北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【榛名備防録】中華民国台湾防衛力強化,M-1A2Tエイブラムスに続いて必要な”イージス艦”の取得

2024-12-18 07:00:01 | 国際・政治
■イージス艦が必要
 こんごう竣工が1993年ですので日本では普通の存在となっているのがイージス艦なのですけれども。

 中華民国台湾、このほどM-1A2エイブラムス戦車の引き渡しを受け、近接戦闘能力が大幅に向上したのですが、今後の課題はイージス艦とF-35戦闘機など第五世代戦闘機の導入というところでしょう。特に海軍は現在、小型艦中心のゲリラ戦のような運用を想定した改編をすすめており、既存水上戦闘艦艇の旧式化が深刻な課題となっています。

 イージス艦、台湾海峡有事の際、現在の台湾海軍主力はOHペリー級ミサイルフリゲイトを原型とする成功級となっています、これはターターミサイルシステムを搭載した、建造当時は相応に強力な艦艇となっていましたが、Mk13発射装置の発射速度やターターシステムの能力顕界などで、2020年代の水上戦闘において性能十分とは言いがたいのだ。

 台湾海峡有事の際には、おそらく人類が歴史上経験したことのない水準で、高度な水上戦闘艦が入り乱れる海上戦闘となるでしょう、こうした状況に、ターターシステムだけで対応することは難しく、また台北などの主要都市を弾道ミサイル攻撃から防護するためには、ミサイル防衛能力を有するイージス艦を太平洋側に展開させるほかありません。

 イージス艦の台湾引き渡しは、可能性としてあるのか。世界ではほかにもAPARシステムやホライゾンシステムなど防空艦はあまたあるのですが、中距離弾道弾を迎撃できる能力を有しているのはいまのところイージスシステムのみ、ほかの艦艇にはせいぜい短距離弾道弾、具体的には准中距離弾道弾は限定的に迎撃できる可能性があるシステムはあるが。

 アメリカがイージスシステム供与に踏み切るかが重要です、現時点では難しい、それはイージスシステムの機密性とともに、これを引き渡すことは技術支援などで台湾とアメリカの防衛協力をもう少し進める必要があるため、中国政府を刺激することとなる。ただ、この覚悟を込めて供与するとアメリカ政府が決断するならば、話はずいぶん違ってくる。

 HIMARSにAH-64EとM-1A2T,それにF-16Vという。台湾の装備を考えますと野砲も旧式化が進んでいるため、例えば120mmRTやM-777といった火砲が一門でも多く必要ですし、なにしろ相手が大きくなりすぎていますので最大限の能力構築が必要です。しかし、イージス艦はいくつかの問題を一気呵成に乗り越えうる、ひとつの分水嶺を構成できるかもしれません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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ウクライナ情勢-シリアアサド政権崩壊が意味するアフリカ中継地喪失,ロシアウクライナ戦争への間接的影響

2024-12-17 07:00:56 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 シリアでの変化はロシアの戦争継続に間接的な影響を及ぼすのかもしれません。それはグローバルなパワープロジェクションとそれを実現させる中継地という我が国で忘れられがちな視座から考えてみましょう。

 シリアのアサド政権崩壊はロシアのウクライナ侵略をはじめとした戦争継続能力に大きな影響を与えるのかもしれません、それは必ずしもウクライナ侵略を断念するという短期的成果には結びつかないのでしょうが、戦費等の面で大きな影響が及べば、ロシア軍は更に重装備に代えて歩兵の無謀な攻撃に依存し、長期的な影響に繋がる為です。

 アサド政権は僅か10日間の武装勢力攻勢により、首都ダマスカスを放棄し政権崩壊へ繋がりました。ここにおいて2011年より継続していたシリア内戦は終結を迎えると共に、2016年より8年間にわたり実施されていたロシア軍のシリア軍事介入も同時に終了することとなりました。これは言い換えればシリア駐留兵力をウクライナへ転用できるわけですが。

 ロシア軍のシリア領における空軍基地と海軍基地、ロシア空軍はウクライナにおける戦術航空機の大きな喪失により、シリア領内の空軍基地へも若干の戦闘爆撃機を派遣していたのみでした、言い換えれば武装勢力大攻勢に際し、大幅に縮小されていた航空打撃力では、アサド政権を崩壊から守る事が出来なかった、と視る事も出来ますが、もうひとつ。

