北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

陸海空自衛隊関連行事 七月第一週期実施詳報

2006-06-30 06:49:46 | 北大路機関 広報

■北大路機関広報 駐屯地祭・基地祭・航空祭

■七月一日(土)

■陸上自衛隊関連(0)

■海上自衛隊関連(0)

■航空自衛隊関連(0)

■七月二日(日)

■陸上自衛隊関連(1)

○板妻駐屯地:駐屯地創設44周年記念行事:第34普通科連隊・第三陸曹教育隊:式典・観閲行進・音楽演奏・格闘展示・近接戦闘訓練展示・装備品展示:JR御殿場駅下車(0550-89-1310)

■海上自衛隊関連(0)

■航空自衛隊関連(0)

■自衛隊関連行事

 七月最初の週末は東部方面隊において駐屯地祭が一つ実施されるのみである。

Img_0536_1  板妻駐屯地には普通科連隊と陸曹教育隊が駐屯しており、また、市街戦への対応を重視した編成を採る第一師団隷下の普通科連隊であり、自衛隊の基幹を為す陸曹教育隊が駐屯している事から訓練展示を期待する事が出来る。駒門駐屯地が近い為戦車も参加する事が期待できる。(写真は信太山駐屯地の第37普通科連隊)

北大路機関

なお、実施や雨天中止情報などについては付記各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

イスラエル軍パレスチナ自治区侵攻

2006-06-30 06:32:08 | 国際・政治

■『夏の雨』作戦

 イスラエル国防軍は、六月二十八日、歩哨中のイスラエル軍兵士拉致事件を契機とする兵員救出作戦『夏の雨』を発動した。

 これはパレスチナ自治区に対する昨年度のイスラエル軍全面撤退以降最大規模の軍事行動であり、BBCなどの報道によれば参加兵力は二個機械化歩兵連隊、二個戦車大隊。メルカヴァの最新型やアチザリット重装甲車に加え、M-109A6自走榴弾砲なども参加した大規模なもので、既にパレスチナ自治政府の閣僚数名を含むハマス関係者60名がイスラエル軍により逮捕されている。

 作戦は自治区に至る橋梁全てを航空攻撃により破壊し、拉致兵士を別地域へ移動することを抑止した上で、自治区唯一の火力発電所も破壊した。29日にはイスラエル空軍の戦闘機(F-15Cなど五機という情報)が隣国のシリア首都ダマスカス市上空を編隊飛行した。これは示威が目的と見られる。

 ZDFによればイスラエル国防省の見解では拉致された兵士の生存を確信しており、ガザ地区南部より振興が実施されているが、更に北部にも大規模な部隊の集積が行われているようだ。

■ロシアでSu-25墜落

 ロシアのブレアンスク州において29日、ロシア空軍のSu-25フロッグフット戦闘爆撃機が墜落した。操縦していたA・バホロムスキー大佐はベイルアウトしたものの機体の傍で遺体で発見された、事故原因は調査中。

■スペイン政府、バスク自治勢力と和平

 スペインのサパテーロ首相は、三月に停戦交渉が成ったバスク地方独立を掲げた“バスク祖国と自由”との和平交渉を開始したことを発表した。しかし、あくまでバスク地方独立を掲げる“バスク祖国と自由”と独立は原則として認めないとするスペイン政府との間で交渉は難航しそうだ。

■米サプリムコート、グアンタナモ収容所を違法

 CNNによればアメリカの最高裁判所は29日、サプリムコート(最高裁判決)としてアメリカ大統領の権限でキューバに8設置されているグアンタナモ収容所内部の軍事法廷設置がアメリカ大統領の権限を越えているとして違法判決が為されたものとされる。最高裁のスティーヴ判事は、議会の了解を採るべきであったとしている。

 2002年に設置されたグアンタナモ収容所は現在450名を収容、ジュネーヴ条約に基づく捕虜ではなく敵性戦闘員として扱っている点に国際法学者らから批判が出ている。なお、今回の判決では収容所そのものへの正当性に関する言及はなされなかったようだ。

■ロシア、外交官殺害事件に対して報復へ

 RTRによれば、ロシアのプーチン大統領は、先日イラク国内において大使館員が殺害された事件に際して、『目には目を歯には歯を』として報復を行う方針を明らかにした。

 報道によれば既に欧州や中東各国において情報活動が実施されている。過去にロシア政府は中東における外交官拉致事件では断固とした報復作戦を実施し、身代金を払うことなく解決している。

