北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

平成22年度国際平和協力演習、東千歳駐屯地・千歳基地にて来月実施

2010-09-30 22:50:54 | 防衛・安全保障

◆演習期間は10月18日~10月20日

 防衛省統合幕僚監部HPによれば、平成22年度国際平和協力演習が10月18日から20日にかけて北海道の東千歳駐屯地、千歳基地において実施されるとのことです。

019  演習は、自衛隊の国際緊急援助活動について、最近の国際緊急援助活動における教訓を踏まえた実動訓練を実施し、統合運用能力の向上を図ることが目的とされます。統合幕僚監部が統裁し、陸上自衛隊からは北部方面隊、中央輸送業務隊が参加、航空自衛隊からは航空支援集団が参加、第1波の派遣に関わる資材などの航空機への統裁要領が訓練されるとのことです。

Img_4616  国際人道支援任務といえば、中央即応集団の中央即応連隊が最初の第一波派遣部隊を編成する、という印象が強いのですが、近年はその派遣に関する頻度も高くなり中央即応集団以外の部隊においてもその第一波を派遣することを考慮する必要が出てきた、という事もあるのかもしれません。

Img_9573  北部方面隊は規模としては自衛隊最大最強の方面隊ですし、広大な北海道の演習環境と北方からの脅威を想定した重装備重視の編成により、その練度も高い方面隊として知られ、西方脅威が指摘される今日では重要な戦略予備部隊としての性格も有しています、この北部方面隊が国際緊急援助隊に即応できる、という事は数の上で運用に柔軟性が付与されるでしょう。

Img_9604  一方で、航空自衛隊の輸送能力、という点では少々問題が残っています。航空自衛隊にはC-1輸送機が輸送型で25機と写真のC-130H輸送機が16機、しかし航続距離の短いC-1は海外派遣に対応していないため、C-130H輸送機16機しか国際貢献に対応していないのが現状です。新型のC-2輸送機が配備されれば大きく改善されるのですが、現状は厳しいですね。

Img_6446  他方で、国際緊急援助活動というかたちでも即応性が向上し、空輸展開できる体制を構築する、という事は必然的に有事の際の緊急対処能力も向上することを意味するのですがら、意義は多角的に大きいといえます。付け加えるのならば、北部方面隊ほど、というわけではありませんが、せめて普通科部隊だけでも中央即応連隊並に装甲化が実現すれば、整備は苦労するでしょうが国際緊急援助活動から従来型有事まで様々な局面に対応能力が高まる、と思ったりもします。

HARUNA

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尖閣諸島は台湾海峡有事抑止への安全弁、第二次日中戦争防止への要衝

2010-09-29 23:31:32 | 国際・政治

◆戦争、逃げる事は可能だが東京で追いつかれる

 尖閣諸島問題ですが、中国の進出について、地下資源や漁業権の問題が提示されています。しかし、それ以上に問題なのは台湾と沖縄を結ぶ位置にある事が大きな問題です。

Img_7056  天然ガスであれば他の地域から取得することも可能でしょうがなぜ尖閣諸島なのか、漁業権であれば日本近海の南西諸島以外にも多くの漁場がありますが、何故尖閣諸島なのか。譲歩さえすれば、漁業権を認めれば、天然ガス田の開発を認めれば、譲歩で何とかなる問題ではないのかもしれない、そういう視点は無いのでしょうか、場所が余りにも微妙なのが問題なのです。今の政府は戦争から逃げようとばかりしていて、起きること自体を防ごうという視点が足りません。

Img_2012_2    沖縄の在日米軍は台湾有事の際に自国民保護の観点から展開する位置にあり、普天間基地の海兵隊ヘリコプター部隊が岩国の空中給油機の支援を受けつつ台北に展開することが可能です。尖閣諸島は、この中間位置にありますので、飛行場施設はありませんが非常時には不時着も不可能ではありませんし、少なくともここが日本領であれば、ここに中国海軍が進出して妨害を行う、ということが出来ない訳ですね。台湾有事の際に台北の自国民を救出するべく海兵隊が展開すれば、海兵隊員を戦闘に巻き込む危険性から中国軍の活動は制約されます。普天間から最初の部隊がヘリコプターで即時に展開し、佐世保の揚陸艦部隊が続いて合流、嘉手納の空軍部隊と横須賀の空母機動部隊が猛烈に圧力を掛ければ、数千人の米軍兵士を殺傷し究極的には対米核戦争か、もしくは台湾進攻を断念するか、という究極の選択を強いられます。しかし、尖閣諸島が中国にとられた場合どうなるか。

Img_6343_2   最初に台湾が中国に併合された場合について。中国は現在、インド洋へのシーレーン防衛を意図した進出を計画していますが、これはインドやそのほかの国との有事の際に中東と中国を結ぶシーレーンが攻撃される事を警戒していることを意味しまして、言い換えればこうした警戒を行う中国自身が有事の際には相手国に向かうシーレーンの攻撃を想定している方式の表れ、といえます。海洋輸送に大きく依存する日本としては、中国海軍や空軍によるシーレーン攻撃という事案は最も危惧すべき事例といえるでしょう。しかし、九州近海には韓国海軍が、そして台湾海軍が、フィリピンとヴェトナム周辺にはそもそもASEAN諸国が中国に対して警戒し、米海軍との共同歩調を示していますし、現時点では海上自衛隊の能力を以てその主力を抑制することが出来れば、シーレーン攻撃に対処することが出来るでしょう。

Img_1876_2  しかし、仮に台湾有事となり、台湾の中華民国が崩壊し、台湾島に中国海軍の基地が建設され、航空基地が建設されれば緩衝地帯が無くなり、中国の軍事力とシーレーン防衛にあたる自衛隊とが直接対峙する状況となります。60年代まで台湾海峡では駆逐艦や魚雷艇との海戦が何度か起きていますが、こうした状況に曝される事も、つまり海上警備行動に際して艦砲やミサイルによる小規模な海戦が発生する可能性とも直面する訳です。緩衝地帯と言うのは重要でして、例えばインドと中国を隔てたチベットが中国に侵攻され武力併合されたのち、国境紛争が続いた事でインド軍は核兵器を装備する必要に直面し、緊張状態が続いています。

