■横須賀軍港めぐり
横須賀軍港めぐり、米海軍の艦船を一通り掲載したのに続き、今回は、いよいよ海上自衛隊の艦船を掲載したい。洋上からみた、我が国海上防衛の精鋭の姿を写真でお楽しみください。
横須賀軍港めぐり、その海上自衛隊見学は、米軍の横須賀海軍施設をまわったのち、一旦外海側に出てから、自衛官隊司令部や護衛艦隊司令部、潜水艦隊司令部が置かれ護衛艦隊旗艦、機雷戦艦艇や横須賀地方隊の艦艇が停泊する船越地区に入る。ここでも、主要な艦船が停泊している舷側のすぐ近くまで近寄り、各艦船の解説とともに一周する。
横須賀軍港巡りは、そのまま船越地区と桟橋とを結ぶ水路と通り、護衛艦隊の主力、第1護衛隊群隷下の護衛艦などが多く停泊し、横須賀地方総監部が置かれている吉倉地区に至る、その吉倉桟橋の前を通る。吉倉桟橋に停泊する護衛艦は、艦首を外海に向けている場合と、横須賀市に向けている場合とがあるのだが、撮影できる角度は決まっているので、こればかりは運である。
最初に、潜水艦が停泊している桟橋。横須賀海軍施設側にある桟橋で、奥には米海軍のイージス艦が停泊しているのが見える。潜水艦は、手前が海上自衛隊の“はるしお”型(満載排水量3200㌧)、おそらく“わかしお”。奥の潜水艦は、“おやしお”型(満載排水量3500㌧)で、艦名は不詳。
護衛艦“しらゆき”。この写真は、上の潜水艦桟橋前を通り、米海軍イージス艦などが停泊する地域を通り、空母ジョージワシントンの前を通ったのち、到達した船越地区における一枚である。DD123“しらゆき”は、汎用護衛艦である“はつゆき”型の2番艦で、満載排水量4000㌧。母港は横須賀で護衛艦隊の近海警備部隊である第11護衛隊に所属している。
横須賀基地の浚渫工事にあたる作業船。船越地区に停泊していたのだが、この浚渫船は、吉倉地区の新桟橋建築工事にあたっている一隻と思われる。現在、ヘリコプター搭載護衛艦“ひゅうが”の就役に向けて、横須賀基地では吉倉地区における大型護衛艦用の桟橋新設拡張工事を実施中である。
船越地区の掃海艦桟橋に停泊するMSO302“つしま”とMSC303“はちじょう”。二隻とも掃海隊群第51掃海隊に所属する“やえやま”型掃海艇で、潜水艦を狙う深深度機雷を処理するSQQ-32可変深度機雷探知機やS-7(2型)機雷処分具、S-8掃海具などを搭載している。満載排水量は1200㌧、全長は67㍍あり、木造軍艦としては世界最大だ。
海上保安庁の巡視船も船越地区に停泊している。巡視船“ゆうづき”“はたぐも”。原子力空母が前方展開している横須賀には、海上保安庁も万全の警備体制を張っており、陸上からは神奈川県警の精鋭が、日夜テロ攻撃に備えている。なお、原子力推進艦の放射能漏れを監視する海上保安庁の放射能測定船も配置されている。
船越地区の中枢。高い通信塔とともに並んでいる白い建物に、自衛艦隊司令部、護衛艦隊司令部、潜水艦隊司令部が置かれている、日本の海上防衛の中枢というべき施設のひとつ。また、三隻が停泊しているのが第10バース、先ほど“しらゆき”が停泊していたのが第11バースである。
MST-463“うらが”、AGS-104“わかさ”、DDG-170“さわかぜ”。“うらが”は掃海母艦で、掃海艇の支援や掃海ヘリコプターを支援する、満載排水量6850㌧。“わかさ”は、対潜情報として重要な音響測定ケーブルを設置する任務で建造された海洋業務群の海洋観測艦で満載排水量3200㌧。“さわかぜ”は、満載排水量5200㌧、護衛艦隊旗艦だ。
