北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】F-2戦闘機後継機共同開発サウジアラビア参加可能性とフィリピン政府タイフォンシステム国内配備で合意

2025-03-04 20:01:32 | インポート
■防衛フォーラム
今週も簡易版です。

陸上自衛隊においてチャカⅢ無人標的機の運用が終了しました。チャカⅢは海上自衛隊においても訓練支援艦などから発射され、艦対空ミサイルの標的として機能してきました。同じように長らく陸上自衛隊の高射特科部隊において標的機として活躍してきましたが、今後は後継装備としてバンシー無人標的機の運用が開始されています。

チャカⅢ無人標的機は冷戦時代には第101無人偵察機隊として運用された時代があり、それはカメラを搭載して敵対勢力上空をプログラミングされた経路に従い撮影するというものでしたが、東西冷戦時代に強大なソ連軍部隊の北海道上陸を警戒していた陸上自衛隊にあって、航空優勢を失った場合でも情報優位を維持するための苦肉の策でした。


ポーランド軍は韓国よりK-151レイコルト高機動車の受領を開始しました。K-151レイコルトはキア自動車が2016年より量産していて、コリアンハンヴィーとも愛称されるもので、軽量ながら装甲防御力を有しており、今回納入されたものについては防弾ガラスや装甲ドアとともに発煙弾発射装置と銃座などが配置されていました。

K-151レイコルトには派生型としてK-152兵員輸送型が有り、K-151は車体後部に荷物室を有する輸送型、重量は5.7tで、また車両停止時にも通信を確保できるよう10kw発電装置を搭載していることから電力を必要とする防空システムや対戦車ミサイルシステム等の搭載にも対応しています。ポーランドは近年、韓国製装備を大量取得している。


フィリピン政府はアメリカ軍のタイフォンシステム国内配備で合意しました。タイフォンシステムは水上戦闘艦に搭載しているMk41VLS垂直発射装置を倒立式として陸上運用可能としたもの、このシステムには射程480kmのミサイルが搭載されており、フィリピンから沿岸200海里にわたって海上へ抑止力を発揮できるというもの。

タイフォンシステムについて、アメリカ軍は2024年4月にフィリピンへ訓練の一環として持ち込んだものですが、演習終了後も一向に撤収する見通しがなく、フィリピンとの間で離島の係争状態にある中国政府はフィリピン政府へアメリカの退去を要求するよう圧力を掛けていましたが、この恒久配備が2024年12月に決定したということ。


フィリピン軍からAH-1Sコブラが退役しました。これはヨルダン政府から寄贈されていた2機の中古機であり、フィリピンではマラウィ騒擾などISイスラミックステイトの浸透事案を受け航空打撃力強化が求められていたなかで2機が無償譲渡されていたものです。AH-1Sコブラはフィリピンの高温多湿環境下でも充分に機能したという。

AH-1Sコブラは2機ではありますが、フィリピン軍は新しくトルコよりT-129ヘリコプター6機の導入と戦力化を進めている最中であり、T-129要員への戦術教育や運用研究には2機とはいえAH-1Sは大きく寄与したといわれています。日本では陳腐化した装備という位置づけのヘリコプター打撃力はいま世界で徐々に運用国を増やしています。


F-2戦闘機の後継機となる次期戦闘機共同開発へサウジアラビアのさんかの可能性が現実味を帯びてきました。この開発は日本とイギリスが国際共同開発を実施しており、此処に途中からイタリアが加わる三カ国共同開発となっていましたが、次世代戦闘機の必要性からサウジアラビア政府が開発計画への参加を希望してきていました。

日英伊共同開発は当初日本政府が、サウジアラビアさんかに対して実戦使用される可能せいが高くなるとして難色を示していましたが、11月末となり一転して日本国内においてサウジアラビア参加を認める可能性と、関係者の話をNHKなどが報じました。この背景には、巨額の開発費負担の問題があり、サウジアラビアの資金力に期待した構図だ。

サウジアラビアの参画について、懸念されているのはサウジアラビアは航空産業が今後の育成段階にあり、航空技術者も育成段階、参加している三カ国との間での技術格差が大きく、また戦闘機運用の基本戦略も現段階では仕様に反映しにくいという実情があります。ただ、トーネードやユーロファイターなど欧州機採用実績は多数あります。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【防衛情報】フィリピン海軍新型T-12無人哨戒艇とニュージーランド海軍支援艦マナワヌイ沈没事故

2025-02-18 20:01:18 | インポート
■防衛フォーラム
 本日は天候の関係で縮小版と成りまして各国軍隊の話題を横須賀の風景と共に。

 ニュージーランド海軍支援艦マナワヌイ沈没事故の事故調査報告書が発表されました。ニュージーランド海軍有数の排水量を誇るマナワヌイの沈没事故は世界に衝撃を与えましたが、その原因はサモア沖の暗礁において座礁し、浸水により沈没する事となりました。この原因は自動操舵装置の切り替えを忘失していたことが原因にあるという。

 マナワヌイの自動操舵装置は直進に設定していたものの、乗員は自動操舵装置を切り忘れており、そのまま暗唱に向けて航行している状況で主導の転舵を試みたものの転舵せず、この要因を自動操舵装置の故障ではなく別の何らかの不具合であると認識しているうちに座礁したということです。日本を含め座礁事故は発生しますが沈没は稀です。


