北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

岩手県大船渡市三陸町山林火災-消防飛行艇を改めて検討すべき【3】多用途飛行艇としての消防能力

2025-03-04 07:00:18 | 防災・災害派遣
■多用途飛行艇
 消防飛行艇は不要でも多用途飛行艇ならばどうか。

 1個航空隊分のUS-2飛行艇を消防航空機として運用し、P-1哨戒機1機を空中管制支援に充てて火災現場と海上や水上を反復し何度も空中消火を継続したならば、6時間で数百tの放水を行い、大規模な山林火災でも延焼を食い止め、翌日には鎮火に追い込むことは出来ないだろうか。

 US-2飛行艇の消防用航空機への転用、この試案で毎回反論として筆頭となるのは、総務省が調達し海上自衛隊が運用する場合でも、費用の問題とともに運用負担の問題です。ただ、ここで忘れられているのは消防飛行艇という単機能運用を前提とした場合の論点ではないかということ。

 消防飛行艇は不要でも多用途飛行艇ならばどうか。US-2のUは多用途という意味であり、救難飛行艇という用途はその多機能性の一端を示したものでしかありません、消防任務も救難任務もUS-2の”U”が示す多用途性の一環であると考えれば、不要論に対して一定の反論となり得ます。

 多用途飛行艇として、考えますとUS-2の性能は高いものがあります。航続距離は4700kmですが、ここに空中給油受油装置を追加するならばキャビン部分は与圧されていますのでかなり長距離を飛行させられますし、旅客機型で38名、V-107輸送ヘリコプターの1.9倍という機内容積がある。

 US-2を消防用のほかに輸送力や発着性能から考えた場合は、空中給油機能の追加により邦人救出においては飛行場の無い地域への展開能力が用途として挙げられますし、逆に給油装置を追加することで航空自衛隊UH-60J救難ヘリコプターへの給油機として機能させることも可能でしょう。

 飛行艇をどういかすかは運用者次第といえます。特殊作戦部隊の空輸や、複合高速艇を主翼下に搭載しての強襲支援と水陸機動作戦支援、こうした多用途性能の一環として消防能力を付与するのであれば、一個航空隊程度を増勢した場合でも消防用として無駄にはならないように、考えるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ まや
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岩手県大船渡市三陸町山林火災-消防飛行艇を改めて検討すべき【2】大規模山林火災条件-地方人口減少と少子高齢化

2025-03-03 07:00:39 | 防災・災害派遣
■大規模火災
 現状の火災は自然鎮火を待つのではなくE-767を飛ばして自衛隊筆頭に官庁から自治体まで大量のヘリコプターを空中管制してでも総力戦で鎮火させるべきですが。

 US-2飛行艇の消防航空機転用の必要性、これはUS-2飛行艇が生産維持困難となるその都度に提案される方法論で、毎回、維持費と取得費用の問題で現実的ではない、という結論に帰結しています。ただ、林野火災と震災に伴う火災など大規模火災の脅威が顕在化するたびに、脅威と対処能力の費用対価が推し量られるのもまた事実なのですが。

 ハワイ州やカリフォルニア州の大規模山林火災、山林火災は世界を見ても複数ありますが、日本の山林火災との違いは人的被害の有無や民間家屋被害という理解がありました、が、今回の大船渡市三陸町山林火災はこの条件を超えた極めて懸念すべき山林火災であるという理解が必要ではないのか、それは単に最初の一回ではないのか、という理解とともに。

 大規模山林火災の要因は、気候変動という一言だけで説明すべきではありません。要因の際たるものは、少子高齢化による初期消防の担い手である消防団員の過疎地域での即応能力低下による小規模火災の大規模山林火災への拡大、人口減少による限界集落拡大により山林火災初動消火能力空白地域の拡大、この二つが根本からの原因といえるのではないか。

