北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

【防衛情報】カナダクイーンストン級補給艦とスペイン海軍F-110型フリゲイト,中国AG600飛行艇とサンアントニオ級ドック型揚陸艦

2022-10-31 20:02:49 | インポート
週報:世界の防衛,最新10論点
 今回は海軍関係の10の話題を集めましたが苦労している話と古いものを使い続ける工夫や最新鋭の計画など。

 カナダ海軍の補給艦クイーンストン級2隻の艤装が大幅に遅れています、クイーンストン級補給艦は2隻が2021年と2022年に就役する計画でしたが、COVID-19感染拡大により造船所の操業や部品供給面での問題に直面しており、一番艦竣工は早くとも2025年まで、二番艦竣工も2027年以降まで遅れる事となり、繋ぎとなる艦の延命が必要となります。

 カナダ海軍は暫定案としてアステリックスを導入、これは和えに運用していたプロテクター級の老朽化が深刻であった為の措置でした、元々はギリシャ国内の海運会社が運行するリベリア船籍の貨物船として2009年にドイツのウィスマー造船所にて建造されていましたが、2015年にカナダ海軍が取得し補給艦へ改造し2018年から補給艦として運用中です。

 クイーンストン級の建造遅れは、しかしカナダ統合軍の戦力投射能力に課題を突き付ける事となります、それはクイーンストン級は補給艦に留まらず統合補給艦という位置づけにあり、限定的な揚陸艦としての機能を有しています、カナダ軍には揚陸艦は無く統合補給艦は海外派遣部隊の支援や物資輸送能力と病院船など、この任務を担う期待が在りました。
フリゲイトテ-マナ
 第二北大路機関に掲載して後大分と時間が開いてしまいましたが。

 ニュージーランド海軍のフリゲイトテ-マナはカナダでの改修を終えて3年ぶりに帰国したとのこと。テ-マナはニュージーランド海軍がオーストラリア海軍と共に量産したアンザック級フリゲイトで、もともとは対艦ミサイルを搭載し水上戦闘や対潜戦闘にも対応する哨戒フリゲイトという設計となっていますが、運用長期化を受け延命が開始されています。

 テ-マナの改修はロッキードマーティンカナダが実施し、オーストラリア海軍のアンザック級程の大きな改修ではありませんが、戦闘情報システムの更新にレーダーの改良と個艦防空システムの刷新、対電子装置の更新とともに対艦ミサイルや魚雷に対する回避装置を追加した。7月8日の帰国行事にはニュージーランドのヘナーレ国防大臣も駆けつけました。
オーストラリアNSM選定
 コングスベルク社製NSM対艦ミサイルは各国のハープーンミサイル後継という位置づけに定着しつつありますが、その射程は長く中国の長距離対艦ミサイルに対抗出来ます。

 オーストラリア海軍はノルウェーのコングスベルク社製NSM対艦ミサイル導入に関する契約を結びました、オーストラリア海軍ではイージスシステムを搭載したホバート級ミサイル駆逐艦とアンザック級フリゲイトに対艦ミサイルとしてハープーンミサイルを採用していますが、この後継として射程の大きなNSMミサイルを搭載することとしています。

 NSM対艦ミサイルはハープーンミサイルよりも射程が大きく、アメリカ海軍でも採用が開始されています、オーストラリアは4月にNSMミサイルを次期艦対艦ミサイルとしてNSMの採用を決定しましたが、7月に入り正式契約に至った構図です。アンザック級は現在近代化改修が行われていますが、NSMミサイルの搭載で更なる能力強化を期するのでしょう。
シェル級ミサイル艇
 ミサイル艇の写真は自衛隊のものしかありませんがシェル級ミサイル艇は特徴的な外見で知られる。

 ノルウェー海軍はシェル級ミサイル艇の能力向上改修を決定しました。シェル級は満載排水量260t、複合船方式でミサイル艇としては例外的なエアクッション艇構造を採用しており、その最高速力は60ノットに達しています。武装は76mm艦砲とNSM対艦ミサイル及びミストラルSIMBAD簡易防空システムやRWS機銃で乗員は20名となっている。

 シェル級の能力向上改修は、戦闘情報システムをイージスシステム搭載のフリチョフナンセン級ミサイルフリゲイト並に向上することといい、改修はノルウェーのコングスベルク社が行う計画、データリンクシステムも刷新されるとのこと。満載排水量260tの小型艦ですが、ノルウェーではコルベットとして運用しており、重要な戦力という位置づけです。
アトランティック2哨戒機
 アトランティック2哨戒機は自衛隊のP-3C哨戒機とほぼ同世代の航空機で双発機です。

 フランス海軍は7月13日、ランビウエ海軍航空基地にてサベナテクニクス社よりアトランティック2哨戒機2機の近代化改修機を受領しました、これはスタンダード6という能力向上型で、フランス海軍は2024年までに18機を能力向上し運用を継続することとなっています、なおサベナテクニクス社はダッソーアビエーション社の下請け企業のひとつ。

 スタンダード6能力向上の概要は、新型のタレス社製AESAレーダーの搭載、そしてソノブイ情報をより早く処理し潜水艦を捕捉する新型のタレス社製情報処理システム、ダッソーアビエーション社製の新型コンソールの搭載、操縦士用のSIAé戦術コンソールの追加、ウェスキャン社製MX-20複合電子光学装置の搭載など広範な能力向上がおこなわれました。

