鮮半島に対しても米軍の素早い在韓米軍への増援体制を誇示する事で武力紛争への究極の抑止力としています。

Img_0686  台湾が盗られれば、日本が中東や欧州と繋がる海上交通路を、今度が台湾を根拠地に中国が押さえる事が出来、結果的に日中がシーレーンの争奪戦を行うのか、中国の恫喝に対して日本が主権を喪失するのか、究極の選択となりまして、結果的に太平洋の安定を損なう可能性に繋がります。台湾有事には、沖縄に第二空挺団を新編して即応し日本が対処する、決戦だ!、という姿勢でも日本が示せば話は違うのですが、これは現実的ではありますまい。もっとも、こういう姿勢を担えるほどであればここまで大きな日中問題は成り立たなかったでしょうけれども。

Img_0180  朝鮮半島有事にしても、対馬海峡を隔てて余りに日本は朝鮮半島と近すぎまして、ここでなにかあれば日本は大混乱になります。アメリカがくしゃみをすれば日本が風邪をひく、という言葉がありましたが、日本が風邪を引けば少なくない国が重篤状態になる、日本の経済的、工業生産における影響力は既にグローバルでして、これも問題があります。そもそも自衛隊創設当時は北方への脅威に長期的に備えるとともに、短期的には朝鮮半島情勢の突沸を警戒していましたので、西部航空方面隊には注力していましたし、九州に二個師団と中国地方にも師団を配置しています。これらカギを握るのが、緊急展開部隊、切り込み部隊である第三海兵師団や第31海兵遠征群といった在沖米軍です。

Img_0469  こうした状況下で、もっとも最初に沖縄県で在日米軍が日本全体に寄与する重要性と、日本が安定しているからこその安寧を得られる太平洋地域とグローバルな国際関係の意義を説き、膝をついてでも真摯に将来に備える事を行うべき政府が、朝鮮半島情勢にかこつけ来月までは不測の事態に備えて閣僚は東京を出無いように、と総理自ら、よくわからない理屈を提示している、というのが日本の不幸です。ここまで逃げの一手、無責任に終始してきたのですが、政府は沖縄県知事選と日米合意、自らがアメリカの昨年十一月までにと迫ったのに対して一方的に延ばし延ばし逃避してきた難題の総決算を迫られています。いまだ、政権交代果たした“新”与党という気分が漂う中、自己評価自己分析が出来ず、日米関係は良好、朝鮮半島事案での態勢は万全、尖閣諸島問題は国民が支持、と既に逃避といいますか亡国政府との実態になりつつある中ですが、決断すべきは逃避しないでほしいと切望する次第です。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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平成二十二年度十一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報5

2010-11-25 23:16:04 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 鈴虫の声が急に聞こえなくなりました、昨日今日で変わるのかと季節の移ろいを感じます今日この頃ですが、まだ暖かい九州や四国で航空祭や艦艇一般公開が行われます。

Img_9526  今週末は芦屋基地航空祭2010!、第3術科学校と第13飛行教育団、芦屋救難隊と第2高射群が展開している基地です。芦屋、といっても阪急でいける芦屋ではなく(実は意外に勘違い多い)九州の芦屋です。第13飛行教育団はT-4練習機を運用している機体で、白地に深紅が映える塗装を採用しています。・・・、写真は適当に、・・・、何故か第二航空団のT-4練習機。

Img_4127  航空祭は、0730よりT-4の天候偵察、UH-60JとU-125,T-4のOPフライトに続きT-7の飛行展示、0900からT-4練習機の機動飛行が開始、1030からUH-60JとU-125の救難飛行展示、1100よりT-4練習機の大編隊飛行が行われ、1310からF-4模擬対地攻撃、F-2機動飛行、そして1340時からブルーインパルスの飛行展示が予定されているとのこと。芦屋基地の最寄り駅はJR遠賀川駅で、当日は快速が臨時停車。

Img_6487  今週末の艦艇一般公開は三か所。一つは28日日曜にに愛媛県松山港において掃海母艦ぶんご、が一般公開されます。場所は松山外港三津埠頭第三岸壁、一般公開には整理券は不要ですが駐車場に限りがあるのでできるだけ公共交通機関を御利用ください、とのこと。一般公開は0930~1130と1300~1500まで行われます。

