週報:世界の防衛,最新11論点
今回は空軍関連の話題を中心に。
アメリカ空軍はF-22戦闘機へ28発もの空対空ミサイルを搭載する試験に成功しました。これは空軍第1戦闘航空団第94戦闘飛行隊がフロリダ州のティンダル空軍基地において実施した試験です、F-22は世界初の実用ステルス戦闘機であり第五世代戦闘機の鏑矢となった戦闘機で、アメリカ空軍では第五世代戦闘機の中でも運用に習熟している戦闘機です。
28発の空対空ミサイル搭載は、それでもアメリカ空軍では前代未聞であり、この試験では28発のミサイル射撃も実施しました。これだけのミサイルは機内に収容することはできず、ステルス性を断念し主翼などに搭載していますが、飛行隊で数百発を搭載できることを示した形、この機体が一度に射撃したミサイルは実に1400万ドルに上るとのことでした。
■フランス軍E-3F早期警戒管制機
E-3早期警戒管制機が今後どのように展開するのか。
フランス空軍はE-3F早期警戒管制機のMIDS-LVT-BU2の搭載適合化を認証しました。E-3F早期警戒管制機は空軍に4機が配備されているもので、MIDS-LVT-BU2とは多機能情報配信システム低容量ターミナルブロックアップグレードモデル2型を示し、これは2020年フランスのタレス社とエールフランスインダストリーズ社が搭載を受注しています。
MIDS-LVT-BU2の搭載によりリンク16データリンクシステムへの適応化が可能となります、これらの搭載改修は2022年9月から11月の期間に順次搭載されます。これにより、暗号化の迅速な情報共有とともに周波数再検索が可能となり、また飛行中に判明したプログラム上の問題を地上のプログラミング施設より更新プログラムを受信する事が可能です。
EuroMIDS-MIDS-LVTを搭載している各種航空機はE-3F早期警戒機からのMIDS-LVT-BU2を通じての情報共有が可能であり、フランス軍ではラファール戦闘機やミラージュ2000戦闘機、NH-90多用途ヘリコプターやA-400M輸送機、またフリゲイトのホライゾンシリーズを運用する各国や、現役のトーネード、タイフーンと共有が可能です。
■ルーマニア軍ノルウェー中古F-16
F-16は良い戦闘機です。
ルーマニア空軍はノルウェーから取得した中古F-16戦闘機についてコングスベルク社の支援を受け近代化改修を実施します。このF-16戦闘機中古導入計画は2020年にルーマニアの空軍近代化へノルウェー政府と交わした政府間合意に基づくものでノルウェー空軍は新しく導入したF-35戦闘機により余剰となったF-16戦闘機を稼働機全て供与するという。
ノルウェー空軍のF-16戦闘機は元来さらに長い期間の運用を見込んでおり、このためにコングスベルク社との間で延命改修などにかんする契約に期間延長を盛り込んでいました。今回の近代化改修契約は、いわばノルウェー空軍のコングスベルク社との延長契約をルーマニア空軍が引き継ぐ形となっています。引き渡されるF-16戦闘機は32機となっている。
コングスベルク社とのルーマニア政府の契約は11月4日に正式契約締結に至っており、これによりルーマニア空軍はコングスベルク社から予備部品供給と列線整備用モジュール部品供与および技術教育での協力などが予定されています。なお今回の契約、ルーマニア空軍へは2023年から引き渡しが開始され2024年までにF-16戦闘機引き渡しを完了します。
■オーストラリア空軍はC-130J-30
C-130J-30スーパーハーキュリースはC-130の胴体を延伸したものなのですが期待以上に取得費用が伸びています。
オーストラリア空軍はC-130J-30スーパーハーキュリース戦術輸送機24機を導入することとなりました。これはロッキードマーティン社とオーストラリア空軍の導入契約をアメリカ国務省が正式に有償軍事供与認可としたものです。オーストラリア空軍はこの決定により旧式輸送機を一気に輸送力の強化されたC-130J-30輸送機に置き換える構想という。
