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北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

ミャンマー地震-3月28日発災以来ミャンマー空軍が被災地90か所以上を爆撃

2025-04-11 07:00:06 | 防災・災害派遣
■ビルマ戦線の記憶
なんとか北部被災地域に救援を出せないものかと各国救援が思ったほど届いた報道が無く、かこの日本の歴史を俯瞰するとどうしてもこう思ってしまうのですね。

マンダレーが震源地ならば隣接するザガインまではシッタン河を舟艇で遡上して行けば比較的被害の少ない地域から道路網に関係なく展開できるのではないか、スミエイやメイミョウなど政府軍の支配地域の外に対してもイワラジ河からミンゲ河に進出するならば、流れはあるが淀川や木曽川ほど急流ではないのだから遡上できなくはないはずだ。

イワラジ河を遡上するならばザガインまで進出できる、そこから合流点を遡上するならばチンドウィン河を遡上してミイトキーナ北方まで出る事が可能はなずだ。エナンジョン油田がイワラジ河河畔にあったのだし河川輸送は道路輸送と並んで重要水路なのだから、海上自衛隊の交通船でも充分遡上できるはず、こんなはなしをきかされまして。

US-2飛行艇ならば飛行場が使用不能であっても北部のメイクテーラ湖に展開できるはずであるし、そもそもメイクテーラ周辺には旧飛行場が3カ所あったのだからC-130Hのような戦術輸送機ならば展開は可能であるはずだ、アラカン山系があるからベンガル湾のアキャブ方面からマンダレーやラシオやミイトキーナまでは進出は逆に難しい。

龍安寺はじめ京都にはインパール作戦の慰霊碑やビルマ戦線戦死者の慰霊碑がかずおおくありまして、戦後80年という時代ではありますが、ビルマ戦線ではイギリス軍と戦う帝国陸軍兵士たちを多くの住民が食べ物などを供給して支えてくれた歴史があり、学校の平和学習ではそこまで踏み込まずとも、昔話を集めますとこういう話が出来るという。

ミャンマー地震、3月28日発災以来、内戦中のミャンマー故に支援が届かない状況が報じられていますが、4月10日付NHK報道によればミャンマー空軍が地震発生後、空爆を90回以上実施したというものがあり、ミャンマーはロシア製Su-30戦闘爆撃機を装備しています。こうした状況みると、難しい実情でも人道支援ができないか、考えてしまいます。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
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【ミャンマー大地震】死者1700名超-邦人1名安否不明,震源は1500kmザガイン断層一部

2025-03-31 07:01:01 | 防災・災害派遣
■被災地へJICA派遣!
 軍政司令部が死者数を発表していますが情報収集が行えているかは未知数であり全容は依然として不明です。

 ミャンマー大地震、ミナウンフライン軍事政権司令官は各国の支援を歓迎する姿勢を示しました。ミャンマーでは軍政移行以降の災害に対して国際社会の支援を介入と見做して拒否する姿勢を示してきましたが、今回はこれを一転させ、また内戦後、民主化を求めるNUG国民統一政府派は、今回の地震を受け2週間の戦闘中止を宣言しました。

 死者数1700名、このほか邦人1名と連絡が取れない状態となっており、一方、USGSアメリカ測地研究所は30日夕方にマグニチュード5以上の余震を観測しており、軍政司令部は被害全容を確認するすべがない状況で、ミャンマー国内では地震対策や防災訓練等は行われておらず、ボランティアなどが手さぐりで救助を行い、医療支援も不足という。

 日本はミャンマー軍政司令部の要請を受け、JICA国際協力機構の調査チームを派遣させたとのこと。この調査チームは30日夜に日本を出発、JICA職員と医療関係者など5名からなるチームで、国際緊急縁の隊派遣に向け現地の治安状況などを調査し、更に制圧必需品の被災地提供を政府が決定、この提供に向けての準備を進めているとの報道もあります。

 マンダレー付近を震源とするミャンマー地震は全長1500kmのザガイン断層が動いたものとみられ、過去に活発な地震の記録があるものの、マンダレー南方を震源とする最後の巨大地震は1839年であり、今回ザガイン断層の1500kmのうち、200km程度が動いた事から、今後は動かなかった断層での余震を警戒すべきという分析が有る。