 ロシアはアフリカ大陸に大きな権益を、鉱山経営などを通じて有しています。これは民間軍事会社ワグネルなどを通じて、非公式の事実上派兵を行い、アフリカ地域の紛争沈静化を行う一方で、権益保護を進めていました。ただ、ロシアにとり重要なのは中継地の確保で、海軍拠点と空軍拠点、アフリカへの中継地として有していたのは、シリアのみという。

 アフリカ権益がどの程度の経済的恩恵をロシアにもたらしていたのかは、不透明な部分が有ります、しかし不透明である故に正規の航空航路や船舶航路では運べない人員や物資を秘密裏に輸送していた中継地が中東のシリアであり、シリアに代わる中継地は、ロシア友好国で経済制裁下でも手を差し伸べる国と云えば、中継地としては遠いイランくらい。

 アフリカ地域で入手したレアメタルや貴金属は、ロシアとしてはバーターでロシア産石油などを提示して入手でき、戦争継続の為の資金源となっていた事は確かです。しかしその輸送の為の中継地シリアの親ロ的なアサド政権の崩壊は、アフリカへのアクセスを難しくすることを意味し、またロシア軍は更なる戦費不足と装備不足に見舞われるでしょう。

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【臨時情報】韓国全土に戒厳令発令!尹錫悦大統領-国政停滞受け非常措置,1987年民主化後初

2024-12-04 03:51:24 | 国際・政治
■韓国戒厳令
 日本海を超えた隣国で非常事態です。

 韓国尹錫悦大統領が戒厳令布告を宣言し国会での政治活動など禁止と発表する異例の事態が昨夜発生しました、この戒厳令発令は韓国全土で活動するメディアも対象としているとのこと。韓国で戒厳令が布告されるのは軍事独裁政権時代の1987年以来となります。政治圧胴の禁止は国会の他に地方議会でも禁止され、またストライキなども禁止されます。

 クーデターではない。現在のところ、戒厳令布告は“来年の予算案の国会審議をめぐって緊急の談話”として示され、“国政はまひ状態にある。憲政の秩序を守るために非常戒厳を宣布する”、異例の話ですが今年の選挙で与党が敗北した事により国会審議が停滞した事を受け、野党に対する選択肢として憲法上の戒厳令を布告したものだとしています。

 戒厳司令部が軍により設置されている。NHK報道によれば、戒厳司令部は“国会や地方議会での一切の政治活動や社会の混乱を助長するストライキや集会などを禁じるとしていて、また、すべてのメディアと出版は戒厳司令部の統制を受ける”と報道、更に“国防省が軍の警戒態勢の強化を指示した”とも報じています。外務省は邦人安全情報を発表しました。

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ウクライナ情勢-ロシア軍にBMP-3装甲戦闘車はどれだけ残っているのか

2024-11-28 07:00:10 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 先ず最初にウクライナ軍の無人機戦果について。

 ウクライナ軍はカスピ海のカスピースク基地を無人機により攻撃した、イギリス国防省11月15日付ウクライナ戦況分析によれば、攻撃は11月6日に実施、標的はロシア海軍カスピ小艦隊で、カスピースク基地にはフリゲイトを含む複数の艦艇が停泊していた模様、この攻撃によりゲパルト級フリゲイト2隻が小破したものと分析しています。

 ゲパルト級フリゲイトはもともと1990年代にロシアがインド海軍向けに提案したものの外洋作戦用に不適としてインド側が採用しなかった案をロシア海軍がカスピ小艦隊向け艦艇として建造したもので、満載排水量1930t、フリゲイトとしては最小規模の艦艇ですが同程度の艦がヴェトナムに輸出された、カリブル巡航ミサイル運用能力があり、カスピ海からシリアを攻撃した事例も。

 カスピ小艦隊はロシアウクライナ戦争開戦後、ウクライナ領内へもカリブル巡航ミサイルによる攻撃を実施したとされていますが、イギリス国防省によれば今回攻撃を受けたフリゲイトがウクライナ本土を攻撃した可能性は考えにくいとしています。ただ、黒海艦隊ではなくウクライナ本土から離れたカスピ小艦隊を攻撃した意味は大きい。