Img_8844    台湾というのは、こうした意味で重要な位置にあるのですが、何分、正統政府であった中華民国が交戦団体として扱っていた中華人民共和国が正統政府となってしまったため、国家継承なのか、分裂したのか、それとも中華民国政府が交戦団体に格下げとなったのか、不可思議な状況にあるのですが、中華民国として独立を維持しているともいえますし、日本政府の見解に依拠すれば地域、としてみなす事も出来る微妙な位置づけにある訳です。独立すると宣言すれば中国は侵攻する、と公言していますし、他方中華民国としてそもそも独立はしているともいえる訳です。しかし、海軍力は大型水上戦闘艦約30隻、第三世代戦闘機300機を有する台湾の防衛力は、中国に対する強力な安全弁となっているのです。台湾の独立は、アメリカも日本も支持はしていないのですが、前述の理由から中国が中華民国政府を倒して武力併合することについては明確に不支持を示していまして、波を立てないでほしい、というのが日米の共通したところなのですね。

Img_2090_2   台湾有事。1996年にかなり際どい事がありました。1996年台湾総統選挙に際して、人民解放軍は第二砲兵のミサイル部隊によるミサイル演習を行い、台湾北部、実は沖縄県からも近くなのですが、この海域に弾道ミサイルを撃ち込み台湾の選挙の妨害を試みました。これに対してアメリカが不快感を示したところ、米中国防当局者の会談で中国側が米軍介入に対して中国は西海岸をICBMで攻撃する用意がある、と恫喝を試みたのですが、返答は空母インディペンデンス、原子力空母ニミッツの台湾海峡展開でした。

Img_1787  空母機動部隊が二隻も展開したのに対して、当時中国海軍にはまともな大型水上戦闘艦さえ数隻しか無く、航空攻撃を試みてもイージス艦とF14に撃退されることは明白でしたし、F/A18を中心とした空母機動部隊の打撃力は恐ろしいものがあるのに、これが二個、中国は一方的にミサイル演習の中断を発表し、台湾の選挙は予定通り実施された訳です。まあ、これで終われば大団円だったのですが、こののち、中国海軍は大型水上戦闘艦の量産体制を確立させるとともにロシアから戦闘機とその技術導入を本格化、某国一国だけ防衛大綱で某国の自衛隊を削減した以外は、東アジアが猛烈な軍拡時代に入って行きました。これは余談。

Img_2604  尖閣諸島ですが、ここ、中国に押さえられると、再度こういう事案が生じた際に沖縄から米軍部隊が台湾有事の火消しへ急行する際、ヘリコプター部隊が尖閣諸島周辺に展開した中国軍部隊によって妨害され、台北へ展開できなくなる事があるかもしれません。迂回すれば、と思われるかもしれませんがしかしヘリコプター部隊も、導入されるティルトローター部隊も航続距離はそこまで余裕がある訳ではありませんし、台湾の北方にある尖閣諸島を中国が押さえて、しかもこの島は航空基地を建設する事が出来るほどの面積がありますから、中国空軍が航空基地を建設した場合、台北が北方から脅かされる、ということにもなりかねません。

Img_6858  自衛隊が排除できないよう日本政府の現在の姿勢が続けば、これを抑止する為に台湾海軍が思い切って進出してくる可能性がありますし、尖閣諸島が日本以外の領有になった事自体が第二次台湾海峡危機へと繋がる可能性も出てくる訳です。考えられるパターンは幾つかあるのですが、究極の所、尖閣諸島が中国領となり基地建設や海兵隊進出を抑止する方式を構築し台湾へ進攻する可能性、尖閣諸島の領有権が変わることを良しとしない台湾が先に進出を試みる可能性、結局は台湾海峡での中国と台湾の有事、という形になってゆく訳ですね。そして米軍が関与できなければ維持できない可能性があり、台湾を起点として日本がシーレーンを抑えられることになる訳ですから、緩衝地帯を失った日中は、日中戦争という危険をはらみながら21世紀を生きてゆくことになる訳です。

Img_9091 民主党政権は戦争から逃げる事は出来るでしょう。しかし逃げる事が出来たとしても東京まで逃げたところで現実問題に追いつかれます、逃避というのは一時的な手段でしかない訳なのですね。戦争から逃げる事よりも戦争を防ぐ努力を行う必要があるわけです。防ぐためには置きつつある危険に対して、主体的に立ち向かってゆく必要があります。もっとも、逃げても追いつかれるということには変わらず、現実逃避は良い結果には至らないのですから、戦争を防ぐためにはどういう抑止力や防衛体制を構築するべきか、ということも考えるべきではないでしょうか。資源問題や漁業権問題というところにばかり気が言っているようですが、これはあまりに認識不足です。台湾問題、ひいては日中戦争にも繋がっている危機なのですから、追いつかれるまで逃げの姿勢で戦争の危険性を無視するのではなく、尖閣諸島、もう少し真剣に考えてもらいたいと思った次第。現状では、インド洋の英領ディエゴガルシアのように尖閣諸島をアメリカ政府に軍用地として貸与したほうが、まだまし、と思うくらいに菅内閣はこの問題に対して誤った対応を続けています。

HARUNA

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米海軍オハイオ級原子力潜水艦ミシガン(SSGN-727 Michigan)、横須賀基地へ入港

2010-09-28 22:42:30 | 防衛・安全保障

◆射程1600kmのトマホーク154発を搭載

 横須賀基地へアメリカ海軍のオハイオ級ミサイル潜水艦が補給のために入港したとのことです。こういう時に横須賀軍港めぐりに乗船したいですが、当方無理です、残念。

Img_5735  神奈川新聞からの引用です。米海軍オハイオ級原潜「ミシガン」、横須賀基地に入港/神奈川・・・2010年9月28日: 米海軍のオハイオ級原子力潜水艦「ミシガン」(1万6764トン、マクローリン大佐ら158人乗り組み)が28日午前10時5分ごろ、米海軍横須賀基地に入港した。「乗組員の休養と物資の補給・維持」などが目的とされている。 横須賀市によると、原子力艦船の寄港は通算816回目で、今年に入って15回目。http://news.kanaloco.jp/localnews/article/1009280012/

Img_1970  オハイオ級戦略ミサイル原潜はトライデントSLBM24基を搭載する第四世代型戦略ミサイル原潜として1981年から18隻が建造され、多弾頭型のトライデントは一たび使用されれば大陸の地形から世界史まで激変させる威力を備えていた潜水艦ですが、STARTⅡ条約に基づく削減対象に本型が含まれた事で2006年からオハイオ、ミシガン、フロリダ、ジョージアの四隻が最大でトマホーク巡航ミサイル154発を搭載する巡航ミサイル原潜に改修されました。搭載するトマホークは射程1600kmのブロックⅢ/Ⅳ、核兵器を除けば原子力空母に次ぐ強力な打撃力といえるでしょう。

