北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【新年度防衛論集二〇二五】ポピュリズムをフェイクニュースが増徴させる悪循環の時代

2025-04-02 20:16:33 | 北大路機関特別企画
■新年度防衛論集
 新年度防衛論集の第三回です。

 USスチールの買収への問題を見る通り外国企業がアメリカに進出するには問題が多い為、GMは一例ですがアメリカ政府が国有化や軍用車などの買い支えをおこなわないかぎり、倒産するみちしか残されていません。そして製造業は、直ぐに態勢を整える事はできません。造船などについても強化する大統領令に署名したことが先日報じられましたが。

 世界の造船業に占めるアメリカの割合は0.1%、軍用艦船以外は漁船やヨットなどの造船が主体となっており、まず工員をどう確保するのか、どの場所に造船所をおくのか、日本で云えば明治時代初期の段階に交代している中、そこに教育を省いて事を為そうというのですから。一旦失われた産業の再生が難しいのは欧州防衛産業を視ればよくわかる。

 AI人工知能とAR拡張現実ゴーグルを備えた工場労働者を、AIの手足となって動かしモノヅクリを行う、なにかディストピアのような労働力構築を行わなければ、根本の問題は解決できません。こうして、製造業と経済の部分から先ず凋落が始まる政策を執ったアメリカ、世界におけるポテンシャル低下という現実を前に、マクロの影響が大きい。

 日米同盟という様なミクロな視点、平素はこれもマクロなのだけれども今回の問題と比較すればミクロと云える。日本はアメリカを頼る以前に、例えは妙ですがSF映画で”アメリカがやられてしまったあとの世界”、日本以外全部沈没とかアメリカの壁とか遙かなる星、ほどではありませんけれども、大きな空白が生じる事は居間から想定する必要がある。

 アメリカの抜けた後の孔を第三国が押さえる前に、おそらく今世紀中には立ち直るであろうアメリカを信じて継承するか、独自のドクトリンを見いださなければならなくなることが、重大と考えます。一方、ポピュリズム、大衆迎合主義について、この問題点は一旦陥ると痛い目を見るまで、非合理性の問題に気づかないという、問題があります。

 ポピュリズムからの回復は、言い換えれば日本の鳩山政権と民主党政権のような、痛い目に遭ったので総選挙で安倍政権という保守長期安定政権に回帰した事例を思い出し、痛い目に遭うものだから正道に戻る、こうした可能性を考えているのですが、可能性として危惧するのはポピュリズムと陰謀論の相乗という、新しい問題を直視する必要もあります。

 新しい問題とは、IT情報通信の成熟による高度情報時代における新しいリスクを直視する必要があるのかもしれません。ディープステート理論、日本ではアニメでおなじみですがアニメの世界だというのが一般的な理解です、が、アメリカでは、国家元首がディープステート理論を叫んで、ディープステート論を為政者がいうなよ、という印象ですが。

 陰謀論に頼るようになりますと、自分の政策が巧くいかない理由を闇の国家が挑戦していると、責任転嫁する、政治システムの原理を破綻させるような、つまり、支持と要求から政策と成果につながる、政治システム論の根本を、政治システムがコンピュータウィルスに罹患したような、現状があります。この状況が民主国家で成立するとは、ある種驚き。

 此処を支えるのは陰謀論の根拠にフェイクニュースを用いることなのですが、フェイクニュースを第三国が、既に選挙介入については欧州などがさんざん受けており警戒を強めていると報道されている点が一例で、NHKでは先日、フィンランドのフェイクニュース対策が特集されたばかりなのですけれども、この潮流は第三者の介入を容易としました。

 こうした陰謀論とポピュリズムの相乗により、アメリカの現状がかなり長期間続くのではないかという懸念が高まっているのです。これはその結果論としてですが、アメリカ抜きでの安全保障枠組みの模索、欧州ではイタリアが先日原子力空母建造構想をメローニ政権が示した通り、アメリカ装備離れの安全保障枠組みが広がり始めています。

