北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

海上自衛隊第46期一般幹部候補生課程明日卒業式 外洋練習航海部隊明日江田島出航

2013-01-31 22:29:22 | 北大路機関 広報

◆第12護衛隊はるゆき・あさゆき・はたかぜ出航

 明日、第46期一般幹部候補生課程(部内課程)の卒業式が江田島基地において行われます。

Eimg_9310 第46期一般幹部候補生課程(部内課程)卒業者は106名で、うち4名は女性です。卒業式は江田島基地にて1050時から1135時まで実施、その後1315時から1345時まで卒業生は外洋練習航海へ出港、その卒業生見送り式が行われ、式典は一般非公開ですが江田島ではその出港の様子を見ることが出来ます。

Eimg_9055 外洋練習航海は第12護衛隊司令宅間秀記1佐以下護衛艦三隻が参加し、艦長大森浩昭2佐指揮の護衛艦はるゆき、西山高広2佐以下護衛艦あさゆき、艦長鈴木雅弘2佐以下ミサイル護衛艦はたかぜ、が参加し、人員は乗員と卒業生を併せ630名の外洋練習航海部隊とのこと。

Eimg_0568 外洋練習航海部隊は、明日2月1日に江田島基地を出港したのち、インドネシア共和国ジャカルタとマレーシアのポートクランを訪問したうえで3月12日に帰国予定とのことです。練習艦隊の近海練習航海は三月に行われます。江田島は遠いですが、お近くでお時間に余裕がある方は、江田島の江田島基地ちかくまで足を運んでみてはどうでしょうか。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自衛隊のF-35戦闘機は三沢基地より配備開始 2017年度以降に最初の四機が配備

2013-01-30 22:19:46 | 防衛・安全保障

◆2013年度防衛予算へ三沢基地F-35運用基盤 

 防衛省は航空自衛隊の次期戦闘機F-35最初の配備基地を青森県三沢基地とする方針を発表しました。

Gimg_6610 青森県の航空自衛隊三沢基地は北部航空方面隊司令部が置かれ北日本の航空防衛の中枢であり、F-2支援戦闘機二個飛行隊を運用する第三航空団が展開しているほか、E-2Cの運用基盤があり、加えてF-16を運用する米空軍第35戦闘航空団が展開する極東地域有数の空軍基地となっています。

Dimg_0953 防衛省の2013年度予算には、F-35運用基盤として三沢基地へ配置する訓練用シュミュレータ等の設置調査費用800万円が計上され、防衛省によればF-2用強化型掩体など利用できる既存設備が多くある点が重視され、F-35最初の配備基地を三沢基地としたとのこと。

Nimg_8455_1 航空自衛隊は、新型の戦闘機を導入する際に最初の飛行隊を編成し、この飛行隊を元に機種転換訓練などをほかの飛行隊の飛行要員や整備要員に対し実施する、マザースコードロンという方式を採用し、F-4戦闘機では百里基地に、F-15戦闘機では新田原基地にマザースコードロンが置かれました。

Img_71338 マザースコードロンは、最初の飛行隊となると共に教育訓練支援が一つの任務となるため、余り緊張地域の近くに置くことは出来ず、この点がロシア機の影響を受ける北海道にほど近い三沢基地へ配備されることとなり、現在の西方、特に南西諸島へ安全保障上の影響が大きくなっていることを端的に示しているでしょう。

Img_2673 一方、三沢基地へ最初のF-35飛行隊が配置される背景には三沢基地の配備部隊という特色が反映されているとも考えられます。前述の通り三沢基地にはF-2二個飛行隊を有する第三航空団に加えて、米空軍がF-16二個飛行隊を以て編成する第35戦闘航空団が展開しており、この関係も多少考えられるやもしれません。

Img_2749 航空自衛隊の戦闘機部隊が展開しているのは、北方から千歳基地・三沢基地・百里基地・小松基地・築城基地・新田原基地・那覇基地、在日米軍で米海空軍海兵隊の戦闘機部隊基地は北方から三沢基地、厚木基地、岩国基地、嘉手納基地となっており、三沢基地は唯一日米の戦闘機部隊が展開する基地です。

Img_2498 日米の戦闘機部隊が展開しているほかにもう一つ此処から続き話があります、米空軍は日本における最初のF-35飛行隊を嘉手納基地のF-15戦闘機を中心に運用している第18航空団に編成する計画ですが、F-35は元来F-16戦闘機の後継機という位置づけであり、これは即ち三沢基地に対しても配備されることは言うまでもありません。

Img_2642 このことはF-35に関して日米での運用研究の情報交流が行えることを意味し、加えてアラスカなどでの訓練や日米共同の対戦闘機訓練などについても、特に頻度について訓練環境が良好となることを意味します。なによりもF-35は開発中の機体であり、日米同時に、とは言いすぎですが運用経験を蓄積するにはもってこいといえるのではないでしょうか。

Nimg_3143 ほかにも、三沢基地は弾道ミサイル脅威から距離があることと、これだけではなく三沢基地から遠くない車力分屯基地へ米陸軍が弾道弾警戒レーダ装置を持ち込んでいるため、ミサイルからの警戒監視体制では日本で最も安全な地域といえます。他の基地よりも三沢基地はこの点で有利ということ。

Img_8042 こうして後継機の配備が開始されるF-4戦闘機なのですが、F-4戦闘機は現在戦闘機部隊として茨城県の百里基地と宮崎県の新田原基地へ配備されています。三沢基地のF-2飛行隊二個は航空自衛隊で最も新しい戦闘機ですので、そのまま第三航空団のどちらかの飛行隊は転地されることとなる。