 長周期震動が被害を広範囲に拡大させた、ミャンマーの首都ネピドーは震源から700kmほど隔てており、揺れの大きさは震源と比べて限られていたものの、ネピドー国際空港が管制塔倒壊という衛星画像が確認され、またネピドー国際空港が閉鎖されたとロイター通信などが報道しています。日本は支援を行う方針を明確化し、その準備の始まりです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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【臨時情報】ミャンマー地震,犠牲者1007名!マンダレー付近震源マグニチュード7.7地震

2025-03-29 20:25:54 | 防災・災害派遣
■内戦下の震災
 マンダレーといいますと弓兵団や龍兵団と菊兵団などの戦史で知るところでしたが今回は災害という視座から世界の耳目を集めています。

 ミャンマー中部のマンダレー付近で28日日本時間1500時頃に発生したマグニチュード7.7の巨大地震は、本日日本時間1900時までにミャンマー軍事政権の発表として犠牲者は1007名に上っており、負傷者は2389名、昨日2300時時点の犠牲者144名よりも大幅に増大する事と成り、時間と共に被害の大きさが判明している状況です。

 邦人被害としてミャンマーの日本大使館によれば邦人2名が負傷して病院にて治療を受けているとの事ですが、けがの程度は軽傷とのこと。ミャンマーには最大都市のヤンゴン周辺を中心に三菱商事、丸紅、住友商事が出資し開発された工業団地があり、マンダレー国際空港運営は日本航空系企業と三菱商事が参加、現在も被害を確認中とのことでした。

 マンダレーは、アキャブ作戦やインパール作戦などの作戦記録を見ていますと良く目にする地名であり、ミャンマーでは第二の都市です、現地の通信状況は悪いものの、市街地で高い頻度で建築物が崩れており、市街地道路もがれきが散乱、また、都市間道路網も亀裂により車両通行が不能となる区間が複数あり、更に内戦中、情報収集も困難となっている。

 内戦に対して中立的な国際人道支援の方法があれば、民主化勢力と政府軍掌握地域と平等に人道物資の搬入や道路啓開と医療支援を行う選択肢がありますが、道路啓開さえ復旧後に政府軍の軍用道路として機能しますから中立として行う為には民主化勢力との調整が必要になりますし、空路での物資搬入さえ、中立的な支援を行う難しさが有ります。

 各国支援が既に開始されており、中国政府は習主席がお見舞いの電報を送ると共に軍政を担うミンアウンフライン司令官の要請を受け82名規模の医療しえにゃレスキュー部隊を派遣、20億円規模の援助を行うとともに、ミャンマーと故郷を接している雲南省からもミャンマーへ37名の医療支援チームを派遣、日本時間1600時までに到着したという。

 アメリカ政府はトランプ大統領が支援を表明し、食料と飲料水を贈るほか、災害対応の専門家を現地に派遣するとアメリカ時間28日にトランプ大統領が表明しました。くわえて、ロシア政府もロシア非常事態省が120名規模の救助隊と災害救助犬を派遣するといち早く表明、非常事態省が保有するIl-76輸送機2機により既に現地に入ったとしています。

 日本は、石破総理大臣はタイのペートンタン首相にお見舞いのメッセージを出していますが、ミャンマーに対しては軍事政権との関係の難しさから、特に北西部ガザイン管区では民主派勢力が優勢であり、安易に軍事政権を支援する事は民主派勢力の地域へ軍事政権を前進させる事と成り、いっぽう、民主派政権に独自に肩入れする事が出来ない難しさも。

 日本にしかできない支援、こうしたものを考えるべきでしょうか、具体的には、内戦中の真ん中で災害発生により人道支援を行う事で内戦のどちらかにかたいれする状況や、戦闘地域での人道支援は中々現行法では想定外であり、可能性として考えられるのはミャンマー国内情勢次第では在留邦人退避へ輸送機を派遣することくらい、あとは、タイの支援だ。

