■軽巡洋艦名,継ぐのは誰か
新潜水艦に軽巡洋艦名継承を、という特集ですが全五回の掲載を進めます中でそろそろ新しい護衛艦命名式の話題も見え始めました。
そうりゅう型潜水艦、画期的なAIP潜水艦として次世代を担うべく海上自衛隊初の潜水艦くろしお以来、従来の海象うずしお、ゆうしお、はるしお、おやしお艦名採用から一新し空母蒼龍、日本近代空母の始祖というべき名艦の艦名を冠し、かつて空母に冠せられていました瑞祥動物の名を受け継ぐ事となりましたが、昨今は“ネタ切”気味が否めません。
軽巡洋艦。しかし、軽巡洋艦の艦名となった河川名であれば、まだ名前の余裕はあるのですね。もともと河川名は沿岸用護衛艦DEの艦名でしたが、最後のDEが竣工して今年で27年、もう長くはありません。もちろん、小型イージス艦や多機能護衛艦等に河川名を継承させるというのであれば、別ですが、歴史を湛えた地名と艦名が持つ抑止力は財産です。
いすず型護衛艦、軽巡洋艦五十鈴の艦名を継ぐこの護衛艦は昭和34年度計画において建造開始された沿岸用護衛艦は、昭和42年度計画から量産が開始の護衛艦ちくご型、と最終的に昭和61年度計画からの量産となった護衛艦あぶくま型まで24隻が河川名で建造されています。実は昭和28年度計画で建造されたDEではこの定義は当て嵌まりませんでした。
あけぼの、いかづち型はDEでありながら河川名が付与されておらず、DEへの河川名、つまり軽巡洋艦名の襲名は護衛艦いすず型からだった訳ですね。もっとも、DDよりも小型のDEに何故5500t型を、つまり水雷戦隊旗艦ように15隻を建造された5500t型軽巡洋艦、駆逐艦よりも大型の軽巡洋艦艦名を沿岸用護衛艦へ付与したかは、少々気になるのですが。
てんりゅう型潜水艦、訓練支援艦てんりゅう現役の間は難しそうですが、そうりゅう型潜水艦の艦名りゅう冠する潜水艦が続く構図から、先ずは龍の定義と共に河川名の定義を満たす艦で始め、きたかみ、等続く軽巡洋艦艦名を踏襲する。当面は護衛艦あぶくま型と河川名で重なりそうですが、徐々に潜水艦の艦名として定着する、という構図を期待します。
もちろん、これはDEという河川名を冠した沿岸用護衛艦がそのまま形式消滅する、という前提です。二六中期防として2014年に発表されたFFM護衛艦は当初DE-Xといい、水上戦闘艦としての能力に機雷戦能力等を付与しコンパクト化を両立させるコンパクト護衛艦として計画、5インチ単装砲とSEA-RAM個艦防空ミサイル等軽武装を志向していた。
ヘリコプターを搭載した掃海艦と哨戒艦の折衷案のような試案が提示、基準排水量を2000t以上と小型に止める一方で40ノットという高速性能を付与させる構想が示され、これは当時アメリカ海軍が実用化を進めつつ技術的難題と戦術上の課題に曝されていたLCS沿海域戦闘艦フリーダム級やインディペンデンス級を彷彿とさせる試案が提示されていました。
D-Xと呼称が変更されたのは2015年、このころからコンパクト護衛艦、新たな護衛艦、という呼称が乱立しており、技術研究と運用研究の盛んな検証が左右する構図でしたが、基準排水量はD-Xとなった時点で基準排水量3000t程度となる。あぶくま型護衛艦が基準排水量2000tで満載排水量が2900t、はつゆき型が基準排水量2900tと満載排水量4200tだ。
はつゆき型護衛艦は1982年から12隻が建造されています、満載排水量を見れば3000t以上の水上戦闘艦は大型水上戦闘艦にあたり、はつゆき型はかなり大型であるとわかりますが、D-Xはそれ以上に巨大だ。ミサイル護衛艦たちかぜ型が基準排水量3700tとして要求されていましたので、3900tとは自衛隊の中では小型でも、世界的には大型艦となります。
将来艦隊運用においてD-Xは有事の際にはDD部隊、つまり護衛隊群に先行しヘリコプターによる対潜掃討と長距離対潜装備を駆使しての潜水艦制圧任務とともに、長距離対艦ミサイルを搭載しての水上打撃戦を行う、という運用が想定され、従来の基準排水量2000t試案時には無かった艦対艦ミサイルの搭載とVLSを搭載という要求が盛り込まれます。
軽巡洋艦の艦名、かつて沿岸用護衛艦に冠した伝統の艦名を新たに建造する30FFMに冠しないのであれば、潜水艦に冠してはどうか、軽巡洋艦は海上自衛隊が受け継ぐべき殊勲を残した艦種であり、このまま自然消滅させる事は何とも勿体ありません。装備には費用を要しますが、艦名を受け継ぐ事だけならば、費用も掛からず、一定の効果はあるのです。
瑞祥動物の名前、考えれば恐竜の和名など、あるにはあるのですが、そうりゅう型が建造された当時の防衛大綱における潜水艦定数は16隻、新鋭護衛艦むらさめ練習艦転用が検討されるなど2005年当時は現在の22隻体制まで拡充する事は考えていなかったのですし、瑞祥動物で潜水艦を連想させる殊勲艦の名前が尽きてしまうのは仕方ありません。故に河川名を、提案するのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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新潜水艦に軽巡洋艦名継承を、という特集ですが全五回の掲載を進めます中でそろそろ新しい護衛艦命名式の話題も見え始めました。