Bimg_3001 可能性としては、もちろん百里基地や新田原基地へ転地も考えられるのですが、例えばF-15とF-2を一個飛行隊づつ配備している福岡県の築城基地へ配備され、F-15飛行隊を更に転地、築城基地にF-2二個飛行隊を集中配備させる、という方策はあるやもしれません。もしくは、現在一個飛行隊基幹の那覇基地第83航空隊は近く二個飛行隊基幹へ改編される計画ですので、那覇基地への転地もありえるところ。

Fimg_9487 ともあれ、ようやくF-35の部隊配備が現実味を帯びてきました、最初の4機が三沢基地へ到着し配備が開始されるのはは2017年度以降とはなりますが、既に岐阜基地の飛行開発実験団にはF-35準備隊が発足しており、航空自衛隊はステルス機の時代の到来へ準備を進めることとなります。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (12)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自衛隊ハイチ派遣国際救援隊撤収支援要員成田へ帰国!震災復旧成し遂げた自衛隊

2013-01-29 22:37:34 | 国際・政治

◆第八次派遣隊30名帰国

 防衛省によれば25日金曜日、ハイチ派遣国際救援隊第八次派遣隊で撤収支援要員の帰国が完了したとのことです。

Img_4627 帰国したのは神成健一1佐以下30名で、成田空港へ民間航空機にて帰国しました。ハイチ地震は2010年1月12日、死者31万6000名を越え、想定される南海トラフ連動地震に匹敵する地震でしたが、自衛隊派遣は一定のハイチを含めた国際的な評価を得て、地震から三年を経て完了したわけです。

Gimg_3747 ハイチ派遣は、当時の鳩山政権が友愛ボートの東南アジアでの訓練を優先したことで派遣が遅くなり、三カ月から半年程度とされた自衛隊派遣は延長に延長を重ねましたが、国民の半数が被災し、GDPの六割を30秒間で失ったハイチへ、耐震強度診断など次の震災からの減災の取り組みなど、災害列島日本の自衛隊ならではの支援は出来たといえるでしょう。

Img_4407 自衛隊派遣は2月5日に派遣命令が出されたのですが、現地の治安は極度の食糧と医薬品不足を原因とする略奪や復旧の遅れからの救援受入れ基盤の喪失に加え伝染病など、厳しい環境に陥りましたが、装甲車や機関銃を含めた装備により万全の装備にて派遣され、初のPKO任務へのKC-767運用などが行われました。

Simg_3590 一方、日本ではハイチへの派遣から一年と少し後に東日本大震災が本土を襲い、こちらも甚大な被害となりましたが、その間においてもハイチでの任務を継続しています。想像は厳しいですが、南海トラフ地震が想定される最大規模で生起した場合、名古屋と大阪を含む静岡から九州までの沿岸部が津波により甚大な被害を受けるため、官民が如何に準備するか、今回の派遣と共にハイチ地震のインフラ破壊などの研究も今後望みたいところです。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

