■本日防衛予算概算要求公表
防衛省来年度予算概算要求が本日、公表されました、過去最大となる5兆1685億円が要求されています。そこで今回から概算要求の概要をみてゆきましょう。
第一回の今回は主要装備の調達要求について。ミサイル防衛能力の向上や、島嶼部防衛用の可動翼航空機MV-22や両用強襲車両AAV-7の調達が盛り込まれ、10式戦車やF-35A戦闘機の継続調達も盛り込まれています、中国の軍事脅威と北朝鮮ミサイル脅威へ、場当たり的であっても予算が増大する脅威を前に防衛予算も増大している実情を示しています。
火器および車両の調達は、陸上自衛隊の火器を見ますと89式小銃2,300丁 9億円、対人狙撃銃6丁 0.2億円、5.56㎜機関銃 MINIMI48丁 2億円、60mm迫撃砲(B)5門 0.2億円、84mm無反動砲(B)3門 0.3億円、81mm迫撃砲 L16 1門 0.1億円、120mm迫撃砲 RT 6門 3億円、99式自走155mmりゅう弾砲6両 66億円、となっていました。
車両の調達に関しては、10式戦車 6両 76億円、水陸両用車(AAV7)11両 84億円、16式機動戦闘車 33両 237億円、軽装甲機動車 8両 4億円、車両・通信器材・施設器材 等306億円、車両・通信器材・施設器材には1t半トラックや3t半トラックなど支援車両、戦車輸送車や燃料輸送車等が含まれ、牽引車両などは火砲の備品扱いとなっています。
誘導弾関連の調達要求は、陸上自衛隊関連の要求が、03式中距離地対空誘導弾(改)1個中隊 177億円、11式短距離地対空誘導弾 1式 45億円、中距離多目的誘導弾5セット 41億円、12式地対艦誘導弾 1式 81億円、です。加えて航空自衛隊関連の要求が、基地防空用地対空誘導弾0.5式 30億円、となっています。空対空ミサイル等各種本体は弾薬扱い。
海上自衛隊艦艇建造について。護衛艦(DDG)来年度要求なし。潜水艦(SS)1隻 760億円、掃海艦(MSO)1隻 178億円、音響測定艦(AOS) 1隻 234億円、となっています。潜水艦は新型の3000t型潜水艦、護衛艦は久々に一隻も建造の要求が為されない概算要求となりましたが、後述する延命予算は11隻、近代化改修は24隻が要求されています。
海上自衛隊艦艇の延命予算について。「あさぎり」型護衛艦の艦齢延伸1隻工事4隻部品6億円、「あぶくま」型護衛艦の艦齢延伸2隻工事2隻部品16億円、「はたかぜ」型護衛艦の艦齢延伸1隻工事0隻部品16億円、「こんごう」型護衛艦の艦齢延伸1隻工事0隻部品18億円、「おやしお」型潜水艦の艦齢延伸3隻工事6隻部品38億円、となっています。
艦艇の延命、エアクッション艇の艦齢延伸2隻工事0隻部品1億円、「くろべ」型訓練支援艦の艦齢延伸1隻工事0隻部品4億円、「とわだ」型補給艦の艦齢延伸0隻工事2隻部品2億円、延命予算の要求については以上です。海上自衛隊では装備品の延命工事を実施する場合、延命工事部品の取得と延命工事の施工を年度を分けて実施、このようになりました。
艦艇の近代化及び能力向上について。「たかなみ」型護衛艦の短SAMシステムの能力向上事業完了。護衛艦CIWS(高性能20㎜機関砲)の近代化改修4隻工事12隻部品44億円、「あたご」型護衛艦の対潜能力向上(MFTA)1隻工事0隻部品3億円、「あきづき型」護衛艦等の対潜能力向上 (マルチスタティック)0隻工事3隻部品2億円、とのこと。
29年度要求は続きまして、「むらさめ」型護衛艦の対潜能力向上 (水上発射管)1隻工事2隻部品0.5億円、「あさぎり」型護衛艦戦闘指揮システムの 近代化改修1隻工事0隻部品4億円、「たかなみ」型護衛艦戦闘指揮システムの 近代化改修隻工事事業今年度完了、「むらさめ」型護衛艦戦闘指揮システムの 近代化改修0隻工事1隻部品3億円、続く。
