北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ひゅうが型ヘリコプター搭載護衛艦からのハリアー運用を模索する

2009-11-30 22:39:09 | 防衛・安全保障

◆ハリアーという選択肢

 最初に訂正、信濃について昨日掲載した折、巡洋艦筑紫の話題を出したが、遡る事五年、明治11年に装甲コルベットの扶桑が就役、基準排水量3717㌧で当時の日本海軍最大はこちらであった。

Img_5503  本日は、海上自衛隊の洋上航空機運用体系について、少し記載したい。昨日正規空母の重要性を示して、必要なのであれば、海上自衛隊の装備体系や部隊編成体系に大きな変革を加える覚悟とともに、その可能性を模索云々記載して、本日は、ひゅうが型や22DDHへハリアーを搭載し、軽空母のように運用できないか、という模索は、やや身勝手のようだが、ご勘弁のほどを。

Img_9820  海上自衛隊は、これまでに幾度かハリアーの導入を模索した、とされている。垂直離着陸が可能なハリアーは、カタパルトを有さない小型の母艦からでも発進することが可能であり、しかも改良型のハリアーⅡ+はAPG-65レーダーやAMRAAM空対空ミサイルの運用能力が付与されていることから、航空阻止任務にも対処可能で、米海軍のような大型の航空母艦でなくとも、一定以上の能力を有する軽空母的な艦船とすることが可能だ。

Img_9811  さて、ハリアーであるが、垂直離着陸を行うと著しく航続距離が低下する。原型のハリアーは、垂直離着陸の場合、ペイロード1.36㌧で戦闘行動半径は92.6km、このあまりもの短さで英空軍では欠陥機扱いされてしまったのだが、180㍍の短距離滑走路を用いた場合ペイロード2.27㌧で戦闘行動半径は231.5kmに達するため、英海軍が注目する運びとなった。

Img_9128  こうしてハリアーは、全通飛行甲板型巡洋艦として計画された基準排水量16000㌧のインヴィンシブル級に搭載されることとなる。英海軍では、軽空母にスキージャンプ台と呼ばれる上向きスロープを設置したが、これにより従来の場合燃料と装備4.5㌧を搭載した場合、180㍍で発艦するには222km/hの速力が必要となるのだが、これが130km/hで発艦することが可能となる。

Img_6763_1  ひゅうが型は、その全長は197㍍であるが、ヘリコプター発着甲板に用いられている部分はそれよりも短く、滑走距離を最大限とった場合で160㍍程度となろう。また、現時点では、スキージャンプ台にあたる発艦補助設備を、当然有していないが、改修して取り付ければ、高いハリアーの運用能力を有することができるといえる。

Img_5109  それでは、ひゅうが型にハリアーを搭載する場合を想定しよう。ひゅうが型の格納庫は、120×20㍍であり、このうち20㍍が整備区画、40㍍がエレベータとなっているので、60㍍の格納部分が残り、二つの格納庫区画に細分化されている。ハリアーは、14×9.3㍍であるから、格納庫の半分をハリアーに充てた場合、整備を甲板で行うとすれば最大限4機、向かい合わせに搭載した場合で3機だろうか。

Img_5294  米海軍の航空母艦の場合は、半分程度を飛行甲板に搭載しており、風雨に曝されることで保守点検の手間は増えるものの、海上自衛隊も甲板上に2基程度を配置する運用を採れば、哨戒ヘリコプターと併せ、SH-60K4機、ハリアー6機を搭載することも可能となる。6機であれば、かなり苦しいものの、2機毎に待機態勢を採る運用も考えられる。

Img_8691  また平時の観念と有事の状況を区別して考える、という方法もあろう。たとえば英海軍のインヴィンシブル級空母は、平時の搭載するハリアーの数は5機を基本としており、有事の際には哨戒ヘリコプターの搭載数を調整し、加えて甲板上に係留する機体を増強し、搭載機を充実させる手法を採っていたが、海上自衛隊もこの方法を採るならば、搭載数は増加しよう。

Img_8778  単純に艦隊防空を考えるのであれば、ハリアーにAMRAAMを搭載し、待機するよりは、イージス艦を増勢したほうが効果的であろうが、イージス艦の防空圏外での戦闘空中哨戒や対艦攻撃任務の面では、ハリアーに軍配が上がる。ミサイルよりも航空機の方が柔軟性が高い点は、陸上の要撃機が迎撃ミサイルに代替されない点がなによりも物語っているともいえる。