C-130J-30輸送機はエンジンを強化したC-130J輸送機の全長を延伸させ胴体部分に重量よりもかさばる装備品を搭載可能としたものであり、今回導入の24機のC-130J-30輸送機は航法装置や機体自衛装置及びミサイル警報装置などを加え、63億ドル規模の調達となります。オーストラリア軍は中国軍南シナ海進出を警戒し防衛力を強化しているところです。
■ブルガリア空軍F-16戦闘機8機
F-16はNATO加盟国で幅広く採用されましたがその旧式化した機体とは別に全く新しいといえる水準の世代機も今なお生産されている。
ブルガリア空軍は次期戦闘機としてF-16戦闘機8機の取得を決定しました。ブルガリアの国防費は乏しく、F-16戦闘機は現用戦闘機の中では比較的安価とはいえ負担は大きく、今回導入する機体はF-16C/Dblock70仕様であるとしていますが、ブルガリア議会では関連資材や弾薬と初度費用の合計を13億ドル以下におさえることが導入の条件とされています。
F-16戦闘機の導入は議会で討議され、49名が反対し11名の議員が棄権していますが過半数が賛成しています。ブルガリアへのF-16戦闘機配備は2025年から2027年の期間にわたり行われ、予備のエンジンや空対地ミサイルなども予算に含めているという。他方で既存機と異なるF-16戦闘機の訓練費用捻出などについては別途考慮する必要があるでしょう。
■ブルガリア空軍MiG-29
ロシア軍ウクライナ侵攻と共に東欧の旧ソ連製兵器が運用寿命を延ばせなくなり代替を強いられています。
ブルガリア空軍は現在MiG-29戦闘機を運用中ですが2023年以降運用が保証されていない問題に直面しています。ブルガリア空軍はF-16戦闘機を導入する方針ですが、その引き渡し開始は2025年であり、運用能力を獲得するのは2027年以降という見通し、つまり少なくとも数年間はブルガリア空軍に戦闘機が全くない空白期間が生じることとなります。
F-16戦闘機導入まで、MiG-29戦闘機を延命運用する選択肢はないとされていますので、戦闘機の老朽化は予想以上に深刻であることが懸念されます、しかしブルガリア政府は現在、複数の国から戦闘機リースを提示されているとのことで、アメリカ、イスラエル、スウェーデン、フランスが協力の意志を提示しているとのことで、今後検討されるでしょう。
■GKNエアロ社製新エンジン
スーパーホーネットのエンジンの系譜です。
スウェーデンのJAS-39戦闘機用GKNエアロスペース社製新型エンジンが稼働試験に成功しました。これはJAS-39E型に搭載するRM-16エンジンであり、アメリカゼネラルエレクトリック製F-414エンジンの系譜にあります。JAS-39は現在RM-12エンジンを搭載しており、こちらもF-414エンジンの系譜にあり、F-414の最新型に相当するものです。
RM-16エンジンの稼働試験はGKNエアロスペース社の地上試験施設においておこなわれており、今後はJAS-39戦闘機など航空機に搭載しての試験に移行します。従来のRM-12エンジンは1997年のJAS-39戦闘機での搭載以来実績があり、実用性と信頼性の高いアメリカ製エンジンを自国仕様としてライセンス生産した手堅い決定の成果といえるでしょう。
■KC-46空中給油輸送機
アメリカのKC-46空中給油輸送機にちょっとした問題です。
アメリカ空軍は10月15日にKC-46空中給油輸送機の接触事故が発生し給油中のKC-46が破損する事案となりました。事故はF-15戦闘機への空中給油中に発生、この給油はイギリスのグラスゴープレストウィック基地から大西洋を超えてアメリカニュージャージー州マクガイアディックスレイクハースト基地へ向かう長距離飛行中の給油となっていました。
KC-46の事故はF-15戦闘機と高速で飛行中に給油装置が空中ではずれ、高速で撓んだ反動により機体後部に給油装置がたたきつけるという状況に見舞われました。KC-46は機体に深刻な損傷が発生するには至りませんでしたが、給油ブーム部分に大きなクラックが入り、その基部が大きく変形、操作ミスか、設計上の問題なのかを空軍が調査中となっている。
■AC-130J対地制圧航空機
AC-130J対地制圧航空機も31機と自衛隊のC-130よりも多数を装備しているのがすごい。
アメリカ空軍特殊作戦航空司令部は11月2日、AC-130J対地制圧航空機の最終号機を受領しました。受領したのは31号機であり、これまでのAC-130W及びAC-130UとAC-130H対地制圧航空機をすべてAC-130Jに統合できたことを意味します。AC-130Jの愛称はゴーストライダーといい、長時間戦闘地域上空に滞空し持続的な火力支援を行う航空機です。
AC-130シリーズはもともとヴェトナム戦争時代にC-47輸送機へ7.62mmミニガン2基と大量の弾薬を搭載し長時間旋回しつつ地上作戦を火力支援した際に高い効果が確認され、機体を数世代にわたり大型化させ、遂に遙かに大型のC-130へ置き換えて運用されていますが、2009年により長い運用を見越しC-130Jを原型機とする決定が為されました。
AC-130JはBlock10とBlock20に別れ、ともに機関砲を搭載していますが、Blick10では更に口径の大きな30mm機関砲と主翼に搭載する小型精密誘導爆弾及び貨物扉から投射するヘルファイアミサイルを、Block20では105mm砲などを装備します。またミサイルを迎撃する180kw出力の機体自衛用レーザー砲の搭載なども将来追加が計画されています。
■無人機管制用のレーザー通信
無人機をいかに敵の妨害通信から防護するかは重要な課題です。
アメリカのジェネラルアトミクス社は9月26日、MQ-9無人機管制用のレーザー通信技術実証実験に成功しました。この実験はキングエアビジネス機2機を用いてMQ-9無人機に搭載用として開発を進めるレーザーセンサーを空中試験を実施したもので、レーザー通信ではリアルタイムの動画電送や管制情報、航法情報など共有することに成功したという。
レーザー通信は、LPI/LPD低傍受性低検出性という利点があります、従来の電波を用いた無人機運用が広い範囲から電波傍受などにより察知されやすく、無人航空機の秘匿性という問題を発生させていた点への回答であり、今回のカリフォルニア州モンゴメリー飛行場を拠点として実施した試験では1.0ギガビット規模の通信に成功したとされています。
■嘉手納のF-15C
在日米軍の位置づけに関する重大な変更だ。
アメリカ空軍の嘉手納基地からのF-15C戦闘機撤収計画についてアメリカ議会の共和党有力議員4名が連名で反対を表明しました。議員には大統領候補ともなったマルコルビオ上院議員やマイクギャラガー下院議員、元駐日大使のビルハガディ上院議員と外交委員会トップのマイクマッコール下院議員が署名しており、空軍に撤収計画の撤回を求めました。
嘉手納基地からのF-15C戦闘機撤収は、代替航空機をおくことによる恒久的な配備部隊を嘉手納基地におくことなくローテーションにより部隊を巡回させるというもので、これは一時的に日本に駐留する空軍戦闘機部隊が大幅縮小される可能性を示しています。議員らの反対は恒久部隊をおかないことが中国に誤解を与えることを懸念するというものです。
F-15Cの引き上げにたいして空軍はアラスカから第五世代戦闘機であるF-22戦闘機を巡回させる方式を提示しています、しかしF-15Cは撤収後廃止される見通しであり、二年間にわたり順番に後退する。F-22戦闘機は嘉手納基地のF-15飛行隊二つをローテーションで置き換えるほどアラスカに配備されていないため、極東での抑止力低下が懸念されるのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