 少子高齢化と人口減少地方過疎化、この二つの条件を解決している地域では今回の様な山林火災は生じえないといえます、この二つは地域消防即応能力に繋がります、ただ、現代の日本ではこうした問題を解決している地域はごく限られ、そうした中で日本の国土は七割が山林、という現実がありますので、大規模山林火災はどこでも起こり得るといえます。

 US-2飛行艇の消火能力、この一点を金科玉条とせずとも他に選択肢はあるのかもしれませんが、固定翼航空機の即応能力と大型航空機の大量放水能力を兼ね備えるものは、まあ、中古のボーイング737旅客機などを多数調達して消防機に改造するアメリカ方式、自衛隊以外に都道府県単位でCH-47規模のヘリコプターを40機程度整備するなどあり得るが。

 大規模山林火災が起きやすい条件が揃っている中で、2000年代初頭のような視座のもとでUS-2飛行艇の消防飛行艇転用を、費用対効果などで考えていますと、札幌市や仙台市と横浜市や静岡市と浜松市や名古屋市に京都市と大阪市に神戸市と岡山市に広島市や福岡市と熊本市、政令指定都市でさえも市域は森林地帯に接していることを思い出すべきでしょう。

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岩手県大船渡市三陸町山林火災-消防飛行艇を改めて検討すべき【1】US-2,毎時毎時75tの水散布が可能

2025-02-28 07:00:10 | 防災・災害派遣
■消防飛行艇!
 消防飛行艇の話題を出しますと又かと思われるかもしれませんが山林火災では通常の消防車が入れない地域で延焼を食い止めることの難しさがあります。

 消防飛行艇を改めて検討すべきと考える。岩手県大船渡市の山林火災は、アメリカのカリフォルニア州での山林火災やハワイ州での山林火災において発生した事案のように、山間部の集落に到達し、死者が出ている他、多数の民家が延焼する状況となっています。日本の林野火災で複数の住宅が被害に見舞われる事例は稀有でしたが、それが実際に起きた。

 林野火災の問題点は、この二十年間で少子高齢化に伴う過疎化が大きく進展し、消防団の人員不足による初期消火の難しさ、また山間部特有の航空機以外での火災延焼地域への接近の難しさ、広範囲に同時に延焼する今回の事例を視た場合に痛感する消防水源確保の難しさが挙げられます。もっとも消防水源確保の難しさは1995年に神戸でも指摘された。

 US-2飛行艇、別の機種で例えばボンバルディアCL-415飛行艇のような機種でもいいのですが、消防飛行艇の利点は湖や海を消防水源と出来る事にあり、飛行艇が発着できる湖が限られる事から、海での発着能力が高いUS-2は、速度と航続距離の面からも、一旦任務飛行を開始した後には火災現場から15km以内に海が有れば毎時5回は散布が可能です。

 CL-415で6.1t、US-2を消防飛行艇とした場合で15tの放水が可能です。CH-47輸送ヘリのバンビバケットで最大8tの散布が可能ですが、バンビバケットは空気抵抗が大きく消防水源が火災現場近くにない場合は4tから6.5tに制限されるという。そしてくみ上げですがUS-2は海上を滑走しつつ20秒で給水が可能、補給時間が極めて短い。

 毎時75tの放水を行えると仮定して、1個航空隊6機の可動を維持することができるならば、これが現在のUS-2の状況をみると簡単ではないのだけれども稼働率低下は分母となる機体の少なさが起因している訳で、毎時450tの放水が可能、モリタ水1-A水槽付消防車が2tの水を搭載できますので、消防車225台分の水を第一線に散布可能です。

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岩手県大船渡市山林火災が大規模延焼ー26日2200時の時点ですでに民家84軒が被害

2025-02-27 07:00:49 | 防災・災害派遣
■自衛隊災害派遣
 消防飛行艇のような広範囲から空中消防能力を集中できる体制が必要だ、山間部の山林火災はちょうど大原の話題を紹介しましたのでこういう状況はちょっと恐ろしいものです。