Img_8392  現時点で、ハリアーを調達することは非常に難しい。ハリアーは機体形状や超音速性能付与の模索などが現実的に不可能であると結論付けられたことから、後継機には垂直離着陸が可能なF-35Bが導入されることとなったこともあり、イギリスやアメリカでのハリアー生産が終了したためだ。結果、日本国内でハリアーをライセンス生産する以外に導入する方法は無いのだが、これは過去に記事として掲載している。

http://blog.goo.ne.jp/harunakurama/d/20090811

http://blog.goo.ne.jp/harunakurama/d/20090812

Img_5334  海上自衛隊は、ハリアーを運用する場合、必然的に航空自衛隊の基地から発進する航空機の戦闘行動半径よりも外側で生じた、日本の死活的利益を左右する状況に対応するための戦力投射手段として運用することを想定するのだが、同時に、平時から、親善訪問や合同演習、災害派遣などを通じてポテンシャルを誇示するという任務にも用いられる。

Img_5741  この点、昨日の記事に、遠方での洋上脅威に対しては、原子力潜水艦などの手段で無力化することができるのでは、という指摘をいただいたが、平時からカウンターバランスとなるポテンシャルを誇示できるのは水上戦闘艦だけであり、親善訪問や一般公開などで、友好国の国民に対してしますことができるのも、また水上戦闘艦のみであることを考えれば、潜水艦よりもこの種の任務には、水上戦闘艦が向いているといえる。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり無断転載は厳に禁じる)

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信濃 昭和19年11月29日、日本海軍の巨大空母戦没から65年

2009-11-29 23:04:43 | 防衛・安全保障

◆航空母艦を再考する

 築城基地航空祭でF-15から少し部品が脱落したり、弾道ミサイル防衛関連の装備は輸出できるのでは、と北澤防衛相が、中国が人民解放軍を派遣するスーダンへ自衛隊がPKOの後方支援で行けないか岡田外相が発言したりしているのだが、本日は別の話題。

Img_6211  11月29日は、日本海軍の空母信濃が静岡県沖で米海軍の潜水艦アーチャーフィッシュに撃沈されたその日から65周年にあたる日。本日からNHK、坂の上の雲の放映が始まったようですが、帝国海軍の巡洋艦筑紫が出ていました。筑紫は、今日の海上自衛隊護衛艦と比べた場合決して大きくない常備排水量1350㌧。チリ海軍向けの巡洋艦としてイギリスで建造されたものの財政上の理由で日本が買い取った巡洋艦。当時の日本海軍の陣容は、佐賀藩から接収した木製巡洋艦日進の排水量1468㌧、舷側装甲を有する木製巡洋艦の金剛、比叡が満載排水量2250㌧、すべて汽帆混成方式の推進でしたので、石炭のみを動力として装甲巡洋艦である筑紫の就役は、待望の近代軍艦といえた。

Img_6347  日本海軍は、その後、国家方針と国際情勢への対応の観点から、強力な戦艦などの主力艦を整備し、日清戦争では産業革命を終えた大陸中国と、日露戦争では世界最大の陸軍国であるロシアと戦火を交え、第二次世界大戦では、アメリカをはじめ世界の大半を相手として戦うこととなったのだが、その第二次世界大戦において、日本海軍は巨大な航空母艦を建造していた。信濃だ。空母信濃は、大和型戦艦の三番艦として起工され、太平洋戦争開戦に伴い建造は中断されていたものの、1942年6月30日、戦況の悪化に伴い建造は戦艦ではなく空母として再開され、1944年11月19日に竣工した。

Img_2053  信濃の基準排水量は62000㌧、空母赤城が36500㌧、大鳳の基準排水量が29300㌧、改装空母隼鷹で24140㌧であるから、日本海軍最大の空母であったばかりか、米海軍のレキシントン級で36000㌧、量産されたエセックス級は27100㌧、つまり第二次大戦中最大の空母であった。そればかりか、第二次大戦直後に就役したミッドウェー級で基準排水量45000㌧、フォレスタル級は59650㌧(後期型60000㌧)、キティーホーク級で60100㌧なので、信濃の大きさはよくわかるだろう。世界が信濃を追い越したのは1961年の原子力空母エンタープライズ就役だ、基準排水量は75700㌧。しかし残念ながら、竣工から十日後、前述のように潜水艦により撃沈されてしまっている。