今回は空軍関連の話題を中心に。
アメリカ空軍はF-22戦闘機へ28発もの空対空ミサイルを搭載する試験に成功しました。これは空軍第1戦闘航空団第94戦闘飛行隊がフロリダ州のティンダル空軍基地において実施した試験です、F-22は世界初の実用ステルス戦闘機であり第五世代戦闘機の鏑矢となった戦闘機で、アメリカ空軍では第五世代戦闘機の中でも運用に習熟している戦闘機です。
28発の空対空ミサイル搭載は、それでもアメリカ空軍では前代未聞であり、この試験では28発のミサイル射撃も実施しました。これだけのミサイルは機内に収容することはできず、ステルス性を断念し主翼などに搭載していますが、飛行隊で数百発を搭載できることを示した形、この機体が一度に射撃したミサイルは実に1400万ドルに上るとのことでした。
■フランス軍E-3F早期警戒管制機
E-3早期警戒管制機が今後どのように展開するのか。
フランス空軍はE-3F早期警戒管制機のMIDS-LVT-BU2の搭載適合化を認証しました。E-3F早期警戒管制機は空軍に4機が配備されているもので、MIDS-LVT-BU2とは多機能情報配信システム低容量ターミナルブロックアップグレードモデル2型を示し、これは2020年フランスのタレス社とエールフランスインダストリーズ社が搭載を受注しています。
MIDS-LVT-BU2の搭載によりリンク16データリンクシステムへの適応化が可能となります、これらの搭載改修は2022年9月から11月の期間に順次搭載されます。これにより、暗号化の迅速な情報共有とともに周波数再検索が可能となり、また飛行中に判明したプログラム上の問題を地上のプログラミング施設より更新プログラムを受信する事が可能です。
EuroMIDS-MIDS-LVTを搭載している各種航空機はE-3F早期警戒機からのMIDS-LVT-BU2を通じての情報共有が可能であり、フランス軍ではラファール戦闘機やミラージュ2000戦闘機、NH-90多用途ヘリコプターやA-400M輸送機、またフリゲイトのホライゾンシリーズを運用する各国や、現役のトーネード、タイフーンと共有が可能です。
■ルーマニア軍ノルウェー中古F-16
F-16は良い戦闘機です。
ルーマニア空軍はノルウェーから取得した中古F-16戦闘機についてコングスベルク社の支援を受け近代化改修を実施します。このF-16戦闘機中古導入計画は2020年にルーマニアの空軍近代化へノルウェー政府と交わした政府間合意に基づくものでノルウェー空軍は新しく導入したF-35戦闘機により余剰となったF-16戦闘機を稼働機全て供与するという。
ノルウェー空軍のF-16戦闘機は元来さらに長い期間の運用を見込んでおり、このためにコングスベルク社との間で延命改修などにかんする契約に期間延長を盛り込んでいました。今回の近代化改修契約は、いわばノルウェー空軍のコングスベルク社との延長契約をルーマニア空軍が引き継ぐ形となっています。引き渡されるF-16戦闘機は32機となっている。
コングスベルク社とのルーマニア政府の契約は11月4日に正式契約締結に至っており、これによりルーマニア空軍はコングスベルク社から予備部品供給と列線整備用モジュール部品供与および技術教育での協力などが予定されています。なお今回の契約、ルーマニア空軍へは2023年から引き渡しが開始され2024年までにF-16戦闘機引き渡しを完了します。
■オーストラリア空軍はC-130J-30
C-130J-30スーパーハーキュリースはC-130の胴体を延伸したものなのですが期待以上に取得費用が伸びています。
オーストラリア空軍はC-130J-30スーパーハーキュリース戦術輸送機24機を導入することとなりました。これはロッキードマーティン社とオーストラリア空軍の導入契約をアメリカ国務省が正式に有償軍事供与認可としたものです。オーストラリア空軍はこの決定により旧式輸送機を一気に輸送力の強化されたC-130J-30輸送機に置き換える構想という。
C-130J-30輸送機はエンジンを強化したC-130J輸送機の全長を延伸させ胴体部分に重量よりもかさばる装備品を搭載可能としたものであり、今回導入の24機のC-130J-30輸送機は航法装置や機体自衛装置及びミサイル警報装置などを加え、63億ドル規模の調達となります。オーストラリア軍は中国軍南シナ海進出を警戒し防衛力を強化しているところです。
■ブルガリア空軍F-16戦闘機8機
F-16はNATO加盟国で幅広く採用されましたがその旧式化した機体とは別に全く新しいといえる水準の世代機も今なお生産されている。
ブルガリア空軍は次期戦闘機としてF-16戦闘機8機の取得を決定しました。ブルガリアの国防費は乏しく、F-16戦闘機は現用戦闘機の中では比較的安価とはいえ負担は大きく、今回導入する機体はF-16C/Dblock70仕様であるとしていますが、ブルガリア議会では関連資材や弾薬と初度費用の合計を13億ドル以下におさえることが導入の条件とされています。
F-16戦闘機の導入は議会で討議され、49名が反対し11名の議員が棄権していますが過半数が賛成しています。ブルガリアへのF-16戦闘機配備は2025年から2027年の期間にわたり行われ、予備のエンジンや空対地ミサイルなども予算に含めているという。他方で既存機と異なるF-16戦闘機の訓練費用捻出などについては別途考慮する必要があるでしょう。
■ブルガリア空軍MiG-29
ロシア軍ウクライナ侵攻と共に東欧の旧ソ連製兵器が運用寿命を延ばせなくなり代替を強いられています。
ブルガリア空軍は現在MiG-29戦闘機を運用中ですが2023年以降運用が保証されていない問題に直面しています。ブルガリア空軍はF-16戦闘機を導入する方針ですが、その引き渡し開始は2025年であり、運用能力を獲得するのは2027年以降という見通し、つまり少なくとも数年間はブルガリア空軍に戦闘機が全くない空白期間が生じることとなります。
F-16戦闘機導入まで、MiG-29戦闘機を延命運用する選択肢はないとされていますので、戦闘機の老朽化は予想以上に深刻であることが懸念されます、しかしブルガリア政府は現在、複数の国から戦闘機リースを提示されているとのことで、アメリカ、イスラエル、スウェーデン、フランスが協力の意志を提示しているとのことで、今後検討されるでしょう。
■GKNエアロ社製新エンジン
スーパーホーネットのエンジンの系譜です。
スウェーデンのJAS-39戦闘機用GKNエアロスペース社製新型エンジンが稼働試験に成功しました。これはJAS-39E型に搭載するRM-16エンジンであり、アメリカゼネラルエレクトリック製F-414エンジンの系譜にあります。JAS-39は現在RM-12エンジンを搭載しており、こちらもF-414エンジンの系譜にあり、F-414の最新型に相当するものです。
RM-16エンジンの稼働試験はGKNエアロスペース社の地上試験施設においておこなわれており、今後はJAS-39戦闘機など航空機に搭載しての試験に移行します。従来のRM-12エンジンは1997年のJAS-39戦闘機での搭載以来実績があり、実用性と信頼性の高いアメリカ製エンジンを自国仕様としてライセンス生産した手堅い決定の成果といえるでしょう。
■KC-46空中給油輸送機
アメリカのKC-46空中給油輸送機にちょっとした問題です。
アメリカ空軍は10月15日にKC-46空中給油輸送機の接触事故が発生し給油中のKC-46が破損する事案となりました。事故はF-15戦闘機への空中給油中に発生、この給油はイギリスのグラスゴープレストウィック基地から大西洋を超えてアメリカニュージャージー州マクガイアディックスレイクハースト基地へ向かう長距離飛行中の給油となっていました。
