■第9航空団新編
本日1月31日、沖縄県の航空自衛隊那覇基地において第9航空団が新編されました。
新しい要撃航空団創設は1954年の第8航空団創設以来62年ぶりとなり、南西方面航空混成団第83航空隊を拡大改編する事で創設されました。那覇基地への戦闘機部隊増勢も沖縄返還と同時に創設された臨時第83航空隊創設以来であり、新編航空団は年々、というよりも日々増大する大陸からの国籍不明機に備えます。那覇基地は那覇空港と滑走路を供用していますが、併せて海上埋め立て工事による那覇空港第二滑走路建設も進み、基地機能は更に強化される事となるでしょう。
大陸からの軍事圧力は着実に増大し、航空自衛隊の緊急発進にあって半数近くが那覇基地からの対領空侵犯措置任務が中心となるほどの状況であり、中国戦闘機異常接近や中国爆撃編隊飛行など緊迫度が高い事案も多発、航空自衛隊では低空侵入機による領空侵犯事案から早期警戒機の配置、更に緊急発進増大時期には全国の航空団より要撃飛行隊を臨時派遣するなどして戦闘機を急速増強し対応するなどの措置を採ってきました。
那覇基地は防空の要衝で、南西航空混成団司令部、第9航空団、飛行警戒監視群第603飛行隊、那覇救難隊、海上自衛隊那覇航空基地第5航空群第5航空隊、陸上自衛隊那覇駐屯地第15旅団第15ヘリコプター隊、等自衛隊機だけでF-15J戦闘機にT-4練習機とE-2C早期警戒機やP-3C哨戒機、U-125救難機からUH-60J救難ヘリコプターとUH-60JA多用途ヘリコプターにCH-47J/JA輸送ヘリコプターとLR-2連絡偵察機など約100機が集中配備されています。
第9航空団は飛行群に第204飛行隊と第304飛行隊の二つの飛行隊を基幹として編成されます。この内、第304飛行隊は北九州防空を担当する築城基地第8航空団より管理替えとなった部隊です。なお、今回の改編により第8航空団は飛行群が1個飛行隊のみの編成部隊となり、F-2支援戦闘機を運用する第6飛行隊が朝鮮半島と日本海北方からの北部九州方面防空に当たることとなります。
第304飛行隊は航空自衛隊要撃飛行隊にあって最も朝鮮半島に近い部隊という位置づけで、脅威は若干数のMiG-29と多数のMiG-23という関係から永らくF-15の近代化改修よりもゲリラコマンドー対処に主眼を置き、航空自衛隊で最初に軽装甲機動車を装備した部隊として知られるのですが、第9航空団への移転に併せ、空対空戦闘能力の強化措置が採られているということでした。
第204飛行隊も南西諸島防空強化を主眼として2009年に百里基地から移転した部隊です。これは1980年代に沖縄県との理解として那覇基地にはF-15を配備しないとの指針が当時の防衛庁との間で定められたといわれるのですが、F-2支援戦闘機の装備計画縮小とF-4EJ改戦闘機の旧式化、そして反対に大陸方面からの国籍不明機接近増大により首都防空のF-15飛行隊を引き抜くこととなったかたち。
首都防空の第7航空団は那覇基地から交代として配属されたF-4EJ改運用の第302飛行隊とF-15Jを運用する第305飛行隊が運用されています。一方で、沖縄防空を強化したものの大陸からの国籍不明機が、鹿児島県島嶼部へ飛行する経路が増大しており、航空自衛隊は南九州の防空強化への必要性を痛感、南九州には新田原基地の第5航空団にF-4EJ改を運用する第301飛行隊が配備されているのみで、防衛省は首都防空最後のF-15飛行隊である第305飛行隊を転用することとしました。
沖縄の防空についてですが、平時の防空体制は今回の改編で一定のめどがつき、万一の場合においても現在の態勢が維持されるならばそこまで悲観する必要はありません。沖縄にはアメリカ空軍嘉手納基地も前方展開しており、第18航空団に第733輸送航空隊と第353特殊戦航空や群第82偵察飛行隊等が前方展開しています、特に第18航空団はF-15Cを運用する第44飛行隊と第67飛行隊、E-3B早期警戒管制機を運用する第961飛行隊にKC-135R空中給油機を有する第909飛行隊が所属し、米空軍航空団中最大の規模を有しています。
嘉手納基地は有事の際には300機程度の戦闘機を州輸する事が可能な巨大な施設を有していますし、また普天間基地には海兵隊第36海兵航空群が展開し、有事の際には岩国航空基地の第12海兵航空群より戦闘機が増派されます。1945年の沖縄戦では飛行場を設置したものの戦闘機不足から航空優勢を喪失し地上戦により国民に甚大な被害が生じる惨禍となりましたが、日米共同での取り組みが継続されるならば、抑止力により今回は大陸からの軍事圧力へ対応し得るとは考えています。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
