北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

能登半島地震発災から間もなく一年,自助への決意促す”南海レスキュー二〇二四”来月実施

2024-12-30 07:50:26 | 防災・災害派遣
■能登半島地震
 年末年始という時節ゆえ改めて。

 能登半島地震発災からまもなく一年となります。元日能登半島地震、阪神大震災や東日本大震災の発災日、1.17や3.11とはことなり、やはり元日となりますと震災追悼や報道特別番組よりもテレビ報道一つとって、お正月特番が優先されてしまうようにも思いますが。追悼一周年の事実は変わりません。

 南海レスキュー、一月中旬に自衛隊は大規模な防災訓練を実施します。それは中部方面総監の、南海トラフ地震という"国難"というべき事態に備えるという強い決意とともに実施され、そしてなによりも、防災の最も重要なことは自助共助公助のなかで自助である、という総監の言葉を聞くことがありました。

 能登半島地震への反省、訓練では能登半島と地理的特性がよく似た紀伊半島と四国や淡路島の孤立などを念頭に省庁間横断や民間団体との協力などを盛り込み、自衛隊も出せる限りの部隊を出すという。このために部隊を集約し、それは毎年恒例、方面航空部隊の年頭飛行訓練はじめを返上する勢い。

 自助、それは自分が助かることによって、周囲の、自宅の周りや親類縁者友人を助けることに繋がる、ということです。自衛隊が今回行う内容は、過去にない踏み込んだ訓練を実施し、はたしてそこまでの複合災害を想定する必要があるのか、というところまで、公助のあり方を踏み込んで行う計画です。

 公助で、自衛隊はやれるところまで最大限行う、が、この演習を実際に見る方や報道で見る皆さんの自助への備えは大丈夫ですか?という姿勢で訓練を行うということ。もっとも、報道説明会では全国紙は複数の記者を送り込んだ1社だけ、地元紙やテレビ局はなし、という状況ではあったようですけれども。

 能登半島、広域避難を実施したことにより、復旧から復興につなげる重要な時機、時期ではなく時機、これを逸してしまったようにも危惧します。しかし、どうすればよかったのか、少子高齢化や財政難を言い訳にしても現実は変わりません、年末年始という時節ではありますが今一度、防災を考えたいものですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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掃海艇うくしま-火災事故により沈没,事故現場は福岡県宗像市沖2km-高速13号艇以来の艦艇損失事故

2024-11-12 07:00:53 | 防災・災害派遣
■うくしま沈没!
 非常に残念な事故です。

 海上自衛隊の掃海艇うくしま、が11月11日、火災事故により沈没しました。うくしま、火災事故は11月10日0940時ころ、福岡県宗像市沖2kmを航行中、エンジン部分から出火、海上保安庁へ火災発生を通報するとともに消火に努め、また同じ第43掃海隊所属の掃海艇とよしま、うくしま船体に接舷し、消火支援や負傷者救助等を実施しています。  

 負傷者1名と行方不明者1名、負傷者については海上保安庁巡視船により宗像市の漁港へ搬送され救急車により病院へ搬送されたものの、生命に別条はないとの事です。ただ、行方不明者は火元とされるエンジンルームにいたと見られ、現在も発見されていません。火災は1400時ころ、一時鎮火したものの1450時頃、再度延焼し消火不能となりました。

 総員離艦命令が艇長より発生られたのは1545時、離艦に際しては走錨防止のために投錨などの措置が取られ、行方不明者を除く全員が僚艦とよしま移乗、こののちも海上保安庁巡視船による消火作業が試みられましたが、2200時頃には特徴的な二本の煙突が焼損、明けて11日0050時頃、転覆しました。転覆により鎮火したものの0834時、遂に沈没する。

 事故原因は調査委員会発足間もない為不明ですが、掃海艇という特性上、磁気機雷などの探知を避けるため船体は木造、ベイマツが船体構造物として用いられたため、浮力があり松脂による密閉性は高いものの、木材の弱点として焼損するという特性は避けられず、結果的に沈没という事となりました。艦艇沈没事故は1966年の高速13号艇爆発事故以来だ。