 フィリピン海軍は新型のT-12無人哨戒艇を導入しました。これはマリンタイムタクティカルシステムス社が開発したMANTAS-USV無人艇であり、アメリカの外国援助資金により導入が実現したもの。それほど大型ものもではありませんが、この種の無人艇はロシアウクライナ戦争においてウクライナ軍が駆使し大きな効果を挙げています。

 T-12-USVは全長3.6m、64kgの各種機材が搭載可能で攻撃任務は勿論、電子戦にも対応するものとされています。フィリピン海軍はこのT-12を南シナ海警備任務用に想定しているとのこと。南シナ海においては中国海軍艦艇によるフィリピン海軍艦艇への嫌がらせが常態化しており、無人艇は哨戒とともに輸送支援などにも期待されるでしょう。


 中国海軍は052D型駆逐艦の巡視船型を建造中です。052D型駆逐艦は昆明級駆逐艦としても知られ、満載排水量7500tのミサイル駆逐艦、既に25隻が建造され最終的に30隻以上が中国海軍に配備されるものと見られています。今回建造されているものは、レーダーとミサイルを撤去したもので、しかし搭載の艦砲は駆逐艦とかわりありません。

 052D型駆逐艦巡視船型は海警が装備する巡視船ですが、ミサイルの撤去とともに航空機格納庫が既存の052D型駆逐艦と比較し拡大されており、航空機とともに無人機の運用能力が強化されている可能性がでてきました。中国海警は現在、その所管が国防省となっており、各国との海洋境界線に入り込み係争地域化するなど緊張を振りまいています。


 防衛省は艦上運用可能な早期警戒機に関する検討役務を募集しています。具体的には、海外における艦艇を起点とした早期警戒機能に関する最新動向の調査を求めており、ここには無人機と有人機双方の情報を求めています。重ねて、その技術は2030年までに実現可能なものを求めており、有人機と無人機の比較検討も情報を求めているという。

 海上自衛隊のヘリコプターへ早期警戒機の機能を付与する場合と、早期警戒機機能を有する無人機を導入した場合の運用と維持整備、この点で利点と欠点を整理地、早期警戒機としての適用範囲や課題、導入への要領などを求めるとのこと。ヘリコプター早期警戒機はイギリスがAW-101にAEW装置を搭載していますが開発十五年、運用五年で退役します。


 ペルー陸軍は韓国製K-808装輪装甲車の受領を開始した。ペルー陸軍は老朽化した初期型のピラーニャ装甲車後継装備を模索しており、このためにK-808が選定されたもよう。ただ、ペルー軍がこの種の装甲車を引き渡されたことは公表されておらず、このほど、2024年末のパレード参加という形でその存在が明らかにされたかたち。

 K-808装輪装甲車は韓国が独自開発した八輪式装甲車で、車体前面の形状からポーランドのボルスク装輪装甲車などへも影響を及ばせていることがわかります。今回ペルーに引き渡されたのはRWS遠隔操作銃塔搭載型の車両と機関銃銃架搭載型の二種類が確認されています。パレードには韓国国旗とペルー国旗が掲げられ参加しました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【防衛情報】パキスタンは中国J-35戦闘機取得開始,トルコ海軍国産空母MUGEMスチールカット

2025-02-17 20:12:17 | インポート
■防衛フォーラム
毎週余分に18800文字も作成している為に忙しいのではと云われましたが今回も簡易版です。

パキスタンは中国よりJ-35戦闘機の取得を開始します。J-35戦闘機は中国が独自開発した第五世代戦闘機で、今回の輸出により中国はアメリカに続いて第二番目の、第五世代戦闘機輸出国となります。J-35戦闘機は中国版F-35戦闘機と呼ばれるもので、エンジンは双発ですがJ-35戦闘機はF-35戦闘機のデータ不正取得により開発と揶揄されるほど。

J-35戦闘機の輸出数は40機となっていて、これはテロとの戦いによりアメリカと対立が激化したことにより関係が冷え込み、F-16戦闘機の増強見通しが立たなくなったことで中国が当時の最新鋭戦闘機を輸出したことで関係が強化されていました。今回のJ-35導入でパキスタンは対立するインドが保有しない第五世代戦闘機の運用国となります。


中国海軍は新型強襲揚陸艦四川の進水式を実施しました。四川は076型強襲揚陸艦として建造が進められていたもの。なお、従来、中国海軍においては命名式は就役と同時に行われるもので有り、進水式と同時に行われるのは異例といわれています。四川は二つの艦橋と全通飛行甲板を有する航空機運用に特化した強襲揚陸艦となっています。

四川、強襲揚陸艦としての特色の一つに、この種の艦艇としては珍しくカタパルトを搭載していて、それも電磁カタパルトとなっていますが、中国海軍がこの強襲揚陸艦から空中戦能力を持つ無人機の運用能力を付与させるためのものではないかとされています。電磁カタパルトの長さが120m級で、これは空母福建のものと大きさではほぼ同じ。


ロシア軍向けT-72B3戦車とT-90M戦車の2024年納入分納入が行われたとのこと。納入された車両は全体にわたり増加装甲が装着される構造となっていて、サイドスカート部分も従来のT-72B3戦車やT-90M戦車よりも強化されています、そして外見上最大の発展は、ボールチェーンアーマーが砲塔周辺と砲塔上部を覆っていることです。