Img_7185  掃海艦やえやま、掃海艇みやじま一般公開、これが第二です。鹿児島県志布志港旅客埠頭で27日と28日に行われまして、やえやま型掃海艦は古くなってきましたし、なかなか九州では見れないので、足を運んでみてはどうでしょうか。一般公開は土曜日曜ともに0900~1200,1300~1600に行われるとのこと。

Img_5917  輸送艦おおすみ一般公開、ある意味こちらが一番の注目でしょう。輸送艦おおすみ、海上自衛隊が誇る輸送艦、ドック型輸送艦というべき一隻なのですが、これが呉から垂水港沖に展開して一般公開となります。・・・、沖に停泊するのですが、埠頭から沖までは歩いてゆくことはできません。泳いで行くのは、出来る方もご遠慮ください。

Img_7487  垂水港沖までは、小型の交通船で移動するとのことです。垂水旧港からボートに乗船して移動すると記載されているのですけれども、いやあ、沖に停泊する艦艇の見学、ボートで見学なんてなかなか経験できる事ではありません。一般公開は土曜日の1000~1600、是非足を運ばれてみてはどうでしょうか。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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北朝鮮による韓国砲撃事案 延坪島1123事件に関する一考察

2010-11-24 22:09:46 | 防衛・安全保障

■北朝鮮砲兵の意外に低いその能力

 本日は、昨日の北朝鮮韓国砲撃事案に関して率直な感想を少し掲載してみます。

Img_7828  第一印象は、ここまで北朝鮮砲兵の能力は低かったのか、という事。陸上自衛隊ではクビになる精度というところでしょうか。今回、北朝鮮軍は最初の十二分で150発を射撃した、とのことで、その後に韓国軍の反撃を受け20~30発を撃ち返したとのことですが、このうち延坪島には70発、一部報道では80発が着弾したとのことでした。しかし、これ半数が外れているのですよね。沖ノ鳥島のような小さな島を狙ったのではなく、列記とした人口1200名の離島を目標として射撃半数以上が外れて、こんな低い命中精度で大丈夫なのか、という印象です。そもそも今回は面制圧が目的で対砲兵戦は想定していなかったのでは、ということもできるかもしれませんが、それならばロケット砲を併用するはずで、野砲だけ、という点の説明がつきません。

Img_5202_1  砲兵、特科火力の命中精度は緻密な作業の集大成に支えられています。例えば砲撃を行う地域の測量を目標と自己の展開位置を可能な限り正確に把握し、射撃を行う場合の風向風速湿度などの気象観測、これをしっかりと行うかで命中精度は1~2ミルほど変わってくる、といわれています。気象観測は基本的な機材があれば行えますし、北朝鮮軍は永久築城というかたちで砲兵陣地を構築していますので測量する時間は何十年もあったはずです、しかしこの精度、北朝鮮軍砲兵は基本的なことができないのではないのか、自衛隊の特科火砲の能力を支えている上記の地道な作業を考えると思ってしまいます。

Img_7891  第二に印象に残ったのは韓国軍自走砲部隊の能力の高さでしょうか。北朝鮮側に民生被害は今回でなかったものだと考えられます、そういうのも韓国軍の反撃で北朝鮮側に民生被害が出ていれば、確実にプロパガンダに利用されたはずなので、これがない、ということはK-9自走榴弾砲の能力がいかんなく発揮されたのだろう、ということです。99式自走榴弾砲と比べれば韓国のK-9自走砲は同じ52口径155mm自走榴弾砲なのですが、日本のは自動装填装置と特科情報装置への自動リンク機能が備えられていますが韓国のK-9は手動装填、M-109A6を52口径化した程度の能力の延長線上にあるのですが、かなり善戦したようです。

