北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

大晦日迎えた2013年 行く年来る年、皆様一年間ありがとうございました、よいお年を

2013-12-31 22:50:21 | 北大路機関特別企画

◆嗚呼振り返れば素晴らしき365日

 本年も後一時間少々、皆様本年もありがとうございました。皆様にはどういった一年でしたでしょうか。

Aimg_4120 北大路機関は潮路の末へ、まだまだ続きます。撮影した写真をざっと振り返るだけでもこの一年間、これまでの一年間と同じように新鮮で刺激的な色々なことがりましたが、来年はどういったことがあるのでしょうか、錯誤と機転を折りあわせた撮影紀行、今からもう楽しみですね。

Aimg_1957 2013年、当方は千歳基地航空祭に展開し政府専用機初撮影の機会を得ました。既に運用開始から20年を経ているのですが、なかなか撮影の機会が無く、夏場に千歳基地は行き難い場所でもあり、今回初めて撮影出来ましたのは幸い。

Aimg_0146 今年一番の、と問われると多くのことがありましたが、思い出に残るのは中央観閲式予行へいつもお世話になっている方のご厚意でご招待いただき、少々荒天でしたが、朝霞駐屯地にて初めてその模様を視ることが出来ました。

Aimg_4605 そして本年は抽選制自衛隊関連行事の競争率が非常に高かったようで、中々機会に苦労しましたが、舞鶴展示訓練、こちらも親切な方が前日に一名分空きがあるということでお誘いいただき、足を運ぶことが出来ました。広島湾展示訓練は乗艦券を確保出来ましたが、荒天で中止となったのは御存じの通り。

Aimg_4312 富士総合火力演習もご縁あって、予行に足を運ぶことが出来ましたが、10式戦車の発砲焔をこれでもか、というほど撮ることが出来るようになりました、が、何と言いますか、当方が足を運ぶ先で別に意図したわけではないのですが、観覧席で、船上で、艦橋で、桟橋で、ホームで、雑談を交わしますと御同行の方が多くて驚きました。

Aimg_0875 築城基地航空祭、実戦部隊のF-2飛行隊を初めて撮影することが出来たのが本年です。ただ、現行撮影器材では折角の長距離展開でももう少し、というところがありましたので、昨日、撮影機材の増強を行いました。航空機写真などはもう少し性能面で向上するかな、と。お楽しみに。

Aimg_0055 第2師団創設記念行事旭川駐屯地祭。今年陸上自衛隊の駐屯地祭で一番記憶に残ったのは一度行きたかった道北精鋭師団の行事でしょうか、式典会場が広く訓練展示は敵を撃退するのではなく押し潰す物量の展示で、大陸に近い北海道は気迫が違うなあ、と驚かされたもの。

Aimg_2824 木更津駐屯地や金沢駐屯地に大久保駐屯地などなど、ここ数年行くことが出来なかった駐屯地の記念行事へ足を運ぶことが出来ましたのもいい思い出です。木更津では前回の撮影位置選定の失敗を活かすことが出来、良い構図から撮影出来ましたのも良かったです。

Aimg_8554 良かったと言えば昨年豪雨に泣かされた第12旅団創設記念行事相馬原駐屯地祭、岐阜基地航空祭、共に今年も展開したのですが快晴で素晴らしい写真を撮ることが出来ました。もっとも、高崎駅から始発バスに乗ってもぎりぎりの時間にしか到着しない相馬原駐屯地は遠い。

Aimg_4013 以上の通り、いろいろとありましたが、これまで通り満足いく一年でした。色々と不足する部分や配慮が足りない部分もある北大路機関ですが来年もよろしくお願いいたします、それでは皆様、よいお年を。来年も今年以上に良い年となりますように。

北大路機関:はるな

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北大路機関の『自衛隊最新装備2013』 最新型護衛艦・装甲車両・誘導弾・電子装備・複合舟艇

2013-12-30 23:52:06 | 北大路機関特別企画

◆最新装備とともに2013年を振り返る

 自衛隊の最新装備について、公開されたものをいち早くお伝えする北大路機関、本年も多くの装備をお伝えすることが出来ました。

Aimg_2802 いずも型ヘリコプター搭載護衛艦一番艦いずも。全長248m、満載排水量27000t、海上自衛隊最大の護衛艦として今年8月6日にIHIマリンユナイテッド横浜工場において進水式を迎えました。しらね型ヘリコプター搭載護衛艦の後継として設計、満載排水量は四倍近く、19000tの護衛艦ひゅうが型よりもさらに大きい航空中枢艦です。

Aimg_2691 進水式より北大路貴案は僅か数日後に横浜へ展開、猛暑が酷暑となる厳しい気候と共に撮影、同じ場所で建造されていたヘリコプター搭載護衛艦ひゅうが、いせ、よりも大きく、海上自衛隊もこれだけ大型の護衛艦を建造する時代となったのか、と驚きました次第です。

Aimg_7653 12式地対艦誘導弾システム、富士総合火力演習において初公開されました。本装備は当初、射程延伸と記載しましたがこれは未確認で、画定しているのは目標情報データリンク能力、GPS中間誘導能力、複合経路地形追随同時弾着能力、発射能力等が付与された新装備とのこと。

Aimg_9691_2 第1戦車大隊10式戦車、10式戦車は昨年も量産車両導入を紹介しましたが、本年より実戦部隊である第1戦車大隊への配備が開始されました。本年は機動戦闘車が初めて報道公開されましたが、こちらも一般公開の暁には記事として掲載できるよう準備しておきますのでお楽しみに。

Aimg_5893 11式装軌車回収車、駒門駐屯地祭において初公開されました。10式戦車の支援用に開発された戦車回収車で、擱座戦車の回収の他、戦車重整備支援なども対応します。10式戦車装備部隊へ順次配備されてゆきますが、10式戦車の配備が90式戦車の配備部隊と重なるようであれば少数生産で終了することもあるやもしれません。

Aimg_9802 基幹連隊指揮統制システム、旭川駐屯地祭で撮影したもので、写真はその通信装備中央処理装置にあたります。これば米軍のFBCB-2データリンクシステムを参考として、戦闘状況や敵部隊情報と交戦儒教に補給情報などを暗号化し同時に全部隊が情報共有、所謂PCゲームのような状況図を供するというもの。

Aimg_9827 第一線部隊の部隊指揮官や主要車両などへ小型端末を多数装備させ、情報連携を行うもので、即座の入力と見通し線外情報連携の速度などについて、更に研究開発が進められています。将来戦闘は情報優位が戦域空間優位に直結するため、陸上自衛隊の将来を担う重要な装備で、現在、旭川第2師団と神町第6師団において実験中の装備です。

Aimg_5193 富士学校において観閲行進に参加した遠隔操縦観測システム中継車両、多くの無人偵察機が衛星通信情報を元に運用している点に対し陸上自衛隊では通信妨害などへの脆弱性低減の観点から自己完結化を図っており、本装備はその情報伝送に関する中継車両とされます。これにより遠隔操縦観測システムの運用範囲が100km以上に延伸させることも可能になるようです。