 アトランティック哨戒機はNATOが1950年代にアメリカ製P2Vネプチューン哨戒機を置換える機種として開発したもので1961年に初飛行、フランスと西ドイツにオランダとイタリア等が採用しています、これをもとに1970年代から開発が開始されたのが改良型のアトランティック2で1981年に初飛行を迎えましたが、採用したのはフランス海軍のみです。
次期フリゲイトF-110型
 イージスシステムを搭載した艦ですが防空艦ではなく汎用艦という位置づけ。

 スペイン海軍の次期フリゲイトF-110型はCDRクリティカルデザインビューを完了しました。CDRは船体設計の最終段階を示すもので2021年12月に開始、ナバンティア社において計画に参加するスペイン海軍とアメリカ海軍、ロッキードマーティン社やインドラ社とタレス社にインゲティムからの30回の専門家会合と2回の全体会合を行っています。

 F-100計画は既にスペインのナバンティア社にて一番艦ボニファスの船体部分が2021年4月に起工式を経て建造が開始されています。スペイン海軍ではF-110型フリゲイト5隻の導入を計画していて、一番艦ボニファスは2026年就役予定、最終艦も2032年までに就役する計画です。また、ナバンティア社ではF-110型の海外への輸出も期待しているという。

 F-110型フリゲイトはスペイン海軍最新の汎用フリゲイトで満載排水量は6170t、元々はイージス艦であるアルバロデバサン級ミサイルフリゲイトの拡大改良型として計画されるも予算難などからMk41VLSを16セルに減らし僚艦防空能力に留めた汎用艦へ変更しています、しかしレーダーにはSPY-7を搭載しイージスシステムも搭載した設計となっています。
フォートローダーデール
 写真はホイットビーアイランド級ですが夏にサンアントニオ級が舞鶴に来た際、撮影出来なかったのが心残り。

 アメリカ海軍向けに建造が進むドック型揚陸艦フォートローダーデールが七月十一日に公試を開始しました。フォートローダーデールはインガルス造船所にて建造されているサンアントニオ級ドック型揚陸艦で、後期型である為に初期型のサンアントニオ級の識別点であった特徴的な塔型マストは従来型のモノポール型マストにあらためられています。

 サンアントニオ級ドック型揚陸艦は全長208mで満載排水量25883t、乗員は380名で上陸部隊を669名、最大で770名を輸送可能、特にドック型揚陸艦としての性能を維持しつつ輸送揚陸艦に準じた貨物輸送能力、そして従来のドック型揚陸艦の課題であった車両輸送能力を大幅に強化し、また格納庫にはMV-22可動翼航空機2機を搭載する能力があります。

 極めて高性能である揚陸艦ですが、海軍と海兵隊の方針転換に揺れている揚陸艦で、アメリカ海兵隊は将来的に従来のM-1戦車等を揚陸するMEU海兵遠征群を地対艦ミサイル部隊などからなるMLR海兵沿岸連隊へ転換し、従来の揚陸艦から、LAW軽揚陸艦への転換が模索、しかし海兵隊の方針が定まらず揚陸艦の建造計画も去就が決まらないのです。
多目的飛行艇AG600
 日本のUS-2にライバルが出現したかたちですが日本ももう少しUS-2の救難以外の大きな可能性を考えるべきではないか。

 中国の新型多目的飛行艇AG600が6月7日、珠海金湾空港において初飛行に成功しました。初飛行は広東省現地時間の1055時に行われ離陸、初飛行は20分間に渡り、この間水平飛行に加え急降下などが実施されています。この新型飛行艇は洋上飛行による航空救難に加えて消防航空機としても運用され、機内には12tの消防用水を搭載可能とのこと。

 AVIC中国航空工業集団が開発したAG600多目的型は2017年に完成したAG-600試作初号機に続く二号機で、初号機には消防用装置は搭載されていません。機体は全長37mで全幅38.8m、WJ-6ターボプロップエンジン4発構造を採用しており、離陸滑走距離は1800mで水上では1500m、2.8mの波浪でも運用可能、この2.8mは外洋運用能力を意味します。

 AG600飛行艇は初号機の2017年開発以来五年ぶりの試作機完成となっていますが、機体重量は初号機の32tから41tへ大幅に増大しています。試作機の重量変更に関する背景は不明ですが、中国では南沙諸島係争地域の人工島周辺での実効支配を強化するべく飛行艇開発を重要視しており、中国本土から南沙諸島近海まで4時間で飛行可能とされています。
三番艦はチェサピーク
 コンステレーション級はアメリカ海軍では最前線でミサイルを撃ち込む独特の運用となります。

 アメリカ海軍はチェサピーク、コンステレーション級ミサイルフリゲイト3番艦を5億3700万ドルで発注しました、邦貨換算で732億円となります。チェサピークの建造はウィスコンシン州マリネットに所在するマリネットマリンコーポレーションが担当し、2028年に竣工予定となっています。コンステレーション級は沿海域戦闘艦に続く水上戦闘艦です。

 コンステレーション級ミサイルフリゲイトはイタリアのカルロベルガミーニ級フリゲイトのアメリカ海軍仕様で、満載排水量は7300t、艦砲は57mmと小さいものですが、NSM対艦ミサイルを16発と比較的多い搭載数となっており、加えてMk41VLSを32セル有するとともに、MH-60ヘリコプターの搭載も可能という、強力な水上戦闘艦となっています。