Img_5118  陸上自衛隊のFH-70榴弾砲では緊急時の射撃で毎分6発、持続射撃で毎分2発が射撃可能です。実際には悠長に射撃を続けていると反撃を受けるので最大の火力投射と陣地転換を行うのですが、今回は北朝鮮砲兵、NHKの報道では最初の12分間で150発を撃ってきたとのこと、FH-70の特科大隊による効力射に匹敵する規模です。しかし、これに韓国軍が50発応戦すると、反撃は30発にまで低減しているのです。北朝鮮軍は海岸の崖を刳り抜いた掩砲所に火砲を設置しているのですが、ここまで反撃が衰えたところをみると、掩砲所の砲座部分が破壊されてしまったのではないでしょうか。もっとも写真などをみると、かなり海面に近い位置に掩砲所を設置していて、あれでは着上陸対処に水平射撃を加えるには有利でしょうが、対砲兵戦にはそもそも不向きだったおかもしれませんが。さて、北朝鮮が30発の反撃に韓国軍が20発を撃ち返すと、北朝鮮軍の砲は沈黙したようです。一部報道ではK-9自走砲二門にも被害が出たそうですが、逆に二門の被害で済んだのは迅速な陣地転換が可能な自走砲ならでは、ともいえ、陸上自衛隊も将来火砲の自走化は真剣に検討するべきでしょう。

Img_6068  第三に、相手が陸上自衛隊でなくて僥倖だったなあ、という印象です。韓国軍は対砲レーダーを装備していないことは有名でたびたび在韓米軍から導入を開始してはどうかと指摘されています。この話は江畑謙介氏の著書でも紹介されていましたが、韓国軍砲兵隊は島の反対側の駐屯地に展開していたと報じられていますので、恐らく北朝鮮軍は海を隔てて地中にマイクロフォンを設置する音響評定を行ったのかもしれませんが、精度が低すぎました。対して韓国軍は北朝鮮が沿岸の掩砲所から射撃を加えてきた、と報じられていますので前進観測班を北朝鮮が見える位置に進出させて目標の評定と着弾修正が行えたのでしょう。

Img_7958  ただ、この方法は今後北朝鮮軍が後方から152mm榴弾砲などで間接照準射撃を行ってくると対処が難しくなります。この点、陸上自衛隊は対砲レーダーをすべての特科連隊や特科隊に配備していますので、射撃を行った北朝鮮の火砲は迅速にその位置を把握できます。もっとも、陸上自衛隊が相手の場合、射程が10km以上という96式多目的誘導弾が配備されていたりして、文字通りピンポイントで殲滅、ということにもなるでしょうから、こうやって考えると自衛隊の装備というのは進んでいるのですね。

Img_3377  第四、というわけではなく少し離れるのですが新しい心配が。今回は北朝鮮が韓国の離島に対して、特に住宅のある地域に射撃を行い、民間人2名の犠牲者が出た、ということが過去の事案とは異なる事例でした。過去を見た場合、武装ゲリラの侵入事案等で樵が殺害されたり、韓国人拉致事案のように一般市民への被害も皆無ではなかったのですが、しかし砲撃、というのは希有な事例といえます。そこで、今後なのですが、イスラエルに対してイスラム過激派が行っているような散発的なロケット攻撃、このような散発的な長距離射撃が韓国本土のあたりで行われるのではないか、という危惧です。これまで武装ゲリラの浸透か直接大規模侵攻ばかり警戒していましたが、軍事境界線で散発的に発生する銃撃、これを砲撃に置き換えて軍事境界線周辺の非武装地帯以遠に対して行われる可能性、ということも、あり得ないわけではないのですよね。

Img_0597  今回の砲撃は、識者の分析を俯瞰すると背景には国内の体制引き締めなのではという意見や、金正日氏の後継である金正恩氏の指導力誇示、対米交渉の要求などが背景にあるとされていて、これに続く方策として、北朝鮮による三度目の核実験が警戒されているのですけれども、しかし、韓国本土での攪乱の波及のほうが可能性としてあるのでは、と思いました。もちろん、ソウルを砲撃すれば全面戦争ですが、ソウル以外を砲撃すれば、韓国側としても全面戦争や北進は望まないでしょうから、最悪の事態は避けられえるわけです。

