北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】F-35C原子力空母エイブラハムリンカーン搭載とA-10攻撃機連携模索のF-35B

2022-02-28 20:17:50 | 先端軍事テクノロジー
■特報:世界の防衛,最新論点
 今回はF-35を取り巻く不思議な仲間たちやF-35戦闘機関連の話題を中心にお伝えしましょう。

 アメリカ海兵隊のF-35C戦闘機が原子力空母エイブラハムリンカーン艦上へ配備開始となりました、空母はサンディエゴ軍港を出航、太平洋に展開しています。海軍ではなく海兵隊のF-35Cの空母配備は今回が初となる。これは第3海兵航空団の第314海兵攻撃飛行隊のF-35Cで、エイブラハムリンカーン艦上の第9空母航空団への統合運用となります。

 エイブラハムリンカーンはニミッツ級原子力空母の5番艦として1989年に竣工、ニミッツ級の中でも防御力強化により構造部分が各部で強化され始めて満載排水量が10万トンを超えた事で知られる。海兵隊はF/A-18C戦闘攻撃機の空母航空団運用を行ってきましたが、これがF-35Cへ置き換わったかたち。艦上では空母航空団隷下の統合運用が行われます。

 第314海兵攻撃飛行隊の愛称はブラックナイツで、第9空母航空団には戦闘機部隊として第14戦闘攻撃飛行隊“トップハターズ”、第41戦闘攻撃飛行隊“ブラックエイセス”、第151戦闘攻撃飛行隊“ヴィジランティス”が所属していますが、機種はF/A-18E/F戦闘攻撃機となっており、航空団では海兵隊のF-35Cは唯一の第五世代戦闘機となっています。
■海兵隊ハリアーの終点
 ハリアー攻撃機の垂直離陸は実際に目の当たりにしますと不思議な感動をおぼえたのを思い出しますが。

 アメリカ海兵隊が運用するAV-8Bハリアー攻撃機が最後の定期整備を終えたとのこと。アメリカ海軍のFRCE艦隊整備補給センターはAV-8B攻撃機を整備するハリアープログラムを実施していますが、VMA-542海兵攻撃飛行隊が運用するAV-8Bハリアーが最後に計画される整備プログラムを実施、これが海兵隊ハリアープログラム最後の定期整備という。

 VMA-542海兵攻撃飛行隊はチェリーポイント海兵航空基地に展開する攻撃飛行隊ですが、F-35Bへの機種転換が計画されています。ハリアーは世界初の実用VTOL攻撃機ですが、操縦は難しく、整備に際しても分解に等しい工程を要します。一方でF-35Bはより高性能ですが機械的複雑性から電子ソフトウェア面での複雑性に転換し操縦も容易とされている。

 FRCE艦隊整備補給センターでの整備は機体を細部まで分解し再構築する徹底したもので、ハリアーの定期整備には平均127日間の期間をかけ徹底的に行います。アメリカ海兵隊はイギリス空軍において早期退役したハリアーGR.9も継承していて、順次F-35B戦闘機に置換えるものの、アメリカ海兵隊では2028年までハリアーを維持する計画となっています。
■F-35戦闘機新たに142機
 F-35戦闘機は自衛隊でも順調に増えていますが世界でも仲間たちが増えている。

 アメリカ国防総省はF-35戦闘機2021年納入機数を142機と発表しました。F-35戦闘機は現在アメリカが生産している唯一の第五世代戦闘機となっていますが、また同時に世界における第五世代戦闘機を象徴する完成度であると国防総省は自負します、この142機はアメリカ空軍及び海兵隊と海軍に加え同盟国やパートナー国への供与分の合計となります。

 F-35戦闘機は2021年に、新規にスイス空軍とフィンランド空軍が次期戦闘機として採用を発表しており、また米英F-35B戦闘機が空母クイーンエリザベスに搭載され極東へ長距離展開を実施、アメリカ海軍艦載機としてF-35C戦闘機は原子力空母カールビンソンに搭載、海軍初の空母運用を開始したと共にデンマーク空軍へ最初の機体が配備されています。

 F-35戦闘機の運用国は9か国に上り、2021年の142機を加えると、2022年初頭までに全世界で750機のF-35戦闘機が30の基地や母艦を拠点に行動、F-35操縦資格を持つパイロットは1585名に達し、整備員も11545名が任務に当っているとのこと。F-35戦闘機量産は世界を覆うCOVID-19コロナ禍下でも概ね順調に推移し2022年も製造を継続します。
■A-10攻撃機とF-35B戦闘機
 A-10サンダーボルト攻撃機は人類最後の日まで飛び続けるのでしょうか。

 アメリカ海兵隊はF-35B戦闘機の支援に空軍のA-10攻撃機との連携を模索している、これはF-35がもともとA-10の後継機に位置付けられており、またA-10攻撃機の古さを考えれば一見驚きの構想ですが、長大な主翼と低速飛行性能を持ち滞空時間の長いA-10攻撃機をF-35B戦闘機のターゲティングセンサノード機に充てるという逆転の発想といえます。

 アイダホ州兵空軍第124戦闘航空団第190飛行隊に所属するA-10攻撃機とアメリカ海兵隊第225海兵攻撃飛行隊のF-35B戦闘機は、2022年1月初旬より共同運用試験にあたっているとのこと。F-35BのほうがA-10よりも遥かに高度なセンサーを搭載していますが、F-35は常に地上部隊の上空を飛行し続けるには空中給油等位置を暴露する事になります。

 A-10攻撃機の任務はFAC-A前線航空統制任務にあり、F-35B戦闘機はA-10攻撃機が発見した目標に対して素早く進出し、航空打撃を加えるという運用です。一方でA-10は広域地対空ミサイルに対しては無力ですが、滞空するだけで友軍に対し心理的効果が大きく、また敵対勢力に対しては30mm機関砲などで重武装したA-10は抑圧的効果があるようです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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ハリコフ攻防戦,ロシア"核抑止部隊"高度警戒態勢移行とベラルーシ国境停戦交渉開始で合意

2022-02-28 07:00:24 | 国際・政治
■臨時防衛情報-ウクライナ情勢
 本日は朝に臨時情報を掲載します。ロシア大統領発言に今日中にも米軍がデフコン3を発動せねばならないような突沸という緊張が生じました。

 ロシア軍ウクライナ侵攻は、ウクライナ軍の抵抗と国際社会の圧力を受け、ロシアのプーチン大統領が“ロシア軍の核抑止部隊に任務遂行のための高度な警戒態勢に移行するようショイグ国防相らに指示”するという、極めて深刻な緊張状態へ一歩前進しました。これによりウクライナ及びNATO加盟国に対して戦術核兵器が使用される懸念が生じました。

 核抑止部隊、この部隊は主として戦域核兵器を示すものに留まらず、基本的に核抑止力に用いるものは戦場で用いるものよりも上の段階、戦略核兵器、所謂ところの熱核兵器を示すものであり、即座に投射される可能性は常識では考えられませんが、仮に使用されるのであれば、史上初の全面核戦争に展開しかねず、死者数は数億に達する懸念があります。

 熱核兵器、本来ならば示されない表現を用いた背景としてプーチン大統領は、NATO北大西洋条約機構から攻撃的な発言がなされており、相応の準備の必要性を感じた為、としています。第二次世界大戦後、あからさまな核兵器による恫喝という他ないこの発言は、アメリカのバイデン政権はもちろん、NATOや欧州各国首脳から激しい反発を呼んでいます。

 デフコン3発動はあるのでしょうか。国防総省の発表はまだありません。デフコンとはDefense Readiness Condition,有事即応体制を示すものです。五段階ありまして、カウントダウンの様に1に近づく程、警戒態勢を強化します。平時ではデフコン5であり、国防総省では平時の警戒態勢となります。デフコン4は情報収集強化、核ミサイル飛来を警戒するもので冷戦時代の日常でした。