防衛産業、我が国防衛力を構成する重要要素の将来展望⑬ 装備選定費用の重要性

2013-01-28 21:23:05 | 防衛・安全保障
◆試験購入への財務当局者の理解が重要
 前回、カタログスペック重視の落とし穴を紹介しましたが、今回もこの内容に少し重なる部分があります。
Dimg_9405 今回は参考品を調達する意義について、陸上自衛隊はカタログスペックや実戦での評価などを重視し、参考装備を実際に装備せず海外装備を導入した事例を前回提示しましたが、来年度予算に導入が盛り込まれることとなったAAV-7水陸両用装甲車、そしてAH-1S対戦車ヘリコプターのように参考装備を充分でゃない防衛費の中から捻出した等の実例がありました。
Dimg_5953 陸上自衛隊はAAV-7水陸両用車両を四両参考品として30億円で導入する予算を来年度予算に盛り込みました。30億円といえば、UH-60JA多用途ヘリコプターの取得費用に迫るもので、軽装甲機動車100両分、96式装輪装甲車二個中隊所要強、10式戦車4両分の費用となり、慢性的な装甲車不足でヘリコプターの代替もままならない陸上自衛隊にとり決して安い費用ではありません。
Dimg_6430 しかし、水陸両用車は陸上自衛隊が離島防衛における奪還での重要な装備という位置づけであり将来的に装備する必要性がある一方で、現在までに陸上自衛隊はこの種の装備を殆ど装備してきておらず、僅かに武器学校が第二次大戦中の米海兵隊用水陸両用車LVTを草創期に導入したほかは、94式水際地雷敷設車のような例外的なものが導入されるに留まっていました。
Dimg_6945 現在の96式装輪装甲車は最初から浮航能力を考えていません、73式装甲車など、自衛隊は渡河用に浮航能力を有する車両は何種類か開発しているのですが、波浪のある海上での運用となれば別であり、73式装甲車と似た発想で先行し開発された米軍のM-113装甲車も浮航能力がありますが海上での運用には適さないため、此処に着目したイタリアがM-113アリゲータ水陸両用装甲車を開発したほどです。
Dimg_0192 陸上自衛隊は今回の四両の参考品をもとに、この種の装備を実際に運用するうえでの問題点やどの程度運用経費が必要であるかなどの総合的な研究を行い、同種のものを追加調達として輸入もしくはライセンス生産するのか、日米共同開発を含めた新型車両の開発を行う必要があるのか、この種の装備は不用でヘリコプターなどによる離島防衛手段を整備するのか、結論を出すこととなるでしょう。
Dimg_5168 30億円、新しい装備が実際に使えるかどうかの研究費用はこれまで、他に優先し調達しなければならないことがあったため多くの場合、カタログスペックや実際の運用に基づかない戦闘詳報等の入手により装備を行うのか、断念するのかを決めてきた事例が比較的多い中で、30億円を使えるかどうか、というそれだけの研究に投じたことは、一見無駄の可能性もありながら、無理に装備化することで却って無駄を生じさせるリスクを回避した、という点で大きく評価されるべきです。
Dimg_8901 実は参考品の調達、というものは今回が初めてではありません、航空自衛隊の草創期などは国産機開発においての技術的問題点の割り出しへ、例えばイギリスのデハビラント社製ヴァンパイア練習機を参考品として調達しており、これは現在でも浜松基地航空自衛隊広報館で展示されているほか、陸上自衛隊も61式戦車開発への技術的資料としてM-36駆逐戦車を購入し、現在は土浦駐屯地の武器学校で保存展示されています。
Dimg_9923 AH-1S対戦車ヘリコプターも実は参考購入され、研究が行われた装備の一つで、米軍が1:19の撃破比率による高い対戦車攻撃能力を強調していたため、陸上自衛隊では2機の参考品購入を大蔵省に出しました。これは余りに高すぎるため0機へ査定されているのですが、陸幕と航空学校は丹念にこの装備の有用性と費用対効果の高さの可能性を説得し、復活折衝にて1機分の予算が認められました。
Dimg_9089 新しい対戦車ヘリコプターという装備を最初の年に1機を導入し、操縦特性の研究や野戦整備の研究に、翌年度にさらに新しく研究用の1機を導入し、第二戦車大隊(現在の第二戦車連隊)を仮設敵とした実動訓練に投入、一個中隊の防御陣地に対し仮設敵一個戦車大隊を攻撃前進に充て、防御側の支援にAH-1Sが2機展開する、との想定で実施され、戦車大隊はAH-1Sを2機とも撃墜した一方で潰滅的損害を受けたことから有用性が理解され、大量配備へ至った、とのこと。
Dimg_4174 参考品といえどもAH-1Sは当時の74式戦車に換算して4両分に迫る調達費用といわれ、冷戦時代において北方は明日実施されるかもしれない新冷戦下の東西緊張の中、1両でも多くの74式戦車や75式自走榴弾砲により火力を揃えねばならない状況下にありました。こうした中で我が国の険しく地皺に富み、そして天候も変わりやすい地形においてAH-1Sを2機揃え、研究を行った、ということはそれだけ研究も費用を投じて不用か必要かの見極めを真剣に行っていたという証左やもしれません。
Dimg_4338 もちろん、参考品とはいえ、我が国が海外装備の導入を希望する場合、海外装備は既にその国の仕様に合わせて短くない期間の評価試験を経て正式化されているものですから、海外装備品の導入を希望し、それが実現し、その研究を終えるまでに余分な数年を要することは確かで、その間に旧式化する、別の方向へ装備体系の趨勢が転換する、代替装備が国産開発可能な水準となる、こうした可能性はもちろんあるにはあります。
Dimg_0355 ただ、使えるかどうかを実際に検討せず、特に日本国土は世界的に稀有な高山部が多い列島の集合体という島国ですし、日本国は世界的に見ても例外的な徹底した専守防衛による領域内に引き込んでの防衛戦闘を想定している運用体系に依拠しています、海外の装備品はこれらの運用に応えることが出来る特殊性、汎用性と言い換えるべきでしょうか、持ち合わせているかはまた別問題であり、カタログスペックのみで導入した場合には厳しい結果が待っている可能性もある。
Dimg_9022 言い換えれば、だからこそ、参考となる幾つかの装備を実際に導入し、運用を行う必要があるわけです。我が国の隣国には我が国以上に、見栄えがする装備を導入し使い物にならない事や稼働率が致命的なまでに低くなっている事例もあります、これは導入することが目的となり手段の目的化に陥っていないか、と不安にもなるのですが。
Dimg_0626 自国での評価試験、こうした手間と研究までの事案を考えれば最初から一部の分野の装備については国産技術を強化するという選択肢もあるやもしれませんが、他方ですべて国産で賄う事の方が非現実的でもあり、だからこそ、評価が決まっている予算支出だけではなく、評価を定めるための予算支出に対し、特に財務当局の理解を充分得ることが必要でしょう。言い換えれば、試験装備調達に厳しい査定を出した当事者が結果的に使えない装備の調達を強要した責任を丸投げする、責任を取らない体制に繋がることの方が大きな問題です。
北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安倍内閣防衛大綱改訂方針提示への一考察 財務省が独断で防衛大綱書き換える現状