 岩手県大船渡市の山林火災が大規模な延焼を続けています。26日2200時の時点ですでに民家84軒が焼けており、大船渡市によれば消防が徹夜で消火作業を実施しているとのこと。山林火災が此処まで民家を延焼させた事例は日本では例が少なく、しかし糸魚川大火のようにいったん火が付いた火災が大規模に延焼する事例は過去いくつか。

 大船渡市と三陸町の広範囲に避難指示が出されており、いっぽうで既に84軒が焼けているものの、人的な被害については警察が確認中であるとしています。この火災について、岩手県に加え、宮城県と山形県の消防による緊急消防援助隊が編成されており、既に現地での消火活動にあたっており、しかし大船渡市は被害全容はつかめていないとしている。

 岩手県は今回の火災について災害救助法の適用を決定し、避難所設営に県と国が費用を負担するなど避難の支援を強化しれいます。また岩手県は自衛隊へ災害派遣要請を行い、これを受け陸上自衛隊は岩手駐屯地より県庁と大船渡市役所へのリエゾン派遣として車両8両と隊員31名を派遣したほか、ヘリコプターによるしょうあ活動の準備を進めている。

 東北方面航空隊の駐屯する仙台市の霞目駐屯地ではヘリコプターを複数待機させているとのこと。陸上自衛隊のヘリコプターは予算不足から東日本大震災の任務時と比較しかなりの機数が削減されており、現在漸く予算が拡充した為に2030年まえには一定数が回復されると期待されています、ただ東北方面航空隊も削減されている事は現実です。

 大船渡市や三陸町は2011年東日本大震災において沿岸部が津波被害により壊滅的な状況となっており、漸く復興したところではありますが、ここで内陸部に火災が発生し少なくない民家が焼けている事に心が痛みます。林野火災が受託地に延焼する事例はアメリカなどで増加傾向にありますが、こうした広範囲の火災対策を今後検討すべきでしょう。

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南海レスキュー2024,大阪沿岸部孤立者空輸訓練とイオンモールなどでの一般公開

2025-01-17 07:00:11 | 防災・災害派遣
■南海レスキュー
 開始前に日向灘沖地震がひやりと冷たい現実を突きつけた印象ではあるのですけれども。

 南海レスキューも本日が最終日となりました。AAV-7やLCACの上陸などはかなり多くの見物人がいまして、琵琶湖でのUS2発着についても地本の見学ツアーなどは好評だったようで、大和川の渡河訓練なども同様という。本日は大阪の沿岸部において孤立地域からのへリボーンによる輸送訓練が行われるという。

 イオンモール守山や大阪城公園とパナソニックスタジアムでは一般見学可能という南海レスキューの展示が行われています。昨日行われたイオンモール堺鉄砲町の展示では、自衛隊車両の展示が行われ即応予備自衛官部隊まで参加するとともに様々な民間団体が災害時に用いる装備などを多数展示していました。

 民間防衛、個々の企業の努力は重要なのですが、個人的に思うのは給水と給食と入浴や設営などを中央である程度規格化して、全国的な民間防衛組織を立ち上げられれば有効に作用するのではないか。自家用車などを購入する際に政府が希望者へ一定程度補助金を出し、有事の際に徴用する仕組みも必要かな、と。

 民間防衛として、ワンボックスカーなどを希望者には購入時の補助や平時に税制優遇させるとともに、有事の際には民間防衛組織や指定協力団体などへ輸送車両として徴用する、こうした枠組みは平時の維持管理が難しい建機やその輸送車両に対しても有効かもしれない、ふとそんなことを感じたわけですが。

 南海レスキューでは、上記展示として実際に見たり触ったりすることも出来ますし、イオンモールで行われるものについては買い物ついでに見学することも可能です。なお、イオンモール守山での展示は南海レスキュー2024終了後の19日日曜日に行われると言うことですので、お出かけの方はご留意ください。

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阪神大震災発災三〇年,兵庫県南部地震から明日で30年-必ず再来する次の災厄への備え