 高速13号爆発事故は、航空機救難に当る高速艇という特性上、ガソリンエンジンを搭載しており、これが爆発の原因となりましたが、この事故では死者は出ていません。ベイマツは油脂を含み燃えやすく、一方、すがしま型掃海艇エンジンルームは当直員が配置されない設計であり、今回の事故の際には非常に残念な事ですが、ここに隊員がいた可能性が。

 うくしま。すがしま型掃海艇の6番艇で、すがしま型はペルシャ湾機雷掃海任務派遣等を受け最新の機雷に対し戦後海上自衛隊が戦時中戦後の遺棄機雷を相手とした実任務用の装備が必ずしも有効では無い事が判明、イギリス製機雷戦装置やフランス製機雷掃討機具を導入するなど新機軸の艦艇として12隻が建造、うち3隻が老朽化を受け除籍されています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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台風10号-九州上陸935hpa,ハリケーンハンターが必要-気象庁当初予報紀伊半島直撃を大幅に外した予報精度

2024-08-30 07:00:37 | 防災・災害派遣
■ハリケーンハンターが必要
 C-2輸送機を若干数増勢して観測器材を搭載し台風観測を行う事で予報精度を高める事は出来ないか、現在の台風予報はお盆の台風7号を含め精度が低すぎる。

 台風10号、九州を蹂躙しています。この台風ですがもう少し精度の高い予報は出来なかったのかと疑問に思います。この台風が発生したのは22日、気象庁は27日に大阪に迫るとして五日後の大きな予報円の中心に紀伊半島南部を示し、予報円は九州東岸から静岡県を含めていましたが、実際の上陸は29日、予報円を外れた九州西岸に上陸しました。

 防衛省は気象庁と協力して、ハリケーンハンターのような航空機を用いた台風の直接観測を行う体制を構築できないだろうか。毎回、予報が外れる為に、今回の台風は予測が難しくう、とお決まりの弁明を聞くと共に、コンピュータなどは発展しているのですが、とか、世界の予報と比べても間違ってはいない、という言い訳ばかり発表されるたび、おもう。

 台風を直接観測しなければ、間接的な観測では予報に限界がある。世界の予報と比べても云々という言い訳だけれども、台風に最も近い日本の観測が外れていい言い分ではなく、例えばそれは気象庁がインド洋のサイクロンや大西洋上のハリケーンを観測して外すのと、日本国土に直接接近する台風の観測と予報結果を外すのとでは全く意味が違うのだから。

 天候観測は防衛上も重要であり、例えば戦前と戦時中は台風情報は軍事機密として扱われていました。そして、ノルマンディ上陸やアルデンヌ冬季攻勢など気象条件が作戦の可否となった事は数多く、更に今後インド太平洋地域での中国海洋進出や軍事力による現状変更という脅威を考えるならば、正確な台風予報は抑止力に直結しているとさえ言えます。

 ハリケーンハンターは観測器材を搭載したWC-130気象観測機を運用する第53天候偵察飛行隊という、ハリケーン中心部まで航空機で進出し、文字通りナマのハリケーンを直接観測することで、その正確な情報を得るものです。気象衛星や測候所ドップラーレーダーなど様々な気象観測手段が開発されていますが、直接観測する情報に勝るものはありません。

 いず型巡視船、実は日本には1978年まで、2000t級巡視船である大型の、いず型2隻に気象レーダーを搭載し台風監視にあたっていました。これは1965年10月に発生した台風29号マリアナ漁船集団遭難事件、200名以上の船員が行方不明となり捜索に海上自衛隊が創設以来初の部隊海外派遣を行う事となった災害を受け、台風観測強化として行われています。

 新幹線計画運休など、台風の予報精度が低ければいたずらな経済的悪影響が増えます、台風が月末までに迫るとして来月初旬に予定変更した場合は逆に台風の直撃を受けて、物流や商用に確実な影響が出ている。そんな予算は無い、と言われるかもしれませんが、防衛と気象予報は不可分である事は前述の通り、予算が大事か、防衛が大事か、それだけです。