そうりゅう型潜水艦、画期的なAIP潜水艦として次世代を担うべく海上自衛隊初の潜水艦くろしお以来、従来の海象うずしお、ゆうしお、はるしお、おやしお艦名採用から一新し空母蒼龍、日本近代空母の始祖というべき名艦の艦名を冠し、かつて空母に冠せられていました瑞祥動物の名を受け継ぐ事となりましたが、昨今は“ネタ切”気味が否めません。
軽巡洋艦。しかし、軽巡洋艦の艦名となった河川名であれば、まだ名前の余裕はあるのですね。もともと河川名は沿岸用護衛艦DEの艦名でしたが、最後のDEが竣工して今年で27年、もう長くはありません。もちろん、小型イージス艦や多機能護衛艦等に河川名を継承させるというのであれば、別ですが、歴史を湛えた地名と艦名が持つ抑止力は財産です。
いすず型護衛艦、軽巡洋艦五十鈴の艦名を継ぐこの護衛艦は昭和34年度計画において建造開始された沿岸用護衛艦は、昭和42年度計画から量産が開始の護衛艦ちくご型、と最終的に昭和61年度計画からの量産となった護衛艦あぶくま型まで24隻が河川名で建造されています。実は昭和28年度計画で建造されたDEではこの定義は当て嵌まりませんでした。
あけぼの、いかづち型はDEでありながら河川名が付与されておらず、DEへの河川名、つまり軽巡洋艦名の襲名は護衛艦いすず型からだった訳ですね。もっとも、DDよりも小型のDEに何故5500t型を、つまり水雷戦隊旗艦ように15隻を建造された5500t型軽巡洋艦、駆逐艦よりも大型の軽巡洋艦艦名を沿岸用護衛艦へ付与したかは、少々気になるのですが。
てんりゅう型潜水艦、訓練支援艦てんりゅう現役の間は難しそうですが、そうりゅう型潜水艦の艦名りゅう冠する潜水艦が続く構図から、先ずは龍の定義と共に河川名の定義を満たす艦で始め、きたかみ、等続く軽巡洋艦艦名を踏襲する。当面は護衛艦あぶくま型と河川名で重なりそうですが、徐々に潜水艦の艦名として定着する、という構図を期待します。
もちろん、これはDEという河川名を冠した沿岸用護衛艦がそのまま形式消滅する、という前提です。二六中期防として2014年に発表されたFFM護衛艦は当初DE-Xといい、水上戦闘艦としての能力に機雷戦能力等を付与しコンパクト化を両立させるコンパクト護衛艦として計画、5インチ単装砲とSEA-RAM個艦防空ミサイル等軽武装を志向していた。
ヘリコプターを搭載した掃海艦と哨戒艦の折衷案のような試案が提示、基準排水量を2000t以上と小型に止める一方で40ノットという高速性能を付与させる構想が示され、これは当時アメリカ海軍が実用化を進めつつ技術的難題と戦術上の課題に曝されていたLCS沿海域戦闘艦フリーダム級やインディペンデンス級を彷彿とさせる試案が提示されていました。
D-Xと呼称が変更されたのは2015年、このころからコンパクト護衛艦、新たな護衛艦、という呼称が乱立しており、技術研究と運用研究の盛んな検証が左右する構図でしたが、基準排水量はD-Xとなった時点で基準排水量3000t程度となる。あぶくま型護衛艦が基準排水量2000tで満載排水量が2900t、はつゆき型が基準排水量2900tと満載排水量4200tだ。
はつゆき型護衛艦は1982年から12隻が建造されています、満載排水量を見れば3000t以上の水上戦闘艦は大型水上戦闘艦にあたり、はつゆき型はかなり大型であるとわかりますが、D-Xはそれ以上に巨大だ。ミサイル護衛艦たちかぜ型が基準排水量3700tとして要求されていましたので、3900tとは自衛隊の中では小型でも、世界的には大型艦となります。
将来艦隊運用においてD-Xは有事の際にはDD部隊、つまり護衛隊群に先行しヘリコプターによる対潜掃討と長距離対潜装備を駆使しての潜水艦制圧任務とともに、長距離対艦ミサイルを搭載しての水上打撃戦を行う、という運用が想定され、従来の基準排水量2000t試案時には無かった艦対艦ミサイルの搭載とVLSを搭載という要求が盛り込まれます。
軽巡洋艦の艦名、かつて沿岸用護衛艦に冠した伝統の艦名を新たに建造する30FFMに冠しないのであれば、潜水艦に冠してはどうか、軽巡洋艦は海上自衛隊が受け継ぐべき殊勲を残した艦種であり、このまま自然消滅させる事は何とも勿体ありません。装備には費用を要しますが、艦名を受け継ぐ事だけならば、費用も掛からず、一定の効果はあるのです。
瑞祥動物の名前、考えれば恐竜の和名など、あるにはあるのですが、そうりゅう型が建造された当時の防衛大綱における潜水艦定数は16隻、新鋭護衛艦むらさめ練習艦転用が検討されるなど2005年当時は現在の22隻体制まで拡充する事は考えていなかったのですし、瑞祥動物で潜水艦を連想させる殊勲艦の名前が尽きてしまうのは仕方ありません。故に河川名を、提案するのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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