■防衛フォーラム
今回は少し間が開きましたが2024国際航空宇宙展の続報について。
イギリスと日本及びイタリアが開発中のGCAP次期戦闘機について、2024国際航空宇宙展にその十分の一規模の模型が公開されました。GCAPグローバル航空戦闘プログラムは航空自衛隊のF-2戦闘機後継機を模索するとともに、イギリスとイタリアのユーロファイター2000タイフーン戦闘機の後継機を開発するものです。
GCAP次期戦闘機について、三菱重工とBAEシステムズ社およびレオナルド社が参加していますが、今回公開されたものは十分の一水準の模型であり、実物大モックアップを展示できる状況ではない事が一つの象徴的出来事であるのかもしれません。事実、2024年7月にはイギリスのスターマー新政権が計画参加を見直す可能性を示唆しました。
モックアップは、実際、イギリスは独自開発を模索していた時代、テンペスト戦闘機の実物大モックアップを早々に公開しています。イギリスはサウジアラビアの開発参加を示唆している一方、第三国輸出に消極的な日本の方針があり、具体的な機体形状をモックアップで示すことができないという現状を示唆しているのかもしれません。■
三菱重工はCCA無人戦闘機構想を発表しました。これは東京ビッグサイトで開催されました国際航空宇宙展において模型とともにその運用の方向性を示すCG画像が公開されたもの。機体形状はいわゆる滞空型無人機ではなくステルス性に配慮したもので、ボーイングオーストラリアが開発したロイヤルウィングマン無人僚機をおもわせるもの。
CCA無人戦闘機の運用として、有人戦闘機からの指示を受けミサイルを発射する、という運用が示されていました。これはステルス戦闘機がミサイルを発射する際、ウェポンベイを解放した瞬間にRCSレーダー反射面積が顕著に増大し敵対勢力に発見される懸念があったものを、管制は有人戦闘機、危険な発射は無人機、と任務を分けた構図といえる。
CCAは一種の無人僚機として運用されるようですが、三菱重工が展示した模型ではエンジン部分に推力偏向用のコンダイノズルが設置されている様子が確認されることから、一直線に飛行するのでは無くある程度有人戦闘機に随伴することを想定した機動力が付与されることが前提とされ、日本版MQ-28ゴーストバットを目指す機体といえるでしょう。■
日本飛行機は自衛隊V-BAT無人機導入を支援するもよう。東京ビッグサイトにおいて行われました国際航空宇宙展2024では航空機部品製造や航空機定期整備を担当する日本飛行機が、アメリカのシールドAI社が開発したV-BAT垂直離着陸型無人機の運用支援、予備部品製造やシステム維持と教育支援などの面で自衛隊に役務を提供出来ることを示した。
V-BATはテイルシッター型VTOL無人機といわれ、全幅の大きな主翼を有するもののロケットのように発着は垂直に倒立して行うといい、これによりVTOL型無人機の課題であった滞空時間の短さを主翼により大きく解消するとともに、カタパルトのような発着装置を必要とせず、20分程度で発進準備が可能となる利点、自衛隊では艦上試験も行われている。
V-BATの性能は巡航速度98.2km/hで滞空時間は10時間、全備重量は56.7kgで11.3kgまでの各種センサー搭載能力があり、テリリウム社製赤外線センサーやホダッチ社製複合光学装置、IMSAR社製NSP-3合成開口レーダ装置、またシールドAI社が開発中のAIシステムを搭載することで自律飛行などが可能になるもよう。■
三菱重工は二機種のFixed-Wing-VTOL-UAVを発表しました。東京ビッグサイトにて開催された国際航空宇宙展2024の会場においてモックアップを公開、大型機と小型機を発表しています。興味深いのは大型機も小型機も航続距離と巡航速度が同じという点で、航続距離1000km、巡航速度100km/hにより移動することが可能となっています。
機体形状は胴体後部に推進装置を搭載し逆V型尾翼構造を採用、一見バイラクタルTB-2の後部形状を彷彿とさせるものですが、この逆V型尾翼構造の桁部分に垂直離着陸用の補助ローターを設置しており、狭隘地域での発着が可能という。小型VTOL-UAVについては既に名鉄海上観光船を利用した後部特設甲板への発着試験に成功しています。
名鉄海上観光船への発着は、発着地にQRコードを描いた発着パッドを無人機が認識して自動着陸するというもの。なお、航続距離も巡航速度も同じ大型機と小型機ですが、相違点はペイロードで、小型機にはペイロード5kg、大型機のペイロードは20kgとなっています、これは輸送能力の多寡というよりも搭載センサーというべきなのでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回は少し間が開きましたが2024国際航空宇宙展の続報について。