 デフコン3は最近では9.11同時多発テロに際して発令されています、通常よりも警戒態勢を強化すると共に通信を全て暗号化し、平時から暗号通信を用いている分野ではより機密性の高い暗号へ切り替えます。デフコン2は核戦争直前、過去には1962年のキューバ危機に一度だけ発動されましたが、戦略爆撃機は全機核を搭載し滑走路か空中待機します、1は事実上開戦だ。

 ハリコフ市街戦。ロシア軍は27日、ウクライナ東部にあるウクライナ第二都市ハリコフに戦車部隊を侵攻させました。ハリコフは工業都市であり、特にウクライナにとり軍需産業の中心都市でもあり、ウクライナ唯一の戦車工場やアントノフ航空機工場など所在しています。また、ロシア軍侵攻が限定侵攻に留まる場合でも東部のハリコフは注視されていた。

 ハリコフ市街戦ではロシア軍突入の一報が出された四時間後、ウクライナ政府によりハリコフに侵入したロシア軍を撃退したとの一報も示され、共に真偽確認は難しいのですが、ハリコフ市内には政府の戒厳令がまだ機能している。予想外の一進一退ですが、アメリカが供与したジャベリンミサイル、イギリスが供与したNLAWミサイルが威力を発揮する。

 キエフ攻防戦でもキエフ北方20kmの防衛線をウクライナ軍は60時間以上維持に成功しており、ここでもジャベリンとNLAWが威力を発揮しているもよう。ジャベリンは射程2000mでNLAWは600m、後者は短く感じますが最低射程20mと至近距離でも運用可能です。ロシア軍圧倒は困難ですが長期化はロシア軍補給線に大きな影響を及ぼすでしょう。

 停戦交渉。首都キエフでの防衛線とともにロシアが示した核兵器投入の恫喝を前に、ウクライナ政府は日本時間28日にウクライナベラルーシ国境での停戦交渉開始でロシア側と合意しました。早ければ28日中にもロシアとベラルーシの交渉団が国境地域での交渉を開始します。この停戦交渉では、ロシア側とウクライナ側の意見の隔たりが当初ありました。

 停戦交渉は、ウクライナが第三国であるトルコかポーランドを提示し、ロシアがベラルーシを提示していました、しかしベラルーシは今回ロシア軍の攻撃進発地点であり策源地でもある為、中立とは言い難い状況があったのです。一方で双方の思惑から、地域の混迷よりも交渉開始が優先した構図だ。ただ、双方とも時間を稼ぐ意味もあるのかもしれません。

 SWIFT国際銀行間通信協会からのロシア銀行除名への日本賛同、停戦交渉をロシア側が譲歩した背景には予想外の長期化とともに、当初はブラフである可能性がったSWIFT除名が現実味を帯び、手続き段階に入った事も挙げられます。核抑止部隊の明示もSWIFT除名への不快感露呈でしょう。停戦か継戦か、核戦争か、この戦争は重大な局面を迎えています。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【日曜特集】かしま-はるな雪景色と練習艦隊舞鶴寄港【3】平和な時代の舞鶴(2008-02-17)

2022-02-27 20:05:17 | 海上自衛隊 催事
■平和な時代を懐かしむ
 護衛艦はるな、その前半生は核戦争も辞さない東西冷戦下の緊張に在りましたが後半生は冷戦後の平和な時代にありました。

 日本海の厳しい季節を印象付ける冬の舞鶴特集は、この第三回が最終回です。この第一回を掲載開始した際には、ウクライナとロシアの国境地域ではロシア軍の集結が開始されていましたが、極めて緊迫した状況ではあったものの、幾つかの可能性は残っていました。

 ロシア軍が撤収する可能性、若しくはウクライナ東部への限定侵攻に留まる可能性であり、首都キエフへの全面侵攻は、特に緒戦から一気に首都を攻撃する行動までは、有り得た可能性の中でも比較的低く、この数日間で世界は変わってしまったという印象が非常に強い。

 はるな。雪の護衛艦はるな、この情景というものを撮影しつつ、護衛艦はるな建造は東西冷戦の真っただ中、1973年、世界では第四次中東戦争が激戦し印パ戦争も緊張、国連からは中華民国が離脱し中華人民共和国国連加盟など、激動の時代を生きた護衛艦でした。

 雪の舞鶴、護衛艦はるな。一時代を代表する情景です。もっとも実は護衛艦はるな舞鶴時代というのは1998年から2009年の除籍までという期間でありまして、1973年に三菱重工長崎にて建造された自衛隊最初のヘリコプター搭載護衛艦は佐世保基地の時代が長かった。

 はるな、くらま。この佐世保時代はるな所属は第2護衛隊群第52護衛隊として、ヘリコプター搭載護衛艦2隻を基幹とする部隊の所属、HSS-2哨戒ヘリコプター6機を集中運用する部隊として機動的な対潜任務を展開していた、ヘリコプターが普及すると運用は換わる。

 はつゆき型護衛艦、雪の中で語るのは風情あるものですが、はつゆき型護衛艦はHSS-2ヘリコプターを搭載できますので、この新型護衛艦の量産が始まりますと、ヘリコプター搭載護衛艦は集中運用から護衛隊群の旗艦的位置づけへ転換してゆき、所属も転籍します。

 第二護衛隊群から第三護衛隊群へ。はるな所属は転換します、が当面は母港は舞鶴基地でした。背景には艦載機が大村航空基地に配備されていまして、この時代は司令部が大変でした。旗艦は佐世保にあるのですが、司令部は舞鶴にある、長崎県と京都府、距離が遠い。

 しまかぜ。第三護衛隊群司令部は、演習に際して先ず舞鶴基地にていちばん大きなミサイル護衛艦しまかぜ、必要な機材を持ち乗艦して出航、そこから日本海にて護衛艦はるな艦載機にて出向する、群訓練のその都度に引っ越しを何度も行う司令部、という状態でした。

 舞鶴航空基地が建設されますと、この舞鶴基地から指呼の距離の航空基地にヘリコプターを置けることとなりますので、母港も佐世保から舞鶴へ。舞鶴航空基地建設は革新政党の一部に反対はあったようですが舞鶴市内ではおおむね歓迎されていまして、そして。

 2003年由良川水害、大きな災害が京都北部を襲いました。この際にバスが氾濫した河川に取り残される緊急事態がありましたが、ちょうど近くに航空基地が、SH-60哨戒ヘリコプターによるピストン空輸を実施します。そしてこの水害の際には僥倖な出来事があった。

 由良側水害にはSH-60とともにS-61が災害派遣していまして、館山航空基地から訓練へ展開していた救難ヘリコプターが、救難員ともども舞鶴航空基地にいまして災害派遣へ加入派遣、たいへんな水害でしたがヘリコプターが孤立したバス乗客を救助しています。

 舞鶴航空基地はこうした歴史があるのですけれども、しかしもう一つ、はるな型護衛艦が運用された時代、建造当時は石油危機、現在のロシア軍ウクライナ侵攻により天然ガスの取引価格が急上昇していますが、1973年石油危機は大変なインフレを引き起こしています。

 自衛隊改編として1974年に第四護衛隊群が新編されていますが、この時代にはいまのロシア以上にソ連太平洋艦隊の軍事圧力が非常に大きく、日本防衛は海上防衛というよりも北海道へ直接侵攻が、高い蓋然性をもつ脅威として認識されていた、そんな時代があった。

 DDH,海上自衛隊は潜水艦への対処に特化した、こう一時代を説明する動きがありましたが、ソ連太平洋艦隊の膨大な巡洋艦保有数を考えますと、水上打撃部隊により対抗しようと考えた場合、艦対艦ミサイルが当時はハープーンも開発中で対応するものがありません。

 スタンダードSM-1ミサイルは誘導方法によっては対艦ミサイルとして転用できることは発見されていましたが、ミサイルはスウェーデンのほうがアメリカより進んでいたほどでしたので、日本が入手できるミサイルとなりますと、国産でもしなければ無かったという。