 コンステレーション級フリゲイトは、アメリカ海軍の艦艇として従来発射筒方式の艦対艦ミサイルは8発搭載を基本としていたため、16発という多数の搭載はどのような運用を想定しているのかが大きな関心を集めています、これまではミサイルが必要ならばVLSに搭載していました。また建造計画も20隻と抑え気味であり、その運用方が注目されています。
23型フリゲイトケント
 23型フリゲイトは26型が将来揃い始めた以降にどうなるのでしょう。

 イギリス海軍は7月、23型フリゲイトケントの大規模修理を完了させました。ケントは2021年の空母クイーンエリザベス戦闘群の空母クイーンエリザベス初の長期航海へ随伴艦として参加しましたが、この際にエンジン部分に緊急修理が必要な区画が発見され、イギリス帰国後にBAEシステムズによる大規模修理を受け、これが短期間で完了した構図です。

 ケントの大規模修理は23型フリゲイトの特色である発電能力の問題で、ディーゼル発電機一基を交換し、1年4カ月継続して運用していた別のディーゼル発電機を大規模調整する事となっています。なお、この修理に併せレーダーの一つを新型の997型Artisanレーダーに換装するなど能力向上も実施、大規模修理としては異例の短さで艦隊復帰が適いました。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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US-2を増強せよ-2.5,飛行艇を維持するならば相応の調達と製造能力維持を,不要ならば代替装備取得を

2022-10-31 07:01:41 | 日記
■防衛産業の視点から
 今朝は頂きましたコメントへの御返事という形で補足的な話題を。

 US-2を増強せよ、この主眼は便利だから残すべき、こういう論調にもなっていますが、最も重要なのは"救難飛行艇を残すならば製造ラインが維持できる数を発注すべき"であり"製造ラインを残す数を発注しないのならば部隊を解散して別の手段で救難体制を確立しなければならない"という。現状は若干機必要、新明和の苦労は知りません、といわんばかり。

 製造ラインを維持できる数としては、毎年1機か3年間で2機で中期防あたり4機の継続的発注、中期防あたり3機では製造ラインを維持できないし、現状として部品メーカーの撤退が相次いでいる為にこのままの維持では残り若干機を製造してそのまま製造終了となり海上自衛隊から飛行艇という装備が消える。これを防衛省も認識しているはずですがね。

 対潜支援任務や情報収集などの用途を挙げましたが、救難用として外洋に発着できる飛行艇があることで本土から遙かに離れた海域で例えばP-1哨戒機などの遭難事案に対応することが目的ですので、単純に救難飛行艇に新しい用途を見いださずとも、もう一つ飛行隊を例えば那覇航空基地に新編するだけでも良いのです、調達数は増えるから最善ではある。

 OH-6観測ヘリコプターにAH-1S対戦車ヘリコプターとRF-4戦術偵察機、防衛省は後継機調達に失敗してそのまま自然死のようなかたちで形式消滅している機体が幾つもある、しかし、OH-1観測ヘリコプターにAH-64D戦闘ヘリコプターやRF-15戦術偵察機を必要数調達を計画していた以上、元々必要ではなかった航空機ではないのです、正に自然死だ。

 US-2救難飛行艇、外洋で発着できるいまのところ唯一の飛行艇で、特に自衛隊、というよりも政府が南シナ海に防衛力の関心を向ける以上、日本の洋上での航空運用は欠かせない、こうした航空部隊を運用する以上は事故に備える必要がある、事故がないことに越したことはないが福島第一原発のようにそれがあったときに打つ手なしは困る。対策は要ります。

 V-22オスプレイとKC-130空中給油機を海上自衛隊が必要数揃えるならばUS-2救難飛行艇などを置き換えることはできるかもしれません、絶対にUS-2を揃えなくとも、予算さえ気にしなければ代替装備は揃えられます、ただ、US-2はこの滅茶苦茶な調達計画でも170億円に抑えており、V-22とした場合は遠くない将来の生産終了を見越す必要が出てくる。

 部隊を維持するならば製造も維持しなければならない、製造を維持するならば製造ラインを維持できる調達を行わなければならない、考えてほしいのは逆であっては駄目だろうという事です、つまり人員がいない装備は使えないということであり、募集難の現在に防衛省はこれを認識している筈なのに、装備と人、逆転の視点でなぜ見られないのか、という。

 新明和工業は努力している、ならば防衛省もUS-2を増やす努力をすべきでがんばっている防衛産業をこれ以上苦しめる施策を続けるべきではないのです。もっとも、部隊を増やさずともかつて潜水艦を16年で退役させていたように、毎年1機調達し数年で退役させ、中古機を輸出するという選択しもあるのですが、なんとなれ防衛省も努力が必要なのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【日曜特集】第7師団創設56周年記念行事(20)実射で始まる障害処理-戦闘工兵は陸自の弱点(2011-10-09)

2022-10-30 20:21:20 | 陸上自衛隊 駐屯地祭
■戦闘工兵は陸自の弱点
 第7師団祭の展示は迫力と共に色々と考えさせられるものがあるのです。

 92式地雷原処理車、東千歳駐屯地祭では、撃ちます。ええっ撃つのかあ、と驚かれる方が多いのは実は私も初めて見た際には驚かされたのですが、ごうっというロケットの点火と共に発射してゆきます。もちろん実爆展示までは行わないのですが、凄い迫力といえる。