■ドイツ南部、雹で負傷者100

 ワールドカップにわくドイツシュワルツヴァルトの28日2000時、29日未明にかけて雹が降り、100名以上が負傷した。30日の時点で道路には40㌢もの雹が積もり、自動車や家屋に対して夥しい損傷を与えた。

 米東海岸でも降雨が続き、少なく無い家屋破壊が生じているという。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

陸上自衛隊師団改編による部隊近代化

2006-06-29 10:15:06 | 防衛・安全保障

 近年、陸上自衛隊の防衛大綱改訂に併せた師団改編が進展し、青森県の第九師団や北海道の第十一師団、沖縄県の第一混成団などを除きほぼ改編が終了しており、従来の着岸上陸阻止や水際撃破という本土直接武力侵攻対処に加え、対ゲリラ・コマンドといった新しい脅威や国際平和維持活動に対する対応能力付与に向けた編成に移行する過渡期にあるといえよう。

Img_2316  師団改編において最も重視されるのは、普通科部隊の近代化にあるといえる。これは、新防衛大綱作成に大きな影響を与えた“防衛懇談会”の報告書にも「普通科への大胆なシフト」として明記されており、戦闘の最終段階における地域占領に不可欠であると同時に、市街地や山間部における近接戦闘から、限定的ではあるが対機甲戦闘にも対処しうる普通科を“柔軟性に富んでいる”という観点から重視する方向にあるといえよう。

Img_2128  こうして、普通科連隊に対して、軽装甲機動車の配備による限定的機動打撃力の付与、対戦車中隊新設に伴う対戦車戦闘能力の向上、対人狙撃班新設による対ゲリラコマンド能力の向上が行われ、加えて89式小銃やMINIMI分隊機銃といった小火器や01式軽対戦車誘導弾という小銃班向けの新装備、加えて個人用暗視装置などの隊員個々の能力向上を目的とした装備近代化が行われ、かつて73式中型トラックなどによって展開していた普通科隊員は、高機動車や軽装甲機動車により高い展開能力を有するに至っている。ただ、普通科連隊隷下の重迫撃砲中隊に関しては第一師団では縮減という動きもあり、すべてが一概にいえるというものではないともいえる。

Img_2468  普通科部隊の近代化に際して、もっとも挙げられるシンメトリーな改編は、特科・機甲科の改編である。

 普通科連隊の改編は前述の改編がほぼ共通的に進展しているが、特科連隊に関しては特科隊として縮減されるものと即応予備自衛官による特科大隊を連隊隷下に維持し、連隊編成を維持する事例がある。他方、特科隊に縮減する事例では、新規の隊員配置を縮減し改編に先んじて極力充足率を新編成に対応するべく低減し、かつ余剰となった人員を重迫撃砲中隊に配属するなどして対応しているとのことだ。

Img_2160  戦車に関しては、旅団に縮小された師団をみるかぎりでは例外なく戦車大隊が戦車隊に縮減され、例えば帯広の第五師団隷下の戦車大隊は戦車隊改編によって78輌から20輌に、海田市の第十三師団が旅団改編した際には30輌の第十三戦車大隊は戦車中隊に縮減されたというが、師団改編では第十戦車大隊のように逆に一個中隊増強(即応予備自衛官であるが)、定数を増強した事例もある。

 機甲科の改編では、縮減、維持、増強というように師団に付与された任務に応じて差異があるようである。

Img_2077  一方で、多用途ヘリコプターの師団飛行隊配備が師団改編に際する大きな変更に含まれるといえよう。

 従来は小規模な連絡や物資輸送、急患搬送にも対応可能な観測ヘリコプターOH-6を配備していたが、加えて積極的な空中機動任務を付与するべく3~4機程度の多用途ヘリコプターUH-1H/Jが配備され、全て集中投入すれば一個普通科小隊、単機でも普通科連隊情報小隊のヘリボーン能力を部隊に付与することが出来る。

Img_8507  また、普通科連隊の機械化や各部隊の自動化に際して、各部隊の本部管理中隊隷下の整備小隊の能力を超える規模の機械化が進んでおり、後方支援連隊も二個大隊体制に改編している。

 これは、一個大隊が後方における整備や医療、輸送といった師団任務全般を後方支援し、もう一個の大隊が、各連隊・大隊に整備支援を目的とした直接支援中隊を派遣し、装備品の稼働率維持を目的とした運用が為される編成で、従来からこうした編成に移行する需要はあったという。