 潜水艦、海上自衛隊はソ連の北海道侵攻に際して1970年代には、北海道と本州を結ぶ増援部隊の護衛、そして日本のシーレーンへの防衛を重視し、その上でソ連艦隊への攻撃は潜水艦、またわずかですが魚雷艇によるゲリラ的な戦闘が構想されていた、厳しい状況が。

 ひゅうが型護衛艦、いずも型護衛艦、これらにF-35B戦闘機を搭載しようという2020年代に、しかも艦隊防空のイージス艦は、こんごう型、あたご型、まや型と数が揃いまして、汎用護衛艦も、むらさめ型、たかなみ型、あきづき型、あさひ型、相応に強力な陣容に。

 冷戦時代と比較するならば、潜水艦と魚雷艇という厳しい戦いから、日本に対してロシア軍が軍事行動を行った場合に相応な代価を払わせられますし、ロシア軍が今回ウクライナへ250発の巡航ミサイルを撃ちましたが、一個護衛隊群で何とか耐えられる水準にある。

 防衛力は強化されたものですか、一方で、ロシア軍が隣国に意味不明の、核開発や民族浄化という、そんな事を聞いた事も無いしロシアではやっている印象はあるが攻められた側にはやりそうな行政の雰囲気が無い、状況で侵攻されるなど、ちょっと想像ができません。

 ロシアの脅威、まさかこの写真を撮影した当時は、ロシアの脅威再来なんてものは考えられなかったもので、いや撮影した前年にロシアはNATOのオブザーバー国を離脱、東欧ミサイル防衛配備計画への反発が背景にありましたが、一時的なものだと理解していました。

 ウクライナ侵攻、2021年末から高まった脅威は2022年2月にウクライナ危機からウクライナ有事としてロシア軍が侵攻しています、今後、昨年までの日ロ関係に戻るには相当な時間が必要でしょう。舞鶴ではロシア艦を何度か見学する機会があったのですけれども。

 厳しい時代が来るのか。現代は2020年から2022年の今日に至るもCOVID-19という厳しい状況下にあり、非日常という点では撮影に雪中を歩みました当時とはずいぶん違うのですけれども、軍事、安全保障という面では、冷戦時代の緊張が戻ってきたという印象です。

 ロシアは資源大国である為、日本はロシアから天然ガスを殆ど輸入しないものの欧州は依存度が高い為、ロシアから輸入できない天然ガスを輸入しようとするならば日本と同じ中東の天然ガスを奪い合い燃料費が高騰し得る、また、ウクライナとロシアは穀物輸出国だ。

 日本経済にも影響が大きくなります、もっとも、日本が防衛力整備に膨大な予算を必要とするようになったのは、日本経済の世界における地位が多極化、円安で平和を日本が買いたたけない為という説明をしますが、同時にこの戦争は民主主義の値段も上がる事を示す。

 円安で平和を日本が買いたたけない、故に防衛費を高めなければ、日本国家が平和主義なので“平和在れ”と願うだけで周辺国が日本との経済関係を重視し云々、という平和がかたちだけでも保たれる時代は、中国の経済成長で過去のものとなった構図なのですが。

 民主主義、いや自己実現の為の人間の自由、こうしたものが21世紀の今日に改めて問われ、空気の様に有るとおもったものが、維持する為に経済上の苦境などを耐えなければならない時代が来る、この写真を撮影した時代は色々ありましたが、安心な平和の時代でしたね。

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キエフ攻防戦!対ロシア経済制裁へSWIFT除名で欧州合意と国連今世紀初ESS緊急総会招集

2022-02-27 18:10:01 | 防衛・安全保障
■ウクライナ有事-四日目
 三日目となりましたウクライナの現状は日本の現状と成り得たという切迫感と焦燥感が在ります。

 ロシア軍ウクライナ侵攻は、荒唐無稽な口実により一国を全面攻撃するという恐るべき蛮行です。そしてウクライナへ突き付けられた口実は、固有名詞と地名を入れ替えれば、北海道へも新潟へも当て嵌まるものであり、対岸の火事ではなく防がなければならない人道危機と平和への罪そのものです。ロシアが口実とした人道危機がロシアにより起こされた。

 ESS緊急総会“平和の為の結集決議”、国連はロシアの拒否権行使により機能不随となった安全保障理事会に代わり、21世紀初となるESS緊急総会“平和の為の結集決議”を28日にも招集する方向で調整を進めています。国連総会決議は国連憲章に基づく軍事制裁などを強いる拘束力はありませんが、規範性があり、また国際慣習法として部分的に機能する。

 ESS緊急総会“平和の為の結集決議”は核戦争瀬戸際まで進んだスエズ危機に際して、今回と同様に国連安全保障理事会が超大国の拒否権行使により機能不随となった為、国連の本来任務“国際の平和と安全”の実現の為に安保理の任務を総会が代行するという位置づけであり、スエズ危機では国連軍の代替として第一回国連防護軍派遣が決定しました。

 SWIFT国際銀行間通信協会からのロシア銀行除名、この最強の経済制裁と呼ばれる措置の実施へ大車輪で転換しました。世界1万1000金融機関が加盟するSWIFTから除名された場合にはロシアは欧州始め各国から銀行国際決済が不可能となり、大量の天然ガスなどの資源を有するロシアは不安定な暗号通貨や現金決済等を行わねば輸出も出来なくなります。

 SWIFT除名は、ロシアに対し非常に大きな経済制裁となる一方、ロシア政府の反発による資源輸出停止など報復措置が大きい事から、特に天然ガスにエネルギー依存度を高める欧州諸国では慎重な反論がありました、ところがロシアのウクライナ侵攻が東部だけでなく首都侵攻という、想定外の戦闘拡大を前に欧州各国がアメリカ呼び掛けに応じた構図です。

 SWIFT除名の動きが強まる中、ロシア軍は27日0100時頃、ウクライナ東部ハリコフに付設された天然ガスパイプライン爆破を実行、ロシアから欧州への天然ガスパイプラインはウクライナ領内を通るものだけ絵も複数あり、これがロシアからの天然ガス輸出停止を意味するものではありませんが、天然ガス取引価格が現在高騰しており、更なる拡大となる。

 トルコ政府へウクライナ政府がボスポラス海峡封鎖を要請、これはウクライナのゼレンスキー大統領がトルコ政府とトルコのエルドアン大統領に謝意を表明する事で明るみに出ました、ボスポラス海峡は黒海と地中海を結ぶ最狭部800mの海峡で、ここを封鎖された場合、ロシア黒海艦隊は孤立する事となります。軍事的に封鎖は難しい事ではありません。

 ボスポラス海峡は、しかしモントルー条約により通過可能な軍艦へ制限が加えられており、この範囲内であれば航行は可能です。一方、トルコ政府は国連海洋法条約に定めた国際海峡ではなく、モントルー条約によりトルコが管理する海峡という立場を一貫しており、これは露土戦争によりロシア等と結ばれた不平等条約への反省という過去の外交関係がある。

 ロシア軍は黒海において船舶攻撃を実施した際、日本船など紛争への第三国への船舶誤射が次第に増加しており、これをもって海峡封鎖が行われる可能性は未知数ですが、当初想定よりもロシア軍侵攻は遅滞しており、今後ウクライナ軍の遅滞戦闘が成功した場合、思いもしない方向から対ロシア強硬措置という可能性が示唆された点は注目すべきでしょう。

 防衛装備品供与、アメリカは追加で3億5000万ドル分の対戦車ミサイルなど追加供与する発表を行いました。ジャベリンミサイルが追加される。ロシア軍戦車はアフガニートアクティヴ防護装置等対戦車ミサイルへの備えを強化していると考えられてきましたが、これまでキエフ攻防戦の戦況を見ますと、ジャベリンミサイルは驚くほどの威力を示している。

 ドイツ政府が新しい動きが、携帯地対空ミサイル500基をウクライナへ供与するとドイツ政府が発表しました。スティンガーミサイルと思われます。前線防空へ切迫する程に重要な装備です。そしてドイツ政府はこれまで、鉄帽5000個供与など装備品供与には冷淡な姿勢を示してきましたが、ここに来てロシア軍へ強力な装備品を提供することとなりました。