 長周期震動、バンコクなど隣国でも多数の被害が出ており、バンコクでは建設中の31階建て高層建築物が倒壊し建設作業員多数が下敷きになっているなど被害が生じています。長周期震動は東日本大震災において大きく認識された、遠隔地の高層建築物がゆっくりとした揺れにより高速建築であればある程、エネルギーをため込み揺られる事で倒壊する。

 バンコクが一例として、倒壊していない建物にも基礎部分や重要構造部分などに破壊が及んでいる可能性があり、今後の課題は被災地から離れた大都市の高層建築物の破壊度合い、補修の必要性などをどのように検査するのか、倒壊リスクを容認せざるをえないのか、少なくとも、今後ちゅう程度の地震での破壊リスクをどう考えるか、必要となるでしょう。

 免震構造について、一見して印象深かったのは、高層建築物上層階のプールや池泉庭園が長周期震動により水がこぼれる様子です、水は落下した場合、一定以上の高さであれば霧状に霧散するため、低い位置から決壊する状況と比較しますとそれほど致命的な危険はありません、ただ、水がこぼれる事により建物が軽量化し、倒壊を免れた可能性があります。

 高層建築物はその重量が当然ですが高くなればなるほど比例して増大します、故に過度に軽量の構造を採用しますと、震源付近の揺れでは逆に破損しますが、徴収Ⓚ震動では重すぎる構造が、逆にビルが揺れて捻じれる際に、特定部分に想定以上の負荷が加わり倒壊するリスクが生じますが、水であれば、揺れで零して建物を軽量化することが可能となる。

 軽量構造はビル火災時に鉄骨そのものを溶かして破断させるリスクとなりますが、これは9.11の世界貿易センタービルの事例を示すと分かる一方、上層階に一定以上の水をためこむ事は消防用水、映画のタワーリングインフェルノの事例が不適切かもしれませんがイメージとして、消火に用いる事も可能となります。この点は研究の余地があるでしょう。

 日本が行える支援、ミャンマーのマンダレーはインパール作戦やビルマ戦線においての地誌研究資料が防衛研究所に大量蓄積されていると考えるのですが流石に古い、また、受入能力と派遣能力を考えた場合、自衛隊の国際緊急援助隊を贈る事も重要ですが、日本にしかできない支援として建物の非破壊検査支援が考え得ないか、こうおもうのですよね。

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岡山愛媛山林火災,自衛隊統合作戦司令部へ災害対策統合指揮を命令!

2025-03-27 07:01:26 | 防災・災害派遣
■岡山愛媛山林火災
 中部方面総監だけでは対応できないという認識なのでしょうか。

 自衛隊統合作戦司令部は26日午前、中谷防衛大臣の命令により山林火災対策の統合指揮を発令されました。これは自衛隊統合作戦司令部にとり初の任務となります。山林火災は、九州と四国及び山陽地区で同時に発生、九州宮崎県での山林火災は鎮火の見通しが立ったという事ですが、四国と山陽の山林火災、特に四国での山林火災は拡大の徴候があります。

 中部方面隊の第13旅団が山陽地区、第14旅団が四国地区を防衛警備管区としています、局地的に大きな災害となっていますが、中部方面総監を指揮官とした統合任務部隊が置かれる可能性は考えていましたが、陸海空自衛隊を統合指揮する統合作戦司令部が、設置後初の任務に山林火災となるのは意外でした、今後は全自衛隊が総力を結集することになる。

 岡山市と今治市の山林火災、統合作戦司令部へ任務が発令されるとともに、政府も首相官邸危機管理センターに設置されていた情報連絡室を官邸対策室へ格上げし、情報収集態勢を強化する事と成り、総務省も広島県と香川県に加え徳島県と滋賀県及び山口県と長野県の消防へも緊急消防援助隊の出動を要請しており、ヘリコプターなどが派遣されることに。

 災害救助法の適用も決定、これは愛媛県の災害対策本部会議により政府へ要請されたものが受理されたかたちで、今治市と西条市へ災害救助法が適用、避難所設置や救助物資関連費用を政府が負担する事となります。いっぽう、鎮火に必要な雨天ですが、本日27日から28日にかけ、一時間当たり最大10mm程度の雨量が期待できるとはされています。