Img_2397  加えて、師団司令部付隊であった化学防護小隊を化学防護隊に増強するなど、様々な改編が実施されているが、機甲科・特科の改編により従来、普通科連隊を主力とした連隊戦闘団を編成し任務に当たる方式であったのが、必ずしもこうした編成を新編成において実施することは出来なくなりつつあり、新編成に対応する部隊運用が如何に為されるかについては、小生個人としても興味は尽きないといえよう。

 HARUNA

(本ブログの本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『 ・・・ I'm standing on the Moon 』

2006-06-28 23:46:25 | 映画

■映画「立喰師列伝」を観てきた

 友人のT氏の誘いで先日、押井守氏の最新作、“立喰師列伝”を観てきた。なんというか、触れ込みとしては終戦後の闇市から昭和の終わりのファーストフード店時代まで、巧みな弁術によって無銭飲食を繰り返したプロの集団を描いたという明らかに面白くなさそうな作品である。

 ここからはネタバレ注意!

 鑑賞を考えている方は読まない方が幸いです・・・。

■時代がつまらなくなっていく・・・

 架空世界の東京を戦場に見立てた「機動警察パトレーバー2」や、知られている戦後とは異なった世界における日本を描いた「人狼 JIN-ROH」、グローバルにクリエイターへ永享を与えたという「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」、そして実写作品として「ケルベロス 地獄の番犬」や「Avalon」といった作品を世に送り出してきた押井監督が、1970年代以降の日本の歴史に語るべき歴史があっただろうか、という問いとから時代が面白さを失ってきたことに対する抵抗として本作を製作したという。

 いわば、押井的視野から望む戦後と脱戦後を図る日本の姿を描いた作品であるといえよう。

 映画そのものは、八本の短編からなっており、吉祥寺怪人や兵藤まこ、石川光久、鈴木敏夫、樋口真嗣、川井憲次、寺田克也、河森正治といった押井氏とかかわりの深いクリエイターやアニメーター、プロデューサーが“キャスト”として出演している。

■実験的映像美

 本作の特異点は、短編映画「ミニパト」で試験的に導入された実写データとCGの融合による“スーパーライヴメーション”方式にある。いわば三次元パタパタアニメともいわれる方式は、登場人物の写真と製作者が思い描く背景をCGで製作し融合させる事により作品とすることで、これはアニメーターとしての押井氏でなければ思いつかない方式であろう。

 また、“擬似ドキュメンタリー”方式によって展開される作品に適度な緊張感と説得力を付与しており、ところどころに散りばめられたコメディー要素とうまくマッチングしていることが作品の面白さを引き立てている。

 戦後とは、日本とは、という議論は戦後一貫して続いてきた訳ではあるが、方の力を抜いて見返す際に、凡庸なドキュメンタリー群を相手とするよりも、案外本作のようなものを起点に考えた方が何かが見えてくるのかもしれない。

 また、「赤い眼鏡」のような、今日までの押井作品の要素も適度に織り込まれており、お分かりになる方はニヤっとしてしまうだろう。

(注 :「 ・・・I'm standing on the Moon 」とは、第一章の主人公、吉祥寺怪人扮する月見の銀二が、占領軍のMPに誰何された際に発する言葉である)

HARUNA

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

陸海空自衛隊関連行事 六月第四週期実施詳報

2006-06-23 21:56:29 | 北大路機関 広報

■北大路機関広報 駐屯地祭・基地祭・航空祭

■六月二十四日(土)

■陸上自衛隊関連(1)

○豊平駐屯地:自衛隊札幌病院創設51周年記念行事:式典:札幌市営地下鉄南平岸駅下車(011-831-0161)

■海上自衛隊関連(0)

■航空自衛隊関連(0)

■六月二十五日(日)

■陸上自衛隊関連(5)

○北千歳駐屯地:第一特科団創設52周年記念行事:式典・観閲行進・訓練展示・装備品展示、JR千歳駅下車(0123-23-2106)

○留萌駐屯地:駐屯地創設53周年記念行事:式典・観閲行進・装備品展示、JR留萌駅下車(0164-42-2655)

○名寄駐屯地:駐屯地創設53周年記念行事:式典・観閲行進・訓練展示・装備品展示・装輪装甲車体験乗車、JR名寄駅下車(01654-3-2137)

○倶知安駐屯地:駐屯地創設51周年記念行事:式典・空挺降下・災害派遣訓練展示・装備品展示、JR倶知安駅下車(0136-22-1195)