 またGCAPグローバル戦闘機構想にサウジアラビアが参加するべく中国が提示したJ-35戦闘機導入検討を中断するなどの動きや、フランスの多様性プログラムに対するトランプ政権による介入などをうけ、制度枠組みや規範形成だけにとどまらない、脱アメリカの時代がこの二ヶ月間で急速に現実化しました。この流れ、一旦形成すると回帰は難しい。

 防衛協力の障壁は、結果的にアメリカが依存していた海外でのプレゼンス発揮の際にも悪影響を及ぼすのは必至であり、こうした時代に安全保障や 防衛協力の道筋を誤ることは、簡単に亡国へ近道を歩むことになります。不確かな時代をどう考えるのか、無視し続けることは逆に選択肢を狭める、つまりほかに選ぶ結果がなくなる事を示すのでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【新年度防衛論集二〇二五】第二次トランプ政権が目指すのはモンロー主義回帰か国際規範の牽引者か

2025-04-02 07:00:32 | 北大路機関特別企画
■新年度防衛論集
 新年度防衛論集の第二です。

 トランプ大統領が目指す、再び偉大になったアメリカ、それでは前回何時頃が医大であったのかを示してくれましたならば、その向うべき姿が防衛や通商や社会構造等の麺から理解できるのですが、要するに、規範の中心を担う地位からは離脱する施策を採りつつ、世界に出てゆく国家を目指すのか、かつてのモンロードクトリンに回帰するかが不明だ。

 アメリカの問題は国力の要諦である経済で、労働力不足が今後加速するということ、ここに教育省が廃止され人材不足が加速すること、大統領令として準備している段階ですが、連邦教育省廃止の方針を示しているアメリカでは、公的教育費用を捻出できない州への教育支援が終了するために、いまでさえ大きな教育格差が抜本的に拡大することとなります。

 教育相廃止の影響は、すると、教育ローンを高校から組む、いやそれ以前に義務教育の週休三日週休四日という、学校教育を維持できない地域が拡大することとなり、工業生産をアメリカ国内で拡大させる土台となる人口が、不法移民以外の合法移民を募るほか無くなるのです。ただ、これとて目的はアメリカ市民の仕事を護るという目的と相いれない。

 工業生産の雨量不足は、しかし重大な営湯を及ぼします。アメリカでは現在、国内自動車需要の50%以上を輸入車が担っており、トランプ大統領が課税対象とする最終組立てだけをアメリカで行う、名古屋のF-35戦闘機のような状態の自動車を含めると70%を超えるとともに、トランプ大統領の岩盤支持層の一つである低所得層に影響が及ぶ。

 低所得者層向けの自動車ほど関税対象となり、手が届きにくくなります。また、アメリカ国内での厳しい価格競争に打ち勝つために低所得者層向けの車両を海外生産で安価に供給したGMなどは、ここまで大きな転換を想定していなかった為に影響が響く、企業の存続が難しくなり、フォルクスワーゲンやルノー傘下に入って生き残りを模索するか。

 ただ、関税の問題はインフレを加速させるものの、時間はかかるが国際競争力のある価格帯と高性能な製品を独自に製造できる基盤を構築できたならば、現在の金融や情報通信などを主柱として、結果的にブルーカラーとホワイトカラーの格差が拡大した状況を脱却できたならば、現在の懸念はソフトランディングする事が可能となるのかもしれません。

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【新年度防衛論集二〇二五】第二次トランプ政権の始まりと急激な朝令暮改朝三暮四政策による不確かな時代の始まり

2025-04-01 20:23:09 | 北大路機関特別企画
■新年度防衛論集
 本日は四月一日でいよいよ新年度の始まりです。

 新年度防衛論集、例年は新年防衛論集というかたちで一月一日に話題を掲載していますが、本年度は第二次トランプ政権のはじまりとともに、不確かな時代が始まったこともあり、新年度にも改めて。第一次トランプ政権がトランプ安倍関係という良好な関係を維持できましたし、まえ評判と選挙戦の際の発言よりも、という印象であったのですが。

 第一次政権の時代は、通商政策も景気刺激策も、環境政策と経済との両立も、また防衛政策も脱線などはなく、当初提唱されていたF-35戦闘機中止などもなく、安定的な防衛政策を維持していましたので、第一次トランプ政権成立前に北大路機関ではその不確かな懸念について特集していましたが、この懸念が第二次政権において、表面化した。

 第二次政権が始まってまだわずかなのですが、第一次政権時代ほど政権を支援する閣僚候補や補佐官候補など人材が払底してしまい、結果的に朝三暮四、アメリカンハトヤマ的な状況に陥っている、もっとも内閣人事局ができるまえの鳩山政権とことなり、アメリカでは官僚機構を政権ごとに大きく入れ替える人事制度を採用していることから、影響が。

 官僚と補佐官、朝三暮四の政策を軌道修正する権限は専ら大統領の所管であり、大統領に助言できる補佐官人事を大統領自身が担うことから、要するに現状の朝三暮四政策は任期一杯続くと考えなければなりません。同盟国日本が見捨てられる、という状況を懸念する方は居るかもしれませんが、バイデン政権時代から防衛予算を強化する施策へ転換が。

 岸田ドクトリンという防衛費の増大を背景とした防衛力の強化政策を石破政権においても継承していることから、万全とは言えませんが日本の防衛力は以前ほど、つまりGDP1%の自主制限に囚われていた時代ほど、情勢の緊迫化に対して不誠実ではありません、それならば、問題は無いのかと問われると真逆で、問題は山積し始めているという状況です。

 アメリカの凋落、問題はアメリカの凋落という不確かな時代がこれから始まるのです。凋落、驚かれる表現かもしれませんが、対外プレゼンスや制度構築におけるポテンシャルは確実に低下します、それは枠組みから出ることにより関与できなくなるという状況が現実化するためで、基軸通貨国としての地位さえ失う可能性が、生じ始めている。

 基軸通貨からの脱落の可能性は、少なくともトランプ政権の政策は望むと望まざるとに関わらず基軸通貨国の地位を放棄する施策をとっている、こうしたリスクがあるのです、貿易赤字によりドルを世界に供給し基軸通貨国となった国が赤字を廃する基軸通貨国以前の施策を執るならば、それは、国際通貨が流通しない状況を生む事に他ならないのですから。

 高校を退学するが学年一位を狙う、というような変な例えですが、基軸通貨を供給せず貿易黒字として国際供給量を抑えてしまうというのはこういった構図が成り立つ。しかし第一の問題は、工業力低下と景気後退でしょう。もちろん、高い関税を加算した商品を買うという選択肢は残るのですが、アメリカの国産品を揃えるだけの工業力は無いのが問題だ。

 景気後退は関税による貿易戦争と労働力不足によるインフレによりスタグフレーションとしてはじまる、大規模関税が明日から発動することとなりますが、これまでサプライチェーンを維持する方法を模索していたアメリカが自国内自己完結型の製造網を志向するのですから、その基盤が完成してから閉鎖化するのではなく、基盤完成前に閉鎖するのだから。

 セルフ経済制裁、セルフ海上封鎖のような状況が生じます。自己完結型経済、ちょうど製造業の麺ではいまロシアが真剣に取り組んでいます、ウクライナ侵攻で経済制裁を受けていますからね。アメリカの場合では、問題は不法移民一掃により低賃金労働をアメリカ国民が担う必要が生じ、いわゆる3Kといった職域を誰かが担わなければなりません。

 不法移民に結果的に頼ってきたアメリカで、これを排除すると大規模な労働力不足が顕在化するのですが、サイボーグとかガイノイドとかレプリカントにクローン人間といった代替策は着手されていません、特にトランプ大統領の岩盤支持層であるキリスト教福音派とクローン人間のような施策は相容れないものですから、選択肢とはなり得ません。