Img_1449  こうした器具を杞憂とするためには米韓が一致して軍事演習を展開して封じ込めを行うことでしょう。また、そうした意味でも巨大な後方拠点としての在日米軍の位置づけは重くなってきますので、今政府は日本にできることは何か、ということを考えるとしきりに強調していますが、最たるものは普天間問題の辺野古移転と工法決定そして着手でしょう。また、万一の状況変化に対応できるよう、邦人救出作戦を方式と法整備の面で真剣に検討すること、でしょう。それが第一です、そして南方の中国だけではなく北方のロシアも脅威である、としきりに掲載してきましたが、同時に北朝鮮の情勢もあるわけで、防衛大綱への明記は充分考えるべきです、他方、それができないのでしたら、総選挙も遠くないでしょうし、先送りして次の政権交代後、と丸投げしたほうが、国民の安全と平和には、寄与するかもしれません。出来ないことを認めるのは辛いことですが、それも政権を担う責任の一つです。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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北朝鮮軍・韓国軍が砲撃戦 戦闘地域は朝鮮半島南北境界水域黄海側

2010-11-23 16:28:16 | 国際・政治

◆砲撃により韓国延坪島沿岸部が炎上中

 韓国の黄海側西海五島にある延坪島を北朝鮮軍が砲撃し、韓国軍が火砲で応戦しました。数百発の砲弾が発射され、韓国側には海兵隊員を含む死傷者が出ています。

 NHKより引用です。北朝鮮と韓国 砲撃戦に・・・11月23日 16時1分 : 23日午後、朝鮮半島西側の韓国のヨンピョン島に北朝鮮が海岸から数十発の砲弾を撃ち、これに対して韓国側も砲弾を撃ち返し、南北の間で砲撃戦となりました。韓国の国防省によりますと、この銃撃戦で韓国軍の兵士1人が重傷、3人が軽いけがをしているということです。23日午後2時半ごろ、朝鮮半島西側の黄海に浮かぶ韓国のヨンピョン島に向かって、北朝鮮が海岸から数十発の砲弾を撃ち、韓国軍も砲弾を撃ち返し、南北の間で砲撃戦になりました。住民によりますと、この砲撃で、島の一部の住宅が燃えるなどの被害が出ているほか、島には退避命令が出され、およそ1200人の住民が現場から避難をしているということです。また、国防省によりますと、この銃撃戦で韓国軍の兵士1人が重傷、3人が軽いけがをしているということです。韓国の大統領府によりますと、韓国軍は23日には黄海で通常の軍事演習を行っており、これに反発して北朝鮮が砲弾を撃ち込んだ可能性もあるとみて、北朝鮮の動向を注視しているということです。また、砲撃について、韓国のキム・テヨン国防相は、国会で「北朝鮮側から50発余りの砲弾が撃ち込まれ、これに対して韓国側は自衛権を行使するため80発の砲弾を撃った」と証言しました。南北間では、双方の警備艇が海上で銃撃戦になったことはありますが、北朝鮮が陸上に向かって攻撃したのはきわめて異例のことですhttp://www3.nhk.or.jp/news/html/20101123/t10015404181000.html

 今回の状況ですが、過去の1999年6月15日の第一次黄海海戦(第一次延坪海戦)、2002年6月28日の第二次黄海海戦(第二次延坪海戦)が戦われており、第一次黄海海戦では韓国領海内へ北朝鮮海軍の魚雷艇・哨戒艇5隻が侵入を試み、これを韓国海軍哨戒艇が体当たりで阻止した事で戦闘が始まり、韓国海軍が機関砲射撃により北朝鮮艇2隻を撃沈、韓国側は船体を一部破損したのみで圧勝しました。第二次黄海海戦は日韓ワールドカップの最中に発生、北朝鮮コルベットと警備艇2隻の領海侵入に対して韓国哨戒艇四隻が接近したところ、突如コルベットが発砲、韓国哨戒艇一隻を大破炎上させると反撃の中二隻は撤退、反撃を受けかなりの損害を被ったとの事ですが、大破した韓国哨戒艇はそのまま沈没したため、北朝鮮側が第一次黄海海戦の敗北に一矢報いたかたちとなりました。この種の海戦、銃撃戦はあるのですが、戦闘は継続的に展開した事はなく、もちろんこれは韓国海軍が北朝鮮海軍の規模を圧倒しているためなのですけれども、その後は緊張を保った小康状態となっています。今回は延坪島の島民が全島避難となり仁川に退避中という状況ですので、これがいつごろ解除されるのか、また場合によっては住民が退避した延坪島に北朝鮮特殊部隊が浸透する可能性もありますので、韓国海兵隊の増援がどの程度行われるのか、という事で今後の収束までの過程は異なってくるでしょう。