○苗穂分屯地:分屯地創設54周年記念行事:式典・体験乗車・装備品展示、JR苗穂駅下車(011-711-4251)

■海上自衛隊関連(0)

■航空自衛隊関連(0)

■自衛隊関連行事

 六月も最後の週であるが、自衛隊の公式行事は北部方面隊のみとなっている。注目すべきは唯一の特科団である第一特科団記念行事、そしてイラク派遣第一陣を飾った名寄の第三普通科連隊記念行事であろうか。同部隊は96式装輪装甲車による完全装甲化部隊として知られるが、イラク派遣により少なく無い数の装甲車を派遣しているという。

Soukaenn2  一方で、今週末に実施される行事情報ではないが、日本最大の公開実弾演習として知られる毎年恒例、富士総合火力演習の応募要綱が公開されていたのでお知らせする。

 本演習は通常の駐屯地記念行事とは異なり入場券が必要であり、入手に関する詳細は陸上自衛隊ホームページに提示されているが、七月十四日陸上幕僚監部広報室必着とある。毎年競争率が高まっており、複数の応募が必要とされている演習だ。

 会場は東富士演習場で、JR御殿場駅から民間の有料バスを用いるか、駐車券付入場券があれば自家用車にて展開する事が可能である。

 演習の詳細は、本ブログにおいて昨年度のものを公開しているが、近く、再度特集記事を掲載したい。

北大路機関

なお、実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

米軍再編 日本側費用負担と防衛力の関係から

2006-06-22 21:07:24 | 国際・政治

■米軍再編と日米関係

 今に始まったことではないが、北朝鮮のミサイル発射準備問題や陸上自衛隊のイラク復興事業終了派遣部隊撤退と並び、米軍再編関連のニュースが多く組まれ、また報道として扱われている。

 自衛隊と米軍の関係が今後一層密接なものとなるということに危機感を煽る論調や、日本側費用負担を国民一人当たりの費用負担に当て嵌めて論述するメディアもあり、些かメディアの過熱報道の様相を呈していると感じるのは小生だけであろうか。

 本論から先んじて論述すれば、米軍との一体化に関しては自衛隊が国土防衛という本質的任務を達成する為には実戦経験を有する軍隊との関係性が重要であるし、装備品体系の相互依存関係を考えれば一体化ということは不可避ともいえる、少なくとも国民的コンセンサスに基づく独自防衛構想でもなければ対案たりえないであろう。また、米軍の世界戦略に取り込まれる、との議論に関しても今日の国際関係を考えれば多かれ少なかれその関係性の中に存在し、敵対的友好的という相違もさることながら、米国の国際戦略がグローバルなものである限り、米国の国際戦略や世界戦略との関係性は必至のものであろう。

 他方、費用負担に関しては所謂思いやり予算に含まれる経費一部分担金がドイツやイギリスと比較した場合の観点からやや多い観は否めないが、外務省の展開する二国間関係によって成立したものである事から、防衛予算から捻出されているものではあるが、両国の世論や交渉過程から考えるものであり、高い安いというものとは別次元から考えるべきものであろう。

■米軍再編の日本分担金

 米軍再編に関する移転や代替費用建設費用に関して、7000億円という日米防衛閣僚会談の数値から三兆円という数値まで差異があるものの、方向としては財源を防衛予算から捻出という点では一致を見ているようである。こうした中、日本における財政状況は年々厳しさを増し、防衛予算に関しても制約が年々増加している。

 対して、自衛隊に関しては冷戦終結以降緩慢となった装備品世代交代が転換期を迎える時期にあり、目下使用されている装備品の耐用年数の関係上、近代化が必要な磁気を迎えている。特に、新防衛大綱により装備品定数が縮減されたことは記憶に新しいが、軍事装備体系の世代交代に伴う価格上昇はインフレ率や経済成長率を差し引いて余りある度合で進展しており、この点から大綱水準の引き下げによっても対応が困難となる状況に進展しつつあり、加えて、この米軍再編に伴う経費負担の問題が生じている訳である。

■転換期の自衛隊

 従来の自衛隊にあっては、本土直接武力侵攻における国土防衛任務、そして広範に展開する商船通商網維持の観点からのシーレーン防衛、付随的なものとして国内における大規模災害に対する緊急対蹠的な任務が付与されていたものの、これに対して1990年代より国際平和維持活動や国連平和維持活動が加わり、更に2000年代よりテロとの戦いという新規命題、加えて弾道ミサイル防衛という部分が書き加えられた。

