北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【G7X撮影速報】第11旅団創設10周年-真駒内駐屯地創設64周年記念行事(2018-04-26)

2018-06-30 20:05:39 | 陸海空自衛隊関連行事詳報
■90式戦車&16式機動戦闘車
 平成最後の真駒内旅団祭は90式戦車と16式機動戦闘車が本邦初の同時展示となりました。第11旅団創設10周年記念行事速報、後篇を紹介しましょう。

 真駒内駐屯地祭、第11旅団は総合近代化旅団です。総合近代化旅団とは旧称沿岸配備旅団、北海道においてロシア軍の着上陸に備え充実した火力と機動力を備え沿岸部において脅威を撃破する能力を有します。本州や九州四国には、総合近代化師団や旅団はありません。

 総合近代化旅団、本州から見れば羨ましい編成です。74式戦車ではなく世界のどの戦車とも優位に戦闘を展開可能な90式戦車を装備、牽引式で39口径のFH-70榴弾砲に対し北海道では52口径の長砲身に最新の自動装填装置を備えた99式自走榴弾砲で統一しています。

 装甲車も、本州では軽装甲機動車が漸く普通科部隊に配備されていますが北海道では96式装輪装甲車中隊、部隊によっては通信部隊や施設部隊にも装輪装甲車が揃う。軽装甲機動車は本部管理中隊装備、今回の観閲行進では28連隊の中隊本部所要にも配備が確認できた。

 第11旅団は第11戦車大隊が90式戦車2個中隊を隷下に置き、もう一つの総合近代化旅団である帯広の第5旅団は3個中隊の90式戦車を有する戦車大隊を隷下に置きます、本土の即応近代化師団は、方面隊から派遣の第4師団と第8師団で10式戦車1個中隊が漸く揃う。

 首都防衛の第1師団は10式戦車と74式戦車の混成編成、あとは全て74式戦車のみという。本州の師団や旅団は即応近代化師団と即応近代化旅団、即応性強化し必要に応じて他地域へ転地任務も担う部隊で、旧称戦略機動師団と旅団か政経中枢師団に区分されていました。

 即応機動師団と即応機動旅団は本年新たに新編された緊急展開部隊です。現在は四国善通寺の第14旅団と北熊本の第8師団が改編を受けました。即応機動旅団への改編、第11旅団も改編を受けます。滝川駐屯地第10普通科連隊が即応機動連隊へ改編を受けるとのこと。

 第10普通科連隊は道都札幌と旭川を結ぶ回廊、夕張山地と増毛山地の隘路という緊要地形を防衛する連隊で、第11旅団札幌防衛を左右する。第10普通科連隊の即応機動連隊改編、意外な印象でした、即応機動連隊は本州九州四国に配置するものと考えていましたから。

 統合機動防衛力、という防衛省の新しい防衛戦略にもとづき、即応機動連隊は南西有事、勿論北方有事も含め、第一撃の着上陸を受ける蓋然性の低い本州に創設し、装輪装甲車主体の機動力を最大限活用し緊急展開を担う部隊で、初動に続く展開部隊という位置づけ。

 統合機動防衛力とは、初動と即応部隊と重装備部隊の三段構えを期し、北海道の部隊が重装備、もっとも重装備の、これは演習場環境に恵まれると共に重装備の脅威が近いという意味で、強力な装備を有する北海道からの増援につなぐ、という想定が当初示されたもの。

 即応機動連隊は、本部管理中隊、装輪装甲車装備3個普通科中隊、機動戦闘車隊は2個機動戦闘車中隊を隷下に置き重迫撃砲装備の火力支援中隊を隷下に置く、本部管理中隊にはミサイル装備の高射小隊や衛生小隊が常時配属され施設作業小隊には戦闘工兵装備も揃う。

 戦車と火砲だけはありませんが、かなり重装備の部隊です。ただ、北海道の総合近代化師団や総合近代化旅団よりは装備は軽い、その分機動力は高い。16式機動戦闘車を主力装備とする即応機動連隊、しかし、16式機動戦闘車は元々、本州九州用と考えられてきました。

 統合機動防衛力整備により戦車部隊が北海道の師団旅団と九州の方面隊直轄装備に集約されるという変容へ、10式戦車の代用として配備される105mm砲装備の戦車駆逐車です、だからこそ90式戦車と10式戦車で固める北部方面隊には配備されない、当初の構想です。

 北海道の即機連、第18普通科連隊が、即応機動連隊へ改編されるのだろうと思っていたのですが、第10普通科連隊だったというのも意外でした。第18普通科連隊は真駒内駐屯、そして冷戦時代は全中隊に73式装甲車を集中配備し装甲化普通科連隊となっていました。

 73式装甲車を集中配備、北海道の師団は冷戦時代必ず一個普通科連隊を装甲化し戦車部隊とともに機動運用を行う構想だったわけですね。第10普通科連隊よりも第18普通科連隊のほうが装甲車運用に長けているわけでして、こうした連隊が改編されるのだろうと、ね。

 第18普通科連隊の方に実際聞いてみますと、もちろん73式装甲車の時代と比較したならば96式装輪装甲車に転換してから時間が経ちますので一概にはいえないのですが、装甲車操縦や戦車との協同では第18普通科連隊の方が手慣れている印象はある、とのことでした。

 機動運用部隊と近接戦闘部隊の混成運用は北海道がソ連軍の軍事圧力を強く受けていた冷戦時代に必要とされた為の施策ですが冷戦後の新時代、2000年代に入ってからの部隊改編により、全部の普通科連隊に一個中隊を装甲化させる、という運用に転換した構図です。

 装甲車の分散配置は、推測ですが冷戦時代は自動車化普通科連隊には地形防御を活かして強靱な防御戦闘を展開、防衛線に当面の敵を凝集させたうえで、戦車部隊と装甲部隊が普戦協同の機械化部隊により一挙に反撃する、という運用を考えていた、と構図が成り立つ。

 しかし、全ての普通科連隊に装甲車中隊を配置し、装甲車と高機動車を混成編成する背景は、有事の際に南西方面に一個連隊ごとに連隊戦闘団を編成し逐次戦闘加入させる運用に、つまり旅団や師団が一体として運用する状況だけでなく分散し転地運用へ転換していった。

 連隊戦闘団一個単位で緊急展開する、師団一個そのまま展開するよりは身軽であるし、本州や九州沖縄への緊急展開は、北海道の重装備部隊が加わる事で、本土師団が抑えた前線を北方の増援部隊が機動打撃により一挙に撃破する、という運用に転換したからでしょう。

 連隊戦闘団単位の逐次投入、という表現は、戦術上の禁忌である戦力逐次投入にほかなりませんが、師団一個、それも総合近代化師団を全部北海道から南西方面へ移動するには、海上自衛隊が誇る精鋭おおすみ型輸送艦が1個機械化普通科中隊を同時輸送が可能だ。

 一個連隊戦闘団輸送に7隻、師団一個分の連隊戦闘団輸送に21隻、特科連隊や後方支援連隊を輸送するには更に15隻必要になります、ただ、おおすみ型が必要となるのは上陸戦という作戦輸送のみですので、南西方面へといっても一旦策源地まで通常船舶が必要となる。

 民間の高速フェリーやRORO船やチャーター船と貨物列車などで輸送することで代用できますが、それにしても一個師団を丸ごと輸送するとなりますと、膨大な車両数と物資資材数です。現実的に連隊戦闘団規模で順次移動するほか輸送力が成り立たないわけですね。