2025-01-16 20:05:32 | 防災・災害派遣
■兵庫県南部地震
 明日で阪神大震災から30年を迎える事となります。

 阪神大震災は我が国都市部において発生した直下型地震としては空前の規模の被害を及ぼし、それは危機管理という概念の再構築を迫るものとなりました。同時にこれは、関西においては大きな地震は発生しないという安全神話の崩壊にもつながりました。

 危機管理、当時は社会党連立政権であり、危機管理の中枢である内閣総理大臣がNHKテレビを官邸で見ているのみ、自らが自衛隊の最高指揮官である自覚を欠いていたため報道を見守るのみと言う状況でしたし、自衛隊へ災害派遣を要請できる兵庫県知事も県庁の送迎を待っていたという状況であったのです。

 県庁がもう少し大規模災害に対する動員体制、例えば地域消防能力の組織化や、高度救助部隊に建機などを保有する十分な、倒壊したビルが道路を塞ぐ状況でも踏破できる程度の準備があったならば、独力で対応できたのかもしれませんが、兵庫県は震災前、防災訓練に自衛隊を参加させていません。

 準備が出来ていれば、あの巨大地震はどのようになっていたのだろうか。そして巨大地震というものをある程度盛り込んだ復興計画の展望をある程度災害リスクを見込んだ事前計画として考えていたならば、神戸の経済的な地盤沈下という状況、神戸港などがもう少し変わったのか、と考えてしまうのだ。

 安全神話については、しかし不思議に思いました、歴史地震として福原地震など神戸という地名以前の福原京の時代から記録はされているのですし、この地域で地震が起きないという根拠が、安全神話は勝手に湧き上がり信仰されていただけで、調べてみると神話の根拠がなかなかでてこないのですね。

 南海地震、ちょうど現在自衛隊は中部方面隊を中心とした大規模演習"南海レスキュー2024"を展開中です。そして過去の南海地震は1946年に昭和南海地震が発生しており、紀伊半島南方を震源とした巨大地震はマグニチュード8.0、死者行方不明者1443名、津波は遠く房総半島から九州まで1m以上となった。

 津波は震源から最も近い串本町で6.6mに達し、土佐湾沿岸で5.2m、徳島県沿岸部で3.4m、いや津波は遠く大阪湾や瀬戸内海まで侵入しており堺市で1.5m、呉市で1mなど震源から遠く離れた地域にも及んでいます。こうした1946年の南海地震から、阪神大震災は49年目の発災となっています。

 阪神大震災、被害を大きくした背景には過去の摩耶豪雨などの被害から建物の重点が豪雨を想定したために重心が高い建物が直下型地震により大きな被害を受けた、という実情もあるようですが、震災対策、という過去に幾度も日本を繰り返し襲う災害に対して、兵庫県の準備不足が大きく響いている。

 建物の耐震補強などはあの巨大地震からまもなく迎える30年までに、大きく補助などが行われていますが、見方を変えるならば一部には厳しい耐震基準が住宅価格を高騰させ、手頃な住宅建設を地方の比較的地価の安い地域においても阻んでいる、という指摘もありますが、少なくとも前進はしました。

 震災追悼の日、そして忘れては鳴らないのは次の地震は必ず来る、ということでしょうか。いや、このところの地震は意思があるのではないかと言いたいほどに時機が悪い、具体的には、元旦に発生した能登半島地震、まさか元旦の夕方に発災するのか、というなかなか想定できないことがあった。

 自衛隊では災害派遣命令が出る前、ちょうど目の前のしゃぶしゃぶに箸をつけようとした瞬間に地震が発生し、必ず出るであろう災害派遣命令を想定して、正月しゃぶしゃぶは来年として、即座に駐屯地へ駆けつけた隊員がいたほどと言いますが、南海レスキューについても、その直前に地震が。

 日向灘沖地震が南海レスキュー2024の地震発生想定時刻11時間前に発生し、気象庁は臨時情報を発令するかの会議を招集しています。次の地震は今日この瞬間にも発生するのかもしれない、1.17は鎮魂とともに、次に来るであろう地震への対策の覚悟を更新する一日とも、したいものですよね。

