■週報:世界の防衛,最新9論点
各国の陸軍関係最新事情を紹介しましょう。戦車と戦車砲の話題に装甲戦闘車と軽装甲車の話題など今回は9の話題をみてみます。
自衛隊の募集難という実情を見ますと、思い切って師団普通科連隊の1200名定員を抜本的に見直して、即応機動連隊定員850名というものに段階的に切り替えていってはどうか、と考えます。即応機動連隊の本部管理中隊に3個普通科中隊と機動戦闘車隊に火力支援中隊、この編成はアメリカのストライカー諸兵科連合大隊のようで非常に考えられているもの。
即応機動連隊を念頭に戦車部隊を組み込み装甲機動連隊というものを編成できないか、機動戦闘車隊の編成を戦車20両からなる戦車隊とすればよい、普通科主体の軽量版即応機動連隊として遠征機動連隊を編成できないか、普通科中隊は高機動車主体で機動戦闘車隊に代えてMPMSの対舟艇対戦車隊を置けばよい、これでかなりコンパクト化できましょう。
■チャレンジャー2vsアルマータ
イギリスは日本と違い戦車国産基盤が既に無くチャレンジャー戦車の維持部品さえもスウェーデンで生産しており、結果として近代化改修はままなりません。ただ日本は見ておく必要がある。
イギリスチャレンジャー2戦車はロシアアルマータT-14戦車に対抗出来ない、イギリス議会国防部会において問題となっているようです。これは7月に議会において、チャレンジャー戦車の近代化改修や装甲車両の近代化計画の遅れなどが指摘され、特にチャレンジャー2は主砲更新計画が停滞しているとともに車体部分基本設計は1960年代のチーフテン戦車です。
チャレンジャー戦車は120mmライフル砲の砲弾が製造終了となって久しく、弾薬製造技術が失われている為にドイツ製120mm戦車砲への換装が計画され宙に浮いたままでこのままでは主砲弾薬が枯渇します、そして汎用装甲車であるFV-430などは足回りの改良や増加装甲が追加されていますが製造は1960年代、自走砲のAS-90もそろそろ砲身が寿命です。
ロシアのアルマータT-14戦車は全く新しい戦車であり、イギリスはロシアと関係が悪化する前の時点では最早ロシアの脅威はないとして戦車全廃さえ検討していた為に影響は甚大で、また2000年代にアフガニスタン治安作戦において大量軽装甲車を取得する事に多額の国防費を消費してしまい、AJAX装甲偵察車等を例外として装備更新が全く進んでいません。
■ラインメタル130mm砲
105mm戦車砲が120mm戦車砲時代に切り替わってから間もなく40年ですが、いよいよ世代交代を迎えるのでしょうか。
ドイツラインメタル社は7月31日、同社が開発を進める130mm戦車砲の試験映像を公開した。現在、世界各国の主力戦車は120mm戦車砲を基本としているが装甲防御力の進化により120mm口径での貫通撃破が難しくなりつつある。ラインメタル社の130mm戦車砲は自動装填装置を備えており試験映像にはその装填機構の一部も併せて公開されている。
130mm戦車砲は我が国でも防衛装備庁が試験を行い10式戦車への換装も見込んでいるとの事、またフランスやロシアでは更に強力な140mm戦車砲の開発も進み、次世代には120mm戦車砲は世代交代する可能性もある。しかし同時に戦車をこれ以上巨大化させる事は機動力に限界を招く為、併せて120mm戦車砲用新型戦車砲弾の開発も各国が進めている。
ロシアはソ連時代にT-72戦車へ125mm戦車砲を搭載しており、これを機に1980年代、欧州やアメリカも135mm砲による対抗を模索したが実現していない、また125mm戦車砲弾と同程度乃至それ以上の威力を有する120mm戦車砲弾も開発されている、1960年代にはアメリカが152mm砲を備えた戦車を開発したがミサイル発射用であり普及していない。
■Land-400/Phase3計画