KC-46の事故はF-15戦闘機と高速で飛行中に給油装置が空中ではずれ、高速で撓んだ反動により機体後部に給油装置がたたきつけるという状況に見舞われました。KC-46は機体に深刻な損傷が発生するには至りませんでしたが、給油ブーム部分に大きなクラックが入り、その基部が大きく変形、操作ミスか、設計上の問題なのかを空軍が調査中となっている。
■AC-130J対地制圧航空機
AC-130J対地制圧航空機も31機と自衛隊のC-130よりも多数を装備しているのがすごい。
アメリカ空軍特殊作戦航空司令部は11月2日、AC-130J対地制圧航空機の最終号機を受領しました。受領したのは31号機であり、これまでのAC-130W及びAC-130UとAC-130H対地制圧航空機をすべてAC-130Jに統合できたことを意味します。AC-130Jの愛称はゴーストライダーといい、長時間戦闘地域上空に滞空し持続的な火力支援を行う航空機です。
AC-130シリーズはもともとヴェトナム戦争時代にC-47輸送機へ7.62mmミニガン2基と大量の弾薬を搭載し長時間旋回しつつ地上作戦を火力支援した際に高い効果が確認され、機体を数世代にわたり大型化させ、遂に遙かに大型のC-130へ置き換えて運用されていますが、2009年により長い運用を見越しC-130Jを原型機とする決定が為されました。
AC-130JはBlock10とBlock20に別れ、ともに機関砲を搭載していますが、Blick10では更に口径の大きな30mm機関砲と主翼に搭載する小型精密誘導爆弾及び貨物扉から投射するヘルファイアミサイルを、Block20では105mm砲などを装備します。またミサイルを迎撃する180kw出力の機体自衛用レーザー砲の搭載なども将来追加が計画されています。
■無人機管制用のレーザー通信
無人機をいかに敵の妨害通信から防護するかは重要な課題です。
アメリカのジェネラルアトミクス社は9月26日、MQ-9無人機管制用のレーザー通信技術実証実験に成功しました。この実験はキングエアビジネス機2機を用いてMQ-9無人機に搭載用として開発を進めるレーザーセンサーを空中試験を実施したもので、レーザー通信ではリアルタイムの動画電送や管制情報、航法情報など共有することに成功したという。
レーザー通信は、LPI/LPD低傍受性低検出性という利点があります、従来の電波を用いた無人機運用が広い範囲から電波傍受などにより察知されやすく、無人航空機の秘匿性という問題を発生させていた点への回答であり、今回のカリフォルニア州モンゴメリー飛行場を拠点として実施した試験では1.0ギガビット規模の通信に成功したとされています。
■嘉手納のF-15C
在日米軍の位置づけに関する重大な変更だ。
アメリカ空軍の嘉手納基地からのF-15C戦闘機撤収計画についてアメリカ議会の共和党有力議員4名が連名で反対を表明しました。議員には大統領候補ともなったマルコルビオ上院議員やマイクギャラガー下院議員、元駐日大使のビルハガディ上院議員と外交委員会トップのマイクマッコール下院議員が署名しており、空軍に撤収計画の撤回を求めました。
嘉手納基地からのF-15C戦闘機撤収は、代替航空機をおくことによる恒久的な配備部隊を嘉手納基地におくことなくローテーションにより部隊を巡回させるというもので、これは一時的に日本に駐留する空軍戦闘機部隊が大幅縮小される可能性を示しています。議員らの反対は恒久部隊をおかないことが中国に誤解を与えることを懸念するというものです。
F-15Cの引き上げにたいして空軍はアラスカから第五世代戦闘機であるF-22戦闘機を巡回させる方式を提示しています、しかしF-15Cは撤収後廃止される見通しであり、二年間にわたり順番に後退する。F-22戦闘機は嘉手納基地のF-15飛行隊二つをローテーションで置き換えるほどアラスカに配備されていないため、極東での抑止力低下が懸念されるのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)