ボールチェーンアーマーはイスラエルのメルカヴァ戦車が砲塔後部部分に設置されて砲塔基部に飛び込むミサイルなどから砲塔を防護する用途にもちいられていることでしられますが、ロシア戦車のものは確実に無人機対策といえます。また上部を狙うミサイルに備えて、天井へ装甲防御が施されるなど、ウクライナでの戦訓が反映されている。


トルコ海軍は国産空母MUGEMのスチールカット式を挙行しました。MJUGEMは6万t級航空母艦を志向する、トルコ史上最大の軍艦となる計画で、これは中国海軍の空母福建をも超える巨大な航空母艦となる見通し、この背景には空母に陸上型のヒュルジェットを搭載するためには船体部分を大きくしなければならなかったためと考えられます。

MUGEMは、当面、艦首部分にスキージャンプ台を設置して戦闘を機発進させますが、そののちにトルコでは独自にカタパルトを国産開発させ、後日搭載するという変則的な運用を目指しています。トルコ海軍が空母を運用するエーゲ海や地中海では少々大型すぎる印象がありますが、クズエルマ無人機やアンカ3航空機などを搭載する見通し。


フィリピン空軍はブロンコ観測機を退役させました。ブロンコ観測機はCOIN機としてアメリカ空軍や海兵隊と西ドイツ空軍などに採用されていた航空機で、軽攻撃能力をもつとともに空挺兵6名の空輸能力や910kgまでの貨物搭載能力などをもつとされています。フィリピン軍ではゲリラ掃討のために長らく維持されてきました。

ブロンコは老朽化とともに、過去に発生したマラウィ騒擾事案などでは充分能力を発揮することができませんでしたし、また、近年増大する中国軍の脅威に対してはブロンコでは対応できるところも少なくなっていますが、言い換えればこのようなCOIN機が不要になる程度にはフィリピンの国際情勢が安定化したといえるのかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【防衛情報】新型054B型フリゲイトと076型強襲揚陸艦カタパルト艤装工事,世宗大王級イージス艦4番艦正祖大王

2025-02-11 20:01:37 | インポート
■防衛フォーラム
 今回も時間が有りませんので各国海軍話題を適当に伊勢湾展示訓練の写真と共に。

 中国海軍が建造していた新型の054B型フリゲイトが竣工したもようです。艦番号は545、上海の滬東中華廠において2023年8月に進水式を挙行していたものです。054型はNATOコードネームでは江凱型と区分されていましたが、既に大量建造された054A型と比較し大幅に大型化しており、中国近海を超えた西太平洋での行動が考慮されている。

 054B型フリゲイトは推定値で満載排水量6000tと全長147m、これは054A型フリゲイトの満載排水量4000tと全長134mを凌駕するとともに、054A型では広域防空ミサイルが搭載され、054B型でもその搭載が想定されるとともにマスト部分に新型の多機能レーダーと思われる装備が搭載されており、中国海軍の行動海域拡大が予見される装備です。


 カタール海軍の新強襲揚陸艦アルファルクが竣工しました。イタリアで建造されていましたサンジョルジョ級強襲揚陸艦の独自仕様です。もともとサンジョルジョ級強襲揚陸艦は全通飛行甲板を有するものの、基準排水量6687tと満載排水量7980tという、非常にコンパクトな設計を採用し、しかし甲板係留など一定の立体揚陸作戦能力があった。

 サンジョルジョ級強襲揚陸艦は、このコンパクトな設計から先ずアルジェリア海軍に採用され、カラートベニアッベスとして竣工しています。上部構造物が大型化しているのが特色で、このための搭載能力が強化されているのが特色ですが、カタール海軍も子の艦艇に注目しており、2023年にパレルモで進水式を迎え、建造されていたものです。


 韓国海軍は世宗大王級イージス艦4番艦正祖大王を就役させました。これは世宗大王級バッチ2の1番艦となる広域防空艦です。韓国海軍はKDX計画としてグワンゲドデワン級とチュムンゴンイスンシン級という二種類の艦艇を1990年代末から2000年代にかけ建造するとともに、艦隊防空艦を計画しこのセジョンデワン級を建造しました。

 正祖大王はバッチ2の1番艦となりますが、これにより基準排水量は7600tから8200tへと大型化しています。特色は従来のイージス艦が艦隊防空任務を想定していましたが、セジョンデワン級のバッチ2では艦対地ミサイルを搭載するべく韓国独自のKVLS-2垂直発射装置を搭載し、これが従来のVLSより大型化しVLS数は減少しています。


 中国海軍が建造する新空母福建が五度目の公試を完了しました。この五度目の公試を完了した空母の甲板にはタイヤが設置した痕跡などが上空からの写真により判明しており、艦載機の発着試験を実施した可能性があるようです。今回建造されている福建は中国海軍がこれまでに建造した航空母艦よりも大型化し、003型と位置付けられているもの。

 福建、003型航空母艦は、現在のところ建造されているのは福建のみですが、空母航空団の編成を考えた場合、従来の001型航空母艦や002型航空母艦とは大きさが異なることからローテーションを組むことが難しくなります。中国が今後どのように003型航空母艦を量産してゆくのかが、中国海軍の方越す詠を示すこととなるでしょう。


 中国海軍が建造する076型強襲揚陸艦にカタパルト艤装工事の様子が判明しました。076型強襲揚陸艦は、全通飛行甲板を有する大型艦であり、その満載排水量は50000tと、アメリカ海軍のワスプ級強襲揚陸艦を凌駕し、アメリカ級強襲揚陸艦をも上回る可能性を持つ強襲揚陸艦となっていますが、カタパルトは一つの関心事となっていた。