 防衛装備品供与、ウクライナの空港はロシア軍地対空ミサイルや制空権喪失により機能不随となっていますが、ポーランドやルーマニアとの陸上国境は維持されており、また両国はNATO加盟国である事からアメリカ軍はじめ装備品供与に利用可能です。今後この両国へ核兵器等による恫喝が考えられますが、この場合は一段階上の対立構造となるでしょう。

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ウクライナ有事-ロシア侵略論拠と将来日本有事への懸念,突き付けられる日本防衛への課題

2022-02-26 20:00:01 | 防衛・安全保障
■キエフ攻防戦と安保理拒否権
 ウクライナへのロシア軍侵攻はロシア軍が首都キエフ攻撃へ着手する段階であり予断を許しません。

 ウクライナ侵攻、懸念しています。それはウクライナで進む戦闘での犠牲者にも心が痛みますが、明日の日本、とまでは行かずとも数年後にはウクライナと同じ状態が日本にも迫る可能性がある為なのですね。ロシア政府の主張ではウクライナ政府は核兵器を開発しているナチスでありロシア系住民を民族浄化しようとしているという。故に自衛の為という。

 ナチスという誹謗中傷、情報戦は云ったもの勝ちというものがありまして、これは19世紀イギリスで、“英国ではユダヤ人が差別され出世出来ない”という外国新聞記事が話題となり、時のヴィクトリア女王も心を痛め直ぐに首相のディズレイリを呼び出し正すよう命じました、しかし首相、わたしもユダヤ人なのですが、と。ロシアは19世紀的手法を用いた。

 北海道の将来の姿かもしれない、こう危惧するのはロシアにとり、例えば千島列島防衛には宗谷海峡を確保する必要があるが北海道ま未だロシア領土ではない、という状況を前に例えば、日本ではロシア系住民が迫害されている、日本は核兵器を密造している、こう主張しやむを得ず石狩湾と道北に上陸し、本州へミサイル攻撃、こうした構図は有得ます。

 ナチスと云う誹謗中傷、先ず、ユダヤ系ウクライナ人であるゼレンコフ大統領がナチスというのは少々無理があるように思うのです。プーチン大統領の軽率な発言については、もう少しナチスの問題に正面から取り組んでいる世界の方々に声を上げて欲しいと考えるのですが。相手の政治家をナチス呼ばわりする事、日本の国内政治でも禁忌となりつつある。

 核兵器の開発については、ロシア軍が占拠したチェルノブイリ原発あたりで、なにかねつ造するつもりなのかもしれませんが、ウクライナはソ連時代の核兵器をソ連国家継承を行ったロシアへ移管、IAEAが核弾頭一つ一つを核爆発装置照合にて擬似弾頭が混じらぬよう精査し、NATOからもOSCEからも査察団が立ち会っていますので、間違いはありません。

 事実は国家が造る、こうした主張は国家が決定した時点で事実は確定するので、あとがきされても国家は嘘をつかない、我が国周辺では大陸に類似の政治体制を執る国が多い為に難しい事ですが、政治的に必要であり軍事的に可能であれば、核開発や人権蹂躙、こじつけて侵略行為を正当化する国があり、ロシアもその一つである、こうした認識は必要です。

 ジェベリンミサイルが威力を発揮している。ロシア軍のキエフ侵攻は予定より遅れているといわれ、これは実際、開戦二日で陥落の懸念を示したアメリカ国防総省の想定よりもウクライナ軍は善戦しています。泥将軍という、開戦が予定よりもアメリカの外交圧力により遅延した事で雪解けが始り泥濘による道路状況悪化とともに、このミサイルの威力が。

 ジャベリンは陸上自衛隊の01式軽対戦車誘導弾と同じ世代の画像認識方式携帯対戦車ミサイルです。射程は65mから2000m、市街地等で用いる目標にそのまま直撃するダイレクトモード、開けた地形では戦車の装甲が最も薄い上部部分を狙うトップアタックモードを選択でき、戦車がミサイル対策に装備する爆発反応装甲を無力化する複合弾頭を備えている。

 スティンガーという携帯地対空ミサイルが1979年のソ連軍アフガン侵攻に際してソ連軍ヘリコプターに絶大な威力を発揮しましたが、アフガンのスティンガー、ウクライナのジャベリン、というところでしょう。一方、予定は遅れていますがロシア軍は徐々に首都キエフに迫り、最悪の場合は300万都市での市街戦、第二次世界大戦以来の悪夢が待っている。

 国連安全保障理事会、ウクライナ侵攻を阻止する重要な国連での緊急会議では、ロシアの即時撤兵を求める安保理決議に対して、安保理常任理事国であるロシアが拒否権を行使し否決されました。国連憲章は常任理事国が侵略を行うところまでは想定していません。一方、キエフやハリコフといった大都市での市街戦は住民被害が大きく、人道危機といえる。

 日本の商船へミサイル命中、これはオデッサ港周辺を航行していた日興汽船の貨物船ナムラクイーン号に対するもので、穀物運搬に黒海を航行中、ロシア軍のミサイル攻撃を受け船尾部分が炎上しました。乗組員に負傷者が出ていますが、死者は幸い出ていません。ナムラクイーン号は自力航行が可能ということで、現在トルコに向けて航行中とのことです。

 ウクライナ有事では、ウクライナから帰国する邦人は、厳しいコロナ陰性証明が求められる事もあり、陰性証明がとれず出国できなかった等、邦人保護の観点でも厳しい状況があり、例えば海上警備行動、例えば邦人保護、ロシアと正面から対立する政治的な懸念もあるのでしょうが、主権国家の責務とは何なのか、こうした視点を考えてしまうのです。

 日本防衛について。今日のウクライナは未来の日本、こうした視座に依拠しまして、先ず今回のロシア軍侵攻に際して、日本国家への課題として、すぐにでも政治は防衛政策として具現化しなければならない教訓があります。本日はこの点を幾つか考えてみましょう。侵略の受け手、攻撃の主導権は相手にあります。すると、今回の教訓は非常に多いのです。

 緒戦の情報混乱は否めない、ウクライナ軍は指揮系統が麻痺しており、しかしロシア軍はウクライナの厳しい道路事情に渋滞しており、開戦から48時間では配備されたBCT大隊戦闘群の半分以下、概況からは推測も混じるのですが概算して三分の一程度しかウクライナへ越境していません、これは国際社会の平和の呼びかけが功を奏し、というのではない。

 26日のキエフ気温は6度、ウクライナの道路状況は非常に悪く、ロシア軍部隊は統一戦闘加入しようにも道路上を渋滞している、という実状があるのでしょう。1991年湾岸戦争では似た状況にあったイラク軍部隊が米軍に捕捉され、"ハイウェイ80の掃討"というAH-64戦闘ヘリコプターにより数十分で実に1500両もの車両が破壊される状況がありました。

 北海道など、本州での有事となれば国道12号線や国道40号線などが戦場となるのでしょうが、どのあたりに敵が展開しているのかを把握しなければ意味がありません。そこで、96式多目的誘導弾96MPMS後継装備は是非、現在運用している光ファイヴァー誘導方式からTV誘導方式に切り替え、情報収集にも使う徘徊式弾薬としての性能を要求してほしい。

 96MPMSは世界初の光ファイヴァー誘導方式ミサイルで、ドイツがポリフェムミサイルを開発中止したため、一時は異端児扱いでしたが、イスラエルがスパイクNLOSとして光ファイヴァー誘導方式を採用、日本周辺では韓国軍も採用しました。ともに射程が長い点が特色ですがスパイクNLOSは更なる射程を目指してTV誘導方式に切り替えた経緯がある。

 ミサイルと徘徊式弾薬は速度の面で特性が違いますので、弾体共通化は無理ならば同じ発射機からミサイルと徘徊式弾薬を併用できるようにしてもよい、例えば79式対舟艇対戦車誘導弾でも二種類の弾頭を自衛隊は運用しましたので、こうした器用な運用は前例があるのですからね。特科情報システム、火力戦闘システムと連接、観測任務にも応用できます。

 ロシア軍の攻撃は巡航ミサイル攻撃から開始される、これは冷戦時代のソ連群から長距離巡航ミサイルは装備されていましたが、格段に精度が上がっているという印象です。過去、シリア内戦へロシア軍が介入開始した際にカリブル巡航ミサイルによる攻撃から開戦となっていますが、この際には少なくない数のミサイルがシリアの目標からはずれました。

 カリブルミサイル、多少はずれるのは当たり前とおもわれるかもしれませんが、外れたのはシリアの目標からで、要するにシリアをねらったもののイランに着弾したものが少なからずあったのです。一発ならば誤射かもしれないという表現もあるようですが、一発や二発ではありません、今回はルーマニアやポーランドへは着弾していません。精度向上です。

 巡航ミサイル防衛。陸上自衛隊の11式短距離誘導弾システムや航空自衛隊の基地防衛システムには巡航ミサイル対処能力があります、しかし今回は第一撃にて150発以上が発射されており、例えば93式近距離地対空誘導弾システムの後継装備にも対処能力の付与がひつようと考えるのです、できればイスラエルのアイアンドーム並の即応弾が必要と考える。

 SEA-RAMやCIWSといった装備、アメリカ製の既存装備でも充分対応できますが、即応弾という点で4連装や8連装では心許ないものがあり、確実な命中を期するならばRAMのような21連発、アイアンドームは20連装発射機を3基で射撃中隊を編成しています。国産の地対空ミサイル開発技術は高く維持されていますので、要は要求仕様にあるのですね。

 巡航ミサイル防衛、これは北朝鮮によるミサイル開発でも必要性が指摘されているものですが、日本のミサイル防衛は弾道ミサイル防衛に重点が置かれ、2010年代には陸上自衛隊へ巡航ミサイル防衛を担わせる構想がありましたが、既存の高射群を拡大することなく、従来の戦術防空の付随任務に留まったまま、この状況を改め、対策とせねばなりません。

 飛行場や通信拠点と補給処、そして付け加える留意点で巡航ミサイル防衛は陸上自衛隊の任務というよりは航空自衛隊の手薄が目立ちます、補給処の置かれている基地に基地防空隊がありません、補正予算ででも先ず既存の地対空ミサイルを要求、備えるべきでしょう。カリブルミサイルは射程2400km、沿海州からも日本は射程内にある現実をみるべきです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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キエフ包囲戦とロシア-NATO対立,冷戦後1990年代"蜜月時代"と2020年代の原点回帰

2022-02-26 14:10:33 | 国際・政治
■榛名備防録-回顧のポスト冷戦
 ウクライナのキエフがロシア軍に包囲されつつあり、黒海では日本の商船にミサイルが着弾、一昔ならばラニカイ号のように開戦の口実となるような緊張が続く。

 民放の時事情報番組、土曜日や日曜日と平日の午前中に放映されているもので、あれば大学教授や自衛隊OBが出ていてもバラエティとして考えなければならないので本来は聞き流すべきなのですが、テレビを点けたままにしていると耳に入ってくるものが在りまして、番組名は控えるが、つくば大学教授が今“ロシアをNATOに加盟させ解決”という案を。

 NATOの東方拡大、今回のウクライナ有事は、その背景に冷戦終結後の東欧諸国へのNATO加盟拡大がロシアへ脅威を与えている点が指摘されています。ロシアのプーチン大統領やラブロフ外相が繰り返しウクライナのNATO加盟拒否を明文化するようNATOや主要加盟国政府に要求したが、加盟は主権国家の権利として聞き入れられなかった構図があります。

 ロシアNATO加盟。しかし実はNATOは1990年代にロシアを加盟させようという動きがあり、NATOとロシアの決定的対立は、仮にロシアがエリツィン政権時代にNATOへ加盟していたならば、ここまで関係は悪化しなかったのかもしれません。もっとも、ロシアは2007年までNATOオブザーバー国となっていますので、現実味は当時こそありました。

 それでは、いまNATOに加盟させることで解決はできないのか。こういう論点は一応あるようです、が、そのためにはNATOを相当変革しなければ対応できないでしょう。具体的にはNATOは加盟国軍隊を上級指揮官が指揮できるよう共通言語が英語となっていますし、装備品も相互に融通が利くよう可能な限り共通化され、弾薬は共通化されるのがNATOだ。

 指揮系統へ英語の標準語、これは極端な話ですが米軍ストライカー諸兵科連合大隊の大隊長が負傷して後送され、まわりに米軍指揮官はいないがドイツ軍の中佐が居た場合、ドイツ軍中佐が米軍大隊を指揮できるようになっています。また、来日したオランダのフリゲイトですが艦載機がベルギー軍機で艦長はオランダ人だが副長がベルギー人ということも。

 NATO弾という単語がありますが、装備の共通化もNATOは7.62mmNATO弾とカラシニコフ銃としてゆうめいなAK-47は7.62mmで一見同じですが、NATO弾は7.62×51mmに対してAK-47は7.62×39mmで弾薬互換性はありません、野砲はNATOが155mmに対してロシアは152mm、戦車砲弾は120mmと125mmで、いまさら標準化はできません。

 冷戦後、ロシア軍は幾度か西側装備に関心を示しました、ロシア軍が現在ウクライナで使用しているティーグル軽装甲車はイタリアのイヴェコLMVの影響を、というよりも一時期ロシア軍はチェンタウロ戦車駆逐車採用を考えていましたし、驚くべき事ですが戦車でもドイツ統合で余剰となったレオパルド2A4戦車中古に関心を寄せていた時代もありました。

 チューヌルイオリヨールという、ロシア軍はソ連製T-72戦車が1991年湾岸戦争で輸出型とはいえまったくアメリカ製M-1A1戦車やイギリスのチャレンジャー戦車に対抗できず完敗したことで国産戦車開発を試みるも全く刷新した世代交代ができず、そこでいっそのこと中古のレオパルド2A4をという声が、NATOオブザーバー国時代にはあったのです。

 変革することで可能なのかもしれませんが、NATOは欧州連合軍司令部という指揮系統下にあり、冷戦時代には欧州連合軍司令官はアメリカ人で副司令官はドイツ人という系統が確立していたのですが、ロシアの妥協を得るには、ロシア軍全軍が指揮下に置かれることへの納得、欧州連合軍司令官を持ち回りでロシア軍とせねば、現段階では妥協は難しい。

 ロシアが納得するNATO改革はローマ帝国方式かもしれません、ブリュッセルのNATO司令部から極東を含めたNATOの指揮は現実的ではないので、NATOを東西に分割し、西欧連合軍司令部と東欧連合軍司令部に分け、そしてロシア軍もNATOに参加するが、その司令部はポーランドのワルシャワに置き、ソ連崩壊後に参加したNATO加盟国を隷下に。

 ブダペスト合意として、冷戦後NATOの東方拡大を行わないとした合意が反故にされたとロシアは憤っているのですから、ローマ帝国が東西に分裂したように西NATOと東NATOに切り替えよう。こうした提案ならば乗ってくるかもしれません。おそらく名称は司令部の立地からワルシャワ条約機構になることでしょうが。これくらいしないとロシアは拒む。

 ロシア軍はそののちに、東欧のポーランドとルーマニアに配備されたイージスアショアをロシア本土へ移設するので技術情報開示を要求してくるでしょうし、合同演習としてチェコやルーマニアへの長期駐留を要求してくるかもしれません、不都合になれば、脱退して今回のウクライナのようなことを行えばよい、利用できる範囲でNATOを利用するもの。

 目に見えているのですね、こうした破綻は。ロシアとNATOの不協和音は2007年のミサイル防衛システム東欧配備ですので、今回のウクライナ有事は、東欧のイージスアショア廃棄をもとめて、またBCT大隊戦闘群を100個集めてくるかもしれませんし、カリーニングラード防衛へバルト三国が核開発をしていると発言するのかもしれません。今回の様に。