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南海トラフ巨大地震注意気象庁解除,貴重な再点検の機会-3.11災害派遣時より大幅に減った自衛隊航空機

2024-08-16 07:00:14 | 防災・災害派遣
■いまこそ備えを
 地殻の弾性限界という物理原則がある以上はプレート境界地震は発生するという現実はかわりがない。

 気象庁は15日1700時をもって巨大地震注意を解除しました。8日に発生した宮崎県に日南沖地震を契機に、その震源沖が南海トラフ地震想定震源域である日向灘で、地震規模がマグニチュード7.1を超えていた為に、東日本大震災を引き起した東北地方太平洋沖地震の数日前に発生した地震と同型の前駆地震である事を警戒し発令されていたものでした。

 神奈川県中部地震がその間に発生した事もあり、気象庁は別の震源域の地震であると強調しましたが、外電の中には地震発生を予知したと報じるところもあったものの、マグニチュード9クラスという南海トラフ地震は発生に至らず、しかし地殻の弾性限界を考えればいつかは限界を超えて巨大地震を誘発する為、今後とも警戒を怠る事はできません。

 さて、各家庭レベルでは、今回の巨大地震注意を受け、防災用品の備蓄点検や不足分の補充と家具固定再点検などが幅広く行われ、いつか来る巨大地震への一種の点検が叶った事は僥倖といえます。ただ、個人のレベルでは難しい視点、特に自衛隊などの対処能力という視点からは、いつか来る南海トラフ地震に備えた問題点を洗いなおす必要があるように。

 3.11東日本大震災の頃と比べ、自衛隊のヘリコプターはかなり減っている、150機程度は減っており、これが南海トラフ地震における自衛隊災害派遣という任務を考えますと、まもなく概算要求公示を迎えるところではありますが、多用途ヘリコプターと、また全廃された観測ヘリコプター110機、対戦車ヘリコプター50機の補填を考えるべきではないかと。

 自衛隊は今後、観測ヘリコプターと対戦車ヘリコプターを無人機に置換える構想で削減を進めていますが、削減だけは進んでいても無人機については機種選定さえ始まっておらず、この後継機となる装備が防衛出動以外の災害派遣において機能するのかについては、災害派遣の運用が要求仕様に含まれるかも含めてゼロベースであり、薄氷の上を歩くかんじ。

 例えばエアバス社などはEC-145から無人機を運用する新技術を試験中であり、EC-135かEC-145を補正予算を組んででも150機調達するとか、アメリカで進むUH-60無人運用試験を元にAH-1Sが削減された機数分のUH-60を追加調達するなど、今回は来なかったが、いつか来る地震災害に備えて、空輸能力の再点検を行っては、と考えてしまうのですね。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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巨大地震注意-南海トラフ臨時情報で気象庁が初の発令,想定地域での準備強化と避難対策準備を

2024-08-09 07:00:52 | 防災・災害派遣
巨大地震注意
 8日1915時、気象庁により巨大地震注意が初めて発令されています。

 南海トラフにおいて最大規模の地震が発生した場合は九州から首都圏に掛け大きな地震の揺れが襲い、沖縄を含む太平洋岸に大きな津波が発生する事が警戒されています。南海トラフ地震が今後一週間で確実に発生するという事ではかならずしもありませんが、家屋の防災準備や避難路の確認と家族との連絡方法の確認を呼びかけました。

 気象庁の今回の発表を受け、九州四国及び本州の対策強化地域自治体は必要に応じ避難施設設置などの準備を進めます。また、まもなくお盆の長期休暇を迎えるところとなりますが、東海道新幹線と東海道本線および中央本線などは一部区間において徐行運転を行い、寝台特急の短縮運転や一部列車の運休措置を取ると対策の具体さくを発表しました。

 宮崎県において発生した地震では、複数の負傷者や家屋倒壊などが消防により確認されていますが幸い死者だけは出ていません。また津波注意報は1900時で宮崎県を除き解除され、2200時には宮崎県に発令されていた注意報も解除、今回の津波は最大潮位が0.5mであり、こちらも僥倖というべきでしょうか、津波による犠牲者などは発生しませんでした。