 中国にはアメリカのF-35B戦闘機やハリアー攻撃機などのような垂直離着陸可能という航空機を製造する技術が無く、水陸両用作戦を展開する際に航空支援などをどのように展開するかが課題と目されていましたが、今回、カタパルト艤装工事が行われたことで、無人航空機の中で戦闘能力を持つ機体が運用可能となることを示しています。

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【防衛情報】もがみ型護衛艦10番艦ながら,J-15電子戦型機J-15DH,反撃能力整備用予算2391億円計上

2025-02-10 20:14:49 | インポート
■防衛フォーラム
本日も時間が無く簡易版です。

自衛隊の反撃能力整備用予算に2391億円が計上されます。マッハ5以上のスクラムジェット方式を用いる極超音速ミサイルが現在自衛隊では反撃能力として開発中で、飛翔経路によってはマッハ5以上のミサイルが非常に迎撃困難であるとされています。まず、ミサイルそのものの生産に198億円が予算として計上されたとのこと。

ミサイルそのものの開発と製造施設整備には2391億円が含まれるとのことで、開発中のミサイルについて、試験終了とともに量産体制を組む方針とおもわれます。自衛隊は現在、反撃能力整備を大車輪で進めており、推力飛翔型と滑空型にわけて開発を実施、従来のミサイルでは迎撃システムに阻まれるという念頭で試作を急いでいます。


三菱重工は同時に12隻の護衛艦を建造可能である。これはオーストラリアへの護衛艦もがみ型輸出の比較検討を行っているALTAに対して三菱重工が提案したもの。三菱重工は現在系列の造船所を加えて3カ所の造船所を有していて、ここで一斉に建造することで12隻の同時建造能力を示したもの。もがみ型は耐用年数40年など有利な点が多い。

もがみ型護衛艦、現在、オーストラリア海軍は大型水上戦闘艦艇への集約を断念し中国海軍の数による優位に打ち勝つべく、大型艦建造枠を一部中型艦に置き換える検討をしていますが、水上戦闘艦を迅速に建造できる国は限られています。このなかで三菱重工が、長崎など造船所をフル稼働させた場合として、12隻という数字をあげたもよう。


中国海軍のJ-15電子戦型機がJ-15DHとして制式化されたもよう。J-15戦闘機はロシアの技術的延長線上にあるSu-27戦闘機リバースエンジニアリングによるコピー機となっていますが、中国海軍は空母航空団に独立した作戦能力を付与させるために、アメリカ海軍のEA-18Gグロウラー電子攻撃機のような航空機を必要としていました。

J-15DHは既に中国国内では珠海航空ショーなどで展示されている航空機です。課題は、福建をのぞく中国の航空母艦は戦隊規模が小さく大柄のJ-15戦闘機を充分搭載することが出来ていません、ここに同じ大きさのJ-15DH電子戦機を搭載した場合は空母打撃力がそがれることを意味し、中国海軍空母航空隊の編成の今後が関心事となります。


もがみ型護衛艦10番艦は護衛艦ながら。三菱重工長崎造船所において護衛艦もがみ型の10番艦が進水式と命名式を迎えました。艦名は護衛艦ながら、旧海軍の軽巡洋艦長良の艦名を継承するとともに、岐阜県を流れる長良川を由来としています。もがみ型護衛艦は2020年に最初の進水式を迎えて以来、実に4年間で10隻という比較的早い建造が行われた。

ながら、に続いて現在の護衛艦もがみ型は2隻が更に建造、FFM多機能護衛艦として建造されていましたが、海上自衛隊は今後更に大型の拡大改良型12隻を量産、FFG防空フリゲイトとして整備します。もがみ型は小型護衛艦と掃海艇を置き換える護衛艦となっていますが、中国海軍の脅威は想定以上で、FFGとして防空能力を強化するもよう。


ブラジルのエンブラエル社はC-390輸送機の哨戒機型改造計画を進めます。これは2024年12月3日にブラジル空軍との間で結んだ研究協定に基づくもの。ブラジル空軍は現在P-3哨戒機を運用していますが、段階近代化改修予算を長期にわたり省いたことで能力向上計画や維持計画が組めなくなっており、後継機の選定を迫られていました。

C-390輸送機、一応過去に日本でもP-XとC-Xとして設計を共通化させる模索はありましたが、可能な範囲において部品を共通化させるという範疇でP-1哨戒機とC-2輸送機という別々の航空機が開発されています。今回ブラジルが開発するものは対潜哨戒を重視せずISR情報監視偵察任務にあたる航空機であるとし、輸出模索も検討しているもよう。

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【防衛情報】ポルトガル海軍多機能母艦起工式とニュージーランド海軍支援艦マナワヌイ事故沈没

2025-02-04 20:22:08 | インポート
■防衛フォーラム
 今回も海軍関連の話題を時間が無いので掃海隊群の掃海艇の写真とともに。

 ポルトガル海軍多機能母艦がダーメン造船所において起工式を迎えました。多機能母艦はダーメン社が提案する大型艦のひとつで、商船などの設計を応用することで建造費や運用費用を大幅に抑えるとともに全通飛行甲板を採用して様々な任務に対応させるものとなっていて、ポルトガル海軍にとっては初の全通飛行甲板型艦艇でもあります。