オーストラリア陸軍は規模を維持しつつ大胆な装甲化計画を推進中です。89式装甲戦闘車の配備が空振りに終わった日本としては羨ましい。
レッドバックvsリンクス。オーストラリア陸軍の次期装甲戦闘車選定は最終段階となったようで、これまでに強豪のスウェーデン製CV-90や最新鋭のイギリス採用AJAXなどは落選、韓国製レッドバック装甲戦闘車とドイツ製リンクス装甲戦闘車が一騎打ちとなり、ここで決定された側が採用される。過去豪州は韓国製K9自走榴弾砲を選外としたが今回は。
Land-400/Phase3計画。これはオーストラリア陸軍の第二次世界大戦後最大の陸軍近代化計画で装軌式装甲戦闘車と派生型等400両を導入するもの。オーストラリア陸軍の編成は兵力3万2000名と2個師団が基幹とする。レッドバックはハンファディフェンス社製の重量42t、輸出が実現すれば1994年にマレーシアへKIFV装甲車輸出以来の装甲車輸出だ。
リンクスKF41装甲戦闘車はラインメタル製で冷戦時代に大量生産されたマルダー装甲戦闘車の車体設計を流用し車体を大幅に防御力強化し、30mm機関砲を搭載したもの。オーストラリア軍はASLAV軽装甲車の後継としてドイツ製ボクサー重装輪装甲車の30mm機関砲搭載型を採用しており、兵站補給や整備教育の面でのある程度の互換性は期待できる。
■ブラッドレーハイブリット化
日本では89式装甲戦闘車の車体部を換装する評価試験が進んでいますがアメリカでもパワーパック交換計画があるもよう。
ブラッドレー装甲戦闘車のハイブリッド動力システム化改修をBAEが着手したとのこと。これはアメリカ陸軍が主力装甲戦闘車として運用するブラッドレーの延命計画としてすすめているパワーパック交換事業の一環でイギリスBAE社は試作車両のパワーパック交換を3200万ドルで受注しました。ハイブリッド動力システム研究は2010年から継続中です。
パラディン自走榴弾砲など、アメリカ陸軍では旧式化しつつも近代化改修により当面運用を継続する装備は多く、ブラッドレー装甲戦闘車のハイブリッド動力システム化改修はパラディンなどにも応用されるとのこと。しかし老朽化も現実であり2021年までに画期的なOMFV将来無人装甲戦闘車を開発する企業を求めるRFP技術提案書も発表しています。
■パトリアAMV無線操縦実験
自家用車の自動運転は中々実用化しませんが軍用車の世界では交通事故よりも人員防護が優先され意外と進んでいます。
パトリアAMV,自衛隊も検討しているフィンランド製装甲車だ。その昔東宝映画の“世界大戦争”において近未来朝鮮半島有事に無人ミサイル戦車部隊、CH-46ヘリコプターから遠隔操作されるミサイル戦車部隊が登場しました、目立つ位置を飛行していたCH-46が真っ先に破壊されていましたが。さて、現代ではもう少し上手くやるという、4Gや5Gでね。
パトリアAMVを4G/5G回線で遠隔操作実験に成功。これは30mm機関砲を搭載したAMVにて実施したもので、もともとAMVに搭載されている30mm機関砲は無人砲塔を車内から管制している為、これを車内から実施するか後方から実施するかで砲塔については遠隔操作の余地があるものでした、ここに自動運転技術を応用し遠隔操作運転を実施したもの。
将来の無人戦車に期待を繋ぐと共に、実はこの技術で戦車と遭遇した際に乗員が下車退避しつつ機関砲による戦闘と下車歩兵の対戦車火器との協同という選択肢や、自衛隊の場合は現状全員が下車し無人となる軽装甲機動車の運用に、遠隔操作銃搭とともに無人のまま下車普通科隊員を火力支援するというような、新しい光明をさす事となるやもしれません。
■フランスVBMR装甲車
フランス陸軍は野戦用のVAB軽装甲車を耐爆装甲車により置き換える構想です。VABは1975年から大量配備され日本の82式指揮通信車に似ています。