 日本の場合は保管せず廃棄するのですが、ロシアにBMP-3装甲戦闘車はどれだけ残っているのだろうか、今回は少し備忘録的な内容となるのですが素朴、だけれども重要な疑問です。旧ソ連末期に製造が開始砂荒れたBMP-3装甲戦闘車は少なくない数が量産されているのですが、100mm低圧砲と30mm機関砲という強力な火力を持つ装甲戦闘車として、ロシアウクライナ戦争では大量投入され。

 オリックスというオランダのオープンソースインテリジェンス組織が武力紛争における装備品の破壊状況を公開画像や報道画像などから分析しているのですが、破壊された車輛、その証拠となる写真を含めて、BMP-3の少なくともロシア軍が装備する八割が破壊されていることとなる、それもオリックスは2022年に更新を終了しているため、2022年中に。

 ソ連時代に大量生産された装備は退役後も保管され、今回のウクライナでの損耗に対応すべく現役復帰の作業が行われていますが、備蓄には上限が有るという、そして少なくともBMP-3は生産数が少ない為に大半が現役であった。するともうBMP-3はほとんどないのではないか。T-72,T-62,T-80,BMP-2,BMP-1,これらを含めて、残っているのか疑問です。

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【臨時情報】ロシア軍ウクライナ攻撃にICBM大陸間弾道弾攻撃の可能性-プーチン大統領は否定

2024-11-22 07:00:38 | 国際・政治
■米ロ全面核戦争の懸念
 ロシアウクライナ戦争が第三次世界大戦の導火線上にあるという懸念は前からありますが今回その現実性について懸念するべき事態がありました。戦争が拡大するならば日本も当事者とならざるをえません。

 ロシア本土カスピ海北部のアストラハン州からウクライナのドニプロへ弾道ミサイルが発射、ウクライナ政府はこれがICBM大陸間弾道ミサイルであったと発表しました。現地からと思われる映像には複数のミサイルが同時弾着するものが映っており、真偽は今後検証する事となるのでしょうが、ICBMの多弾頭型の着弾と共通する景況が確認されました。

 ICBM大陸間弾道弾が使用された場合、この戦争の本質が根本から変わる可能性があります。通常弾頭のICBMを単純な視点で見た場合は、ペトリオットミサイルなど既存のウクライナ軍防空システムでは迎撃できない打撃力、と理解する事が出来るのかもしれませんが、その理解は恰も核兵器を通常よりも威力の大きな爆弾と理解しろという様なもの。

 ロシア国内はアメリカのDSP早期警戒衛星により、一定以上の高度に飛翔する飛翔体と一定以上の大きな熱量を探知する警戒システムにより監視されています、いや監視対象は地球全体に広がるのですが、膨大な核戦力を有するロシア本土は特に核兵器によるアメリカ本土紀州を警戒し監視されており、その最中にICBMを投射するという危険性です。

 ロシア国内から発射された一定以上の高度を飛翔する物体はNORADを通じ、まず電磁反射特性からミサイルの形式とともに傾斜角度を計算します、これによりかなりの部分で北米に向かっているかなど軌道が判明する為です、この時点でNORADはワシントンDCへ緊急警報を発し、国家指揮権限者、通常は大統領、へ対抗措置の命令準備を上申します。

 全面核戦争の準備、というものは上記の通りで、これは最初の一発目を高高度核爆発により発生させるEMP核電磁パルスにより広範囲に電波通信を遮断し防護措置のない電子機器を破壊するため先に手を打つ必要があるのです。一定以上の高度に飛翔した物体は、オーストラリアや南アフリカなどにアメリカが配置したレーダーでも追尾が行われる。

 飛翔体から側板が分離するか否か、レーダーが監視するのはこの点です。何故ならば飛翔したものが人工衛星であった場合は不要な重量物である側板を分離します、が、核弾頭なり何なり、地上に再突入する為にはその突入体を保護するために側板を保持する必要が有り。これが確認されない場合、そして軌道が事前通知されていない場合は、反撃が必要だ。

 ミニットマン大陸間弾道弾などアメリカには反撃の装備が充分保持されていますが、いずれも核弾頭です、そして敵の核弾頭により発射前に破壊される前にこちらが発射しなければ、相手に残る核戦力により次は大都市など経済中枢や指揮中枢が狙われる事となります、この時点で、地球の人口が半減する程度の、次の次元の戦争に発展してしまうのです。