Img_7901  オハイオ級は水中排水量18750㌧、満載排水量19000㌧の、ひゅうが型護衛艦に匹敵する大きさで、戦略ミサイル原潜の時代は前方展開すること自体が潜水艦の秘匿性を損なうとして日本に入港する事はありませんでしたが、2008年10月16日に一番艦オハイオがミサイル原潜として初めて入港する事となりました。ミシガンは、オハイオとともに太平洋側のキトサップ基地に展開しており、フロリダ、ジョージアは大西洋岸のキングスベイ基地に展開して、長射程の巡航ミサイルを搭載しての紛争抑止への巡回を続けています。

Img_5270  今回の入港は訓練の一環としてかなり前から計画されていたのかもしれませんが、尖閣諸島において日中間が摩擦を続ける状況下にあるなかで、アメリカが日本側を強く支持する発言を繰り返し、菅直人首相の決定を称賛する発言も為されている中で、強力な打撃力を持つミサイル潜水艦の入港は心強い事です。しかし、日米間の連帯と同盟関係を強調する観点からも、もっと今回のミシガン入港は大きく報じられてもいいのかな、と思ったりもします、やはり困った時に同盟国がこういう強力な潜水艦を入港させてくれるというのはありがたいですね。

HARUNA

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仲井間沖縄県知事、南西諸島の警備強化を政府に要請へ!

2010-09-27 23:42:00 | 防衛・安全保障

◆緊張の尖閣諸島

 日中関係ですが海軍が出ている訳でもなし、公務執行妨害の船長釈放後も状況が好転しないことから、突沸状態というのではなく、徐々に緊張状態が上昇と緩和を続け、長期化する様相を見せています。

Img_6871  中国側の圧力は謝罪と賠償の要求をだんだんエスカレートしてきているのですが、12月には九州と南西諸島において島嶼部防衛に関する自衛隊演習が実施されますので、一定の抑止力となり得るのかな、と。加えてアメリカも尖閣諸島の領有権について日本を支持する発言を政府高官が続けていますし、軍事的事態に突発展開するのではなく、政治問題として長期化しそうな様相を呈しているわけです。

Img_0088  沖縄県はこれまで無防備すぎました。ホークミサイルを中心とした高射特科部隊主体の第1混成団を陸上防衛の要としていた編成を昨年度まで続けていまして、ようやく旅団へ改編されて普通科部隊が増強されたのですが、これも本島だけ、広大な南西諸島は無防備な状態にある訳ですね。こうしたなかで生じたのが今回の漁船公務執行妨害事案、これを踏まえて沖縄県知事が南西諸島の警備強化を政府に要望する考えを示しました。

Img_60431  尖閣諸島を視察へ=沖縄知事、早ければ10月中にも・・・ 沖縄県の仲井真弘多知事は27日夜、海上保安庁巡視船と中国漁船との衝突事件をきっかけに日中間で緊張が高まっている同県・尖閣諸島について、「ぜひ行きたいと思っている」と述べ、早ければ10月中にも現地視察する考えを明らかにした。県庁内で記者団に語った。仲井真氏が現地を訪れれば知事就任後、初めてとなる。同諸島の周辺海域では中国の漁業監視船が活動していることも明らかになっており、中国側がさらに態度を硬化することも予想される。

Img_4339  仲井真氏は「(尖閣諸島は)日本固有の領土。しかも、沖縄県の県域にあり、領土問題はないと思っている」と強調。日本の漁業者による今後の安全な操業と航行を確保するため、警備強化などを日本政府に近く要請する考えも示した。 (2010/09/27-21:15)http://www.jiji.com/jc/c?g=pol&k=2010092700795

Img_9048  この文面を見ますと海上保安庁の強化を求めているのか、南西諸島全般の防衛警備能力の向上を求めているのか、判然としませんがしかし、今回の事案の背景には日本政府の領土防衛への決心に譲歩の余地がある、という事を示してしまった事もあり、知事が求める警備、つまり領土保全を行うとするならば、自衛隊の増強ということにも理解の余地がある事を示しているともいえます。

Img_7476  特に領土問題では主権行使の齟齬が続けば、中国が常々行っているように軍隊を出してくる事になりますから、海上治安組織である海上保安庁が任務を維持するためにも、自衛隊の支援と言いますか、後ろに控えていて抑止力を行使できるような体制を維持することが重要になってくる訳ですから、ね。

Img_0553  南西諸島ですが、広大な地域を防衛するには長距離打撃力や空中機動能力が不可欠なのですけれども、那覇駐屯地の第15旅団には特科部隊はありませんし、空中機動部隊もあるにはあるのですが、離島の救難搬送など災害派遣を主眼としたものですから規模も戦闘能力にも限界があります。

Img_8473  沖縄防衛に関しては那覇駐屯地など、中枢駐屯地に空中機動部隊と長距離打撃力の拠点を構築して、一方で離島部分には沿岸監視隊を展開させて情報収集にあたるという方法が有効と考えるのですが、これには駐屯地の強化や増設と分屯地の増強が不可欠となり、地元といいますか、沖縄県の行政からの協力が不可欠です。今回の仲井間知事の発言は、この命題に勇気を与えてくれるもの、と言えるでしょう。

Img_8253_1  しかし、なんにしても海上保安庁の強化と自衛隊の充実という選択肢は解決への手段でしかなく、これらを統括して判断するのは政治の問題です。今月30日にも衆議院予算会議で与野党が集中審議を行うとのことですが、明確な決意を示して、その手段として具体的な政策を行うべき、と言えるでしょうね。

HARUNA

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東北方面隊創設50周年記念行事(2010.09.26) 第一報

2010-09-26 22:33:20 | 陸上自衛隊 駐屯地祭

◆東北鎮守半世紀

 本日、仙台市の霞目飛行場において陸上自衛隊東北方面隊創立50周年記念行事が盛大に執り行われました。本日は第一報として、新幹線車内からの記事です。

Img_0221  東北方面隊は東北地方六県の防衛警備及び災害派遣を担当する陸上自衛隊の方面隊で、第6師団、第9師団と方面混成団や方面特科部隊を始めとした方面直轄部隊から編成されています。特に冷戦時代は青函地区という重要地域をその管区に有していたことから北部方面隊に準じて重要視されており、部隊の装備や火力も重視されていました。近年では再度軍事力の強化に乗り出す北方からの脅威に対し防衛基盤を維持するとともに、西方の脅威に対しては即座に増援として展開できる精鋭として睨みを利かせています。

Img_8442  今回の式典には君塚総監とともに隊員2100名、車両160両、航空機17機が観閲行進に参加するとともに、海上自衛隊からは航空機4機、航空自衛隊からは航空機5機、在日米陸軍からも航空機2機が参加、式典を盛り上げました。参加隊員が2000名を越えるというのは希有とのことで、連隊旗だけで実に12、東北方面隊の、50周年行事にかける意気込みの強さが伝わってくるようでしたね。霞目飛行場は、飛行場と言うだけあって非常に広く、この広い会場に多数の人員と車両、航空機が展開し式典に参加するのは迫力の一言に尽きます。