Img_8638  さて、今日、海上自衛隊には全通飛行甲板型ヘリコプター搭載護衛艦の基準排水量13950㌧(当初は13500㌧の計画)の、ひゅうが、を運用中、いせ、が建造中で22DDHとして、より大型の水上戦闘艦を計画中。事業仕分で22DDHは、個の建造に関しては事業仕分に馴染まず、政治判断を待つべき、という結論に至っており、22DDHは計画通り建造される方向となっている。22DDHは基準排水量19500㌧の計画で、満載排水量では30000㌧に迫る大型護衛艦として完成することとなろう。ひゅうが、いせ、が、はるな、ひえい、の後継となり、22DDH、ながと、むつ、になるのだろうか、しらね、くらま、後継となれば、四個護衛隊群は、それぞれ一隻の全通飛行甲板型ヘリコプター搭載護衛艦を運用することとなる。

Img_3215  しかし、今後、海洋戦略で、日本のシーレーンと競合する中国海軍が、満載排水量で60000㌧程度の航空母艦二隻を建造中であり、固定翼艦載機を運用する航空母艦として完成させる方向で検討されている。日本近海への航空母艦による脅威に対しては、F-2支援戦闘機により対応することも可能であろうが、インド洋やアラビア海において、中国海軍が、そのポテンシャルを行使しようとした場合、ヘリコプター搭載護衛艦や、イージス艦では十分に対応できるとは言い切れないだろう。いわゆる空母外交を行使する場合、実能力以上に、象徴としての位置づけが重要となる。

Img_8455  結果的に、日本には信濃、と同程度の、もしくは赤城程度の大きさの航空母艦、その必要性が問われる時が将来的に来るのではないだろうか。固定翼を運用することのできる航空母艦となれば、建造費、維持費、必要な人員、護衛艦隊や航空集団の部隊編成などに、革新的な改編が必要となろうし、これまでの防衛大綱の枠内では不可能だろう。なによりも停泊できる埠頭が思い当たらない。整備補給を考えれば2隻、恒常的にインド洋のような外洋で部隊運用を行うとするならば、3隻でも不十分となろうが、最低限のポテンシャルだけならば2隻でも対応可能だ。必要ならば無理をしてでも、成し遂げる必要があり、信濃の命日である今日、少し考えてみるのもいいのではないか。

HARUNA

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ブルートレイン全盛期のトラベルミステリー再放送を今日の視点で俯瞰する

2009-11-28 17:23:39 | コラム

◆リメイクには限界

 週末に再放送される昔のドラマの中でも、毎週放映されているわけではないのだが、西村京太郎のトラベルミステリーシリーズは楽しみな番組の一つだ。

Img_1611  十津川警部シリーズは、今でもTBSやテレビ朝日にて制作されているのだけれども、渡瀬恒彦、高橋英樹ともに素晴らしい警部を演じておられるが、個人的に三橋達也の十津川警部が、雰囲気が出ていました。故人となられ、その新作をみることはできないのだけれども、既に30作以上が三橋氏の十津川警部作品として世に出ている。

Img_4560  一時間ものの作品と違い、原作に極力忠実に制作されているものなので、

見たことがある作品であっても、これもたまにみると懐かしいものが、未見のものが放映されると、釘付けだ。作品の原作も短編を含めれば、無尽蔵といっていいほど、作品数が発表されており、リメイクされることもある。

Img_0676  しかし、この十津川警部シリーズ、時刻表トリックや鉄道車両が舞台となる事が多いのだけれども、リメイクの際に舞台となる鉄道車両そのものが無くなっているものが多い。特にブルートレインをはじめ夜行列車は多くが廃止されており、不定期運行、夜行バス、無理やり貨物列車を使用したとしても不可能なトリックが多く、仕方なく、広島から静岡までヘリコプターを利用する描写もリメイク作品ではみられた。

Img_0474  実際問題として、東武鉄道DRC1720形や名鉄パノラマカー、などなど、ある時代の都市を描写するうえで不可欠といえるような車両が無くなっているものも多いわけで、逆に古い作品は、王子の古い車両の車内という描写が出ているわけなのだから、そういった意味で希少価値は出てくるのだけれども、小説の場合、原作にあった食堂車での駆け引きなどは、食堂車そのものが現在では完全予約制になっていたりして本数も非常に少なく、もう再現不可能という状態になっていたりする。

