北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【日曜特集】海上自衛隊60周年観艦式【10】ヘリコプター搭載護衛艦くらま・イージス艦ちょうかい(2012-10-08)

2023-04-30 20:20:41 | 海上自衛隊 催事
■横浜市街とイージス艦
 横浜の情景、日曜特集は他の記事に関連する写真のアーカイブを作成する意味も含めていますので中々前に進まない。

 2012年の観艦式写真を2023年に見返しますと、やはり防衛力整備の方向性と伝統的な自衛隊の装備体系の転換が、此処まで変わるのか、2003年の北大路機関創設当時と2012年の自衛隊観艦式の頃の自衛隊を比較した場合以上に転換の度合いの大きさに驚かされる。

 3.11東日本大震災の影響もあるのでしょうが、ミサイル防衛の重視による自衛隊の従来装備体系の瓦解、防衛崩壊という他ない程の防衛力の空洞化と、これを補うための反撃能力整備というもの、この二点というものが、自衛隊の方向性の転換の大きな変容とおもう。

 東日本大震災に伴う原発停止、考えるとこの当たりの拙速でポピュリズム的な対応が、それまでモノヅクリタイコクと称され製造業を基幹産業としていた日本の競争力を劇的に鈍化させ、しかも製造業以外分野での競争力の薄さ、規範形成能力が国力を削いでしまった。

 怒号を議論と勘違いする層、結果的にポピュリズムを形成してしまい、原則論同士の、いわば成り立たない価値観の衝突を公的な議論において塗布することで、政治を劣化させるとともに、政治参加の時間を、経済活動と両立する難しさが削いでいる現状もありますが。

 反原発に全てを押し付ける訳ではありませんが、併せて日本が権威主義国家ではなく民主主義国家であり、一旦方向性が示された方式を切り替える事の政治的な難しさが、製造業に必要な電力を削ぎ、その利益で創生されるべき次世代産業への転換の道も閉ざしている。

 電力の話は競争力の話に終始するのですが、しかし波及効果として日本のポテンシャルそのものの変容というものが、結果的に安全保障情勢にも影響を及ぼしているのではないか。具体的には元々低い規範形成能力と、これを補完した経済力の両輪関係が喪失した、と。

 軍拡には反対、という主張はあるのですが、結果的に均衡が崩れてしまったというのは上記の通り、そして均衡が崩れている状況での防衛力再編を行う必要があったのですが、破綻点を迎えるまでは、現状で何とかなっている、と反論されますと覆す論理はむずかしい。

 2012年と2022年、この特集を始めましたのが2022年、比較しますと、戦車も火砲も激減し、ロケット発射機に対戦車ヘリコプターも全廃に向け推移している。何処かで覆さないと、抑止力が破綻し、朝鮮戦争やウクライナ戦争のような状況になってからでは、おそい。

 安全保障関連三文書、2022年の防衛力再編と共に防衛装備は多少、専守防衛を果たせる程度には回帰するのだろう、こう思っていました。日本を責められれば実力で追い出す、その能力を誇示する事で相手に思いとどまらせる、抑止力はこういうものだと理解していた。

 戦車大隊の復活もあり得て機動運用部隊らしい装備になるのだろう、こう期待していましたら、説明によれば、これは第3師団広報の方にお教えいただいて、逆にびっくりしたのですけれども、地域配備師団や即応機動師団という名称はなくなり、統合されてしまう。

 地域配備師団であった部隊はそのままの装備で機動運用部隊として運用されます、との事で、ちょっとこの装備とこの人数ではなあ、と考えさせられたものです。まあ、要するにミサイル防衛で調達できなかった装備、これらを揃える方が先決だ、と思うのです。

 AH-64Dアパッチロングボウ戦闘ヘリコプターの残り49機と耐用年数を迎える12機の後継機に損失予備の1機、調達できなかった10式戦車600両のうちの戦車300両定数ぶんとか、多くの装備が削減されていますが、これらが一旦充足したならば、また違いました。

 “専守防衛に必要な装備で着上陸した敵を迎え撃つ”としましたうえで“日本本土へのミサイル攻撃が行われた場合には反撃能力を行使して敵の本土を叩く”となります、しかし、“専守防衛の部隊が減らされておりまともな作戦ができない”現状では話は別となる。

 “反撃能力を装備している”わけなのですから、敵本土からの日本本土へのミサイル攻撃はないのだけれども、ほかに戦車も航空機もないのでミサイル攻撃を行う、という施策しか“選択肢がなくなる”ということに懸念するのです。すると海を挟んだミサイル戦に。

 ウクライナがモスクワへの大規模攻撃を計画するも核攻撃で反撃されるとのアメリカの勧告を受け入れ断念した、という報道が先日ありましたが、日本の場合は、まあモスクワを叩く事は無いのでしょうが指揮中枢も目標といいますので、これに近い事はやるのだろう。

 反撃能力が残っているのに降伏はあり得ませんし、じゃあ九州と沖縄と北海道はあきらめよう、西日本と東北も場合によっては仕方ない、関東地方か、もしくは東京以外はあきらめよう、なんていう選択肢は国家としてはあり得ないわけです。すると、優先度は違う。