 今回の事件があった地域は韓国海軍の浦項級コルベット天安の撃沈事案が発生した海域の近くにあり、度々海上での警備艇と哨戒艇による銃撃戦や海上への砲撃等が行われている地域となっています。日本でも離島は国境の最前線、という位置づけにありますが、韓国の場合はもう少し事情が異なります。学校の教科書では北緯三十八度線で南北が分断された、という記載があるのですが、両国の地図を見た場合に分かるように朝鮮戦争により南北境界線は停戦ラインである北緯三十八度線には明確に限られていません。このなかで、南北軍事境界線よりも北側に韓国領土の島が幾つかあり、西海五島、韓国国民からは北緯三十八度要塞、と呼ばれていました。今回事件が発生したのもこの三十八度線要塞の一つに当たります。韓国軍はこの地域にかなりの部隊を駐留させていまして、延坪島の近く、より北上した場所にある白翎島は韓国海兵隊の精鋭一個旅団が駐屯しています。仁川から直線にして200kmの白翎島は農林漁業が盛んで、農産物の収穫も多いことから5000名の住民が生活していて、海水浴場があることから韓国本土からの観光客も少なくないのですが、住民と海兵隊の人数がほぼ同じ、という位置づけにあり、観光客や生活物資を輸送する高速船には海軍の哨戒艇が護衛に随伴する事もあります。観光客が本土から訪れるとのことですけれども、全島要塞化という状況にあり、トーチカや地下砲台、塹壕に偽装された各種ミサイル等も配置されていて常に即応体制が採られており、ここまでの海兵隊の陣地構築に住民が協力的なのは、朝鮮戦争の歴史があるから、とのことです。白翎島は開戦とほぼ同時に北朝鮮軍の侵攻を受けて占領されたのですが、島民が反共義勇軍を組織して山に立て篭もり、韓国軍の増援上陸を受けて北朝鮮軍を駆逐するとそのまま軍民一致となって島を維持した、という歴史があるのです。対岸は12.5km先にある北朝鮮の長山串、人民軍第五軍団が展開しています。

 今回の砲撃事案が発生した延坪島は、白翎島と仁川の中間部分にあります。それでは、今後よろ大きな状況、南北前面衝突に展開する可能性はあるのでしょうか。韓国では北朝鮮がこの地域の緊張を高める背景には、逆に南北前面衝突を避けようとしている表れ、との分析があります。南北軍事衝突を前面武力衝突に向かわせるのでしたら、開城に部隊を集結させ、在韓米軍の展開する議政府回廊を経てソウルを目指す経路を採らなければ、目的を達成できないのですが、こうした黄海での緊張を高めた後では韓国軍の警戒態勢が高まるため、逆に正面を切っての奇襲は行えなくなります。一方で、黄海での緊張状態を醸成することは、韓国に対する北朝鮮の強硬姿勢を示せる訳で、北朝鮮には体制引き締めと政権磐石化という利点があります。あまり露骨な事を続けますと韓国空軍のF-16Kが策源地攻撃を行うかもしれませんし、F-15Kが北朝鮮の航空優勢を奪取して平壌を攻撃することも可能です。しかし、韓国側としてもソウルが北朝鮮人民軍の野砲射程内にあり、軍事境界線付近の北朝鮮火砲は2800とも3000ともいわれていますので、この脆弱性を抱えていると反撃にはよほどの覚悟が要ります。本文の中間あたりから、これを全面衝突というのですが、全面衝突となれば平壌陥落とソウル荒廃、双方ともに難点を抱えている事を熟知しているので、そこまで大きな反撃がないだろう、という北朝鮮の打算も背景にある訳です。しかし、ガソリンスタンドで火遊びをしている状況ですから、何かあれば、一挙に意図せず緊張拡大、という事もあり得るのが恐ろしいのですが。