Img_05551  しかし、これは思うのだけれども、原作を無理に再現しようとして、新幹線にどんどん追い越される夜行列車や、謎のトリックを使わずとも、これらの作品はアニメーションにてリメイクしてみてはどうだろうか、とも思う。アニメーションは、映像表現としては、一段低く見られていることは否めないが、再現度合いでは、実写で一時代前を描写するよりお有利だ。

Img_1999  ブルートレインは、JRに頼み込んで、電気機関車にヘッドマークを取り付けて撮影したり、保管されている客車やセットを組んで撮影する、資料画像を出す、という選択肢もあるのかもしれないが、松本清張の“点と線”リメイクのように、物凄い予算をかけて当時の東京駅などを再現する、という方法、今日的には番組制作費が追いつかないだろう。追いついたとしても、予算的にそういった大作は年に何本も制作できるものではない。

Img_1287  思い切って、写真資料や録音資料は多数が残っているのだし、ブルートレイン全盛期の原作をリメイクする場合には、アニメーションで十津川警部シリーズを再現すれば、ブルートレイン同士のすれ違いや、今日と当時とで異なっている駅や車窓の風景なども再現できるのではないだろうか。もっともアニメーション制作会社により、再現度合いは大きく左右されてしまうのではあるのだが。

HARUNA

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名古屋鉄道7100形 パノラマカーの忘れ形見は本日定期運行終了

2009-11-27 22:53:59 | コラム

◆名鉄7100形、形式消滅へ

 本日、パノラマカーの忘れ形見というべき名鉄7100形が、その長い定期運行の歴史に終止符を打ちました。

Img_1368  7100形は、1975年の7000形パノラマカー最終増備編成の六両から、一編成が四両編成化された際に、編成から除かれた中間車へ、1984年、6000形に準じた運転台を設置したことで誕生した編成で、したがって7100形は、この二両一編成のみ、この二両が廃止されれば自動的に形式消滅となる珍しい編成の車両だ。

Img_1372  先週末から今週にかけての三連休、間もなく定期運行が終了する7100形を撮影するべく三河線に向かった。三河線は、本線の知立を中心に、山側の豊田市と海側の碧南を結ぶ路線で、それぞれ、山線、海線という愛称で知られる。7100は、海線によく運行されているとのことで、まずJRの東海道本線を刈谷へ向かった。

Img_1355  7100形は、まったく見た目は異なるものの、もともと7000形パノラマカーの中間車であることなのだし、車内は、一般車用パノラマカーの車内そのもの、転換式クロスシートはワンマン運転用に若干変更はなされているものの、座り心地は一緒、幅広い窓際も同じ。今は無きパノラマカーの忘れ形見というべき車両だ。

Img_1283_2  7100形は、その昔、名古屋本線の増結用にラッシュ時は活躍し、その後は津島線、犬山線、竹鼻線、西尾線などの輸送に充当され、ラッシュ時は再び本線急行へ、パノラマカーと連結されていた、普通にどこででも見ることができたのだけれども、数年前から三河線の専用運行となっている。

Img_1302  7100形は、本日の運行を以て定期運航から離れるが、おそらく、さよなら運転まで、団体臨時運行などに充当されるのだろう。7100形が活躍した時代は、7000形、7500形、1000形と展望車全盛、路線も本数も充実しているのだが、その後廃線となった路線も多く、中部国際空港依存の運行体系となり、今日に至る。

HARUNA

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平成二十一年度十一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報 4

2009-11-26 23:34:25 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

11月もいよいよ終わり、そんな中実施される今週末の自衛隊関連行事について本日は紹介したい。

Img_0825  今週末土曜日と日曜日には、京都の福知山駐屯地にて記念行事が行われる。土曜日に市街パレードが行われ、日曜日に記念行事が行われる。京都市内から距離があるので、土日ともに見学するには、福知山市内での一泊をお勧めしたい。福知山駐屯地は山岳連隊と称される第7普通科連隊が駐屯している。

Img_8830_2  日曜日には、九州の築城基地航空祭2009が実施される。築城基地航空祭は、築城基地第8航空団が、mF-15飛行隊、F-2飛行隊の混成を採る航空団として知られる、ブルーインパルスも参加予定とのことだ。九州は12月上旬の新田原基地航空祭とともに、航空祭シーズンを迎えることとなる。

