■新年度防衛論集
新年度防衛論集の第三回です。

USスチールの買収への問題を見る通り外国企業がアメリカに進出するには問題が多い為、GMは一例ですがアメリカ政府が国有化や軍用車などの買い支えをおこなわないかぎり、倒産するみちしか残されていません。そして製造業は、直ぐに態勢を整える事はできません。造船などについても強化する大統領令に署名したことが先日報じられましたが。

世界の造船業に占めるアメリカの割合は0.1%、軍用艦船以外は漁船やヨットなどの造船が主体となっており、まず工員をどう確保するのか、どの場所に造船所をおくのか、日本で云えば明治時代初期の段階に交代している中、そこに教育を省いて事を為そうというのですから。一旦失われた産業の再生が難しいのは欧州防衛産業を視ればよくわかる。

AI人工知能とAR拡張現実ゴーグルを備えた工場労働者を、AIの手足となって動かしモノヅクリを行う、なにかディストピアのような労働力構築を行わなければ、根本の問題は解決できません。こうして、製造業と経済の部分から先ず凋落が始まる政策を執ったアメリカ、世界におけるポテンシャル低下という現実を前に、マクロの影響が大きい。

日米同盟という様なミクロな視点、平素はこれもマクロなのだけれども今回の問題と比較すればミクロと云える。日本はアメリカを頼る以前に、例えは妙ですがSF映画で”アメリカがやられてしまったあとの世界”、日本以外全部沈没とかアメリカの壁とか遙かなる星、ほどではありませんけれども、大きな空白が生じる事は居間から想定する必要がある。

アメリカの抜けた後の孔を第三国が押さえる前に、おそらく今世紀中には立ち直るであろうアメリカを信じて継承するか、独自のドクトリンを見いださなければならなくなることが、重大と考えます。一方、ポピュリズム、大衆迎合主義について、この問題点は一旦陥ると痛い目を見るまで、非合理性の問題に気づかないという、問題があります。

ポピュリズムからの回復は、言い換えれば日本の鳩山政権と民主党政権のような、痛い目に遭ったので総選挙で安倍政権という保守長期安定政権に回帰した事例を思い出し、痛い目に遭うものだから正道に戻る、こうした可能性を考えているのですが、可能性として危惧するのはポピュリズムと陰謀論の相乗という、新しい問題を直視する必要もあります。

新しい問題とは、IT情報通信の成熟による高度情報時代における新しいリスクを直視する必要があるのかもしれません。ディープステート理論、日本ではアニメでおなじみですがアニメの世界だというのが一般的な理解です、が、アメリカでは、国家元首がディープステート理論を叫んで、ディープステート論を為政者がいうなよ、という印象ですが。

陰謀論に頼るようになりますと、自分の政策が巧くいかない理由を闇の国家が挑戦していると、責任転嫁する、政治システムの原理を破綻させるような、つまり、支持と要求から政策と成果につながる、政治システム論の根本を、政治システムがコンピュータウィルスに罹患したような、現状があります。この状況が民主国家で成立するとは、ある種驚き。

此処を支えるのは陰謀論の根拠にフェイクニュースを用いることなのですが、フェイクニュースを第三国が、既に選挙介入については欧州などがさんざん受けており警戒を強めていると報道されている点が一例で、NHKでは先日、フィンランドのフェイクニュース対策が特集されたばかりなのですけれども、この潮流は第三者の介入を容易としました。

こうした陰謀論とポピュリズムの相乗により、アメリカの現状がかなり長期間続くのではないかという懸念が高まっているのです。これはその結果論としてですが、アメリカ抜きでの安全保障枠組みの模索、欧州ではイタリアが先日原子力空母建造構想をメローニ政権が示した通り、アメリカ装備離れの安全保障枠組みが広がり始めています。

またGCAPグローバル戦闘機構想にサウジアラビアが参加するべく中国が提示したJ-35戦闘機導入検討を中断するなどの動きや、フランスの多様性プログラムに対するトランプ政権による介入などをうけ、制度枠組みや規範形成だけにとどまらない、脱アメリカの時代がこの二ヶ月間で急速に現実化しました。この流れ、一旦形成すると回帰は難しい。

防衛協力の障壁は、結果的にアメリカが依存していた海外でのプレゼンス発揮の際にも悪影響を及ぼすのは必至であり、こうした時代に安全保障や 防衛協力の道筋を誤ることは、簡単に亡国へ近道を歩むことになります。不確かな時代をどう考えるのか、無視し続けることは逆に選択肢を狭める、つまりほかに選ぶ結果がなくなる事を示すのでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
新年度防衛論集の第三回です。