Img_8605  従来は東北方面隊記念行事において神町駐屯地に駐屯する第6師団がその中核を担うのですが、今年度は青森駐屯地から第9師団の部隊も多数が参加していて、第9戦車大隊の戦車も参加していました。戦車も多く、戦車試乗では一個中隊が参加していたほどです。第6師団は、旭川の第2師団とともにデジタル化改編を行っており、一方で第9師団は近年まで徒歩普通科部隊を中心とした従来型の編成でしたが、今年度までに近代化改編を受け近代化された師団として今回の行事に臨んでいます。

Img_8832  航空自衛隊からの参加は三沢基地第3航空団よりF2A支援戦闘機が参加しており、例年は近傍の松島基地から練習型のF2Bが参加していましたので、実戦部隊のF2参加には驚かされました。複座型よりも個人的に単座型の方が強そうに見えますし、ね。海上自衛隊からは大湊航空基地のSH60Jと八戸航空基地のP3Cが参加、在日米陸軍からはキャンプ座間のUH60Aが参加し、物量輸送展示と輸送されたミネラルウォーターの配布などを行っていました。こういう展示は初めてでしたので非常に新鮮でした。

Img_0277  50周年の目玉ということで、松島基地からブルーインパルスが展開し、展示飛行を実施しました。このため今年度はブルーインパルスの雄姿を一目見ようと多くの来場者が集まりまして、前列付近の人口密度では同じく本日開催されていました小牧基地航空祭よりも大きかったのではないか、というほどでした。もっとも、ブルーインパルスの飛行展示が終了すると訓練展示を見学せず帰路に就かれる方も多数いらしたようですが、まあそれはそれでありなのかな。聞くところでは松島基地航空祭でも二回行われる飛行展示片方を見て帰られる方もいるのだとか。

Img_8910  訓練展示は、多数の弾道弾攻撃による混乱に乗じて装甲化された強力な敵上陸部隊が我が国の都市を占領、加えて内陸部へ進出を図り、防衛出動命令を受けて出動した第22連隊戦闘団が航空自衛隊と中央即応集団の支援を受け反撃するという内容で、昨今の情勢を考えると、考えさせられるものがあります。今回はとにかく迫力、で仮設敵が市街地を火炎放射機で襲撃して戦車で蹂躙しようとする状況など、使用弾薬はもの凄いことになっていました。とにかくどこで射撃するか、射撃したかは音の衝撃波で伝わって気づくくらいです。

Img_8998  対する我が方も、仙台市中心部を背景に部隊が展開していて、特科火砲、近接航空支援、対戦車ヘリコプターの攻撃で仮設敵陣地付近が視界を遮るほどの土煙に覆われ、敵戦車に対しては戦車の小隊集中射撃、特科火砲は大隊規模で展開して射撃を繰り返し、最後は多用途ヘリコプター4機から空挺降下まで展開、双方の防戦応戦で訓練展示は見応え充分、例えは妙ですが戦争映画の戦闘シーンよりも長い、実に30分にも上る長時間の展開となりました。このほか音楽演奏に戦車と特科火砲に航空機が参加したり、迫力と火力のある一日です。

Img_9118  本日の仙台は時折雲は見えるもののほぼ快晴といえる天候で、台風の影響はありませんでした。心配した雨ですが、帰路、郡山のあたりで少し飛んできたくらいで、式典に最適な天気といえます。坑道掘削車が参加しなかったのが、残念といえば残念ですが、野外給水装置を搭載する車両が防弾化されていたり、短SAMCが観閲行進に参加したり、重箱の隅を見て回っても、なかなか興味深いものの連続でした。

HARUNA

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森ノ宮へ陸上自衛隊不発弾処理隊出動! 大阪環状線は明日午前中運休

2010-09-25 18:08:28 | 防衛・安全保障

◆21世紀に残った第二次大戦負の遺産

 大阪環状線森ノ宮駅付近で第二次大戦中の不発弾が発見され、不発弾処理が行われるため明日午前中に大阪環状線の一部区間が運休となるとのことです。

Img_3082  第二次大戦中には日本本土が米軍により繰り返し空襲を受けたため、多数の爆弾が投下されました。爆弾は爆撃機から投下され、地面に命中すると着発信管が作動して爆発し周辺を破壊するのですが、信管がしっかりと取り付けられていなかったり、不良品だったりすると不発弾となり、この割合は全体の一割程度とされます。地上い残る不発弾は早い時期に処理されるのですが、地中の潜る不発弾はそのまま潜ります。地中に残る不発弾、工事などにより発見された場合は、陸上自衛隊がこの処理に当たります。中部方面隊の不発弾処理部隊は桂駐屯地に駐屯していまして、武器科隊員が所属し任務に当たっています。

Img_7654  不発弾処理というと、米軍のように怪しいものをロボットで探知して、可能ならば処理を行い、危険がある時にはその周辺に爆発物を配置するか、対物狙撃銃で爆発装置もろとも吹き飛ばしてしまう、という方法が手早いのですが、明日行われる大阪のように大都市でこれを行う事は出来ません。発見されたのが1㌧爆弾だったりしますと爆破すると被害半径が物凄い事になってしまいますから、ね。

Img_4426  今回の運休についてJR西日本から発表がありました。平成22年 9月10日不発爆弾処理による列車の運転休止について(京阪神エリア)  大阪環状線森ノ宮駅付近の大阪市交通局森之宮検車場において、不発弾が発見されたため、平成22年9月26日日曜日に処理・撤去作業が実施されます。 つきましては、大阪環状線大阪城公園駅から森ノ宮駅間の一部が半径300メートル以内の立入り禁止区域となりますので、不発弾の処理・撤去作業中は大阪環状線の一部区間で列車の運転を取り止めます。

Img_1149 詳細1 運転休止日時 平成22年9月26日日曜日 午前8時30分頃から午後0時00分頃まで※注釈 規制解除になるまでは列車の運行をいたしません2 運転休止区間・列車・・・大阪環状線 天王寺から京橋駅間・運転休止する電車 〔京橋から天王寺方面へ向かう大阪環状線外回り電車〕 京橋駅を8時56分発の電車から運転休止〔天王寺から京橋方面へ向かう大阪環状線内回り電車〕 以下の通り、運転いたします。時間(天王寺発) 運転区間 始発から8時36分発 京橋から大阪方面行き8時46分発 森ノ宮行き9時01分発 鶴橋行き9時05分発以降 運転休止※注釈 これに伴いその他の区間も一部の電車が運転を取り止めます。