 ICBMか、中距離弾道弾か、ICBMであった場合はこれが日常的に使用される事と成れば、毎日核戦争まで数分の世界を活きる必要があります、すると超えてはならない一歩、核戦争を防ぐためにアメリカはウクライナへ軍事介入するか、ロシアの核戦力に対する次の段階の準備を強いられます。少なくともICBMの現状を看過する事はできなくなるのですね。

 ただ、ロシアのプーチン大統領は21日の演説で、中距離弾道ミサイルであったと発言、一方、ミサイルの種類について演説で当日に言及した事は過去になく、一部報道でも中距離弾道弾であったというものはありますが情報は錯そうしている。ロシアは前進を続けていますがその速度は遅く毎日1500名の死傷者が出ており、核兵器による威嚇を続けています。

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【榛名備防録】トランプ政権とアメリカ分断の危機,人材不足の閣僚候補と懸念される"三選目"リスク

2024-11-21 07:00:29 | 国際・政治
■トランプ政権二期目
 経済が停滞していると有権者が考えるならば現職後継者が選ばれないのは必然であり選挙制度により後退する政権交代には不安はない。

 もしトラ、やはトラ。アニメーション化もされましたが、もし野球チームのマネージャーがドラッガーを読んだら、という作品が”もしドラ”といわれていましたが、いま世界は”もしトラ”、トランプ再選に揺れています。何をやるかわからないという意味で。ただ、それほど懸念は選挙時点ではしていない、いや、人材の問題はあるけれど。

 国防長官候補がズブの素人であれだけの巨大な組織を動かせるのか、政権入りする実業家のイーロンマスク氏を国防長官にした方がマクナマラ時代のようにまともに行くのではないか、と、二期目の人材枯渇のほうが懸念なのですが、しかし一応、アメリカの選挙制度に依拠して当選した、という意味では、選挙民の選択を尊重すべきでしょう。

 選挙ではハリス政権があり得るかは、バイデン政権の経済政策が成功したと選挙民が感じていれば支持するだろうし、駄目だチェンジ、と思うならば当選しないだろうと思い、インフレに見合った賃上げが実際に感覚としてどう受け止められているかが左右するというところで、実際、アメリカはいま景気悪かった、ということになる訳だ。

 モシトラは問題ではない、いまは。実際問題、アメリカでは世論形成に、全米で新聞が届かない地域が広がるなど、ファクトチェックされていないSNS情報に判断を依存する層が増えていますので、社会の分断を考えると、結局落としどころはトランプ二期目、しかなかったよう思う。年齢的に今回が最後となるところでしたので幸いともいえて。

 三期目を宣言した場合が、不確定要素となる。合衆国憲法修正22条では三選目が禁止されている、けれども過去には第二次大戦中、フランクリンルーズベルト大統領が三選以上を在任した実例がある、もっとも、その結果憲法が修正されたわけだけれども。修正22条の制定は1951年、つまり戦後なのだから。ここを無視する可能性は、と。

 憲法改正は大統領権限では行えず、上下両院三分の二以上の賛成で発議され全米50州議会でも同様の手続きを取って憲法会議が招集される。これはあまりに難易度が高いために憲法修正が行われる、これは上下両院三分の二の賛成と、全米50州の議会の内四分の三が賛成することで修正が成立、憲法会議を招集せず済むだけ難易度は低い。

 三期目、もちろんトランプ氏が望んだうえで、こうした手続きが為されるならば三期目も問題はないのですが、大統領権限で憲法修正22条にはない、何らかの手法、戦時を宣言、こうして三期目を目指すことがあるならば、もしくは任期延長を目指すことがあるならば、アメリカの民主主義というものは根本から危機に曝されるという事がありうる。

 90歳を超えて首相をやった事例が世界にはあるので、三期目を望む可能性は、健康的にはある、マレーシアのマハティール首相だ、第七次マハティール政権は2020年まで続きましたが、マハティールビンモハマド氏は日本では大正時代に生まれた、95歳まで首相を務めていたというから凄い。ただ、新党結成後に選挙に勝利してという手続きを含む。