 90式戦車の戦車中隊、2個の高機動車化普通科中隊、1個の96式装輪装甲車化中隊、99式自走榴弾砲の特科中隊、ここに施設小隊と通信小隊に高射小隊、後方支援部隊として本部管理中隊と支援に当たる普通科直接支援中隊、これが総合近代化旅団連隊戦闘団陣容だ。

 即応機動連隊と比較しますと、機動戦闘車よりも戦車を装備し特科火砲の有無でも優位に立つ。この重装備は頼りになります、敢えて北海道に即応機動連隊を増勢するよりは、本州に一つでも多くの即応機動連隊を、そして普通科部隊の装甲化を実現するための多数の装甲車を量産するほうが必要なのかな、と思いました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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平成三〇年度六月期七月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2018.06.30-07.01)

2018-06-29 20:04:04 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 関東梅雨明けと最短の梅雨明け報道に驚かされる中、皆様いかがお過ごしでしょうか、こちらは蒸し暑くて倒れそうです、そんな週末は涼しそうな北の行事が目白押し。

 丘珠駐屯地創設64周年記念行事、北部方面隊の多用途ヘリコプター隊と対戦車ヘリコプター隊を運用する部隊、札幌市内の飛行場に駐屯しています、昨年度は災害派遣中のLR-2連絡偵察機墜落事故を受け中止となっていましたが、本年は満を持しての挙行、今月初めの真駒内駐屯地第11旅団祭でも丘珠駐屯地広報の方が正門前で行事案内を配っていましたね。

 留萌駐屯地創設64周年記念行事、第26普通科連隊が駐屯する日本海側の駐屯地で、本部管理中隊に4個普通科中隊と重迫撃砲中隊という編成ですが、1個中隊は師団司令部のある旭川へ分駐しています。留萌本線全廃により滝川駅から乗換は出来ません、札幌駅前から廃線後の留萌駅前まで高速バスにて三時間弱で行く事が出来、駅跡前にはホテルもある。

 遠軽駐屯地創設67周年記念行事、紋別郡の駐屯地で第25普通科連隊、110mという長大な隊舎が有名です。第2師団隷下の部隊で装甲車中隊を有する精鋭普通科連隊です。北海道の中でも遠軽は厳寒地としても知られ、スキー機動に定評がある。サロマ湖に程近い遠軽は、札幌市内からは距離がありますが一旦旭川に出て旭川からは特別快速で二時間と少し。

 倶知安駐屯地、北部方面対舟艇対戦車隊、北部方面情報隊北部方面移動監視隊、第3施設団第13施設群第361施設中隊、北部方面混成団第1陸曹教育隊上級陸曹教育中隊、等が駐屯しています。元々第29普通科連隊が駐屯していましたが廃止後、駐屯地を維持するために様々な部隊が駐屯しています、ニセコスキーリゾートに近くホテル宿泊費用が少々高い。

 苗穂分屯地創設記念行事、札幌市中心部北東3㎞に位置する立地で、施設器材整備補給を担う北海道補給処苗穂支処と航空自衛隊第1補給処東京支処札幌分室が置かれています。補給支処という分屯部隊ですので、先日の島松駐屯地祭、この行事だけを目的に旅客機で北海道に渡ると残念な感じ、という感想を良く耳にしますが、装備の細かい所が観られる。

 大湊基地では、マリンフェスタin大湊が開催されます、1日には護衛艦ゆうだち一般公開が行われ大湊航空基地の一般公開も行われる。大湊地方隊は大湊基地に大湊地方総監部を置き、函館基地隊第45掃海隊が掃海艇いずしま、あおしま、余市防備隊第1ミサイル艇隊ミサイル艇わかたか、くまたか、が配置され重要海峡津軽海峡と北海道沿岸部防衛を担う。

 大湊基地には舞鶴の第3護衛隊群より第7護衛隊が配置され護衛艦ゆうだち、護衛艦まきなみ、護衛艦すずなみ、護衛艦せとぎり、そして護衛艦隊直轄の第15護衛隊が置かれ護衛艦はまぎり, 護衛艦 おおよど, 護衛艦ちくま、の母港となっています。大湊航空基地には館山第21航空群隷下の第25航空隊SH-60J/K哨戒ヘリコプター部隊が展開しています。

 さて撮影の話題、CANONの28-300mmと18-200mmに15-85mmを愛用している最中、そろそろ陸上自衛隊行事を撮影するのにCANONから18-300mmが発売されると嬉しいのだがなあ、と思いつつ、こうした便利ズームと呼ばれる高倍率ズームについて、SIGMAやTAMRONの製品を少し試させてもらったり実際幾つか買ってみたりしました上での一つの雑感について。

 高倍率ズームレンズは同じ焦点領域の機種であっても望遠が出来る広角ズームレンズと光学も強い望遠ズームレンズ、二種類に体系化されるという印象があります、例えばCANONの28-300mm等は後者で、基本は望遠ズームレンズなのだけれども被写体が近寄ってきたさいに広角レンズとしての機能を、というもの、TAMRONの18-270mmは逆の感じです。

 撮影器材を携行する際に気を付けなければならないのは、300mmを商店領域に含む望遠ズームレンズで航空祭を撮影する場合、広角に強い望遠レンズならば航空機を撮影するには良好ですが、望遠が出来る広角ズームレンズの場合、AF追随速度が迫る航空機に追いつかない場合や、最大望遠時のピントが広角よりも甘い場合等が生じますので注意が必要です。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・7月1日:遠軽駐屯地創設67周年記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/2d/unit/butai/engal/engal_top.html
・7月1日:留萌駐屯地創設65周年記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/2d/unit/butai/rumoi/rumoi_top.html
・7月1日:倶知安駐屯地創立63周年記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/11d/jgsdf-post/images/kucyan/
・7月1日:丘珠駐屯地創設65周年記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/
・7月1日:苗穂分屯地創設記念行事…http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/11d/jgsdf-post/naebo.html
・6月30日:マリンフェスタin大湊…http://www.mod.go.jp/msdf/oominato/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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英空母クイーンエリザベス南シナ海派遣検討完,イギリス連邦35億の憂慮と動き始めたフランス

2018-06-28 20:10:24 | 国際・政治
■中国アフリカ進出へ英仏関心
 本特集は今回が最終回です。さて、中国のアフリカ進出、アフリカ諸国の多くが参加するイギリス連邦諸国の憂慮がイギリスを東アジア地域へ向かわせた可能性がある。

 イギリス連邦は35億という加盟国人口を有しており、アジア地域ではインドやパキスタンとスリランカ、東南アジアではシンガポールやマレーシアとバングラディシュにブルネイが加盟していますが、加盟国は北米にも南米にもオセアニアにも欧州にも勿論アフリカにも広がっている。中国人口は13億と世界最大ですがイギリス連邦加盟国の総人口はより巨大だ。

 国際関係において連邦は高等弁務官を相互に派遣し全権委任大使派遣に代える、イギリス連邦は国家間共同体ではありますが協力体制は単なる友好協定とは深度が別次元です。国際関係で視るならば、日米安全保障条約に基づく友好関係やNATO諸国とアメリカ以上に形式的には深いものがあります、NATOや日米安保は国家間の同盟条約なのですから、ね。