フランス陸軍は海兵連隊へ最新鋭のVBMR装甲車の受領を開始した。VBMR装甲車は耐爆装甲車型車体で旧式化したVAB軽装甲車後継として開発されていた。配備を受けたのはヴァール県フレジャス兵営の第3機甲師団第6軽機甲旅団第21海兵歩兵連隊で9月までに14両を導入し、年内に更に14両を取得、2個中隊を充足させる。実戦部隊として四番目だ。
VBMRグリフィン多目的装甲車は六輪式装輪装甲車で戦闘重量25t、400hpのエンジンを搭載し12.7mm遠隔操作銃搭RWSを備える、定員は乗員2名と兵員8名で車幅は2.5mと小型である。取得費用は一両当たり100万ユーロ、フランス陸軍は319両を発注しており将来的に1872両まで取得を計画している。またベルギー陸軍も417両の導入計画がある。
■ドイツ軍トラック4000両
自衛隊では毎年徐々にトラックを置き換えてゆきますが一挙に多額の予算を投じる方法もあるのですね。
ドイツ連邦軍は旧式化した連邦陸軍トラック刷新へ4000両を20億ユーロでラインメタル社と契約した。製造はラインメタルグループのMAN社がドイツ製部品をオーストリア工場にて最終組立する、MAN社製トラックは陸上自衛隊19式装輪自走榴弾砲の車体部を生産している事でも知られる。4000両の新型トラックは2027年までに納入されるとのこと。
MANトラックはまず、第一次契約として540両を3億4800万ユーロで導入し、内230両はアフガニスタン派遣などでの戦訓から装甲トラック型とされる。導入は2021年から。連邦軍にはMAN社製やダイムラープフ社製にFAUN社製等といった数種類のトラックが混在し運用されているが、今回のMAN社製トラック導入により装備補給体系の一本化を図る。
■ロシア軍の新師団電子戦
ロシア軍はソ連時代から伝統的に電子戦を重視しています。そしてこのほど新型の師団電子戦システムが完成し実戦配備されたという話題です。
ロシア陸軍は最新鋭野外電子戦システム初の大規模演習を2020年7月に実施したと発表。実施部隊は第 4 親衛戦車師団で、主として無人攻撃機による攪乱攻撃からの広域防護を想定し、無人攻撃機からの電波を受信しその位置と攻撃目標を解析するとともに妨害し破壊するまでの一連の行動を演練したとのこと。近年、小型無人機は新しい脅威となっている。
野外電子戦システムはR-330ZH方位探知装置と R-330M1P-Diabazol電子妨害装置より構成され、大型トラックに複合アンテナマストを設置、師団隷下部隊として迅速に機動可能という。ロシア軍は電子戦を重視しており、最も強力なものでは艦隊データリンクを標的とし数千キロ先のデータリンクを破壊するムルマンスクBNなどの装備を保有しています。
■韓国初の戦車用エンジン
30年前に90式戦車のエンジンを開発した三菱重工は凄かったのですね。
韓国K-2戦車用国産1500馬力エンジンが遂に完成した、韓国国防省は戦車用1500馬力エンジンを国産出来たのはアメリカとドイツだけで世界第三の開発と誇示している。なお三菱重工も30年前に90式戦車用の1500馬力エンジンを、フランスのルクレルクもSACM社製1500馬力を、中国の99式A型戦車用エンジンも開発している為に、珍しくはない。
K-2戦車は2009年にエンジン以外完成しているが、前型のK-1戦車が設計と主要部品生産をアメリカに依存しており、どうしても輸出用に純国産の戦車を必要としていた。2009年のK-2戦車はドイツMTU社製エンジンを搭載していた。韓国はトルコのアルタイ戦車、そしてポーランドにK-2戦車派生型の輸出を希望しており、今回ここに目処が就いた訳だ。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