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南海レスキュー2024,V-22オスプレイ参加と92式浮橋の大阪府柏原市大和川架橋

2025-01-16 07:00:37 | 防災・災害派遣
■南海レスキュー2024
 南海レスキュー2024訓練もいよいよ後半となってまいりました。

 南海レスキュー、調べてみますと本当に中部方面隊管内各地で行われている訓練でして、発着事故の関係で参加が危ぶまれたV-22オスプレイも参加しているようです。想定では、西日本地域の空港は大半が使用不能、小牧も滑走路点検が発災9時間では完了しないという厳しい状況となっていた。

 V-22は、導入当時こそ、取得費用が大きい過ぎたために、これならばCH-47輸送ヘリコプターを川崎重工へもっと発注したほうがよかったのではないかと考えたものですが、飛行場の大半が使えない状況で初動、となりますとV-22の巡航速度の高さは救いと言うべき存在となるのですね。

 柏原市、本日は大和川、ここに渡河用の架橋を行う訓練が実施されます。丁度今頃から既に作業が開始されていまして、92式浮橋により架橋を行うという。東京で行われるビックレスキューでは多摩川へ架橋を行う様子などが公開されていますが、基本的に今回行われるのはこれとおなじもの。

 92式浮橋は90式戦車を始め重装備を渡河させるための装備で、ボートのような橋桁を繋いで、そのままだと流されるので動力ボートにより上流に向けて押し続けて安定させる手法が用いられています。自衛隊はこのほか、重パネル橋や07式機動支援橋など複数の任務に応じた様々な架橋装置を保有している。

 二時間程度で架橋を完了でき、また時間はかかりますが重パネル橋は東日本大震災で実際に架橋され、復旧車両など重い土木建機の通行も十分可能でした。橋梁は地震に対してある程度有効ですが、東日本大震災では津波により沿岸部の橋梁が流失する事例が複数発生しています。

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南海レスキュー2024,C-2輸送機とC-130H輸送機の南紀白浜空港へ空輸訓練

2025-01-15 07:00:15 | 防災・災害派遣
■南海レスキュー2024
 南海レスキュー2024は本日、三日目となっています。

 C-2輸送機とC-130H輸送機が本日、南紀白浜空港へ空輸訓練を実施します。2024年能登半島地震におきまして、能登空港が被災し空輸拠点として活用することができませんでした、もっともC-2輸送機やC-130H輸送機は路外発着能力がありますので、能登空港の滑走路外で発着は出来たように思ったものですけれど。

 能登空港は自衛隊管理ではない民間空港でしたが、空港は滑走路のほかに燃料など備蓄が有り航空機の航空拠点として機能させた場合には、能登半島の物資不足をもう少し支えることが出来たように思うのです。ただ、管理者の問題は簡単に超えられない事も事実であり、今回の訓練は平時からこれを演練する。

 物量傘による空輸は、地上で受ける側にも訓練が必要ですが、空挺隊員であればこうした物量による補給を回収する訓練を受けていますし、輸送機の誘導も第1空挺団の降下誘導小隊が実施する場合は、その降下誘導小隊が輸送機により自由降下傘を用いて先行して空港まで展開することでも対応可能です。

 南紀白浜空港に物量傘を装着した物資を空輸するという訓練が本日行われます。この物量傘による投下は、美保基地航空祭などで定期的に実施されるものですが、自衛隊飛行場以外ではなかなか行われません。輸送機からの投下は物資は勿論、ブルドーザーのような車両を落下傘で降ろすことも可能という。

 南海トラフ地震では複数の空港が被害を受け、南紀白浜空港のような高台の空港も能登空港のように津波を免れても滑走路が破損する可能性があります、将来的には施設科車両の投下訓練が出来れば、破損した飛行場を空輸した施設科車両だけで復旧させ空輸拠点へ復旧することが出来るかもしれません。

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南海レスキュー2024,US-2救難飛行艇の琵琶湖への着水と94式水際障害敷設車による移動訓練

2025-01-14 07:00:04 | 防災・災害派遣
■南海レスキュー2024
 南海レスキュー2024は本日二日目となりました。

 本日も様々な訓練が行われますが、この中で注目したいのは琵琶湖です。南海トラフ地震において滋賀県は津波の直撃を免れる希有な地域ですが、東日本大震災の二日後に発生した静岡県西部地震のように巨大地震が引き起こすプレートへの歪みはほかの地震を誘発することが有り、このための警戒も必要です。

 94式水際障害敷設車による移動訓練、琵琶湖では先ず小松漁港を起点として水上輸送訓練が実施されます。その想定は積雪期に地震が発生したことで湖岸道路などが不通担った場合を想定したもの。中部方面隊の水陸両用車は和歌山駐屯地にあるのみですが、その製造は京都府の舞鶴においておこなわれています。

 US-2救難飛行艇の琵琶湖への着水、急患を輸送するという任務ですが、琵琶湖はUS-2にとり、特に南海トラフ地震では西日本の飛行場は大半が被災しますので、被災者で救命が必要な負傷者を京都市や大津市、津波の直撃を受けていない都市部へ空輸する拠点となります。そのための琵琶湖への発着訓練という。

 源氏浜、高島市からUS-2の発着は最寄りということですが、琵琶湖の中央部に降りる、ということですから源氏は間から距離にして7kmほど離れた場所に発着します。長浜城や彦根城といった高台からもその様子を見ることが出来るでしょう。必要ならばここまでやる、という訓練といえるのかもしれません。

 US-2の発着は午後からですが、US-2は琵琶湖の湖上交通の影響も受けますので、平時において縦横無尽に訓練が出来るわけではありません、このため、天候が悪い場合には発着は中止となることもあるのですが、源氏浜には航空統制施設なども設置されますので、興味のある方は一見してみてはと思うのですね。

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南海レスキュー2024,四国海陽町大里松原海岸AAV-7両用強襲車&東洋町生見海岸LCACエアクッション揚陸艇海上輸送訓練

2025-01-13 07:01:19 | 防災・災害派遣
■南海レスキュー2024
 南海レスキュー2024が本日から開始されます。

 南海トラフ地震は、日本列島が大陸外縁弧状列島であり海洋プレートと大陸プレートの影響が不可避である中で定期的に歴史上、日本列島を襲ってきました。陸上自衛隊中部方面隊は今回、政府と陸海空自衛隊や都道府県及び指定公共機関や指定公共企業とともに今回、その巨大地震へ対応する訓練を実施します。

 訓練は多岐に及びますが、本日実施される訓練は四国の海陽町、大里松原海岸において先ずAAV-7両用強襲車による海上輸送訓練を実施するようです。AAV-7は水陸機動団の上陸戦闘大隊に集中装備されている車両で、陸上自衛隊のAAV-7配備は後発ながら、その保有数は一定以上の水準となっています。

 四国の東洋町生見海岸では本日午後から、おおすみ型輸送艦を起点としたLCACエアクッション揚陸艇による海上輸送訓練が実施されるとのこと。南海レスキュー2024では、2024年の能登半島地震を教訓として、広範囲に地域孤立が発生する事態を想定し、輸送艦をシーベースとしての輸送訓練を実施するかたち。

 南海レスキューでは、自助と共助を促すために中央として実施できる公助というものを訓練として大々的に公開し、これを大きく報じることで地震の際に自らとその家族が生き延びるための自助への準備を促すことが目的として実施されます。自衛隊の演習を見ることで、普段の防災への備えを、ということ。

 おおすみ型輸送艦は自衛隊に3隻が装備され、今後は陸上自衛隊が、にほんばれ型輸送艦、ようこう型輸送艦を順次整備してゆきます。南海トラフ地震が引き起こす津波は、東日本大震災を超える巨大なものとなりますが、先ず、津波から12時間生き延びることが出来れば、こうした救助の手が差し伸べられるのです。

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