 アフリカの連邦加盟国、南アフリカ共和国、ナイジェリア、タンザニア、ガーナ、シエラレオネ、ウガンダ、ケニア、ザンビア、ボツワナ、タンザニア、スワジランド、レソト、モーリシャス、セーシェル、ナミビア、カメルーン、モザンビーク、ルワンダ。もっとも、先進国が資源取引を行わない非民主国家と中国の取引は今に始まったものではないですが。

 これがイギリスの関心を安全保障面で極東に向ける背景となっているのでしょう。こうして再考してみますと、一帯一路と連接しているAIIBアジアインフラ投資銀行、イギリスのAIIB参加も、中国の行動に関与する事を主眼として進められていたといえるかもしれません、イギリスは国際機構、特にレジーム構築において外交力を巧みに発揮した事例が多い。

 AIIBへのイギリス参加は当初、中国の巨大経済力にイギリスが屈したと誤解のある見解が識者さえ示されていましたが、例えば1975年にソ連の影響が大きなヘルシンキ国際平和会議に参加し、主導権を獲得、OSCE全欧安全保障協力機構へ昇華させたような将来展望さえ、有していたのでしょう。同様にフランスも中国の世界での行動に関心を示しています。

 フランコシンフォニー、仏語友好圏諸国としてフランス共同体を緩やかな多国間友好圏として置き換えたもので当初はフランス共同体を支えたドゴール政権時代のフランスの参加は消極的でセネガルのサンゴール大統領が提唱した組織ですが、ミッテラン政権時代にフランスが首脳会議を定例化する国際機構化へ尽力しました。アフリカ諸国の参加も多い。

 セネガル、ベナン、ブルンジ、ブルキナファソ、カメルーン、中央アフリカ、コンゴ共和国、コンゴ民主共和国、コモロ、カーボベルデ、コートジボワール、ジブチ、エジプト、ギニア、ニギアビサウ、赤道ギニア、マダガスカル、マリ、モロッコ、モーリシャス、モーリタニア、ニジェール、セーシェル、チャド、トーゴ、チュニジアがアフリカ参加国だ。

 世界84カ国が参加しており、東南アジア諸国からもヴェトナムが参加しています。そして、フランスも近年、ミストラル級強襲揚陸艦の親善訪問など日本との防衛協力を深化させています。フランスの場合、仏領ニューカレドニアを海外県として有しており、フランス太平洋艦隊の親善訪問等も実績は多く、アジアアフリカ地域平和安定への関心度は元々強い。

 中国のアフリカでの動向を注視しているのはイギリスと共にフランスも同様です、アフリカでの基地建設や軍事的影響の増大と港湾鉄道インフラの管理権獲得、抑圧国家からの資源購入や経済効力強化、これがアフリカ地域の経済格差や地域摩擦の増大に繋がれば、フランコシンフォニー諸国へも影響は及び、地中海を挟んだフランスへ影響も無視できない。

 南シナ海地域への関心への転換、イギリス海軍の新空母クイーンエリザベス級の話題から始まりましたが、南シナ海では中国がヴェトナムやフィリピンから不法占拠や武力奪取した環礁を人工島に拡大し領海宣言を実施、戦闘機やミサイル部隊を展開させ海洋支配の拠点へと地球改造を行いました。中国は何をしたいのか、アフリカまで及ぶその海洋進出と地域進出を見極めようと、欧州の大国、イギリスとフランスが動き始めたといえるでしょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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英空母クイーンエリザベス南シナ海派遣検討続,中国のアフリカ進出と軍事影響力増大への疑義

2018-06-27 20:16:58 | 国際・政治
■アフリカ摩擦と日英防衛協力
 中国のジブチへの巨大基地建設やスーダン軍事援助と唐突ともいえるアフリカでの軍事協力拡大、イギリスが極東への関心を強める背景にはアフリカが一つの基点といえる。

 新空母クイーンエリザベス級二隻の南シナ海派遣発表と先行する揚陸艦アルビオンの南シナ海派遣、そして自衛隊とイギリス軍の防衛協力、一昔ではPKOや国際人道支援任務等でしか考えられなかったもので、タイフーン戦闘機やイギリス海兵隊の日本派遣、イギリス軍が日本で自衛隊との共同訓練を行うというものは中々、実感が湧かなかったでしょう。

 日英防衛協力の進展、しかし、厳密には2003年イラク戦争後の自衛隊イラク復興人道派遣任務において自衛隊サマーワ派遣部隊はイラク南部を管区とするイギリス多国籍師団有志連合司令部の指揮下に入りましたし、日本でもPSI大量破壊兵器拡散防止イチニアチヴ多国間協力訓練として2006年に横須賀で大規模な訓練を実施、イギリス海軍も参加しました。

 南シナ海へイギリスが空母を派遣、しかしここまで進み、実際に三沢基地へユーロファイタータイフーンが展開し航空自衛隊F-2戦闘機と共同訓練を行いますと、些か急展開の印象は否めません。そして、国際協力や人道支援任務ではなく、戦闘機部隊の共同訓練はPKO任務と違い間違いなく従来型の大規模武力紛争対処における防衛協力を意味するものです。

 水陸両用部隊の共同訓練は確実に我が国の南西諸島防衛、つまり中国を念頭に置く防衛協力であり、これまでの防衛協力とは全く意味が違う事に気づかされるでしょう。水陸両用部隊といえば在沖米軍第3海兵師団や第31海兵遠征群を思い出しますが、日本が考える水陸両用作戦は島嶼部防衛、イギリス海兵隊の島嶼部領域警備能力の方が必要な能力に近い。

 中国にたいし、イギリスが明確に疑義を示しつつある、この視点に収斂する一連の施策は、どういった背景なのでしょうか。イギリスは中国が進めるAIIBアジアインフラ投資銀行への参画など、親中的政策を進めていた背景を含み考えますと、一転した印象です。ここで考えられる一要素は中国のアフリカ進出が結果的にイギリス安全保障に影を落とし始めた。

 イギリス連邦、同君連合を起点として主権国家の共同体となった連合王国盟国や旧植民地と旧保護領の諸国で、事務局はロンドンにあります。この加盟国への中国の圧力、軍事圧力以外に経済干渉等を含めての影響拡大が危機感を及ぼした可能性があるでしょう。同君連合は過去の物となり、オーストラリアやカナダなどが残るのみですが、共同体は健在だ。

 アフリカへの中国による影響力増大は、経済関係の交流増大や文化交流の促進に留まるならば、いわゆる南北問題への新興国同士の取り組み、ということでイギリスも積極的に支援していたでしょう。しかし、たとえばアフリカ地域における中国による国家債務と引き替えの鉄道敷設や債務に重ねた港湾やインフラ開発は、アフリカの不安定要素となり得る。

 一帯一路、として中国が進める資源地域と自国の工業地域を結ぶ航路の整備事業は、同時に勢力圏拡大に過ぎないのではないか、イギリスが危惧するのは、とはいっても危惧しているのはイギリスやイギリス連邦加盟国だけではないのですが杞憂とは言い切れません、実際に港湾管理権等を半世紀単位一世紀単位で租借、19世紀型の施策が21世紀に行われた。

 アフリカ地域の安定はイギリス連邦の盟友の安定に直結すると共に不安定要素はそのままアフリカからの大量の欧州移民の更なる増大に直結しかねません。アフリカでの変容がイギリス安全保障政策の転換を促し、極東での防衛協力はその一環である、というもの。具体的にはイギリス連邦加盟国への中国圧力波及に伴う牽制の一環といえるかもしれません。