「ひゅうが」型護衛艦戦闘指揮システムの 近代化改修0隻工事1隻部品27億円、「おやしお」型潜水艦戦闘指揮システムの 近代化改修1隻工事1隻部品23億円、「おおすみ」型輸送艦の能力向上1隻工事1隻部品12億円、延命は耐用年数上限を伸ばすものですが能力向上や近代化改修は性能を高めるものでして、工事費用と部品費用を分けています。
航空機関連の調達について。ティルトローター機(V-22)4機 393億円、CH-47JA 6機 456 (154)億円。海上自衛隊関連では多用途ヘリコプター(艦載型)機種選定中。航空自衛隊関連では戦闘機 (F-35A) 6機 946億円、輸送機(C-2)3機 667億円、新空中給油・輸送機(KC-46A) 1機 318億円。滞空型無人機(グローバルホーク)1機 173億円、です。
航空機延命改修について、海上自衛隊の航空機を見てみましょう。固定翼哨戒機(P-3C)の機齢延伸3機)18億円、哨戒ヘリコプター(SH-60K)の機齢延伸 2機38億円、哨戒ヘリコプター(SH-60J)の機齢延伸2機10億円、画像情報収集機(OP-3C)の機齢延伸1機7億円、固定翼哨戒機(P-3C)搭載レーダーの能力向上部品15機5億円、以上です。
航空自衛隊の航空機能力向上改修について。戦闘機(F-2)空対空戦闘能力の向上改修16基部品9機及び戦闘機(F-2)へのJDCS(F)搭載改修12機で合計53億円、早期警戒管制機(E-767)の能力向上改修2機220億円、輸送機(C-130H)への空中給油機能付加部品1機分16億円、以上です。F-2の能力向上は二つの事業が包括し予算要求されています。
防衛省二九年度予算概算要求検証、この第一回は概算要求において調達が要求された主要装備品を列挙しました。次回からは、中国海洋進出や北朝鮮核及びミサイル開発へ統合機動防衛力整備という一大改革、安全保障協力法制施行に伴う新任務への対応など、5兆1685億円という過去最大の概算要求がどのような防衛政策と防衛戦略を目指すかについて、重要政策を見てゆく事としましょう。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
防衛省来年度予算概算要求が本日、公表されました、過去最大となる5兆1685億円が要求されています。そこで今回から概算要求の概要をみてゆきましょう。
第一回の今回は主要装備の調達要求について。ミサイル防衛能力の向上や、島嶼部防衛用の可動翼航空機MV-22や両用強襲車両AAV-7の調達が盛り込まれ、10式戦車やF-35A戦闘機の継続調達も盛り込まれています、中国の軍事脅威と北朝鮮ミサイル脅威へ、場当たり的であっても予算が増大する脅威を前に防衛予算も増大している実情を示しています。
火器および車両の調達は、陸上自衛隊の火器を見ますと89式小銃2,300丁 9億円、対人狙撃銃6丁 0.2億円、5.56㎜機関銃 MINIMI48丁 2億円、60mm迫撃砲(B)5門 0.2億円、84mm無反動砲(B)3門 0.3億円、81mm迫撃砲 L16 1門 0.1億円、120mm迫撃砲 RT 6門 3億円、99式自走155mmりゅう弾砲6両 66億円、となっていました。
車両の調達に関しては、10式戦車 6両 76億円、水陸両用車(AAV7)11両 84億円、16式機動戦闘車 33両 237億円、軽装甲機動車 8両 4億円、車両・通信器材・施設器材 等306億円、車両・通信器材・施設器材には1t半トラックや3t半トラックなど支援車両、戦車輸送車や燃料輸送車等が含まれ、牽引車両などは火砲の備品扱いとなっています。
誘導弾関連の調達要求は、陸上自衛隊関連の要求が、03式中距離地対空誘導弾(改)1個中隊 177億円、11式短距離地対空誘導弾 1式 45億円、中距離多目的誘導弾5セット 41億円、12式地対艦誘導弾 1式 81億円、です。加えて航空自衛隊関連の要求が、基地防空用地対空誘導弾0.5式 30億円、となっています。空対空ミサイル等各種本体は弾薬扱い。