 三期目をトランプ氏が望むならば、アメリカの世論は制度と支持者との間で分断が起こり得る、全米50州議会の四分の三が賛成して憲法が修正されるならば別だけれども、このハードルは大統領選より高い、けれども本人の収監問題などが浮上するならば、もしくは支持者が求めるならば、分断は起こり得る。注視すべきなのかもしれませんね。

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アメリカ大統領選挙2024-回避された分断と暴力,トランプ前大統領はハリス副大統領に一定以上の獲得選挙人優位

2024-11-07 07:01:01 | 国際・政治
■素早い当確,拮抗報道一転
 今回の大統領選は当選確実までが比較的短時間であったということが重要なのかもしれません。

 今回のアメリカ大統領選挙、杞憂であったのは僅差では無く圧勝、というには若干温度差があるかもしれませんが、最終形が必要なほどの僅差では無かった、ということでしょうか。これは結果的に短期間でハリス副大統領とトランプ前大統領の獲得選挙人数の明暗がはっきりしまして、これが不正投票論など陰謀論のとりつく島を圧したという構図で。

 ペンシルベニア州などは前回の選挙では僅差でしたので、再度集計の必要など、その日のうちに選挙結果が出ず、実に四日間を要して正確な投票数を調べることとなったのは記憶されるところですが、今回の選挙は日本時間2000時まえには、つまり現地時間深夜には大勢が、というよりも当確情報までこぎ着けられたというのが、印象的というところ。

 分断、と選挙において前回の2020年選挙ののちの議会襲撃事件のような事態が怒ることが懸念されていたのですが、当初はほぼ拮抗、という選挙前報道とは全く異なり明確な差が出ているため、要するに再集計した場合は結果が覆る可能性、というものを封じたという点で、つまり双方の支持者が残念ではあっても受け入れられるという意味で重要でした。

 拮抗報道、双方支持率が拮抗していると多くのメディア、全米だけでは無く日本のメディアも含めてこうした事前報道がありましたが、これは前回の選挙のトランプ大統領という現職優位報道、前々回のクリントン候補優位報道というものがありましたので、メディアには予想予測というものがわかりにくくなっているという印象がないでもありません。

 捏造報道は報道から追い出されるべきではありますが、本邦メディアを含めますと願望報道のようなものも含まれているようで、これは有権者が決めるものなのですからメディアは世論構築というものと、分析報道というものを別個に分けて考えるべきなのかもしれません。それ故に、分断は有権者間というよりメディアと有権者の間に生じている。

 民主主義の危機、という表現があるようですが、アメリカが定めた選挙により成立する政権交代は、これ以上に民主的なものはありません、例えばバイデン大統領が任期満了を拒否することはないでしょうし、トランプ大統領が次の選挙へ法制度をそのままに三選をめざすようなことがなければ、アメリカの民主主義が機能している証左なのです。

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アメリカ大統領選挙二〇二四日本時間本日投票開始,バイデン政権継承するハリス政権か第二次政権期すトランプ政権か

2024-11-05 07:00:31 | 国際・政治
■アメリカ大統領選
 アメリカ大統領がだれとなるのかは日本の防衛安全保障とともに世界の安全保障にも大きく影響する命題です。

 アメリカ大統領選挙がいよいよです。トランプ政権となるか、ハリス政権となるか。第一次トランプ政権時代には、選挙戦において日本の核武装を認めるなど、非常に不安となる要素が存在していましたが、核武装云々は先ず、トランプ政権成立と共に核武装の背けいには北朝鮮や中国の核に日本自身で向かわせるという視座が在ったと判明しています。

 安倍政権時代、非常に早く大統領選挙勝利後、オバマ政権が継続する中で会談の機会を持ち、中国や北朝鮮が大陸間弾道弾を整備しているのは近距離の日本を狙うためではなくアメリカに向けられている、ということを説明するとともに、政権交代後には北朝鮮の相次ぐミサイル実験に日本海へ空母3隻を投入、戦争も辞さない覚悟を示して封じました。

 かが表敬訪問、日本の護衛艦をアメリカ大統領が視察したのは史上初めてのものであり、一方、選挙戦当時は中止を示唆していたF-35戦闘機開発を継続することで第五世代戦闘機の流れを決定づけ、NATO脱退も、モンロードクトリンへ回帰し米軍自身が弱体化する懸念がありましたが、強いアメリカを標榜する一環に軍事力を含めた為に杞憂でした。