Img_3004 3 運行形態・・・〔大阪環状線内〕 ・天王寺から西九条から大阪から京橋駅間を概ね10分間隔で折返し運転します。〔桜島・ユニバーサルシティ方面〕 ・西九条から桜島駅間で折返し運転を行い、環状線直通列車は環状線内のみ運転を取り止めます。〔奈良・王寺方面〕 ・「大和路快速」電車 JR難波発、JR難波止まりとなります。〔関西空港・和歌山方面〕 ・「関空・紀州路快速」電車 天王寺発、天王寺止まりとなります。 ・「くろしお」「スーパーくろしお」「オーシャンアロー」号「はるか」号 通常運行

Img_2912_1 4 振替・代行輸送・・・運転を見合わせてから規制解除になるまで、大阪環状線内において大阪市交通局、近鉄、阪神、京阪、南海による振替・代行輸送を実施いたします。5 列車影響・・・運転休止する列車は約109本となり、影響人員は約57,000人が予想されます。6 お客様への周知方法・・・京阪神地区を中心に、ホームページや駅頭掲示、車内放送などにより、お客様への周知を行ってまいります。http://www.westjr.co.jp/news/newslist/article/1174963_799.html

Img_6540  不発弾処理というものは一度だけ見た事があるのですが、信管さえ取り付けられていない遺棄弾薬でしたので近く、と言っても数百㍍は離れていたのですけれども、寄る事が出来ました。聞くところでは不発弾は投棄した第二次大戦中や直後でこそ破壊力を持っているのですが、炸薬等爆発物としての機能が経年劣化によりその威力が失われてしまい、当方が見た処理中の不発弾、日本海軍が戦後に投棄した爆雷ということでしたから不発弾という表現は正しくないのかもしれませんが、海上保安官の方に聞いてみましたら内部はヘドロ化していて危険性はない、といわれました。

Img_6409  ただ、地中に眠っている爆弾で、しかも信管が爆発しなかっただけで取り付けられているものについては、危険性は低くなっているのかもしれませんが、0ではないということで陸上自衛隊が出動します。神戸港なんかでは機雷が発見され、阪神基地隊の掃海艇が出動して爆破処分、ということも行われ、高い水柱が新聞の紙面を飾る事があるのですけれども、今回のような陸上での不発弾は一緒に爆破してしまうと、これは一番手っ取り早いのですけれど周辺の建物に被害が及ぶため、日本ではこの処理方法は通常とられません。

Img_2919_1  陸上自衛隊の爆弾処理方法、前述のとおり、爆弾は信管を取り除いてしまえば爆発は起きませんので、陸上自衛隊では信管を取り除く方法で不発弾を処理します。信管は螺子で本体に装着されています、これをロケットレンチという火薬の推進力により動く遠隔操作式のレンチにより回転させ、爆弾から取り外します。稀に信管が地面に衝突した衝撃で変形して回転しなくなっていて、金属鋸で爆弾の先端部分を削らなければならない、ということもあるのですが、映画のハートロッカーのような対物狙撃銃を使う処理方法は用いられません。

Img_2901_1  しかし、不発弾が都市部で見つかるたびに、まだ日本にも残っているのだなあ、とニュースを見ながらしみじみと感じたりします。今回は大阪環状線が運休になるのですが、ちょっと前には大垣市の近くで東海道本線沿線で発見されて、東海道本線が不発弾処理が行われるまで運休になっていましたし、ね。ちなみに、陸上自衛隊の不発弾処理は上空のヘリコプターなどを規制した上で周辺300㍍を閉鎖して行うので、万一の事があっても大丈夫なのですが、処理に失敗して犠牲者、という事はないようです。

Img_7641  話は少々飛ぶのですが、写真は来週日曜日に一般公開されるキャンプ富士の海兵隊爆発物処理部隊のロボット。こうした装備も検討した方がいいのかな、と。自衛隊の不発弾処理のような任務以外に、今後日本が国際平和維持活動を行う場合には、敵意がまだ生きてい、つまり下手をすれば仕掛けた武装勢力がまだ別の起爆方法を行う事が出来るような状況で、爆発物を処理しなくてはならない事も考えられますので、不発弾処理隊に加えて、爆発物処理隊、というものも編成した方が、もしかしたらいいのかな、とちょっと考えてしまいました。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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海上保安庁、今後拡大するであろう南西諸島における我が国の警備と領海保全について

2010-09-24 23:30:31 | 防衛・安全保障

◆摩擦と衝突を回避するために巡視船の増強を

 検察に政治判断を強いる形で尖閣諸島中国漁船公務執行妨害に伴う一連の事案は船長の不起訴釈放というかたちで、日本側は決着をつけるつもりのようです。

Img_6795  尖閣諸島に領土問題はない、という基本指針さえ踏まえない閣僚の発言などが相次ぎ、結局のところ中国からの外圧に屈する形での方針変更、国内法に準じて粛々と行うという発言は方向転換を強いられ、本来政治が担うべきところを検察に不起訴という判断をさせ、これを政府が支持するという本来は検察が法にのっとり、政治判断を政府が下すべきところを丸投げ、政治主導という言葉はスローガンで、やはり外交が出来ない、地方自治体程度の運営能力も怪しい政権与党、という状況です。このままでは勘違いさせて武力紛争を誘う形にならなければいいのだけれども。

Img_3709  尖閣諸島問題ですが、問題の中枢は日本領土の占有を中国が長期的に考えている、という事でしょう。従って、日本が主権行使を行う事は認めず、海上保安庁の管轄権も尖閣諸島においては認めない、という背景がある訳です。尖閣諸島を中国が制圧すれば、第一に資源輸入国に転落しつつ工業化を進める中国に周辺海域の底に眠る天然ガスを供給することが出来ますし、米海兵隊を中心に米軍が展開する沖縄本島と台湾の中間部分に位置する尖閣諸島を中国が押さえれば、台湾に中国が侵攻する際に沖縄本島からの海兵隊展開を妨害出来、台湾を併合した後は日本のシーレーンを締め上げる事が出来、日本をアメリカ影響下から切り離し、中国の影響下に置く事が出来る訳です。

Img_9735  いわば、南西諸島限定侵攻を抑止するという事はそのまま、台湾有事を抑止する事にも繋がり、ひいては米中衝突もあり得る訳で、この場合の主戦域は南西諸島、という事になりますので沖縄本島を含めた人口密集地での武力紛争の危険性を低下させる事となる訳でして、尖閣諸島に日本の主権が及んでいる、という事は今まで以上に明示しなくてはなりません。とはいうものの、毎日一年中海上警備行動命令を発令して護衛艦を張り付け、合戦用意の号令を待つという訳にも行かず、平時の警備体制というものは海上保安庁が第一線につく、という形、現状にいたるのですが、この点について。

