■防衛省概算要求5兆2551億円
平成30年度防衛省概算要求が本日、財務省へ提出され、その内容が一般に公開されました。
今年度の当初予算より2.5%多く、過去最大となる5兆2551億円を求めています。北朝鮮の核とミサイル技術の進展を踏まえてのミサイル防衛強化を期すとともに、南西諸島防衛基盤構築を軸に増大する中国の海洋進出と日本への中国機による対領空侵犯措置任務増大を受けて費用増大が反映され、結果、概算要求が過去最大の5兆2551億円となりました。
一方、国際平和維持活動などの国際貢献への装備品調達は大幅に縮小している他、護衛艦や航空機の新規調達が激減し延命改修の要求が並ぶと共に、従来の各種ヘリコプターや装甲車両やミサイル等の装備品調達は事故が懸念される程に少なく、年々増大する中国脅威と北朝鮮ミサイル脅威への対処へ多くの予算を割いている事からの影響といえるでしょう。
陸上自衛隊の装備品調達は89式小銃1,500丁6億円、対人狙撃銃6丁 0.1億円、60mm迫撃砲(B)6門0.2億円、81mm迫撃砲 L161門0.1億円、120mm迫撃砲 RT2門1億円、99式自走155mmりゅう弾砲7両76億円、10式戦車6両83億円、16式機動戦闘車16両 121億円、車両・通信器材・施設器材等420億円、となっており装甲車はありません。
艦艇調達は、護衛艦2隻 964億円、潜水艦1隻 715億円、以上でこの他は能力向上予算と延命改修予算の要求のみとなっています。ミサイル関係の調達は、03式中距離地対空誘導弾(改)1個中隊 182 121億円、11式短距離地対空誘導弾1式 36 121億円、中距離多目的誘導弾9セット 76 121億円、12式地対艦誘導弾1式 129億円、以上となっていました。
航空機調達関連の要求ではティルト・ローター機(V-22)4機 457億円、戦闘機 (F-35A) 6機 881億円、輸送機(C-2)2機 450億円、新早期警戒機(E-2D)2機 491億円、新空中給油・輸送機(KC-46A)1機 277億円、飛行点検機(サイテーション680A)1機 41億円、滞空型無人機(RQ-4Bグローバルホーク)1機 144億円、残りは勢力維持改修です。
新装備関連では将来戦闘機システム開発の実現性に関する研究24億円要求、イージス艦用の長射程標準型ミサイルSM-6の取得として21億円を試験用弾薬取得に充てます。次期警戒管制レーダ装置の開発に196億円を要求し複数の小型サブアレイによる送受信方式の新装備を開発、F-4からF-35Aへの機種更新に伴い百里基地第302飛行隊の三沢移転を行う。
島嶼部防衛では今年度実施の水陸機動団新編に続き、南西警備部隊等に係る整備へ552億円が要求され奄美大島と宮古島の庁舎整備、石垣島の用地取得経費等が盛り込まれました。島嶼防衛用高速滑空弾の要素技術の研究に100億円、島嶼防衛用新対艦誘導弾の要素技術の研究に77億円が要求され、ステルス長射程ミサイル開発が開始、島嶼部防衛を強化する。
ミサイル防衛関連では、弾道ミサイル防衛関連経費1,791億円が要求されます。内訳として、イージスアショア等の新規アセット導入を予算度度外視の事項要求にて提示、能力向上型迎撃ミサイルPAC-3MSEの取得費用に205億円要求、弾道ミサイルの迅速探知期し自動警戒管制システムJADGEの弾道ミサイル対処能力の向上に107億円が要求されました。
5兆2551億円という過去最大の防衛予算の要求ですが、実態はそれ以上に任務が増大している中、従来装備老朽化と定員割れを度外視した予算で、自衛隊は戦わずして既に深刻な損耗状態にあるとさえいえる。その上で各種新装備開発と新部隊新編を続ける事は、更にしわ寄せが広範に広がる事を意味し、専守防衛の断念等決断を迫られるかもしれません。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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平成30年度防衛省概算要求が本日、財務省へ提出され、その内容が一般に公開されました。