Img_1917  普通科連隊の駐屯地祭としては、別府駐屯地祭がおこなわれる。別府駐屯地には、日本で最初期から武装工作員対処を念頭に置いた対遊撃戦の訓練研究を実施してきている第41普通科連隊が駐屯している。別府といえば、温泉街という印象も強いものの、こうした精強な部隊も所在しているのだ。

Img_4012  西部航空方面隊司令部が置かれた春日基地では、開庁50周年記念行事が行われる。航空自衛隊の式典が見学できるほか、装備品展示、そして春日ヘリコプター空輸隊やT-4練習機による航過飛行等が行われる。純粋な航空祭ではないものの、やはり50周年という節目の年にあたり、注目である。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

  1. 11月28日・29日:福知山駐屯地創設記念行事・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/mae/3d/
  2. 11月28日:春日基地開庁50周年記念行事・・・http://www.mod.go.jp/asdf/kasuga/
  3. 11月29日:別府駐屯地創設記念行事・・・http://www.mod.go.jp/gsdf/wae/4d/
  4. 11月29日:築城基地航空祭2009・・・http://www.mod.go.jp/asdf/tsuiki/

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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事業仕分防衛広報費削減 愚鈍で浅はかな広報館有料化論争

2009-11-25 13:26:08 | 防衛・安全保障

◆娯楽のために広報を行うのではない

 本来は昨日掲載する予定の記事なのだが、本日掲載。陸海空自衛隊は、それぞれ、その任務と役割を世間に伝えるべく、広報館を配置している。

Img_1101  広報館は、Webサイトによる公示のほか、テレビでもお昼のバラエティー番組などで紹介されることはあり、駐屯地祭や展示訓練、航空祭など特定行事で無くとも常に入館することができる場所として知られており、特に徴兵制をとらない我が国においては、自衛隊とはどのようなものなのか、知ることができる場所は、そのまま志願者というかたちで反映されることが可能な貴重な場所である。

Img_0794  しかし、今回事業仕分に際しては、広報館を一種のテーマパークと勘違いされている仕分人や議員の方もいらしたようで、200円程度の有料化を模索すれば独立採算制がとれるのではないか、という提案が出た。自営隊、というわけか。なるほど、映画を見すぎた方からは装備品や航空機、戦車などのシュミュレーションは娯楽だと誤解されることもあるのだろう、本当に面白いものならば、東京ディズニーランドのような入場料が高額なテーマパークでもリピーターが望めるのだから、と引き合いに出している。

Img_1054  個人的には、浜松広報館や鉄のくじら館を見学した感想として、京都の寺社仏閣と同程度、確かに、500円程度の入場料に値する中身の濃い内容で、用途廃止となった装備品などが整備され並べられているものであっても、驚かされる展示は多い。場所が近ければ何度でも足を運びたくもなるだろう。

Img_4867_1  ところが、これは広報としての建物であり、軍事マニアを対象とした施設なのではなく、自衛隊とはどのような組織なのか、という最初の興味を持った人たちへの施設ということを忘れてはならないように思う。すなわち、軍事機構最大の資産は人材であり、広報とは娯楽ではなく、人材を獲得するための第一線なのであって、企業広報に有料サイトが無く、会社説明会に有料なものがないように、自衛隊の広報も優良なものは無くて然るべきといえる。

Img_4839_1  防衛省が渋谷に民間委託という形で広報施設を配置しているが、この来館者数が伸び悩んでいることも問題とされた。しかし、これで廃止、という議論に至る事はおかしく、民間委託で入場者数が伸びないのならば、別の業者に委託すればいい、これが民主党の大好きなイギリスブレア政権が行政改革の一環として導入した外注方式である。

Img_4775_1  とにかく、有能な人材を集めなければならない防衛省、政府が徴兵制を導入する意思が無いのならば、募集のための広報事業の重要性は変わらず、逆に少子化が進めば重要性は増してゆくことだろう。この点を理解できないようでは、逆に事業仕分そのものの事業評価を低くするほかない。行政刷新会議事業仕分については、防衛省区分だけを一部掲載しているが、ほかの事業仕分もこの程度の愚鈍で浅はかな認識で行われているのでは、と危惧する次第。それとも、事業実施者の説明能力の低さを指摘する声もある事だし、逆手にとり日本にロビイストという職業を広め、雇用を少しでも増進させようという意図でもあるのだろうか。