 多機能母艦の建造はルーマニアのダーメン造船ガラティ工場において実施され、今回の起工式はスチールカットと竜骨設置が執り行われました。式典にはダーメン社のヤンウィムデッカー最高経営責任者、ポルトガルのヌーノメロ国防相、海軍参謀総長グーベイアエメロ提督が出席、この新型艦艇は完成すると満載排水量では9000tとなります。


 ニュージーランド海軍の支援艦マナワヌイが事故により沈没しました。事故は10月5日、サモア近海を航行中に座礁、そのまま火災を起こして転覆し沈没したもの。幸いなことに乗員85名は全員が脱出し負傷者も軽傷2名のみとのこと。海軍艦艇の座礁事故は稀に発生するものですが沈没まで至るのはあまり多い出来事ではありません。

 マナワヌイは2019年に就役したもので、満載排水量は5741t、ただ、もともとは民間の石油リグ支援等を目的として2003年にオランダで建造されたものをニュージーランド海軍は1億0300万ドルで取得したもの。ニュージーランド海軍仕様への改修はCOVID-19新型コロナウィルス感染症による社会的影響で大きく後れ、2023年9月に完了した。


 中国海軍向けに建造が進む075型強襲揚陸艦4番艦が旧滬東中華造船のドックに入渠したとのこと。4番艦は2023年12月14日に進水式を迎えていて、2025年には竣工するものとみられています、滬東中華造船は新しく造船施設を構築していて、今回4番艦は進水式を経て旧施設の方で艤装工事を進めているものとなります。

 075型強襲揚陸艦は全通飛行甲板を有する中国海軍初の強襲揚陸艦で、満載排水量40000t、全長232m、艦載機としてヘリコプター30機を搭載可能、このほか726A型エアクッション揚陸艇2隻を搭載、兵員1600名を輸送できる能力を持ち、この両用作戦能力はアフリカ地域など中国本土から遠く離れた地域への戦力投射能力確保の表れでしょう。


 中国海軍向けに建造が進む076型強襲揚陸艦1番艦の建造状況について。滬東中華造船所で建造が進んでいる新型揚陸艦は二つの艦橋構造物を配置するツインアイランド構造を採用していますが、これに併せて全通飛行甲板には電磁カタパルトが整備されているものとみられ、UCAV無人戦闘航空機が運用可能とみられているものです。

 076型強襲揚陸艦1番艦の建造状況は9月末までに二つの艦橋構造物が建造を完了、また、同じ造船所ではフリゲイト2隻の建造が進んでいる様子なども確認されています。艦橋構造物はマストなどを艤装工事中、10月に入り車両ランプ部分とエレベーター部分の艤装が開始されたとのこと。076型強襲揚陸艦は5万t近い大型艦となるもよう。


 アメリカ海兵隊は沖縄県の那覇軍港にALPV無人艇の試験展開を開始しました。ALPVとは自律型低姿勢船の略称、物資や弾薬などを無人で輸送する装備です。RBC琉球放送によれば、アメリカ海兵隊広報はこの装備を“物資や弾薬の移送は依然として課題で、海兵隊を次世代の戦闘へ導く”として沖縄前方展開の意義を強調しました。

 ALPV無人艇とは、アメリカ海兵隊が今後重視する島嶼部での戦闘に際し、孤立した島嶼部への弾薬や食料に燃料などの補給をどのように行うかという問題へ、メキシコ湾でアメリカ当局を悩ましている麻薬密輸船の方式を応用することとしたもの。半没式潜水艇に物資を搭載するもので、MLR海兵沿岸連隊の重要な補給手段となるものです。

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【防衛情報】オランダ海軍MO多機能支援艦計画とギリシャ海軍フリゲイトネアルコス進水式,アイルランド軍アイルランド沖対潜警戒強化

2025-02-03 20:11:53 | インポート
■防衛フォーラム
 今回は海軍関連の話題を集めました、欧州ではハイブリッド戦争というべき平時における海底通信ケーブルを狙う攻撃が起こる仲での最新情報です。

 オランダ海軍は新型のMO多機能支援艦計画を発表しました。MO多機能支援艦は2隻建造される計画で、TRIFIC 急速増強火力として2022年に計画されたものをMultifunctionele ondersteuningsvaartuigenという方式で具現化したものが今回の計画で、オランダ海軍は極めて少ない乗員と費用により第一線火力を付与させるのが狙い。

 MO多機能支援艦は、具体的には数名で操船できる外洋型曳船の後部に兵装モジュールを搭載、フリゲイトなどが有事の際に大量消費するミサイルなどをコンテナ式発射装置に搭載し、対艦ミサイルや対空ミサイル6発装填コンテナであれば4基、必要であれば物資輸送などにも対応するというもの。現代海洋戦闘では弾薬大量消費が課題となっている。


 イタリア海軍次世代OPV外洋哨戒艦起工式がフィンカンティエリ社のリヴァトリゴゾ造船所において挙行されました。これはイタリア海軍が4隻を建造し必要に応じ更に2隻を追加建造する哨戒艦建造計画で、フィンカンティエリ社とレオナルド社の特定合弁会社であるオリゾンテシステミナヴァリ社が12億ユーロで建造する計画です。