 東千歳と当日に大久保駐屯地祭がありますが、施設科部隊の駐屯地であっても流石に92式は発射できませんので、精一杯の工夫が展示される、しかしこちらでは撃てる、駐屯地祭のプログラムを見ますと、だいたい同時刻にこの障害処理展示を行っているのは面白い。

 静内駐屯地祭では87式自走高射機関砲が実弾射撃を展示しますし、第7師団の管区内というのはこうした展示で北海道の広さを実感します。一方でこの施設科部隊の展示ですが、陸上自衛隊の問題を誇示しているようで、早々にどうにかしなければならないとおもう。

 戦闘工兵は陸上自衛隊の弱点で、90式戦車や現在では10式戦車、物す凄い機動力を発揮します。他方で自衛隊の戦闘工兵装備は73式牽引車の派生型を中心としたものであり、要するに機動力がまったく第二世代戦車の水準を出ていないのです、これではおいつけない。

 施設科部隊は先鋒ではありませんが、戦車部隊のすぐ後ろに展開し、障害処理に際しては即座に戦車の前に出なければなりません、地雷原処理、障害除去、架橋、攻撃に際して相手が地雷をばら撒いたり、撤退時に橋を爆破したり、ビルを倒壊させ障害構築した場合に。

 戦車部隊が前進する場合に24時間でどの程度前進するか、機動力を考えれば200kmは前進し得る、するとその最中に幾つの橋梁を渡河し、相手の工兵能力からどの程度の地雷原を処理しなければならないか、手間取れば24時間で10kmも前進できないこととなる。

 90式戦車に充分随伴できる戦闘工兵装備が必要で、地雷原処理能力を持つ排土板付の車両と、架橋装置及びクレーンなどのアタッチメントを持つ装甲施設車輛が、現在装備として無い状況は、せっかくの戦車の能力を十全に活かせないような状況をしめしています。

 北海道の広さ、特に突破ではなく迂回機動などをとるならば、この北海道の広さはNATO防衛正面のスヴァルキギャップや冷戦時代の西ドイツに在ったフルダギャップで想定されたような戦闘は有り得る。日本は狭いので機械化部隊は、という人は地図をみていない。

 南西防衛と云いますが、沖縄本島でも全長は100kmもあり、現在スウェーデン軍がロシア脅威を受け戦車を中心とした機械化部隊を展開させているゴトランド島の全長よりも若干長いのです。財務当局などは機械化部隊に良い顔をしないでしょうが、限度があると思う。

 障害処理を支援するべく戦車部隊が射撃位置に進出しており、上空からはAH-1S対戦車ヘリコプターが警戒にあたっています。そして、日本ばかり見ていますと気付かない事なのでしょうが、AH-1S対戦車ヘリコプターの旧式化はかなり深刻でして、更新が必要です。

 自衛隊装備の多くは旧式化と老朽化、そしてミサイル防衛という1990年代に突如突き付けられた任務を受け整備費用が嵩んでいる為に気付きにくいのですが、機械化部隊の限界を下回っている状況、ヘリコプターの減勢が任務に対応する限度を下回りつつある状況が。

 2011年の行事写真ではあるのですが、ヘリコプターは防衛費の不足から耐用年数一杯で後継機なしのまま退役、73式装甲車は来年制式化50年を迎えエンジン改修など行われないままです。次の戦争も震災も来ないとよいのですが、祈るだけと対策しないでは違うのです。

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【京都発幕間旅情】五〇周年迎えた阪急5300系電車-クラシカルな鋼製電車は準急で京都本線を京都大阪結ぶ

2022-10-30 18:22:41 | コラム
■マルーンの丸な電車
 マルーンカラーの形状は古いといいますかクラシカルな電車は日常に溶け込んでいます。

 5300系、見慣れた阪急電車の一系統なのですが、なんとデビューは1972年、つまり今年2022年は5300系電車50周年という、改めてみれば頑張っている電車なのだなあ、と感心してしまう電車です。車体は昔ながらの鋼製、車内は阪急らしい木目調と緑の座席です。

 京都本線用の電車として運用されていますが、これは潜航して神戸本線へ導入された5000系電車の京都本線仕様へ車体寸法を改めたという設計でして、準急と云えばこの車輛、という印象が無いでもない、最近の直線で構成された電車よりも丸み或る形状が特徴と思う。

 特急として2010年まで運行されていた、準急と云う印象は此処から来るのでしょうか。特急運行を外れた背景には阪急電鉄は2010年からワンハンドルマスコン方式という、加速も制動も一つの操作桿で対応する電車へ特急を統合した為でして、5300系も速度ははやい。

 5300系、見慣れた阪急電車なのですけれども2020年から廃車が始っているといい、それでも阪急電鉄の電車は物持ちが良いなあと思いつつ、ちょっと日常風景はかわりはじめた。

 特急と云えば9300系、この直線チックな形状がこれから阪急の基本形になってゆくのですが、看板電車となる特急はこの9300系で京都本線は主力を構成している訳でして、ロングシートの5300系なんかとくらべればクロスシートの9300系は特急らしい乗り心地という。

 9300系が新しかったころは、6300系特急との並びを撮るぞとの意気込みばかりで、5300系も3300系も、2300系さえも、ああ古い車両か、とひとくくりにしていました。一応2300系を中心に撮影はしていましたが、日常風景にそれ程に溶け込んでいたといえるものですね。

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嘉手納基地F-15C/D戦闘機撤収を国防総省が発表,来月から二年間でF-35AかF-15EX戦闘機により機種更新