HARUNA

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北澤防衛大臣 次期戦闘機F-35内定報道を記者会見で正式否定

2009-11-24 23:28:22 | 防衛・安全保障

◆大臣:あの報道は全く根拠がありません

 第二北大路機関広報にも掲載しましたが、本日は、OCNWeblogメンテナンスが実施されました。期間は1700時まで延長されまして、その間、コメントができないなどお手数おかけしました。

Img_9036  さて、昨日、朝刊に掲載された次期戦闘機F-35内定、という話は、今朝の防衛大臣記者会見にて正式に否定されました。やはりF-22に未練があるということなのか、単なるアドバルーンとして出されたのか、情報の錯誤なのか、以下に大臣会見概要 :平成21年11月24日(08時47分~08時50分)から抜粋して掲載します。

Img_6654   Q:F-Xの話なのですけれども、一部報道でF-35の方向だということなのですけれども、現在の検討状況というのはどうなのでしょうか。

A:あの報道は全く根拠がありません。従来、我々が内閣を引き受ける前に、色々と省内で検討したりしたことがあったことのパッチワークのような話が出ただけで、あれについてコメントする気もありませんし、防衛省の方針があそこに表れているということは全くありません。

Img_6593  F-35はF-4後継機として見た場合、日本の防衛には、戦闘機運用基盤や調達時期を踏まえれば何ら利点は無く、慎重にあるべき、と思うのですが、一方で、F-22の導入は非現実的であり、F-4後継機の必要性は切実な状況。F-22を40機という無謀な要望はかなぐり捨てて、いっそF-2を二倍の80機調達した方が、調達費用、運用経費ともに安価ですみ、しかも苦境の国内製造業にカンフル剤、となるようにも思う次第。

HARUNA

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次期戦闘機にF-35 40機の取得を想定し防衛省が調整へ

2009-11-23 22:12:34 | 防衛・安全保障

◆2010年代半ばに導入を予定・・・しているが

 今朝の朝刊で報じられていることもあり、ご存知の方も多いとは思うが、防衛省関係者が次期戦闘機としてF-35の導入を表明した。

Img_2250_2  2010年度予算にF-35に関する調査費を計上することとしている。防衛省関係者による話では、F-35は“超音速巡航能力”を有し、“レーダーに映りにくいステルス性を有する”とされ、“一機90億円”とされている。されている、というのが重要。この中で、レーダーに映りにくいステルス性が次世代航空戦に不可欠であり、F-35が選定された背景とされる。

Img_2258  航空自衛隊は、現在のF-4戦闘機が旧式化と老朽化が極めて危険な度合いに達しており、2005年度から2009年度までの中期防衛力整備計画により、F-4後継機として次期戦闘機F-Xを7機、調達する計画であったものの、本命とされたF-22戦闘機が、高度な機密性などの面から米国から取得せきる見通しが立たず、F-22の導入は断念せざるを得ない状況があった。

Img_3166  次期戦闘機として、米空軍が運用する高い対地攻撃能力を有する戦闘爆撃機、ボーイングF-15E。米海軍が空母艦載機として運用し、高い攻撃能力とステルス性を限定的ながら配慮しているF/A-18E戦闘攻撃機。欧州共同開発により高い空対空空対地空対艦能力とともにレーダーに映りにくい設計として完成し配備が進められている多用途戦闘機ユーロファイターターフーン、そしてステルス攻撃機として国際共同開発が進められているF-35が候補機となっている。

Img_8528  しかし、F-35は、国際共同開発により進められているものの、どの程度のステルス性を有しているかは、調達を決定するまでの間開示されないこととなっており、形状からしてステルス性を有していることは判明しているものの、どの程度のステルス性かは未知数である。また、超音速巡航能力を有している、とされるが超音速巡航の定義は不明確であり、その基幹となる搭載エンジンは一基で双発機に匹敵するF-135が、トラブルが続いていることから代替エンジンの開発が開始される予定となっている。そして、開発中であるので、単価は90億円といわれているが、これは見積もり価格と言わざるを得ない状況で、上昇する覚悟は必要だ。