本日1月31日、沖縄県の航空自衛隊那覇基地において第9航空団が新編されました。
新しい要撃航空団創設は1954年の第8航空団創設以来62年ぶりとなり、南西方面航空混成団第83航空隊を拡大改編する事で創設されました。那覇基地への戦闘機部隊増勢も沖縄返還と同時に創設された臨時第83航空隊創設以来であり、新編航空団は年々、というよりも日々増大する大陸からの国籍不明機に備えます。那覇基地は那覇空港と滑走路を供用していますが、併せて海上埋め立て工事による那覇空港第二滑走路建設も進み、基地機能は更に強化される事となるでしょう。
大陸からの軍事圧力は着実に増大し、航空自衛隊の緊急発進にあって半数近くが那覇基地からの対領空侵犯措置任務が中心となるほどの状況であり、中国戦闘機異常接近や中国爆撃編隊飛行など緊迫度が高い事案も多発、航空自衛隊では低空侵入機による領空侵犯事案から早期警戒機の配置、更に緊急発進増大時期には全国の航空団より要撃飛行隊を臨時派遣するなどして戦闘機を急速増強し対応するなどの措置を採ってきました。
那覇基地は防空の要衝で、南西航空混成団司令部、第9航空団、飛行警戒監視群第603飛行隊、那覇救難隊、海上自衛隊那覇航空基地第5航空群第5航空隊、陸上自衛隊那覇駐屯地第15旅団第15ヘリコプター隊、等自衛隊機だけでF-15J戦闘機にT-4練習機とE-2C早期警戒機やP-3C哨戒機、U-125救難機からUH-60J救難ヘリコプターとUH-60JA多用途ヘリコプターにCH-47J/JA輸送ヘリコプターとLR-2連絡偵察機など約100機が集中配備されています。
第9航空団は飛行群に第204飛行隊と第304飛行隊の二つの飛行隊を基幹として編成されます。この内、第304飛行隊は北九州防空を担当する築城基地第8航空団より管理替えとなった部隊です。なお、今回の改編により第8航空団は飛行群が1個飛行隊のみの編成部隊となり、F-2支援戦闘機を運用する第6飛行隊が朝鮮半島と日本海北方からの北部九州方面防空に当たることとなります。
第304飛行隊は航空自衛隊要撃飛行隊にあって最も朝鮮半島に近い部隊という位置づけで、脅威は若干数のMiG-29と多数のMiG-23という関係から永らくF-15の近代化改修よりもゲリラコマンドー対処に主眼を置き、航空自衛隊で最初に軽装甲機動車を装備した部隊として知られるのですが、第9航空団への移転に併せ、空対空戦闘能力の強化措置が採られているということでした。
第204飛行隊も南西諸島防空強化を主眼として2009年に百里基地から移転した部隊です。これは1980年代に沖縄県との理解として那覇基地にはF-15を配備しないとの指針が当時の防衛庁との間で定められたといわれるのですが、F-2支援戦闘機の装備計画縮小とF-4EJ改戦闘機の旧式化、そして反対に大陸方面からの国籍不明機接近増大により首都防空のF-15飛行隊を引き抜くこととなったかたち。
首都防空の第7航空団は那覇基地から交代として配属されたF-4EJ改運用の第302飛行隊とF-15Jを運用する第305飛行隊が運用されています。一方で、沖縄防空を強化したものの大陸からの国籍不明機が、鹿児島県島嶼部へ飛行する経路が増大しており、航空自衛隊は南九州の防空強化への必要性を痛感、南九州には新田原基地の第5航空団にF-4EJ改を運用する第301飛行隊が配備されているのみで、防衛省は首都防空最後のF-15飛行隊である第305飛行隊を転用することとしました。
沖縄の防空についてですが、平時の防空体制は今回の改編で一定のめどがつき、万一の場合においても現在の態勢が維持されるならばそこまで悲観する必要はありません。沖縄にはアメリカ空軍嘉手納基地も前方展開しており、第18航空団に第733輸送航空隊と第353特殊戦航空や群第82偵察飛行隊等が前方展開しています、特に第18航空団はF-15Cを運用する第44飛行隊と第67飛行隊、E-3B早期警戒管制機を運用する第961飛行隊にKC-135R空中給油機を有する第909飛行隊が所属し、米空軍航空団中最大の規模を有しています。
嘉手納基地は有事の際には300機程度の戦闘機を州輸する事が可能な巨大な施設を有していますし、また普天間基地には海兵隊第36海兵航空群が展開し、有事の際には岩国航空基地の第12海兵航空群より戦闘機が増派されます。1945年の沖縄戦では飛行場を設置したものの戦闘機不足から航空優勢を喪失し地上戦により国民に甚大な被害が生じる惨禍となりましたが、日米共同での取り組みが継続されるならば、抑止力により今回は大陸からの軍事圧力へ対応し得るとは考えています。
北大路機関:はるな くらま
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