2022-10-30 07:01:50 | 防衛・安全保障
■在日米軍から去るイーグル
 イーグルはまだまだ新しいと考えているのは日本でファントムを覚えているかたが居る故でしょうか。

 アメリカ国防総省はアメリカ空軍で沖縄県の嘉手納基地に配備されているF-15イーグル戦闘機の新型機への更新に着手すると発表しました。。この計画は11月1日から開始され、F-15C戦闘機とF-15D戦闘機の老朽化を背景に段階的に更新、古い戦闘機は撤退する方針とのことで、11月1日は間もなくですが後継戦闘機について明確な発表はまだありません。

 嘉手納基地、アジア地域最大規模の空軍基地である嘉手納基地にはF-15戦闘機二個飛行隊が展開、第18航空団に所属しており、第44戦闘飛行隊、第67戦闘飛行隊が展開、過去には18機編成の3個飛行隊が展開していたのですが、この二つの飛行隊は24機を定数としていて、基地全体で48機が配備されています。航空団は給油機や早期警戒管制機も持つ。

 F-15,老朽化というのは、嘉手納基地に配備されたF-15C戦闘機は空軍で40年以上を経過した機体があるため、より新型の機体へ置き換えるということ。アメリカ国防総省は後継機種を明示していません、ただ機種としては二機種が検討され、最新の改良型戦闘機F-15FX戦闘爆撃機か、第五世代戦闘機であるF-35A戦闘機の名が挙がっているようです。

 沖縄への配備はF-35かF-15FX,こう検討されF-16の名が挙がらない背景には、アメリカ国防総省が進めるアメリカ政府のインド太平洋戦略の重要性、特に中国との関係について中国本土にもっとも近いアメリカ空軍戦闘機部隊である第18航空団、実際に嘉手納基地の北東アジア地域におけるポテンシャルを重視している証左といえるのかもしれません。

 嘉手納基地へ、同時に論点になっていることとしまして、いまのような特定の飛行隊を常駐させる方式を継続させるか、航空団隷下の飛行隊をローテーション配置させる方式へ転換するかという。なお、段階的に機体を交代させるとのことですが、二年間での機種転換完了を構想しているとのこと。またKC-135空中給油機なども世代交代が始まるでしょう。

 嘉手納基地のF-15,しかし長らく見慣れた戦闘機であることも事実です。日常的に並ぶイーグルの姿が転換することは寂しくも感じるものなのですが、同時にイーグルは航空自衛隊がようやく那覇基地に二個飛行隊をそろえている段階です。F-15は日本では当面改修し運用を継続する方針ですが、アメリカでは老朽化した認識であり、撤収を開始するのですね。

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トマホーク巡航ミサイル導入検討は政治主導装備調達か自衛隊オペレーションリサーチに基づく導入要請か

2022-10-29 20:01:44 | 国際・政治
■トマホーク導入論考察
 トマホーク導入論について今回はその背景を考察すると共に気になった点を一つ挙げておきましょう。

 F-15戦闘機近代化改修、今回のトマホークミサイルについて、12式地対艦誘導弾システムの改良型開発に時間を要するという実状もさることながら、政府は安倍政権時代にスタンドオフミサイルとしてF-15戦闘機に搭載する射程1000km程度の空対地ミサイルを導入する計画がありました、ただ、この改修計画に現在、大きな遅れがあり停滞している状況だ。

 岸防衛大臣時代、F-15戦闘機の近代化改修に問題が生じていました。改修によりスタンドオフミサイルを搭載する方針でしたが、岸大臣は商社出身故のコスト管理の厳しさがあるのでしょうが、改修を担当したボーイング社が開発費用を当初の四倍まで肥大化させ、コスト管理に失敗、改造費だけで三菱重工のF-2戦闘機新造費用に迫る改造費となりました。

 試作改修は実施される方針ですが、なにしろボーイングが三菱よりも安価な費用を提示したために決定したF-15の改修費用を、ボーイングが一方的に増額し続け、三菱の提示見積もりを遙かに越える金額を提示、これを受け2020年に岸大臣は改修計画の凍結を発表し、この遅れがそのまま、自衛隊にスタンドオフミサイル導入の遅延にも繋がったかたち。

 トマホークミサイルは、言い換えればスタンドオフミサイルの導入と12式地対艦誘導弾システム改良型、当初は二種類の隙間ないミサイルにより北朝鮮のミサイル脅威に立ち向かう方針であったのでしょうが、F-15改修の目処が立たないために、手っ取り早い選択肢として、既に完成度の高いトマホークミサイルを導入する方針を考えたのかもしれません。

 反撃能力を考えるならば、例えばNSM海軍ストライクミサイル、ノルウェーが開発した射程350kmのミサイルで欧州からアメリカ軍とオーストラリアが採用、昨今は東南アジア諸国でも採用の流れがある装備、こうしたミサイルをF-2戦闘機から投射する選択肢もあるのかもしれませんしF-35戦闘機でJSMミサイルを用いる選択肢も、有るはずだ。そして。

 政治主導で実任務を考えず、こうした装備が欲しいという考えが先行しているのではないか、この点を危惧します。もちろん、過去に策源地攻撃能力が検討された際、自衛隊が研究を行い、トマホークはXX発なければこの任務は失敗するか所要の期間内に成果を発揮出来ない、こうしたような結論が在って政治がトマホーク導入に動いたならば、別ですが。