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自衛隊アフガニスタン派遣は防衛省設置法の海外出張扱い

2010-11-22 22:37:24 | 国際・政治

■派遣規模数名、ISAF指揮下には入らず

 自衛隊のアフガニスタン派遣は、先日の横浜での日米首脳会談において菅直人首相と小浜大統領との間の国際公約となりました。

Img_4265  アメリカは普天間基地移設問題での日本側の一方的な日米合意の不履行と違反、尖閣諸島問題における中国に対するアメリカの日本支持の表明と部隊行動、インド洋給油支援の日本側の一方的打ち切り。これらの一連の行動に対して、日本が行動で示す、そういう機会となるわけです。そもそもアフガニスタンへの自衛隊派遣は昨年の衆議院総選挙における民主党の国際貢献公約の目玉でしたし、アフガニスタン情勢の悪化を鑑みればものすごい危険と犠牲の覚悟を必要とするものでして、アメリカ側もこうしたなかで、あの物量を誇る米軍でさえも不足気味であるヘリコプター部隊の派遣を求めてきていました。

Img_6433_1  しかし、蓋を開けてみれば、自衛隊の派遣は医官を中心に数名規模を派遣するだけ、しかも派遣に関して、民主党は野党時代から自民党の派遣ごとの特措法制定を批判して、恒久法制定を提唱していたのですが実態はなんと防衛省設置法に基づく海外出張扱いでアフガニスタンに部隊を派遣する、という信じがたい方法をとるようです。この関係と集団的自衛権の問題に抵触しないように、アフガニスタンの治安任務を担当する国際治安部隊ISAFの指揮下には入らず、防衛大臣直轄部隊として任務に向かうようです。これならば、日米合意を反故にして行かないほうがいいのではないでしょうか。

Img_3652  自民党はインド洋対テロ海上阻止行動給油支援の再開を提案しています。給油を行う補給艦の数には、海上自衛隊に余裕はありません。とわだ型補給艦は老朽化が進んでいて、後継艦が必要なのですが、その予算がねん出できないため延命改修を行うことが決定しています。また、昨日掲載したようにソマリア沖海賊対処任務も継続して実施されています。かんせんによゆうがないことは百も承知なのですけれども、しかし、鳴り物入りで行うアフガニスタン派遣が、実際にはアフガニスタン出張、というのでは日米関係に亀裂が入ります。

Img_1761  現にものすごい戦死者が出ているのです。それはもちろん、一人でも多くの医官は必要でしょう。しかし、移動総合病院というべき規模の医療旅団を持つ米軍にたいして、文字通り一人二人、と数人の規模で派遣する、というのは、派遣される立場になって考えてみてください。また、こういう状況では意図が疑われ、派遣される隊員が苦労する、ということはゴラン高原PKOをはじめ、過去の任務で証明されているわけで、それよりは給油支援の再開と海賊対処任務の継続と拡大を行い、インド洋・アラビア海・アデン湾は日本に任せろ!、という姿勢を見せたほうが、どれだけ上策か。

Img_2937  アフガニスタン情勢は非常に緊迫しています。米軍は2014年までにカルザイ政権のアフガニスタン政府軍に全権を委譲するべく軍事行動を実施しているのですが、これはオバマ大統領が2014年に撤退、という公約を実現するべく行われているもので、結果的にアフガニスタンの反政府武装勢力タリバーンには2014年まで粘れば大丈夫、ということを示すことになってしまっています。山間部に展開する武装勢力に対して日々多くの犠牲者を出しながらISAFに部隊を派遣する各国は戦闘を展開させており、米軍は掃討任務を強化するべくM-1A2戦車の派遣を決定しました。