 宮崎県では今年四月にも地震が発生していますが、今回のようなマグニチュード7規模の地震は40年ぶりということであり、旧耐震基準に基づき建設された建築物等に被害が在ったほか、一部地域で落石などの確認もあり、電線の切断や水道網への麻痺などが有りましたが、地震と津波による被害は限られた規模であった事はやはり僥倖というべきか。

 南海トラフ地震は東海地震と東南海地震および南海地震という、海溝プレートに沿ったプレート境界地震として過去定期的に発生しており、プレートにたまるひずみをそのエネルギーとして断層の破断により発生する巨大地震です。過去に発生した東南海地震は1944年、南海地震は1946年となっており、年々その蓋然性の高まりが指摘されていたもの。

 震度七の激震が広い地域に及ぶことと、また地震の揺れの最中に津波の第一波が到達すると懸念されていることから、政府は2012年の脅威想定により最大37万名もの死者が発生するとし、気象庁は2019年より震源区域における特異な事例、一定以上の規模の地震が発生した場合に南海トラフ臨時情報を出す事とし、今回はその初の事例となりました。


北大路機関
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【臨時情報】宮崎県沖日向灘マグニチュード7.1地震発生!九州四国津波注意報-気象庁南海トラフ地震臨時情報を発表

2024-08-08 17:05:53 | 防災・災害派遣
津波注意報発令
 津波注意報が発令中です沿岸部から離れてください。

 先ほど1640時頃、宮崎県沖の日向灘を震源とする地震が発生し気象庁は南九州と四国地方の沿岸部へ津波注意報を発令しました。沿岸部の方は十分注意してください。当初地震の規模はマグニチュード6.9と発表されていますが、その後の観測によりマグニチュード7.1と訂正されました。最大震度6弱、震度6弱が宮崎県日南市で観測されています。

 震度6弱が宮崎県日南市、震度5強が宮崎県宮崎市と都城市及び串間市及び、鹿児島県大崎町となっています。津波注意報では1m程度の津波が予測され、宮崎港では0.5mの津波が実際に観測されています。海岸線近くの方は海から離れ、海で遊泳中や作業中の方は海から出ることが呼び掛けられています。津波は地形により高くなることがあります。

 原子力発電所について、九州電力は川内原発について“地震による異常は確認されず”と発表しました。現地で確認された震度は4で2号機が運転中で1号機は定期検査のため運転停止中です。また四国電力も伊方原発 について“これまでのところ地震による影響なし”と発表しています。伊方原発は現在運転停止中で現地では震度4が観測されました。

 気象庁は1700時、今回の地震を受け“南海トラフ地震臨時情報”を発表しました。これは今回の震源域が南海トラフ地震想定震源域であり、マグニチュード7.1の地震は、スロースリップやプレスリップといった、前駆地震にあたり、この影響が東日本大震災を引き起こした東北地方太平洋沖地震と同様の広域震源型地震に繋がる可能性があるため。

 “南海トラフ地震臨時情報”は、評価検討会を開き関連が生じ得るかどうかを評価するものです。気象庁は南海トラフ地震震源区域においてマグニチュード7以上の地震が発生した場合、一部割れ、といい南海トラフの一部がずれ動くことで、全体へ影響を及ぼす可能性があり、実際あの2011年東日本大震災においても同様の事例が観測されました。

 マグニチュード9の巨大地震となった2011年3月11日の東北地方太平洋沖地震、その二日前にはほぼ同じ震源域において2011年3月9日にもマグニチュード7.1の地震が発生しています。一部割れ、にあたる事例では気象庁は、南海トラフ地震想定地域へ避難勧告は出さず、住民自身が確認の上、必要に応じ自主的な避難を行うよう呼びかけます。

北大路機関
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臨時情報:山形県記録的豪雨-第二次大雨特別警報発令,緊急安全確保-分水嶺分り難い豪雨災害の危険性

2024-07-26 03:33:54 | 防災・災害派遣
山形大雨特別警報
 豪雨災害は普通の大雨と災害の分水嶺と云いますか日常が災害に切り替わる瞬間が分り難く判明した時には被災地は危険な状況になっている事が多いのです。