 “まず防衛力をミサイル防衛により削られた段階まで戻す”ということが緊急に必要であり、“反撃能力の防衛力整備はその次”というのが自然流れではないのか。このあたりが自衛隊を、初めて駐屯地祭にいった当時はOD作業服と64式小銃の時代だったのですし。

 動いている61式戦車を撮影し60式自走無反動砲の射撃を発砲炎がうつらないと嘆きながら一生懸命撮影し、60式装甲車の退役を見送ったという世代、そんな世代からはちょっと違和感を受けるのですね。反撃能力、これも政府はトマホークを500発ほど買うと発表へ。

 これが閣議決定では400発となりまして、なるほど“ほど”というのは大雑把だ。100発も減らされるのか、臨時ボーナスですごい凄いといいながら実際には数千円を配るときと一緒だなあ、と思いつつ、これをどのようにして運用するのかが未知数です。

 政府の説明ではイージス艦に搭載すると在りましたが、イージス艦の任務は艦隊防空なのです。ミサイル防衛で、それではイージス艦はミサイル防衛のSM-3迎撃ミサイルで艦隊防空用のミサイルが大きく削減されているのだから、ここにトマホークを搭載すると大変だ。

 VLS垂直発射装置を占有したならば更に艦隊防空ができなくなる、と危惧したものでして、心配は残る。潜水艦用垂直発射装置の研究、こうした防衛装備庁からの開発研究企業の公募がありましたが、要するにトマホークミサイルを導入した場合でも搭載する艦艇がない。

 ミサイルの問題という事を明示したわけでして、しかも通常動力潜水艦の船体はそんなにミサイルを搭載できません。防衛予算をGDP3%への増額を目指して新しく巡航ミサイル原潜を導入するという動きもありません。一方陸上配備型トマホークを導入する動きも無い。

 旧式潜水艦の船体を延長してVLS区画を追加して、一隻当たり18発程度搭載できるようにするならば、24年で退役する潜水艦を更に12年程度延命して潜水艦36隻体制を目指し、第一線で行動させるのではなく後方でミサイル運用に特化する様な施策ならば別だが。

 こんな防衛政策では朝令暮改ではないけれども五年後にはまた逆転するように大幅に見直されて、付き合った防衛産業が撤退するか数千億円を各社が賠償請求するほどの損失を被るのではないか、という危惧もあります。観艦式で示された防衛力は、ちがっていました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都発幕間旅情】大垣城-観桜,城郭包む桜花を愛でつつ考える次のコンパクトカメラ機種選定

2023-04-30 18:11:44 | 旅行記
■観桜と撮影と探訪
 さくら満開の最中に大垣城、東海道本線の東西を結ぶ拠点駅を構成します街の中心の城郭を探訪しました。

 お散歩カメラ、長年愛用したG7XmarkⅡを先日ヨドバシカメラで落としてしまい、実は予備と云いますか新品のG7XmarkⅡを確保はしてあるのですが、将来的に次のお散歩カメラをどのように考えるか、という、いわば次の予備機種選定を突き付けられる事となった。

 EOS-5DmarkⅣに24-105mmレンズと28-300mmレンズをカメラバックに収容して気軽にお散歩する、丸一日街並みを散策しますと翌日筋肉痛で後悔するかもしれません。すると、軽量で汎用性があって、そして画質に納得できる、それはお散歩カメラの定義だ。

 F-35戦闘機突然の飛来、お散歩していて一番困るのは突然望遠レンズが必要になる状況で、最近は70-300mmDOという、物凄くコンパクトな設計である望遠ズームを、余裕がある時は持ち歩いているのですがコンパクト機種として望遠に強いG3Xを導入したのはこのため。

 G7XmarkⅡは、実は突然高高度を飛行するF-35,いまでこそF-35はそれほど珍しいものではないのですが、導入から間もない時期でしたので証拠写真程度にしか映らないズーム性能の限られたG7XmarkⅡの性能には限界を感じたというのが、このF-35なのでした。

 V-22のように、今後も自衛隊に新しい航空機は増えてゆきますのでお散歩カメラと望遠性能というものはある程度考えなければならないものとなったのですが、それでは日常のお散歩カメラをG3Xに統合してしまえばよいかといわれますと、実はそうでもありません。

 ビアバー、いやCOVID-19の世界的感染拡大以来御無沙汰となった日常の愉しいひと時ですが、撮影して分かったのは望遠が得意で広角も凄い性能を発揮するG3Xは、暗い時間帯の色彩表現が不得手で、G7Xで撮影した描写程美味しそうに写らない問題があるのです。

 PowerShotZOOMという、単眼望遠鏡をデジタル化したような、最大800mmまでズームできるコンパクト機種をCANONが発表し、これには興味があるのですが、PowerShotの名前を冠している割には評判よい話をほぼ聞きません、写真愛好家の声が全て手厳しい。

 ZOOMを導入してG3Xの役割である、突然のF-35、という状況に対応しつつ望遠ズーム以外の用途をG7Xに任せる、という用途を考えたのですが、PowerShotZOOMの写真の仕上がりが余りに酷いという話では、写真を撮る上で土台がご破算となってしまうのですね。

 G3X、結局CANONはこのG3Xの後継に位置付けられるPowerShotG3XmarkⅡは出さないらしい、既にG3Xは生産終了となっていて、これが発表されたのが2015年でしたか、八年を経ても後継機種や、高倍率ズーム機種にはあまりやる気を見せていないのです。

 SHX70という、哨戒ヘリコプターのような高倍率ズーム機種は発表されているのですが、如何にも大き過ぎまして、G3Xでも充分大きかったものなのですからこれ以上大きくなると気軽に上着のポケットには収まらず、カメラバックを四六時中もちあるくほかない。

 G7XmarkⅡの後継機種であるが、ある程度G3Xの性能を盛り込んだ、光学ズームで600mmとはいわないので300mm、せめて200mmを標準装備しデジタルズームで400mm程度望遠が利く機種があればなあ、と考えるものの、G7XmarkⅢが市場に発表された際には。

 G5XmarkⅡ、驚いたのは性能的にG7XとG5Xが近寄ってきた、というところでしょうか。G5Xといいますと、ペンタ部が盛りあがっていて内部に電子ビューファインダーを内蔵している、というミラーレス一眼を意識した様なコンパクト機種となっていたものだが、ね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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スーダン政変邦人救出任務-ヘリコプター搭載護衛艦によるプレゼンスオペレーションを再開すべきだ

2023-04-30 07:01:44 | 防衛・安全保障
■次の危機に備えて
 浜田防衛大臣は29日、ジブチへ展開した邦人輸送任務部隊の撤収を命令し空前の危機に挑んだスーダン邦人輸送任務は名実ともに完了しました。

 ヘリコプター搭載護衛艦によるプレゼンスオペレーションを再開すべきではないか、今回のスーダン政変に伴う邦人救出任務を経てヘリコプター搭載護衛艦のプレゼンスオペレーションの重要性を再認識するところとなりました。プレゼンスオペレーションとは、インド洋等に海上自衛隊の護衛隊を派遣し、友好国との訓練強化や親善訪問にあたることです。

 プレゼンスオペレーションは、いずも、かが、この2隻が交代で実施していましたが、いずもF-35B搭載改修と、かが長期改修によりローテーションが成立たなくなっていまして、中断しています。もっとも、ひゅうが型護衛艦を加えてもヘリコプター搭載護衛艦は4隻のみですので、プレゼンスオペレーションを持続的に展開するには数が足らないのですが。

 スーダン邦人輸送、C-2輸送機の迅速な展開により、今回は奇跡的な成功を果たしましたが、しかし、日本は今後成長続くアフリカ諸国との関係を維持せねばなりませんし、アフリカ諸国にはまだ権威主義国家が残り、選挙ではなく政権は政変により突発的に交代するために、邦人輸送任務は今後も今回の様に突発的にその実施を突き付けられることとなります。

 ジブチ航空拠点、ここにC-2輸送機部隊やヘリコプター部隊を常駐する事が出来れば、突発的事態に対応できるのでしょうが、ジブチ校区拠点はソマリア沖海賊対処任務への対応を前提としてジブチ政府から基地使用を認められているという点を忘れてはなりません。目的外使用には限度があり、また自衛隊法上でも法改正を行わなければ実質不可能です。

 CH-47JA輸送ヘリコプターとAH-64D戦闘ヘリコプターを若干数づつ搭載し、格納庫の片隅に高機動車を置いておくだけで、擬似的な強襲揚陸艦のような運用も行えますし、SH-60K哨戒ヘリコプターを搭載しておくならば通常の対潜戦闘というヘリコプター搭載護衛艦の本来任務を両立できます。これは陸上での国際共同訓練にも資するものでしょう。

 新しい88艦隊、こう銘打って海上自衛隊の護衛艦隊を構成する8個護衛隊全てにヘリコプター搭載護衛艦を配備すべきだ、という持論を毎年八月八日に示していますが、アフリカ近海に即座に対応できる部隊を遊弋させておくことができるならば、万一、いや数年に一度突き付けられる危機に際して、安定した対応能力を保持する事が出来るかもしれません。

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【G3X特報】第33普通科連隊創設記念-久居駐屯地祭二〇二三,三重県津市の駐屯地祭(2023-04-09)

2023-04-29 20:22:26 | 詳報 陸海空自衛隊関連行事
■久居駐屯地祭2023
 自衛隊行事を撮影しても掲載する時機を逃すと少々遅れる事は北大路機関では毎度なのですけれども。

 今更ではありますが4月9日の久居駐屯地第33普通科連隊創設記念行事の様子を紹介しましょう。三重県津市、近鉄久居駅前に鷲のマークの普通科連隊隊舎が見えまして本当に駅前の駐屯地、というのが久居駐屯地です。駐屯地祭は駐屯地に隣接する訓練場で行われる。

 連隊記念行事、スタンド席が設置されます。スタンド席は基本的に招待客用となっているのですけれども、端の方のスタンド席は一般用となっていまして、実は今回スタンド席は若干遅い時間帯に到着する予定でしたので諦めていたのですが、偶然にしても友人さんが。

 名古屋の方と大阪の方、近鉄が結ぶ二つの大都市、というところでしょうか。感謝しつつ着席しました、そして久々のスタンド席という事どぁすれ層になっているのですが、スタンド席はお茶その他を落としやすいので注意が必要です、レンズとか落とすと大変ですね。

 式典を撮影するのはスタンド席が一番なのだけれども、訓練展示は撮影位置がいろいろあります、ただ、久居駐屯地は災害派遣展示に戦車中心から車両中心の展示に伝統的な普通科連隊らしい訓練展示まで行われますので、そういったいみでは撮影位置が難しいのだ。

 ヘリコプター、久居訓練場の名物はV-107輸送ヘリコプターとUH-1H多用途ヘリコプターの用途廃止航空機が置かれていた事なのですが、老朽化といいますか航空機の金属腐食でしょう、今年度の行事までに処分されていたようで見られなかったのは残念でしたね。

 駐車場が訓練場の伊勢湾側に用意されていたようで、撮影位置ですが、この式典会場から見て奥側が、開放されていたという訳ではないのだけれども通路として確保されていて、早い時間帯は移動するよう言われていたのですが最終的に見学者へ開放されていました。

 久居駐屯地に駐屯する第33普通科連隊は中部方面隊で最初に軽装甲機動車が配備された普通科連隊です。その配備開始は2002年というもので考えれば早いものでもう21年となりました。配備されたのは18両、当時はまだ小銃が64式小銃に62式機銃だった時代です。

 高機動車が配備されているところに軽装甲機動車が配備されたのですが、その前は連隊本部管理中隊の輸送小隊が装備していたトラックで辛うじて自動車化されていたという話ですから、高機動車により自動車化されたというだけでも自衛隊普通科連隊に大きな一歩だ。

 しかし、アメリカ海兵隊のライフル中隊さんの訓練を見るようになりますと、彼らが装甲トラックで移動していて、要するに徒歩歩兵なのだけれども必要に応じてかなり頑丈なトラックで移動している様子を見ますと、装甲輸送小隊、という選択肢の合理性も考える。

 パトリアAMV装甲車のようなものは無理でも、オーストラリア製ブッシュマスター歩兵機動車のような装甲車両を大量配備しては同なのかな、と考える事はあるのです、何故ならば世界にはトヨタダイナトラックの車体を装輪装甲車に応用した実例もあるのだから。

 マンバ耐爆車両、南アフリカが開発した装甲車両で地雷への耐性の強さから耐爆車両の原型といわれる装甲車両なのですが、この車体部分がトヨタダイナなのですね。改良型からはウニモグトラックを応用しているが、これを考えれば安価な国産装甲車はありえる。

 普通科部隊の装甲車両強化は、結局装甲車が不要な場面では降りれば良いのだから、まず数を揃えて乗るか降りるの選択肢を選べるようにすべきと思う、ウクライナ戦争を筆頭に戦争を見れば装甲車両の重要性というものを毎回のように痛感してしまうのですからね。

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【京都発幕間旅情】ひのとり・アーバンライナー,大阪へ名古屋へ急行の特急追い越しを彩る近鉄特急の精鋭

2023-04-29 14:11:38 | コラム
■近鉄名阪特急
 最新鋭特急ひのとり快走はトンネルを飛び出る様に線路上を大阪へ名古屋へと急ぐ。

 近鉄急行に乗っていまして特急に追い越される特急退避という時間は、鉄道に興味が無ければ単に待ち時間出るだけなのかもしれませんが、ちょっと天気の良い日などは欠乗しないよう注意しつつ、特急の通過をホームに出て眺めているのも、なかなか面白い。

 ひのとり。2020年というCOVID-19最初の年にデビューを果たした近鉄名阪特急の最新型も馴染みの光景となりました。車内は豪華さのようなものは観光特急しまかぜ、に譲った印象ある一方、機能美というものを考え突き詰めた車内、やるじゃあないか、とひとこと。

 アーバンライナーが素晴らしかったものですから名門の後継者は苦労し相、とおもったのは杞憂でして、自動販売機ひとつとってもひきたて珈琲を丁寧に抽出する自動機械から注がれる一杯、これをいただくミニサロンコーナー、近鉄特急はわかっている、とおもう。

 アーバンライナーも、といますとそのひとつ前の特急で名阪甲特急を利用されていた方の声を聞きますと、成程なあと思ういっぽうでこう進化している近鉄の名阪特急、30年後あたりにでるであろう将来特急はどうなるのだろう、とも期待と共にかんがえるのですね。

 特急、新幹線よりも時間はかかるのですがリクライニングシートも電動でしかもかご型なので後ろの人のリクライニングの影響を考える必要がないという、このあたり、神経質な21世紀には考えられたサービスと思う。どれをとってもすごいなあという印象が続くのだ。

 ひのとり特急料金という、若干差異をつけました特急料金も、このサービスならばうなずくほか無いなあ、と考えさせられる。もっとも、停車駅の関係から文字通り名古屋と大阪を移動する以外は津に所用が有る場合を例外として、それほど利用できないのだけれどね。

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アメリカ国務省,スーダン在住アメリカ市民1万6000名に24時間以内の退去勧告-情勢悪化の懸念

2023-04-29 07:00:17 | 国際・政治
■臨時情報-スーダン情勢
 自衛隊が救出したスーダン脱出邦人は希望者の日本への帰国が開始されましたが。

 アメリカ政府はスーダン在住のアメリカ市民へ48時間以内に出国するよう勧告しました。この勧告は昨日朝のものですから正確には残り時間は24時間となります。そして驚いたのですが、スーダン国内のアメリカ市民は人数が多く、これによりアメリカ政府は日本を含めた各国政府が実施しているような自国民救出作戦を実施していないのですけれども。

 1万6000名、桁を間違えた訳ではないのですが1万6000名のアメリカ市民がスーダン国内に取り残されているとニューズウィーク紙は報道しています。スーダン情勢の更なる緊迫化が懸念される為に、国外退避をアメリカ国務省が勧告しているのですが、これは72時間停戦が停戦時間終了後に劇的に悪化する懸念があるために、独力で退避しろ、という。

 日本の自衛隊は、邦人にポートスーダンまでの自力移動を要請したかたちではあるのですが、逆に言えばポートスーダンまではC-2輸送機を展開させている訳です。ただ、日本の場合は60名という人員規模の小ささが在った、いや2017年の時点で在留邦人は100名前後であったために万一の際の楽観要素が在ったと考えていたのだけれどもアメリカは別だ。

 アフガニスタン在留自国民移動、思い出すのは日本政府が後手に回った邦人輸送任務の事実上の失敗なのですが、今回はいかに状況の急変が早過ぎたとはいえ、アメリカ政府は大使館員70名だけを軍の特殊部隊により救出したものの、その一回だけで自国民救出に軍隊を派遣せず、国務省が勧告を出すだけという、非常に冷酷な方法を突き付けています。

 2012年ベンガジアメリカ領事館襲撃事件、学んでないな、ともうのはアメリカは2012年に騒乱状態となったリビア国内においてアメリカ領事館へ暴徒の大群が集結している状況を認識できず、結果的にリビア領事館に詰めていた政府要員と民間警備会社警備要員の多数を殺害される状況が有りました、そしてこれは後にアメリカの危機管理を問う事態に。

 クリントン候補、アメリカ大統領選においてクリントン候補がトランプ候補に敗北した一因に、ベンガジ領事館襲撃事件の時点で国務長官がクリントン候補であった、ということです。バイデンアメリカ大統領が来年度哀悼稜線へ出馬表明を行いましたが、自国民救出が人気取りでは無い事は承知しつつ、危機管理のセンスの無さを浮き彫りにしていないか、危惧するのです。

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令和五年度四月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2023.04.29-2023.04.30)

2023-04-28 20:04:20 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 ゴールデンウィークがいよいよはじまります今週末は旅団祭に混成団祭に連隊祭と学校祭が執り行われます。

 第14旅団創設17周年善通寺駐屯地祭、駐屯地は73周年を迎えることとなりました。四国全域を防衛警備管区とします第14旅団はかつて第2混成団として編成され1981年より任務に当たっていましたが、即応近代化旅団として第14旅団へ拡大改編、そののちに機動戦闘車や装甲車両を大量に装備し即応機動連隊を隷下に置く機動旅団へ改編を受けています。

 善通寺駐屯地、最寄り駅はJR四国善通寺駅で、ここは空海さん縁の善通寺に隣接していまして、駅から善通寺のほうへ行きますと四国学院大学前を経て駐屯地前の大通りに到着します。さすが四国というべきでしょうか、駅から駐屯地まで、うどん屋さんが何軒もありまして、朝から営業しているお店もあり、おうどんを朝食とできるのが四国らしいです。

 市街パレードをおこなう駐屯地としても知られまして、記念行事と訓練展示をおこなったあとに市街パレードを行うというのが例年の実施でした。ですからよい場所をどのように確保するのかということと、数両が参加し意外に大きな16式機動戦闘車の空包射撃で発砲炎をどのように撮影するか、というところが善通寺駐屯地祭の印象ぶかいところでした。

 中部方面混成団創設16周年大津駐屯地祭、今年、大津駐屯地は64周年を迎えます。中部方面混成団は教育訓練部隊である第2教育団へ中部方面隊管内の即応予備自衛官基幹普通科連隊を隷下に統合し新編された混成団で、第109教育大隊と第110教育大隊に加えて第47普通科連隊と第49普通科連隊、そこに陸曹教育隊という、かなり大きな部隊なのです。

 大津駐屯地祭、昔失敗したのは新快速の停車するJR東海道線大津駅からシャトルバスを利用したのですが、意外と渋滞するのです。始発バスがかなり時間がかかってしまいまして、最寄り駅の京阪南滋賀駅から徒歩のほうが早いのかもしれません。琵琶湖畔の駐屯地、体験試乗では琵琶湖上での94式水際地雷原敷設車に乗れたり、いろいろ凄いことがおおい。

 教育訓練部隊ということですが、自衛官候補生が多数訓練を受けている部隊ですので、見所は、自衛隊体操です。体操なんてとおもわれるかもしれませんが何しろ人数が根本から違いますので迫力も凄いのです。例年であれば訓練展示も実施され、74式戦車とFH-70榴弾砲の空包射撃が琵琶湖上に響きなかなかの迫力、空挺部隊が降下することもありました。

 高射学校創設記念下志津駐屯地祭、駐屯地は68周年を迎えます、つつじ祭という別名がありまして、駐屯地はつつじの花が満開で美しいのですが、高射学校の装備が凄いのでだれも花を見ていないということで有名な駐屯地でもある。下志津駐屯地は、最寄り駅四街道駅から若干距離があるのですがシャトルバスの運行が無く、道に迷わぬようご注意を。

 下志津駐屯地は、映画"ガメラ大怪獣空中決戦"で地対空ミサイルのロケを行った場所、このマンションだ、と直ぐ気づく立地なのですが、なにしろ装備が87式自走高射機関砲に03式中距離地対空誘導弾に11式短距離地対空誘導弾とかなりのもので、現在北朝鮮の人工衛星発射危機が進行中であるだけに、空襲警報とタイムリーで注目の行事といえましょう。

 87式自走高射機関砲は、車体部分が74式戦車となっていまして瞬発交戦能力の高い装備です、これは現在共通装軌式車両に車体部分を交換してえんめいする計画が示されているのですが、大柄ですが意外に素早く動き回ることができる装備で、各種高射装備の動きのちがいなどを比較できるのも下志津の高射学校祭の興味深いところなのかもしれません。

 金沢駐屯地創設73周年記念行事、第10師団隷下の第14普通科連隊が駐屯しています。師団普通科連隊ということでナンバー中隊が4個と重迫撃砲中隊に本部管理中隊という編成、十年近く前の話ですが昔は対戦車中隊も置かれていまして、当時はこれだけの重装備があって後継装備に置き換えられるならば充分、と唸らされたものなのですが。さてさて。

 第14普通科連隊の金沢駐屯地、路線バスが交通手段です。最寄り駅は北陸鉄道の野町駅なのですが直線で3kmほどありまして、金沢駅からは7kmほど離れている、市バスの21系統と22系統と25系統、もしくは金沢大学付属学校自衛隊前、という大学の自衛隊みたいな名前のバス路線を利用しますと金沢駐屯地は目の前ですので、充分ご確認ください。

 金沢駐屯地祭の見所は、火炎放射やガラス割です、こう書きますと後者の方はよくわからないのですが、市街戦展示においてけっこう荒っぽい展示を行うのですね。このほか、式典会場は案外に広い場所ですので戦車の空砲射撃や普通科部隊ならではの近接戦闘展示など注目する点も多い。例年九月に行われています行事、今年は早いのが印象です。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・4月29日:高射学校創設記念下志津駐屯地祭
・4月30日:金沢駐屯地創設73周年記念行事
・4月29日:中部方面混成団創設16周年大津駐屯地祭
・4月29日:第14旅団創設17周年善通寺駐屯地祭

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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ペトリオット部隊先島諸島展開完了-北朝鮮人工衛星発射,アメリカ海兵隊のPAC-3とF-35戦闘機連節運用研究

2023-04-28 07:00:51 | 防衛・安全保障
■臨時情報-北朝鮮人工衛星
 北朝鮮人工衛星発射に備え沖縄救援隊のミサイル防衛部隊が先島諸島へ展開中です。

 自衛隊のミサイル防衛部隊先島諸島展開がほぼ完了しました。北朝鮮人工衛星打ち上げに備えての ブースター部分や分離した格納容器など落下物警戒、航空自衛隊は西部航空方面隊のペトリオットミサイル部隊のうち、弾道ミサイル迎撃部隊の大半を引き抜いて沖縄に配置するとともに、もちろん海上自衛隊もイージス艦を展開させ落下に備えます。

 27日朝には石垣島へ自衛隊傭船はくおう入港となり、39両の各種車両を石垣駐屯地へ搬入、また、はくおう輸送任務は続いて与那国島へも向かっているとのこと。またこのほか、宮古島には輸送船2隻の入港をNHKが報道しています。宮古島分屯基地へは前回の北朝鮮人工衛星打ち上げにさいしても沖縄救援隊のペトリオットミサイル部隊が展開していました。

 はくおう、報道されるところでは今回輸送したのはPAC-3ミサイル発射機以外の車両とのことで、ここに弾薬車が含まれるかについては報道されていませんが、傭船契約の関係上弾薬を輸送できない可能性もあります。たほう、PAC-3発射機そのものはC-2輸送機によりいちばん最初に空輸されており、今回の輸送では迎撃体制の準備に影響はありません。

 F-35戦闘機との連接、今回痛感したのはペトリオットミサイルPAC-3発射機だけであればC-2輸送機により空輸できるという点と、アメリカ海兵隊が進めるペトリオットミサイルのF-35戦闘機との連接試験を自衛隊でも進める必要性についてです。ペトリオットミサイルは発射機単体では射撃できません、レーダーや火器管制、電源車などの支援が必要です。

 アメリカ海兵隊はこの点について、F-35とペトリオットミサイルをデータリンクさせることでF-35のレーダーによりペトリオットミサイルを誘導する新しい運用を構想しており、これが実現するならば、自衛隊は緊急時にC-2輸送機により発射管制装置とPAC-3発射機だけを空輸するだけで、ミサイル防衛が可能となり、機動性が飛躍的に向上するのです。

 C-2輸送機によりPAC-3発射機だけを空輸した第一報に接し、発射機だけでは撃てないのだけれどもと若干気になりました。しかしもし政府傭船はくおう等の民間傭船では弾薬を運べないというならば即応性の点で問題であり、しかし、はくおう輸送が必要な多くの機能をF-35により補完できるならば、新しいペトリオットの可能性が開けるように思います。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
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ウクライナ軍春期反撃準備と不気味なロシア航空宇宙軍の温存-F-16供与要請に関するアメリカの危険な楽観論

2023-04-27 20:20:29 | 防衛・安全保障
■F-16戦闘機の必要性
 アメリカは制空権を前提としたドクトリンが固定化し現在のウクライナ軍がF-16戦闘機を求める切迫感を理解していないのではないかと危惧します。

 ウクライナ軍の春期反撃、この論点について少し考えてみましょう。レオパルド2主力戦車の引き渡しが開始され、この三週間程度はウクライナ軍の砲兵も活動が抑えられており、大規模攻勢に向けて備蓄が進められていると考えられています。ウクライナ軍は過去に情報保全によりハリコフ奪還やキエフ防衛戦、ヘルソン奪還と反撃を成功させてきています。

 ロシア空軍。問題は今回の反撃に一つの不確定要素が含まれているということで、それは現在のロシアウクライナ戦争が空軍不在の奇妙な戦争という状況です、これが今後も続きうるのかという視座なのです。BBCはウクライナ軍がドニエプル川東岸に布陣しており攻勢に適した位置であるとのISWアメリカ戦争研究所の分析を報道しています。しかし。

 しかし、問題はロシア航空宇宙軍が本格的に空軍力を発揮するのが近いのではないか、という懸念があるためです。するとみなさま疑問に思われるでしょう、なぜ21世紀の戦争にも関わらず空軍がまともに投入されないかという現状を。理由は簡単で、ソ連時代に開発されロシア軍とウクライナ軍が運用するS-300地対空ミサイルが強力すぎるゆえでした。

 S-300地対空ミサイル、広大なソ連本土を防空するために非常に射程が長く、もちろん対レーダーミサイルのような装備、これは自衛隊にも欠けていると1990年代から指摘され続けているが放置されている問題だ、こうした防空制圧装備があれば無力化はできないことはないのですが、ロシア軍とウクライナ軍はともにこの能力が欠けていました。重大です。

 空軍を投入するにも双方のS-300ミサイルが協力であり、そして互いにこれを圧倒できる決定打となる防空制圧能力が欠けている為に、S-300にねらわれない空軍の運用、ウクライナ空軍は最前線から離れた首都キエフを巡航ミサイルなどから防衛する局地防空、そして最前線ではロシアとウクライナが低空飛行可能なSu-25攻撃機を散発的に使う現状です。

 ミサイル備蓄、さてSu-25攻撃機が散発的に近接航空支援を行う程度というのが現状なのですが、問題はウクライナのS-300地対空ミサイルがそろそろ枯渇する現状です。これは、ロシアがカリブル巡航ミサイルや、イランから大量導入した特攻ドローンによる無差別攻撃の迎撃任務などかなりを使い切ってしまった現状があります。そして補充はありません。

 ペトリオットミサイル、ウクライナへはドイツから西側の長射程地対空ミサイルであるペトリオットの供与が開始されました。これによりある程度の防空能力が確保されたといえるのかもしれませんが、問題はそ射程です。S-300の射程は300kmでペトリオットは100km、それは運用思想の違いなのですが、ペトリオットミサイルについては、大幅に射程が短い。

 唯一の楽観要素はSu-30戦闘機にしてもMiG-29戦闘機にしても搭載ミサイルの性能から対地攻撃能力がそれほど高くない、ということでしょう。そして1998年ユーゴ空爆の際にNATOがさんざん経験したのですが、隠れている戦車を空から見つけだすのは簡単ではありません、そこに地対空ミサイルや防空砲兵部隊がいるならばなおさらといえるでしょう。

 京都駅から北大路駅は直線8km程度、よく例に挙げるのですがヘルファイアミサイルの射程が8kmですのでほぼほぼ届くこととなります、すると例えば35mm高射機関砲の射程は3.5km程度ですから圧倒できるようにおもえるのですが、さて、それならば仮に眼下の東山の森林に87式自走高射機関砲が6両隠れているとして、見つけられますか、と。

 航空機は飛行しているのですから丸見えです、北大路駅あたりを攻撃しようとして気づかず目の前の清水五条あたりから機関砲でたたき落とされるということがあり得る。こう考えると防空制圧の難しさというものと、難しくともやらねばならない現実の厳しさを突きつけられるのですが、一方でロシア空軍がほぼ無傷ということもまた現実なのです、ね。