Img_8568  2010年代半ばの導入、とあるのだが、これも果たして、どうなのか。開発に参加している国が第一に優先的に納入を受けることができるのだが、出資額によっては優先顧客として比較的早い納入を受けることが可能だ。しかし、それでも2010年代後半、もしくは2020年代となる。もちろん、2013年から配備が開始される米空軍用の機体を航空自衛隊が横取りでもできるのなら別なのだが。

Img_8876  F-35は機体としてエンジンが開発中の機体、価格は見積もり価格であり詳細は不明。ステルス性は有しているということ以外、そのレベルは不明。超音速巡航が可能とされるが、アフターバーナーを使用する必要があり、どの程度の準高性能かは未知数。そして、引き渡しがいつごろ開始されるかが未知数の機体を、採用しよう、といわけだ。開発費が高騰していることから、日本が参加すればどんどん資金を抽出できそうな状況、現在の開発参加国には朗報だが、現時点、少し日本にはリスクが大きいようにも。

Img_9343  40機が導入される、というが、ライセンス生産が認められる可能性は、経済効率や開発参加国すべてとのライセンス契約締結は難しく、F-35を採用すれば自動的に日本における戦闘機生産基盤は消失し、現在運用されている航空自衛隊の戦闘機に関しても、その運用基盤を供する企業が防衛産業から撤退することに繋がる。もちろん、40機を一気に2~3年で調達し、間髪をいれずF-15後継機を国内に生産基盤が残っているうちにライセンス生産するならば話は別だが、これは予算的に厳しいだろう。

Img_2473  日本国内の運用基盤が失われることとは何を意味するか。つまり、部品を海外から輸入するか特注しなければ、飛べる機体も飛べなくなり、ほかの航空機を調達する必要が生じる。第一、日本がここまで古いF-4を今日も運用できるのは国内に運用基盤があるからである。F-35導入は、防衛産業全般に、このような影響を及ぼす危険を有しているわけだ。

Img_2401  F-35は、誤解を恐れずに述べれば、完成すればカタログスペックの上では非常に高性能な多用途戦闘機として設計されている。問題は、現時点で完成がいつできるか、いくら掛かるか、どれだけの性能か、未知数な点にある。F-4の後継機はライセンス生産が可能で、既に設計が完成している機体により対応し、他方で、F-15Jの後継として、F-35をライセンス生産する道筋を、改めて2020年代を想定し構想するべきともおもうのだが、今回の“英断”には以上のように疑問を感じる次第。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文および写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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万時塞翁が馬? エアフェスタ浜松2009の写真を整理していて

2009-11-22 22:57:48 | 航空自衛隊 装備名鑑

◆浜松広報館初探訪

 災い転じて、という言葉がある。塞翁が馬、ともいうべきか。D・サザーランドが映画戦略大作戦で言うには、悲観論がいけない。

Img_3567  今年の浜松基地航空祭、エアフェスタ浜松は、米空軍のアクロバットチーム、サンダーバーズが飛行展示を実施するということで、物凄い入場者が予想されたことから、メイン会場ではなく、広報館となりの特設駐車場から撮影することとした。地上展示が見ることができないのは残念ではあったのだけれども、入場者が多すぎれば身動きとれない。

Img_4530  しかも、途中から小雨が飛んできて、はっきりと雨天となった。晴れ男の代名詞といわれた小生ながら、友人の雨天三連覇というツワモノも来ていた次第なのですが、なんとかサンダーバーズはほかの飛行展示に促されるように飛行展示を部分的に実施しまして、大団円、という状況になりました。

Img_4845_1  飛行展示は大団円なのですが、雨天はデジタル一眼レフを始め精密機器の大敵、これはなんとかしなければ、とカメラバックを防水ケースに放り込んで、そのまますぐ隣の広報館に退避しました。なんと、当方、この時が航空自衛隊広報館初探訪、連装だ!、などなどラインメタル20㍉に感激しました次第。

Img_4750_1  岐阜基地隣の各務原航空宇宙博物館もかなりの展示規模なのだけれども、浜松広報館は、前者が航空宇宙の技術を伝えているのに対して、こちらは航空自衛隊そのものを伝えているということで、展示されている内容は似ているようで全く違う、というのが強い印象でした。しかし、浜松駅からバスの便利がわるいのだよなあ。