 次世代OPV外洋哨戒艦は全長95m、満載排水量2400tで、フィンカンティエリネクステック社とレオナルド社が新しく開発した統合海軍操舵区画を搭載した最初の艦艇となるもの。乗員は最大97名を計画していますが、統合海軍操舵区画は操艦から一部戦闘任務までを2名の操舵者と副操舵者により対応させる、高度に自動化された艦となります。


 海上自衛隊向け新潜水艦ちょうげい進水式が10月4日に三菱重工業神戸造船所にて挙行されました。ちょうげい、たいげい型潜水艦の5番艦となっていまして、艦名としては旧海軍の迅鯨型潜水母艦2番艦長鯨の名を継ぐ艦となります。令和3年度計画3000トン型潜水艦8132号艦として684億円で建造が決定、2022年に起工式を迎えていました。

 たいげい型潜水艦は水中排水量4400tの通常動力潜水艦としては大型の潜水艦であり、前型に当たる潜水艦そうりゅう型がスターリング機関を搭載したAIP潜水艦であったのに対し、リチウムイオン電池を大胆に採用した潜水艦となっています。ちょうげい、今後艤装工事を進めるとともに2026年3月に竣工する計画となっています。


 アイルランド軍はアイルランド沖対潜警戒強化などに13億5000万ユーロを投入します。イギリス本土に隣接し、まず軍事脅威はないとされたアイルランド海軍は主任務として水産資源保護と漁業監視や密輸監視任務を挙げています、しかし2022年のロシアウクライナ戦争勃発以降、アイルランド沖にロシア潜水艦進出が度々確認されている。

 アイルランドは中立政策を掲げるものの、中立政策とは第三国に海洋を悪用させない中立国としての義務も履行しなければならず、同時にアイルランドの防衛脆弱性がイギリスの安全保障上の脆弱店としてロシア潜水艦の行動が強化されている可能性も指摘され、アイルランド海軍は水産資源保護に加え、対潜哨戒をその任務に加えようとしています。


 ギリシャ海軍向けフリゲイトネアルコスが進水式を迎えました。ネアルコスはフランスのナーバルグループのロリアン造船所において建造されていたもので、フランス海軍が自国向けに建造するアミラルロナルク級フリゲイトの拡大改良型となっています。艦首形状が独特の凌波形状を採用している点が特色で、識別点となっている。

 ネアルコスの満載排水量は4500t、76mm艦砲とエクゾセMM40-B3Cミサイルとアスター艦対空ミサイル、MU-90対潜魚雷を搭載するとともにヘリコプターの運用能力も付与されています。ネアルコスは多機能フリゲイトとしても設計されており、特殊部隊員収容区画を持つほか、艤装工事に際してPSIMインテリジェンスモジュールも搭載します。

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【防衛情報】フランス海軍ラファール戦闘機運用開始20周年記念行事と防衛装備庁新型12SSM-ER発射実験

2025-01-28 20:00:37 | インポート
■防衛フォーラム
 本日は陸海空の話題を。

 フランス海軍はラファール戦闘機運用開始20周年記念行事を挙行しました。海軍はラファールM戦闘機を空母艦載機として42機運用しており、ランディヴィジオー海軍航空基地の第11飛行隊、第12飛行隊、第17飛行隊へ配備していうます。今考えれば驚くべき事ですが、ラファールの前にはアメリカ製F-8クルセイダー戦闘機を運用していた。

 ラファールが海軍航空隊へ評価試験用に配備されたのは2000年12月、2機のラファールMが評価試験を受けています。フランス海軍は1961年から空母クレマンソー、空母フォッシュを運用していますが、空母艦載機としてフランス製シュペルエタンダール攻撃機を運用していたものの、制空戦闘機としては独自開発を断念しF-8戦闘機を採用しています。

 F-8クルセイダー戦闘機が採用されたのは、エセックス級空母での運用を念頭として小型の機体であったことが背景にありますが、中射程空対空ミサイル運用能力を欠くなど第二世代戦闘機の水準であることは否めず、第4.5世代戦闘機のラファールが配備されたことでフランス空母艦載機部隊の能力は一気に世界第一線級となったわけです。


 ウクライナ軍はホルンジー装甲車の受領を開始しました。ホルンジー装甲車は旧ソ連製BTR-60装輪装甲車を大幅に改造した装甲車ではあるのですが、ほぼ別物といって差し支えないほどの広い改良が為されています。その主眼は防御力の抜本的な強化と戦闘能力の強化で、まずガソリンエンジンを330hpディーゼルエンジンに換装しています。

 BTR-60は車体後部にエンジンを配置しているために兵員は車体正面と側面の点検用と間違えるほどの小さなハッチから乗降しますが、ホルンジー装甲車はフィンランドから導入した箱形防弾鋼板により側面扉を廃止するとともに、装甲防御力を大幅強化しています。ただ、重量増大により最高速度は80km/h程度に妥協されているもよう。


 オーストラリア軍は最新のM-1A2-SEP-V3戦車配備を開始しました。これは陳腐化したM-1A1戦車の置き換えを図るProject Land 907として進められているもので、エイブラムスシリーズを継続して運用することとなったかたち。最初の車両は11月に納入されていますが、第一線部隊へ配備、最終的に2025年内に受領を完了するとされています。

 M-1エイブラムスシリーズの導入と共に、オーストラリア軍では従来の旅団単位で戦車隊を置き広範に薄く配備する体制から一つの騎兵連隊に戦車運用を集約するという改編を実施しており、今回導入されるM-1A2-SEP-V3戦車についてもオーストラリア陸軍第二騎兵連隊に集中配備される事となっています。なお、戦車数は増強されるとの事でした。