各国の陸軍関係最新事情を紹介しましょう。戦車と戦車砲の話題に装甲戦闘車と軽装甲車の話題など今回は9の話題をみてみます。
自衛隊の募集難という実情を見ますと、思い切って師団普通科連隊の1200名定員を抜本的に見直して、即応機動連隊定員850名というものに段階的に切り替えていってはどうか、と考えます。即応機動連隊の本部管理中隊に3個普通科中隊と機動戦闘車隊に火力支援中隊、この編成はアメリカのストライカー諸兵科連合大隊のようで非常に考えられているもの。
即応機動連隊を念頭に戦車部隊を組み込み装甲機動連隊というものを編成できないか、機動戦闘車隊の編成を戦車20両からなる戦車隊とすればよい、普通科主体の軽量版即応機動連隊として遠征機動連隊を編成できないか、普通科中隊は高機動車主体で機動戦闘車隊に代えてMPMSの対舟艇対戦車隊を置けばよい、これでかなりコンパクト化できましょう。
■チャレンジャー2vsアルマータ
イギリスは日本と違い戦車国産基盤が既に無くチャレンジャー戦車の維持部品さえもスウェーデンで生産しており、結果として近代化改修はままなりません。ただ日本は見ておく必要がある。
イギリスチャレンジャー2戦車はロシアアルマータT-14戦車に対抗出来ない、イギリス議会国防部会において問題となっているようです。これは7月に議会において、チャレンジャー戦車の近代化改修や装甲車両の近代化計画の遅れなどが指摘され、特にチャレンジャー2は主砲更新計画が停滞しているとともに車体部分基本設計は1960年代のチーフテン戦車です。
チャレンジャー戦車は120mmライフル砲の砲弾が製造終了となって久しく、弾薬製造技術が失われている為にドイツ製120mm戦車砲への換装が計画され宙に浮いたままでこのままでは主砲弾薬が枯渇します、そして汎用装甲車であるFV-430などは足回りの改良や増加装甲が追加されていますが製造は1960年代、自走砲のAS-90もそろそろ砲身が寿命です。
ロシアのアルマータT-14戦車は全く新しい戦車であり、イギリスはロシアと関係が悪化する前の時点では最早ロシアの脅威はないとして戦車全廃さえ検討していた為に影響は甚大で、また2000年代にアフガニスタン治安作戦において大量軽装甲車を取得する事に多額の国防費を消費してしまい、AJAX装甲偵察車等を例外として装備更新が全く進んでいません。
■ラインメタル130mm砲
105mm戦車砲が120mm戦車砲時代に切り替わってから間もなく40年ですが、いよいよ世代交代を迎えるのでしょうか。
ドイツラインメタル社は7月31日、同社が開発を進める130mm戦車砲の試験映像を公開した。現在、世界各国の主力戦車は120mm戦車砲を基本としているが装甲防御力の進化により120mm口径での貫通撃破が難しくなりつつある。ラインメタル社の130mm戦車砲は自動装填装置を備えており試験映像にはその装填機構の一部も併せて公開されている。
130mm戦車砲は我が国でも防衛装備庁が試験を行い10式戦車への換装も見込んでいるとの事、またフランスやロシアでは更に強力な140mm戦車砲の開発も進み、次世代には120mm戦車砲は世代交代する可能性もある。しかし同時に戦車をこれ以上巨大化させる事は機動力に限界を招く為、併せて120mm戦車砲用新型戦車砲弾の開発も各国が進めている。
ロシアはソ連時代にT-72戦車へ125mm戦車砲を搭載しており、これを機に1980年代、欧州やアメリカも135mm砲による対抗を模索したが実現していない、また125mm戦車砲弾と同程度乃至それ以上の威力を有する120mm戦車砲弾も開発されている、1960年代にはアメリカが152mm砲を備えた戦車を開発したがミサイル発射用であり普及していない。
■Land-400/Phase3計画