海上自衛隊艦艇建造について。護衛艦(DDG)来年度要求なし。潜水艦(SS)1隻 760億円、掃海艦(MSO)1隻 178億円、音響測定艦(AOS) 1隻 234億円、となっています。潜水艦は新型の3000t型潜水艦、護衛艦は久々に一隻も建造の要求が為されない概算要求となりましたが、後述する延命予算は11隻、近代化改修は24隻が要求されています。
海上自衛隊艦艇の延命予算について。「あさぎり」型護衛艦の艦齢延伸1隻工事4隻部品6億円、「あぶくま」型護衛艦の艦齢延伸2隻工事2隻部品16億円、「はたかぜ」型護衛艦の艦齢延伸1隻工事0隻部品16億円、「こんごう」型護衛艦の艦齢延伸1隻工事0隻部品18億円、「おやしお」型潜水艦の艦齢延伸3隻工事6隻部品38億円、となっています。
艦艇の延命、エアクッション艇の艦齢延伸2隻工事0隻部品1億円、「くろべ」型訓練支援艦の艦齢延伸1隻工事0隻部品4億円、「とわだ」型補給艦の艦齢延伸0隻工事2隻部品2億円、延命予算の要求については以上です。海上自衛隊では装備品の延命工事を実施する場合、延命工事部品の取得と延命工事の施工を年度を分けて実施、このようになりました。
艦艇の近代化及び能力向上について。「たかなみ」型護衛艦の短SAMシステムの能力向上事業完了。護衛艦CIWS(高性能20㎜機関砲)の近代化改修4隻工事12隻部品44億円、「あたご」型護衛艦の対潜能力向上(MFTA)1隻工事0隻部品3億円、「あきづき型」護衛艦等の対潜能力向上 (マルチスタティック)0隻工事3隻部品2億円、とのこと。
29年度要求は続きまして、「むらさめ」型護衛艦の対潜能力向上 (水上発射管)1隻工事2隻部品0.5億円、「あさぎり」型護衛艦戦闘指揮システムの 近代化改修1隻工事0隻部品4億円、「たかなみ」型護衛艦戦闘指揮システムの 近代化改修隻工事事業今年度完了、「むらさめ」型護衛艦戦闘指揮システムの 近代化改修0隻工事1隻部品3億円、続く。
「ひゅうが」型護衛艦戦闘指揮システムの 近代化改修0隻工事1隻部品27億円、「おやしお」型潜水艦戦闘指揮システムの 近代化改修1隻工事1隻部品23億円、「おおすみ」型輸送艦の能力向上1隻工事1隻部品12億円、延命は耐用年数上限を伸ばすものですが能力向上や近代化改修は性能を高めるものでして、工事費用と部品費用を分けています。
航空機関連の調達について。ティルトローター機(V-22)4機 393億円、CH-47JA 6機 456 (154)億円。海上自衛隊関連では多用途ヘリコプター(艦載型)機種選定中。航空自衛隊関連では戦闘機 (F-35A) 6機 946億円、輸送機(C-2)3機 667億円、新空中給油・輸送機(KC-46A) 1機 318億円。滞空型無人機(グローバルホーク)1機 173億円、です。
航空機延命改修について、海上自衛隊の航空機を見てみましょう。固定翼哨戒機(P-3C)の機齢延伸3機)18億円、哨戒ヘリコプター(SH-60K)の機齢延伸 2機38億円、哨戒ヘリコプター(SH-60J)の機齢延伸2機10億円、画像情報収集機(OP-3C)の機齢延伸1機7億円、固定翼哨戒機(P-3C)搭載レーダーの能力向上部品15機5億円、以上です。
航空自衛隊の航空機能力向上改修について。戦闘機(F-2)空対空戦闘能力の向上改修16基部品9機及び戦闘機(F-2)へのJDCS(F)搭載改修12機で合計53億円、早期警戒管制機(E-767)の能力向上改修2機220億円、輸送機(C-130H)への空中給油機能付加部品1機分16億円、以上です。F-2の能力向上は二つの事業が包括し予算要求されています。
防衛省二九年度予算概算要求検証、この第一回は概算要求において調達が要求された主要装備品を列挙しました。次回からは、中国海洋進出や北朝鮮核及びミサイル開発へ統合機動防衛力整備という一大改革、安全保障協力法制施行に伴う新任務への対応など、5兆1685億円という過去最大の概算要求がどのような防衛政策と防衛戦略を目指すかについて、重要政策を見てゆく事としましょう。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)