 防衛装備庁は新型の12SSM-ER発射実験を実施しました。12式地対艦誘導弾射程延伸型は、岸田政権時代の反撃能力整備における迅速な装備計画の先鋒として進められていたもので、時間を要する極超音速滑空弾に先行して、三菱重工に現在の12式地対艦誘導弾と最大限共通化させることにより、装備開発の速度を大幅にはやめたものという。

 12SSM-ERの特筆される点は、射程が従来の12SSMの200㎞程度であったところから1000km以上に大幅に延伸されており、このために発射器の形状も大きく変化しています。実験は防衛装備庁の新島試験場において実施、地対艦型とともに艦対艦型も発射実験が行われており、わが国の防衛力整備が大きな転換点を迎えた、象徴といえるもの。


 フランス海軍はAUV超深海無人艇を導入します。これはフランス国防調達庁が深海調査艇の開発で実績あるエグザイル社との間で開発契約を結んだもので、フランスが進める2030国防計画の一環で。広大な海洋を広く排他的経済水域に収めるフランスの海底安全保障が海洋国家としての主権と不可分であるという認識が背景にあるという。

 AUV超深海無人艇は最大6000mまでの深海での監視任務にあたるもので、自律航行を想定、また必要に応じて深海での脅威に対応するROV遠隔操作水中機の導入も併せて計画しています。エグザイル社は既に40年にわたる6000m級深海調査艇の開発実績があり、同社の開発したA-6K-MをもとにAUV超深海無人艇を開発する見込み。

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【防衛情報】FAMOUS将来型高機動性増強装甲システムとオランダ国防省廃止戦車の58両再調達

2025-01-27 20:05:12 | インポート
■防衛フォーラム
 今週も陸軍関連の話題ですが戦車復権の流れというものをわが国はどう見守るべきなのでしょうか。

 オランダ国防省は廃止していた戦車の58両調達を実施します。オランダ軍は冷戦時代にはレオパルト2戦車を中心とした1000両単位の戦車を保有していましたが、冷戦後の情勢変化により全廃していました。陸軍も第11空中機動旅団と第43機械化歩兵旅団のみ、ただ冷戦時代の安価な装甲車に代え、歩兵支援能力の高いCV-90装甲戦闘車を導入した。

 レオパルト2A8戦車、オランダ軍が導入する戦車はレオパルト2戦車の最新型となる見込みで、これはロシアウクライナ戦争開戦後、欧州安全保障情勢の抜本変化にともない、とりあえず8両から14両、一個中隊を再編し、ドイツ軍と共同運用を行う構想としていましたが、今回、58両という独自の戦車大隊を編成できる規模の戦車部隊を編成するもよう。

 第43機械化歩兵旅団はドイツ連邦軍とともに国際師団を編成していて、ここにはドイツ連邦軍の装甲車両なども配備されています。暫定的にここにドイツ連邦軍の戦車中隊を配置して旅団の機動打撃力を確保するという運用も検討されていたようですが、防衛力強化の一環としてオランダ軍は自国旅団には自前の戦車を配備する方針に切り替えました。
■防衛フォーラム
 HIMARSの生産が間に合っていない状況を見ると自衛隊のMLRSを廃棄した後解体してしまったのが惜しく思えてきて。

 オーストラリアのロッキードマーティンオーストラリア社はGMLRSロケット弾増産を進めるべく、タレスオーストラリア社との間でSRM固体ロケットモーター部分の共同生産契約を結びました。共同生産契約は先ず、固体ロケットモーター部分からですが将来的にはGWEO誘導兵器部門全般へ提携しロケット弾生産を強化する狙い。

 GWEO誘導兵器部門のロッキードマーティンオーストラリア社とタレスオーストラリア社との提携は、オーストラリア軍が導入するHIMARS高機動ロケットシステム弾薬であるGMLRS精密誘導ロケット弾生産を円滑に行うとともに、オーストラリア国内の防衛産業をグローバルなサプライチェーンへ参画させることも大きな狙いとされています。

 HIMARS高機動ロケットシステムを筆頭にMLRS多連装ロケットシステムから運用されるGMLRS精密誘導ロケット弾はロシアウクライナ戦争で大きな戦果を挙げるとともに半年間で6500発を射撃したことでも有名となりました。射程不足が認識されたGMLRSは同じ弾薬系統である射程の長いATACMSの実戦投入により再評価されています。
■防衛フォーラム
 どの程度強化されたのかが関心事です。

 T-90主力戦車は増加装甲により戦闘重量が51tまで増大している、ウクライナ戦況報告などによればロシア軍の主力戦車であるT-90戦車はもともとの戦闘重量が46.5tであるものの、T-90戦車そのものがT-72戦車を大幅に改良するとともに1991年湾岸戦争の大打撃を受け、国際市場での汚名返上を期して名称を変えたものとなっています。

 51tに重量が増大した背景は各種防御強化で、T-90戦車はロシアウクライナ戦争緒戦の段階でスウェーデン製カールグスタフ84mm無反動砲に撃破された事例さえあるほど、脆弱な部分がありました。このため5tちかい重量の防御力強化がなされていますが、更に無人機対策として合掌造りのような住宅状の追加装甲を被せる改修も一部為されています。
■防衛フォーラム
 自衛隊は未だその前の段階ですからねえ先ずは通常のAPCを普通科部隊に全面的に普及させなければ。

