北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】フランス海軍ラファール戦闘機運用開始20周年記念行事と防衛装備庁新型12SSM-ER発射実験

2025-01-28 20:00:37 | インポート
■防衛フォーラム
 本日は陸海空の話題を。

 フランス海軍はラファール戦闘機運用開始20周年記念行事を挙行しました。海軍はラファールM戦闘機を空母艦載機として42機運用しており、ランディヴィジオー海軍航空基地の第11飛行隊、第12飛行隊、第17飛行隊へ配備していうます。今考えれば驚くべき事ですが、ラファールの前にはアメリカ製F-8クルセイダー戦闘機を運用していた。

 ラファールが海軍航空隊へ評価試験用に配備されたのは2000年12月、2機のラファールMが評価試験を受けています。フランス海軍は1961年から空母クレマンソー、空母フォッシュを運用していますが、空母艦載機としてフランス製シュペルエタンダール攻撃機を運用していたものの、制空戦闘機としては独自開発を断念しF-8戦闘機を採用しています。

 F-8クルセイダー戦闘機が採用されたのは、エセックス級空母での運用を念頭として小型の機体であったことが背景にありますが、中射程空対空ミサイル運用能力を欠くなど第二世代戦闘機の水準であることは否めず、第4.5世代戦闘機のラファールが配備されたことでフランス空母艦載機部隊の能力は一気に世界第一線級となったわけです。


 ウクライナ軍はホルンジー装甲車の受領を開始しました。ホルンジー装甲車は旧ソ連製BTR-60装輪装甲車を大幅に改造した装甲車ではあるのですが、ほぼ別物といって差し支えないほどの広い改良が為されています。その主眼は防御力の抜本的な強化と戦闘能力の強化で、まずガソリンエンジンを330hpディーゼルエンジンに換装しています。

 BTR-60は車体後部にエンジンを配置しているために兵員は車体正面と側面の点検用と間違えるほどの小さなハッチから乗降しますが、ホルンジー装甲車はフィンランドから導入した箱形防弾鋼板により側面扉を廃止するとともに、装甲防御力を大幅強化しています。ただ、重量増大により最高速度は80km/h程度に妥協されているもよう。


 オーストラリア軍は最新のM-1A2-SEP-V3戦車配備を開始しました。これは陳腐化したM-1A1戦車の置き換えを図るProject Land 907として進められているもので、エイブラムスシリーズを継続して運用することとなったかたち。最初の車両は11月に納入されていますが、第一線部隊へ配備、最終的に2025年内に受領を完了するとされています。

 M-1エイブラムスシリーズの導入と共に、オーストラリア軍では従来の旅団単位で戦車隊を置き広範に薄く配備する体制から一つの騎兵連隊に戦車運用を集約するという改編を実施しており、今回導入されるM-1A2-SEP-V3戦車についてもオーストラリア陸軍第二騎兵連隊に集中配備される事となっています。なお、戦車数は増強されるとの事でした。


 防衛装備庁は新型の12SSM-ER発射実験を実施しました。12式地対艦誘導弾射程延伸型は、岸田政権時代の反撃能力整備における迅速な装備計画の先鋒として進められていたもので、時間を要する極超音速滑空弾に先行して、三菱重工に現在の12式地対艦誘導弾と最大限共通化させることにより、装備開発の速度を大幅にはやめたものという。

 12SSM-ERの特筆される点は、射程が従来の12SSMの200㎞程度であったところから1000km以上に大幅に延伸されており、このために発射器の形状も大きく変化しています。実験は防衛装備庁の新島試験場において実施、地対艦型とともに艦対艦型も発射実験が行われており、わが国の防衛力整備が大きな転換点を迎えた、象徴といえるもの。


 フランス海軍はAUV超深海無人艇を導入します。これはフランス国防調達庁が深海調査艇の開発で実績あるエグザイル社との間で開発契約を結んだもので、フランスが進める2030国防計画の一環で。広大な海洋を広く排他的経済水域に収めるフランスの海底安全保障が海洋国家としての主権と不可分であるという認識が背景にあるという。

 AUV超深海無人艇は最大6000mまでの深海での監視任務にあたるもので、自律航行を想定、また必要に応じて深海での脅威に対応するROV遠隔操作水中機の導入も併せて計画しています。エグザイル社は既に40年にわたる6000m級深海調査艇の開発実績があり、同社の開発したA-6K-MをもとにAUV超深海無人艇を開発する見込み。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【防衛情報】FAMOUS将来型高機動性増強装甲システムとオランダ国防省廃止戦車の58両再調達

2025-01-27 20:05:12 | インポート
■防衛フォーラム
 今週も陸軍関連の話題ですが戦車復権の流れというものをわが国はどう見守るべきなのでしょうか。

 オランダ国防省は廃止していた戦車の58両調達を実施します。オランダ軍は冷戦時代にはレオパルト2戦車を中心とした1000両単位の戦車を保有していましたが、冷戦後の情勢変化により全廃していました。陸軍も第11空中機動旅団と第43機械化歩兵旅団のみ、ただ冷戦時代の安価な装甲車に代え、歩兵支援能力の高いCV-90装甲戦闘車を導入した。

 レオパルト2A8戦車、オランダ軍が導入する戦車はレオパルト2戦車の最新型となる見込みで、これはロシアウクライナ戦争開戦後、欧州安全保障情勢の抜本変化にともない、とりあえず8両から14両、一個中隊を再編し、ドイツ軍と共同運用を行う構想としていましたが、今回、58両という独自の戦車大隊を編成できる規模の戦車部隊を編成するもよう。

 第43機械化歩兵旅団はドイツ連邦軍とともに国際師団を編成していて、ここにはドイツ連邦軍の装甲車両なども配備されています。暫定的にここにドイツ連邦軍の戦車中隊を配置して旅団の機動打撃力を確保するという運用も検討されていたようですが、防衛力強化の一環としてオランダ軍は自国旅団には自前の戦車を配備する方針に切り替えました。
■防衛フォーラム
 HIMARSの生産が間に合っていない状況を見ると自衛隊のMLRSを廃棄した後解体してしまったのが惜しく思えてきて。

 オーストラリアのロッキードマーティンオーストラリア社はGMLRSロケット弾増産を進めるべく、タレスオーストラリア社との間でSRM固体ロケットモーター部分の共同生産契約を結びました。共同生産契約は先ず、固体ロケットモーター部分からですが将来的にはGWEO誘導兵器部門全般へ提携しロケット弾生産を強化する狙い。

 GWEO誘導兵器部門のロッキードマーティンオーストラリア社とタレスオーストラリア社との提携は、オーストラリア軍が導入するHIMARS高機動ロケットシステム弾薬であるGMLRS精密誘導ロケット弾生産を円滑に行うとともに、オーストラリア国内の防衛産業をグローバルなサプライチェーンへ参画させることも大きな狙いとされています。