Aimg_0625 CRRC戦闘強襲偵察用舟艇、中央観閲式予行において撮影しました。相浦駐屯地の西部方面普通科連隊に装備され、水陸両用作戦における水路進入に用いられる装備です。新年度より団規模の島嶼部防衛における水陸両用部隊創設が開始されることから、重要な装備の一つ。

Aimg_2875 CH-47JAガンシップ仕様、第1ヘリコプター団に装備されているヘリボーン強襲支援用の装備で、機体後部に1丁と機体前部左右に各1丁の12.7mm重機関銃M-2を装備し、着陸時等における重機関銃弾の弾幕を以て対地制圧任務に当たります。

Aimg_7768 特別機動船25号型、舞鶴展示訓練において撮影しました。これは地方隊警備隊に装備し海賊対処任務等に対応する1.9t型の特別機動船よりも大型化させた5.9t型で輸送能力と航続距離が増大し、最高速力は50ノットともいわれるほか、安定性なども強化されています。既に1.9t型が20隻以上導入されていますが、今後はこの大型である25号型に切り替わるとのこと。

Aimg_7400 04式空対空誘導弾AAM-5、F-2支援戦闘機に搭載されたAAM-5空対空誘導弾、岐阜基地航空祭において展示されていました。AAM-5はシーカー部分の技術発展により赤外線誘導方式である短射程誘導弾ながら射程は35kmから条件によっては50kmという長射程を有していますが、初めてF-2に装備され公開されていました。

Aimg_7499 99式空対空誘導弾(B)AAM-4B、従来のAAM-4へアクティブフェイズドアレイレーダーを採用し射程と補足能力を強化したもので、米空軍のAIM-120Cと同程度の射程と追尾能力を有しつつ、対航空機性能に加えて対巡航ミサイル性能を重視したもの、射程は120km~140km程度とされ、我が国へ近年増大する爆撃機からの巡航ミサイル脅威に対処する重要な装備といえるでしょう。

Aimg_8482 世界の艦艇では45型防空駆逐艦デアリング、東京港入港、23型フリゲイト以来のイギリス艦艇撮影です。艦隊防空に当たるミサイル駆逐艦に当たり、サンプソンレーダーが回転する様子が初めてこの目で見ますと、何やら不思議な印象を強く受けましたね。

Aimg_1513 オーストラリア海軍コリンズ級潜水艦ウォーラー、韓国海軍艦艇と共に潜水艦救難訓練へ横須賀へ入港しました。就役当時は実戦配備された艦艇として通常動力潜水艦では世界最大の規模を有していました。このコリンズ級は幾つかの課題を抱えており、後継艦について我が国への支援の打診も行われています。

Aimg_1509 ここからは番外編。旭川駐屯地にて撮影、一眼レフ二台と超望遠レンズ等レンズ数個にタブレットPCや防滴器具を入れるのに最適な大きさで自衛隊も遂に広報班用の新型自衛隊迷彩2型カメラバッグを、というのは嘘で、試料採取用具2型、有毒化学剤や放射性物質などが散布された際に採取し後方へ搬送するための採取器具と保管器具を組み合わせたもの。

Aimg_8427 自衛隊も遂にスマートフォン時代へ、というのは大袈裟ですがタッチパネルを備えた新通信機、HFとUHFにVHFの周波数帯へ対応する新装備、広帯域多目的無線機、伊丹駐屯地祭において展示されていたもので第13旅団の一部普通科連隊が今年、この行事の直前から配備を受けた最新型通信機です。

Aimg_2408 オーストリアのローゼンバウアー社製航空機用化学消防車で、築城基地へ昨年度から装備が開始されたものです。従来航空機火災用消防車よりも搭載タンクが大型化し、消化能力が強化されている、とのこと。このように本年も多くの新装備をお伝えすることが出来ました。来年も多くの装備をお伝えできれば、と思います。

北大路機関:はるな

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本年も残すところ僅か、2013年掲載のWeblog北大路機関記事を振り返り

2013-12-29 23:02:36 | 北大路機関特別企画

◆残る課題と防衛備忘録の掲載を開始

 今年も残すところ僅かとなってきましたが、ここで本年の北大路機関掲載記事を振り返ってみます。

Img_3638 本年は、記事の基礎に陸海空自衛隊関連行事の詳報記事を掲載し、その上で順次、防衛関連、安全保障関連、防災関連、以上の六分野を特集記事として掲載する態勢を構築してまいりました。この部分では、一定水準の記事を定期的に紹介する、という姿勢は構築出来たのでは、と思います。

Adimg_1585 ただその反面、六分野記事を掲載するということは必然的に次期掲載までの間隔が大きくなり、一向に詳報が進まないという部分は否めません。順番を度外視すれば過疎記事と高頻度記事に分かれるため、これも理想的ではなく、非常に難しいぶぶんと言えるでしょう。

Gimg_3723 その一方で、毎日一記事掲載という体制の維持は年々難しくなっており、この中で編み出した苦肉の策が“榛名防衛備忘録”です。これは平素時間的余裕のある状況に一挙に予備記事として作成しておき、記事作成が難しい多忙時期に既報写真とともに一挙に放出する、という方針を採ってきました。

Kuramaimg_8636 この方式では上記の掲載間隔がより大きくなるという課題を抱えていますが、やはり方策がほかにありません。実のところ本ブログの大きな問題である誤字脱字も時間不足での校閲能力不備から来ているため、打開策は今なお検討中です。

Bimg_3001 他方で、自衛隊行事詳報が進展しない現状は、今年度中に予備ブログの活用などで対応してゆきたいところです。速報記事を紹介して後、そのままの行事写真が非常に多く、G-12の写真のみでの掲載から、もう少し進むことが出来れば、と考える次第です。このほか、鉄道写真や京都の風景など、予備ブログとの連携を考えてゆきたいところ。

Aimg_2662 このほか、オフ会を、という当初の構想はなかなか実現に至らず、昨年おり続くお寄せいただいたコメントへのお返事を返せないものが多い状況が続いています。時事情報は錯誤もあり、写真は国内ばかり、まだまだ途上ではありますが、今後ともよろしくお願いいたします。

北大路機関:はるな

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榛名防衛備忘録:島嶼部防衛と国際貢献、中部アフリカ情勢緊迫化と普天間移設前進を背景に

2013-12-28 23:54:33 | 国際・政治

◆問題領域に関する共有知の視点から

 いよいよ年の瀬ですが、年末の現在の注目事項について二つ程触れてみたいと思います。

Gimg_5125 来年度予算が示されました。予算を俯瞰してみますと、重装備は別として、陸上自衛隊航空機調達が実質的に中断しており、防衛装備品は艦艇建造や航空機調達などこれからの中期防衛力整備計画を維持するうえで現実的なのか、と懸念しますが、こちらは年度内に詳細を紹介しましょう。

Avimg_7592 年末となりました今日ですが、昨日沖縄県の仲井間知事が発表した普天間飛行場の名護市辺野古への移設に向けた埋め立て計画容認は、久々に注目の内容でした。安倍総理の沖縄振興策と基地負担軽減努力に関する踏み込んだ提示へ仲井間知事は近来ここまで県の将来を考えた総理はいないと感嘆し、市街地の飛行場を移設する必要性から名護市辺野古への移設前提となる埋め立て工事の許可手続きを行った、というもの。