 オペレーションリサーチ、自衛隊は任務として付与された作戦領域においてその能力研究を行っています、これは過去昭和の時代に三矢研究という、当時懸念された朝鮮戦争の停戦崩壊を念頭に自衛隊の作戦運用や有事法制のあり方などを独自研究したところ、国会で政治問題化しました。故に越権となる部分は政治判断を仰いできたという歴史があります。

 政治はいわば防衛研究のifという想定を自ら封じたのですから、自衛隊に付与していない任務について、策源地攻撃や邦人輸送など、こんな事もできないのか、という発言を行う権限を、こうした研究を政治が禁じたことで自らの責任領域へ併呑し今に至ります。故に自衛隊として、命じられなければオペレーションリサーチはできないという事なのですね。

 具体的に政治は、自衛隊に対して明確な任務を示す必要があります。"北朝鮮のミサイル発射施設を破壊せよ"もしくは"移動式発射装置を含めて破壊せよ"、"ミサイル部隊指揮中枢を麻痺させ日本への攻撃を遮断せよ"、こうした能力を求め、自衛隊側が"現有の装備ではXX日要する"とか"新たにAAという装備と弾薬をXXt追加することで可能"と応じる構図です。

 オペレーションリサーチに基づかず、"政治決定でトマホークミサイルを導入する"ことが先行している、実のところ懸念する点はここにあります。その懸念の背景には"破壊する北朝鮮ミサイル発射装置の位置を発見する手段"と"核ミサイルを識別する能力"、"長射程兵器攻撃への戦果確認の手段"というようなものが議論されないゆえ、どうしても気になるのだ。

 トマホーク導入を先行させる前に、まず自衛隊へ"統合任務部隊編成"を前提として、政治が反撃能力を具体的に整備する場合、めくら撃ちでは効果がありません、作戦を所管する航空自衛隊と恐らく海上自衛隊、また地対艦ミサイルの後継装備を所管する陸上自衛隊との間で議論し、どう行った装備が必要なのかを自衛隊が研究するよう政治が命じるべきです。

 めくら撃ちでは効果がない、一例としてあげますと、ロシア軍は今年八月までにウクライナへ600発の弾道ミサイルや巡航ミサイルを打ち込んでいますが、ウクライナの作戦能力を麻痺させるには至っていません。オペレーションリサーチに基づく結果としてのトマホークと云う選択肢なのか、それとも軍事雑誌に政治家が影響されただけか、この点が気になるのです。

北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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【京都幕間旅情】榛名さんの総監部グルメ日誌:京都,二条通沿いビストロで頂くカツレツはソース共々美味を愉しむ

2022-10-29 14:14:37 | グルメ
榛名さんの総監部グルメ日誌
 紅葉はまだまだだろうと思われるかもしれませんが一番最初に色づき葉を落としてしまう桜並木は今頃が丁度良い色合いで今週末は是非京都散歩をお勧めしたい。そして美味しいものもお勧めしたい。

 頂妙寺という、京阪三条から川端通を数分ちょっと下鴨神社の方へ散策していますと至る寺院がありまして、観光寺院ではなくしかし寺域が広い、人のあふれる観光の時期などに紅葉メイショやハナミ名所の雑踏に疲れたとき、心の休息に寺で自分と向き合うのに良い。

 ここのランチは手頃な価格帯なのだけれども信じられないほど店の雰囲気と味がちょっとおすすめしたい。ビストロ、こう銘打っているのですが1998年に当地で創業したお店です。確かこのあたりの山の麓の良い大学の友人、が勧めていたので至ったお店と記憶する。

 店内はそれほど広いというわけでもなく、大きめのテーブル席を独り占めできるかというのは繁盛している故に叶わない、けれども窓辺のテーブルは、ちょっともっとすいている時間帯を探したいものですが、ちなみにランチは1430時まで営業しているという余裕さ。

 ビストロはこの頂妙寺の直ぐ北にありまして、32系統バスが走るのですが、一車線の静けさのあるとおり、よくよく考えればここが二条通で、二条城の前に至る通りです。コースランチも美味しそうですが、妙に手頃感あるおすすめランチにスープを追加してみた。

 いい店だ、こう勧めるのは、テーブルクロスがわたしの秘密キッチンと同じものを使っていたためでして、それほど高価なものではないけれども普段使いには使いやすさとセンスが光る、こういうものは周波数のように合う人には合い、好みで分かれるのかもしれない。

 さくり、というナイフを挿しこんだときの印象で、ソースが染み込んでいるのにカツレツの食感を残しているのはさすがの調理法の妙というところなのでしょうね。そして、口に運びますと弾力は確かに、しかし堅いというわけではなく、そしてソースが巧く絡む。

 ビーフさんはコロナ禍とともにいろいろ自炊グルメを研究しまして、グリルやビーフシチューはもちろんローストビーフやビフカツ、大和煮まで海軍教本を参考に仕上げたのですが、ポークというのはビーフよりも素材は安価であるものの調理法が奥深いという印象で。

 ホワイトバランスの関係で美味しそうに写らないなあ、と思いつつ、この日は曇天、ただ、曇りのホワイトバランスで撮影すると、何か違う気がしてしまいます。料理を撮影するのも、カメラ機種によっては難しいものだと写真の奥深さ、美味しさ伝える難しさを考える。