 労働不足対策で外国人材を排除するならば、日本と同じ問題に陥ります、せっせと少子化対策を行うほか無いでしょう、一方、3Kの労働力を一れいに出しましたが、製造業を支えるにはブルーカラー労働力ひとつとって流石に中卒学歴で就業するには限度があります、終身雇用制度のような企業内教育制度が完備していない国ですから。人材不足が深刻です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【新年度】本日から二〇二五年度が始りました,新年度もWeblog北大路機関をよろしくお願い致します

2025-04-01 07:00:45 | 北大路機関特別企画


本日から二〇二五年度が始りました,新年度もWeblog北大路機関をよろしくお願い致します

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【G3X撮影速報】練習艦隊江田島出航二〇二五【1】近海練習航海部隊外洋練習航海部隊江田島に集結(2025-03-14)

2025-03-31 20:15:15 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■二〇二四年度末
 二〇二四年度の行事はその年度の内に掲載を始めたいという事で年度末の記事は江田島です。

 練習艦隊の近海練習航海部隊、外洋練習航海部隊江田島出航、毎年撮影していまして練習艦隊そのものの撮影は2006年の近海練習航海部隊から、Weblog北大路機関創設以来、毎年撮影できている数少ない自衛隊行事となっています。

 近海練習航海、むかしは平和でした、あさぎり型護衛艦を練習艦に転用できていましたし、むらさめ型護衛艦を練習艦に転用しよう、という動きもあったほど、護衛艦に余裕があった、護衛艦を第一線から引き抜けた時代、そんな時代があった。

 あさぎり型護衛艦を2隻、練習艦に転用したとそののちに、むらさめ型、9隻建造されていましたので護衛隊群が4個あったので、1隻引き抜くと偶数になる、その次は5隻建造の護衛艦たかなみ型も練習艦になった時代があったのかもしれない。

 はつゆき型護衛艦を延命してその分あさぎり型を練習艦から護衛艦に戻し、そののちに乗員数で、あさぎり型は220名、もがみ型が70名で運用できますので、護衛艦を一気に増やすような状況になり、いやそういう運用が必要な時代になり。

 はたかぜ、この江田島出航の翌日にミサイル護衛艦改め練習艦はたかぜ退役を迎えました、ターターシステム艦は、しまかぜ一隻となってしまいましたが、イージス艦が定数を満たしても最後までターター艦を維持した、する必要があったという。

 しまかぜ、この日撮影したかったのは、しまかぜ揃った5隻の近海練習航海部隊と外洋練習航海部隊の出航だったのですが、しまかぜ、はたかぜ、最後に同じ呉基地で退役まえの一晩を過ごせるように配慮したのか、とロマンを考えてみたり。

 新任幹部たち、江田島を出た後に彼ら彼女らは文字通り”海をゆく”、こういう船出となるのですが、この時代はどうなるのだろうか、アメリカとロシアの接近ともいえる新しい時代、高い確率で世界は第三次世界大戦に向かっているとおもう。

 第三次世界大戦、日本の場合は安倍元総理が生きていれば、トランプ政権の大統領とリアリズムを結ぶ、第一次トランプ政権のような関係が成り立ったのかもしれませんが、これが無理になった、そして世界はポピュリズムの潮流にのっている。

 ポピュリズムというのは、いっかい痛い目を見なければ有権者は理解しません、日本の場合は民主党政権時代、東日本大震災復旧失敗による復興長期化、円高放置による国内製造業の大打撃と製造業界海外流失、景気停滞は少子化の主因にも。

 痛い目に見ました後に日本では保守政権、というよりも、朝三暮四政権公約への警戒感を主権者がもつようになり、石破首相以前の衆院選では保守政党が勝利してきました、痛い目を見たのですね、逆に言えばその前の段階では支持を集めてしまう。