オーストラリア陸軍は規模を維持しつつ大胆な装甲化計画を推進中です。89式装甲戦闘車の配備が空振りに終わった日本としては羨ましい。
レッドバックvsリンクス。オーストラリア陸軍の次期装甲戦闘車選定は最終段階となったようで、これまでに強豪のスウェーデン製CV-90や最新鋭のイギリス採用AJAXなどは落選、韓国製レッドバック装甲戦闘車とドイツ製リンクス装甲戦闘車が一騎打ちとなり、ここで決定された側が採用される。過去豪州は韓国製K9自走榴弾砲を選外としたが今回は。
Land-400/Phase3計画。これはオーストラリア陸軍の第二次世界大戦後最大の陸軍近代化計画で装軌式装甲戦闘車と派生型等400両を導入するもの。オーストラリア陸軍の編成は兵力3万2000名と2個師団が基幹とする。レッドバックはハンファディフェンス社製の重量42t、輸出が実現すれば1994年にマレーシアへKIFV装甲車輸出以来の装甲車輸出だ。
リンクスKF41装甲戦闘車はラインメタル製で冷戦時代に大量生産されたマルダー装甲戦闘車の車体設計を流用し車体を大幅に防御力強化し、30mm機関砲を搭載したもの。オーストラリア軍はASLAV軽装甲車の後継としてドイツ製ボクサー重装輪装甲車の30mm機関砲搭載型を採用しており、兵站補給や整備教育の面でのある程度の互換性は期待できる。
■ブラッドレーハイブリット化
日本では89式装甲戦闘車の車体部を換装する評価試験が進んでいますがアメリカでもパワーパック交換計画があるもよう。
ブラッドレー装甲戦闘車のハイブリッド動力システム化改修をBAEが着手したとのこと。これはアメリカ陸軍が主力装甲戦闘車として運用するブラッドレーの延命計画としてすすめているパワーパック交換事業の一環でイギリスBAE社は試作車両のパワーパック交換を3200万ドルで受注しました。ハイブリッド動力システム研究は2010年から継続中です。
パラディン自走榴弾砲など、アメリカ陸軍では旧式化しつつも近代化改修により当面運用を継続する装備は多く、ブラッドレー装甲戦闘車のハイブリッド動力システム化改修はパラディンなどにも応用されるとのこと。しかし老朽化も現実であり2021年までに画期的なOMFV将来無人装甲戦闘車を開発する企業を求めるRFP技術提案書も発表しています。
■パトリアAMV無線操縦実験
自家用車の自動運転は中々実用化しませんが軍用車の世界では交通事故よりも人員防護が優先され意外と進んでいます。
パトリアAMV,自衛隊も検討しているフィンランド製装甲車だ。その昔東宝映画の“世界大戦争”において近未来朝鮮半島有事に無人ミサイル戦車部隊、CH-46ヘリコプターから遠隔操作されるミサイル戦車部隊が登場しました、目立つ位置を飛行していたCH-46が真っ先に破壊されていましたが。さて、現代ではもう少し上手くやるという、4Gや5Gでね。
パトリアAMVを4G/5G回線で遠隔操作実験に成功。これは30mm機関砲を搭載したAMVにて実施したもので、もともとAMVに搭載されている30mm機関砲は無人砲塔を車内から管制している為、これを車内から実施するか後方から実施するかで砲塔については遠隔操作の余地があるものでした、ここに自動運転技術を応用し遠隔操作運転を実施したもの。
将来の無人戦車に期待を繋ぐと共に、実はこの技術で戦車と遭遇した際に乗員が下車退避しつつ機関砲による戦闘と下車歩兵の対戦車火器との協同という選択肢や、自衛隊の場合は現状全員が下車し無人となる軽装甲機動車の運用に、遠隔操作銃搭とともに無人のまま下車普通科隊員を火力支援するというような、新しい光明をさす事となるやもしれません。
■フランスVBMR装甲車
フランス陸軍は野戦用のVAB軽装甲車を耐爆装甲車により置き換える構想です。VABは1975年から大量配備され日本の82式指揮通信車に似ています。