 妥協できない水準、ロシアをNATOに加盟させようという発言は、驚いたのは安全保障系研究者から示されていることで驚きました。しかし、対立の根底が根深いのですから1990年代にでた議論を2020年代に示すのは、日本の真珠湾攻撃後に日米同盟を結んで危機を乗り越えよう、と提言するに等しい現実無視の論点ということとなります。現実を見よう。

 ロシアがNATO加盟を目指した時代もありましたが、それは1990年代の話であり、2000年代に関係悪化が始まり2010年代にロシアの軍事力が回復し、ある程度の作戦は行えるようになった、そして2020年代には大規模作戦を短期間で成功させることができるようになった、という点なのですね。当たり前ですが1990年代の感覚で2020年代は、語れません。

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令和三年度二月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2022.02.26-2022.02.27)

2022-02-25 20:22:03 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 ロシア軍がウクライナ首都キエフ近郊20kmのオボロンまで戦車を前進させているという。

 今週末も自衛隊関連行事はありませんが、今年予定されている国際観艦式にロシア艦が招待されることは無さそうだなあ、とウクライナ有事報道をみつつ痛感し、改めて北海道の最北を防衛する北鎮師団の写真とともに、しかしコロナ対策の現状を。死者数が過去最大となり、第一波で毎日数銭と云う最大死者を記録した欧州や北米と対照的になっている。

 インフルエンザ並、欧州の一部では事実上の感染対策終了時期を明示したイギリスのような事例があります。財政限界ということでしょうか、日本でも実施を、と求める声も出るのかもしれませんが、仮に実施した場合は治療費が自己負担となり、ECMO人工心肺装置を保険適用した場合でも負担が大きくなりそうで、インフルエンザ並の脅威といえるのか。

 日本の感染対策は同時に、COVID-19での治療費が公費負担となっています、これは指定感染症である為なのです、が、これはもし感染対策を終了した場合ではECMOはもちろん、入院費も自己負担では保険適用時でも費用は小さくありません。インフルエンザ並の対策とすべきだ、という方は、もし感染した場合の費用計算を試してほしいとも考えるのです。

 第六波、感染者数はピークに達したのでしょうか、年始から二ヶ月にわたり続きました感染は、しかし倍々という爆発的な増加はありません、しかし、たかどまりしているという印象で、感染ピークから徐々に降りる富士山型のグラフよりは感染ピークの地域がカルデラ湖になっていて高いまま続く、いうなれば榛名山型のグラフが続くのかもしれません。

 東京は前の週と比較し、本日の感染者数は1万1125名となっていまして、前週と比較した場合で5000名ほど感染者数が減っています、ただ、死者数が23名となっていますので、予断を許さないのですが重症化までの時間差という、過去の経験を踏まえますと感染者数が減少しているということは重症化のピークも見えている、ということ。危機はまだ続く。

 感染対策は、しかしそれほど油断というものは感じないのですよね、新幹線乗車率は確実に低下していますし、マスク着用率も、そしてワクチンに対する過度な陰謀論はなくブースト接種も遅れているが着実に進んでいるとともに法的義務化やワクチンパスポートなどの制度がないにも関わらず、二度までの接種率は高い水準となっている。安心要素は多い。

 月末。問題は水際対策などの現在の厳格な態勢が今月末までとなっていまして、この水際対策もオーストラリアやニュージーランドのように厳しすぎるという視点と、現在のまま施策を進めるのでは経済が保たないという経済界からの批判もありますが、入国後の一定期間隔離を確実に行う制度も無く、水際対策、このまま開けて大丈夫か、と懸念します。

 ソフトロー、ではありませんが日本は法的な厳しい措置を無く、自粛要請主体で感染抑制に成功した例外的な国となっていますが、同調圧力というような法的な裏付けを保たない感染対策には限界があり、例えば水際対策の緩和とともに、憲法上の問題は当然あるのですが法的措置というもの、履行させる法執行を考える必要を感じるところではあるのです。

 出口は見えています。他方でB.A.2という、この用語は別のものを思い出してしまうのですが、感染力の高さと重症化率の高さを併せ持つ変異株が既に日本において市中感染確認という報道を接しますと、出口は見えているのですが達してはいないため、依然として"収束はするが終息はしないので油断すれば集束感染"という状況です。まだ事態は進行中なのですね。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・今週末の行事なし

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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ロシア軍ウクライナ全面攻撃開始-首都キエフミサイル攻撃と東部地域での越境開始情報

2022-02-24 20:00:27 | 国際・政治
■戦争に!国連安保理機能不随
 ロシア軍はウクライナへ侵攻を開始した。ロシアは第二次大戦後には北海道の留萌と釧路よりも北側をソビエトに併合する主張を行っており余所事ではない。

 国連安全保障理事会は緊急会合を招集しました、国連本部のあるニューヨークはアメリカ東部時間では深夜であり、異例の招集です。ただ、国連安保理は機能不随に陥っています、安保理決議は強制力を有し国際合意や条約に上位する強行規範と国際司法裁判所は定義しますが、安保理常任理事国としてロシアは安保理決議において拒否権を行使できます。

 国連の任務は“国際の平和と安全の維持”ですが、拒否権を行使できる常任理事国は、国際の平和と安全を害する状況を想定していません。いや、明確には過去にもありました、それはスエズ危機、イギリスとフランス軍がイスラエル軍と呼号しエジプトのスエズ運河に侵攻、エジプトを支援するソ連が英仏両軍を食い止める為に核攻撃を示唆した際のこと。

 スエズ危機では、国連のハマーショルド事務総長が機能不随となった安保理での調停を断念し、国連安保理が派遣する国連軍に代わり、第一次国連緊急軍を総会決議で派遣決定、核戦争による第三次世界大戦を阻止しました。これをESS緊急総会“平和の為の結集決議”といいます、今のグテーレス事務総長に、こうした責務を果たしてほしいと切に願います。
■ロシア軍のハイテク戦争
 ロシア軍の軍事行動は、ウクライナ政府が組織的戦闘を行えていない状況で指揮系統麻痺に成功したと云えます。

 対中防衛に重点を置く日本ですが北方脅威を再認識すべきだ。ロシア軍によるウクライナ侵攻、過去の軍事行動と比較して非常に洗練されている印象です。もっとも、アメリカの軍事行動は“新月の深夜”に暗視装置を駆使して開始されますが、ロシア軍は“夜明けまでに巡航ミサイル攻撃を行い黎明と共に地上戦”という、シリア内戦介入において確立した方式を採ります。情報の混乱は指揮中枢破壊成功を意味する。

 カリブル巡航ミサイル。シリア内戦で使用され中距離核戦力全廃条約の関係上400km程度と考えられたものが自際には2400kmと意外に射程が長い事が確認されたロシア製巡航ミサイルですが、ロシア軍は射程の長い巡航ミサイルを多数そろえ、また2008年の南オセチア戦争では無人機の不足が課題となっていましたが、あれから14年、数が揃ったもよう。

 ロシア軍の戦闘基本単位はBCT大隊戦闘群で、これは自動車化歩兵大隊か戦車大隊を中心とした冷戦時代の自動車化狙撃連隊を小型化させた一種の混成戦闘群です、国境周辺に集まったBCTは100個前後、現在、ロシア国防省はウクライナ軍からの組織的な抵抗を受けていないとしていますが、陸空と無人機を合せた作戦により組織的抵抗を封じた構図だ。
■防空システムを制圧
 非常に厳しい論点ですが日本の北海道防衛にも参考とすべき厳しい状況です。

 北海道で将来の惨禍と成らぬよう。防空システムの制圧、ロシア軍の攻撃はウクライナ全土の空軍基地や地対空ミサイル部隊への攻撃から開始され、ロシア国防省は公式発表で"防空システムを制圧した"と表現しています。ウクライナ空軍にはソ連より継承したMiG-29戦闘機やSu-27戦闘機がともに30機程度装備されていますが、近代化改修は低調で元々稼働率も低く制空戦闘が行えません。