 フィンランドのパトリア社はFAMOUS将来型高機動性増強装甲システム実証車を開発しました。これはノルウェーのスンドヴォルデンにてNDIS北欧防衛協力装備展として9月17日から二日間にわたり実施される装備展にコンセプトモデルを展示するもの。FAMOUS将来型高機動性増強装甲システムはNATOの次世代装甲車を目指す。

 FAMOUS将来型高機動性増強装甲システムが目指すのは北欧地域などで広範に使用されているBv-206全地形車両など連接式全地形車両の後継車両を目指すもので、具体的には費用対効果を重視し安価な装備を期しています。パトリア社は運転台型キャビンを有する装軌式車両を展示する方針で、ユーロサトリ2024に出展されたものの改良型です。

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【防衛情報】三菱重工無人水陸両用車とK-239長射程型,ジェネラルダイナミクスオーディナンスアントタクティカルシステムズとハイサル中距離地対空ミサイル

2025-01-20 20:12:29 | インポート
■防衛フォーラム
 この種のミサイルは日本が1980年代に独自開発した時代は相当な苦労を強いられましたが40年を経て各国の開発技術が追い付いてきています。

 トルコ陸軍はハイサル中距離地対空ミサイル発射試験を成功させました。ハイサルOはトルコの防衛企業アセルサン社が開発する新型地対空ミサイルで、この開発はトルコ国防省が進める国土防空計画スチールドーム計画の重要な技術開発として位置づけられています。既に近距離防空型のハイサルAが開発、技術的にはその発展型です。

 地対空ミサイルの国産化は、トルコにとり過去の苦い経験があります、それはアメリカがトランプ政権時代にF-35戦闘機開発国としてその導入計画を立てていた際、同時に地対空ミサイルとしてロシアから射程の長いS-400地対空ミサイルを導入、これがデータリンクの際に防空情報が漏洩するとアメリカがF-35引き渡しを拒否する事となった。

 F-35戦闘機引き渡し拒否はバイデン政権時代に入っても堅持され、トルコは正式にJSF計画からの除名が決定しました。ハイサルA地対空ミサイルは射程10km、そして今回開発されたハイサルOは射程40kmのもので、トルコ国防省は射程を更に延伸させたハイサルUも開発を進め、地対空ミサイルのロシア製依存から脱却するかまえという。
■120mm戦車砲弾
 ガザ戦争は本日正式に停戦が発効しました。

 イスラエル政府は戦車用弾薬をアメリカから調達します。これはジェネラルダイナミクスオーディナンスアントタクティカルシステムズ社に要請していた戦車用120mm砲弾の有償供与がアメリカ国務省により認可されたことを示し、120mm戦車砲弾32739発を7億7410万ドルで調達するとのこと。砲弾は2027年から納入が予定されています。

 120mm戦車砲弾はイスラエルガザ戦争において大量に射耗しているものですが、同時にイスラエルガザ戦争において既に非戦闘員を含む4万5000名もの死者が人口200万名というガザ地区において発生しており、人口の2%以上が死亡している状況、この中で戦車砲弾の用途を考えると、その有償供与には連邦議会からも反発の声が上がっています。
■K-239長射程型
 MLRSやHIMARSの生産が間に合わないため各国の高機動ロケット砲はイスラエル製と韓国製が市場を制しつつあります。

 韓国政府は中東から要請されているK-239ロケットシステム長射程型供与に応じると発表しました。K-239ロケットシステムはもともと一般的な130mmロケット弾などを発射するトラック型ロケット砲として開発されていますが、様々な弾薬に対応するとしており、最も射程の長いものは300kmの巡航ミサイルを投射することが可能となっています。

 K-239の長射程型を要請している国について韓国政府は中東の某国、としているだけで具体的な国名は発表していませんが、K-239は中東ではサウジアラビアとアラブ首長国連邦の二カ国が採用しているため、このどちらかもしくは両方であると推測されます。今回韓国政府は300km型よりも射程の長い500km型を開発し供与する方針を示しました。
■三菱重工無人水陸両用車
 アメリカのACVに関する情報を丹念に見ていますと浮航能力を持つパトリアAMVを原型とした高速型を開発してもいいように思えてきますね。

 三菱重工は無人水陸両用車に関する契約を防衛装備庁と結びました。これは7月11日に成約したもので、契約規模は205億9200万円となっています。無人水陸両用車は既存装備として開発が進められている国産水陸両用装甲車両の車体を応用したもので、珊瑚礁などあらゆる地形障害を克服し島嶼部における無人運用を可能とする車両を目指す。

 無人水陸両用車は、説明では補給物資などを港湾が使用できない島嶼部に送るものとされていますが、同時に水陸両用作戦では上陸第一波は威力偵察と位置づけられ、膨大な犠牲を容認して海岸の防御陣地など敵情を解明する厳しい任務が付与されます。しかし自衛隊に水陸機動団は一個があるのみで、簡単に犠牲を容認できない状況もあるのです。

 水陸両用作戦において無人水陸両用車は、RWS遠隔操作銃塔や各種監視センサーなどを搭載し、上陸正面において複数の車両を参加した無人偵察を実施する、こうした運用が考えられます。防衛省では無人アセット構築として、陸海空自衛隊の無人装備を一気に増強する防衛力整備を実施中で、この装備もその一環として開発されているのでしょう。

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