Img_5856  海上保安庁には、世界最大の巡視船しきしま、を筆頭に警備救難業務船(巡視艇や巡視船)が407隻、航路標識業務船33隻を保有、その総数は440隻となり、世界の海上治安機関としては最大級の規模を誇っています。そして航空機も、回転翼機、固定翼機合わせて73機が運用されており、広大な日本の領海や排他的経済水域を前に警備救難へ日々訓練と実任務の実績を重ねています。しかしながら、海上保安庁の巡視船は老朽化したものが多く、現実問題としてこの代替へ頭を悩ませているのが実情です。平成17年度から一気に置き換えを図っているのですが、そもそも70年代の新海洋秩序に対応するために一気に整備した船が同時に老朽化しているため、厳しいという状況が続いています。現用船の代替を建造するのにも手一杯であり、しかし、今後の南西諸島の状況を考えるならば全体的に増強を模索しなくてもならないように思います。

Img_5132  例えば1200㌧の、しれとこ型巡視船は、3年4ヶ月で28隻が建造され、老朽化していますし、4037㌧の、つがる型ヘリコプター巡視船は老朽化とともに、近年では飛行甲板を持つ巡視船を飛び石方式でヘリコプターが展開する方式に改める構想もあって、巡視船は今後、相対的に中型化する可能性も出てきている訳ですから、大型巡視船を多数集中して数で押し付ける方式が執れなくなれば、見方によっては海上保安庁のもつ警備救難能力が低下している、と相手に誤解させる事にもなりかねない訳です。

Img_3716  一方で、北朝鮮工作船事案を受けて巡視船は、単装機銃から管制式機関砲へ装備が強化され、防弾板の装着や高速化等、高い能力が求められるようになっている事もあり、巡視船の単価も着実に上昇しているのですよね。この関係もあるのか、新造される巡視船は、ヘリコプター格納庫を持つものが2001年に就役した、つがる型の、だいせん、以降建造されておらず、平成22年度計画でようやく、しきしま型の二番船、ソマリア沖海賊事案を睨んでのものということですが、建造される程度で、実質飛行甲板のみ持つ1800㌧の、ひだ型、1300㌧の、はてるま型というようなものに集約されてきています。

Img_8482  しかし、まあ、総トン数で7175㌧にもなる、しきしま型、対空レーダーを搭載してダメージコントロールまで考慮している軍艦のような巡視船を多数、という事はないのですが、ヘリコプターを複数機運用可能な大型巡視船、というものは10隻単位で整備を行ってもいいのでは、と思います。数で威圧、という面以外に災害派遣では飛び石方式の運用が陸上施設の被害と航空機の集中で難しくなるわけですし、ね。護衛艦と違い、電装品はそこまで高度なものは不要、船体も基本は商船構造、護衛艦と比べれば建造費は大きくない訳で、乗員も護衛艦ほど必要ではありません。

Img_0416  一方で、南西諸島ですが、政府が近隣諸国に誤解されるような事を行いますと、今回のような事案が増加する可能性もあります。特に中国の漁船については米海軍の海洋観測船や音響測定艦の航路を妨害するなど組織的に軍事的な行動を執る事もありますので、数で抑えることが可能な勢力を政治が充分な予算と人員とともに確保する、ということには責任があると考えます。また、今回のように誘発するような決定を政治が支えてしまいますと、現場の海上保安官が危険にさらされるような状況も増えてきます。このあたり、政治を担うのならばもう少し配慮が欲しいところです。

Img_6189  海上保安庁は、平時において矢面に立つ訳ですから、もちろん海上自衛隊との協力関係は念頭にあるのですけれども、もう少し関心を持って考える必要があるのかな、と。そういいますのも、このWeblogも海上保安庁関係の特集は多いとは言えませんし、考える密度も薄いですから、ね。実は巡視船は老朽化が問題で、新型巡視船は高い性能が要求されるので建造費も高く充分建造できず、しかし、任務は今後増大し苛烈になる可能性がある、こういう事は頭の片隅に置いて南西諸島の問題を考えたいです。

HARUNA

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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平成二十二年度九月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報4

2010-09-23 22:35:44 | インポート

◆自衛隊関連行事

 急激に過ごしやすくなった秋空に、今週末は小牧、霞目、徳島と航空行事が連発です。先進技術実証機ATD-X心神が公開される小牧か、50周年の東北方面隊記念行事の霞目、この二つが大きな行事ですね。その他も併せて紹介です。

Img_8054  小牧基地航空祭2010、今週の日曜日に行われるのですが小牧基地HPによれば先進技術実証機のスケールモデルが一般公開されるとのことです。写真撮影できるのか、ちょっと気になりますね。飛行展示はOPフライト(C-130H×1&KC-767×1)、救難展示(UH-60J×2、U-125×2)、消火展示(CH-47J)、航過・機動飛行(C-130H×5&KC-767×1)、航過飛行(F-15&F-2&F-4&KC-767)という予定。

Img_8618  小牧基地ですが、午前中は順光、人口密度は例年をみると岐阜や小松に比べるとかなり低めです。会場へは名鉄小牧線牛山駅から徒歩すぐです。小牧線は平安通から名古屋市営地下鉄と乗り換えられるので、新幹線で名古屋に向かい、そこから地下鉄と名鉄線経由、という方法もあります。名鉄名古屋からだと、一旦犬山駅に向かい、そこから小牧線に乗り換えるので少々遠回りになるかもしれません。

Img_7828_1  東北方面隊創立50周年記念行事が仙台市の霞目駐屯地で行われます。東北地方を青森の第9師団、神町の第6師団とともに防衛警備及び災害派遣を行う部隊で、東北方面航空隊の駐屯する霞目駐屯地の飛行場地区で行う行事ですので、方面特科部隊や方面施設部隊の装備も参加した観閲行進の規模の大きさは特筆できるものです。

Img_8020  方面総監部は仙台駐屯地におかれている一方、面積の関係から霞目駐屯地で行事を行う訳ですね。訓練展示では航空部隊との協同での普通科部隊の戦闘を展示するとのことで、50周年ということもあり、ブルーインパルスも飛行展示を行うとのことです。会場は少々逆光なのが残念ですが、小牧か東北方か、迷うところですね。

Img_6024  海上自衛隊徳島航空基地開庁記念行事が土曜日25日に行われます。徳島航空基地祭、この基地には徳島教育航空群が展開しているのですが、TC-90、T-5、P-3C、UH-60J、SH-60J編隊飛行、UH-60Jや民間機による飛行展示が行われるとのことです。すぐ隣の小松島市には小松島航空基地があり、SH-60Jの活躍にも期待です。