2013-01-27 23:22:31 | 国際・政治
◆現行の大綱水準維持でも毎年2700億円不足
 戦車250両、特科火砲250門、護衛艦28隻、潜水艦22隻、戦闘機180機、やけに少ない数字ですがシンガポール軍の定数ではありません、財務省が認めている予算で実現する自衛隊の装備定数です。
Img_2711 安倍内閣は防衛計画の大綱改訂に着手する方針を示し、現在の中期防衛力整備計画の凍結を発表しました。現在の防衛計画の大綱では、主要装備として戦車400両、特科火砲400門、護衛艦48隻、潜水艦22隻、戦闘機260機を定めていまして、これは民主党時代ではありますが閣議決定を通しています。
Img_8635 しかし、財務省は予算に対し認めないという形でこの数字を蔑ろにし、政治決定に基づく防衛力を年度ごとに整備する予算要求を財政難という旗印の下で認めず、結果的に自らの予算認可により勝手に防衛大綱の水準を政治決定を覆す形で決めているという実情があるのです、もっとも日本国憲法60条に基づき国会で政治決定という正統性の過程を経てはいるのですが。
Img_0024 閣議により決定した防衛計画は政治決定なのですから、最低限この数量が無ければ日本を護ることが出来ないとして専門家と防衛省が討議し導き出したこの数字なのです、政治責任として予算を確保しなければなりません、これが出来ないのであれば言うだけ与党と批判されても仕方ないのですが、まあ、責任は総選挙でとったというところでしょうか。
Gimg_5548 さて、この数量を不充分、として安倍内閣は上方修正を前提として中期防衛力整備計画凍結と防衛大綱の改訂を進めることとなったのですが、どのように防衛計画を進めようとも、現状の予算の範囲で進めるならば、ここ数年間の戦車13両と火砲ほぼ皆無、護衛艦は毎年一隻さえも建造できず五年間の中期防衛力整備計画期間中に四隻、潜水艦は例外的に建造できない年もありましたが辛うじて建造され、戦闘機は予算確保も全く進んでいません。
Img_6918_1 確かに、現行大綱水準の護衛艦48隻を維持しようとすれば、護衛艦の運用を24年から延命改修で32年目一杯使ったとしても中期防の五年間で7隻は建造しなければならないわけで、戦闘機も定数270機という事は元々耐用年数30年前後を考えて毎年9機を新造しなければならない、現状では0機というので、まずここからどうにかしなくては、とも。
Gimg_0425 このほかにも戦車の耐用年数も当初は24年程度を見込んで法定耐用年数を考えているのだから毎年18両は必要なんですよね。そして調達が終了した99式自走榴弾砲後継の火力戦闘車は毎年こちらも18両必要で、最低限これだけないと現在の防衛大綱水準さえも維持できなくなる。
Img_0435 護衛艦は中期防あたり3隻不足、あきづき型派生になる25DDの建造費は750億円程度なので中期防あたりで毎年当たりの不足予算は450億円、戦車も平均13両生産なので5両分35億円、F-35は2機分しか確保できていないので大綱水準を維持するには毎年7機分670億円、自走榴弾砲は99式の取得費用と同程度として170億円、上乗せが無ければならない。
Img_7940 防衛大綱、自民党が不十分としている民主党時代の削りに削られた防衛大綱の自衛隊装備水準だけでも単純にこれらの数字を足し算するとかなりの額になる、最低限で毎年防衛費はこれら装備調達だけでも450億+35億+670億+170億=1325億円、最低でもこれだけ不足しているということ。
Eimg_1181 大綱外だけれども、現状の輸送ヘリ規模を維持するには毎年CH-47は3機、UH-1かUH-60は5~6機、AH-64Dは4機か削るにしても3機、SH-60Kが5機とP-1も4機、C-2は毎年1~2機必要している。現在調達が止まっているOH-1観測ヘリの代替機を考えると気が遠くなってくる、180機だから毎年8機は必要なのだから、これも大きい。
Aimg_0792 不足分の予算ではCH-47で2機分100億、UH-60JAで4機分140億かUH-1Jの4機分で50億、AH-64Dは2~3機分で140~210億、SH-60Kが毎年1~2機不足で90~180億、P-1は不足もいいところで縮小予定でも毎年4機分600億円、OH-XはOH-1を再開してしまうと量産効果で安くはなるだろうけど200億の想定はしたほうがいいやも。
Bimg_0630 航空機の不足分は1180億から1430億、不足分を計算すると毎年の防衛費は装備調達費だけで2700億、これに維持費と運用費は調達費の二割を上乗せなければならない、つまり現状の防衛予算ではとてもとても足りないわけで、1000億円の増額が提示され400億円に圧縮されたのですけれども、1000億円増額でもパフォーマンスしかない、現行防衛予算規模に合わせた防衛大綱を考えるのか、防衛大綱に合わせた予算を確保するのか、まずその点をしっかりやる必要があります。
Cimg_5813 2700億円の防衛費の不足、2700億円というとかなり大きな金額となるのですが、現在の少ないと批判される防衛計画の大綱を実現するためにも毎年着実にこの規模を重ねてゆかなければならないのです。そして、安倍内閣は防衛計画の大綱を増強の方向で改めるのならば、この2500億円という数字に上乗せして予算を積まねばなりません。
Aimg_2122 防衛費の増額は現実的なのか、と問われたならば、日本の経済規模から考えた場合、GDP1%の枠を超えない範囲内であれば、財政への負担はないとは言わないのですが、少なくともGNP1%枠として日本はかなり長期間、防衛費の負担に耐えてきました、アメリカの研究機関の低減などではGDP比2%程度は出すべきだ、としているのですが現状では1%以下なのです。
Gimg_9182 GNP1%枠として日本の防衛費の増大へ抑制がかつて掛けられていました、当方も個人的に防衛費の際限なき増大には反対で、理由は財政的裏付けが無ければ防衛費を維持することが難しいためです、しかし、GNPは近年GNIと改められ、GDPが経済力の指標となっているのですが、GDP1%と比較すれば少々ちぢみ過ぎているのではないでしょうか。
Cimg_7934 日本の防衛費が最大となったのは2002年度の4兆9560億円ですが、2013年度の防衛予算は4兆7700億円となっています。2011年度の国内総生産は507兆9168億円、推計値での2012年度国内総生産は519兆2114億円ですので、GDP1%枠を考えた場合、5兆1921億円をやや下回るあたりが妥当な防衛費の水準と言えるでしょう。
Gimg_0672 この点をしっかり対応してから、防衛大綱を改訂する、という方針は欲しいのですが、もうすこし自民党の防衛計画の大綱改訂については長い視点から見てゆきたいと考えます。防衛費は2000年代に入り弾道ミサイル防衛任務の追加を政治が要求し迎撃技術や装備の調達、これにより予算が従来の装備品調達に大きく食い込まれることとなりました。
Eimg_5922 自衛隊の任務増大は続き、世界の軍事RMAにより情報通信基盤の強化という軍事能力の強化に関する要求、海外任務増大に伴う普通科部隊の防御力強化という政治上の要求への対応と予算が増大につながる決定の中、自衛隊は今に至ります、任務が増えているならば、相応の準備のための予算は確保されねばなりません、これが政治の責任です。
北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (15)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

新田原基地航空祭2011詳報⑥ 機動飛行を開始する鋼鉄の荒鷲F-15戦闘機

2013-01-26 16:36:17 | 航空自衛隊 装備名鑑

◆精鋭部隊によるイーグルの機動飛行

 前回着陸を行ったイーグルですが、編隊飛行の次に新田原航空祭の展示を行うのもイーグルでした。

Nimg_8422 飛行教導隊のF-15,独特の迷彩が施されているこの部隊こそが日本最強のイーグル飛行部隊で、全国の部隊に対し最高度の技術を以て仮設敵を担う飛行隊ですから、この部隊は、日本最強部隊でなければその役割を始めることも出来ないという重責と共に日々の訓練に当たっています。

Nimg_8422_1 航空自衛隊ですが、先進国の空軍装備体系を俯瞰しますと恐らく航空優勢確保に此処までの重点を置く空軍機構は、我が国の航空自衛隊だけではないか、と思います、装備体系はもちろんですが、訓練体系も航空優勢確保にものすごく大きな重点を置いている。

Nimg_8436 航空自衛隊が先進国で最も航空優勢確保に重点を置いているという根拠は、航空自衛隊の要撃部隊が、F-15飛行隊七個とF-4飛行隊二個にF-2飛行隊三個と、半数以上がF-15飛行隊というところからも端的に表れています。F-15Jは制空戦闘型の米空軍F-15Cの日本仕様ですので、文字通り防空専任というもの。

Nimg_8440 空軍の任務は防空戦闘による航空優勢確保、航空打撃力として敵基地機能の破砕、対艦攻撃や対地攻撃での航空阻止を行う、近接航空支援による陸上支援、戦闘機部隊についてはこの四つが任務でしょう。国土の防空は前半二つによって成し遂げられるのですが、航空自衛隊は敵基地無力化を任務としてほとんど考慮していません。

Nimg_8463 我が国土防衛の手段として、敵基地ごと戦闘機や爆撃機を破砕し、その安全を図る、これは第三次中東戦争でイスラエル空軍が達成したように選択肢としては有力な一案ですけれども、憲法上日本ではこの選択を散り得ない、そこで航空優勢確保のための制空戦闘機の整備に注力してきました。

Nimg_8483 この装備体系としてのF-15は、一応爆弾の搭載は可能ですが、主としてこの任務は米空軍ではF-16と戦闘爆撃型のF-15Eの任務となっています、一方で世界の航空装備体系を見ますと対地攻撃能力と空対空能力を半々程度に重視した戦闘機が大半です。

Nimg_8490 戦闘機として空対空戦のみを重視しているのはF-15CとF-15J,イギリスで引退しイタリアとサウジが併せて50機程度を運用するトーネードADV、冷戦時代の各国で活躍したF-104は防空専用の性能ですが最後の機体がイタリアで引退しましたし、米本土防空専用のF-102もF-106もNASAで最後に残った支援用の機体は1998引退、このほかは思いつくところでソ連製MiG-31とその原型となるMiG-25くらいではないでしょうか。

Nimg_8495 このように防空専用型で対地攻撃をほぼ考慮の外においている機種というものは非常に少なく、機種さえも少ないのにこれを主力としている航空自衛隊は防空重視の、どちらかというと航空自衛隊よりも防空自衛隊と称したほうが相応しい装備体系となっていることに気づかされるところ。

Nimg_8522 ただ、特異な例として航空自衛隊の編成が挙げられるのですが、一歩引いてみますと、防空重視は敵基地を叩かないという運用であり、言い換えれば全面戦争を最大限回避するという運用であるやもしれません。例えばフォークランド紛争ではイギリスはその能力がりながらアルゼンチン本土を叩かず、限定戦に徹していました。

Nimg_8530 これは重要な点でして、冷戦時代、特にF-15を選定するまでの日本は事実上の仮想敵をソ連としており、日本有事に際し敵基地を叩くという事はソ連本土の基地を叩くこととなり、これは全面戦争になることを意味します。さすがに内陸部を含め全面戦争を行うのは能力的に限界があったのではないでしょうか。

Nimg_8549 NATOは航空打撃力重視の編成でしたが、敵基地を叩く場合でも東欧以東を叩く可能性が少なかったことを考えれば、ソ連本土を叩き全面戦争に展開することは、まずすべてのソ連軍基地を叩くには米軍なみの戦力が必要でもあり、不可能だった、ということ。この点を考えれば制空戦闘機重視の編成は冷戦時代、一定の説得力があったといえます。

Nimg_8562 航空自衛隊の現在の編成ですが、一方で冷戦後の今日となりますと、もちろん本土防空の重要性は変わらないのですけれども、その手段として策源地攻撃が検討されることとなりました、これは主として北朝鮮の弾道ミサイル危機を契機として、1998年頃から広く討議されることとなりました。

Nimg_8585 一方で、策源地攻撃、これは弾道ミサイル防衛の技術が途上の時期に、本土を防衛する手段が我が方での迎撃のみによって達成できる見通しが立たなかったことに起因するもので、それならば敵の発射施設を叩くしかない、ということになり考えられたもの、冷戦時代もSS-20を筆頭に弾道弾脅威はあったのですけれども。

Nimg_8460_10 日本では今日、弾道ミサイル脅威が北朝鮮以外からも投射される実情に好むと好まざるとに関わらず、注視しなければならない時期が近付いています、時期とは、ですけれども仮に南西諸島防衛に際して先方がその威力を提示した場合、これはその時期、という事になるのでしょう。

Nimg_8463_1 しかし日本の場合に分が悪いのはNATOとして集団的自衛権の行使を目的とした同盟条約に基づいて、多数の航空打撃能力を整備する、という事が憲法上の問題もありますが地政学的に頼ることが出来る近隣の同盟国が無い、ということでしょう、我が国周辺には同程度の国力と技術力を持った国がありません。

Nimg_8502_1 この事実が意味するところは、日本が制空戦闘機偏重の編成を、支援戦闘機のような対地攻撃能力重視の体系へ置き換えるという施策を行ったとしても、航空機の絶対数が少ないため、比率の転換だけでは覆うことが出来ないという問題を認識しないわけには何も解決しない、ということ。

Nimg_8455_1 これは歴史をやり直せるならば、台湾や韓国との政治的関係の強化や装備の共通化などを行うべきだったかもしれませんが、日中関係がここまで悪化するという事を共有知識として政治の意思決定過程に内部化することが出来なかった点に根源を見出せるのですから、今更こうした話はどうにもならない。

Nimg_8600_1 ううむ、難しい問題を前に防空を考えてゆくのですが、戦闘機は現在の数がどうしても必要となります、一方、新戦闘機は、例えば機体が比較的低い調達費用で、もしくは維持費用が低い機体で数を揃える、こうした選択肢も有り得たのではないか、とも考えてしまいました。

Nimg_8648 と、まあ、このように迫力ある機動飛行の撮影をしつつどうしてもこうしたことを考えてしまい、その写真を見返すと共に今現在も、こうしたことを考えてしまうところです。一方で部隊紹介や装備紹介のネタを使ってしまったので、こうした内容の記事となったのでもあるやもしれませんが、こんなところで機動飛行が完了し、着陸しています。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

平成二十四年度一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2013.01.26・27)

2013-01-25 21:59:56 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 中期防衛力整備計画が自民党の方針により廃止され、新たな中期的業務計画が確定されるとのことです。

Gimg_0631 明日から来週上旬にかけて日本列島はこの冬一番の寒波と暴風雪に曝され、大学では定期試験期間でもある最中ではありますが皆様如何お過ごしでしょうか。自衛隊関連行事ですが、駐屯地祭や航空祭などは行われません、ただ、艦艇一般公開は佐世保基地と舞鶴基地に呉基地で実施されるとのこと。

Gimg_4575 佐世保基地でゃ26日と27日に護衛艦じんつう一般公開が行われます。また、舞鶴基地では天候に問題なければ土曜日日曜日と桟橋一般公開と晴天ならば護衛艦一隻が上甲板公開となります。呉基地の艦艇公開は27日日曜日に護衛艦とね一般公開、あぶくま型護衛艦の公開が盛んですね。

Gimg_4829 艦艇一般公開はどの基地でも雨天時は甲板が滑りやすく危険防止の観点から一般公開が中止されることがあり、特に舞鶴基地は日本海側は積雪の量が大きく、この関係から積雪時と特に降雪時に基地の一般公開そのものが中止されるようになってきましたので、足を運ばれる方はご注意ください。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

  • 海上自衛隊基地の一部公開のみ

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

コメント (3)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

舞鶴地方隊舞鶴展示訓練2011詳報② 舞鶴湾の狭水道を通りイージス艦は若狭湾へ

2013-01-24 22:58:47 | 海上自衛隊 催事

◆ちょうかい、絵葉書のような美しい風景を進む

 舞鶴展示訓練、イージス艦ちょうかい、に乗艦し前回は舞鶴基地を出港しましたが、いよいよ今回は外海へ向け進んでゆきます。

Mimg_6372 護衛艦すずなみ、整備中の様子と舞鶴展示訓練へ向け出港準備を進めるイージス艦あたご、背景の山の稜線が幾重にも重なっているのが印象的。舞鶴基地は旧海軍時代に駆逐艦と軽巡洋艦の軍港として知られていたようですが、10000tの大型護衛艦が接岸できる桟橋へ延長され、今に至る。

Mimg_6366 舞鶴航空基地、海上自衛隊の、そして日本で最も新しい航空基地です。1996年に建設が開始され、2001年に完成、海抜は僅か6mと低い基地ですが湾の奥の奥にあり、津波に対しての脆弱性は低いです。滑走路は400mあり、日本海側の海上自衛隊ヘリコプター唯一の拠点として完成しました。