 HIMARS高機動ロケットシステムを筆頭にMLRS多連装ロケットシステムから運用されるGMLRS精密誘導ロケット弾はロシアウクライナ戦争で大きな戦果を挙げるとともに半年間で6500発を射撃したことでも有名となりました。射程不足が認識されたGMLRSは同じ弾薬系統である射程の長いATACMSの実戦投入により再評価されています。
■防衛フォーラム
 どの程度強化されたのかが関心事です。

 T-90主力戦車は増加装甲により戦闘重量が51tまで増大している、ウクライナ戦況報告などによればロシア軍の主力戦車であるT-90戦車はもともとの戦闘重量が46.5tであるものの、T-90戦車そのものがT-72戦車を大幅に改良するとともに1991年湾岸戦争の大打撃を受け、国際市場での汚名返上を期して名称を変えたものとなっています。

 51tに重量が増大した背景は各種防御強化で、T-90戦車はロシアウクライナ戦争緒戦の段階でスウェーデン製カールグスタフ84mm無反動砲に撃破された事例さえあるほど、脆弱な部分がありました。このため5tちかい重量の防御力強化がなされていますが、更に無人機対策として合掌造りのような住宅状の追加装甲を被せる改修も一部為されています。
■防衛フォーラム
 自衛隊は未だその前の段階ですからねえ先ずは通常のAPCを普通科部隊に全面的に普及させなければ。

 フィンランドのパトリア社はFAMOUS将来型高機動性増強装甲システム実証車を開発しました。これはノルウェーのスンドヴォルデンにてNDIS北欧防衛協力装備展として9月17日から二日間にわたり実施される装備展にコンセプトモデルを展示するもの。FAMOUS将来型高機動性増強装甲システムはNATOの次世代装甲車を目指す。

 FAMOUS将来型高機動性増強装甲システムが目指すのは北欧地域などで広範に使用されているBv-206全地形車両など連接式全地形車両の後継車両を目指すもので、具体的には費用対効果を重視し安価な装備を期しています。パトリア社は運転台型キャビンを有する装軌式車両を展示する方針で、ユーロサトリ2024に出展されたものの改良型です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【防衛情報】三菱重工無人水陸両用車とK-239長射程型,ジェネラルダイナミクスオーディナンスアントタクティカルシステムズとハイサル中距離地対空ミサイル

2025-01-20 20:12:29 | インポート
■防衛フォーラム
 この種のミサイルは日本が1980年代に独自開発した時代は相当な苦労を強いられましたが40年を経て各国の開発技術が追い付いてきています。

 トルコ陸軍はハイサル中距離地対空ミサイル発射試験を成功させました。ハイサルOはトルコの防衛企業アセルサン社が開発する新型地対空ミサイルで、この開発はトルコ国防省が進める国土防空計画スチールドーム計画の重要な技術開発として位置づけられています。既に近距離防空型のハイサルAが開発、技術的にはその発展型です。

 地対空ミサイルの国産化は、トルコにとり過去の苦い経験があります、それはアメリカがトランプ政権時代にF-35戦闘機開発国としてその導入計画を立てていた際、同時に地対空ミサイルとしてロシアから射程の長いS-400地対空ミサイルを導入、これがデータリンクの際に防空情報が漏洩するとアメリカがF-35引き渡しを拒否する事となった。

 F-35戦闘機引き渡し拒否はバイデン政権時代に入っても堅持され、トルコは正式にJSF計画からの除名が決定しました。ハイサルA地対空ミサイルは射程10km、そして今回開発されたハイサルOは射程40kmのもので、トルコ国防省は射程を更に延伸させたハイサルUも開発を進め、地対空ミサイルのロシア製依存から脱却するかまえという。
■120mm戦車砲弾
 ガザ戦争は本日正式に停戦が発効しました。

 イスラエル政府は戦車用弾薬をアメリカから調達します。これはジェネラルダイナミクスオーディナンスアントタクティカルシステムズ社に要請していた戦車用120mm砲弾の有償供与がアメリカ国務省により認可されたことを示し、120mm戦車砲弾32739発を7億7410万ドルで調達するとのこと。砲弾は2027年から納入が予定されています。

 120mm戦車砲弾はイスラエルガザ戦争において大量に射耗しているものですが、同時にイスラエルガザ戦争において既に非戦闘員を含む4万5000名もの死者が人口200万名というガザ地区において発生しており、人口の2%以上が死亡している状況、この中で戦車砲弾の用途を考えると、その有償供与には連邦議会からも反発の声が上がっています。
■K-239長射程型
 MLRSやHIMARSの生産が間に合わないため各国の高機動ロケット砲はイスラエル製と韓国製が市場を制しつつあります。

 韓国政府は中東から要請されているK-239ロケットシステム長射程型供与に応じると発表しました。K-239ロケットシステムはもともと一般的な130mmロケット弾などを発射するトラック型ロケット砲として開発されていますが、様々な弾薬に対応するとしており、最も射程の長いものは300kmの巡航ミサイルを投射することが可能となっています。

 K-239の長射程型を要請している国について韓国政府は中東の某国、としているだけで具体的な国名は発表していませんが、K-239は中東ではサウジアラビアとアラブ首長国連邦の二カ国が採用しているため、このどちらかもしくは両方であると推測されます。今回韓国政府は300km型よりも射程の長い500km型を開発し供与する方針を示しました。
■三菱重工無人水陸両用車
 アメリカのACVに関する情報を丹念に見ていますと浮航能力を持つパトリアAMVを原型とした高速型を開発してもいいように思えてきますね。

 三菱重工は無人水陸両用車に関する契約を防衛装備庁と結びました。これは7月11日に成約したもので、契約規模は205億9200万円となっています。無人水陸両用車は既存装備として開発が進められている国産水陸両用装甲車両の車体を応用したもので、珊瑚礁などあらゆる地形障害を克服し島嶼部における無人運用を可能とする車両を目指す。

 無人水陸両用車は、説明では補給物資などを港湾が使用できない島嶼部に送るものとされていますが、同時に水陸両用作戦では上陸第一波は威力偵察と位置づけられ、膨大な犠牲を容認して海岸の防御陣地など敵情を解明する厳しい任務が付与されます。しかし自衛隊に水陸機動団は一個があるのみで、簡単に犠牲を容認できない状況もあるのです。

 水陸両用作戦において無人水陸両用車は、RWS遠隔操作銃塔や各種監視センサーなどを搭載し、上陸正面において複数の車両を参加した無人偵察を実施する、こうした運用が考えられます。防衛省では無人アセット構築として、陸海空自衛隊の無人装備を一気に増強する防衛力整備を実施中で、この装備もその一環として開発されているのでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【防衛情報】南鳥島地対艦ミサイル射撃場整備とポーランド軍AH-64Eアパッチ戦闘ヘリコプター96機,ノルウェーHIMARS高機動ロケットシステム導入

2025-01-14 20:11:22 | インポート
■防衛フォーラム
 本日は陸軍関連の話題です。

 防衛省は南鳥島へ地対艦ミサイル射撃場を整備する事を発表しました。再来年には運用開始を目指します。陸上自衛隊は88式地対艦誘導弾や12式地対艦誘導弾システムを装備していますが、射程が大きく日本国内では発射場を確保できていません。部分的には既に小笠原諸島に試験場はありますが、実戦部隊での射撃訓練は実施できない状況でした。

 南鳥島に射撃場を置くのは12式地対艦誘導弾システムの運用を目指しているといい、これは政府の反撃能力整備方針を受け近く射程を1000kmに延伸する計画があり、これらの試験なども想定されているとのこと。日本国内の試験場において開発を自己完結できるとともに、近年小笠原近海で行動を強化する中国艦船への抑止効果も期待できるでしょう。


 ノルウェー国防省はHIMARS高機動ロケットシステム導入を計画中です。アメリカ国家安全保障協力局によれば、ノルウェー政府はロッキードマーティン社製M-142-HIMARSに関する公式の調査及び導入打診を行っているということで、今回検討しているのはHIMARSを16両、そしてGMLRSなど関連弾薬や関連機材などとのこと。

 HIMARS高機動ロケットシステム16両とともに、GPS誘導方式のGMLRSポッド15基、そしてM-57-ATACMS陸軍戦術ミサイルシステム100発の導入を想定しているとのことで、射程70㎞のGMLRSよりもポッドとしては射程の大きなATACMSを想定している事がわかります。仮に導入の場合、契約規模は5億8000万ドル規模になるもよう。


 アメリカ陸軍は2025年より超高速砲弾の評価試験を開始するとのこと。これはアメリカ宇宙ミサイル防衛シンポジウムにおいて陸軍準則能力重要技術局のロバートラッシュ中将が発表した将来砲兵システム研究の一環で、主として従来ミサイルが用いられた目標への攻撃へ野砲を用いることでコストを大幅に削減する事が狙い。

 フォートシル陸軍火力センターが中心となって行われる評価試験ではM-777榴弾砲を用い、155mm砲弾規格の超高速砲弾の評価試験を行うという。具体的には超高速砲弾を用いた場合、腔圧を筆頭に砲弾にかかる物理的な圧力と、これに耐える改良の必要有無を含めて検証するという。またこれは将来の自動装填装置研究にも活かされるという。


 ポーランド軍はAH-64Eアパッチ戦闘ヘリコプター96機を取得します。8月13日、ポーランドのヴワディスワフカミシュ副首相兼国防相はアメリカ国防総省とボーイング社との調達契約調印式に臨み、ポーランド軍が配備するアパッチガーディアンの保有数はアメリカ軍に続き世界第二位の規模となる、とその導入の意義を強調しています。

 AH-64E戦闘ヘリコプター96機の取得費用は100億ドルとなっていて、併せてAGM-114R2ヘルファイア対戦車ミサイル1844発、AGM-179A空対地ミサイル460発、スティンガー空対空ミサイル508発を導入、ポーランド軍はこれにより旧式化したソ連製Mi-24ハインド攻撃ヘリコプターとMi-2多用途ヘリコプターを置き換える構想です。

 ポーランド軍は2022年のロシアウクライナ戦争開戦以来、パニックのような防衛力近代化を進めており、戦車や火砲とロケット砲に戦闘機などを一気に更新、既に国防費のGDP比は5%を超えており、これら装備の更新時期に憂慮が浮かぶ一方、NATO加盟国としてNATOではアメリカとトルコに並ぶ戦闘ヘリコプターと戦車保有国となるもよう。

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【防衛情報】航空自衛隊次期練習機T-6テキサンⅡ選定,韓国開発KF-21戦闘機ミーティアミサイル搭載試験成功

2025-01-13 20:22:56 | インポート
■防衛フォーラム
 今回は空軍関連について。

 航空自衛隊の次期練習機にT-6テキサンⅡが選定されました。T-6テキサンⅡ練習機の配備は2030年より開始するとのこと。その取得費用は1機あたり12億円とされています。そもそもこの練習機選定を左右したのは評価書によればコストが影響したとのことで、スバルとピタラスが提示した試案では大半の点で有利とされていましたが。

 スバルとピタラスが提示した試案では機体性能及び地上教育関連機材とメーカー支援において高い評価があったものの、コスト項目響いたとのこと。コスト面ではテキストロンアヴィエーションでは3Dゴーグルを用いた簡易地上教育機材としてシミュレータを開発しており、運用費用の低さを強調しています。

 ただ、このT-6テキサンⅡについてはエンジン出力が非常に大きく、一部の国では高等練習機として運用されている航空機です。航空自衛隊で初等練習機としていきなり初めての飛行機という練習生の搭乗に適しているかについては不安な要素が有り、練習機の為の練習機を運用している事例もあることから、運用には注意が必要なのかもしれません。


 ヴェトナム空軍はアメリカよりT-6テキサンⅡ練習機練習機の第一陣を受領しました。これはヴェトナム空軍の戦闘機要員養成のための航空機として2022年8月に導入が決定した機体で、T-6CテキサンⅡ-ITS練習機が採用されています。今回到着したものは導入契約を結んだ12機のうち、最初の5機で、パンテェット空軍基地に到着している。

 T-6練習機のうち、日本の自衛隊が採用したT-6Aについては従来型の練習機となっていますが、T-6Bおよび今回ヴェトナムが導入したT-6Cについてはヘッドアップディスプレイが標準装備されており、軽攻撃機として、COIN機として運用する事が可能です。T-6は高いエンジン出力を持ち良好な機動性などで知られている練習機です。


 韓国が開発するKF-21戦闘機にミーティアミサイルの搭載試験が成功したとのことです。これはMBDA社により発表されたもので、MBDA社はこの搭載によりKF-21戦闘機の視程外戦闘能力が大幅に向上すると誇示しています。ミーティアミサイルはドイツのMBDA社が開発したもので射程は100km以上を発揮するというミサイルです。

 KF-21戦闘機は韓国がインドネシアと共同開発を進めている第4.9世代戦闘機で、最新の第五世代戦闘機のような徹底したステルス性は目指さないものの、第4.5世代戦闘機を圧倒出来る一定程度のステルス性を付与させた機体で、数を揃えることを第一とした戦闘機です。初飛行と共に複座型の開発も順調に進み、各国から注目の航空機だ。


 アメリカ空軍はボーイング社よりF-7軽戦闘機の提案を受けました。これはアメリカ空軍に導入されるT-7A高等練習機の機体を基本設計として、戦闘機型としたもの。アメリカ空軍では近く、永らく運用していたF-16戦闘機の多くが耐用年数限界を迎える一方、F-35やF-15Eなど高水準の戦闘機が多く残り機数が不足すると懸念されていました。

 F-7戦闘機の利点としては、もともとの基本設計がスウェーデンのJAS-39戦闘機の円緒戦上にあり、また超音速飛行能力と共にT-7A練習機が置き換えるT-38練習機の戦闘機型であるF-5戦闘機の後継機という需要が世界規模で存在すると分析しているためで、あくまで提案ながらF-16の限定的な後継機としての需要を見込んでいるもようです。

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【防衛情報】GCAP日英伊共同戦闘機開発とイギリス労働党政権,グアムに配備された新レーダーAN/TPY-6,韓国版THAADのL-SAMミサイル

2025-01-07 20:21:40 | インポート
■防衛フォーラム
 今回は空軍関連の話題です。

 GCAP日英伊共同戦闘機開発とイギリス労働党政権について、イギリスのスターマー首相は11月9日までに開発を継続する方針を示した、こう関係者が明らかにしたことを共同通信などが報じました。保守党政権時代に開始されたGCAPグローバル戦闘機計画は、選挙敗北に伴う政権交代後、その去就が注目されていました。

 スターマー首相は、GCAPについて、イギリス全体では防衛戦略の見直しに着手したものの、この継続は日本とイタリアとの外交関係に直結しているものであるとともに、イギリス国内の雇用にも直結している事を総合的に判断し、外交防衛上重要な計画であると認識したかたち。GCAPはジョンソン政権時代に着手された国際共同開発です。

 イギリスはユーロファイタータイフーン戦闘機とF-35B戦闘機という比較的高い水準の航空戦力を維持していますが、イギリス空軍は本土から遠く離れた北大西洋上でのシーレーン防空など長距離飛行能力を有する戦闘機を伝統的に必要としており、F-35Bの航続距離には不満が伝えられています、GCAPはそのための重要な選択肢となります。


 韓国版THAADミサイルといわれるL-SAMミサイルの開発が完了しました。これは北朝鮮弾道ミサイル脅威が増大する中、従来は韓国に対しては短距離弾道弾の脅威が主体であり、これに対しては中距離地対空ミサイルにょり迎撃されると考えられていたものの、ロフテッド軌道による高高度からの脅威という状況に対応すべく開発されたもの。

 L-SAMは高度40㎞において弾道ミサイルを迎撃するものといい、そのミサイル迎撃技術は韓国とロシアの防衛協力が良好であった時代に、ロシアからのS-300V地対空ミサイルの9M82 迎撃ミサイル技術が応用されたと考えられています。開発には実に10年の時間を要しましたが、韓国国防省は改良型のL-SAMⅡの開発にも着手しています。


 グアムに配備された新レーダーAN/TPY-6について。先日グアムにおいて初のミサイル迎撃実験が実施され想定される中距離弾道弾の迎撃に成功しましたが、レドーム一基のみであることから、通常のイージスアショアミサイル防衛システムと異なり全周にわたる防空能力が付与されたものではなく、中国にのみ向けられている可能性があるという。

 AN/TPY-6という名称が、実験成功とともに発表されたものですが、ロッキードマーティン社製TPY-4レーダーのSPY-7仕様のものであると考えられ、これは同社が発表したものとして設置の時点で宇宙空間を想定し大幅に傾斜し角度を合わせているとしています。各装備は6基の40ftコンテナに収められ、レドームとともに配備されていました。


 ドイツ空軍はミーティア空対空ミサイルを増強します。ユーロファイタータイフーン戦闘機を運用するドイツ空軍は、同時にF-35戦闘機の導入計画を進めていますが、同時に既存のユーロファイター戦闘機の戦力維持も課題となっていました。これに対してドイツの連邦予算委員会がミーティアミサイルの増産予算を可決したとしています。

 ミーティアミサイルはドイツのMBDA社が開発したもので射程は100km以上、特筆すべきは強力な電子戦環境においても遠距離多目標への正確な誘導と命中能力を持つとしています。またユーロファイターの運用能力を強化するべくストライカーⅡヘッドマウントディスプレイの調達計画も了承されており、ユーロファイターは更なる強化を受ける。

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【防衛情報】護衛艦かがF-35B戦闘機サンディエゴ沖認証試験完了,P-1哨戒機能力向上型初飛行

2025-01-06 20:22:09 | インポート
■防衛フォーラム
 2025年最初の防衛フォーラムはインポート記事にて今回は自衛隊関連の話題をお伝えしましょう。

 護衛艦かがF-35B戦闘機認証試験が完了しました。海上自衛隊は11月7日、カリフォルニア州サンディエゴ沖においてF-35B戦闘機発着試験の様子を報道陣に初公開、またこの11月7日にF-35B戦闘機運用認証試験が完了した事も併せて発表しています。艦上でのF-35Bは発着自動誘導装置により極めて高い精度で自動発着ができるという。

 かが報道公開、海上自衛隊は2021年に岩国沖においてヘリコプター搭載護衛艦いずも艦上でのF-35B発着試験をアメリカ海兵隊支援とともに実施し甲板強度の認証を行っていますが、この時には報道公開は行われていません。なお、いずも改修として自動発着支援装置の追加などを行うべく入渠が始まっている、今後同様の試験が行われるでしょう。

 F-35B戦闘機は年度内に新田原基地へ臨時F-35B飛行隊の新設が発表されています。問題はF-35B戦闘機が年度内に納入されるかということですが、自動着艦能力の高いF-35Bは従来の空母艦載機が抱えていた厳しい発着艦資格という問題はある程度解決してくれることとなるでしょう、あとは海上自衛隊と航空自衛隊の運用調整が課題です。


 海上自衛隊のP-1哨戒機能力向上型が初飛行を迎えたとのこと。P-1哨戒機は情報融合能力を有した戦闘指揮システムの搭載とレーダーや光学及び音響センサーの信号処理技術の改良により探知識別能力や飛行性能及び情報処理能力が向上したとのこと。改良型の開発は2013年より防衛装備庁により開始され2016年に所内試験を完了しました。

 P-1哨戒機改良型は36号機以降の機体で、川崎重工岐阜工場において製造されていた36号機が11月初旬から飛行試験を開始しています。防衛装備庁ではこのほか、次期電子情報収集機の情報収集システムの研究、としてEP-3電子情報収集機やOP-3C画像情報収集機後継機にP-1哨戒機の派生型を充てる構想があり、研究開発が継続されています。

 36号機、P-1哨戒機の量産はもともと70機の製造が想定されていましたので、36号機の初飛行はその量産が広範段階に入ったことを示します。海上自衛隊ではP-3C哨戒機80機を70機のP-1哨戒機で置き換える構想ですが、併せて上記のEP-3やOP-3C後継機の製造によりP-1は各種派生型で80機が製造され、続くP-Xへ置き換えられます。


 潜水艦たいげい型9番艦は一部設計が変更される、これは従来の潜水艦たいげい型と比して操舵機器や監視機器の統合による自動化が進められ、乗員を10名分省力化する事が出来たとのことです。少子高齢化に伴う慢性的な人員不足と、潜水艦という適正が求められる任務において、人員10名を省力化することの意味は非常に大きいといえる。

 たいげい型の省力化は、通常動力潜水艦として第一に必要な酸素の量が乗員と共に減るために潜水中の時間を延伸でき、また10名少なくなるという事は艦内容積や食料の搭載などについても余裕が生まれるとともに、従来の潜水艦6隻の要員で7隻の潜水艦を運用できることとなり、たいげい型後期艦と位置付けられることとなるのかもしれません。


 海上自衛隊最後のUH-60J救難ヘリコプターが退役しました。除籍行事は79号機に対して行われ、12月10日に除籍式がおこなわれました。自衛隊の救難ヘリコプターは航空自衛隊と海上自衛隊が従来分担していましたが、救難ヘリコプターには機内容積を活かしての空輸能力なども期待されていたものの、任務増大の負担が課題となっていた。

 UH-60J救難ヘリコプターは退役しましたが、海上自衛隊ではSH-60哨戒ヘリコプターの任務に一部救難任務が含まれており、例えば外洋において発生した航空遭難事案に対しては、US-2救難飛行艇とともにヘリコプターを捜索救難に対応させることは可能です、が専門部隊としての救難ヘリコプター運用が終了した事は、一つの節目と言えるでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【防衛情報】航空自衛隊T-4練習機後継機RFI情報提案書,アメリカ空軍オールビン参謀長軽戦闘機コンセプト構想発表

2024-12-24 20:20:27 | インポート
■防衛フォーラム
 今回は空軍関連の話題です。

 アメリカ空軍のオールビン参謀長は軽戦闘機コンセプトという画期的な構想を発表しました、しかし過去に幾度も同様の失敗を重ねている構想でもあります。ベビットオールビン空軍参謀長はイギリスで行われたRAeSイギリス航空協会の講演会において登壇、変化の大きな航空戦闘に対応するには長期的視野は最早見通せない、と発言しました。

 軽戦闘機コンセプトとは、長期間の運用を前提とした戦闘機に様々な装備を搭載するのではなく、現在の脅威に対応する能力が将来の戦闘に対応する確証はない不確かな時代には耐久性や機体強度を犠牲にしてでも順応性を重視すべきとして、機体寿命の短い安価な機体を短期間で設計しその時々の戦闘に対応して設計すべきだ、と発言しました。■

 航空自衛隊のF-2戦闘機がシンガポールを訪問しました。これは8月27日、インドにおいて実施されるタランシャクティ演習へ参加する途中にシンガポールを経由したもので、F-2戦闘機2機がシンガポール空軍のパヤレバー空軍基地を短期間ですが訪問する事となりました。シンガポールにF-2戦闘機が短時間とはいえ着陸するのは初となる。

 インドにおいて実施されるタランシャクティ演習はタミルナドゥ州のスルール空軍基地において8月29日から9月14日まで実施され、これにはインド空軍と航空自衛隊のほか、フランス空軍、スペイン空軍、ドイツ空軍、イギリス空軍、オーストラリア空軍、ギリシャ空軍、アメリカ空軍、アラブ首長国連邦空軍などが参加しています。■

 イギリスのBAEシステムズ社はキャプチャーE-ECRS-Mk2レーダー搭載機の初飛行に成功しました。これはイタリアのレオナルド社が設計したユーロファイター戦闘機用に開発されていたAESA方式の次世代レーダーで、レオナルドUK社が製造したものをBAEシステムズ社がユーロファイター戦闘機用にシステム統合したものです。

 ユーロファイターが従来搭載しているキャプチャーレーダーは、遅れていたAESA方式のレーダーとして一定の完成度を有するところとはなりましたが、改良型のキャプチャーE-ECRS-Mk2レーダーは高度な電子戦能力も付与されることとなり、敵対勢力の脅威圏外においての任務遂行能力向上を意味します。今後は試験を経て実戦配備へ進む。■

 航空自衛隊T-4練習機後継機に関するRFI情報提案書を防衛装備庁が募集開始しました。募集開始は10月4日、T-4練習機は航空自衛隊の基本操縦課程全てを担う航空機と位置付けられており、また今回の募集にはT-4練習機後継機と共に座学や模擬飛行訓練と飛行計画作成の訓練に用いる地上訓練装置なども含めた募集となっています。

 防衛装備庁が募集するのは国産開発計画の募集であり、また国産開発を主としながら同時に代替機となり得る輸入企業についても募集する方針です。T-4練習機は練習機としての本来用途とともに航空団司令部や航空方面隊司令部と航空幕僚監部に在籍する要員でウイングマークを有する要員の年間技量維持飛行や連絡飛行などにも用いられます。■

 ルーマニア空軍はF-35A戦闘機に関する72億ドル規模の有償供与承認をアメリカ国務省より受けました。72億ドルの契約はF-35A戦闘機32機とその関連機材に関するもので、アメリカ国務省はルーマニアがNATO加盟国であるとともに黒海地域に面しており、地域安定化への空軍力近代化の必要性の大きさから有償供与を許可したとしています。

 F-35戦闘機32機とともに72億ドルの内訳は、プラットアンドホイットニーF135-PW-100エンジン33基を含み弾薬なども調達される見通し。ルーマニア空軍は最終的に48機のF-35A戦闘機を導入する計画で、第二段階の16機については後年調達する。ルーマニア空軍は冷戦時代にMiG-23,冷戦後MiG-29を取得しましたが2004年までに退役している。

 MiG-21戦闘機近代化改修型をルーマニア空軍は運用していますが、NATO加盟国としては古すぎ性能も不足することから、ノルウェー空軍が運用していた中古のF-16AM戦闘機26機の導入計画を進めているもののF-16AMでは性能も老朽化の度合いも問題であることから、ルーマニア空軍は長期間にわたり運用が可能である第五世代機F-35Aを選定しました。

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【防衛情報】26型フリゲイトとアドミラルゴルシコフ級フリゲイト,218SG型潜水艦とフレガット級フリゲイト

2024-11-18 20:11:40 | インポート
■防衛フォーラム
 アメリカ国内では何故か護衛艦もがみ型と比較される事が多くなった沿海域戦闘艦のわだいから。

 アメリカ海軍は沿海域戦闘艦ナンタケットを受領しました。フリーダム級沿海域戦闘艦14番艦であるナンタケットはロッキードマーティン社が主契約企業となり、ウィスコンシン州マリネットのフィンカンティエリマリネットマリン造船所で建造が進められてきました。ナンタケットはフロリダ州のメイポート海軍基地へ配備される予定です。

 フリーダム級沿海域戦闘艦14番艦、しかし設計時の計画は現在のような大規模海上戦闘の抑止と対応というものではなく海洋安全保障全般を念頭に軽武装と高速という設計思想に基づき画定されたため、運用が現状に合わず、フリーダム級は2008年より竣工が始まった新しい水上戦闘艦であるものの、既に5隻が除籍されています。
■防衛フォーラム
 哨戒ヘリの在り方を変え得る話題だ。

 アメリカのジェネラルアトミックスエアロノーティカルシステムズ社がMQ-9Bをリムパックに初参加させています。MQ-9Bシーガーディアン無人航空機はISR情報監視偵察任務や動画のリアルタイム伝送により偵察任務に当たったほか、新型のSDSソノブイ ディスペンシングシステム を搭載し、対潜訓練に無人航空機を参加させています。

 SDSソノブイ ディスペンシングシステムは最大10基のソノブイを搭載し、シーガーディアンには最大4基のSDSソノブイ ディスペンシングシステムを搭載できるため、40基のソノブイにより継続的な大戦飛行任務が可能、またレイセオン社製SeaVue多目的レーダーを搭載し、自己完結型の対潜戦闘システムを無人機として運用できる性能を誇示した。

 MQ-9Bシーガーディアン無人航空機の任務飛行は100時間を超えることもあり、海上戦闘における無人機の有用性をしめすとともに、また訓練へ参加した後に、ハワイ州からカリフォルニア州エルミラージュのジェネラルアトミックスエアロノーティカルシステムズ社拠点基地であるデザートホライズン飛行運用施設へ自力で帰還したとのことです。
■防衛フォーラム
 経済制裁が効いているのかそうではないのか。

 ロシア海軍アドミラルゴルシコフ級フリゲイト四番艦建造状況について。ロシア海軍はソ連時代の駆逐艦などの老朽化を受け予算不足からコルベットを代替に当てていましたが、外洋航行能力であまりに無理がある選択でした。このため漸くまともな規模の艦を建造できているのがアドミラルゴルコフ級フリゲイト、満載排水量は5400tとなっています。

 アドミラルフロータソヴィエツカヴァソユーザイサコフ、4番艦はかなり長い艦名となっていますがセヴェルナヤ北方造船所において建造中で、これが9月までに船台をはなれ浮きドックに移動していることが確認されました。これは進水式が近い可能性を示しています。なお、4番艦の起工式は2013年で建造開始から既に十年以上を経ています。

 4番艦建造遅延の背景にはもともとエンジンを輸入部品に頼っていたところを2014年のクリミア併合により経済制裁の対象となった背景があり、実質11年間建造が停止した状況でした。今回の浮きドック移動はロシア製部品によりエンジンの目処が立った可能性があります。ゴルシコフ級は8隻が建造されますが、5番艦以降の建造目処は立っていません。
■防衛フォーラム
 23型フリゲイトよりもかなり大型となり横須賀に来訪した場合はアーレイバーク級と並んで遜色が無くなる規模だ。

 イギリス海軍の新型フリゲイトカーディフが進水式を迎えました。進水式はBAE システムズのゴバン造船所から浮きドックに載せられ出航しスコットランド沖にて数時間をかけ進水式を実施したとのこと。カーディフはイギリス海軍がGCSグローバルコンバットシップ計画として8隻の建造が計画される26型フリゲイト2番艦となっています。

 26型フリゲイトは老朽化が進む23型フリゲイトの後継として建造されているもので、しかし23型フリゲイトは満載排水量4200tという規模であったのに対し、世界規模でのパワープロジェクションを想定した26型フリゲイトは当初計画5400tの高僧が必要な装備を盛り込むとともに徐々に大型化し、満載排水量は8000tと大型化しています。
■防衛フォーラム
 哨戒艦というと本邦のものもきになるところ。

 オーストラリア海軍はアラフラ級外洋哨戒艦の公試を開始しました。8月26日に初の公試に臨んだアラフラは2021年12月16日に進水式を迎え、COVID-19新型コロナウィルス感染症の最中艤装工事を継続していましたが、この時点では12隻が建造有れる計画であったものが、2024年に入り国防計画の変更から6隻へ建造が半減しています。

 アラフラ級外洋哨戒艦は満載排水量1640tで全長80m、ディーゼルエンジン2基により最高速力22ノットを発揮します。乗員は40名で当初計画では40mm機関砲1門と25mm機関砲を備える計画でしたが、40mm機関砲については搭載が取りやめられています。中国海軍の脅威が増大する中、中途半端な性能とされ建造計画が削減されました。
■防衛フォーラム
 これも横須賀に前方展開する事が中々出会わない。

 アメリカ海軍の新沿海域戦闘艦キングスビルが竣工しました。キングスビルはインディペンデンス級沿海域戦闘艦、竣工式典は8 月 24 日にソロモン P.オルティス センターにおいて挙行されました。キングスビルは市町村名であり、式典にはキングスビル市サムフゲイト市長、コーパスクリスティ市のポーレットグアジャルド市長が参加した。

 インディペンデンス級沿海域戦闘艦は軽金属製船体の三胴構造を採用した高速航行能力を重視した水上戦闘艦です。初期の艦艇はウォータージェットエンジンを採用したためによる想像以上の海水腐食とアルミニウム合金の熱伝導性による艦内温度上昇や膨張による船体負荷による不具合に悩まされ、また武装の少なさも任務遂行を妨げました。

 キングスビルの地名は海軍航空基地の置かれているテキサス州キングスビルに由来し、アメリカ海軍艦艇にこの名前が冠せられるのは史上初めてとなります。また海軍航空基地の所在という所縁から就役式典には海軍航空隊のT-45Cゴスホーク艦上練習機が祝賀飛行を実施しています。キングスビルは新しい母港、サンディエゴへと出航しました。
■防衛フォーラム
 哨戒艦に何を求めるか。

 デンマーク海軍は次期哨戒艦の武装強化を模索しています。デンマーク海軍向け哨戒艦を建造するダンスケパトルジェスキベ社は8月21日のバラールップ産業記念展において哨戒艦に言及、デンマーク海軍から任務環境の変化を理由に哨戒艦の当初計画の76mm艦砲と機関砲のみの武装に加えて、VLS垂直発射装置の要望があったと語った。

 次期哨戒艦は6隻の建造が計画され、当初は海洋汚染防止と漁業資源保護や密輸防止という任務が想定されていましたが、此処に船団護衛や対水上戦闘という水上戦闘艦としての任務が加えられた構図です。VLSは8セル程度が前甲板の76㎜艦砲の後方に設置され、それはバラールップ産業記念展に出展された哨戒艦の模型にも反映されていました。
■防衛フォーラム
 陸上自衛隊の輸送船と重なるところが。

 アメリカ海軍の新高速輸送船ポイントロマが進水式を迎えました。2024年9月3日、アラバマ州モービルのオースタルUSA社造船所において行われた進水式ではSPMT自走モジュールトランスポータにより海上に展開したポイントロマが大型クレーンにより約1メートル持ち上げられ、そのまま海上に降ろされる独特の進水式を行いました。

 ポイントロマはスピアヘッド級遠征高速輸送船の15番船、重装備を積載し35ノットから最大で45ノットという高速を発揮し輸送します。乗員居住性は高く、船内には1900平方メートルもの車両甲板があり、最大100tまでの車両を乗降させるランプとともに600tまでの車両を車両甲板に搭載、最大312名の兵員を4日間収容することも可能です。
■防衛フォーラム
 戦艦や空母と同じ凄い名前だ。

 シンガポール海軍は新潜水艦インヴィンシブルを受領しました。8月27日、シンガポールのチャンギ海軍基地においてドイツのキール造船所において建造されていた潜水艦インヴィンシブルが貨物船ロールドックスターからシンガポール海軍へ引き渡されました。インヴィンシブルは218SG型潜水艦として建造されていたものです。

 インヴィンシブルはインヴィンシブル級潜水艦一番艦と位置付けられており、2019年にドイツのティッセンクルップマリン社キール造船所にて進水式を迎えたのち、若干時間を要しましたが艤装工事を実施していました。シンガポール海軍は2番艦イラストリアス、3番艦イニミダブルを2025年に受領する計画、なにかイギリス軽空母の艦名のよう。

 218SG型潜水艦はドイツが既に各国へ供給している212型潜水艦と214型潜水艦の技術、更に216型潜水艦の設計思想を応用、シンガポール海軍は2013年に潜水艦2隻と教育訓練に関する13億6000万ドルの契約を成立、その後2017年に入り、2隻の追加が決定し4番艦インペッカブルの建造を含め、18億ドルの追加契約を結んでいます。
■防衛フォーラム
 大型化の流れは此処でも。

 オランダ海軍はベルギー海軍とともに対潜フリゲイトを導入します。オランダ海軍はこれまでカレルドールマン級フリゲイトを対潜用にあててきました、このカレルドールマン級は満載排水量3200tとぎりぎり外洋航行能力を付与していますが、ヘリコプターの運用能力をもつとともに対潜対空対水上戦闘能力を有するバランスのよい艦ですが。

 カレルドールマン級フリゲイトは1991年より8隻が建造されています、しかし情勢変化におり2004年から2隻がチリ海軍に、2006年に2隻がベルギー海軍に、2008年から2隻がポルトガル海軍に売却されていて、ファンスペイクなど2隻がオランダ海軍に残るだけであるとともに、竣工から29年を経ており、そろそろ後継艦が必要とされていました。

 フレガット級フリゲイト、新しい水上戦闘艦はオランダ海軍向けの一番艦がフレガットとなる見通しで、建造はオランダのダーメン社が担当する見通し。計画ではフレガット級にあわせて、USV-ASM無人駆潜艇が開発されており、フリゲイトの対潜任務を無人艇が支援する計画、また艦載機としてNH-90ヘリコプターの搭載も計画されています。

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【防衛情報】アメリカ国防総省三沢基地へF-35戦闘機48機前方展開決定と嘉手納基地F-15C戦闘機後継にF-15FX戦闘爆撃機前方展開

2024-10-29 20:01:31 | インポート
■防衛フォーラム
 今回は先ず在日米軍の話題から。

 アメリカ国防総省は三沢基地へF-35戦闘機48機の前方展開を決定しました。インド太平洋地域でのF-35A戦闘機前方展開は初の事となり、在日米軍航空戦力近代化の一環とされています。増強ではなく、現在三沢基地第35戦術航空団に配備されているF-16戦闘機2個飛行隊の代替と位置付けられ、これにより日本のF-16飛行隊はなくなります。

 三沢基地は航空自衛隊が約40機のF-35戦闘機を配備しているため、アメリカ空軍のF-35戦闘機と併せて約80機のF-35戦闘機が揃う事となります。これはF-2戦闘機と現行のF-16戦闘機と併せて、F-16っぽい形状の戦闘機が80機揃っていた時代とともに、E-2C早期警戒機、E-2D早期警戒機配備を加えれば北東アジア最大規模の戦略拠点となる。

 北部航空方面隊司令部も置かれている基地ですので、有事の際には最大規模の高付加活目標となり、今後日米は三沢基地へペトリオットミサイルなどの弾薬増強に加え、アメリカ陸軍THAADミサイル部隊展開を含めた防空能力強化や三沢基地周辺の代替滑走路建設といった三沢基地の防衛強化を課題としてゆく必要があるのかもしれません。■

 アメリカ国防総省は嘉手納基地のF-15C戦闘機後継にF-15FX戦闘爆撃機の前方展開を決定しました。アメリカ国防総省の発表ではF-15C戦闘機48機の後継にF-15FX戦闘爆撃機を36機配備するとしています。ただ既にF-15Cは老朽化のために2022年より順次アメリカ本土に移動し用途廃止になっているため、現在はローテーション配備という。

 F-15EX戦闘爆撃機36機の配備について、これは2022年以降バイデン政権が進めた、沖縄に常駐戦闘機を置かないローテーション配備方式として、嘉手納の第18航空団を事実上フォースユーザー方式とし、状況次第では戦闘機部隊が皆無となる危険な状態から、第18航空団隷下に飛行隊を常時配備するトランプ政権時代まで戻すということ。

 F-15C戦闘機の本土撤収後は一時的にF-22戦闘機が前方展開しポテンシャルを強化場合もあればローテーション配備部隊がF-16戦闘機と従来よりも制空能力が低下する場合もありました。なお、48機から36機というのは飛行隊定数が24機から18機となるもので、配備される飛行隊定数は2005年の3個飛行隊から2個となって以降変わりません。■

 アメリカのノースロップグラマン社は日本の三菱電機との間でMOU包括協力覚書に署名しました。両社の関係は海上自衛隊がグラマンアベンジャー対潜哨戒機を導入した際の技術協力から始まり、S-2トラッカー対潜哨戒機の導入により協力は一段階広がるとともに、航空自衛隊がE-2C早期警戒機を導入すると一層その協力は強化された。

 ノースロップグラマン社は陸上自衛隊のロングボウアパッチ用ロングボウレーダーや海上自衛隊のMCH-101掃海輸送ヘリコプター用ALMDS-AQS-24Aレーザー機雷探知システム機雷探知ソナー、航空自衛隊F-35戦闘機主要部分とE-2Dアドバンスドホークアイ早期警戒機などを担当しており、これらの分野での協力やていけいなどをめざします。■

 サウジアラビア空軍はA-330-MRTT空中給油輸送機4機を増強します。サウジアラビアのGAMIサウジアラビア軍事産業総局は2024年1月にエアバス社との間でIP産業参画契約を締結しており、サウジアラビア地域の産業開発支援をエアバス社が支援する方針を画定していて、今回のA-330-MRTT空中給油輸送機導入はその一環という。

 A-330-MRTT空中給油輸送機はエアバスA-330型旅客機を原型とし、その高い稼働率と旅客機どかわらない運用費用などから2024年7月1日までに60機が各国軍隊に採用され、納入待ちの機体を含めると世界15か国が採用しています。これはアメリカ製空中給油機を除けば最も人く採用されている空中給油輸送機となっています。■

 イタリア空軍はECRC-Mk2レーダー搭載ユーロファイター戦闘機を増強します、イタリア空軍はこのユーロファイターをF-2000戦闘機と命名しており、今回新たに24機を増強することとなりました。イタリア空軍はユーロファイター戦闘機国際共同開発に参加していますが、今回は老朽化した初期のトランシェ1を置き換えることとなる。

 ユーロファイター戦闘機とユーロファイター戦闘機で置き換えるというのは不思議な印象ですが、クロゼット国防大臣のイタリア議会提出書簡によりその計画が明らかとなりました。AESA方式のキャプチャーMk2レーダーを搭載するとともにミッションコンピュータも新型に改良、またコックピット部分もLAD大型ディスプレイとなっています。■

 アメリカのロッキードマーティン社は戦闘機用AI人工知能開発契約を獲得しました、今回の契約金額は460万ドル研究はアメリカ国防総省のDARPA国防高等研究計画局が発注したもので、空中任務における人工知能開発は機械学習によるBVR視程外戦闘や海洋監視任務などにおける複数情報包括処理などに寄与するとされています。

 F-35戦闘機を筆頭に現在の戦闘機はほぼすべて単座型戦闘機となっていますが、無人僚機など戦闘機操縦士の必要な装備運用などは複雑化する過程にあり、かつて1950年代後半のように一人の操縦士には手に負えないものが形成されつつあります、今回は複座型戦闘機を開発するのではなく、AIにより操縦士を支援するのが今回の目的です。■

 イスラエル政府は最大規模のストライクイーグル取得計画を認可された、アメリカ政府へ要請していたF-15IAストライクイーグル50機の調達について、アメリカ国務省国防安全保障協力局がその有償供与を認可したと発表しました、今回の契約規模は188億2000万ドルという膨大な規模であり、苦境にあえぐボーイング社としては干天の慈雨といえる。

 F-15IAストライクイーグル50機のほか、既存のF-15IストライクイーグルのミッドライフアップグレードMLU改修キット25機分、またF-110-GE-129エンジン120基とLAU-128Aミサイル発射架320基が188億2000万ドルの主要な内訳とのこと。ボーイング社によればF-15IAは改修ではなく新造機となり、機体の納入は2029年からとのこと。

 ボーイング社はボーイング737最新型の不具合による連続墜落事故発生と、アメリカ航空運輸当局の型式証明取り消しにより大幅な赤字に陥っており、新造機製造停止とともに各国に輸出した機体の長期運用不能により旅客機市場でエアバスに需要を明け渡す構図となっていますが、買収したマクダネスダグラス社のF-15が会社を救った構図です。■

 セルビア空軍は次期戦闘機としてフランスのラファール戦闘機採用を正式に決定しました。今回導入されるのは12機で単座型9機と複座型3機を導入するという、計画では2029年までに納入を完了するとのこと。1997年のコソボ空爆という歴史はありましたが、セルビアへのラファール採用はセルビアの民主化と空軍の抜本強化を意味するでしょう。

 ラファール戦闘機は2023年と2024年に宮崎県の新田原基地と茨城県の百里基地へ展開し日仏共同訓練を実施したことで知られていますが、近年採用国が増加していることも注目すべき点で、フランス空軍と海軍に192機、クロアチアやエジプトとギリシャやインド、インドネシアにカタールとアラブ首長国連邦へ261機の輸出が成立しています。■

 タイ空軍のT-50高等練習機導入計画が完了しました。タイ空軍はF-16A/B戦闘機50機とスウェーデン製JAS-39戦闘機11機、そしてかなり旧式化が進んでいますがF-5E/F軽戦闘機34機を空軍の主力としています。これらの操縦士を養成し、かつ有事の際の支援戦闘機としてタイは韓国からT-50高等練習機14機にかんする導入契約を結んでいました。

 T-50練習機のなかでタイ空軍が導入したものはT-50THとよばれており、その納入は2018年に最初の4機が引き渡されています、今回最後となる13号機と14号機が引き渡され納入計画は完了しています。タイ空軍ではF-5軽戦闘機とともにF-16A戦闘機も初期型で老朽化が進んでおりJAS-39戦闘機増強が模索されていますが、FA-50も候補となるでしょう。■

 アメリカ空軍はクイックシンク対艦爆撃訓練を実施しました。戦闘機に搭載した爆弾による対艦攻撃は第二次大戦的な発想ですが低コストとして再注目されている。空軍の打撃力強化の一環としてその能力構築が進められていましたが、今回実施されたのはリムパック環太平洋合同演習において、退役した強襲揚陸艦タラワがその標的となっています。

 タラワに対して投射されたのは2000ポンド爆弾、戦闘機に搭載される通常爆弾としては最大規模のものですが、舷側付近に着弾した爆弾はそのまま艦底付近で遅発信管が作動、爆発し船体に致命的な威力を与え撃沈に至ったとのこと。タラワは満載排水量32000t規模の強襲揚陸艦で、この威力は075型強襲揚陸艦程度ならば撃沈できることを証明しました。■

 インド軍は滑空爆弾の開発に成功したもよう。インド国営放送が報じたところによれば、戦闘爆撃機から投射するインド国産滑空爆弾の評価試験に成功したとのことで、試験にはインド空軍のSu-30戦闘機が参加、滑空爆弾は弾体上部に折りたたみ翼を装着した重量1tというもので、高高度から投射され100kmを滑空し目標に命中したとしています。

 滑空爆弾はJSOW/GPS誘導爆弾のような付随被害を局限する小型のものが元来主流でしたが、ロシアウクライナ戦争ではロシア空軍がウクライナにおいて重量3tの滑空爆弾を陣地攻撃に多用し大きな戦果を上げています。付随被害の極限よりも、一発で陣地を大規模な破壊により無力化させるという有効性が確認され、滑空爆弾の大型化が進んでいる。

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