 米ロ接近のアメリカ政治転換は、痛い目を見るアメリカの主権者、ドル基軸体制や規範牽引者としての地位を失うでしょうが、直近はインフレ長期化からはじまるのでしょう、トランプ大統領は一時的な景気後退を受忍すべきと発言したゆえ。

 しかし、痛い目に、第三次世界大戦というものは含まれるのだろうか、こうしたものを考えてゆきますと、この幹部候補生課程を経た新任幹部たちの行く先に幸あらんことを、とおもう一方、それは日本の命運にも幸あれ、こう考えるのですね。

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【ミャンマー大地震】死者1700名超-邦人1名安否不明,震源は1500kmザガイン断層一部

2025-03-31 07:01:01 | 防災・災害派遣
■被災地へJICA派遣!
 軍政司令部が死者数を発表していますが情報収集が行えているかは未知数であり全容は依然として不明です。

 ミャンマー大地震、ミナウンフライン軍事政権司令官は各国の支援を歓迎する姿勢を示しました。ミャンマーでは軍政移行以降の災害に対して国際社会の支援を介入と見做して拒否する姿勢を示してきましたが、今回はこれを一転させ、また内戦後、民主化を求めるNUG国民統一政府派は、今回の地震を受け2週間の戦闘中止を宣言しました。

 死者数1700名、このほか邦人1名と連絡が取れない状態となっており、一方、USGSアメリカ測地研究所は30日夕方にマグニチュード5以上の余震を観測しており、軍政司令部は被害全容を確認するすべがない状況で、ミャンマー国内では地震対策や防災訓練等は行われておらず、ボランティアなどが手さぐりで救助を行い、医療支援も不足という。

 日本はミャンマー軍政司令部の要請を受け、JICA国際協力機構の調査チームを派遣させたとのこと。この調査チームは30日夜に日本を出発、JICA職員と医療関係者など5名からなるチームで、国際緊急縁の隊派遣に向け現地の治安状況などを調査し、更に制圧必需品の被災地提供を政府が決定、この提供に向けての準備を進めているとの報道もあります。

 マンダレー付近を震源とするミャンマー地震は全長1500kmのザガイン断層が動いたものとみられ、過去に活発な地震の記録があるものの、マンダレー南方を震源とする最後の巨大地震は1839年であり、今回ザガイン断層の1500kmのうち、200km程度が動いた事から、今後は動かなかった断層での余震を警戒すべきという分析が有る。

 長周期震動が被害を広範囲に拡大させた、ミャンマーの首都ネピドーは震源から700kmほど隔てており、揺れの大きさは震源と比べて限られていたものの、ネピドー国際空港が管制塔倒壊という衛星画像が確認され、またネピドー国際空港が閉鎖されたとロイター通信などが報道しています。日本は支援を行う方針を明確化し、その準備の始まりです。

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【G7X撮影速報】桂駐屯地創設70周年記念行事(3)京都市内唯一の観閲行進(2024-12-01)

2025-03-30 20:25:58 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■中部方面後方支援隊
 中部方面後方支援隊観閲行進のつづき。

 桂駐屯地、中部方面後方支援隊の駐屯地です。広大な駐屯地の大半は倉庫群となっていますので、こういった装備品が観閲行進に参加します、この種の装備品は方面隊行事でも師団祭でも勿論旅団祭でも出てきませんので、貴重なのです。

 方面後方支援隊、方面隊隷下の部隊への後方支援を包括して実施する部隊であり、近年は野戦特科部隊の方面隊隷下への集約など改編が重なったことで、その任務は増大しています、将来的には方面後方支援団への改編を見込むべきなのか。

 後方支援と云いましても、方面隊が師団と旅団の後方を担う兵站支援も任務となっていますが、広域の防空任務も方面隊の任務となっていますし、上掲の野戦特科部隊についても方面隊所掌ですので、戦闘任務も方面隊の部隊となっている。

 戦闘支援、後方支援はこういった表現も外語を直訳しますと成り立ちますので、通信というものがあります、師団通信大隊と旅団通信隊がありますが、通信システム全般などは方面隊の所掌となっている、駐屯地間の通信なども方面隊所掌だ。

 建設工兵、方面隊隷下の施設団なんかは、工兵が戦闘工兵という第一線で攻撃前に地雷原を処理したり防御で地雷を敷設したり、陣地を構築したり陣地を破壊したり、いろいろあり、第一線と連絡線維持の後方は一応分けられていますが。

 戦闘工兵の装備である地雷原処理車や装甲ドーザなどが方面隊所掌に移管したのは2010年頃でしたか、地雷原処理などは平和な装備に見えますが、それは地雷処理と地雷原処理を混同しているもので、地雷原処理は突破の要諦という一つ。

 渡河支援と架橋、考えてみますとこれも混同されている部分ではあるのですが、渡河支援は戦闘工兵と微妙に重なる部分ですが、兵站部隊を通す架橋などは後方支援、戦闘部隊を一時的に渡す架橋は戦闘工兵の任務、方面隊にも任務がある。

 重量のある装備が増えていますが、一方で方面後方支援部隊が後ろだけで言い訳ではなく、方面隊部隊が前に出るために弾が飛んでくる場所にも出て行くわけですので装甲防護が必要な状況もあり、装備品も複雑化してゆく、ということ。

 動かせる装備を方面隊が所管して、火砲と戦闘工兵装備については師団と旅団に戻してはどうかという印象や、輸送部隊や弾薬整備部隊と補給処任務や駐屯地警備を予備自衛官に所管し、方面隊で一かつ運用してはどうか、とおももったり。

 方面隊への様々な能力の編号というものは、見方を変えれば1990年代から2010年代までの平和な時代、2022年以前の防衛力をミサイル防衛以外縮小しても赦される時代の次善策ともいえいまして、今の時代に適合するのか。

 陸幕長指命科目別指定演習など、冷戦終結後に終了した演習などがあるのですが、任務増大を背景に冷戦時代には装甲化と装備の近代化度合いはともかく、ほぼほぼ師団編成が同じ13個師団で防衛基盤を敷いていた時代に回帰すべきでは。

 北大路機関は本年、創設で漸く20年、昔でいえば”二十歳の自衛隊”という行事などが1974年に行われていたということですけれど、”二十歳の自衛隊撮影”とういう過去の写真と比較すると、変化の今を考えてしまうのですね。

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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都-寺町,観光過多はずれの穴場風情とランチハンバーグのひととき

2025-03-30 18:10:11 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 寺町通りの予約なしでお手頃のグルメな話題をひとつ。

 京都市内の観光過多はすごいことになっていまして、先日もちょっと三条付近で久しぶりにひとつ早めの晩酌を、と思ったお店が外国人に占拠されていて、角野卓造さんがKBSで紹介したをみて世界中から集まったんだろうなあ、と嘆息で。

 観光過多だけれども、しかしこの界隈は歴史があるのに観光客は少ない、という一角は複数あるものでして、観光過多の地域には物価高騰がブルーインパルス並みに乱高下する一方、その域外となるような地域もあり、寺町通りもそのひとつ。

 寺町ハンバーグという、寺町二条をもうすこし、下御霊神社のちかくまで上りますとありますこのお店、ランチタイムにはけっこうお手頃でおいしいハンバーグを頂けるのです。小ぶりですが肉汁ぎっしり、これでライスがすすむすすむ。

 ランチタイムに行列が出来ているようなお店も多いのですが、ここは早い時間帯ならば混雑を回避することができますし、混雑しない静寂でランチタイムの始まりを待つ、この静寂というものもある意味、時間を愉しく過ごすことの出来るスパイスか。

 ハンバーグ専門店で、昨今のミートショックといわれるほどの円安と絡んでの牛肉価格高騰は、ものの数年で焼き肉屋さんとか同じメニューが2022年と2025年で二倍になってしまったところもありますが、同じ質か同じ値段か、選択を。

 寺町通り、混雑しているのは新京極通りと並行しているアーケード街までなのかもしれませんが、寺町御池から御所の方へのぼってゆきますと、秀吉の京都大改造で集まった寺院や神社の歴史も感じることが出来まして、商店街としても面白いのだ。

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【京都発幕間旅情】ナガラ300系気動車-観光列車ながら,長良川鉄道北濃~郡上八幡間廃線方針

2025-03-30 07:01:27 | コラム
■観光列車ながら
 ナガラ300系気動車の観光列車ながら号にて雪深い北濃に行った話題をひとつ。

 長良川鉄道、小牧基地航空祭の前日に全線乗ってみよう、というお誘いを頂きまして、ちょうど良い機会だから乗り通しをやってみよう、というわたしは意気投合、美濃太田駅から終点の北濃駅まで、こんなに距離があるのか、と乗り通しました。

 北濃と郡上八幡の区間を廃止で調整、そんな報道がありましたのはおとといでして、なんでも第三セクター鉄道として維持されてきましたが、費用対効果などのめんで運営費一部を負担している地方自治体が資金拠出について断念した、という。

 美濃太田から郡上八幡までは維持されるということですけれども、今回汽車旅を愉しみました北濃は豪雪地帯という印象がありまして、なんと白山、小松基地航空祭で眺めている白山を岐阜の長良川鉄道から見えたと云うほど山奥だったのですが。

 地方交通、長良川鉄道の北濃は地方交通を限界集落一歩手前で引き留めている区間という印象がありまして、線路が維持されていれば運行しなければ費用対効果が悪化するという人質のような地方交通維持が可能ですが、廃線となるとそれも。

 スキー場が複数、というのが北濃駅周辺の印象でした、駅には幾つもスキー場の看板が。いまではスキー人口は減っていますが公共交通機関とウィンタースポーツを結びつけているというこの路線、長期的視野と行政支援が必要と思うのですよね。

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【臨時情報】ミャンマー地震,犠牲者1007名!マンダレー付近震源マグニチュード7.7地震

2025-03-29 20:25:54 | 防災・災害派遣
■内戦下の震災
 マンダレーといいますと弓兵団や龍兵団と菊兵団などの戦史で知るところでしたが今回は災害という視座から世界の耳目を集めています。

 ミャンマー中部のマンダレー付近で28日日本時間1500時頃に発生したマグニチュード7.7の巨大地震は、本日日本時間1900時までにミャンマー軍事政権の発表として犠牲者は1007名に上っており、負傷者は2389名、昨日2300時時点の犠牲者144名よりも大幅に増大する事と成り、時間と共に被害の大きさが判明している状況です。

 邦人被害としてミャンマーの日本大使館によれば邦人2名が負傷して病院にて治療を受けているとの事ですが、けがの程度は軽傷とのこと。ミャンマーには最大都市のヤンゴン周辺を中心に三菱商事、丸紅、住友商事が出資し開発された工業団地があり、マンダレー国際空港運営は日本航空系企業と三菱商事が参加、現在も被害を確認中とのことでした。

 マンダレーは、アキャブ作戦やインパール作戦などの作戦記録を見ていますと良く目にする地名であり、ミャンマーでは第二の都市です、現地の通信状況は悪いものの、市街地で高い頻度で建築物が崩れており、市街地道路もがれきが散乱、また、都市間道路網も亀裂により車両通行が不能となる区間が複数あり、更に内戦中、情報収集も困難となっている。

 内戦に対して中立的な国際人道支援の方法があれば、民主化勢力と政府軍掌握地域と平等に人道物資の搬入や道路啓開と医療支援を行う選択肢がありますが、道路啓開さえ復旧後に政府軍の軍用道路として機能しますから中立として行う為には民主化勢力との調整が必要になりますし、空路での物資搬入さえ、中立的な支援を行う難しさが有ります。

 各国支援が既に開始されており、中国政府は習主席がお見舞いの電報を送ると共に軍政を担うミンアウンフライン司令官の要請を受け82名規模の医療しえにゃレスキュー部隊を派遣、20億円規模の援助を行うとともに、ミャンマーと故郷を接している雲南省からもミャンマーへ37名の医療支援チームを派遣、日本時間1600時までに到着したという。

 アメリカ政府はトランプ大統領が支援を表明し、食料と飲料水を贈るほか、災害対応の専門家を現地に派遣するとアメリカ時間28日にトランプ大統領が表明しました。くわえて、ロシア政府もロシア非常事態省が120名規模の救助隊と災害救助犬を派遣するといち早く表明、非常事態省が保有するIl-76輸送機2機により既に現地に入ったとしています。

 日本は、石破総理大臣はタイのペートンタン首相にお見舞いのメッセージを出していますが、ミャンマーに対しては軍事政権との関係の難しさから、特に北西部ガザイン管区では民主派勢力が優勢であり、安易に軍事政権を支援する事は民主派勢力の地域へ軍事政権を前進させる事と成り、いっぽう、民主派政権に独自に肩入れする事が出来ない難しさも。

 日本にしかできない支援、こうしたものを考えるべきでしょうか、具体的には、内戦中の真ん中で災害発生により人道支援を行う事で内戦のどちらかにかたいれする状況や、戦闘地域での人道支援は中々現行法では想定外であり、可能性として考えられるのはミャンマー国内情勢次第では在留邦人退避へ輸送機を派遣することくらい、あとは、タイの支援だ。

 長周期震動、バンコクなど隣国でも多数の被害が出ており、バンコクでは建設中の31階建て高層建築物が倒壊し建設作業員多数が下敷きになっているなど被害が生じています。長周期震動は東日本大震災において大きく認識された、遠隔地の高層建築物がゆっくりとした揺れにより高速建築であればある程、エネルギーをため込み揺られる事で倒壊する。

 バンコクが一例として、倒壊していない建物にも基礎部分や重要構造部分などに破壊が及んでいる可能性があり、今後の課題は被災地から離れた大都市の高層建築物の破壊度合い、補修の必要性などをどのように検査するのか、倒壊リスクを容認せざるをえないのか、少なくとも、今後ちゅう程度の地震での破壊リスクをどう考えるか、必要となるでしょう。

 免震構造について、一見して印象深かったのは、高層建築物上層階のプールや池泉庭園が長周期震動により水がこぼれる様子です、水は落下した場合、一定以上の高さであれば霧状に霧散するため、低い位置から決壊する状況と比較しますとそれほど致命的な危険はありません、ただ、水がこぼれる事により建物が軽量化し、倒壊を免れた可能性があります。

 高層建築物はその重量が当然ですが高くなればなるほど比例して増大します、故に過度に軽量の構造を採用しますと、震源付近の揺れでは逆に破損しますが、徴収Ⓚ震動では重すぎる構造が、逆にビルが揺れて捻じれる際に、特定部分に想定以上の負荷が加わり倒壊するリスクが生じますが、水であれば、揺れで零して建物を軽量化することが可能となる。

 軽量構造はビル火災時に鉄骨そのものを溶かして破断させるリスクとなりますが、これは9.11の世界貿易センタービルの事例を示すと分かる一方、上層階に一定以上の水をためこむ事は消防用水、映画のタワーリングインフェルノの事例が不適切かもしれませんがイメージとして、消火に用いる事も可能となります。この点は研究の余地があるでしょう。

 日本が行える支援、ミャンマーのマンダレーはインパール作戦やビルマ戦線においての地誌研究資料が防衛研究所に大量蓄積されていると考えるのですが流石に古い、また、受入能力と派遣能力を考えた場合、自衛隊の国際緊急援助隊を贈る事も重要ですが、日本にしかできない支援として建物の非破壊検査支援が考え得ないか、こうおもうのですよね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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