 山形県では25日に二度に渡り大雨特別警報が発令され、最上川流域全体等で洪水被害の警戒が高まっています、日向川などいくつかの河川では既に氾濫が発生しています。気象庁によれば梅雨前線の影響で大気の状態が不安定となり、東北地方では記録的な豪雨となっているもよう。大雨特別警報発令下ではすこしでも人命が助かる方法を呼びかけています。

 大雨特別警報が同一地域に一日の間で二度発令されるのは、気象庁が大雨特別警報気象警報制度を制定して以来初との事で、山形県内では7月の一ヶ月間雨量の1.7倍という雨量を24時間で観測する地点が有るなど、過去にない規模の豪雨となっています。豪雨被害は山形県に加え、秋田県でも大きな被害が有り、新潟県でも床上浸水などの情報があります。

 豪雨被害、この災害を警戒しなければならない最大の理由は、地震災害や台風災害と津波災害と比較し、そのはじまりが日常的に発生している“降雨”であることに尽きます。降雨は日常的に観測されるものであり、これが大雨であってもある程度の大雨は経験しています、しかし、それが河川氾濫に直結しているとは気づき難いのが降雨のこわさでしょう。

 河川氾濫は避難路である道路を簡単に塞いでしまいますし、日常で意識していない高低差から一軒避難路が自動車などで通行可能に見えた場合でも、手前は浸水数cmであっても数百m先が浸水数十cmとなり自動車が通行不能、エンジン停止などで行動不能になる場合や、見知った道路でも水没する、田畑や用水路と道路の境界線が識別不能となることも。

 落雷を伴う豪雨では、先ず停電など需要な情報源となるテレビラジオを封じる状況も起こり得ますし、特に夜間の豪雨では情報閉塞状態、それは深夜の内に周囲の状況が激変しており孤立している、孤立している中で河川氾濫などで危険な状況が悪化するということも生じます、住宅街に水が押し寄せていても夜間では気付かない事があるための事象という。

 こう、書きますのは、過去、西日本豪雨において、これが西日本における災害史に特筆される規模の災害の始まりである事を気付かず、舞鶴にロシア艦を撮影に行きまして翌日は沼津へ陸上自衛隊の上陸を撮影に行っていて、しかしその間に大雨は歴史的な水害に発展していた、ということがあったためです。大雨は災害となる分水嶺がわかりにくいのです。

 夜間の避難は、災害が差し迫っている状況では自動車でも避難経路によっては既に移動不能となっている場合がありますので、先ず現在特別警報や洪水警報など危険な状況に居られる方は、スマートフォンなどで現在位置のハザードマップを、現在位置の市町村HPから確認し、避難所と現在位置の間に燈色や赤色の危険表示が無いかを確認すべきでしょう。

 自宅が三階建て以上である場合は、多くの場合で二階までしか浸水する事例はありませんので、自宅の上層階に避難するのが一つの選択肢です、この場合は一階部分の電気冷蔵庫や水道から必要な飲料水や非常食を上層階に移動させるのが選択肢です。二階建の場合は、二階部分の押入れ上部に屋根裏へ至る点検口などがありますので、万一に備えその確認を。

 洪水の場合は、河道というかつての河川の流れを土地改良した地形などは、再現する様に浸水します。平屋にお住まいの方は、斜面や河川近くの場合はその逆方向に、浸水しますと固定していない家電や家具は浮き上がり押しつぶされるなど危険が生じますので、押し入れなど平屋でも高い位置を確保する、浸水時には、屋根に上る検討なども必要です。

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台湾東部地震への日本の姿勢を問う,過去の災害時の支援-北京の視線を忖度せず派遣をすべきだ

2024-04-05 07:01:37 | 防災・災害派遣
■日本の姿勢を問う
 台湾東部地震、被害全容をどのように考えるか日本の事例と台湾の危機管理体制との相違がいま一つ分りませんので先走り過ぎと反論があるかもしれませんが。人道支援の必要はないのか。

 東日本大震災に熊本地震から胆振東部地震に能登半島地震、日本ではあまた災害に曝された際に隣国の中には様々な意見がある中で、中華民国台湾は災害の都度というほどに総統は日本語で哀悼の意を示し、そして募金運動では隣国というには同胞のように接して接し続ける中にあって、さて、日本は国を挙げて今回の台湾地震をみているのか、とおもう。

 台湾中部地震、思い出すのは1999年の李登輝総統時代の巨大地震で、発災当初から被害情報を把握するにつれて被害が甚大である事が判明してゆきました。こうした事は珍しくなく、実際日本の東日本大震災や阪神大震災も、いや先日の能登半島地震でさえ、情報が集まらない中での被害全容というものはなかなかみえないものです。ゆえに、考えるのは。

 自衛隊は2000年トルコ地震に際しては、輸送艦と掃海母艦に補給艦から成る救援艦隊を派遣しましたが、1999年の台湾中部地震に際しては、トルコよりも遥かに近いにもかかわらず、なにしろ2000年と2020年代とは法整備の水準が違うのだから、かなり無理をした救援艦隊を派遣していますが、台湾中部地震に対しては、無理をしていたのか、と思うのだ。

 台湾有事は日本有事、という言葉が昨年大きな波紋を生みましたが、緊急人道支援などであっても、日本が台湾に対して支援の姿勢を示す事は北京から予想以上の厳しい反発を招くことは必至なのですが、しかし災害において北京の目を気にするような国家に、台湾海峡の緊張の際に北京の目を見資することなどはできないのではないか、と危惧するのです。

 先走り過ぎの可能性はある、現在報道されている死者数は大阪府北部地震や鳥取県西部地震程度の規模であるので大規模な救援を日本側が提示することは過剰反応、と後に評価される可能性も無視できないのですが、能登半島地震のように、全容解明とともに激甚災害となっている可能性もある、実際台湾中部地震では2400名もの人命が失われたのだから。

 救援物資などをC-2輸送機で被災地に近い花蓮基地へ空輸するとか台湾軍の移動支援に、かつて東日本大震災の際にオーストラリア軍C-17輸送機が当たったように自衛隊機での輸送支援を行う、孤立地域への輸送支援にCH-47を派遣するとか、仮設住宅の、日本国内では能登半島地震はあったが資材はまだある、これを輸送艦で運ぶなど、打診してはと思う。

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台湾東部地震発生-花蓮沖震源マグニチュード7.2,被害状況と台湾海峡情勢など地政学的影響

2024-04-04 20:13:24 | 防災・災害派遣
■沖縄にも一時津波警報
 台湾で発生した昨日の地震について情報を纏めてみました。地政学上の重要地域に隣接しており所謂被災地情報とともにもし災害とは別局面の事態となった場合には当然日本にも影響が及ぶ。

 中華民国台湾東部において3日、マグニチュード7.2の地震が発生しました。日本時間3日0858時、台湾東部花蓮県沖で深さ25㎞を震源とした地震が発生、台湾中央気象所は花蓮県などに震度6強の揺れが発生したと発表しました。台湾では日本と同じ震度7までの震度階梯を定めていまして、またこの地震により津波も発生しています。

 津波警報及び津波注意報は日本にも発令され、気象庁は沖縄県の宮古島及び八重山地方には津波警報、沖縄本島地方には津波注意報を発令、沿岸部の住民が高台に退避することとなりました。津波警報及び津波注意報は3日1200時までに解除されましたが、与那国島と宮古島で30cm、石垣島20cmの津波を観測、避難中に転倒で4名が負傷しました。

 台湾では花蓮県で震度6強の揺れを観測、北東部宜蘭県などで震度5強が観測され臨時首都である台北や新北市など広い範囲でで震度5弱が観測されています。また津波は宜蘭県烏石で82cmが観測され、台湾沿岸部で数十cmの津波がそれぞれ観測されています。震源に近い花蓮県ではビルの全壊や建物倒壊、落石などで広範な被害が発生した。

 花蓮県を中心とした被害は本日1900時までに台湾当局が発表したところによれば死者10名、行方不明者38名となり、また負傷者は1067名に上っています。台湾では1999年9月21日に発生した台湾中部地震以来の巨大地震であったとのこと。921大地震とも呼ばれる台湾中部地震では台中市や震源地の集集鎮を中心に2415名の死者がでています。

 玉山の標高3952mなど、こちらは日本統治時代に新高山と呼ばれ富士山よりも標高の高い日本最高峰として知られますが、台湾中部山間部には3000m級の山が複数存在し、花蓮県は太平洋側に位置しており、一方、台湾空軍のF-16戦闘機60機などを配備する花蓮基地が被災地にあり、滑走路や基地施設には大きな損傷がなく救助拠点となっている。

 天王星ビル、今回の地震では花蓮市の中心部に位置する天王星ビルが大きく傾き、地震被害の象徴のような扱いとなっていますが台湾メディアの報道によれば1986年の旧耐震基準により建設されたもので耐震強度の低い規制前の建物を中心に被害が出ているとのこと。一方、メディアなどが現地に行く事が難しい山間部では地滑り被害が確認される。

 地滑り被害は花蓮県の景勝地などに整備されたハイキングコースでも発生しており行方不明者捜索の際に死者などが確認され生存者捜索を急いでいるとのこと。また山間部道路寸断により台湾有数の景勝地という太魯閣渓谷にはホテルなどで孤立している観光客が600名いるとの事で、また所在不明の行方不明者所在確認を急いでいるとのこと。

 日本からの支援については、林官房長官は“日本台湾交流協会による確認や台湾当局の発表によれば、4日朝の時点で邦人の生命や身体に被害が及んでいるという情報には接していない”と発言、支援要請があれば対応する準備を進めていることを示しました。過去日本国内での震災では台湾からの援助支援は手厚かったのですが、今回はどう対応するか。

 アメリカ政府はNSC国家安全保障会議のワトソン報道官が“台湾で起きた地震に関する情報を注視しており、日本への影響の可能性についても引き続き注視している。アメリカは必要なあらゆる支援を提供する用意がある”旨の発言を行った、NHKなどが報道しました。またカービー大統領補佐官もアメリカ政府が対応準備を行っていると述べました。

 地政学的な影響について。台湾での大規模地震となれば懸念されるのは台湾海峡での安全保障情勢に影響が及ぶことです。ただ、被害の多くは花蓮県に集中しており、2011年東日本大震災の様な広範囲に津波が発生し国家機能や安全保障基盤への影響が及ぶようなものではなく、局地的な激甚災害であるという点は重要でしょう、有事には直結しない。

 台湾海峡有事となるような規模の災害であれば、東日本大震災においてアメリカ海軍原子力空母が実施したような九州南西海域から台湾海峡にかけての軍事プレゼンスを示し、予防外交などを展開する必要がありますが、今回の地震は台湾海峡有事に直結するような災害ではなく、影響が拡大しないよう注視しつつ、支援体制を強化する必要が。

 自衛隊台湾派遣の必要については、現在のところ邦人被害が確認されず、それよりも重要なのは地震発生後72時間という行方不明者の救命率に影響する限られた時間に対応するよう、例えば東京消防庁ハイパーレスキューなどの派遣が求められる可能性があります。また台湾当局や軍の対応も素早く、現地では救助活動と支援活動が展開中です。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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3.11東日本大震災から13年【3】ヒーローはやってこないかもしれない-南海トラフ地震と東日本大震災

2024-03-14 20:23:06 | 防災・災害派遣
■太平洋側全域が津波被害
 東日本大震災が実際に起こるまではあの規模の災害を実際の防災計画に内部化して対策を具現化する事は一種考え過ぎだと注意された事でしょう。

 南海トラフ地震、東日本大震災、この二つを東日本大震災慰霊の日に併せて提示するのは、東日本大震災の災害対処が必ずしも最適解と言えず、この供養君を活かすことで次の震災の犠牲者を幾分か減らすことができなければ、その減災の努力こそが慰霊になるのではないか、という、過ちを繰り返さない事による慰霊という日本的視点ゆえです。

 非常事態法制が必要ではないか。南海トラフ巨大地震に際し、政府が示した想定被災者数は死者37万という恐るべき数字でした、東日本大震災を念頭に置けば一割程度震災関連死が加わることとなりますが、37万の一割といえば、阪神大震災の死者の六倍に当たる膨大な数、能登半島地震や熊本地震死者数の100倍以上という途方もない規模となる。

 都道府県単位や広域連携を行うにも隣県が被災地、という状況が延々と続くわけであり、広域搬送を行うにも大阪神戸名古屋が被災し、内陸部の京都や瀬戸内の松山に広島と岡山がかろうじて直撃を免れる、紀伊半島と四国南部に南九州が津波の直撃を受けるという想定なのですから、先ず救援を受けようにも東京と福岡や仙台しか安全圏はない。

 国が正面に立つ以外に選択肢はないのではないか、すると平時の手続きを堅持していては文字通り37万という死者数に繋がる、復興一つとって年間百万単位の移民を募らねば復旧さえ年単位の期間を必要とするような状況ではないか、その為には特措法、現行憲法にある程度抵触する決断を平時の内に行うことこそ為政者の責務ではないか、と。

 都道府県単位の防災計画の場合は、南海トラフ地震では隣県の支援が充てにならない、災害時に自分の自治体だけで救援計画を自己完結させるという、能登半島地震でさえ石川県だけでは対応できなかったものなのでしたから、非常に大きな覚悟が必要ですし、なにより、消防は市町村単位、消防だけで支援を受けず行う初動数日間の対応となる。

 自衛隊の災害派遣さえ自治体として駐屯地を抱えている地域は別として、いや中部方面隊の駐屯地大半と西部方面隊駐屯地のかなりの数が、被災地の中にある駐屯地、となります。静浜基地と佐伯基地や小松島航空基地は津波の直撃を受けますし、築城基地と呉基地なども影響がおおきい、鹿屋航空基地や阪神基地もある程度影響が考えられ、厳しい。

 ヒーローはやってこないかもしれない、とはNHKなどが南海トラフ地震における広域被害に対して広域消防連携の限界や自衛隊災害派遣の限界などを示唆したものです。すると、地元密着の消防団にもう少し深い能力を付与するべきか、住民参加の防災計画がどこまで考えられるか、電気も水道もなく、末期戦的様相さえ考えなければならない。

 ダメージコントロール。先ず必要なのは津波正面に一定数の原子力施設が存在し、考えたくない事ではあっても稼働していない原子力施設での全電源喪失を含め、何らかの危険な状況は起こり得るという覚悟です。休止中の原発でも全電源喪失となれば燃料プールでの核燃料崩壊熱による漏洩事故は起こり得るため、この場合への備えが必要となる。

 橋梁や隧道に高架道路と歩道橋など、リスクコントロールとして仮に想定される最大規模の地震が発生した場合でも交通を維持できる経路は何処があり得るのか、破損した道路を被災地域の協力会社が重機などを平時に保管している燃料と有事にも確保できる人員を動員した場合の24時間以内に仮通行可能となる区画は、48時間の場合は、などなど。

 太平洋側全域が津波被害を受ける想定ですが、先ず食料を空輸するとして、被災地に含まれない安全な倉庫や食品工場などの協力企業の供給量はどの程度で、初動72時間以内に被災地へ搬入しなければならない物資の推定量はどの程度か、その輸送に必要な装備は津波や被災地からの安全圏にどの程度確保されているのか、体制を一か月間持続できるか。

 東日本大震災の際には被災地へ連絡する手段がなく総務省は国内のアマチュア無線愛好家へ無線機提供を呼びかけました、本来ならばあの東日本大震災から13年となるのですから想定被災地域問わず自治体単位で無線機など地区ごとの情報と指揮統制を維持するための施策を完成させている頃であるべきですが、実態は能登半島地震被害を見ての通り。

 必要な防災備蓄やその輸送手段を都道府県単位で考えた場合、その場合は隣接都道府県との協力は勿論事前調整するのでしょうが、しかし大前提として隣接する都道府県はある程度無事である事を織り込まなければならない、これが南海トラフ地震のような巨大地震では、自治体の想定だけでは、先ず対応しきれない分野が生じるとの認識が必要なのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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