Mimg_6375 ヘリコプター搭載護衛艦はるな舞鶴母港化が1998年、舞鶴航空基地が完成するまでは、航空部隊は千葉県南部の館山航空基地や長崎県の大村航空基地から派遣され、それではあまりに訓練が不便、と建設され、2008年には第23航空隊が創設、SH-60J/Kが12機程度前進配置され、日本海の防衛に当たっています。

Mimg_6379 今年2013年は、海上自衛隊の艦上航空が1973年に最初のヘリコプター搭載護衛艦はるな就役からちょうど40年、海上自衛隊艦隊航空40周年という記念すべき年です。護衛艦隊は予算難の中でも着実に成長を続け、厳しい国際情勢へ向かい合う重要な我が国の選択肢を供しています。

Mimg_6380 舞鶴基地ですが、本当に湾の奥の奥に位置しています。舞鶴湾の一番奥にあり、湾は鶴の翼を広げたように西舞鶴と東舞鶴へ、鶴の首筋のような狭い湾口は最峡部で幅僅かに600m、日本海に面する金ヶ岬から奥へ7kmの位置にあり、軍港開港時には湾口が急に開けていることから瀬崎や白杉に要塞砲を置くことで敵の海上封鎖を阻止でき、ここぞ基地の適地というもの。

Mimg_6392 舞鶴湾の狭水道は幅1kmほどの水道が3kmにわたり続き、近くの日本三景天橋立を生んだような浅瀬が続くことから景観が素晴らしく、一方水雷艇や潜水艇による強襲を受けにくい場所、時折見える漁港などは本当に絵葉書に出てきそうな長閑な光景が続き、そこを護衛艦は白波を建てて進んでゆく。

Mimg_6405 先行する護衛艦ちくま、艦上には多くの見学者がやはり同じように美しい沿岸の光景を瞼や写真へ納めています、しばらく進んでゆきますと、その向こうに幽かではありますが一隻の護衛艦らしき艦影が見えてきました、敦賀港や舞鶴西港からも艦艇が展示訓練へ参加している、という事ですからその一隻でしょうか。

Mimg_6416 ちょうかい、は速力をあげ、先行していた護衛艦ちくま、を追い越してゆきます。機関出力とともに速力を上げたため航跡がしっかりと白く艦の周りを包み、水道の左右を囲んだ青々とした幾重もの稜線の連なりから、一直線の水平線が見える群青の大海原へと進んでゆきます。

Mimg_6418 DE-233ちくま、護衛艦ちくま、は地方隊配備の沿岸防衛用に建造された護衛艦あぶくま型の五番艦で、1993年に就役しました、満載排水量は2900tで沿岸警備用としては大型となりますが、潜水艦対処用のアスロックや艦対艦ミサイルハープーンを搭載、リンク11により艦隊情報連携に対応するバランスのとれた護衛艦として完成しました。

Mimg_6917 舞鶴西港から出航した護衛艦も見えてきました、舞鶴港湾合同庁舎や海上保安庁の施設が置かれている舞鶴西港は、元々こちらが田辺城の城下町として栄えた舞鶴の街並みです。見えてきた護衛艦は読み取れるのが艦番号154、舞鶴が母港で現在は佐世保に転籍した護衛艦あまぎり、です。

Mimg_6922 護衛艦あまぎり、はこちらのイージス艦ちょうかい、に続いて舞鶴基地を出港したイージス艦あたご、と並んで航行しています。展示訓練は体験航海ではなく訓練展示が目的、この為に既に出港した時から展示訓練への陣形が決まっています。そして左端には黒いボートのような影が、これは舞鶴水中処分隊のボートでしょう。

Mimg_6923 島影から急に姿を現したのはミサイル艇はやぶさ、はやぶさ型ミサイル艇の一番艇です、最初に舞鶴基地を出港していったミサイル艇はやぶさ、は大きく回り込んで展示訓練参加部隊へ合流するようです。遠くから見れば小型のこのミサイル艇には強力な対艦ミサイルが備えられています。

Mimg_6930 あぶくま型護衛艦とともに、はやぶさ型ミサイル艇は大量建造される計画でしたが、護衛艦の自衛艦隊統合運用により地方隊の装備体系から切り離され、必要な時だけ護衛艦を充当される運用となり今に至ります、この為ミサイル艇の装備も充分すすめられませんでした、護衛艦が出るほどではない平時の外国艦接近に対し、ミサイル艇は有用なのですが。

Mimg_6929 先ほど水平線上にみえた護衛艦は、むらさめ型護衛艦の護衛艦あけぼの、横須賀の第1護衛隊群第5護衛隊に所属し、現在の母港は佐世保基地、今回の舞鶴展示訓練とは関係がない、訓練上の舞鶴寄港へむかうところのもよう。満載排水量6200tの護衛艦は、水平線を背泳に見るとやはり大きい。

Mimg_6947 舞鶴展示訓練への参加艦艇、というわけではありませんが舞鶴展示訓練が完了し、舞鶴基地へ戻ったころには、この護衛艦あけぼの、も補給のために停泊していることでしょう。こうしてイージス艦ちょうかい、は舞鶴湾の狭水道を経て広い日本海へと展開しました。しかし、舞鶴展示訓練はまだ最初のところです。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