今年度の当初予算より2.5%多く、過去最大となる5兆2551億円を求めています。北朝鮮の核とミサイル技術の進展を踏まえてのミサイル防衛強化を期すとともに、南西諸島防衛基盤構築を軸に増大する中国の海洋進出と日本への中国機による対領空侵犯措置任務増大を受けて費用増大が反映され、結果、概算要求が過去最大の5兆2551億円となりました。
一方、国際平和維持活動などの国際貢献への装備品調達は大幅に縮小している他、護衛艦や航空機の新規調達が激減し延命改修の要求が並ぶと共に、従来の各種ヘリコプターや装甲車両やミサイル等の装備品調達は事故が懸念される程に少なく、年々増大する中国脅威と北朝鮮ミサイル脅威への対処へ多くの予算を割いている事からの影響といえるでしょう。
陸上自衛隊の装備品調達は89式小銃1,500丁6億円、対人狙撃銃6丁 0.1億円、60mm迫撃砲(B)6門0.2億円、81mm迫撃砲 L161門0.1億円、120mm迫撃砲 RT2門1億円、99式自走155mmりゅう弾砲7両76億円、10式戦車6両83億円、16式機動戦闘車16両 121億円、車両・通信器材・施設器材等420億円、となっており装甲車はありません。
艦艇調達は、護衛艦2隻 964億円、潜水艦1隻 715億円、以上でこの他は能力向上予算と延命改修予算の要求のみとなっています。ミサイル関係の調達は、03式中距離地対空誘導弾(改)1個中隊 182 121億円、11式短距離地対空誘導弾1式 36 121億円、中距離多目的誘導弾9セット 76 121億円、12式地対艦誘導弾1式 129億円、以上となっていました。
航空機調達関連の要求ではティルト・ローター機(V-22)4機 457億円、戦闘機 (F-35A) 6機 881億円、輸送機(C-2)2機 450億円、新早期警戒機(E-2D)2機 491億円、新空中給油・輸送機(KC-46A)1機 277億円、飛行点検機(サイテーション680A)1機 41億円、滞空型無人機(RQ-4Bグローバルホーク)1機 144億円、残りは勢力維持改修です。
新装備関連では将来戦闘機システム開発の実現性に関する研究24億円要求、イージス艦用の長射程標準型ミサイルSM-6の取得として21億円を試験用弾薬取得に充てます。次期警戒管制レーダ装置の開発に196億円を要求し複数の小型サブアレイによる送受信方式の新装備を開発、F-4からF-35Aへの機種更新に伴い百里基地第302飛行隊の三沢移転を行う。
島嶼部防衛では今年度実施の水陸機動団新編に続き、南西警備部隊等に係る整備へ552億円が要求され奄美大島と宮古島の庁舎整備、石垣島の用地取得経費等が盛り込まれました。島嶼防衛用高速滑空弾の要素技術の研究に100億円、島嶼防衛用新対艦誘導弾の要素技術の研究に77億円が要求され、ステルス長射程ミサイル開発が開始、島嶼部防衛を強化する。
ミサイル防衛関連では、弾道ミサイル防衛関連経費1,791億円が要求されます。内訳として、イージスアショア等の新規アセット導入を予算度度外視の事項要求にて提示、能力向上型迎撃ミサイルPAC-3MSEの取得費用に205億円要求、弾道ミサイルの迅速探知期し自動警戒管制システムJADGEの弾道ミサイル対処能力の向上に107億円が要求されました。
5兆2551億円という過去最大の防衛予算の要求ですが、実態はそれ以上に任務が増大している中、従来装備老朽化と定員割れを度外視した予算で、自衛隊は戦わずして既に深刻な損耗状態にあるとさえいえる。その上で各種新装備開発と新部隊新編を続ける事は、更にしわ寄せが広範に広がる事を意味し、専守防衛の断念等決断を迫られるかもしれません。
北大路機関:はるな くらま
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