 ウクライナのレズニコフ国防相は"東部の部隊や軍司令部と飛行場がロシアから激しい砲撃を受けている"と発言したことがロイターにより報道されており、"砲撃"、即ち地上軍部隊の侵攻へ準備射撃が開始されていることをしめしています。このほか、ゼレンスキー大統領はウクライナ全土へミサイル攻撃も行われていると発言している。状況は悪化している。

 ゼレンスキー大統領はウクライナ全土に戒厳令を発令し国民に冷静を呼びかけました。全土へ非常事態宣言を公布してから僅か五時間、ロシア軍の侵攻が開始され、より厳しい戒厳令により、道路渋滞を防ぎ軍事輸送を第一とする態勢を執る。なおウクライナ軍による抗戦など情報は確認されていませんが、ウクライナ側に死者が出ていると発表があります。
■ウクライナ三方面から攻撃
 ウクライナ東部への限定侵攻という認識ですが攻撃そのものはウクライナ全土に及んでいます、ただNATO加盟国ルーマニア国境付近には攻撃は及んでいません。

 三方向から攻撃が開始された、ウクライナ国境警備隊の発表をロイター通信が報道でしています。ウクライナ国境警備隊の発表では、ロシア本土、ベラルーシ、そしてクリミアから攻撃が行われているとのこと。ロシアのインタファックス通信によればロシア軍は黒海から海軍歩兵部隊による上陸作戦を開始とも情報がありますが、ロシアの発表で確認中だ。

 ルガンスクとドネツク、ウクライナ東部二州へ限定侵攻が行われると考えられていますが、ミサイル攻撃は南部にも及んでおり、これが単なるロシア軍によるウクライナ軍の空軍力無力化だけであるのか、続いてハリコフやキエフといった主要都市やオデッサなどの港湾都市制圧への準備攻撃であるのかは現時点で確認できません。情報は錯そうしています。

 ウクライナ占領を目指すものではない、プーチン大統領はテレビ演説にこう述べていますが、ウクライナ東部は既にウクライナ領土と見なしていません、プーチン大統領にとってのロシアウクライナ国境線がどこにあるのかが不明確であり、侵攻側の攻撃軸に沿って攻勢限界線まで際限なくロシア軍の前進が続くことが、現在の懸念事項といえるでしょう。
■プーチン大統領,攻撃を正当化
 日本はロシアのこうしたこじつけの主張を記憶に刻む必要がある。

 侵攻を正当化する理由として、プーチン大統領は"ウクライナ東部でのロシア系住民虐殺"が計画的に行われているとし、"ロシア語をはなすことができる住民に対する過去何年間もの圧政”があるとしたうえで、"更なるウクライナ政府による住民抑圧の証拠を掴んだ"としています。その上で"すべての責任はウクライナ政府にある"とし"侵略ではない"としている。

 虐殺の有無については、あり得ません。なぜならばOSCE全欧安全保障協力機構の停戦監視団がロシア軍はもちろん、ウクライナ軍を含めて東部地域、ウクライナ東部紛争の停戦合意地域を監視しており、軽火器はもちろん、刃物や鈍器による事件をも対象としていますが、OSCEの監視では確認されていません。OSCEの中立性は、ロシアから見ても高い。

 OSCEは元々ソ連が提唱して開催されたCSCE全欧安全保障協力会議が東西冷戦後に常設機構として拡大されたものであり、欧州の策謀というものではなく、ソ連提唱の組織がヨーロッパ全体、ロシアはもちろん中立国も含め、参加している組織です、その組織が虐殺はないと結論を出し、当該地域でウクライナからの停戦合意違反もないとしているのです。
■首都への陸上侵攻は未だ無い
 重要な情報です。

 ウクライナ情勢について、しかし現時点で“陸上侵攻が行われているのは東部地域”であり、“ロシア軍の首都キエフへの直接侵攻は日本時間1930時時点では確認されていない”という状況は理解しておく必要があります。東部地域への限定侵攻と首都キエフ侵攻とでは、ウクライナ国家の存続か、限定侵攻となるか、この二点で大きく異なるのですから。

 首都キエフ周辺の空港では既にミサイル攻撃が行われていますが、ウクライナ空軍の作戦能力を麻痺させる、若しくは指揮命令系統を麻痺させる事が目的であり、ミサイルや空爆では地域を占領する事は出来ません、もっとも、キエフはベラルーシウクライナ国境から直線距離で90kmという距離であり、機械化部隊が越境を開始した場合は数時間の距離だ。

 ウクライナ軍が東部地域のロシア軍に対して身動きが取れない背景には、首都キエフから兵力を移動させた場合は、手薄となったキエフがベラルーシ国境より南下したロシア軍により短時間で制圧される懸念があるのです。ロシア軍侵攻開始から既に八時間を経ましたが、現在ウクライナ軍指揮官やウクライナ政府にとり、厳しい状況と云わざるを得ません。
■日本政府の対応
 邦人保護や日本大使館に関しての情報です。

 我が国の対応について。欧州とアメリカが実施した経済制裁に呼号し日本も限定的なロシアへの経済制裁の発動を発表しましたが、これよりも先ず邦人保護やキエフの日本大使館などの問題に即座の対応がせまらえています。先ず在留邦人について、現在のところ外務省は法人への被害を確認していません、只全員の無事を確認もしていない但し書きが付く。

 邦人安全確保については、チャーター機運行の目処を点けていると岸田総理大臣は発言しました、ただ、ロシア軍巡航ミサイル攻撃によりウクライナの空港設備が多数被害を受けており、ロシア政府に対しウクライナの非武装平和都市と無防備宣言により安全が確認された空港やロシア軍からの安全が保障された航空路線があるのか、この確証はありません。

 キエフの日本大使館について。キエフの日本大使館は最小限の人員を残して縮小維持されていました、大使館は外交関係に関するウィーン条約に守られていますが、旧ユーゴスラビア紛争へのNATO介入では誤爆被害などの事例もあります。この為、日本大使館に残る最後の要員は日本大使公邸へ避難しているとのこと。邦人保護も大きな課題といえます。
■アメリカ,SWIFT除名決断せず
 バイデン大統領の決断が二転三転し日本の鳩山内閣時代を見るようでアメリカは優柔不断と云う印象をぬぐえません。

 アメリカ始め各国の対応について。アメリカは当初SWIFT国際銀行間通信協会からの除名によりロシアと世界の銀行取引を不能とさせる厳しい措置を示唆していましたがロシア政府系銀行一部の取引を禁止し、ロシア国債の取引を禁止した程度であり、史上かつてない規模の経済制裁を示唆したSWIFT除名への手続きは採っていません、アメリカに迷いが。

 バイデン大統領は、アメリカ世論にウクライナ危機への不関与を求める声があり、世論調査で53%が関与を望まない声がある、また経済制裁を行えばインフレの更なる加速が懸念されるため、躊躇している構図が在ります。民主主義の牽引者というアメリカの地位も、もはや落日の印象がぬぐえず、また本土からのNATOへの重戦力増派も行われていません。

 ドイツ政府はショルツ首相が覚悟を決め、ロシアからの天然ガスパイプライン“ノルドストリーム2”建設手続き凍結を決断しました。ドイツはロシア産天然ガス依存度が45%となっていますが、国内エネルギー危機の懸念よりも、かつてファシズムが行った施策の踏襲というべき危機に、ドイツの新首相は覚悟を決めて立ち向かう構図となっています。

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【臨時情報】プーチン大統領“ウクライナ東部の住民保護に特別な軍事作戦を実施する”キエフで爆発音-NATO駐在員確認

2022-02-24 12:55:25 | 国際・政治
■ウクライナ侵攻開始の可能性
 本日はお昼の時間帯ですが臨時情報としてウクライナ情勢に関する速報をお伝えします。

 ウクライナ有事が現実のものとなった可能性があります。ロシアは日本にとっても隣国であり、また冷戦時代においては我が国にとり北海道への直接侵攻の蓋然性があり、現在においても北海道での防衛力整備が本州四国地域と比較し重装備が強化されるなど、安全保障上でも微妙な関係が続いている二国間関係です。そのロシアに先程動きがありました。

 キエフへのロシア軍攻撃が開始された可能性があります。日本時間正午ごろ、ウクライナの首都キエフにおいて複数の爆発音が聞こえたとキエフ駐在のNATO要員の通知が在った事をロイター通信が報道しました。またキエフからアメリカCNNの現地取材中継の最中にも爆発音が確認され、とり急ぎヘルメットとボディーアーマー装着に迫られる様子が。

 プーチン大統領は、キエフでの事態直前、国民向けのテレビ演説において“ウクライナ東部の住民保護に特別な軍事作戦を実施する”と発言、この根拠としてウクライナ東部のドンバス地域でのルガンスク人民共和国、ドネツク人民共和国、を自称する武装勢力をロシアが国家承認し、この両国から防衛の為の軍事支援の要請を受けた為、と発言しています。

 オデッサとクラマトルスク及びハリコフでも複数回の爆発音が在ったとロシアメディアがウクライナ国内報道を引用する形で報じた。オデッサは黒海沿岸部でウクライナ南部に当り、ロシア黒海艦隊とクリミア併合により不法占拠が続くクリミア半島から近距離にあり、またハリコフはウクライナ東部で第二の都市、ハリコフ戦車公社など軍需産業の中心だ。

 ハリコフにキエフとウクライナ国内全土で何らかの事態が進行中という事は受け取れますが、ロシア側の発表であり、複数回の爆発は、砲兵射撃、弾道ミサイルや巡航ミサイル攻撃か特殊部隊浸透か擬餌情報の懸念があります。また擬餌情報の他に偽旗作戦として、ロシア軍がウクライナ軍より攻撃を受けた等の口実の可能性があり、情報精査が必要となる。

 キエフにはロイター通信などが定点カメラ映像を全世界にWeb配信しており、ロイター通信日本語版でもキエフの現在の情報は見る事が可能で、サイレン音等は確認されますが継続的な爆発や爆撃と戦闘のようなものは映っている角度からは確認できません。ウクライナ政府は全土に非常事態宣言を発令し、ロシア軍侵攻に全力で対処する姿勢を示しました。なお著作権上の関係から写真はロシア艦を舞鶴で撮影したもの。

 日本周辺でのロシア軍による顕著な行動は発表されていません。さて、ウクライナ現地時間ではまだ夜明け前の時間帯ですが、プーチン大統領はルガンスク人民共和国とドネツク人民共和国を国家承認し、この両国から救援要請を受け、という立場をとっています。ただ、ルガンスク人民共和国とドネツク人民共和国はドンバス地域の半分を占めるのみです。

 ルガンスク人民共和国、ドネツク人民共和国。ウクライナ有事がどこまで拡大するかは未知数ですが、ロシア軍の行動がルガンスク人民共和国、ドネツク人民共和国、その両国に留まらずドンバス地域全域、若しくは東部主要都市であるハリコフへ侵攻する可能性があり、またキエフのウクライナ中枢を制圧する事でウクライナを国家崩壊させる懸念もある。

 キエフの空港での戦闘やハリコフ周辺で越境との現地報道もありますが、現時点では真偽確認が難しく、ロシア軍の行動がどこまで及ぶのか。ウクライナ軍がルガンスク人民共和国、ドネツク人民共和国に今後及ぼす脅威を排除するとして全土を占領する可能性、全土を攻撃しつつ攻撃軸は東部に留まる可能性もあり、今後の情報を見守るしかありません。なお、著作権上の関係から写真はロシアに最も近い戦闘機部隊が置かれる千歳基地夏の情景です。


北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】慈照寺/銀閣寺,足利義政と“ケンポーキュージョー”下の現代日本列島

2022-02-23 20:20:39 | 写真
■ウクライナ危機を無視する日本
 室町将軍足利義政には芳しい歴史的な評価が無いように見えるのですが、歴史を鏡として現代日本に重ねた場合に低く評価する事は自己評価にもつながるのではないでしょうか。

 絶望の楽園にこもったのは足利義政、銀閣寺をこう表現したのですが、今の日本は世界政治の混迷と大戦への危機と云い得る厳しい状況、日本と云う絶望の楽園へ日本国民が現状を無視して籠っている構図そのものではないか、ふと歴史書を時事に置換えた際に思う。

 足利義政、応仁の乱の時代には室町殿を将軍本陣としていましたが、此処が火災に見舞われますと義尚と共に小川殿に遷座し、しかし側室を義尚と取り合う事になり、その混乱から義政は隠遁所として造営していた東山殿に遷り、ここで自分の世界に籠ってしまうのだ。

 歴史は足利義政を乱世の延焼するままに傍観し必要な措置を執らなかった無能の室町将軍として記憶しているのですが、しかし、これを今の日本社会、日本の私たちは揶揄する事は出来るのでしょうか。義政が銀閣寺に籠ったように、日本も世界から籠っていないか。

 自由主義圏の安全保障に日本も貢献できる事はあるのではないか、それも工場としてではなく兵器廠としての役割は勿論、防衛力の展開も含めて必要ではないかと考えます。こう論説するだけで、いやしかし日本には憲法九条が云々、こうした反論が定番で戻りますが。

 伝統芸能“ケンポーキュージョー”、率直に言いますと第二次世界大戦終戦が1945年、四捨五入すれば百年近く前の敗戦と共に築かれた国際公序に日本は載っているつもりなのかもしれませんが、レジームチェンジというものは冷戦時代と冷戦後と、幾度か起きている。

 ウクライナ危機と米中対立の構造は、人間の安全保障としての自己実現への権利を国家が成約するか人間は自由であるべきか、人間の価値基準をその人の個性が画定するのか国家が命じるのか、この対立でもあるのですね。この点で両側は相いれない関係がるのです。

 憲法九条を理由に日本と云う国家に引きこもり、最低限の防衛協力は行うよ的な施策は、あたかも足利義政が築いた絶望の楽園、銀閣寺にこもった構図を憲法と云う国内法を盾に世界政治を無視し日本国家が国家単位で行おうとしている様にしか、見えないのですよね。

 国際貢献、こう表現すればPKO,こればかりを思い浮かべられる方が多いのも事実ですが、例えば現在の陸上自衛隊は空挺団や水陸機動団などのごく少数を除き、地域配備部隊が連隊毎の管区を都道府県単位で有しています、北海道では支庁単位か、ここが少し違和感が。

 連隊戦闘団、現在の連隊戦闘団は人数の多い師団普通科連隊が戦闘団を組める戦車部隊が北海道以外師団に無くなりつつあり、特科大隊は特科代替で師団特科が廃止され方面特科に転換しつつある過渡期です、しかし、ここをまともな装備に置換え、主役とする必要が。

 防衛協力、日本が同盟国は勿論、安全保障包括協定を結んだ英仏や豪州、NATO諸国や東南アジア諸国と協力を強化するには、水陸機動団や空挺団だけが自衛隊ではない訳で、全国の普通科連隊を連隊戦闘団として、規模は小さくとも各国と防衛協力を行う必要もある。

 太平洋地域で極東ロシア軍の演習に対して厳しく牽制するなど、強い行動をとる選択肢も有る筈ですし、何よりもう少し政府の情報収集能力を、組織の拡大など対応し、大規模地域紛争は許さない姿勢を鮮明とするだけでも、日本にできる事は多いように思えるのです。

 義政は応仁の乱の後の荒廃や混乱を無視して隠遁所として造営していた東山殿に遷り自分の世界に籠ってしまった。これを無責任と考えるならば今の日本を見ていない事になるのですね。日本の世界への影響力は依然として高い、問題は影響力を行使しない事に在る。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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