 ソ連空軍とソ連防空軍の時代を思い出せばロシア空軍戦闘機の数はかなり減っている、けれどもMiG-29/35が273機、防空用のMiG-31が130機とSu-27が359機、多用途戦闘機のSu-30/34/35が367機、戦闘爆撃機であるSu-24が273機、それに対置攻撃機であるSu-25が192機、超音速爆撃機Tu-22Mが66機、戦略爆撃機Tu-160は15機、Tu-95も。

 ロシア海軍航空隊でさえSu-27が53機にSu-30/33が48機とMiG-29が22機、ウクライナ空軍よりも数と質において優勢です。ロシア空軍は緒戦において稚拙な運用から戦闘機など80機を喪失しています、がそのあとは戦闘機を前に出さないという異例の運用を採っています。しかしウクライナの地対空ミサイルが枯渇しつつある今、次が問題となる。

 F-16戦闘機、アメリカはウクライナ政府が繰り返しもとめているF-16戦闘機の供与を、戦争が拡大させる要因、機種転換訓練に時間がかかりすぎる、こうした二つの点を理由に拒否し続けています。結果的にウクライナは、昨今ようやくスロバキアとポーランドからMiG-29戦闘機が供与されたのですが、空軍力が不足している状況はそのままでもある。

 ペトリオットミサイルのようなある程度の射程のあるものを大量に供給できれば、多少打つ手はあるのかもしれませんが、ペトリオットミサイルはF-16戦闘機などの防空体系の最終段階を担うもので、これはあたかもゴールキーパーだけ準備してサッカーの試合に臨むようなもの、DFとMFを担う戦闘機はどちらにしても必要なことにかわりはない。

 アメリカ海軍で退役しているF/A-18C/D戦闘機、F/A-18E/Fの数が揃い退役しました。これを映画の“インディペンデンスデイ”のように簡単に機種転換できるとは考えませんが、これを政治的に供与が難しいならば二年間の貸与でも検討すべきではないか、そもそもアメリカは制空権を前提とした戦いが固定概念となっておりF-16供与を棚上げする危険性、現状を認識できていない事を懸念するのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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自衛隊ミサイル射程900kmの意味:中国海軍航空母艦の太平洋進出と12式地対艦誘導弾能力向上型量産開始

2023-04-27 07:01:01 | 先端軍事テクノロジー
■太平洋からの脅威へ
 12式地対艦誘導弾能力向上型というのは防衛上重要な間に合った装備にカテゴライズされるのかもしれない。

 中国海軍航空母艦の太平洋進出、現在保有している航空母艦は遼寧と山東の2隻体制ですが、2024年には空母福建が竣工する見通しであることから、3隻によるローテーション体制、重整備と補給整備と稼働空母という、1隻の空母を常時遊弋させる体制が完成すると考えられます。まさに日本は小笠原諸島などの防衛を再検討する時期が迫っている。

 12式地対艦誘導弾能力向上型、僥倖というべきかもしれませんが今年から射程900kmという12式地対艦誘導弾能力向上型の量産が開始されます。この900kmという射程は重要で射程500㎞を超えるミサイルは、大量破壊兵器運搬技術拡散防止レジームに抵触する関係上、第三国への供与に制限があり、これらの装備の国産技術は非常に重要なのです。

 900㎞の射程のミサイルであれば、長大な小笠原諸島であっても二か所に配備することでほぼ全域をカバーすることが可能です。そして小笠原諸島には戦闘部隊は展開していませんが、海上自衛隊の硫黄島航空基地、海上自衛隊父島基地、分遣隊が置かれるのみですが南鳥島航空基地など、自衛隊が用地として使用できる拠点は一応整備されています。

 第73航空隊の硫黄島航空分遣隊としてUH-60J救難ヘリコプターも常駐しています、そして小笠原諸島は日本本土から離れている分、無人航空機試験や電子妨害装置試験など、本州で行えば航空法の問題や携帯電話を含む通信ネットワークを麻痺させかねない実験も可能であるとして、一応戦闘機部隊や評価試験、実験部隊の往来は頻繁に行われています。

 宇都宮の第6地対艦ミサイル連隊廃止は、先走りすぎた決定でした、2001年に新編され2011年に僅か10年間で廃止された東部方面隊直轄部隊です。例えば硫黄島か父島、南鳥島、この二か所に地対艦ミサイル中隊を派遣するだけで射程900㎞のミサイルは、少なくともここは日本領土であると強烈なプレゼンスを航空母艦へ行使することが可能です。

 南鳥島は東京から1860㎞の距離にあり、南鳥島と千葉県あたりに12式地対艦誘導弾能力向上型を配備しますと、中央部分に若干空白地帯は残りますがほぼ全域を射程内とできます、そして父島から東京までは980㎞、他方父島から沖ノ鳥島までは967㎞で若干届きません。一方硫黄島から沖ノ鳥島は723㎞、射程900㎞であれば充分届くのです。

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