Miimg_0024
 民主党鳩山政権以来の沖縄基地問題について、少なくとも県外移設を提示した民主党の対応は、側聞する限りでは民主党が目玉として掲げた脱公共事業と連接しており、基地負担と共に振興策を併せていた自民党時代の提示より、基地を県外移設するので振興策も削減、という予算体系の提示などが行われていた、というかたち。

Img_4160 これが民主党の稚拙な政権公約に盛り込まれ、その後県外移設は防衛安全保障上不可能と結論が付いた際、曰く海上ならば県外、曰く鹿児島県島嶼部南部へ移設、果てはヘリコプター搭載護衛艦へ移設などなど迷走の一途をたどり、更に負担は求めるが振興策は認めない、という姿勢を採ったため、県民を代表する立場からは容認しえなかった、という視点があるようです。

Eimg_9071 沖縄県の振興、私事にて恐縮ですが沖縄に滞在してみますと、腕時計の電池交換を依頼した際に防水機能を維持しつつ電池交換は九州でなければ無理、といわれました。また、一眼レフのCFカードが容量不足となった際、16GBのCFカードを購入するべく家電量販店に足を運ぶと最大4GBまでしかない、と言われ、なるほど、京都では簡単な物流と資材はあたりまでは無いのか、と痛感しましたところです。

Thimg_0233 また、鉄道網が僅かなモノレールのみですので、宜野湾市から那覇市へバスで移動する際にラッシュ時と重なった渋滞の大きさは、既存の高速道路では不十分であり国費を投じてでも名護市から那覇市を経て糸満市にかけ、官営鉄道を整備する必要性がある、と痛感しました。更に沖縄ですが、基地経済負担と言われる反面、那覇市周辺の港湾施設が米軍用地で船舶輸送量に限界があり、これが見えない負担となっている可能性もあります。

Fimg_5547 離島振興により住民の定着を図る事こそ離島防衛、とは、その昔に対馬市長さんの講演会で聞いた御話しで、離島は本土のインフラ網から離れているため大きなハンデを有しているが、人が住み続ける事と活気を以て初めて住民が定着し、外国が政治的に介入できない社会基盤が生まれる、というお話には説得力がありました。そうした意味で沖縄県振興策を見ますと、また違ってくるのではないでしょうか。

Aimg_9765 鳩山政権に菅政権と野田政権は筋を通さず負担のみ押し付けたことが問題だったわけで、今回安倍総理が提示した基地負担軽減策については、MV-22の訓練を半分近く本土に移転するという大きなものを含んでおり、これは今年の饗庭野演習場において実施された日米共同訓練のように陸上自衛隊の両用戦能力構築という視点から今後必要になる部分であり、その頻度は必然的に高まることからも担保されたものだ、ということが出来ます。

Aimg_2372_1 仲井間知事は併せて埋め立て工事容認の記者会見において周辺情勢への配慮も考慮した旨を発言、東京が沖縄振興策に注力する背景で周辺国に沖縄侵攻策を進めている勢力の存在も踏まえての決断としています。一種慇懃無礼とも取れる知事は別に中央に対してのみ示されるのではなく、一部記者の一種社会常識では失礼と言わざるを得ない発言にも向けられ、逆に筋を通せば筋を通す沖縄県民代表という政治家だ、ということが印象的で、久々に尊敬できる政治家だ、と気づきました。

Simg_9271 ともあれ、五年以内の普天間基地移転を目指し今後辺野古での代替施設建設が大車輪で進みます、政府はかねてからの嘉手納基地以南米軍施設全面返還という小泉内閣時代の日米合意を履行する方針で進んでいるため、実現すれば沖縄県の玄関口とされる那覇空港から最寄りの米軍基地が30km離れた嘉手納基地、ということになります。所要時間はモノレールとバスを乗り継ぎ一時間半、米軍基地だらけの沖縄という印象は払拭されるでしょう。

Bimg_7289 実のところ、普天間飛行場は市街地に近すぎるとの批判も、大阪の八尾駐屯地や岐阜基地など当方が知る自衛隊基地と宅地の距離を考えれば異常というほどではありません。名古屋近郊の小牧基地、首都圏の入間基地に厚木航空基地、東京の立川駐屯地、伊丹空港、日本では普天間飛行場と宅地の距離は決して近すぎるものではありません。しかし、これに関連する設備の位置関係などは一考の余地があり、今回の移転への一歩は大きな一歩です。

Img_4261 一方で沖縄県への軍事的圧力が顕在化していることも事実であり、離島は部隊常駐警備が一歩間違えればイスラエルが第四次中東戦争に先んじて配置した要塞線パーレビラインのように、部隊不足などの弱点を突かれれば瓦解しかねず難しいものです。このため、機動防衛力の整備が重要となるため、機動展開能力を整備し、二度と沖縄を見捨て無いよう太平洋戦争から学ばねばなりません。
Gimg_2585 南スーダン情勢について、年越しとなりそうです。国連はアフリカ連合などへ6000名の部隊増派を求めていますが、この増派要請は明らかに武装勢力への介入を以て現在の南スーダン情勢へ軍事力を以て現状を安定化させる平和執行を念頭に置いたもので、これは国連憲章七章に基づく安保理決議である近年のPKOの一つの方向性とも言えるでしょう。

Iimg_1273 本日、南スーダンではキール大統領がアフリカ連合の即時停戦に同意し、反乱軍にも即位停戦を呼びかけています。しかし、これで完全に停船となり統一国家を維持できるのか、現状ですでに数千名の死者が出ている状況を誰が責任を負うのか、まだ、不明です。

Cimg_6383 平和維持から平和執行へ、日本が参加を始めたPKO任務は六章と七章の中間である六章半措置でしたが、現在は七章措置であるため当然で、介入の決断も早いのですが、しかしこれは一歩間違えれば平和執行の過程でアイディード将軍派武装勢力と激戦に展開し、154名という国連PKO部隊に湾岸戦争の米軍戦死者の匹敵する犠牲者を出したソマリアPKO任務UNOSOM-2と同様の事態になりかねません。

Fs_img_3785 この問題は日本が既にPKO部隊を派遣していることから他人事ではありません。特にPKO部隊を派出している諸国で、アフリカ連合は現在、中央アフリカでの大規模戦闘が内戦に展開し無いよう、フランス軍と共に大規模な介入を実施中であるため、残念ながら余力がありません。

Img_8285a 仮に日本政府が国連より増勢を要請された場合、もしくは増勢に対応することなく現状維持を進め状況が激化することで日本の活動地域が危険地域に含まれつつある懸念が生じた場合、その場合はPKO瓦解を覚悟でこれまで言われたような安易に撤退するのか、それともPKOを瓦解させないよう増派するのか、自衛隊は、日本政府は、厳しい状況とどう向き合うのでしょうか。

Img_3840 アフリカ連合の二方面作戦、中央アフリカ情勢は既に首都が戦場となっており、今月初旬に旧宗主国フランス軍が緊急展開、大規模戦闘が展開中です。南スーダンは元々イギリス領ですので、元宗主国の責任を果たしてもらいたいところですが、併せて今回の事案を契機として国連憲章七章決議に基づく現在のPKOへ我が国はどういった視点で臨むのか、考えなければなりません。

北大路機関:はるな

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平成二十五年度十二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2013.12.28・29)

2013-12-27 21:50:30 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 年の瀬も今日とて過す多忙の日、年末が近づくと師走の意味を身を持って感じると共に寒さが沁みる今日この頃、皆様如何お過ごしでしょうか。

Img_5758 今週末は年末ですが、流石に駐屯地祭や航空祭は行われることは無く、そして海上自衛隊基地についても年末の一般公開は行われません。大晦日と正月に一般公開を行うことで有名な舞鶴基地についても今年は28日と29日ともに桟橋一般公開と上甲板一般公開は共に行われません。

Img_5931 佐世保基地も倉島桟橋の一般公開は中止です。また、呉基地についても12月29日の艦艇一般公開は中止、とのことでした。ただ、年末ですとかなりの艦艇が母港に戻りますので、横須賀のヴェルニー公園、佐世保の弓張岳展望台、舞鶴の前島埠頭、呉のアレイからすこじま遊歩道、などを散策してみると、面白い発見があるやもしれません。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

  • 自衛隊関連行事はなし

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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浜松基地航空祭2012詳報⑧ 日本防空の切り札、E-767AWACSを中心に異機種編隊飛行!

2013-12-26 23:52:32 | 航空自衛隊 装備名鑑

◆この大編隊は浜松基地だけのもの!

 浜松基地航空祭はやはりこの順光撮影位置、広報館へ移動してよかった、これに尽きる。

Himg_3426 響くはエンジン音、近づく大編隊、異機種大編隊の飛来です。この浜松基地航空祭でも異機種大編隊が行われます。異機種大編隊と言いますと岐阜基地航空祭の輸送機と戦闘機と支援戦闘機に練習機の編隊が有名ですが、浜松基地航空祭でもここ数年間実施されるようになってきました。

Himg_3433 E-767早期警戒管制機、AWACSとU-125救難機、原型を辿れば旅客機とビジネスジェット、共にお客様を載せて飛行する機体ですので、空港などで原型機は並んでいるのかもしれませんが、E-767とU-125Aが航空祭で共に飛行する機会というのは、広い世の中と言えどもこの浜松だけでしょう。

Himg_3435 浜松基地の大編隊は、編隊構成の航空機も所属は浜松基地ですが、警戒航空隊飛行警戒管制隊に浜松救難隊と第1航空団、岐阜基地の大編隊が全て飛行開発実験団の所属機であるのと対称的に、編隊を構成する航空機の所属も多岐に富んでいまして、異なる機種もさることながら異なる部隊間でも編隊を組める練度が素晴らしい。

Himg_3447 E-767、航空自衛隊の防空能力を一挙に引き上げた航空機で、毎年段階近代化改修を実施し、情報処理能力や電子能力と指揮統制能力を強化しており、これは米空軍やNATOとその加盟国のE-3早期警戒管制機と連動し第一線の能力を維持し、今に至る。

Himg_3452 E-767早期警戒管制機、次期中期防衛力整備計画では1970年代より導入を開始したE-2Cの後継機導入が開始されますが、従来空中警戒管制機と呼ばれていた機種を中期防においては早期警戒管制機、正確には早期警戒機になる可能性もあるので早期警戒(管制)機という呼称でしたが、一般的な呼称となっています。

Himg_3453 このE-767ですが、新早期警戒(管制)機、普通にE-767を増備できれば理想的な結果になりました、機種を統合できますからね。しかし、E-767に搭載されている早期警戒管制機の中枢、円形のAPY-2レーダーが90年代に生産終了してしまい、増備が不可能となりました。

Himg_3461 すると、有力な候補機は豪州空軍やトルコ空軍に韓国空軍が採用したB-737AEW&C早期警戒機か、米海軍がE-2C早期警戒機の後継機として導入したE-2D早期警戒機くらいしか現実的な候補機はありません。B-737AEW&Cは先進的なMESAレーダーを採用しているのですが、そもそも737は767の半分以下の航続距離しか有していません。

Himg_3476 元々米空軍が今世紀に入り旧式化したE-3早期警戒管制機の後継機としてE-10を開発開始、E-10は早期警戒管制機から戦場監視に電子情報収集任務にも対応する多機能機だたのですが、それが祟り開発が難航、結果コスト増大を理由に開発計画は中止されてしまいました。E-10が実用化されていれば、これに乗ることが出来たのですが。

Himg_3484 編隊飛行を終えてU-125Aが着陸態勢に入りました、このU-125もそろそろ後継機選定を行わなければならない時期になっています、同時期に採用されたUH-60J救難ヘリコプターは後継機として改良型の調達が開始されますので、後継機の必要性は時期的に見ても非常に高くなっている、と。

Himg_3486 U-125Aの後継機は、U-125Aの改良型でもいいのですが、運用費用が増大する覚悟で空中給油受油ブームを搭載するUH-60Jの増勢に対応し、C-27輸送機やC-130系統の輸送機を空中給油機に改修し、有事、大規模災害のような状況を想定するのですが、場合によっては輸送支援へ、また飛行時間の延伸へ寄与するような機体があってもいいのかな、と。

Himg_3495 もちろん、U-125の後継機にC-27等を採用した場合、維持費が非常に大きくなってしまい航空自衛隊の装備運用体系を再構築しなければならなくなる可能性がありますので、安易にそういった対応を採る事は出来ませんが、これは別としても後継機、考えねばなりません。航空自衛隊だけでなく後継機選定を急ぐ機種は多々ありますが、ね。

Himg_3501 E-767も着陸へ進入してきました。E-767後継機ですが、理想は米空軍のE-3早期警戒管制機後継機に合わせ、近代化改修の軸足を結ぶことですが、これが現状では出来ない。無理にAPY-2を再生産要請しても完成する頃に米空軍でE-3後継機選定が始まっては一挙に新品のAPY-2が陳腐化するため意味が無い。

Himg_35060 すると、B-737AEW&Cを導入し当面は豪州空軍や韓国空軍と段階近代化改修の軸足を併せ、航続距離の不足に関しては那覇基地と三沢基地への前進配備と空中給油機との連携を以て不足を補うのか、三沢基地などの既存の航空掩体に入るE-2D早期警戒機を導入し早期に数を揃えるのか、こういった選択肢が現実的でしょうか。

Himg_3524 E-767は高性能な機体ではあるのですが、4機しか導入されていないため、一機も損耗が無い状態で持続的一空域展開を行うのが限界です。損耗を念頭に置くならば、予備機が必要になりますので、その予備機の地位に立つことが出来る機体を目指すのか、取得性を重視するのか、この決定は難しい。

Himg_3542 異機種編隊飛行が完了したのち、T-4は降りてきません、そして異機種編隊の参加したT-4練習機の機数に対して離陸したT-4練習機とでは機数が合いません、そう、離陸したT-4練習機は大編隊を組み編隊飛行を行うべくこちらへ向かっているところ、その編隊がいよいよ見えてきました。

Himg_3545 T-4練習機の編隊飛行、編隊飛行も順光で撮影です。T-4練習機は低速での飛行性能を展示するべく脚部を展開させ飛行している模様、その編隊飛行の様子は次回の特集にて紹介したいと思います。お楽しみに。

北大路機関:はるな

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江田島第62期一般幹部候補生・第64期飛行幹部候補生課程修了式詳報⑦ 練習艦隊出航

2013-12-25 23:25:19 | 海上自衛隊 催事

◆近海練習航海部隊・外洋練習航海部隊、出航

 くらま、かしま、洋上に居並ぶ艦艇、祝賀飛行が編隊で練習艦隊上空を飛行すると時を重ね、いよいよ艦隊は出航へ。

Eimg_05260 練習艦かしま、がゆっくりと江田島湾を進み始めます。練習艦隊司令官淵之上英寿海将補が座上する旗艦を中心に、五隻の練習艦と護衛艦が近海練習航海部隊、外洋練習航海部隊としていっせいに江田島湾から太平洋へ向け、大きな門出をはじめたところ。

Eimg_0527 江田島基地dの幹部候補生課程は文字通り分刻み、予定が目一杯組まれていることから秒刻みで駆け足と号令の連続、これが教育課程における基礎行動であり他に履修すべき課程を当然こなさなければなりません。彼ら彼女らは陸でこれを修め、修了し、今海へ。

Eimg_0533 しかし、海上勤務、特に幹部候補生課程を経て海上に出た要員は幹部自衛官としての道を歩まねばならず、陸上の文字通り机上で叩き込まれた行動とその規範性を実行に移さねばならない、これが艦隊勤務です。机上の実技を洋上で活かす、それがこれから。

Eimg_0534 海上自衛隊は自他ともに認める世界最強の海軍に数えられた旧帝国海軍の伝統を受け継いでいます。そして今日、海上自衛隊は決して十分ではない防衛力を以て我が国の防衛と海上交通路の反故、国際公序としての海洋の自由を防護するステイクホルダーの一員として勤めねばなりません。

Eimg_0535 海上自衛隊の教育は素養教育と練成訓練を柱として、全ての階級がそれに応じた教育を受けます。幹部候補生学校では訓育と体育に陸上警備と服務や体育を履修し、実習幹部へと練成されます。その後術科学校で専門教育を受けるのですが、指揮官だる以上、全ての職域を概ね指揮できなければならずこれが大変です。

Eimg_05670 当方が初めて聞いたときは相当驚いたのですが、海上自衛隊の幹部自衛官は特定の特技を有しつつ、航海や火器管制に船務等など、様々な任務を転属と共に切り替えて運用と指揮を経験するため、未経験の部署に配属されること基本で、未経験分野では失敗を重ねれば文字通り人命に係るだけに海士長に幹部自衛官が罵倒される状況もあるとのこと。

Eimg_0580 しかし、事情を知れば納得するのですが、幹部自衛官ではなく曹士の教育は職域のプロを養成するもので、非常に緻密綿密です。課程だけで海士初級課程、海曹普通科、海曹高等科、海曹士特修科、海曹士専修科と分かれ、この江田島だけでも、攻撃、船務、運用、射撃管制、潜水、輸送、電子整備など60近い分野で専門要員を養成していますので、海曹海士は全員特定分野のプロなのです。

Eimg_0582 もちろん、初級幹部も徒手空拳で専門書だけを相手に学ぶのではなく、初級幹部専門課程は第一術科学校で通信と気象海洋、第二術科学校で機関と技術、第三術科学校で航空特技九分野、第四術科学校で経補を、それぞれ専門教育を徹底して受けます。

Eimg_0599 幹部自衛官の教育は初級幹部では以上の通りですが、全ての術科学校が中級幹部特技課程、幹部専攻科課程、幹部任務課程、幹部特修科課程、幹部専修科課程を置いており、教育は責任が大きくなると共に身に付けなければならない分野が広がります。言い換えれば、幹部候補生課程とは、一生涯学び続ける素養の定着を図ることが目的なのかもしれませんね。

Eimg_0606 上記の課程を経て、幹部自衛官は幹部候補生学校を受験する資格を得、指揮幕僚課程と幹部高級課程と幹部特別課程を受けます。受験回数に制限がありまして、記憶するというような資格試験や受験勉強ではなく文字通り身についているのか、という部分が試験で徹底して選抜されるとのこと。

Eimg_0608 海上自衛隊はこうして幹部学校において艦というシステムの指揮官を艦隊という海上防衛システム全体の運用者に叩き上げ鍛え上げ、以て日本海上防衛という我が国最大の地球防衛システムを動かす部隊指揮官を養成します。つまり、幹部候補生課程修了とは、この壮大な道筋の入り口に立った、という訳でもあります。

Eimg_0616 もちろん、上に上に行くことは目的ではなく手段ですので、その分野のエキスパートとして部隊を高めるという職責もあり、そのシステムは旧帝国海軍の教育体系に海上自衛隊創設に際し問題点を是正するべくアメリカ海軍の様式を併せ組み上げたもの。

Eimg_0623 いわば、“人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり”を地で行くもので、海上自衛隊の最強の戦力とはイージス艦でもヘリコプター投資あ護衛艦でも哨戒機でもAIP潜水艦でもなく、人的資源とこれを練成する体系、ということができるわけです。

Eimg_0627 旧海軍空の大木は革新点として、旧海軍では軍令部と第一線部隊指揮官の感覚乖離が指揮統率の限界を生んだという関係から、幹部自衛官は部隊指揮官と幕僚勤務を交互に配置する人事を行っている、とOBの方に教えてもらいました。先の大戦で時として人席させられる部分には海上自衛隊は手を打っているわけで、なるほど。

Img_0625 もっとも、人間どの分野でも一生勉強生涯修身、とは教授の御話しでありましたが、なるほど、これが制度化されている、ということなのですね。登舷礼、文字通りこれから海上自衛隊の幹部自衛官として学び続け経験を積み重ねる端緒についた実習幹部の門出、意味は大きい訳だ。

Eimg_0638 こう書いて言った上で、お気づきの方は多いと思うのですが、撮影位置、失敗しました、艦隊が一列になる位置を探して歩き回った訳なのですけれども、なんとなくこの場所は真正面ではないという事に気づいた、外海に近い場所に行き過ぎたらしい。

Eimg_0640 ううむ、やってしまったか、高田港付近がいいのかもう少し移動した、先ほど高台から撮影した帰路にもっと良い場所があったのか、初めて展開した江田島だけに撮影位置選定に見誤った。もっとも、五隻一列にはならない狭い湾内、これはこれでいい写真だとも思うのですが、ね。

Eimg_0647 こうして、練習艦隊は出港を開始しました、遙か遠い投錨地に望見した練習艦と護衛艦が目の前に近づいてきました。近海練習航海部隊と外洋練習航海部隊が目の前に、その様子は次回掲載することとします、お楽しみに。

北大路機関:はるな

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東北方面隊創設50周年記念行事詳報④ 創設50周年作曲、“七彩の奥羽国”音楽演奏

2013-12-24 23:53:02 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆東北七県の平和と安定を願う壮大な音楽演奏

 東北方面隊創設50周年記念行事は観閲行進に先立ち音楽演奏が展開されます。

Simg_9977 音楽演奏、と聞いていたのですが前進してきたのは第9戦車大隊の74式戦車、第二世代戦車の極致を示す国産戦車は古くとも堂々の威容を示し、音楽演奏ではあるのですが105mm戦車砲は飾りではないことを示すように空包射撃実施へ赤旗が掲げられています。