 珈琲も、こうは考えたのですが両隣が年輩の方のワインまではいる少々にぎやかなところをマスクなしで進められていまして、いやわたしはまだ先が短くないので健康第一、と思い、なにしろこんな時代、早々と撤収しました。まだまだそんな時代は続いていると思う。

 ソースが決め手なのだろうなあ、こう考えるのですがさすがに調理法の秘伝を聞くわけにも行かず、CIAやMI6やDESEにS&Bみたいな方法で調べるわけにも行かない、こう思っていました方は秘伝のトマトソースが持ち帰りように販売、こちらもお勧めできるものです。

 ビストロヴェルジュ、VERJUSと云うのがお店の名前で、総監部の街舞鶴の府庁所在地である京都にあります、榛名さんの総監部グルメ日誌というのに京都市と舞鶴市では距離が凄いのではというお話も頂きましたが、京都には美味しいものがある。居心地良いお店ですよ。

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政府-トマホーク巡航ミサイル導入を検討,北朝鮮弾道ミサイル実験続く中のイージスアショア建設中止後の代案

2022-10-29 07:00:52 | 国際・政治
■国産巡航ミサイルへの繋ぎ
 トマホークを検討という報道がNHKの政治ニュースとして流された際には少々驚かされました。

 政府はトマホークミサイルの購入についてアメリカ政府との間で調整を行うべく検討に入った、27日から国内メディアが一斉に報道を開始しました。国産装備がそろうまでの暫定的な措置とされていますが、ただ陸海空どの自衛隊が所管するのか、いつごろか、どの程度の数のミサイルを調達するのか、こうした具体的に踏み込んだ段階ではないようです。

 北朝鮮が28日にも短距離弾道ミサイルを二発立て続けに日本海へ発射し、この実験では従来より低い高度を高速で飛翔するなどミサイル防衛システムを突破する新技術開発を進めており、一方ミサイル防衛について、2020年に中止となった陸上配備型ミサイル防衛システムイージスアショアの建設中止など、防衛以外の抑止力を検討するかたちといえます。

 トマホークミサイルについては政治家や識者のレベルではその必要性について議論したという話は側聞しますし、その可能性に関する憶測や新聞報道なども存在していましたが、トマホークミサイルの導入が2022年にも改めて報道されたかたちです。この背景には策源地攻撃能力、近年は敵基地攻撃能力、その整備が具体的に進められている点があるのです。

 12式地対艦誘導弾システム、現在の防衛大綱では"島嶼部防衛用高速滑空弾"として自衛隊が現在装備している装備体系よりも一段長い射程の装備の開発が進められています。その射程は2000km程度となり、これならば本州中央部以北からも南西諸島島嶼部へ到達する射程が求められています。この装備を弾道ミサイル攻撃への反撃能力に転用する考えだ。

 新型地対艦ミサイルの開発は進められていますが2026年頃まで時間を要する、この観点から、当座しのぎのためにアメリカからトマホーク巡航ミサイルを実施しよう、こういう構想とのこと。トマホークミサイルは地上発射型も開発されていますが、例えば海上自衛隊の護衛艦でMk41垂直発射装置を有する護衛艦からはトマホークの搭載改修が可能です。

 トマホークは優れたシステムですが、自衛隊は策源地攻撃能力や敵基地攻撃能力に反撃能力と、幾つも名称が変わる同様の任務を求められるものの、北朝鮮の移動式ミサイル発射器の現在位置を即座に把握する偵察能力など、ミサイル単体を導入しても防衛力整備が完成する訳ではないという実情があります、政治はここまで踏み込んだ上でのトマホーク導入論なのか、気になるところです。

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令和四年度十月期十一月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2022.10.29-2022.11.03)

2022-10-28 20:00:55 | 北大路機関 広報
■自衛隊関連行事
 自衛隊国際観艦式フリートウィークがいよいよ本格的に始まります。

 自衛隊国際観艦式フリートウィークがいよいよ今週末から本格化します。先程11月3日の外国間艦艇一般公開等の概要も発表されていまして、今回の観艦式は海上自衛隊70周年という記念すべき観艦式である一方、COVID-19感染対策から早々に一般見学者を乗せないとの決定があり、実質的にフリートウィークがこの観艦式の主役となった形でしょう。

 フリートウィーク、今週末と来週の11月3日祝日、そして来週末と再来週という長大な期間が予定されていまして、来週にはオーストラリアカナダ、インド、ニュージーランド、パキスタン、シンガポール、タイ、ブルネイ、インドネシア、マレーシア艦艇の一般公開が吉倉地区と船越地区で予定、横須賀基地がほぼ世界の艦船、という凄い事になります。

 横須賀吉倉地区での今週末10月29日と10月30日の艦艇一般公開は、護衛艦いずも、護衛艦ひゅうが、護衛艦あさひ、以上3隻が予定されています。一般公開は0900時から1600時までで1530時受付終了の予定となっています。吉倉地区はJR横須賀駅から見える護衛艦岸壁で、逸見岸壁と吉倉桟橋から構成、ヘリコプター搭載護衛艦2隻の同時公開は凄い。

 木更津新港今週末10月29日と10月30日の艦艇一般公開は、護衛艦もがみ、護衛艦くまの、護衛艦あたご、3隻が一般公開されます。一般公開は0900時から1600時までで1530時受付終了の予定という部分は横須賀での一般公開と同じです。木更津新港はJR木更津駅から徒歩25分で430台分の無料駐車場も確保されています、最新型護衛艦の貴重な公開だ。