フランス陸軍は海兵連隊へ最新鋭のVBMR装甲車の受領を開始した。VBMR装甲車は耐爆装甲車型車体で旧式化したVAB軽装甲車後継として開発されていた。配備を受けたのはヴァール県フレジャス兵営の第3機甲師団第6軽機甲旅団第21海兵歩兵連隊で9月までに14両を導入し、年内に更に14両を取得、2個中隊を充足させる。実戦部隊として四番目だ。
VBMRグリフィン多目的装甲車は六輪式装輪装甲車で戦闘重量25t、400hpのエンジンを搭載し12.7mm遠隔操作銃搭RWSを備える、定員は乗員2名と兵員8名で車幅は2.5mと小型である。取得費用は一両当たり100万ユーロ、フランス陸軍は319両を発注しており将来的に1872両まで取得を計画している。またベルギー陸軍も417両の導入計画がある。
■ドイツ軍トラック4000両
自衛隊では毎年徐々にトラックを置き換えてゆきますが一挙に多額の予算を投じる方法もあるのですね。
ドイツ連邦軍は旧式化した連邦陸軍トラック刷新へ4000両を20億ユーロでラインメタル社と契約した。製造はラインメタルグループのMAN社がドイツ製部品をオーストリア工場にて最終組立する、MAN社製トラックは陸上自衛隊19式装輪自走榴弾砲の車体部を生産している事でも知られる。4000両の新型トラックは2027年までに納入されるとのこと。
MANトラックはまず、第一次契約として540両を3億4800万ユーロで導入し、内230両はアフガニスタン派遣などでの戦訓から装甲トラック型とされる。導入は2021年から。連邦軍にはMAN社製やダイムラープフ社製にFAUN社製等といった数種類のトラックが混在し運用されているが、今回のMAN社製トラック導入により装備補給体系の一本化を図る。
■ロシア軍の新師団電子戦
ロシア軍はソ連時代から伝統的に電子戦を重視しています。そしてこのほど新型の師団電子戦システムが完成し実戦配備されたという話題です。
ロシア陸軍は最新鋭野外電子戦システム初の大規模演習を2020年7月に実施したと発表。実施部隊は第 4 親衛戦車師団で、主として無人攻撃機による攪乱攻撃からの広域防護を想定し、無人攻撃機からの電波を受信しその位置と攻撃目標を解析するとともに妨害し破壊するまでの一連の行動を演練したとのこと。近年、小型無人機は新しい脅威となっている。
野外電子戦システムはR-330ZH方位探知装置と R-330M1P-Diabazol電子妨害装置より構成され、大型トラックに複合アンテナマストを設置、師団隷下部隊として迅速に機動可能という。ロシア軍は電子戦を重視しており、最も強力なものでは艦隊データリンクを標的とし数千キロ先のデータリンクを破壊するムルマンスクBNなどの装備を保有しています。
■韓国初の戦車用エンジン
30年前に90式戦車のエンジンを開発した三菱重工は凄かったのですね。
韓国K-2戦車用国産1500馬力エンジンが遂に完成した、韓国国防省は戦車用1500馬力エンジンを国産出来たのはアメリカとドイツだけで世界第三の開発と誇示している。なお三菱重工も30年前に90式戦車用の1500馬力エンジンを、フランスのルクレルクもSACM社製1500馬力を、中国の99式A型戦車用エンジンも開発している為に、珍しくはない。
K-2戦車は2009年にエンジン以外完成しているが、前型のK-1戦車が設計と主要部品生産をアメリカに依存しており、どうしても輸出用に純国産の戦車を必要としていた。2009年のK-2戦車はドイツMTU社製エンジンを搭載していた。韓国はトルコのアルタイ戦車、そしてポーランドにK-2戦車派生型の輸出を希望しており、今回ここに目処が就いた訳だ。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)