 こうした中で、防衛予算から米軍再編に伴う分担金捻出を行う場合、特に自衛隊は米軍を護る為の軍事機構ではないため、特に拙速な判断は避け、予算措置を講ずる必要があるといえよう。

 HARUNA

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

航空自衛隊 戦略・戦術航空偵察能力の展望

2006-06-21 22:48:05 | 防衛・安全保障

■F-15Jの偵察機化

 現在航空自衛隊では27機のRF-4偵察機を百里基地において運用している。これが戦闘機のF-4を偵察機化したもので、高い航空機動能力に加え、高度な夜間偵察能力を有するものの、耐用年数が迫るにつれ、その後継機が必要となっている。

 こうした中で、その最も有力な提案として提示され、決定されたのが航空自衛隊の主力要撃機であるF-15J要撃機を改修する案が挙げられている。特に、F-15Jの初期の機体は段階改修計画(MSIP)不対応の機体があり、将来的にはその要撃能力が大きく陳腐化する可能性が指摘されており、12~14機程度を偵察機と改修するものとみられている。

 こうしたF-15の偵察機化計画は米空軍でも検討されており、実際、1987年には試験飛行が実施されたものの、費用対効果や偵察衛星の面、また戦術偵察に関する運用思想の転換から実現には至らなかった。

 航空自衛隊が使用する“RF-15J”は、赤外線偵察ポッドや合成開口レーダーを外装式搭載し、電子戦器材の一部も近代化されるものとみられている。

■グローバルホーク

 航空自衛隊が現在保有しているRF-4は、戦術的運用を主眼とする偵察機であり、例えば近隣諸国の弾道ミサイル基地や広域海洋哨戒任務として運用するには能力に限界があり、この点、航続距離が大きく延伸した後継となるRF-15Jにしてもその能力は充分なものとは言い難く、戦略的偵察能力への需要が国際環境の変化に伴い上昇している。

 結果、日本政府は国産による大型無人偵察機の開発を進展させると共に、米空軍において実戦運用され既に実績のあるテレダインライアン社製のグローバルホーク無人偵察機の導入が検討された。

 国産案と比較し、結果的に報道によればグローバルホークの導入が内定するに至ったが、国産案はかつて米国から空対空ミサイルを導入しようとした際に法外とも言うべき価格を提示され、急遽国産ミサイルを開発したという事例があり、この国産案もこうした“外交”的提示のようにも思えるが、何となれ、合成開口レーダーや画像方式の監視装置に加え、衛星通信機能を介したリアルタイムでのデータ送信能力や、従来の携帯対空火器の射程外である20000㍍の高空を巡航し、加えて人的損耗の考慮を必要としない機体の導入は、日本の戦域間乃至戦略偵察能力向上に大きな躍進へと進む事が期待される。

■無人偵察機をどこに配備させるか

 さて、グローバルホークが実戦配備されるとして、どこの基地に配備されるかが重要となってくるように小生は思える

 全長13.53㍍、全幅35.42㍍、重量は11.61㌧に達し、巡航速度は640km/hに達する。また、滞空時間は42時間に達する為、言い方を代えれば如何なる大型巡航ミサイルよりも大型である。こうした機体は、無論その実績から見て性能上危惧する点はほぼ無いのだが、無人機というものが今日の航空法上如何なる位置付けとなるのか、また数値よりも感情に動かされる日本政治を考える限り、特に自治体としては受け入れることは困難な面が大きいといえよう。基地反対闘争のあった百里基地であるから、グローバルホークの百里基地配備に関しては懐疑的な部分が無いわけではない。また、周辺に人口密集地を抱える航空基地では“無人”という観点から反対がなされる可能性も否定できない。目下、人口密集地を避ける配置となる航空基地は、硫黄島のような離着陸施設のみのものを除けば、建設が計画されている普天間基地代替の辺野古飛行場くらいしか思いつかない。

 日本周辺の政治情勢の変化は航空自衛隊へ、戦略偵察能力の保有を要求するものへと変化しつつあるが、対して最も現実的且つ効果的な無人偵察機に関して、全く日本航空史上無かった種類のもの(標的機を除けば)が導入される事であり、将来的に自治体や住民との摩擦が考えられる。何故、この種の航空機が必要なのか、また、米空軍が運用したU-2やSR-71のような有人機では代替出来ないのか、などを懇切丁寧に説明し、相互理解を図る必要が生じよう。

HARUNA

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画『八岐之大蛇の逆襲』への一考察

2006-06-16 00:56:00 | 映画

DAICON FILM渾身の作品というべきか、八岐之大蛇は実は三千年前に送られてきた宇宙人の侵略兵器であった!現代に甦った八岐之大蛇と防衛軍が壮絶な死闘を繰り広げる!偶然、中古で見つけた絶版の傑作を、やや高かったが定価の半額ほどで購入した。

Panzer0001  舞台は神話のふるさと、山陰の米子市。突如現れた巨大怪獣に対して防衛軍第13連隊の毛利大佐は戦車やロケット火砲を駆使して果敢に反撃、壮絶な戦いに燃え上がる米子市!

 といいますか、まあ、小生、何せ自主制作映画ですし・・・とたかをくくっていたのですが、自主制作と侮る無かれ!さすがは特技監督を樋口真嗣、監督を赤井孝美がやっているだけあって、ストーリー的にも特撮的にも非常に見応えがあるものでした。役者が素人なので、それがそれで何か、北野武の映画みたいないい味を出しているのである。

 普通科隊員が64式小銃をもっているのがいたりAK47の隊員がいるのは気のせい、連隊なのに戦車隊がいるのは管区隊編成の状況を維持しているからだろう。

 各種装備には、新型の84式戦車(74式に暫定的に複合装甲つけた?もしくはM-1にメルカヴァ風砲塔搭載したもの?)がアーケードを疾走して道路がメチャメチャになるシーンも良い味出してる。観測ヘリが撃墜され、どうせ当たらないだろうケド、知~らねってHIMARS(というか単なる新型多連装ロケット)発射したりして市内に大被害、マスコミと防衛軍の確執など、唸らされるものも多い。

Img_2178_1  撮影では各所に自衛隊が出てくるが、恐らく駐屯地祭の際に撮影したのだろう。防衛軍出動の際に指揮官毛利大佐が訓示するシーンに併せて出てくる様子は、明らかに千僧駐屯地のものであった。道路の向うにある建造物群や二重の歩道橋など、恐らく間違いないだろう。また、登場する自衛隊車輌は第三施設大隊の所属、第三特科連隊第五大隊(昨年度末で廃止になったぶたいですね)、駐屯地祭から所属駐屯地(大久保や今津)に戻る様子をそのまま「防衛軍出動」に仕立て上げている。こんなシーンも阪急電車で一本!さすがはご当地大阪のDAICONフィルムである!怪獣に止めを刺すべくロケット砲による射撃シーンもまあ、設定としては日本原の特科連隊(ロケットはないけどネ)というものなのだろうが、駆動部分は105榴のそれに酷似していた。装備品展示の際にFH-70とかクルクルさせてくれるけど、そんな感じで撮影したのだろう。蛇足ながら思い出したのが1980年代前半に第三師団に所属していたという知人がけっこういるのだが、もしかして端の方に写ってたりするのかな?と。

Img_9899_1  戦車の砲撃では歯が立たず(どうでもいいけど、「どけぇッそこの民間人ッ!」ってシーンにラーゼフォン第一話を思い出した。多分影響はあるのだろう)、「我が部隊には無いが有事である!」として出撃を要請したのはAH-1S.確か公開された1984年ってコブラが配備されたばかりの時期である。よく映像撮れたなあ~、って、俺もAH-64Dを三月に撮ったばかりだった。多分そんなノリと駐屯地祭のシーンを組み合わせたのだろう。航空部隊出撃シーン(コブラの他にOH-6の発進シーン)は、管制塔の形状から八尾ではなく明野で撮影したようである。大阪から近鉄電車で一本!さすが大阪から始まったDAICON フィルムだ!

 しかし、ロケットの誤爆シーンは凄い。国道九号線沿いに山陰放送、高島屋、米子市役所、米子国際球場、湊山公園を次々に爆砕、遂には連隊戦闘団本部も誤爆してしまい、「クーデターかも!?」っていう連隊参謀の進言で遊撃隊を派遣、特科部隊本部を急襲!

Img_0604_1  何がどうなったか別として遊撃隊が突入「貴様らのクーデター計画はお見通しだッ!」となるのだが、既に多連装ロケットの13斉射を加え大惨事(後ろのレーダーをみると、明野駐屯地で三月にスクラップになって放置されていたレーダーにソックリ)。友軍相撃により戦車部隊にも損害が出て(アーケード街走って自滅したり、怪獣にやられた以外にも損害が結構出てた)膠着した戦闘をヘリがTOW攻撃により怪獣を米子城址から海に落とし、宇宙人が「価値観が違う」と帰ってしまって一件落着。

 作品が作品なら、キャラもキャラ、手柄一番取りを掲げ操縦主のヘルメットを足で蹴り上げながら「帰れ蚊トンボども~」とヘリに絶叫する戦車隊長吉川少佐、「命中精度悪くても良いか命令だし」、と撃つロケット砲兵隊長三輪大尉、一旦敵が動かなくなると撃破撃破!と喜び宴会の準備を始め、再度活動開始の報告を受けると「宴会は中止ッ!会計科は撤収!」と叫ぶ連隊幕僚、「私は人道上何も問題なく戦後最大の手柄を上げた」と喜ぶ連隊長毛利大佐。味が出ていてよろしい!

 ううむ、目茶苦茶だけど面白かった。この面白さは観ていただかないと伝わらないかな?と。皆さんもお暇でしたら是非どうぞ。「惑星大怪獣ネガドン」も然り、自主制作とは奥が深いのだ。

HARUNA

(評論及び自衛隊写真は北大路機関の著作物である、ポスターに関しては公示のものである為著作権上の点は不詳であるが、転載はご遠慮下さい)

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

陸海空自衛隊関連行事 六月第三週期実施詳報

2006-06-15 23:23:04 | 北大路機関 広報

■北大路機関広報 自衛隊関連行事

■六月十七日(土)

■陸上自衛隊関連(0)

■海上自衛隊関連(0)

■航空自衛隊関連(0)

■六月十八日(日)

■陸上自衛隊関連(5)

○遠軽駐屯地:駐屯地創設55周年記念行事:第25普通科連隊・式典・観閲行進・訓練展示(戦闘)・装備品展示・体験乗車(90式戦車)JR遠軽駅下車(01584-2-5275)

○上富良野駐屯地:駐屯地51周年記念行事:第二戦車連隊・第四特科群・第三地対艦ミサイル連隊・第103全般支援大隊・式典・観閲行進・訓練展示(戦闘)・装備品展示・体験乗車(90式戦車)JR上富良野駅下車(0167-45-3101)

○真駒内駐屯地:第十一師団創設44周年・駐屯地創設52周年記念行事:第十一師団司令部・第十八普通科連隊・第十一高射特科大隊・第十一戦車大隊・第十一偵察隊・第十一施設大隊・第十一後方支援連隊・冬季戦技教育隊・北部方面衛生隊・北部方面音楽隊・第102全般支援大隊、式典・観閲行進・訓練展示(戦闘)・装備品展示・体験乗車(74式戦車・96式装輪装甲車)札幌市営地下鉄自衛隊前駅下車(011-581-3191)

○安平駐屯地:駐屯地創設51周年記念行事:北海道補給処安平弾薬支処:関係者のみ一般公開なし(0145-23-2231)

○岩手駐屯地:駐屯地創設49周年記念行事:第九特科連隊・第九高射特科大隊・第九戦車大隊・式典・観閲行進・訓練展示(戦闘)・装備品展示・体験乗車(74式戦車)いわて銀河鉄道滝沢駅下車(019-688-4311)

■海上自衛隊関連(0)

■航空自衛隊関連(1)

○見島分屯基地:分屯基地開庁51周年記念行事:第17警戒隊、式典・訓練展示(閉所戦闘)・飛行展示(C-1、T-400)

■自衛隊関連行事

 六月も後半に入った週末は、陸上自衛隊の駐屯地記念行事が中心であるが、梅雨入り直前の東北・北海道に行事が集中している。

_makomanai01  最も注目すべき行事は札幌市真駒内駐屯地において実施される第十師団記念行事であろう。1990年代に実施された戦車北転事業により戦車部隊を増強され、78輌編成に移行したが、第五師団は旅団化により戦車大隊が戦車隊へ、数量も20輌程になったと聞く、対して旅団化が予定されているものの師団編成を維持している第十一師団は重厚な部隊規模を維持しており、且つ司令部の置かれた真駒内駐屯地に戦車部隊が駐屯している。加えて、特撮ファンには広く知られている『ガメラ2 レギオン襲来』では駐屯地の74式戦車の車列が背景として出ており、特撮ファンはそんなコアな部分に着目してみるのも良いかもしれない。今年度はここでは実施されていないようだが、札幌雪祭り真駒内会場としても知られる。