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英空母クイーンエリザベス南シナ海派遣検討,イギリス連邦諸国への中国の不透明な圧力が背景

2018-06-26 20:04:38 | 国際・政治
■日英防衛協力強化と南シナ海
 英空母南シナ海派遣検討,昨年発表されましたが今年、揚陸艦アルビオンが遠く南シナ海へ派遣され、イギリスの南シナ海への関心の高さが示されました。

 イギリス海軍は新空母クイーンエリザベス級二隻の戦力化を待って空母クイーンエリザベス、空母プリンスオブウェールズを南シナ海の海洋安全保障問題へ派遣する構想を発表しました。これは昨年七月にイギリスのジョンソン外相が豪州訪問で発表し、実際、今年四月からは23型フリゲイトのササランドとアーガイル、揚陸艦アルビオンが展開しています。

 プリンスオブウェールズは現在建造中ですが、第五世代戦闘機F-35Bを36機搭載する65000tの航空母艦は中国が南シナ海で進める人工島建設と基地化による海洋閉塞へ真正面から挑むようです。イギリスは英連邦王国のオーストラリアとの防衛協力も強化しており、南シナ海での緊張に加え、北朝鮮による核開発に際しても海上阻止行動を実施しています。

 日英防衛協力はこうした極東と東南アジア地域へのイギリス関与の一環として進められ、イギリス空軍はユーロファイタータイフーン戦闘機の日英共同訓練への派遣や、イギリス海兵隊とフランス強襲揚陸艦の九州派遣による水陸両用共同訓練など、防衛協力を強化しています。これは野田内閣時代の日英防衛協力強化指針を受けての施策であり、継続中だ。

 自衛隊とイギリス軍の共同訓練という具体的施策、このほか防衛装備共同開発などの協力も進んでいます。日英はAH-64戦闘ヘリコプターやF-35戦闘機、CH-101ヘリコプター等、装備品の一部に共通性があります。我が国にとっては中国が南西諸島に上陸する可能性が高まる中、イギリスの関与は日英同盟以来の天恵ですが、一連の協力強化の背景には何があるのでしょうか。

 イギリス連邦、この国家共同体の存在がイギリスの日本との防衛協力増進の背景に見出す事が出来るでしょう。イギリス連邦は良く似た英連邦とは異なります、英連邦はオーストラリアやカナダとニュージーランドなどが加盟する同君連合とはイギリス連邦は異なります、英連邦はエリザベス女王国家元首に頂く同君連合ですがイギリス連邦は共同体の一つ。

 イギリス連邦と英連邦、英連邦は正確には英連邦王国、前者は1930年代こそブロック経済としてスターリング経済圏を構成していたものの、現在はイギリスに縁のある英語圏の寄り合い所帯、という関係です。しかし、連邦加盟国に安全保障上の脅威が及んだ場合には防衛協力が行われますし、法的支援などが行われる、緩やかな共同体ですが結束は強い。

 オーストラリアという英連邦王国参加国は同君連合という事で、特に中国の南シナ海進出が豪中間経済関係の促進に水を差してでも懸念有る安全保障上の問題としてとり組んでおり、イギリスの極東進出はオーストラリアとの防衛協力の延長線上や、インドとマレーシアやシンガポールといった共同体としてのイギリス連邦加盟国支援との色彩が見て取れる。

 アフリカのイギリス連邦加盟国への中国の不透明な圧力、勿論上記英連邦王国への防衛協力という視点も大きいのでしょうが、多くのアフリカ諸国が参加するイギリス連邦諸国への中国の圧力、特に経済協定を端緒とした鉄道や港湾への租借権長期取得、割譲と揶揄される経済進出へ、直接的反発ではないものの緩やかに牽制の姿勢を示したといえましょう。

 イギリス連邦加盟はアフリカ地域では南アフリカ、ナイジェリア、タンザニア、ガーナ、シエラレオネ、ウガンダ、ケニア、ザンビア、ボツワナ、タンザニア、スワジランド、レソト、モーリシャス、セーシェル、ナミビア、カメルーン、モザンビーク、ルワンダ、など。この地域での中国の鉄道や港湾租借権獲得がイギリスの疑義を招いたともいえます。

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新防衛大綱とF-35B&EA-18G【18】F-35B艦上哨戒機,対潜掃討と対水上戦闘を同時遂行

2018-06-25 20:01:45 | 先端軍事テクノロジー
■F-35B艦上哨戒機の能力
 F-35B戦闘機導入、ヘリコプター搭載護衛艦へF-35B艦上哨戒機として搭載する事は計り知れないポテンシャルを有します。

 ひゅうが型護衛艦のF-35B戦闘機について、飛行甲板後部に数機を係留する事で格納庫の7機と併せ10機以上のF-35B戦闘機を搭載可能で、同時にSH-60K哨戒ヘリコプターを3機搭載可能、という結論を先に示しましたが、勿論平時からここまで無理を通す必要はありません、平時にはF-35B戦闘機5機とSH-60K哨戒ヘリコプター4機、が妥当です。

 甲板係留について、ひゅうが型護衛艦は円通飛行甲板最後尾にMk41VLSを搭載しており、このVLS運用時に近くに艦載機を置く場合は爆風の危険性があります、ただ、Mk41に搭載するミサイルは射程50kmのESSM対空ミサイルとアスロック対潜ロケットで、後者については爆風が大きいようですが前者はそれ程顕著でもないとの運用特性があるようです。

 全通飛行甲板について、搭載する航空機がラファールやF/A-18C戦闘機であれば垂直着艦が出来ない為、着艦時に飛行甲板に侵入する際に艦尾周辺へ艦載機を大量に係留する事は着艦を阻害する可能性がありますが、幸い今回の論点であるF-35Bは垂直着陸が可能で、着艦時に飛行甲板後部へ艦載機が複数係留されていても、着艦にそれ程危険はありません。

 荒天時に甲板が波浪に洗われた場合は艦載機が流失する可能性は皆無ではありません。しかし、ひゅうが型護衛艦は船体部分が22m、吃水は7mとなっていますので海面から全通飛行甲板までは15mの余裕があります、艦首形状から全長に匹敵する大波と遭遇した場合でも凌波性が確保されていますが、その前に15m以上の波浪は流石に太平洋上でも少ない。

 ヘリコプター搭載護衛艦の強みは、必要に応じて艦載機を転換させ、多様な任務へ対応する事です。MCH-101掃海輸送ヘリコプター6機とSH-60K哨戒ヘリコプター2機を搭載したならば掃海母艦として運用可能です。CH-101輸送ヘリコプターとMCH-101を格納庫だけでも余裕をもって7機搭載可能ですので、人道支援任務の輸送中枢艦として運用可能だ。

 F-35B戦闘機を若干数でも搭載したならば、ステルス性を活かした索敵機に用いると共に敵早期警戒機制圧にも寄与、SH-60Kと混載する事で対潜掃討と対水上戦闘を同時遂行可能、F-35B戦闘機を多数搭載したならば、勿論自衛隊にそれだけの余裕は無くアメリカ海兵隊との共同作戦も視野に含む事となりますが制空戦闘を含む軽空母としての運用も可能です。

 SH-60K哨戒ヘリコプターであれば余裕を以ても13機を収容可能です。ひゅうが型航空機格納庫は中央部に防火シャッターがあります、ヘリコプター搭載護衛艦格納庫搭載時は尾部の折畳機構を用いず搭載しますが、折り畳む事で全長を短縮できますので、これにより防火シャッターの前後各2段3列で搭載出来、更に航空機整備区画に1機を搭載可能です。

 勿論、ここまで集中搭載しても行動半径の関係上意味は薄い事は確かで、航続距離が延びる訳ではなく集中にも限度がある。妙な例えですがイナバ物置が100名載っても大丈夫だといっても100名用座席に用いる事が無いようなもので、出来るがやらないだけ、というところでしょう。しかし、ひゅうが型最大能力は航空機運用能力だけでも、これほど高い。

 ひゅうが型護衛艦はF-35B戦闘機を搭載する意味について、最大の要素は相手に対し不確定要素を与える、という事です。いずも型護衛艦2隻のみに運用能力を付与するだけでは、F-35B運用能力を持つ艦艇は2隻に過ぎませんが、ひゅうが型2隻を含めますと一挙に4隻へと倍増します。それは同時に四個護衛隊群の能力均衡化にもつながるといえましょう。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【日曜特集】富士学校創設63周年富士駐屯地祭【08】激戦展開!富士の戦い!(2017-07-09)

2018-06-24 20:10:00 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■壮烈!富士戦闘団の訓練展示
 状況解説と、元々の観閲行進用の解説記事とともに富士学校祭富士教導団の富士戦闘団訓練展示の様子を紹介しましょう。

 前回は攻撃に転じた富士戦闘団が敵地雷原に接し停止した瞬間に敵対戦車ミサイルの攻撃を受け戦車一両が大破しました、そこで特科部隊の支援下、離脱を図ることに///戦車教導隊の観閲行進です、富士学校が自衛隊の戦車の行く末を決めます。しかし、自衛隊の専守防衛の防衛戦略は創設の1954年以来不変であるのですが、創設以来重視されていたのは戦車火力でした、自衛隊は装甲車軽視と云われますが、これは戦車を重視ゆえ。

 第一線の敵地雷原と思いもしない敵防御線を前に指揮官は突破を一時中断し包囲機動か迂回かの選択を迫られる///戦車の火力や性能を重視した結果、そのために予算を集中した為でして、第二次世界大戦においてアメリカ軍のM-4戦車や、ソ連軍のBT-7戦車に散々な目に遭わされたために他なりません。兎に角、日本を防衛するには敵戦車の攻撃衝力を如何に潰すかが重要でした。

 敵情はどうか、一人の普通科隊員が思い切って立ち上がり見え隠れする敵前衛へ反撃を試みる///しかし、戦争経験の形骸化といわれるように、昨今の自衛隊の戦車軽視は、専守防衛という大前提を忘れたとしか言えない状況です。専守防衛と云えばどこが戦場になるのか、特に海外で戦争させる国にさせないとの一部主張、戦争は我が国土で行え、という事となる。

 負傷者発生、立ち上がった隊員が直後に狙撃され重傷だ、という状況、敵狙撃兵へ89式小銃にMINIMIが最大限の弾幕を張る中で倒れた戦友を第一線救護が///しかし、敵前衛部隊には狙撃部隊が協同していた、潜伏斥候のように隠れて前衛の外縁を狙撃部隊が担う運用だ///日本は国土が外敵に侵略されて初めて防衛力を行使するという世界的に視て、国民が機縁に曝されるまで何もしないことが平和であるという憲法解釈を国民自身が支持している不思議な国家です。つまり、日本の平和的国防戦略とは、沖縄戦やサイパン戦のようなもの。

 しかし、この状況の変動を活かして敵対戦車地雷に前進を阻まれ敵対戦車ミサイルから退避していた戦車が一挙に離脱を図る///専守防衛を突き詰めれば沖縄戦やサイパン戦住民が巻き込まれる国土での戦闘を国民が平和と歓迎しているのですね。これこそ戦争経験の形骸化といわざるをえない。現在の専守防衛を貫くのであれば、開戦は即座に本土決戦を意味します。この点をもっと考えるべき。

 装甲車が新たに投入され負傷した戦友を後送するべく引きずって装甲車へ、装甲車が段列地区の野戦病院へ搬送する、自衛隊には装甲救急車が無く第一線の装甲車を引き抜かねばならない現状を示す///専守防衛、開戦とは即座に本土決戦を意味し個人的にこれでは国民の生存権を担保できないので、海上で撃破した後に侵略した敵の港湾などの施設を徹底的に破砕し、我が国土に戦火が及ばないようにする、手段としての平和主義よりも国民の平和的生存権を重視する。

 救急車代わりの装甲車が掩護を受け離脱する、装甲救急車、例えば天井の高いNBC偵察車を転用した装甲救急車を開発し、一刻も早い量産が求められる///その上で相手が侵略糸の継続の意思を継続するのであれば、作戦遂行能力を全般的に痛撃する施策があっていいと思うのですが、ね。どうも手段が目的化する、という構図は日本社会、義務教育の学校生活から社会での経済活動や地域合意形成まで多いような気がする。

 96式装輪装甲車の離脱、装甲救急車であればこの状況でもジュネーヴ条約が直接照準射撃から国際法が保護しますが、この状況では他の装甲車と区別がつかない///平和憲法に固執するのであれば、せめて戦車と装甲火力と砲兵火力を強化しまして、沖縄戦を踏襲しないように、着上陸の海岸線でこちらの戦車と砲兵火力が叩き潰すような、千島列島占守島で戦車11連隊が実施したような、強力な機甲戦力が専守防衛には不可欠です。

 とにかく敵狙撃手を黙らせなければならない、そのために普通科教導連隊から最高の狙撃手が最良の観測手とともに装甲車で進出する///沖縄戦は平和でしたか?、サイパン戦の最後に国民はどうなりましたか?、専守防衛とはそういうことです。国土を戦場とするまで相手が手出しに着手した瞬間まで看過する、これが平和憲法なのですが。歴史を改めて調べ、少ない生存者の方に話を聞いてもそう思う。

 狙撃手が完璧に偽装された車内からM-24,対人狙撃銃を射撃する、数発の応戦と共にこうして敵狙撃部隊は制圧された///平和憲法では戦力を持たないことが平和につながる、という国是をしめしています、当時の国連憲章ではそもそも二条四項に戦争そのものが禁止されていたので、という根拠があるのですが、強制力を持つ国連憲章も自衛権という国家の自然権を冒す事は出来なかった。

 突破だ!、攻撃の再興へ先ず敵の敷設した地雷原を障害処理するべく地雷原処理ローラーを装着した90式戦車が土煙を巻き上げながら突進する///国際法上、戦争は無くなりましたが国家間の武力紛争と名前を変えて存在します、このために日本も軍隊を廃止しましたが自衛隊と名前を変えて防衛力を維持している訳ですね。しかし、その自衛隊の創設を憲法が盛り込んでいない、ここに齟齬の根底が見えるのです。

 92式地雷原処理ローラが12tの重量で敵地雷原を踏み潰して破壊するべく突進する、攻撃気道は三要素、突破か包囲か迂回か、指揮官は敵前地雷処理を経ての突破を図ったのだ///戦車重視を主張するのは、国土が戦場になるまで防衛力を使用しないという我が国だからこそ、緒戦で相手を圧倒するための戦力が必要であり、しかも戦場は国土に限られています、それならば、戦車が必要です。こうしたならば、戦場は海岸線より内陸へ進みません。

 だが敵は突破を想定し前衛部隊の虎の子、T-74戦車で反撃を加えてくる、我が方90式戦車の空包よりも迫力ある空包射撃で迎え撃ってきた///日本は海洋国家なのだから海上防衛力を重視すべき、という主張もあるにはあるのですが、海上戦力をどれだけ整備しても憲法が専守防衛のみを定めているのであれば、それは法治国家として使えない戦力に他なりません。これは海洋国家であっても憲法の条文覆らない。

 撤収!、90式戦車は即座に転進後退した、どうも今年度の仮設敵は手ごわい///専守防衛なのだから陸上戦力が骨幹戦力となるのは違いない。ところが、小泉内閣時代以降の日本の防衛はどんどん戦車を削減する方針を継続しています、沖縄戦の悲劇、サイパン戦の悲報、これらを忘れない為には、自衛隊の師団や旅団には戦車大隊が必要でしょう。

 攻撃失敗は中々無い、90式戦車が即座に反撃、自動装填装置で4秒間に一発を射撃でき、2両揃えば二秒に一発敵部隊へ必殺の戦車砲弾を叩き込める、一個小隊4両ならば毎秒一発戦車が吠え続ける事が出来る訳だ///戦車教導隊第1中隊の10式戦車です。120mm滑腔砲を高度な火器管制装置と自動装填装置により管制し、遠距離目標を高速で起動しつつ連続射撃し勝ち抜く事が出来ます。初めてこの戦車を見たのは2011年の富士駐屯地祭でしたが、機動力が強く印象に残っています。

 空包射撃、ただ、90式戦車の空包射撃は74式戦車の空包射撃よりも軽く迫力がない///装甲を強化しつつ、車内コンパクト化、重装甲なのですが重量を以前の90式戦車の50tよりも軽量な44tに抑えています、機動力は1200馬力エンジンを無段変速機により他界加速性を有し、アクティヴサスペンションにより水上を滑走するが如く悪路を快速で移動する。

 迫力のない空包でも判定で命中したらば撃破は撃破だ、が、敵地雷原にミサイルと戦車に狙撃兵の防衛線、我が方指揮官は正面突破を断念せざるを得ない///しかし、この戦車は最近欠陥戦車ではないか、と当方は感じています。10式戦車を欠陥戦車を表現する事は、必ず反論、それもかなりの反論を受ける為に避ける人が多いのですが、やはり10式戦車は欠陥戦車と云わざるを得ません、それは政治家が理解していないこと。

 T-74戦車を撃破!、しかし、この仮設敵は地雷原の周辺に対戦車ミサイルと戦車部隊を配置し頑強に抵抗する構えだ///政治家がこの戦車の能力を理解させられていない点にあります、実はこの戦車、年間52両を量産したならば一両あたり7億円まで費用を低減させられるという驚きの量産効果です。元々大量生産の規模が少なかった為、52両の量産でもこれだけ費用縮減できたといえよう。

 施設作業車を進出、戦車同士の戦闘が繰り広げられる最中に偵察隊が迂回機動可能な敵防御線の間隙を発見、戦闘工兵が迂回機動を採ることに///7億円とは3か年分を一括取得した場合の費用としまして概算要求に提示されました、実際に製造元の三菱重工が発表しています、各国戦車が軒並み10億円から輸出価格で15億円を超える中、年産52両の量産はそれ程多くは感じず、コスト管理の努力を感じさせます。

 迂回機動で新しい攻撃機動へ、遠景には大破した我が90式戦車と膠着する状況が続く中、力押しで遮二無二進むのではなく迂回する///52両量産したならば量産効果で一両7億円まで下がるのであれば、毎年364億円投じて量産し、戦車を増やしてゆけばいいのですが、この戦車が量産開始となった直後に、我が国は戦車定数を400両に縮小する決定を下します。これでは短期過ぎ逆に意味がありません。

 特科教導隊が我が施設部隊の障害処理を支援するべく猛烈な弾幕を張る、155mm榴弾砲の発砲焔が物凄い///更にこの戦車の定数は300両まで縮小させる決定が為されるのですが、そもそも世界的に視て安価で高性能の戦車を完成させた直後にこうした決定を下す事が分らない。こうした政策決定を通してしまう事が10式戦車を理解させられなかった、故の欠陥といえましょう。

 施設作業車は自動操縦さえ可能な戦闘工兵車両、なのですが費用が高く数が充分ではない為、北海道以外に配備は進んでいません、それでもこれさえあれば包囲も突破も、勿論防御も可能だ///その上で政府は戦車の不足を補うために、16式機動戦闘車という本来は偵察部隊用に開発されたタイヤ式の装輪機動砲を200両から共同通信報道では300両も生産するとしています、これは無駄過ぎないか。10式戦車と16式機動戦闘車を並行装備するほど余裕はない。

 FH-70榴弾砲の連続射撃、隣には203mm自走榴弾砲を支援する87式砲側弾薬車が並ぶ、155mm榴弾砲と203mm榴弾砲の弾幕が空包で再現される、実戦ならば敵前衛は物凄い状況だ///それならば、10式戦車は軽量で戦略機動性も確保されているのですから、16式機動戦闘車は87式偵察警戒車後継の偵察部隊用などに留め、10式戦車を600両生産する選択肢があったのではないでしょうか、600両あれば42両編成の戦車大隊が15個弱編成できます。

 10式戦車が戦闘加入する、迂回機動を成功させるべく新戦力の投入だ、戦車の数に余裕があれば、攻撃が停滞した場合でも迂回機動を成功させられる、戦車は数が必要だ野だ、という事を端的に示唆する状況といえよう///しかし、16式機動戦闘車の量産が本格化した今日ではこうした表現にはあまり意味がありません、16式機動戦闘車の整備費用にかなりの費用を割いてしまいましたから、ね。生産ラインを整備した上で、一旦始めた、今更少数整備に切り替えては逆に費用が掛かります。

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最前線国家の覚悟,米朝初首脳会談と在韓米軍撤退:東京から西太平洋全域の安全保障を考える

2018-06-23 20:12:57 | 国際・政治
■専守防衛政策次段階への変容
 トランプ大統領の在韓米軍撤退示唆が将来的に現実となれば、東京中心の防衛政策ではなく、我が国は西太平洋北東アジア地域全般の防衛という広い視野を必然的に持つ事を突き付けられましょう。

 価値観の共同体、とはかつて外交専門誌“外交フォーラム”にて欧州を表現した言葉ですが、国際関係においては個々の命題は勿論二国間協定や原則宣言などで結ばれるのですが、ある程度価値観が合致していなければ、成り立ちません、その上で日中の諸制度を考えますと、民主主義や立憲主義と自由権への認識が根本から違い、残念ながら相容れません。

 中国の圧力ですが、日本には中国が自国民に対し行っている思想表現の自由への大きな制限、つまり体制批判などの発言への責任を伴う表現という制約、そして21世紀の今に至るまで普通選挙を行わない中国の体制は相容れません。しかし、韓国民主化は1987年、日本は1889年に憲法制定、1925年には普通選挙実現、1946年には男女普通選挙を実現ました。

 自衛隊の強化、安全保障環境の変容と表現しますと、一番最初に彷彿させる変革は防衛力の強化、というものでしょう、勿論これは必要な事ではあります、兵力不均衡は国際紛争の武力紛争化への一要素ですから、ね。即応機動旅団や即応機動師団の隷下普通科連隊をすべて即応機動連隊に改編し即応機動連隊を20個単位で改編する事で機動力を強化する。

 師団旅団すべてを戦車と装甲車で固めた総合近代化師団や総合近代化旅団にしなければならない、護衛艦隊を冷戦末期に想定したような7個護衛隊群に拡大の選択肢や私案で提示する新しい八八艦隊というようなヘリコプター搭載護衛艦定数8隻への増強とF-35B艦上固定翼哨戒機採用、これが海洋自由原則が実力で脅かされた際のシーレーン防衛への備え。

 専守防衛と共に日本本土へのミサイル脅威、そして核兵器を国是として持たないわが国の核抑止力に代わる手段としてのミサイル防衛は必要になりますし、弾道ミサイル基地への策源地攻撃能力が報復的抑止力として必要、航空自衛隊は二方面での航空優勢維持に加え策源地攻撃能力付与へ戦闘機の増勢など。しかし、必要な変革の中それは一部に過ぎない。

 防衛政策の根本からの変革を強いられる、自衛隊の強化はその一手段にしか過ぎません。防衛政策の根本からの変革とは、専守防衛という戦後の自衛隊創設以来の国是へも影響を及ぼし、要するに日本の友好国にたいし万一の際には防衛協力を行う、という積極的な防衛政策へ転換、武力攻撃だけではなく今後は国際法上の武力行使に対しても対処が必要に。

 要するに日本本土へ直接着上陸があった瞬間から漸く自衛権を行使するという武力攻撃を待つ現状から、日本への国際法上の武力行使が行われた段階で自衛権を行使できる専守防衛への転換が必要となります。これも専守防衛には変わりありませんが、武力攻撃を受けての着手か武力行使の段階での発動か、変容といえる。国際法上の武力行使は武力攻撃よりも幅が広く、軍事圧力や軍事手段に準じる圧力等も含むもので、例えば大規模軍事演習と対抗演習等も含みます。

 自国を自国で防衛することは国際法上なんら問題はありません。経済力や人口により限界はあるものの全ての主権国家はこの努力を行っている、もちろん日本も例外ではなく、自衛隊の能力も規模も世界的に見て高い水準にあるのですが、突きつけられている脅威にたいし充分であるか、と問われればまだ一考の余地がのこります。上記試案は処方箋の一つ。

 自国だけで防衛できない場合には同盟条約として多国間安全保障枠組みへ参画する事例が多いのですが、日本は憲法上、と制約があるのです。一例として西太平洋地域での安全保障枠組を構築には、韓国と中華民国台湾、フィリピンとの防衛協力がどうしても必要となります、台湾とは直接行わずともシンガポールの様に訓練協力等に留める選択肢もある。

 台湾とシンガポールは水陸両用車や防衛装備開発において連携している事が中国の調査で判明し、一時台湾へ向かうシンガポール軍装備が中継地の中国で抑留される等一悶着ありましたが、建前と本音を分けた防衛協力の位地様式とも言えました。しかし、我が国では集団的自衛権行使に関する憲法上の制約があり、協力枠組の構築を大きく制限しています。

 国連への支援を国家の安全保障に、という声もありますが、アメリカではなく国連に頼ろうにも、まず、国連憲章には国連への支援義務と国連軍派遣に関する明確な条項があり、そして国連憲章が国際法上の強行規範であるとして一種慣習法化された、国際司法裁判所勧告的意見が示されているものの、南スーダン派遣において我が国立場は否定的でした。

 専守防衛政策次段階への変容、というものについて変革を強いられるという立場ですが、現在の憲法解釈と法体系では限界もあります。日本は国連軍以外の国際平和維持活動での集団的自衛権についても極めて抑制的にしか参画しておらず、国連重視への転換ならば、結局、集団的自衛権行使の問題に直面しなければなりません。そして国連重視への転換を行わない場合は、一国での周辺地域への防衛協力やプレゼンスの誇示による、自由と民主主義等の防衛へ責任が増す事でしょう。

 幸い日本の国力はかなり大きなものがあります、防衛力に関しては実現する国力がある。実際、経済力と工業力の水準は世界平均を大きく抜いており先端技術基盤も大きなものがありますし、護衛艦の建造や装甲車両の製造はじめ防衛力整備は公共事業としての機能を発揮できましょう。そして日本の防衛装備品あ一昔よりも世界的に見て安価になりました。

 過去の歴史としましては、1941年から1945年までの太平洋戦争においての不幸な歴史がありますが、1945年以降一度も対外戦争を行っていない例外的な国家であり、少なくとも1945年以降日本を除くすべての周辺国に軍事侵攻した中国よりは、という認識で、日本の平和国家としての評価は周辺国との防衛協力を行う上で理想的な環境を構築できました。その上で、外征への転換ではなく、繰り返すように専守防衛政策次段階への変容、としての防衛協力の増進ならば、諸外国では受け入れる余地は十分あるでしょう。

 立憲主義、しかしこの施策を決定するのは選挙民としての国民です。日本は国民主権の国家ですので、最終的に国民が決定しなければなりません。自由と民主主義のために闘争を覚悟するのか、自由と民主主義を放棄する逃走か、厳しい判断を迫られることもあるでしょう、特に防衛力の増強だけであれば税金の使途、という視点で帰結しますが、防衛政策を外交政策へ繋げ変容を考えるので在れば、それだけに国民の責任は、大きくなることでしょう。

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平成三〇年度六月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2018.06.23-24)

2018-06-22 20:05:51 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 直下型地震、久々に揺れると驚きますが、皆様ご無事でしたでしょうか、今週末の自衛隊関連行事です。

 第3師団の高槻市災害派遣に感謝です。第36普通科連隊と第3後方支援連隊の給水支援や入浴支援、成程消防団水防団という自主防災の選択肢はありますが、実際の話でこうした災害となりますと避難誘導や安否確認が主体、断水始めインフラ麻痺は復旧まで打つ手なしという。京阪間、親類も知人も同期も、同好の方々も居ますので他人事ではありません。

 北千歳駐屯地、第1特科団本部が置かれ第1特科群と第1地対艦ミサイル連隊等が駐屯しているほか、第1高射特科団第1高射特科群隷下の第302高射中隊、そして第7師団隷下の第71戦車連隊が駐屯しています。88式地対艦誘導弾、203mm自走榴弾砲、MLRS多連装ロケットシステム、戦車連隊には90式戦車、最新鋭10式戦車、等が配備されています。

 第1特科団は北部方面隊直轄の特科部隊で、隷下に第1特科群に加え上富良野の第4特科群と美唄の第2地対艦ミサイル連隊、上富良野の第3地対艦ミサイル連隊等が配備、88式地対艦誘導弾を3個連隊と六連装発射器48基、203mm自走榴弾砲が3個大隊、MLRS多連装ロケットシステム3個大隊を有する、砲兵旅団としては世界最大規模となりました。

 岩手駐屯地、岩手県中部の滝沢市に所在する駐屯地です。第9特科連隊と第9高射特科大隊及び第9戦車大隊が駐屯しており冷戦時代には青函地区を防衛警備する重要任務へ本州最大規模の特科部隊編成が採られていたほか、戦車大隊も冷戦末期の北海道戦車部隊増強への戦車北転事業の対象外として重装備が温存された部隊、変容しつつある部隊の一つ。

 島松駐屯地、北海道恵庭市西島松に所在する駐屯地です。北海道補給処本処と北部方面後方支援隊が置かれる北海道防衛に関わる戦闘支援の最大策源地です。北部方面後方支援隊の本部機能に加え実動部隊として第101全般支援大隊が置かれている他、第1高射特科群のホークミサイル部隊である第303高射中隊と第304高射中隊も駐屯し戦域防空を担う。

 さて撮影の話題、CANONの一眼レフを愛用する当方、フィルム式一眼レフ時代から連綿とCANONを愛用していまして、デジタル一眼レフへ移行したのが2005年でした。そしてCANONばかり愛用していますとNIKON等の他のメーカーへの機種やレンズ等が不勉強となってしまいますがNIKONでは18-300mmズームレンズなんていうものが発売されているのですね。

 NIKONの18-300mm凄いなあ、と感心していましたらばCANONも18-300mmに関する特許技術を申請したとの事で、間もなくCANONからEF18-300mmレンズが発売されるのだろうなあ、と待ち遠しいところ。しかし、こうした話題をカメラ愛好家面々と語り合いますと、SIGMAの18-300mmやTAMRONの18-270mmや18-400mmの話題が出る。

 TAMRONの18-400mm等は凄いなあ、と思うのですが、過去にSIGMAの120-400mmを多用した際に、何か色彩の印象が違うなあ、またピントの直感が違うなあ、と感じた事がありました。直後に300mmF2.8ISなんて重いレンズを導入しまして描写力が一変しました故に殊更印象が違うのでしょうが、純正レンズの方が、と信念を持ってしまいました。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・6月23日:北海道補給処創設記念島松駐屯地祭…http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/nadep/dep.html
・6月23日:第1特科団創設記念北千歳駐屯地祭…http://www.mod.go.jp/gsdf/nae/1ab/
・6月23日:岩手駐屯地祭…http://www.mod.go.jp/gsdf/neae/9d/

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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大阪府北部地震M6.1,南海トラフ地震への教訓一つに大量飽和情報の処理と多言語情報発信

2018-06-21 20:02:13 | 防災・災害派遣
■南海トラフ地震への教訓
 大阪府北部地震、南海トラフ地震への教訓を情報という視点から考えてみたいと思います。

 大阪府北部地震、懸念された熊本地震型の第二本震発生は現在のところ回避できていますが、大都市大阪を文字通り震わせた今回の地震について、次の巨大地震への課題はいくつか再確認できました。この中で、情報というものを少し焦点を合わせて考えてみましょう。的確な情報は復旧を復興に昇華させ不適格な情報は社会の分断さえ招きかねません。

 情報の洪水、とは軍事機構に戦術情報共有の概念が定着し始めた時代に、第一線から送られる膨大な情報をどのように選択してゆくか、ということで、重要性の非常に高い切迫性を有する情報が、相応に切迫性のある情報の膨大な総数に呑まれてしまい、見過ごす要因となる可能性を指摘したものです。そして、一人の人間が処理できる情報には多寡はあれど上限もあり、今回もここを痛感しました。

 情報、今回は特に鉄道関連の情報、当然ですが地震が発生したならば同時に全ての鉄道網は非常停止し、架線や軌道への損傷有無の安全確認を開始します。1995年の阪神大震災では耐震構造であるはずの山陽新幹線高架部分が崩落し、幸い始発前でしたので脱線事故は発生しませんでしたが新幹線のぞみ号は定員1322名、高速で脱線は悪夢以外の何者でもないでしょう。

 交通情報について、結局全ての列車運行情報を包括的に把握する手段が無く、簡単に言えば、大阪から東京に行くには、本日中は無理なのか、可能性はあるのか、大阪からはJRが全面不通でも伊丹空港がありますし、近鉄の名阪特急で名古屋まで出た上でという交通手段もあります、本日いっぱい全面運休、と表示されない限り、被災者や被災企業、旅行客は判断ができません、情報共有は課題の一つ。

 物流の確保に直結しますので道路情報は重要です。しかし、道路規模から交通量に上限がある中で、地震とは広範囲に交通網を遮断しますので、当然血栓のような状態が醸成されます。これが交通渋滞となるわけですが、例えば首都直下型地震であれば東京では主要幹線道路が全て遮断されることとなります、しかし、今回の大阪府北部地震は第一報がマグニチュード5.9でしたので、一般道の通行止めを全面的に行うか、行政の判断は難しいでしょう。

 緊急車両通行確保へ不要不急の外出を控えるよう呼びかけることはありますが、例えば1923年関東大震災における戒厳令のような状況、もしくは1974年大規模地震対策特別措置法にもとづく東海地震警戒情報発令というような状況でなければ、事業者は事業を継続させなければなりませんし、雇用者は被雇用者の雇用を維持するための努力が必要で簡単に休業する事は難しく、例えば工場関連設備の損傷有無は確認するための人員が必要ですし、被災地域以外からの操業可否の問い合わせを留守番電話で返すわけにも参りません。

 戒厳令、というほどではありませんが、都道府県知事の権限で特別災害非常事態宣言、として特定地域の私企業事業を強制的に停止させ夜間外出禁止に近い状態を条例で発動できるように制度が在れば、大規模な混乱は避けられるのかもしれませんが、憲法上難しい。更に上記の通りマグニチュード5.9の速報値では経済的損失が非常に大きくなるだけに、発動を首長が躊躇することもあるでしょう。通勤通学時間帯の災害に即座に帰宅を促すことは不可能です。特に大阪府の域内GDPはオランダやベルギーのGDPに匹敵しますし、今回の地震は大阪市北部と大阪府北部、しかし大阪府は阪南市など、被災地から特急で一時間以上かかる地域まで広がっていますから、ね。

 外国語情報提供について。難しいです。例えば、この北大路機関記事からして、平常時には一日写真9枚と文字数各1400~1450文字を基本としていますが、仮に日本語英語中国語の三カ国語で表示した場合は毎日の記事は写真三枚分まで縮小し週末行事紹介の撮影雑談と同程度の内容しか表示できなくなります、内容が三カ国語表示とすれば放送時間や掲載画面の内で内容が三分の一になってしまうわけですね。

 多言語表示ですが、外国人観光客には火災発生の有無よりも、その火災が自分たちにとって危険なのかの危険性多寡のほうが重要です。しかし同胞には火災発生の有無は友人知人親類の安否確認の一助ともなりますのでそれ以上に重要なのです、避難所の位置や鉄道復旧の目安、即日か翌日か一週間必要なのか、そして原子力事故の有無や外国人観光客には出国のための目処も重要です。これについては各国領事館HPと我が国省庁との協力体制が重要となるでしょう。

 課題は多いです。今回は情報だけを提示しましたが、情報といってもこれいがいにも多々課題があります。しかし、次の地震が日本のどこの地域をおそうのか、大阪府北部地震の前日までは群馬県南部地震と千葉県南部のスロースリップに伴う群発地震が大きな関心を集めていました、だからこそ、どの地域で大きな地震が発生しても対応できるような、準備、これに必要な知見を時間が残っている内に考えておかねば、なりません。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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