Img_3323_1  徳島阿波踊り空港横に特設駐車場が用意されていて、ここから航空基地まで無料シャトルバスが運行されるとのことです。徳島航空基地HPには、一般公開は土曜日、したがって日曜日に航空基地を訪れても一般公開は無いのでご注意ください、とありました。年に一度の航空基地祭、別の行事で日日間違えた友人がいましたが、間違えないようにしたいですね。

Img_1944  航空自衛隊関連では、航空自衛隊HPに第43警戒群が展開する佐賀の脊振山分屯基地で開庁記念行事が25日土曜日に実施されるとのことです。もっとも西部航空方面隊HPによれば7月17日実施とのことですが。西部航空方面隊HPによれば、25日に第15警戒隊の展開する長崎県の福江島分屯基地、同じく25日に第13警戒群の展開する宮崎県の高畑山分屯基地で、開庁記念行事が行われると発表されています。

Img_6118  広島の呉では、砕氷艦しらせ、が25日と26日に一般公開されます。一般公開の海上は呉基地ではなく、呉川原石埠頭岸壁ですので、ご注意ください、当方のように舞鶴で公開と聞いて東舞鶴は舞鶴基地へ向かって現地で見学済みの方から情報を教えてもらい、新しい伝説が生まれた、ということもあるかもしれません。無いか。駐車場駐輪場は無いのでJR川原石駅から徒歩20分とのこと。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

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日本海防衛の要、海上自衛隊舞鶴基地の日常風景(2010.09.15)

2010-09-22 22:38:41 | 海上自衛隊 催事

◆対岸の北朝鮮、ロシア海軍への抑止力

 先週水曜日、つまり一週間前なのですが、午後に時間ができたので久しぶりにタンゴディスカバリー号に飛び乗り舞鶴基地へ行ってきました。

Img_7489  最初に訂正、昨日の記事ですが、19DDについて減額査定により省かれた統合電気推進に代わる先進装置が、と勘違いしていましたが、基本は、ガスタービンの形式を含め、たかなみ型の発展型でした。また、船体構造も従来のままで、当方の思いこみ、というのが実情です。概算要求で先進砲や先進船型お採用が断念され、減額査定でステルス性重視と統合電気推進の部分が断念と思っており、溶接窪抑制の新素材と何らかの先進的な推力の部分は維持されたと思っていたのですが失礼しました。こうした勘違い、意外に当方は多いので、お気づきの方は、お手数ですけれども今回のようにお教え頂けると有難いです。写真は、あたご。

Img_7538  舞鶴基地の護衛艦を一手に引き受ける北吸桟橋を前島埠頭から一望します。この前島埠頭は舞鶴と小樽を結ぶ日本海フェリーが発着している埠頭で、停泊艦、入出港、夜景を含めて舞鶴基地を一望できる有名な撮影地であるとともに、フェリーとともに行き来するトラックやトレーラーが並び、縁では釣り客が多く集い海鳥とともに平穏な一日を過ごしています。背景には五老岳とその頂上に五老スカイタワーが見降ろしています。横須賀のように軍港めぐり遊覧船が舞鶴市役所裏から運航されているのですが土日祝日のみの運行で、平日のこの日は運行されていないので、ここから撮影開始です。

Img_7523  SH-60J哨戒ヘリコプターが舞鶴航空基地から利発着を繰り返します。近くに日本三景で名高い天橋立があることからもわかるように、丹後半島と舞鶴湾は隣り合っていて日本屈指の情景を誇る事が出来る航空基地、眺望は勧められるものです。ここを基地として第23航空隊がSH-60Jと新しく装備が始まったSH-60Kを運用し訓練にあたっています。前島埠頭からは航空基地の一部が見えるため、この発着訓練を見る事が出来るのですが、しかし飛んでいない時もあるので、東舞鶴駅に到着したとき、訓練を示す回転翼航空機の音が聞こえてくると、おお、やってるな!、と感じたりもします。

Img_7503  冒頭に写真を載せた護衛艦あたご、は第3護衛隊群第3護衛隊に所属し舞鶴を母港とする護衛艦、満載排水量10000㌧のイージス艦で、この写真の奥に見えるのが、舞鶴を母港とするのですが所属は横須賀の第1護衛隊群第1護衛隊に配備されている護衛艦すずなみ、です。満載排水量6300㌧。おや、と思ったのは手前の護衛艦うみぎり、第4護衛隊群第4護衛隊に所属する護衛艦なのですが母港は呉、広島から京都へ入港している、という様子です。うみぎり、といえば何年か前に大雪の舞鶴基地に寄港の近海練習航海部隊に参加していたのを思い出しました。満載排水量4950㌧。

Img_7578  掃海艇桟橋を一望できる舞鶴市役所に向かいます。前島埠頭からは格闘訓練を行っていた舞鶴警備隊本部の隣を通り警察署、そして赤煉瓦博物館の隣を通り舞鶴市役所へ、ここにはATMコーナーが隣接されていて、喫茶コーナーや自販機もありますから、秋とは言えまだまだ暑い日中にはここで水分を補給したりもできるのですが、掃海艇桟橋をみますと舞鶴地方隊第44掃海隊に所属する掃海艇まえじま、その向こうには舞鶴警備隊第2ミサイル艇隊所属のミサイル艇うみたか、が停泊していて、この艇は北吸桟橋にいる事が多いのですが、なんと76㍉砲弾を搭載中でした。

Img_7678  文庫山学園、舞鶴の老人福祉施設なのですがここに続いて登りました。北吸桟橋の対岸にはユニバーサル造船の向上があって、ここで整備補給などを行っている様子が見えます。前島埠頭からも少しは見えるのですが、今回は艦名が見える位置にはいなかったので、登って初めて分かりました、護衛艦あまぎり、海賊対処任務の第二次派遣隊として舞鶴から展開した護衛艦あまぎり、が整備中です。乗員220名、ステルス性の配慮が薄い設計は時代から遅れているとも言われるのですが、二本のマストとともに水上戦闘艦らしい艦容はしっかりと伝わってきます。

Img_7751  護衛艦みねゆき、舞鶴への帰港です。護衛艦の入港を撮影できるとは、運が良かった、というべきでしょうか。みねゆき、の背景には舞鶴クレインブリッジ、舞鶴市大浦と舞鶴中心部を結ぶ橋梁で、二羽の鶴を彷彿とさせる姿は舞鶴の観光名所の一つにも数えられています。この橋を渡ってしばらく日本海側に進みますと、関西電力PR館という、クルーズ船のような形をした講演がありまして、ここから入出港する艦船を撮影することが出来ます。海事専門誌南下を読んでいますと、たまにこの場所で撮影したのかな、という写真ともめぐり合う事があります。