USスチールの買収への問題を見る通り外国企業がアメリカに進出するには問題が多い為、GMは一例ですがアメリカ政府が国有化や軍用車などの買い支えをおこなわないかぎり、倒産するみちしか残されていません。そして製造業は、直ぐに態勢を整える事はできません。造船などについても強化する大統領令に署名したことが先日報じられましたが。

世界の造船業に占めるアメリカの割合は0.1%、軍用艦船以外は漁船やヨットなどの造船が主体となっており、まず工員をどう確保するのか、どの場所に造船所をおくのか、日本で云えば明治時代初期の段階に交代している中、そこに教育を省いて事を為そうというのですから。一旦失われた産業の再生が難しいのは欧州防衛産業を視ればよくわかる。

AI人工知能とAR拡張現実ゴーグルを備えた工場労働者を、AIの手足となって動かしモノヅクリを行う、なにかディストピアのような労働力構築を行わなければ、根本の問題は解決できません。こうして、製造業と経済の部分から先ず凋落が始まる政策を執ったアメリカ、世界におけるポテンシャル低下という現実を前に、マクロの影響が大きい。

日米同盟という様なミクロな視点、平素はこれもマクロなのだけれども今回の問題と比較すればミクロと云える。日本はアメリカを頼る以前に、例えは妙ですがSF映画で”アメリカがやられてしまったあとの世界”、日本以外全部沈没とかアメリカの壁とか遙かなる星、ほどではありませんけれども、大きな空白が生じる事は居間から想定する必要がある。

アメリカの抜けた後の孔を第三国が押さえる前に、おそらく今世紀中には立ち直るであろうアメリカを信じて継承するか、独自のドクトリンを見いださなければならなくなることが、重大と考えます。一方、ポピュリズム、大衆迎合主義について、この問題点は一旦陥ると痛い目を見るまで、非合理性の問題に気づかないという、問題があります。

ポピュリズムからの回復は、言い換えれば日本の鳩山政権と民主党政権のような、痛い目に遭ったので総選挙で安倍政権という保守長期安定政権に回帰した事例を思い出し、痛い目に遭うものだから正道に戻る、こうした可能性を考えているのですが、可能性として危惧するのはポピュリズムと陰謀論の相乗という、新しい問題を直視する必要もあります。

新しい問題とは、IT情報通信の成熟による高度情報時代における新しいリスクを直視する必要があるのかもしれません。ディープステート理論、日本ではアニメでおなじみですがアニメの世界だというのが一般的な理解です、が、アメリカでは、国家元首がディープステート理論を叫んで、ディープステート論を為政者がいうなよ、という印象ですが。

陰謀論に頼るようになりますと、自分の政策が巧くいかない理由を闇の国家が挑戦していると、責任転嫁する、政治システムの原理を破綻させるような、つまり、支持と要求から政策と成果につながる、政治システム論の根本を、政治システムがコンピュータウィルスに罹患したような、現状があります。この状況が民主国家で成立するとは、ある種驚き。

此処を支えるのは陰謀論の根拠にフェイクニュースを用いることなのですが、フェイクニュースを第三国が、既に選挙介入については欧州などがさんざん受けており警戒を強めていると報道されている点が一例で、NHKでは先日、フィンランドのフェイクニュース対策が特集されたばかりなのですけれども、この潮流は第三者の介入を容易としました。

こうした陰謀論とポピュリズムの相乗により、アメリカの現状がかなり長期間続くのではないかという懸念が高まっているのです。これはその結果論としてですが、アメリカ抜きでの安全保障枠組みの模索、欧州ではイタリアが先日原子力空母建造構想をメローニ政権が示した通り、アメリカ装備離れの安全保障枠組みが広がり始めています。

またGCAPグローバル戦闘機構想にサウジアラビアが参加するべく中国が提示したJ-35戦闘機導入検討を中断するなどの動きや、フランスの多様性プログラムに対するトランプ政権による介入などをうけ、制度枠組みや規範形成だけにとどまらない、脱アメリカの時代がこの二ヶ月間で急速に現実化しました。この流れ、一旦形成すると回帰は難しい。

防衛協力の障壁は、結果的にアメリカが依存していた海外でのプレゼンス発揮の際にも悪影響を及ぼすのは必至であり、こうした時代に安全保障や 防衛協力の道筋を誤ることは、簡単に亡国へ近道を歩むことになります。不確かな時代をどう考えるのか、無視し続けることは逆に選択肢を狭める、つまりほかに選ぶ結果がなくなる事を示すのでしょう。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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