◆民主化要求デモは六日目、影響は全土に波及
エジプト危機について、本日は掲載します。民主化要求に対し警察が発砲した事で混乱は悪化しており、エジプトのムバラク大統領は首相更迭など内閣改造を行いましたが、デモは続いています。
エジプト警察の発砲によりアメリカのABCによれば既に死者が100名に達している状況でムバラク大統領はカイロ市内より警察部隊の撤収を命令し、陸軍が治安出動、警察に代わって市内の治安維持にあたっています。カイロ市内は夜間外出命令が発令されておりデモを抑制する方向にあるのですが発砲命令などは出ていないため一部では夜間もデモが続いているようです。
デモ中心地はカイロのタハレール広場で、治安部隊はデモ隊の会場への輸送を行っている様子が豪州ABCにより報じられていました、映像に出ていたのはタンクトランスポータですが、会場にM-60戦車を輸送した車両の荷台に住民が載ってしまったようにもみえますね。政府退陣要求はエジプト全土へ波及しつつあるとのことで、各国は自国民の安全と同時にスエズ運河の通航が維持されるかについて大きな関心を寄せています。
ABCの報道では警察の撤収命令によりカイロ市内の刑務所から多数の脱獄者が出たため、略奪が横行しているとのことです。RTRによれば警察官五万人が市街に出たところで脱獄囚の数は数千人に達していたため、治安が突然悪化、市民が自警団を編成して拳銃や小銃を手に道路の検問を行い、通行する車両に略奪物が載せられていないかを検査、掠奪者は陸軍治安部隊に引き渡されていると報じられています。チュニジア民主化暴動のように外国人への暴行行為は今のところ報じられていません。
RTRによれば暴徒が内務省ビルへ突入を試みたのですけれども、狙撃兵により射殺され阻止されたとのことです。軍の治安出動は官庁街とデモ会場付近に対して行われているとのこと。しかし、内務省と税務当局の建物の一部が放火されたとのことです。暴徒はカイロ博物館に侵入して展示物を破壊したのちに略奪を試みたようですが、市民自警団により捕縛され幸い文化財の盗難は防がれたようです。
空軍はF-16を派遣して二機編隊によりデモ会場付近の示威飛行を実施、市街地にはM-60A3戦車やM-113装甲車を派遣して治安維持を行っているのですが、エジプト政府によるデモに対する発砲命令は現時点で出ておらず、現状では集会会場付近に戦車や装甲車が展開している状況ですが、戦車の砲塔は民衆には向けられておらず、装甲車などに対する投石などは無く、デモを見守っているというような状態が報じられています。
カイロ空港は現在麻痺状態、CNNによれば、アメリカ国務省は31日にもチャーター機を派遣してエジプト国内に取り残されたビジネスマンや観光客、出国予定の外交関係者等の輸送に充てるとのことで、BBCによればイギリス政府も同様の措置を取りつつあるとのことです。空港はマヒ状態ですが空港に集まり旅客機運行の再開を待つ出国希望者は目下のところ戦闘に巻き込まれるなどの危険は差し迫っていないようですね。
カタールの衛星テレビアルジャジーラのカイロ支局がエジプト情報省により混乱拡大を防止するという名目で閉鎖されたため、情報相に対するデモも行われているようです。