Img_4660  などなど回想モードに浸る当方の耳に、V-107のエンジン音が届いてきた。おお、小雨から豪雨に転じた状況でも、救難ヘリコプターは飛行している!、まもなく引退のV-107ながら、救難ヘリコプターとしての性能はい如何なく発揮できる訓練体系が維持されている証だ、と広報館から撮影しました。

Img_4904  浜松広報館は、航空自衛隊の任務や歴史を紹介する区間と、航空機そのものを紹介する区画とがわかれており、そこまで入場者も多くなく、ゆっくりと見学することができました。各務原のように大型機の館内展示は行われていないものの、並ぶ航空機は珍しいものも多く、唸らされた次第。

Img_4745  感嘆のさなかではありましたが、そこにいきなりC-17のエンジン音が!、おお、これが米空軍の戦域間輸送機の離陸、さすがはのSTOL性能を浜松基地で発揮、物凄く短い滑走距離ながらぐんぐん大空にC-17は離陸してゆく。いやあ、待ってた甲斐があった。待ってたわけではないような気もするのだけれども。

Img_4863_1  さて。この調子で待ってると、今度は嘉手納からエルメンドルフに向かうF-22が悪天候で降りてきたり、イギリスから今話題の無人カマキリが飛んでくる、・・・、事は絶対無いと思うので、そのまま撤収することとしました。朝一で会場に入られた友人に、広報館、いいぞ!と勧めたらば、友人は浜松に一泊して、翌日訪れたとのこと。

Img_4723_1  しかし、人間考えることは大体同じようでして、翌日、そんなに凄いのか!、と浜松広報館に足を運んだ友人は、航空祭に続いて満車祭が行われている浜松広報館に到達したとのこと。ううむ、当方が言った時は相当空いていたので、満喫できましたが、混雑していたら、どのようになっていたのですかね・・・。

Img_4802  さて。話は続きがある。T様とC.ジョニー様一行と、実は駐車場で合流していたのですが、一緒に駐車場に足を運ぶと、サンダーバーズが次の飛行展示に向かうべく三沢基地へ離陸してゆくところをバッチリ撮る事が出来ました。このころには雨が上がっており、雨天に祟られても万事塞翁が馬、というところでした。

HARUNA

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AH-64D戦闘ヘリ五機が祝賀飛行に参加した明野航空祭2009

2009-11-21 22:20:53 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆明野駐屯地祭の写真を整理して

 訓練展示模擬戦が、ややトーンダウンしていたのを除けば、例年通りの規模で行われた今年の明野駐屯地祭、通称明野航空祭。

Img_9876  最大の見どころは、例年よりも近い位置にAH-64D戦闘ヘリコプターが並んでいたところだろうか。加えて、祝賀飛行だけで5機のAH-64Dが飛行した。ミリ波レーダーであるロングボウを搭載したAH-64Dアパッチロングボウは、レーダー情報を部隊間で共有することができ、全陸上自衛隊の目となりうる高度な索敵能力を有している。

Img_0008  加えて、戦闘行動半径や同時に対処出来る目標数も増大しており、従来のAH-1Sでは野戦補給設備などの支援を要した範囲の目標に対しても、対応することが可能だ。搭載するミサイルの射程も増大しており、驚くべきは米陸軍の近代化プログラムとともに将来的に、より性能が向上する可能性を内包している設計の余裕だ。

Img_0094  しかし、その分、調達費用は富士重工でのライセンス生産を行うことも含め高騰、60機の中お辰が予定されていたが、財政上の理由から急きょ10機で発注中止、ライセンス生産の契約をボーイングとの間で結んだ富士重工は莫大な損害を蒙り、500億円の民事賠償請求を準備中と伝えられている。

Img_0191  一個飛行隊の必要定数はAH-1Sの16機から能力向上により12機まで削減できるとされ、9機の縮小編成を採れば、訓練所要と5方面隊の対戦車ヘリ隊を代替する戦闘ヘリ隊の所要として50機程度、60機調達すれば損耗予備と併せ、96機のAH-1Sを代替できたわけで、今更別機種で空中打撃力を充足せずとも、と考えた次第。

Img_0437  地皺の多い日本の国土を防衛する場合、空中打撃力は、少数の師団・旅団を補完するうえで不可欠の装備であるとともに、データリンク能力が高く、索敵能力が高いAH-64Dのポテンシャルは、決して低くは無いはずなのだが、それだけに調達中止は残念、と思いつつ、明野の五機編隊を見上げた一日でした。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文および写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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