アルジェリア天然ガスプラント占拠テロ、自衛隊政府専用機が初の邦人救出へアルジェ到着

2013-01-23 22:46:39 | 国際・政治

◆今後の我が国対テロ政策はどうするべきか

 アルジェリア天然ガスプラント占拠テロは、武装勢力に対し治安部隊が無差別発砲し、邦人多数が銃撃戦により死亡する最悪の結果となりました。

Himg_6118 安倍総理は生存する邦人救出へ政府専用機を派遣、外遊における輸送支援にあたった政府専用機は昨夜羽田空港をアルジェリアの首都アルジェに向け出発、ドイツ経由で本日、アルジェに到着しました。政府専用機は日本ではVIP専用機ではなく航空自衛隊の大型輸送機で、写真は空中給油機KC-767ですが、政府専用機B-747はこれよりも航続距離が長く、輸送能力も大きな機体です。

Himg_7177 1980年代のイラン危機や1990年代の湾岸戦争にインドネシア危機など、自衛隊機による邦人救出の可能性は多く検討されてきましたが、専守防衛を国是として海外に部隊を展開させるに十分な能力を政治的に持ち得なかった我が国としては、能力的に救出は厳しく、日本航空や全日空へ紛争地への派遣を打診するか、海外の慈悲と善意に邦人の安全を依存してきました。

Himg_3322 海外での邦人企業による活動ですが、天然ガスや石油などの天然資源一つとっても、東日本大震災における福島第一原発事故を契機として原発のほぼ全てが停止しているため、火力発電への依存度が大きくなっていることから、資源確保には危険を伴う地域に対しても展開しなければなりません。

Himg_4551_1 邦人救出は脱原発一つとっても脆弱で歪な我が国のエネルギー政策に依拠した資源確保の必要性が続く限り法人企業の危険な地域での活動は必須となるのですから、例えば一定の部隊のインド洋地域への展開を持続させるという運用基盤の構築等は検討されるべきでしょうし、今回のようなテロに対しては、例えばかつての民間軍事会社にあたる重武装の民間保安会社について我が国として警備を依存する仕組みを考える必要もあるでしょう。

Himg_5004 加えて今回のテロでは、邦人が標的となった事実、これまでは欧米人を標的としたテロに巻き込まれる構図を想定していたのですから、その前提が覆ったという転換期にあるとの認識が必要でしょう。即ち邦人が標的となっている以上、邦人保護を念頭に置いたテロ対策、積極的なテロ対策への関与も考えてゆかねばなりません。

Himg_1081 また、直接的には関係ありませんがマリにおいてイスラム武装勢力により国土が寸断され、救援要請に応じたフランス軍と西アフリカ共同体加盟国が軍事行動を展開しており、主要な都市部を占領した一方、フランスが条約により防衛を担い、自衛隊も展開しているジブチ、その隣国エリトリアにおいてクーデター事案が発生、ジブチとエリトリアは過去に国境紛争で衝突した事案もあるため、新たにフランス軍派遣の必要性が出てくる可能性もあります。

Himg_6519 邦人救出とテロ対策の一環として、我が国もこれまで専守防衛として国土に立て籠もる防衛政策の大前提から、機動運用部隊を本格的に整備し、基本として国外の地域において我が国への危険を抑止する方式への転換、また海外での邦人救出事案に備える海外常駐部隊を配置し、即応態勢を取ることでポテンシャルを維持することも検討する必要は出てこないでしょうか。

Himg_4858 防衛計画の大綱が自民党による政権交代と共に抑止力強化を主眼とした再改訂の検討が進められていますが、この際に、陸海空自衛隊協同での統合任務部隊として国際任務司令部を置き、海外での任務を統括し指揮すると共に、空輸支援などのための航空機の増強など、検討する必要も考えるべきでしょう。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (17)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自衛隊、パシフィックパートナーシップ2013へ派遣決定 パプアニューギニア、トンガで実施

2013-01-22 22:42:01 | 国際・政治

◆派遣部隊は合同医療チームと艦艇及び航空機

 防衛省によれば、自衛隊は今年6月から7月にかけ実施されるパシフィックパートナーシップ2013へ部隊を派遣するとのことです。

Img_4136 パシフィックパートナーシップ2013は鳩山内閣時代に自衛隊の参加が決定し、継続されているもので医療活動や文化交流を行うことで相互理解を薦め信頼醸成に寄与させると共にNGOの参加とともに、軍事機構とNGOとの紛争地での共同体制の基盤構築等に寄与するもので、参加にはそれなりの意義があるものといえましょう。

Img_5777 今回のパシフィックパートナーシップは、トンガ王国及びパプアニューギニアにおいて今年6月から7月にかけ実施されることとなっていて、自衛隊からは陸海空自衛隊医療チームの人員25名と、海上自衛隊から艦艇一隻、航空自衛隊の輸送機が参加するとのことで、艦艇については艦種は明示されていませんでした。

Mimg_1590 パシフィックパートナーシップへは、日本からもNGOの参加が可能となっています。防衛省では最大10名規模の参加を見込んでいまして、現在防衛省では参加NGOの募集を行っています。これによればNGOはパプアニューギニア北部地域において実施される活動へ参加することとなっています。

Img_3907 NGOは防衛省の示す基準を満たしている国際協力を目的とした組織である必要があるのですが、自衛隊の輸送機及び輸送艦、もしくは自衛隊と共に民航機を利用することになり、基本的に自衛隊と行動を共にするようです。この際に国内移動経費や航空券に加え自衛艦での宿泊時の供食等の支援を受けられるとのこと。

Img_8121 海外との協同基盤構築、特に国際平和維持活動を筆頭とした国際協力任務への自衛隊参加においてはNGOとの協力などが常態となっていますので、海外NGOとの連携の模索、共に同じ目標に向かって実施される海外での任務へ、様々なパイプを平時から構築しておくという事が、実任務の円滑化に寄与するという事が言えるでしょう。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする