■アメリカの壁
対テロ政策の迷走、アメリカ世論においてトランプ氏支持層が一定層いる中で、一番のリスクは将来的にアメリカ世論がどのようなテロ対策を求めるのかが不明確である、という部分が挙げられます。
アメリカの壁、という表現でトランプ氏のイスラム教徒入国禁止やメキシコ国境への壁建設を提示しましたが、究極的にトランプ氏が望み、そして支持層も理想とするのは、かの小松左京氏の名著“アメリカの壁”のように周辺国からその接近を拒絶し孤立する事を目指す、というものであるのでしょうか。
即ちこれまでアメリカは9.11同意多発テロ以降アメリカ本土へテロ勢力が脅威を及ぼす兆候を受けると共にその兆候が現実のものとなる以前に自衛権を先制行使するとの施策をブッシュ政権時代に確立、現在のオバマ政権時代には自衛権先制行使の枠組を地上軍派遣型から無人機主体へ転換し積極姿勢から兵力展開を大きく見直す形へ転換しています。
転換したのですが、トランプ氏が掲げる政策は、アメリカの壁として中東方面への兵力展開を抜本的に見直し、日本に対しては同盟関係の土台を揺るがす事で在日米軍の撤退を示唆し、欧州地域に対してもロシアからの軍事圧力が強まる中で関与の度合いを引くことを呈示しています。ただ、この問題点はアメリカがこれまで維持してきました世界への影響力を負担と置き換えて撤退する事に他ならず、アメリカの影響力がなくなる地域では他の勢力が台頭するでしょう。
日中対立は日本がミサイル防衛システムを完成させることで核兵器による恫喝に対しては一定程度対向した上絵通常戦力による日中対立が深まる事でしょうが、朝鮮半島での脅威を日本がアメリカに代わり韓国の防衛に当たる事は憲法上と国民感情からは不可能となりますし、東南アジア地域でも日本がアメリカに代わり護る事は出来ず、仮に可能性があるとしたらば日豪印の参加国が連携しアメリカに代わる勢力を構成する事でしょう。
更にトランプ氏はTPPからの脱退を示唆していますので、そのままTPPが発効すれば、環太平洋地域において日本を中心とした多国間経済協力体制が構築されますので、TPP加盟国を中心としてTPP枠組みを防衛枠組へ昇華させる事である程度見通しは立つ事でしょうが、TPPとアメリカが加盟する北米自由貿易協定NAFTAの経済摩擦が生じる可能性があります。
アメリカは国際協力の枠組から出てゆくのであり、アメリカに籠るのですからある種当然ではありますがこの対立構造の構築に対しアメリカはどのように向き合うのかは未知数です。そして引きこもるアメリカに対し、テロ対策はどうなるのか。取り上げられなくなったとはいえこれまでに提示されたのは、イスラム教徒の入国を禁止するとの事ですが、この施策だけで確実にアメリカとイスラム文化圏が対立する事を意味します。
当然、アメリカはテロの対象となりますが、イスラム教徒を入国禁止とするとして、どのようにしてイスラム教徒を他の宗教と区別するのか、サウジアラビアの様に入国の際に外国人へ宗教を申告させる方策はありますが、この真偽を確認する事は非常に困難です、またアメリカ国内にも多数のイスラム教徒はいまして、更にホームウロウンドテロとしまして宗教に関係なく社会から経済的や人種的に孤立した層が勝手に過激思想へシンパシーを感じテロを行うというリスクは忘れてはなりません、すると、アメリカはテロ対策を国内以外で行わない、という事になるのでしょうか、この部分が不明確、リスクです。
北大路機関:はるな くらま
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
対テロ政策の迷走、アメリカ世論においてトランプ氏支持層が一定層いる中で、一番のリスクは将来的にアメリカ世論がどのようなテロ対策を求めるのかが不明確である、という部分が挙げられます。
アメリカの壁、という表現でトランプ氏のイスラム教徒入国禁止やメキシコ国境への壁建設を提示しましたが、究極的にトランプ氏が望み、そして支持層も理想とするのは、かの小松左京氏の名著“アメリカの壁”のように周辺国からその接近を拒絶し孤立する事を目指す、というものであるのでしょうか。
即ちこれまでアメリカは9.11同意多発テロ以降アメリカ本土へテロ勢力が脅威を及ぼす兆候を受けると共にその兆候が現実のものとなる以前に自衛権を先制行使するとの施策をブッシュ政権時代に確立、現在のオバマ政権時代には自衛権先制行使の枠組を地上軍派遣型から無人機主体へ転換し積極姿勢から兵力展開を大きく見直す形へ転換しています。
転換したのですが、トランプ氏が掲げる政策は、アメリカの壁として中東方面への兵力展開を抜本的に見直し、日本に対しては同盟関係の土台を揺るがす事で在日米軍の撤退を示唆し、欧州地域に対してもロシアからの軍事圧力が強まる中で関与の度合いを引くことを呈示しています。ただ、この問題点はアメリカがこれまで維持してきました世界への影響力を負担と置き換えて撤退する事に他ならず、アメリカの影響力がなくなる地域では他の勢力が台頭するでしょう。
日中対立は日本がミサイル防衛システムを完成させることで核兵器による恫喝に対しては一定程度対向した上絵通常戦力による日中対立が深まる事でしょうが、朝鮮半島での脅威を日本がアメリカに代わり韓国の防衛に当たる事は憲法上と国民感情からは不可能となりますし、東南アジア地域でも日本がアメリカに代わり護る事は出来ず、仮に可能性があるとしたらば日豪印の参加国が連携しアメリカに代わる勢力を構成する事でしょう。
更にトランプ氏はTPPからの脱退を示唆していますので、そのままTPPが発効すれば、環太平洋地域において日本を中心とした多国間経済協力体制が構築されますので、TPP加盟国を中心としてTPP枠組みを防衛枠組へ昇華させる事である程度見通しは立つ事でしょうが、TPPとアメリカが加盟する北米自由貿易協定NAFTAの経済摩擦が生じる可能性があります。
アメリカは国際協力の枠組から出てゆくのであり、アメリカに籠るのですからある種当然ではありますがこの対立構造の構築に対しアメリカはどのように向き合うのかは未知数です。そして引きこもるアメリカに対し、テロ対策はどうなるのか。取り上げられなくなったとはいえこれまでに提示されたのは、イスラム教徒の入国を禁止するとの事ですが、この施策だけで確実にアメリカとイスラム文化圏が対立する事を意味します。
当然、アメリカはテロの対象となりますが、イスラム教徒を入国禁止とするとして、どのようにしてイスラム教徒を他の宗教と区別するのか、サウジアラビアの様に入国の際に外国人へ宗教を申告させる方策はありますが、この真偽を確認する事は非常に困難です、またアメリカ国内にも多数のイスラム教徒はいまして、更にホームウロウンドテロとしまして宗教に関係なく社会から経済的や人種的に孤立した層が勝手に過激思想へシンパシーを感じテロを行うというリスクは忘れてはなりません、すると、アメリカはテロ対策を国内以外で行わない、という事になるのでしょうか、この部分が不明確、リスクです。
北大路機関:はるな くらま
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