 もしトラ、という、アニメーションのもしドラのような名前で呼ばれていたリスクは、例えば空軍の次世代戦闘機計画や新型ICBM開発がコスト超過であるとして中断される可能性がありますが、国際公序の根幹をゆがめる事は結局、国際公序の恩恵に国力を維持しているアメリカとしては無理にとらないのではないか、という可能性は大きいと思う。

 ハリス政権となった場合は、少なくとも現行政策は継続するもので、大きな変化はないでしょう。バイデン政権の大きな失策を一つ上げるとすれば、2022年の時点でロシアがウクライナに侵攻する直前、経済制裁は行うが米軍は派遣しないと大統領が公言し、ロシアのプーチン大統領に経済制裁に耐えればウクライナ併合が可能、と誤認させたことでしょう。

 グリーンニューディールという経済政策の目玉は結局、EVシフトの加速などの具体的施策には至らず、所謂ラストベルトといった旧工業地帯では、環境対策と経済対策を騒擾させるには先ず収入、その為の安定雇用を維持する、その前提となる基盤がうしなわれているという根本問題は解決せず、これがバイデン政権経済政策の成果を左右した様におもう。

 ハリス政権では問題が生じるのか、と問われれば、グリーンニューディールが想定された成果にほぼほぼ結びつかなかった一方、アメリカ経済を混乱させるインフレはもともとCOVID-19新型コロナウィルス感染症におけるロックダウンを支えた大規模な補助金が労働市場から労働者を遠ざけたという背景もあり、これはトランプ政権時代の施策でした。

 トランプ政権が今回の選挙で現実と成れば、大規模な関税措置によるアメリカ国内産業基盤復興を目指す事となるのでしょうが、労働コストと再生基盤構築の費用を考えた場合、結局消費者が入手できる物資が高騰しインフレの悪循環を招く事となりかねません、ただ、環境政策の見直しがおこなわれれば、石油や天然ガスの輸出を行う事は可能となる。

 環境政策は夏季の気候変動や台風の巨大化など、実際に影響が出ている分野ではありますが、有権者にいきなり19世紀の生活、少なくとも19世紀の排出基準に戻すという施策に必要なコストを呑ませるには、現状もう少し補助金などが必要であり、無理があるのではないか、こうした考えの有権者が投票行動でどちらかを選ぶ背景となるようにもおもう。

 これは例えば、近年ノルウェーが大規模なEVシフトに成功した背景に海底油田開発による国内石油産業の振興による可処分所得増大が在った、ということを視れば理解できるもので、環境対策のコストを支払う難しさは無視できない、コストの大きさを無視させるとすれば気候変動による災害リスクのコストと均衡点が傾いた場合、くらいなのでしょうか。

 現状が前者なのか後者なのかは実に難しいところで、結局その民意が反映されるところが今回の大統領選なのかもしれません。トランプリスクという言葉もありますが、バイデン政権路線のハリス政権への継承も現状が万能ではない事を示している。しかし双方ともに万能策はなく、同時に劇的副作用もない。選挙の投票結果は非常に大きな、関心事です。

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北朝鮮ICBM大陸間弾道弾発射,10月31日日本時間0711時頃-ロフテッド軌道高高度7000kmまで上昇

2024-11-01 07:00:24 | 国際・政治
■北朝鮮ICBM
 ロシアウクライナ戦争が極東に飛び火する懸念です。

 10月31日日本時間0711時頃、北朝鮮の平壌近郊からミサイルと思われる飛翔体が発射、この飛翔体は86分間飛翔したのち、北海道奥尻島沖200kmの我が国EEZ排他的経済水域外に落下したとのこと。長時間の飛翔は高高度に上昇していた為であり防衛省によれば今回、高度7000kmまで上昇、これまで記録された北朝鮮からのミサイルとしては最も高い。

 ICBM級のミサイルであったと考えられる、高高度に飛翔する軌道はロフテッド軌道と呼ばれ、防衛省は従来のミサイルよりも大型の大陸間弾道弾であった可能性があるとして分析を進めています。北朝鮮はこれまで、ICBM級とされる弾道ミサイル実験を過去16回実施してきました。この落下の様子は奥尻島に設置されたNHKカメラにうつりこみました。

 北朝鮮の核開発とミサイル実験、この問題は現在のロシアウクライナ戦争との間で密接に関係しています。それは北朝鮮はロシアへ大量の砲弾を供給すると共に弾道ミサイルも供給しており、更に兵員派遣を本格的に開始、これはロシアに見返りを求めることで、北朝鮮がアメリカ東海岸を射程内に収める核戦力開発を急いでいる点と並行している為です。

 大陸間弾道弾の発射と共に北朝鮮ではプンゲリ核実験場での核実験準備と思われる動きが衛星写真などの解析により判明しており、核兵器による威嚇の強化は、人民軍部隊のウクライナ派兵による韓国との南北軍事境界線における戦力空白を埋めるとともに、実用可能な核戦力の整備を急ぐための周辺国への牽制、示威行動である事が考えられます。

 ウクライナのゼレンスキー大統領は北朝鮮軍兵士のウクライナ派遣問題について韓国のユンソンニョル大統領との間で電話会談を行ったとのこと。現在、前線に近いロシア国内の訓練場に3000名規模の部隊が派遣され、こんご1万2000名まで拡大する可能性があり、韓国国家情報院によれば人民軍のキムヨンボク副参謀長も前線を視察しているされる。

 韓国政府は北朝鮮が大量の兵員派遣の見返りにロシアから戦術核兵器技術など、今後の朝鮮半島情勢に重大な影響を及ぼす技術の提供を受ける可能性を非常に危惧していて、今後、韓国とウクライナ政府は代表団を派遣しあうなど、情報共有を進めてゆく事としています。北朝鮮軍兵士派遣は韓国が超えてはならない一線としてロシアを強くけん制していました。

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ウクライナ情勢-北朝鮮人民軍部隊参戦による拡大懸念とロシア軍9月一日平均死傷者数1271名

2024-10-29 07:00:29 | 国際・政治
■防衛情報-ウクライナ戦争
 日本国内は衆院選による連立与党過半数割れが大騒ぎとなっていますが世界を視ますと戦争が北半球全域に飛び火する懸念がでてきました。

 北朝鮮の朝鮮人民軍兵士がロシア国内へ到着しているとの報道がつづいており、今年夏ごろに懸念されていた人民軍工兵旅団部隊の派遣という情報は、現段階では人員規模で師団規模の部隊が展開する、旅団規模の部隊が既にクルスク州に展開しているなど、人民軍派遣の可能性という範疇を超えて具体的な展開規模が報道されるようになっています。

 人民軍部隊派遣は第三次世界大戦へこのロシアウクライナ戦争が拡大する懸念に直結している、これはウクライナのゼレンスキー大統領が発言している視座ですが、この懸念の背景には、ロシア軍が北朝鮮軍兵士の大規模派遣を受ける見返りにどのような北朝鮮への支援が有り得るのか、という事です。北朝鮮は核弾頭の小型化技術を必要としている。

 ロシアと北朝鮮の関係強化は、例えば将来、北朝鮮が韓国に対して軍事行動を行う際のロシアによる支援を確約するという可能性もありますし、北朝鮮軍が決定的に遅れている航空戦力、ロシアがイランからの無人機供与の見返りにSu-30戦闘機を供与したような、軍事援助という可能性もあります。戦争はこのように、大きな転換点を迎えつつある。

 ロシア軍は9月における一日平均の死傷者数が1271名に達している、イギリス国防省10月7日付ウクライナ戦況報告によれば、これは過去最大であった5月の1262名を上回ったとのことです、この背景にはハリコフ戦線とクルスク戦線の状況が激化していることなどをイギリス国防省は分析、またこの状況が今年いっぱい続くとも分析しています。

 徒歩機動がロシア軍の基本戦術となっているもよう。このために冬期が到来しますと地面が氷結することで戦車の機動が容易になる季節が到来しても、徒歩攻撃ではこの恩恵にあずかることはできず、機動戦なども成立しないのではないかとみています。この結果、ロシア軍死傷者数は既に64万8000名以上にたっしていると分析を示しました。

 縦深防御によりウクライナ軍はロシア軍に出血を強要していますが、逆にロシア軍は大量の人員を損耗にこだわることなく投入することでウクライナ軍へ圧力をかけ続けていると分析しているため、ウクライナ軍の疲弊をはかるために、攻撃衝力を使い果たした後であってもロシア軍は同じ攻撃と大量損耗を重ね続けている状況でしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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