◆相次ぐミサイル危機と危機管理センター分室機能
ボーイング777が新政府専用機として導入される方針が示されたのち、今回は別の視点から一つ。
政府用輸送機ではなく本当の意味でのVIP専用機が必要ではないか、この視点は昨今相次ぐ首相外遊中に発生する北朝鮮による短射程弾道弾発射事案に依拠するものです。7月27日に北朝鮮がミサイルを発射しましたが、その際に首相は南米を歴訪中で、首相は外遊先から対応を命じています。
また、一連のミサイル事案の最初の一発が発射された際にも首相はオセアニア歴訪中で、もちろん首相は外遊先で指示を出し、官房長官と防衛大臣や外務大臣に担当省庁は的確に対応していますが、現在のところ首相は外遊先で危機管理センター分室としての機能をもつ設備を有していません。
政府専用機ですが、実は誤解されることが多いのですがVIP専用機ではありません、各国のVIP専用機はVIP以外使用できないのですが、政府専用機は天皇陛下、首相や閣僚の海外への輸送にも活躍しますが、同時に邦人救出時の邦人輸送や海外派遣における自衛隊員の輸送にも運用されており、実際のVIP専用機となるとYS-11など非常に限られています。
現在、政府専用機にはボーイング747二階部分を外務省所管の通信室とし、外交上必要な情報と機密情報の伝送を行っています。ボーイング747は二階部分が独立しているため、乗員を含め立ち入りを制限する区画として機能しているわけです。邦人輸送など緊急時に全部を座席としなければならないのですからかぎられているのですが。
新政府専用機ボーイング777は二階部分が無いため、尾部部分に配置されるのでしょうが、しかし、上記の通り汎用性を考えれば一定以上の設備は配置できません。すると、危機管理センターとしての機能、輸送機の随伴機としてでも首相に随行する航空機として必要とはならないでしょうか。
本当の意味でのVIP専用機が必要ではないか、としたのですが、ボーイング777規模の機体は多用途性を考えなければ大きすぎるという視点はあるかもしれません。すると、指揮機能を備えた別の機体を導入する、ボーイング777をVIP専用機として邦人輸送や部隊輸送任務は別の機体を充てる、輸送機に指揮通信コンテナを載せる、考えられるのはこうしたもの。
現行ですと、まさか性能面で随伴可能だとしてもE-767を首相の外遊に随行させる事は出来ません、KC-767に指揮モジュールを搭載し有事の際の危機管理センター分室機能を付与させる事は出来るでしょう。C-2輸送機も完成すれば速度性能面で政府専用機に随伴可能ですし、機内に指揮コンテナの搭載は可能です。
首相随行員が多数のPCと衛星通信機器を携行することで対応できないか、全ての在外公館に危機管理センター分室機能を増設すればよい、など選択肢はありそうですが、情報分析を首相が行えるよう永田町の危機管理センターは建設されました、従来の会議室では不十分、という意味で、です。したがって、外遊先でも専用の設備、考える必要はあると考えます。
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