Simg_9978 第9戦車大隊の74式戦車は一両や二両ではなく続々と前進してきました、東北地方での音楽演奏は戦車が参加するようです。そして演奏されるのは七彩の奥羽国、東北方面隊創設50周年を記念し作曲された新曲堂々の披露となりました。

Simg_8485 東北方面音楽隊、第6音楽隊、第9音楽隊の合同演奏は、音楽隊だけではなく戦車などの支援を以て実施されます。これは作曲家の田中賢氏により作成された記念曲で、演奏には音楽隊の楽器に太鼓とともに防衛装備品が演奏に参加する、というもの。

Simg_9988 96式装輪装甲車も12.7mm重機関銃に空包を装填し入場してきました。戦車と装甲車、機械化部隊が参加する音楽演奏というのは中々ありません。音楽演奏に105mm砲が参加することは知っており、これがFH-70になったりすることは知っているのですが、此処までは。

Simg_0032 七彩の奥羽国、第1章愛と慈しみの讃歌、空気を切り裂く衝撃音が大気を叩く、第9特科連隊のFH-70榴弾砲が空包射撃を展開します。1個中隊は展開しているもよう。ところで、観閲台から距離があるので音楽演奏はスピーカーを通じて聞こえてくる呑み、その分だけに火砲の空包射撃が迫力と共によく響く。

Simg_9990 重機関銃と共にエンジン音を響かせるのが装甲車や戦車です。12.7mm重機関銃は設計こそ古いですが完成しきった装備で今なお車載装備として不可欠なもの、ですが、これからは音楽演奏にも不可欠なものに、なるのでしょうかね。

Simg_0017 引っ叩かれるような衝撃音が地面を瞬時に這ってこちらへ、L-7型105mm戦車砲、74式戦車から空包の衝撃が解き放たれました。155mm榴弾砲は音が上面へ抜けますが、戦車砲は口径が小さくともその音が地面に沿って文字通り音速でこちらにやってきますので、大きく感じる。

Simg_0043 七彩の奥羽国第2章祭り、太鼓の地均しのように響く様子は火砲と重機関銃が再現し、重機関銃が射撃を行う最中に榴弾砲が装填され次の発砲の瞬間を待つ、それにしても背景が木立で偽装されたFH-70榴弾砲が並ぶこの様子が音楽演奏だとは。

Simg_9996 戦車の発砲焔、音楽演奏で撮影することになったのは新鮮と言いますか、それを通り越すといいますか。戦車小隊が次々と発砲するのですが、どの戦車が射撃するのかがなかなかつかめなかった。東北方面隊というよりも記念行事を行う広大な霞目飛行場故の展開、というべきか。

Simg_0044 
 七彩の奥羽国第3章戦いと平和、音楽演奏にUH-1多用途ヘリコプターが加わりました、東北方面航空隊の所属航空機、半年後の東日本大震災ではここを拠点として飛行した災害派遣第一陣の航空機、宮城県知事も自衛官時代にUH-1にてここから離陸していました。

Simg_00470 編隊で機械化部隊の上空を飛行するヘリコプター、ヘリコプター配置によって聞こえてくるエンジン音が全く違ってきます、他の装備品もそうですがヘリコプターも曲へ飛行経路にドップラー効果も排気口の向きも計算されて作曲されているとのこと。

Simg_8500 74式戦車とともに背景に並ぶのはMLRS,方面特科部隊が投射する全般火力支援書き、従来の面制圧火器からロケット弾の更新で長距離精密打撃力へと転身した装備、もっともさすがにMLRSはこの音楽演奏に参加していません。

Simg_0050 七彩の奥羽国、下手な模擬戦よりも参加部隊が多いのですが、背景には観閲行進へ待機する部隊が並んでいます。音楽演奏でこの迫力、方面隊行事で一番派手なのは市街パレードの西部方面隊か広大な会場の東北方面隊か、と比べられますが、なるほどなるほど。

Simg_0053 こうしてUH-1の飛行と共に演奏は終幕しました。屋内演奏には戦車や火砲とヘリコプターは参加できません、屋外でこそその迫力が活きる、いや、射きるというような内容の演奏でした。さすが50周年記念、前回2006年に足を運んだ時とは違う。

Simg_8530 演奏を終えて74式戦車が後退してゆきます、背景にはUH-1多用途ヘリコプター、音楽演奏に参加した機体とこの後祝賀飛行に参加する機体、それとは別の機体、会場が広いと待機する部隊も多い、戦車とヘリコプターが並ぶと第一線の野戦飛行場のような趣き。

Simg_8487 こののち祝賀飛行に参加する機体は霞目飛行場と飛行場地区が記念式典会場となることから東北方面総監部の置かれている仙台駐屯地から続々と離陸し、仙台市上空で編隊を組みつつ空中待機しています。点々と編隊が並ぶ様子が見えるでしょうか。

Simg_8479 音楽演奏に参加した音楽隊、高機動車にはスピーカーを搭載して音楽隊の演奏が戦車砲や榴弾砲に負ける事と無いよう音楽を増幅して会場に轟かせます。音楽隊の規模はかなりのものなのですが、重装備の迫力と負けないように頑張っているという印象です。

Simg_8535 後退してゆく74式戦車、東北方面隊隷下には二個師団、そのもとに師団戦車大隊があります。第9戦車大隊は冷戦時代に青函地区という戦略上の要衝を守るべく中隊数を北部方面隊と同程度としていたことで知られます。

Simg_8357 射撃態勢を解除したFH-70榴弾砲、背景には88式地対艦誘導弾が並んでいます。観閲行進では広大な霞目飛行場の外縁道路に並んだ車両が全てこの記念式典会場を進んでゆく、勿論観閲行進の他にも行事が多数予定されています、これは単なる始まり。

Simg_8523 音楽演奏の支援車両が撤収を開始しました、大きな箱状のものがスピーカです、高機動車には音楽隊員も乗車している模様、戦車や装甲車の迫力が目立ちましたが、音楽隊と支援車両の車列、演奏だけでもこれだけの部隊が参加していたのですね。

Simg_8540 観閲行進はいよいよ開始されます、音楽演奏の迫力も凄かったのですが東北方面隊の観閲行進は陸上自衛隊行意の中でも有数の車両が参加する大規模なもの、まず砂塵を防ぐべく除染車が散水しつつ前進してゆきます。観閲行進の様子は次回にお伝えしましょう。

北大路機関:はるな

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海上自衛隊、12月に入り米海軍・ロシア海軍・インド海軍・韓国海軍と相次ぎ共同訓練を実施

2013-12-23 23:54:25 | 国際・政治

◆太平洋・日本海・東シナ海・インド洋・アラビア海

 先ず南スーダン情勢から。情勢悪化が伝わる南スーダンにおいて反乱軍に包囲孤立した韓国軍の要請で自衛隊が国連を通じ小銃弾一万発を緊急供与する事となりました。

Eimg_4826 こうした緊急時における即座の協力は平時からの信頼醸成が重要となってくるのですが、この重要な要素となるのは多国間合同訓練です。そして今月に入り海上自衛隊は米海軍、ロシア海軍、インド海軍、韓国海軍と立て続けに共同訓練を実施、その訓練海域も太平洋上、日本海、東シナ海、インド洋、アラビア海と多くの海域で実施されています。

Eimg_8896 イギリス海軍防空駆逐艦デアリングが今月初旬の1日から3日にかけ東京港を親善訪問し、45型駆逐艦の威容を示したことは記憶に新しいですが、同時に共同訓練を海上自衛隊は世界中のかなり広い範囲において実施していました。

Eimg_1927 共同訓練を概要をみてゆきましょう。韓国海軍とは12日、九州西方の東シナ海において捜索救難訓練を実施、海上自衛隊は第11護衛隊司令加藤雅己1佐を指揮官として派遣、海上自衛隊からは護衛艦あきづき、せんだい、SH-60K哨戒ヘリコプターを派遣し実施しました。韓国海軍は艦艇数隻を派遣し、訓練を実施したもよう。

Pimg_4221 これに先立つ12月11日、海上自衛隊はアメリカ海軍と韓国海軍とともにアラビア海に接するアデン湾において日米間共同訓練を実施しています。この訓練は海賊対処活動において協力する3か国間の相互運用性向上及び情報共有の促進を図るともに海上自衛隊の戦術技量向上を図るものと発表されています。

Eimg_0453 日米韓の共同訓練は海上自衛t来がソマリア沖海賊対処任務へ展開している部隊が現地で実施したもので、海上自衛隊は護衛艦ありあけ、せとぎり、が参加、米海軍と韓国海軍からは艦艇数隻が参加したほか、海上自衛隊のSH-60哨戒ヘリコプターも2機が訓練へ参加しました。

Eimg_4750 ロシア海軍と海上自衛隊の訓練は既報の通りですが、日ロ捜索救難訓練が16日から20日に掛けて舞鶴沖の日本海において実施、日本側は指揮官に第 3護衛隊司令伍賀祥裕1佐が、ロシア側は太平洋艦隊艇団指揮官のアンドレイアナトリエヴィチクズネツォフ大佐が参加、舞鶴へ入港した艦艇は一般公開も行われましたので足を運ばれた方も多いでしょう。

Eimg_4619 ロシア海軍対潜駆逐艦アドミラルヴィノグーフと航洋 曳船カラル、補 給艦イルクートが参加し、海上自衛隊はヘリコプター搭載護衛艦 しらね 、ミサイル艇はやぶさ、水中処分母船1号、ミサイル艇はやぶさ、水中処分母船1号 、P-3C哨戒機1機、SH-60J哨戒ヘリコプター1機を参加し、救難訓練の他、立ち入り検査訓練と通信訓練も実施されています。

Eimg_1302 インド海軍との共同訓練は21日から昨日22日にかけ、チェンナイ沖のインド洋に接するベンガル湾洋上において実施され、海上自衛隊からは第7護衛隊司令清水博文1佐が、インド海軍からはSゴパラクリシュナ大佐が参加、昨年の日印共同訓練では救難を中心として実施されていましたが、今回は対潜戦闘と対水上射撃や戦術運動訓練を行っています。

Eimg_1240 海上自衛隊からは護衛艦ありあけ、せとぎり、が参加し、インド海軍からは駆逐艦ランビジェイ、フリゲイトサプラ、コルベットクタールが参加しました。この訓練は海賊対処任務を第17次派遣隊の護衛艦さみだれ、さざなみ、へ引き継いだ帰国の途上に実施したものと考えられます。

88img_3524 更にこちらも既報の通りですが、現在、海上自衛隊第2護衛隊群は指揮官に群司令の岩崎英俊海将を以て平成25年度米国派遣訓練として護衛艦あしがら、てるづき、たかなみ、あまぎり、を現在太平洋上をハワイ方面へ派遣中です。

Eimg_1415 こうした訓練は、一つ一つの規模は小さいながら、多国間関係、信頼醸成という意味で大きな意義があります。また、今月に入ってからだけでも、これだけの訓練が多国間で立て続けに実施されており、多国間の協調という点を強調することは、その平和秩序の絆を誇示するものでもあり、同時にこの秩序へ挑戦する別勢力に対しても一つの抑止力ともなるでしょう。

北大路機関:はるな

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南スーダン情勢緊迫!反乱軍北部ユニティ州・ジョングレイ州を制圧、内戦勃発の懸念高まる

2013-12-22 23:53:38 | 国際・政治

◆自衛隊PKO部隊活動中、アフリカ連合・国連調停へ

 建国間もない南スーダン共和国において非常事態です。クーデターが発生し反乱軍が北部ユニティ州とジョングレイ州を制圧、情勢は緊迫化しています。

Img_1499 自衛隊の派遣部隊の状況は?、戦況の展開は?、などなど関心を要する状況です。南スーダンは自衛隊PKO部隊が派遣中で、今月も福知山第7普通科連隊より連隊長を指揮官とした第五次派遣部隊が出発しています。これまでのようにアフリカ中部の新興国での騒乱という認識ではなく、日本が新しい国造りに協力している状況下での事態、ということ。そこで今回は、南スーダンでの今回の事態の現状とその背景について、そして自衛隊の派遣部隊や他のPKO部隊の状況と各国の対応等について、情報をまとめてみましょう。

Gimg_2011 南スーダンは2011年7月にスーダン共和国より分離独立し誕生した新しい国家で、新国家建設と共に国連は新国家建設を支援するべく国連安保理決議1996号に基づきPKO任務の展開を決定、国連スーダン派遣部隊UNMISSとして各国より8000名規模の部隊の協力を受け活動中で、現在、陸上自衛隊は福知山第7普通科連隊を中心に400名規模の部隊を派遣中です。自衛隊派遣部隊は施設車両のほか、部隊防護用装備として軽装甲機動車やMINIMI分隊機銃、89式小銃などを携行しています。

Img_2648 南スーダンでの大規模な戦闘に展開している今回の事態について、発端は12月16日の在南スーダン大使館情報として南スーダンの首都ジュバ市内複数個所において断続的に爆発音や銃撃戦が展開し治安が突如として悪化したことが発端で、外務省は12月16日に本省岡村アフリカ部長を長とする外務省連絡室を設置、情報収集に当たってきました。現地報道では大統領警護隊部隊内において部族間対立が激化し友軍双撃の状況になったとのこと。

Adimg_7419 この銃撃戦はBBC等の報道から、今年罷免された南スーダンの元副大統領マシャール氏が実施したクーデターによるものとされています。なお、マシャール元副大統領はこの一連の擾乱を去るばきーる大統領による性的排除の粛清として避難している模様。同国のサルバキール大統領は難を逃れたためクーデターは失敗しましたが、マシャール陣営の同調者が反乱軍を組織し、北部の油田地帯でありユニティ州において武装蜂起、同州治安部隊等を撃破しこれを占拠すると共に18日には南スーダンの主要都市であるボル市を占領するに至りました。

Gimg_6502c ボル市は産油地帯である東部ジョングレイ州の州都で反乱軍は22日までにジョングレイ州を制圧、政府軍部内においても反乱軍であるマシャール元副大統領陣営への合流を宣言する部隊が出るなど情勢は混とんの一途をたどっており、反乱鎮圧へ向かった南スーダン軍との間で大規模な戦闘へ展開し、既に数百人が死亡したとの報道があります。これをうけ自衛隊南スーダン派遣部隊は戦闘による戦災者への首都ジュバ市内での給水支援などを実施しています。また、アフリカ連合や国連は停戦へ向けた仲介を開始した模様です。

Gimg_4136 現時点で、陸上自衛隊の南スーダンPKO任務は同国の首都ジュバ市内とその近郊での道路及び橋梁の復旧や構築支援や輸送任務、支援調整所運営となっており、このほか今年から自衛隊の任務範囲が拡張され、任務管区へ西エクアトリア州と東エクアトリア州が含まれることとなっていますが、首都での戦闘は散発的となっており、現在、情勢悪化を受け自衛隊のPKO任務はいったん中断し、宿営地を拠点とした情報収集などに重点を置いていますが、戦線が現状の反中であれば、戦闘に巻き込まれる切迫性は幸いありません。

Img_2848 しかしながら、情勢は流動的で予断を許しません。19日にはPKO派遣のインド軍部隊宿営地が攻撃され2名の戦死者を出しており、アメリカ空軍及びイギリス空軍、フランス空軍は南スーダン国内の自国民救援へ空軍輸送機部隊を派遣しているほか、国境周辺の自国民に対し、不可能でなければ隣国のウガンダへ脱出するよう要請が為されています。我が国でも外務省は危険情報を渡航延期から最大度である退避勧告へを転換し既に出していますが、幸い、現在のところ南スーダン国内には政府職員と一部を除きいない、とのこと。

Img_3258 更にPKO部隊へも危険は及んでおり、ジョングレイ州に駐屯する韓国軍PKO部隊はジョングレイ州が反乱軍により制圧されたため、現在韓国軍は包囲されています。これは韓国軍宿営地の市長が既に行政能力を反乱軍に掌握されていることを発表しており、事実上孤立していることを示します。ただ、韓国国防省によれば韓国軍部隊は包囲されているものの現在のところ韓国軍部隊に対して攻撃が向けられていないことから宿営地内において情報収集を実施しており、現在のところ撤退は考えていないと発表しました。

Aimg_2030 しかし、今後情勢が悪化した場合、2000年のシエラレオネPKO部隊の救出作戦、イギリス軍主体のパリサー作戦のような緊急展開任務が必要となる可能性があります。パリサー作戦、これは英連邦加盟国であるシエラレオネにおいて2000年5月、統一革命戦線が武装蜂起、首都を制圧する反乱事件が発生し、国連シエラレオネ派遣団のPKO要員500名が撤退することも出来ず人質となった事案が発生し、このPKO部隊を救出するべく実施されました。

Aimg_2495 このシエラレオネの事件では派遣部隊を送り出した西アフリカ経済共同体加盟国軍では対処できず、パリサー作戦が開始されました、即ちイギリス海兵隊が緊急展開し救出した作戦です。今回もこうした事態となる可能性は皆無ではありません。そしてシエラレオネは英連邦加盟国であるためイギリス海兵隊が主体として軽空母や強襲揚陸艦等を派遣し救出作戦が行われましたが、南スーダンは英連邦加盟国ではないため、他のPKO派遣国等を中心として任務を実施することが求められるでしょう。

Thimg_7584 こうした中で、本日21日、ジョングレイ州へ自国民救出へ向かった米軍のV-22可動翼機3機が地上から攻撃を受け搭乗員4名が銃撃で負傷する事案が発生しています。攻撃を受けたV-22は救出活動を断念し、ウガンダのエンデベ空港へ転進、負傷者はC-17輸送機によりケニアのナイロビへ急送されました。米軍機への攻撃に対し、オバマ大統領はこれを強く非難し、特にアメリカ大使館などの機能維持へ海兵隊緊急展開部隊45名を南スーダンへ派遣しています。

Img_0697f 南スーダンは冒頭に記したとおりスーダンより内戦を経て2011年に独立を果たした新国家ですが、その北部、スーダンとの国境地帯を中心に石油を産出するアフリカ大陸屈指の産油地帯を抱えていることから、スーダンとの外交関係や国境地帯などの問題で流動的な要素を抱えていました。2012年4月には南スーダン軍が越境し、スーダン国内のヘグリグ油田を武力制圧、これに対しスーダン軍が反撃し戦闘に展開したほか、国境地帯の緊張状態は続き、国連PKO部隊のヘリコプターが南スーダン軍の誤射を受け撃墜された事案も発生しています。

Bimg_5803 PKO部隊は国境の平和維持よりはインフラ整備を主目的として展開しています。他方、独立間もない南スーダン軍が重装備を殆ど保有していないのにに対し、スーダン軍は中国製99式戦車や81式小銃、長射程ロケット、中国製J-7戦闘機を保有しているほか、MiG-29戦闘機やMi-35攻撃ヘリコプターなどを装備しています。これは、非民主国家とは石油取引を行わないという日欧米の指針に対し、中国政府が非民主国家との間でも取引を行い独占的な販路を確保するに至り、その見返りとして最新鋭の兵器を販売したことによるもの。

Img_0070 人権抑圧国家とはいっても建前と本音を使い分ければいいのだろうにいったい何をしたのか、と思われる方もいるでしょうが、スーダンは西部のダルフール紛争において2003年以降、実に自国民を40万名以上虐殺しているとされ、民族浄化が今世紀に入り繰り広げられたわけです。民族浄化、40万、これでは流石に日欧米も認める事は出来ません。ただ、スーダンと南スーダンの国境紛争を見ますと、南スーダン側はPKO部隊を政治的な盾とする政策を採っており、感心は出来ません。

Nimg_3433  南スーダンは産油地域を中心に独立した国ではあるのですが、南スーダンは石油精製施設は不十分であり道路や鉄道網などが未整備でパイプラインも敷設されていないことから石油輸出を行うことが出来ません。他方、南スーダン建国でこの地域の石油はスーダンのような人権抑圧事案が発生していないことから日欧米には取引を行う余地があります。他方で、スーダンとしては産油地帯を削られた形となるもので、このあたりも今回の事案の背景にあるのでしょうか。

Img_8287 こうした状況下で、スーダンから内戦を経て産油地帯と共に独立した南スーダンという国は政治体制がまだ盤石ではなく、更に産油地帯を巡り国境紛争も発生しています。そこに今回のクーデターとこれに続く反乱軍の大規模な攻撃が重なっており、我が国も派遣している自衛隊PKO部隊について、その進退を慎重に考え、部隊への危険が迫るという場合によっては持ち帰れない機材を破壊し、人員のみ撤退する判断についても考える必要は出てくるかもしれません。

Aimg_0792 現在、アメリカ軍やイギリス軍、フランス軍の救援部隊に加えて、ケニア軍都ウガンダ軍が国境地帯での安定確保へ部隊を投入しています。他方、今回の国連南スーダン派遣任務は国連憲章第七章措置に基づくものとして安保理決議のもと派遣されているため、場合によっては平和維持任務から平和執行任務へ転換することも考えられるかもしれません。こうした要請が国連より為された場合、我が国としてどういう対応を採るのかは、検討する必要があるでしょう。

北大路機関:はるな

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