イギリスと日本及びイタリアが開発中のGCAP次期戦闘機について、2024国際航空宇宙展にその十分の一規模の模型が公開されました。GCAPグローバル航空戦闘プログラムは航空自衛隊のF-2戦闘機後継機を模索するとともに、イギリスとイタリアのユーロファイター2000タイフーン戦闘機の後継機を開発するものです。
GCAP次期戦闘機について、三菱重工とBAEシステムズ社およびレオナルド社が参加していますが、今回公開されたものは十分の一水準の模型であり、実物大モックアップを展示できる状況ではない事が一つの象徴的出来事であるのかもしれません。事実、2024年7月にはイギリスのスターマー新政権が計画参加を見直す可能性を示唆しました。
モックアップは、実際、イギリスは独自開発を模索していた時代、テンペスト戦闘機の実物大モックアップを早々に公開しています。イギリスはサウジアラビアの開発参加を示唆している一方、第三国輸出に消極的な日本の方針があり、具体的な機体形状をモックアップで示すことができないという現状を示唆しているのかもしれません。■
三菱重工はCCA無人戦闘機構想を発表しました。これは東京ビッグサイトで開催されました国際航空宇宙展において模型とともにその運用の方向性を示すCG画像が公開されたもの。機体形状はいわゆる滞空型無人機ではなくステルス性に配慮したもので、ボーイングオーストラリアが開発したロイヤルウィングマン無人僚機をおもわせるもの。
CCA無人戦闘機の運用として、有人戦闘機からの指示を受けミサイルを発射する、という運用が示されていました。これはステルス戦闘機がミサイルを発射する際、ウェポンベイを解放した瞬間にRCSレーダー反射面積が顕著に増大し敵対勢力に発見される懸念があったものを、管制は有人戦闘機、危険な発射は無人機、と任務を分けた構図といえる。
CCAは一種の無人僚機として運用されるようですが、三菱重工が展示した模型ではエンジン部分に推力偏向用のコンダイノズルが設置されている様子が確認されることから、一直線に飛行するのでは無くある程度有人戦闘機に随伴することを想定した機動力が付与されることが前提とされ、日本版MQ-28ゴーストバットを目指す機体といえるでしょう。■
日本飛行機は自衛隊V-BAT無人機導入を支援するもよう。東京ビッグサイトにおいて行われました国際航空宇宙展2024では航空機部品製造や航空機定期整備を担当する日本飛行機が、アメリカのシールドAI社が開発したV-BAT垂直離着陸型無人機の運用支援、予備部品製造やシステム維持と教育支援などの面で自衛隊に役務を提供出来ることを示した。
V-BATはテイルシッター型VTOL無人機といわれ、全幅の大きな主翼を有するもののロケットのように発着は垂直に倒立して行うといい、これによりVTOL型無人機の課題であった滞空時間の短さを主翼により大きく解消するとともに、カタパルトのような発着装置を必要とせず、20分程度で発進準備が可能となる利点、自衛隊では艦上試験も行われている。
V-BATの性能は巡航速度98.2km/hで滞空時間は10時間、全備重量は56.7kgで11.3kgまでの各種センサー搭載能力があり、テリリウム社製赤外線センサーやホダッチ社製複合光学装置、IMSAR社製NSP-3合成開口レーダ装置、またシールドAI社が開発中のAIシステムを搭載することで自律飛行などが可能になるもよう。■
三菱重工は二機種のFixed-Wing-VTOL-UAVを発表しました。東京ビッグサイトにて開催された国際航空宇宙展2024の会場においてモックアップを公開、大型機と小型機を発表しています。興味深いのは大型機も小型機も航続距離と巡航速度が同じという点で、航続距離1000km、巡航速度100km/hにより移動することが可能となっています。
機体形状は胴体後部に推進装置を搭載し逆V型尾翼構造を採用、一見バイラクタルTB-2の後部形状を彷彿とさせるものですが、この逆V型尾翼構造の桁部分に垂直離着陸用の補助ローターを設置しており、狭隘地域での発着が可能という。小型VTOL-UAVについては既に名鉄海上観光船を利用した後部特設甲板への発着試験に成功しています。
名鉄海上観光船への発着は、発着地にQRコードを描いた発着パッドを無人機が認識して自動着陸するというもの。なお、航続距離も巡航速度も同じ大型機と小型機ですが、相違点はペイロードで、小型機にはペイロード5kg、大型機のペイロードは20kgとなっています、これは輸送能力の多寡というよりも搭載センサーというべきなのでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)