 飛び火、火災は現在拡大傾向にあり、特に火の粉が家屋の隙間などに入り込み発火する飛び火が被害を拡大させているとのこと、火の粉は数百mを飛ぶことも多く、火線から企図しない地区で突如火の手が上がることもあり、可能であれば滞空型の無人航空機により火災の熱源となる赤外線情報を常続的に監視できる体制を構築する必要があるでしょう。

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岡山県岡山市と愛媛県今治市で山林火災発生!自衛隊へ災害派遣要請-ヘリコプター空中消火

2025-03-24 07:01:54 | 防災・災害派遣
■瀬戸内両岸で同時
 山林火災が四国と山陽地区において発生しました。

 岡山県と愛媛県で同日に山林火災が発生しました。天気予報によれば山陽地方は本日夕刻より雨天の予報がありますが、現在現場では消火活動が続いています。こうしたなかで山林火災が発生した両県の知事は自衛隊へ災害派遣要請を出しており、本日からヘリコプターによる空中消火が開始されるもようです。

 岡山市では23日1500時頃、岡山市南区で山が燃えているとの複数の通報があり、山麓の倉庫が全焼し住宅の一部が焼ける等5棟の建物に被害が出ているとのこと。岡山市では23日2200時の時点で27台の消防車を派遣して消火に当っており、しかし火災は2200時までに76ヘクタールの山林を焼いているとのことでした。

 山林火災は岡山市中心部には直接の影響はありません、火災は岡山市中心部から見て児島湾を挟んだ対岸の山間で発生、岡山市は2045時、南区飽浦地区182世帯417名と宮浦地区221世帯476名の住民に対して延焼の恐れがあるとして避難指示を発令しました。岡山県は災害派遣を要請し、24日朝から自衛隊機による消火が開始の予定です。

 愛媛県今治での山林火災は23日夕方に発生しました、火災は1600時頃、今治市長沢で発生しており、今治市は23日2040時、延焼の恐れがある長沢地区219世帯381名に避難指示を出すと共に隣接する西条市も延焼の恐れから2350時、楠河地区の住民に避難指示を出しています。愛媛県は自衛隊と四国各県の消防に応援を要請しました。

 愛媛県は23日2130時に県庁災害対策本部会議を開きました。今治市では24日まで乾燥した状態が続くとして気象台が注意を呼び掛けていましたが、本日昼ごろから夜遅くに掛けて雨が降るところがある見込みとのこと。災害派遣要請は善通寺駐屯地の第14旅団長、また、徳島県と高知県に消防防災ヘリコプターの派遣を求めています。

 今治市周辺では火災の影響により高速道路と鉄道に影響が出ているとのこと。今治小松自動車道は今治湯ノ浦インターチェンジと東予丹原インターチェンジの間の区間で23日1700時から通行止めになっており、またJR四国も2100時から予讃線の今治駅と伊予西条駅の区間で列車の運行を見合わせているとのことです。

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多用途飛行艇に関する補足的な視座【2】山林火災を巨大化させる"地方過疎化""少子高齢化""気候変動"

2025-03-17 07:00:47 | 防災・災害派遣
■山林火災巨大化
 京都市内の庭園などを見ていますと徹底した手入れにより真夏の灼熱でも枯死する樹木は例外的ですが苔など庭園を彩る緑には影響が及んでいる。山間部ではどうか。

 気候変動が山林火災の増加に追い打ちをかける可能性がある。昨年、ブラジルのエンブラエルがアマゾンでの森林火災増大を背景にKC-390輸送機に消防型を開発しましたし、アメリカではボーイング747の消防型が運用されるなど、消防航空機という選択肢は世界的に見ますと、回転翼機だけで運用している日本が必ずしも主流ではないと気付かされます。

 US-2飛行艇と消防任務について。過去十年間の山林火災の被害額と飛行艇維持費、という視座から膨大な飛行艇維持費を見ますと、あたかも熊対策に警察が10式戦車を導入すべきという暴論のように見えてくることは事実です。ただ、消防庁が所管した場合は消防用にしか使用できず、特殊作戦支援や邦人救出など他の任務に転用することはできません。

 自衛隊が運用するからこそ、多用途性能の一端として消防任務が有り得る、という視座を示したものです。その上で、山林火災に過去10年間の被害というものを示すのは、過去十年間大きな津波被害はない、と東日本大震災を忘れて津波への警戒を軽視する様な視座、過去十年間に大きな原子力事故は無い云々、と区切ってしまうような視座にみえるのです。

 山林火災の大規模化、ここで過去十年間というものと区別しなければならない要点を、地方過疎化、少子高齢化、この二つ先ず前回の特集に示しました。具体的には、山林火災の初期消火を行う担い手、山間部人口が減り、減った人口も少子高齢化により消防団など初期の消防能力発揮が難しく、小火が大規模火災化しやすい懸念が過去の事例と違うのです。

 それならば少子化を解消して山間部過疎化を都市化できるよう努力すればいい、こう反論が出るのかもしれませんが、それが出来ないから困っているのです。なにしろ、民主党政権時代の成長戦略として示された林業強化策も空振りに終わり、外国人材も山間部には定着させる施策は無く、山間部集落が限界集落化しているというものが現実なのですからね。

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多用途飛行艇に関する補足的な視座【1】カリフォルニア山林火災被害額は1350億ドルから1500億ドル

2025-03-13 07:00:48 | 防災・災害派遣
■3.11の季節
 3.11の季節ですしそして、神護寺や三千院と鞍馬寺に貴船神社と最近探訪しました場所が場所でしたので山林火災に関する視座をちょっと大きく考えすぎたのかもしれませんが。

 多用途飛行艇に関する補足的な視座について。消防飛行艇の話題が国会でも取り上げられ、また北大路機関の話題でも反応が寄せられまして、昨今中々こうした展開が有りませんでしたので幸いでした、そこで本日は補足的な話題として。山林火災の脅威度を考えさせられたのは、過疎化と少子高齢化という、過去にない課題が加わった為です。

 過疎化は山間部の山林火災を初動で発見できない蓋然性の高まり、少子化は消防団構成員の減少により山林火災即応能力が低下し小規模火災の大規模火災化を食い止められない、つまり“山林火災の従来における年間被害規模”という前提を根本から変える分水嶺が出ているという、東日本大震災前に津波被害を喧伝し冷遇されたような構図と重なります。

 飛行艇は予算が大きく、山林火災対策としては過度である、この言い分は、大規模山林火災が今後増える可能性という条件を無視したものであり、変な話、過去十年間の津波被害から津波対策予算を決める措置を、東日本大震災から14年を経て東日本大震災規模の災害を度外視し警戒を緩めるような構図と、今後の山林火災大規模化の懸念を重ねたものです。

 カリフォルニア山林火災、今回の大船渡山林火災と比較する事は比較の対象として難しい事は理解しているのですが、大都市近郊の高級住宅街まで延焼した事により被害金額はJPモルガンのアナリスト概算で500億ドル、7兆9000億円規模という試算が。1350億ドルから1500億ドル、21兆円から23兆円の被害に達したという気象関連企業の試算もある。

 もっとも、私的な依怙贔屓論が無いのかと云われれば、無いわけではないのだが。西国三十三宇札所巡礼、いや京都市内では神護寺や三千院と鞍馬寺に鹿苑寺、このところ散策している文化財が山と森林に隣接しているという事情もあります、かりに文化財から10km先で小火があり、初期消火に失敗した場合というものを認識してしまったわけですね。

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東日本大震災発災14年【4】震災後の停滞した空気感ー震災後の世界しか知らぬ世代の増加

2025-03-11 20:22:48 | 防災・災害派遣
■停滞した空気感
 震災の話題を今夜も。

 本日は東日本大震災発災から14年目となりました鎮魂の一日です。緊急地震速報が鳴り響きましたのは揺れが到達する二分か三分ほど前だったでしょうか、ちょうど民主党菅内閣の外国人献金問題が国会で扱われており、わたしもNHKにチャンネルを合わせつつ仕事、イタリア関連の翻訳を行っていたところでしたが、地震が発生しました。

 イタリア関連、今日考えると韓国関連の翻訳と情報整理を行っていましたので、14年経っても変わらない事は変わらない事なのだとしょうしょう自嘲するとともに、14年前のいま時分は、NHK緊急報道にて、陸上自衛隊が撮影しました気仙沼市の津波火災映像を見ていたように記憶します。考えると、いまの中学二年生は震災の年に生まれたのか、という。

 東日本大震災、この影響は恐らくCOVID-19新型コロナウィルス感染症や、リーマンショックよりも影響は大きかったか、バブル崩壊と1973年オイルショックと比較するような、日本の転換点ともいえるものですし、なによりも、福島第一原子力発電所事故を契機に、日本の経済的成長というものの在り方、将来像を根本から変えてしまったものでした。

 震災後の日本、自粛機運や同調圧力、不謹慎という寛容度の低下をはじめ、日本の文化と価値観は変化してしまったように思います。勿論、その背景は理解するのですが、多様性というものから生まれる価値や技術や発想というものは大きいものですから、この、息苦しさの共有、というものは、この世界しか知らない中学生たちの世代がある、という。

 電力不足の心配について、震災から数年間は、この冬は電力自粛要請はない、というような経済産業省の発表がありまして、いまでは夏季の電力ピーク時の電力使用制限要請という形で残っており、産業の主要な部分を製造業に依存している我が国としては、その根幹を折られている構図に他なりません、結果、我慢の強要が14年間続いている。

 復興、テレビ報道では被災地の今、というような話題で復興の様子などが紹介されていますが、日本全体の停滞感は払しょくできていません、明るい成長を描けるのであれば、言われる通りの景気循環が可能であれば、先ず少子高齢化の問題はここまで深刻ではありませんし、地方過疎化の問題についても、この停滞感と無関係ではあり得ないのです。

 少子高齢化、この問題は震災前から言われ続けていたことですが、日本の少子化に一定程度対策が成り立ったのは、バブル景気時代のことでした。復興税を筆頭に負担というものの顕在化があり、これが成長に制約を加えている実情があります。いうなれば、復興の目指すところは地方過疎化や少子化問題をある程度解決することによってしか実感できない。

 十四年目の震災、もちろん、厳しい現実として世界は成長に向けて動いており、此処で停滞するという事は、厳しいマラソンの最中に一人だけ休憩時間を確保しているという構図に似ているのかもしれません。ただ、打つ手は少ない。大規模な公共投資も原資は無く、しかしその結果、緊縮は人々の経済活動も縮小させ、結果少子化という結論に繋がる。

 空気感、日本ではこの言葉で説明されることが多いのですが、このまま、震災後の停滞という空気感以外知らない世代が増えてゆくことは、国家の将来像を明るく分かち合えない世代が徐々に増えてゆく事に他なりません、この空気感の停滞にどう、立ち向かうかという段階から、次の段階、復旧が終わった後の復興に着手する段階なのかもしれません。

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東日本大震災発災14年【3】広域避難の反省-復旧と復興の循環と段階的発展を阻害

2025-03-11 07:00:08 | 防災・災害派遣
■3.11
本日3月11日は東日本大震災発災の日です。

震災と復興、失敗を認めるべきである能登半島地震の広域避難について。本日は東日本大震災発災の日ですので、あえて示すならば福島第一原発帰還困難区域の復興という問題を示すのかもしれませんが、復旧と復興を繋げる難しさについて、能登半島地震の対処が事実上失敗ではなかったのかという視座を考えてみましょう。

能登半島地震では広範囲の交通インフラが破壊されたため、広域避難という、地域ごと全部退避する方式が採用されました、能登半島から金沢へ、というような方式です。2004年新潟中越地震における山古志村、土砂ダム決壊の懸念から広域避難が行われたり、三宅島火山災害を背景とした全島避難、今世紀にあっても広域避難の実例はあるのですが。

広域避難、この問題点は、家屋などを復旧させて地域復興に段階を進めるための人材を根こそぎ移動してしまう、ということでして、もちろん交通インフラが無ければ住民の生活を支える事からできなくなるという部分は理解するのですけれども、それならば被災地に空輸その他で復旧物資を注ぎ込み、人員を移動させないという選択肢もあってしかるべき。

リスボン地震、1755年の歴史地震を実例に出しますと、当時のポルトガル政府は市街地の外に労働力を逃がさないようにして復旧人員を確保しています。ここまでいうのは極論となるのですけれど、一旦住民が被災地から移動してしまい、その間に大量の行政による労働力が供給されたとしても、住民はその労働力を自宅の復旧に充てる為の恩恵に預かれません、それが広域避難、住民が居なくなるという事の弊害なのです。

少子高齢化と地方過疎化、これだけでも次の大規模震災からの復興を難しくするわけですが、そこに広域避難という、復旧しなければならない状況で肝心の住民を被災地から遠ざける方法をとるのではなく、建機の空輸、辺野古代替施設建設でも実施した方法、そして物資空中搬送を行う事で、まず、復興の前に復旧を迅速化させる必要が、あるのです。

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東日本大震災発災14年【2】歴史に与えた巨大地震の影響と次の巨大災害はかならずやってくる現実

2025-03-10 20:14:53 | 防災・災害派遣
■明日発災14年
多少の時間と共に考えるいとまができてきたところでしょうか。

明日で東日本大震災から14年となります。東日本大震災は、死者数が多いこと共に我が国のエネルギー政策の根本を、福島第一原子力発電所事故により変容を強いられ、一方でわが国は製造業を主体とした、欧米などで進む金融工学主体の経済ではなく、パテントに依拠するものの結局のところ製造業と関連するサービス業に主軸を置いています。

東日本大震災の影響というものを認識しますと、結果的に工業力に必須である電力供給に大きな不確定要素を突き付けられる、第三次オイルショックと表現されるのではないかと危惧するような、原子力から化石燃料と新興電力である再生可能エネルギーへの旧転換を強いられ、結果的に製造業の深刻な流失を生むこととなっています。ほかにも。

円高放置、これは大規模地震が発生したために国内企業が外国資産を円に切替えることで一時的に発生したものを、当時の政権が放置した事で、国内製造コストが電力費用増大を背景に上昇する中で震災が生んだ円高が結果的に輸出を阻害する要素として企業を覆い、成長が実感できない状態が更に延長することとなりました。

関東大震災と東日本大震災、比較を安易に行うべきではないのでしょうけれども、忘れてはならないのは1923年関東大震災の経済的復興の過程で日本は、国内政治の不安定化と復興予算が生んだ偏りの経済とともに、復興目処の付いた1929年世界恐慌が重なり、国内世論が権威主義的、ではないにしても外に向けられることとなったのは歴史が示す。

震災が戦争を生むという安易な発想はわたしにはありませんが、日本という国家が製造業とこれに裏打ちされたサービス業により成り立っていたという基盤の部分に冷水が浴びせかけられたことは事実というよりも現実です。もっとも、今の時代はこれを軟着陸させる手法は幾つもあるのですけれども、問題は次があるということです。

大陸外延弧状列島、太平洋に浮く日本列島は常に海洋プレートと大陸プレートの影響を受けるため、次の震災は来ない、という楽観論を持つには地球平面説とか天動説を証明するほど難しいことです、実際問題、地震の原因となるプレートとマントルの流れが無ければ、日本列島というものは存在しえなかった故、付き合っていくほかないという。

次がある。東日本大震災とともにわすれてならないのは、東北地方太平洋沖地震と類似した巨大地震を引き起こすプレートというものは、南海トラフに千島プレート、幾つも存在しているという事です。そして直下型地震を考えると、過去地震が発生して崩れやすくなった場所を水が流れて河川が成立する為、活断層の近くに都市部が形成されている。

東北地方太平洋沖地震という一礼を示しましたが、経済的な政治的な、いや、文化的な影響も大きなものが在りましたが、日本という国家と国民は、かなり無理をしていますが乗り越えられる可能性を示しました、が、次の自身というもの、この影響を初動72時間以上の先まで考えて対策が行われているかと問われますと、不確定要素が多い。

3.11,日本の歴史を大きく影響させたものです。もちろん、危機管理、安全保障、考えたくない物事を考えるという必要性を広く認識させることとなったのは、次の試練を考えるならば、ある種感慨深いところではありますが、次に備える、このことが直接の被災を免れることとなった多くの人々にとり、できる鎮魂ではないかと、思うのですね。


北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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