標的艦“たちかぜ”。もと護衛艦隊旗艦である。護衛艦隊旗艦として、後部の5インチ砲を一門撤去し、司令部施設を新設しているが、“さわかぜ”では、そのような改造を施していない。個人的には、司令部施設をコンテナに収め、余剰が生じるDDHを流用、必要に応じて広大なヘリコプター格納庫に収める、という方式を採っては、と考える。隣の一隻は、開発隊群の試験艦“くりはま”(満載排水量1100㌧)。
横須賀地方隊第41掃海隊の“すがしま”型掃海艇、左から“のとじま”“つのしま”“すがしま”。ペルシャ湾掃海任務派遣において最新鋭の機雷処分に国産の機雷処理具が対応できなかったため、本型から外国製の機雷処分具を採用している、満載排水量は590㌧。隣には、海洋観測艦“すま”が停泊している。小型海洋観測艦は、以前は掃海艇を改造し充てていたが、新たに建造。ただし、任務に対し小型過ぎて能力が充分ではなく建造は一隻で終わった、満載排水量1700㌧。
後ろ向きに停泊しているので分かりにくいが、横須賀地方隊直轄の輸送艇2号。2隻建造された1号型輸送艇の一隻で、満載排水量は540㌧、軽車両か人員40名を輸送できる。しかし、東海地震や過去にも噴火災害があった伊豆諸島をその任務担当区に収める横須賀地方隊に、輸送艇が、この一隻のみ、というのは些か不足しているようにも思える。いざというときには、呉基地の輸送艦による支援も期待できるのだろうが、1000㌧クラスの輸送艇が3~4隻あってもいいのでは、と。
個の時間帯は昼休みということで、ラッパ吹奏の訓練が行われている。海上自衛隊においてラッパは連絡から儀礼、時報にも用いられる特別な存在である。練習しているのは旗艦“さわかぜ”艦橋。こののち、軍港めぐりは、横須賀基地と、弾薬などが備蓄されている吾妻島との間にある人工水路を通り吉倉地区に向かった。
吉倉地区に停泊しているASY-91“はしだて”と横須賀地方隊の水中処分母船3号。“はしだて”は、迎賓艇として用いる特務艇で、会食や会議に用いることが出来る部屋がある。乗員のほか最大170名が乗ることができ、災害時には病院船としても機能する、満載排水量は490㌧。水中処分母船3号は、横須賀地方隊に所属、機雷処理にあたる水中処分隊の隊員を輸送するための母船だ。
巨大な姿をみせたのは、夏に除籍され、解体を待つ砕氷艦“しらせ”、満載排水量は19000㌧で、保存を一時検討されたが、あまりにも大きな船体を保存できる自治体がなく、解体が決定した。隣には海洋観測艦“ふたみ”。船越地区に停泊していた“わかさ”とおなじ、“ふたみ”型のネームシップである。
試験艦“あすか”。船越地区に停泊していた“くりはま”が対潜用装備の試験を行うのに対して、“あすか”は、ミサイルなどの装備の試験も行う。8セル分の垂直発射器が艦橋前に、そして艦底には、全長50㍍の大型ソーナーが設置されている。艦橋に取り付けたフューズドアレイレーダーは、射撃指揮装置3型(FCS-3)。満載排水量は6200㌧で、開発隊群に所属している。
昨年十二月の火災事故より修理成った第1護衛隊群旗艦“しらね”、満載排水量7200㌧、ヘリコプター3機を搭載する護衛艦。以上の艦艇は、横須賀が母港であるが、隣に停泊している護衛艦“あまぎり”は、舞鶴基地より、横須賀基地に寄港している。満載排水量は4800㌧。この吉倉桟橋の前を通り、横須賀軍港めぐりは、再び桟橋に戻った。
HARUNA
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