Img_8832  そんな激戦が続くアフガニスタンへ、求められているのは近接航空支援を行うF-2飛行隊や輸送支援を行うべく不足が主張されているCH-47JA輸送ヘリコプター、戦闘負傷者や急患輸送に求められるUH-60JA多用途ヘリコプター、誤爆を防ぐために精度の高い火力支援が可能な99式自走榴弾砲、山間部でも運用が可能な軽量で火力の大きな90式戦車、いろいろ考えられるのですが、こうしたなかで日本の提示は数名の医官、しかもISAFの指揮下に入らない。これでは現地で軋轢を生みますし、我が国の同盟国への姿勢が疑われます。

Img_9118  また、完全な戦闘地域であるアフガニスタンへ出張扱い、というのも非常にふざけた話です。恒久法を制定するとしていたのにもかかわらず、防衛省設置法に基づく派遣、それが通るならば、もうどんな地域へも出張できてしまいます。朝鮮半島有事に第七師団を出張させたり、台湾海峡有事に護衛艦隊を出張させたり、弾道ミサイル危機にF-2飛行隊を出張させたり、可能でしょう。しかし、これでは任務範囲が際限なく拡大してしまいます。恒久法が間に合わないのであれば特措法を提示するべきです。後顧の憂いを断つためにも、アフガニスタン自衛隊出張、という欺瞞は許されるべきではない、そう考える次第です。

HARUNA

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アデン湾海賊対処任務 第七次派遣水上部隊に佐世保基地第七護衛隊

2010-11-21 23:07:05 | 防衛・安全保障

◆護衛艦きりさめ、ゆうだち十二月一日出航

 統合幕僚監部によればソマリア沖アデン湾海賊対処任務へ第七次派遣水上部隊として佐世保基地の第七護衛隊が選ばれ十二月一日に佐世保基地を出航する事と決定したようです。

Img_1362  派遣部隊指揮官は第七護衛隊司令伊藤弘1佐45歳で、きりさめ、は艦長の水谷宗和2佐(51歳)以下乗員180名。護衛艦ゆうだち、は艦長林田嘉信2佐(49歳)以下180名と海上保安官8名を含めた約400名。きりさめ、ゆうだち、は海上自衛隊護衛艦隊の主力である、むらさめ型護衛艦で満載排水量は6200㌧、対空対潜対水上の各種装備を備えたガスタービン艦で哨戒ヘリコプターの運用能力及びステルス性を備えている優秀艦。

Img_26001  現在は第六次派遣水上部隊として第三護衛隊の三船忍1佐(49歳)以下、護衛艦まきなみ、艦長秋元辰夫2佐(46歳)以下の乗員と、護衛艦せとぎり艦長西脇匡史2佐(40歳)以下の乗員が紅海とインド洋を結ぶアデン湾をジブチ共和国からソマリアとイエメンを隔てるアデン湾に沿って900~1100kmの海域について船団を護衛し、同時に哨ジブチ共和国に派遣されている派遣海賊対処行動航空隊のP-3C哨戒機が上空から情報収集に当たっています。

Img_7452  海上自衛隊からは現在、常時二隻の護衛艦を海賊対処任務に派遣しているのですが、護衛艦二隻と哨戒ヘリコプターにより船団を護衛するという任務には大型艦でヘリコプターの運用能力が高い護衛艦でなければならず、その派遣任務はソマリア沖という非常に遠い海域とともに海上自衛隊の平時の訓練や警戒任務と両立するには決して楽な任務ではありませんし、乗員への負担も想像を絶するものがあります。

Img_1087  しかしながら、この海域は中東と日本、欧州と日本を結ぶ重要航路であり、この地域の商船を護衛する事は日本のみならず欧州とアジアを結ぶ重要な意義があります。派遣当初こそ、その意義や位置づけについて日本国内でも大きく議論され、報道されていましたが、いまではあまり報じられることも無くなりました。ただし、今日の日本の豊かな生活を支えるべく、今日も海上自衛隊の任務は継続されており、第七次派遣部隊として来月一日、更に二隻の護衛艦が派遣される、ということは覚えておく必要があるでしょう。

HARUNA

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