 加えて、東北の岩手駐屯地は、北転事業の対象とならなかったため、本来の44輌編成の部隊規模を維持していると見られ、特科連隊との合同で実施される岩手駐屯地の訓練展示も見所があるといえよう。

北大路機関

なお、実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。

コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

映画『日本沈没』の再制作に関する一考察

2006-06-14 17:01:06 | 映画

 4月のセキュリタリアン(防衛庁広報誌)だったか、第一ヘリコプター団が映画『日本沈没』の撮影協力で参加したことを知ったが、いよいよ七月、『日本沈没』の公開が迫っている。

 さて、SF通ならば、若しくはSFという概念を知っていれば小松左京の『日本沈没』『首都消失』『復活の日』『さよならジュピター』『エスパイ』といった映画化作品群を聞いた事が無いという人はいまい。特に、『日本沈没』は映画化は二度目(原作が発表された1973年に映画化、テレビドラマ化もされた)、今回の監督は平成ガメラシリーズの特技監督、ローレライの監督を務め、伝説的なアニメ作品となったGAINAXのエヴァンゲリオンの製作にも携わった樋口真嗣氏で、定評在る特撮のノリでのパニック作品は、小松ファンでなくとも待ち遠しい今年度最注目作品の一つである。

Fh010002  なお、原作は地殻変動によりユーラシアプレートと太平洋プレートに狭間にある日本列島が、大規模な地すべりにより海面下に沈むというもので、映画化の際には原作に描かれた東京大地震や富士山噴火といったスペクタクルシーンが凄かったものの、原作で7000万人助かったのが予算の都合で3500万人になるなど(そういえば角川の『復活の日』は生存者が一桁減っていたような)、若干腑に落ちない点はあったものの、やはり迫力のあるものであった。

 特に小松氏の作品の真骨頂は、作品自体の着眼点ではなく、経済誌記者を経験した事もある氏の膨大な情報力から来る“説得力”の一言に尽きよう。小生は、本ブログを展開する程度に若干の軍事に関する知識を有しているものの、特に軍事面にだけ着目しても原作を読む限り(未来をテーマとした作品は別として)説得力があり、政治、経済からお茶の間まで描いた創造力(創造力もさることながら)には脱帽の一言に尽きる。

Scan20111  さて、残念ながらリメイクされた『日本沈没』については、小生が有している情報は伝聞情報の域を出ないため、若干、話のベクトルを変えて小松氏の作品について述べたい。

 小松左京短編集というものがあるが、彼は職業が駆け出しの時代、娯楽に奥さんにラジオを買うこともできず、仕方なく原稿用紙何枚かに短編小説を書いて出勤したという話や、京大文学部時代から小説を書き始め、中々売れず友人の機転(?)で廃品回収に出し、焼酎で一杯やったなどのこともあり、“書き溜めた”量は膨大なもので、特に主人公と数名を除き世界中から一斉に人が消滅した異常事態を描いた『こちらニッポン』や、文化大革命により世界から隔離されていた中共に宇宙人が侵略し、対応が後手後手に廻るうちに主人公の新聞記者が大きな時代の波に飲み込まれていく『見知らぬ明日』、少年向けの娯楽冒険小説というべき『見えないものの影』などなど、映画化が期待される作品は非常に多い。

Scan20115  温故知新というべきか、こうした埋もれた名作も映画化が検討される事を望んでやまない。また、未来における木星太陽化計画を巡る様々な出来事を描いた『さよならジュピター』、これは映画化を前提としたノベライズ作品であったが、特撮技術が向上した今日であればどのような作品になるのか、樋口真嗣氏の力でこちらもリメイクを期待したいところだ。更に、物理的に首都東京が世界から隔絶されてしまい、残った日本が冷戦という国際情勢下で如何に動くかを描いた大作ながら、映画化に際しては低予算に泣いた『首都消失』のリメイクも期待したりする。原作を読まれれば、政治、経済、軍事と各々の関心分野に引き込まれるだろう。小生としてはソ連両用戦部隊の北海道接近、訓練名目で出動する北部方面隊と暫定首都名古屋の緊張など、秀逸であった。

 だが、なによりも小松氏の新作を期待してしまう今日この頃である。

 ちなみに、筒井氏のパロディ、『日本以外全部沈没』もトルネードフィルムにて映画化、九月公開予定である。これもある意味期待できる作品だ。

 HARUNA

 (本ブログの評論及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする