■大量輸送機関,東海道新幹線
中国高速鉄道輸出は運行経費を就役後払いで現地運行を中国が管理する方法で無償建築が可能、成長を果たした。しかし日本の新幹線も方法によっては安価に建築し得ます。
日本の新幹線輸出、中国の格安高速鉄道との対立構造、と理解できる反面、日本の新幹線は複線の限度を超えた輸送力を高度な制御システムにより実現することで、開業以来の衝突事故皆無を実現しました。制御システムと運行システムが確実に機能しているからこそ、300km/h近い速度での毎時10本以上、最短五分間隔の高頻度運転が実現している。
脱線事故は地震災害により発生していますが、幸い転覆事故には至らず犠牲者を回避できているのは僥倖です。東日本大震災での回送列車競合脱線という列車全長と地震波長が偶然一致し脱線した事案、新潟中越地震や熊本地震の脱線、この二つは営業列車の脱線となりましたが転覆しなかった事で最悪状況は回避できました、ただ僥倖だけではありません。
東海地震、1974年制定の大規模地震対策特別措置法により危険が常に指摘される巨大地震に対し、東海道新幹線を運行する当時の日本国有鉄道はテラスシステムという早期地震検知システムを太平洋上に広く配置しました。これは震源域に地震計を多数設置する事で地震発生を迅速に検知、揺れが到達するまでに列車を緊急停止させる早期警戒システムです。
緊急地震速報のようなもの、と思われるかもしれませんが、もともと気象庁が緊急地震速報システムを構築したのは東海道新幹線のテラスシステムを全国へ拡大したもので、東北新幹線用のユレダス早期警戒システムと強化される地震検知用システムをより広く展開させたものが気象庁緊急地震速報システムです。これだけで安全性重視が垣間見えましょう。
制御システムに最大の安全性を図ることで高頻度運転を実現している東海道新幹線、最高速度を両立させた山陽新幹線の技術は確かに安全性に反映されています。1998年に開業したドイツ高速鉄道は開業翌年に脱線事故を発生させていますが、事故調査委員会の最終報告は最高速度規制表示の運転士見落としというもの、自動列車制御技術を欠いた為でした。
信号見落としによる衝突事故はスペイン高速鉄道でも発生しており、基本的に自動列車制御システムにより運転士に信号情報が運転席へ表示され、緊急時には自動停止する日本の新幹線制御システムではこれほどの、一人の運転士にすべての安全をゆだねることでのヒューマンエラーが発生する冗長性はありません、しかしこれらは当然コスト面に反映する。
新幹線の採算性という視点では高頻度運転を行っている東海道新幹線が突出して高い収益性を維持しており、これが次の新型車両開発や安全性強化へ寄与している点も大きなものがあります。東海道新幹線を運行するJR東海はこれら資産の蓄積を持って国鉄時代からの悲願であったリニア中央新幹線を自己資本により実現させる方向で更なる輸送増強を期す。
最大輸送力から見た東海道新幹線の輸送力は毎時12本運行、16両編成1322座席です。しかし、中国高速鉄道は高頻度運転で毎時2本、安全性重視は治安面に重点が置かれ駅構内立ち入りに手荷物検査場を設置し空港保安体制に準じる安全対策を行うとともに、列車到着30分前には駅に到着するという認識で運行、列車時間三分前の東海道新幹線とは違う。
国際競争入札へ日本の新幹線技術を考えますと、輸送需要という視点からは単線で対応できる程度の需要しかないのかもしれません。我が国新幹線技術であれば、退避線に途中駅を建設する事で30分間隔毎時2本の運転間隔ならば、単線運行も可能でしょう。逆視点から日本が費用面で中国高速鉄道へ対抗するには単線新幹線構想は決定打となりえましょう。
日本の新幹線は大量輸送を念頭としたシステムであり、高速鉄道としての目的地への短時間接続は手段に過ぎない、これは日本の国土を反映したものでもあります。例えば、東海道本線沿線の静岡県平野部が仮にあと200km太平洋上に伸びていたならば、東海道新幹線は無かったかもしれません、複々線化を行い必要ならば第二東海道線を建設できました。
しかし東海道本線の複々線化は当時の高度経済成長期には輸送需要の増大比率から早々に輸送力限界に達すると考えられ、複々複線化を行い上下線各3本を確保するかもう一つの東海道本線を建設する必要がある。加えて土地価格上昇は沿線の複々線化を難しくしており、東海道本線の複々線化費用と費用対効果で見合わなくなると計算されていたのです。
輸送力増強を主眼とした東海道新幹線、高度経済成長期の日本における東京大阪間の大量輸送需要に対応する輸送力を有した東海道新幹線は複線構造でも諸外国の複々線よりも大きな輸送力を求められ、そして高度な制御装置が現在もその輸送需要に対応する容量を有しています。この日本の制御システムによる輸送力強化は世界でも非常に稀有といえます。
アメリカ、鉄道大国アメリカは高速鉄道に興味を示すことなく1950年代から国内高速輸送に旅客機を活用、1970年代にはジャンボ機の導入により国内航空路線網が鉄道を置き換える確たる地位を築くに至りました。このアメリカでは、高速鉄道技術構築までの間、長距離輸送には興味深い方式が採られています、輸送力増強に同一地点間平行線建設を採った。
ニューヨークとボストンを結ぶ列車は1970年代の時点で五路線が平行線として維持されていました、決して東京大阪間が東海道線と中央線に日本海縦貫線で結ばれるような平行ではなく、十数km隔て別の複線を建設したのでした。こうしたならば、仮に一本が停電事故や信号故障等で不通となっても、大幅な遅延が発生しても、輸送力は維持できるでしょう。
アメリカ方式は広い平野部により実現した方式で、土地取得費用も日本の首都圏とは比較にならず安価で、そして峻険な山間部を貫くトンネルなどはこの区間にありません、広大な国土だからこそできたのでしょう。日本が例えば東海道本線と中央本線の中間部にもう二つ平行路線を開通させる場合、日本アルプス縦貫トンネルが必要となり費用面が難しい。
鉄道線路が限られている以上、短時間で多数を移動させるには速度を向上するほかありません。ほかの選択肢には在来線列車編成を15両編成から30両編成としたならば、輸送力は増強する事もできるでしょう、しかしこの場合も駅地点間距離の面で編成の長大化には限度があり、東海道本線に東海道新幹線並みの輸送力を求めれば65両編成になってしまう。
東海道本線の表定速度は東京大阪間556kmが最速の特急サンライズ瀬戸出雲で六時間三四分で表定速度換算では85.5km/h、東海道新幹線のぞみ号は所要時間二時間半で552kmを結ぶため、表定速度は220.8km/hあり、実に東海道本線と東海道新幹線では2.58倍もの差が違うのです、東海道本線の車両は四列座席ですが新幹線は五列、輸送力はこれだけ違う。
日本の新幹線システムであれば単線でも、途上国が求める輸送需要には対応できる、逆に中国高速鉄道による複線輸送力よりも日本の新幹線を単線で運行する方が輸送力大きくできる、そして専用軌道である新幹線方式ですが、日本型制御システムを用いれば狭隘地形でも単線で非常に輸送力ある高速鉄道を敷設可能、これが最大の強みだと考えるのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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中国高速鉄道輸出は運行経費を就役後払いで現地運行を中国が管理する方法で無償建築が可能、成長を果たした。しかし日本の新幹線も方法によっては安価に建築し得ます。
日本の新幹線輸出、中国の格安高速鉄道との対立構造、と理解できる反面、日本の新幹線は複線の限度を超えた輸送力を高度な制御システムにより実現することで、開業以来の衝突事故皆無を実現しました。制御システムと運行システムが確実に機能しているからこそ、300km/h近い速度での毎時10本以上、最短五分間隔の高頻度運転が実現している。
脱線事故は地震災害により発生していますが、幸い転覆事故には至らず犠牲者を回避できているのは僥倖です。東日本大震災での回送列車競合脱線という列車全長と地震波長が偶然一致し脱線した事案、新潟中越地震や熊本地震の脱線、この二つは営業列車の脱線となりましたが転覆しなかった事で最悪状況は回避できました、ただ僥倖だけではありません。
東海地震、1974年制定の大規模地震対策特別措置法により危険が常に指摘される巨大地震に対し、東海道新幹線を運行する当時の日本国有鉄道はテラスシステムという早期地震検知システムを太平洋上に広く配置しました。これは震源域に地震計を多数設置する事で地震発生を迅速に検知、揺れが到達するまでに列車を緊急停止させる早期警戒システムです。
緊急地震速報のようなもの、と思われるかもしれませんが、もともと気象庁が緊急地震速報システムを構築したのは東海道新幹線のテラスシステムを全国へ拡大したもので、東北新幹線用のユレダス早期警戒システムと強化される地震検知用システムをより広く展開させたものが気象庁緊急地震速報システムです。これだけで安全性重視が垣間見えましょう。
制御システムに最大の安全性を図ることで高頻度運転を実現している東海道新幹線、最高速度を両立させた山陽新幹線の技術は確かに安全性に反映されています。1998年に開業したドイツ高速鉄道は開業翌年に脱線事故を発生させていますが、事故調査委員会の最終報告は最高速度規制表示の運転士見落としというもの、自動列車制御技術を欠いた為でした。
信号見落としによる衝突事故はスペイン高速鉄道でも発生しており、基本的に自動列車制御システムにより運転士に信号情報が運転席へ表示され、緊急時には自動停止する日本の新幹線制御システムではこれほどの、一人の運転士にすべての安全をゆだねることでのヒューマンエラーが発生する冗長性はありません、しかしこれらは当然コスト面に反映する。
新幹線の採算性という視点では高頻度運転を行っている東海道新幹線が突出して高い収益性を維持しており、これが次の新型車両開発や安全性強化へ寄与している点も大きなものがあります。東海道新幹線を運行するJR東海はこれら資産の蓄積を持って国鉄時代からの悲願であったリニア中央新幹線を自己資本により実現させる方向で更なる輸送増強を期す。
最大輸送力から見た東海道新幹線の輸送力は毎時12本運行、16両編成1322座席です。しかし、中国高速鉄道は高頻度運転で毎時2本、安全性重視は治安面に重点が置かれ駅構内立ち入りに手荷物検査場を設置し空港保安体制に準じる安全対策を行うとともに、列車到着30分前には駅に到着するという認識で運行、列車時間三分前の東海道新幹線とは違う。
国際競争入札へ日本の新幹線技術を考えますと、輸送需要という視点からは単線で対応できる程度の需要しかないのかもしれません。我が国新幹線技術であれば、退避線に途中駅を建設する事で30分間隔毎時2本の運転間隔ならば、単線運行も可能でしょう。逆視点から日本が費用面で中国高速鉄道へ対抗するには単線新幹線構想は決定打となりえましょう。
日本の新幹線は大量輸送を念頭としたシステムであり、高速鉄道としての目的地への短時間接続は手段に過ぎない、これは日本の国土を反映したものでもあります。例えば、東海道本線沿線の静岡県平野部が仮にあと200km太平洋上に伸びていたならば、東海道新幹線は無かったかもしれません、複々線化を行い必要ならば第二東海道線を建設できました。
しかし東海道本線の複々線化は当時の高度経済成長期には輸送需要の増大比率から早々に輸送力限界に達すると考えられ、複々複線化を行い上下線各3本を確保するかもう一つの東海道本線を建設する必要がある。加えて土地価格上昇は沿線の複々線化を難しくしており、東海道本線の複々線化費用と費用対効果で見合わなくなると計算されていたのです。
輸送力増強を主眼とした東海道新幹線、高度経済成長期の日本における東京大阪間の大量輸送需要に対応する輸送力を有した東海道新幹線は複線構造でも諸外国の複々線よりも大きな輸送力を求められ、そして高度な制御装置が現在もその輸送需要に対応する容量を有しています。この日本の制御システムによる輸送力強化は世界でも非常に稀有といえます。
アメリカ、鉄道大国アメリカは高速鉄道に興味を示すことなく1950年代から国内高速輸送に旅客機を活用、1970年代にはジャンボ機の導入により国内航空路線網が鉄道を置き換える確たる地位を築くに至りました。このアメリカでは、高速鉄道技術構築までの間、長距離輸送には興味深い方式が採られています、輸送力増強に同一地点間平行線建設を採った。
ニューヨークとボストンを結ぶ列車は1970年代の時点で五路線が平行線として維持されていました、決して東京大阪間が東海道線と中央線に日本海縦貫線で結ばれるような平行ではなく、十数km隔て別の複線を建設したのでした。こうしたならば、仮に一本が停電事故や信号故障等で不通となっても、大幅な遅延が発生しても、輸送力は維持できるでしょう。
アメリカ方式は広い平野部により実現した方式で、土地取得費用も日本の首都圏とは比較にならず安価で、そして峻険な山間部を貫くトンネルなどはこの区間にありません、広大な国土だからこそできたのでしょう。日本が例えば東海道本線と中央本線の中間部にもう二つ平行路線を開通させる場合、日本アルプス縦貫トンネルが必要となり費用面が難しい。
鉄道線路が限られている以上、短時間で多数を移動させるには速度を向上するほかありません。ほかの選択肢には在来線列車編成を15両編成から30両編成としたならば、輸送力は増強する事もできるでしょう、しかしこの場合も駅地点間距離の面で編成の長大化には限度があり、東海道本線に東海道新幹線並みの輸送力を求めれば65両編成になってしまう。
東海道本線の表定速度は東京大阪間556kmが最速の特急サンライズ瀬戸出雲で六時間三四分で表定速度換算では85.5km/h、東海道新幹線のぞみ号は所要時間二時間半で552kmを結ぶため、表定速度は220.8km/hあり、実に東海道本線と東海道新幹線では2.58倍もの差が違うのです、東海道本線の車両は四列座席ですが新幹線は五列、輸送力はこれだけ違う。
日本の新幹線システムであれば単線でも、途上国が求める輸送需要には対応できる、逆に中国高速鉄道による複線輸送力よりも日本の新幹線を単線で運行する方が輸送力大きくできる、そして専用軌道である新幹線方式ですが、日本型制御システムを用いれば狭隘地形でも単線で非常に輸送力ある高速鉄道を敷設可能、これが最大の強みだと考えるのです。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
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