Img_7762  護衛艦みねゆき、は護衛艦隊第14護衛隊に所属する護衛艦で、母港は舞鶴です。満載排水量4000㌧、ところで、実は、あたご、あまぎり、を撮影した後で文庫山を下りて北吸桟橋の方に向かっていたのですが、建物と建物の隙間から舞鶴港務隊の曳船が出航するのが見えました、曳船が動き出した、という事は何か入港してくるという意味でしょうから、慌てて前島埠頭に転進しようとおもったのですけれども、時間はどうしてもなさそう、という事で久々に全速力で坂を駆け上がり、文庫山学園前から撮影することが出来た、という訳です。ちょうど視界に入ってきたところ、間に合ってよかった。

Img_7787  舞鶴基地へ、みねゆき、が帰ってきました。舞鶴基地は立地上、ここで大きく旋回して向きを変えなければなりません、一部の艦船ファンの間では、これを北吸の大槍廻!、として慕っているようです。対岸のユニバーサル造船の、あまぎり、そして北吸う桟橋の、あたご、その間を進む、みねゆき、軍港らしい一コマです。幸いというか偶然というか、文庫山学園に一日数本というバス、大半のバスは麓の国道を往くのですが一部が乗り入れていまして、その一部がちょうどこの時間帯に入っていましたので、乗りこみます。

Img_7814  バスは中舞鶴経由西舞鶴行きでしたので、そのまま乗る事にしました。国道27号線を進み、舞鶴基地を眺めていますと、驚いたことにミサイル艇が二隻、舞鶴地方隊のミサイル艇は、はやぶさ、そして掃海艇桟橋の、うみたか、です。一瞬見えた艦番号によれば、なんと二隻並ぶ奥の海側にはかつて舞鶴地方隊に所属していた、現在大湊地方隊余市防備隊第1ミサイル艇隊に所属しているミサイル艇わかたか、が入港していたのですね。ミサイル艇は満載排水量240㌧、速力44ノット、一撃必殺の対艦ミサイルを主武装として哨戒と攻撃にあたる地方隊の槍です。

Img_7843  西舞鶴港を出航する砕氷艦しらせ。最後に白状しますが前日のニュースで舞鶴に入港している様子が放映されていたのですよ、そこで艦長が本館の舞鶴入港は里帰りです、と仰っていたので造船所のある東舞鶴に入港したのだろう、と。そこで足を運び、東舞鶴で、入港しているのは西港だよ、と。ううむ、しかも一般公海までやっているという話だったんですが、今からでは間に合わない、という事で諦めていたところ、前述の西舞鶴行きのバスが、そこで出航だけでも良いから撮ろう、と急遽方針変更してこの写真だけ何とか撮れました、とさ。このあたりの下り、詳しくは第二北大路機関で何度かに分けて掲載しますのでお楽しみに。

HARUNA

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平成19年度護衛艦(5000トン型/2321号艦)、来る10月13日に進水式・命名式

2010-09-21 21:28:34 | 先端軍事テクノロジー

◆三菱重工長崎造船所にて19DD進水式

 本日、海上自衛隊HPに平成19年度護衛艦の命名式・進水式に関する情報が出ていました。

Img_9658  平成19年度護衛艦は、たかなみ型に続く新型護衛艦として建造されているもので、来る10月13日水曜日、三菱重工長崎造船所におきまして佐世保地方総監加藤耕司海将が執行役を務め行われます。行事は1037時から1055時に行われ、建造された護衛艦が初めて海に進む訳です。スン吸い式と命名式を終えれば艤装工事を進め、来年秋ごろに公試を開始、再来年に自衛艦旗授与式を経て就役することとなるでしょう。写真は、たかなみ型最終艦すずなみ、ですが、新型艦は本艦よりも大きく強力になります。

Img_9670  新型艦は基準排水量5000㌧、満載排水量は6800㌧に達し、艦の大きさとしては、ヘリコプター搭載護衛艦はるな、に匹敵する大型艦となり、汎用護衛艦としては過去最大の大きさを備えた護衛艦の誕生です。全長150.5㍍、全幅18.3㍍、深さ10.85㍍。主機関は四基のガスタービンエンジンで、出力は64000ps、最高速力は30ノットと発表されています。既に進水式を迎える19DDに加えて、二番艦となる20DDが今年6月2日に起工式を迎えていて、平成21年度防衛予算では同型艦2隻の予算が承認しているため、来年には二隻の21DDが起工式を迎える事となります。

Img_1767  19DDは、船体表面部分に複合素材を採用しステルス性と船体歪みの抑制という新技術、推進動力統合化先進推進システムの採用による推進能力の向上、FCS-3改の搭載による暫定的な艦隊防空能力所謂僚艦防空能力の付与という新機軸が盛り込まれた護衛艦で、弾道ミサイル防衛に当たるイージス艦を航空機やミサイルによる断続的な攻撃から防護する任務が期待されています。一方で建造費が750億円と、たかなみ型よりも100億円程度高く、緊縮財政下では弾道ミサイル防衛任務に当たる四隻のイージス艦に合わせ4隻の建造に留まる、と考えられているようです。

Img_7878  式典執行は佐世保地方総監加藤耕司海将(写真は舞鶴地方総監在職中の写真)。尖閣諸島を筆頭に南西諸島での緊張を引き受ける南鎮の要というべき指揮官です。新型艦は、どういう名称になるのでしょうか、旧海軍の空母直衛防空艦として建造された駆逐艦秋月の名前を護衛艦二代目として継ぐのか、初代ミサイル護衛艦あまつかぜ、の系譜にある風の名前を継ぐのか、海上自衛隊最初の電気推進艦あさひ、の名前を継ぐのか、それともまったく別の基軸に艦名を求めるのか、興味は尽きません。

Img_9719  一方で、平成23年度防衛予算に盛り込まれると考えられていた取得性を高めた量産型の護衛艦23DDについて、予算への計上が見送られています。19DDを筆頭とする5000㌧型護衛艦の建造費が高く、この為大量に除籍が続く、はつゆき型の後継艦は、現在の日中関係を筆頭に日本との周辺関係を考えれば、その必要性は大きく、このあたりも新型艦の建造と並行して考えてゆく必要性は大きいでしょう。個人的には新型艦は、多用途性という側面に加えて、特に省力化と自動化を考えるべき、と考えるのですけれども、その為には年末の防衛大綱改訂への議論にも注目してゆきたいと思います。

HARUNA

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