 横浜新港では11月3日に一般公開が予定されています、この11月3日は文化の日の祝日で入間基地では例年航空祭が行われる年度です、予定では艦名不開示の潜水艦と護衛艦しらぬい一般公開が行われます。一般公開は0900時から1600時までで1530時受付終了、祭日でも木曜日は行けないと考えられる方は、同じ内容で5日土曜日にも公開予定です。

 横浜港における文化の日の一般公開は横浜港大さん橋で護衛艦いずも、山下埠頭では輸送艦くにさき、護衛艦あたご一般公開が行われまして、あたご、ひゅうが、くにさき、こう並びますと夏に行われました舞鶴展示訓練を思い出しますね。同じ11月3日、船橋東埠頭では護衛艦せんだい一般公開が行われます。公開時間は0900時から1600時までで同じ。

 海上自衛隊だけではありません、11月3日は入間基地航空祭の日、今年は事前応募制で公開されます。この抽選は実質全員が入れた三沢基地航空祭やと事前応募制ながら当日手続きが行われました浜松基地エアフェスタはままつの様なものではなく、実際にそうおうの競争倍率があったようでして、なにしろ最大32万名が来た、国内最大の航空祭といえる。

 入間基地航空祭はいよいよ運用の最終段階が見えてきましたC-1輸送機と、C-1輸送機の後継として整備が進められる国産C-2輸送機という過渡期の航空祭といえるのかもしれません。ただ、競争倍率がありましたので、当選されなかった方は予行を含め外柵沿いで撮影するほかありません。もしかすると基地内よりも周辺の方が混雑する事もあるのかな、と。

 C-1輸送機は川崎重工が国産開発したジェット輸送機で、輸送能力よりも輸送速度により24時間当たりの輸送能力を稼ぐという、新幹線の様な高速輸送の視点から開発された輸送機です。C-2輸送機も同じ川崎重工の製造、形状は良く似ているのですが、大きさは大きく異なり、C-2のほうがはるかに巨大です。見れるうちに見ておきたい二機種の対比という。

 小月航空基地祭スウェルフェスタ2022が10月30日日曜日に行われるとのこと。海上自衛隊小月教育航空群が展開している山口県の海上自衛隊航空基地です。ここでしか見る事が出来ないT-5練習機が配備されています。T-5練習機はP-1哨戒機やP-3C哨戒機など並列操縦席操縦士を養成すべく並列式操縦席を採用した練習機、世界で唯一の航空基地祭です。

 松本駐屯地創設72周年記念行事、陸上自衛隊の駐屯地祭が長野県松本市にて10月29日土曜日に行われます。第12旅団隷下の第13普通科連隊が駐屯しています、この連隊は山岳レンジャー訓練等も行う日本アルプスの峰々を望む駐屯地で、旅団普通科連隊と云う事で部隊規模は師団普通科連隊よりも小型の編成ですが、寒くなった季節に山岳連隊が映える。

 桂駐屯地創設68周年記念行事が10月30日日曜日に行われます、京都市内唯一の駐屯地で阪急京都本線の高架部分から見えるこの駐屯地には中部方面後方支援隊が駐屯しています、訓練展示では輸送部隊の戦闘や野外整備展示、74式戦車の機動展示が有る駐屯地は多いが74式戦車のエンジン機動展示が行われる等、ちょっと面白い展示で知られます駐屯地です。

■駐屯地祭・基地祭・航空祭

・11月3日:入間基地航空祭2022
・10月29日10月30日11月3日:自衛隊国際観艦式フリートウィーク
・10月29日:松本駐屯地創設72周年記念行事
・10月30日:桂駐屯地創設68周年記念行事
・10月30日:小月航空基地祭スウェルフェスタ2022

■注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
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黒海上空でイギリス偵察機近くでロシア軍機がミサイル発射,しかしロシア側は調査委員会設置-紛争拡大を警戒

2022-10-28 07:00:44 | 国際・政治
■臨時情報-黒海上英露事案
 NATOを強くけん制しているプーチン大統領は戦略核ミサイル部隊演習を指揮し第三次世界大戦をも辞さない覚悟を誇示しましたが。

 ロシア軍が公海上においてイギリスの偵察機に対しミサイルを発射する事案が、9月29日に起きていた。これは20日にイギリスのウォレス国防大臣が記者会見において発表したものです、一見遂に一線を越えたのか、と危惧する様な出来事ですが、しかし、これが事故というロシア側の対応が、実はロシア軍は慎重に一線を意識しているように見えるのです。

 イギリス空軍を含めNATO加盟国は開戦前から公海上及び同盟国国土上空の警戒監視を行っています、これはロシアがウクライナ侵攻前に、この兵力集中を陽動としてバルト三国やポーランド及びバルト海沿岸地域へ侵攻する懸念があり、ウクライナ侵攻開始後についても、ロシア側が戦争を第三国へ拡大する懸念から警戒監視任務を実施し続けてきました。

 事案は黒海上空の国際空域を警戒監視にあたっているイギリス軍の偵察機に対し発生しました、イギリス国防省によれば偵察機は非武装とのことで、またミサイルも照準し射撃したものとは考えられない飛翔経路を採ったと分析され、即座の反撃は行わず、イギリス国防省はイギリス外務省を通じて正規の外交ルートを通じて厳しく抗議したとされています。

 ロシアのショイグ国防相は10月10日よりロシア軍機によるイギリス偵察機へのミサイル発射事案に関する調査を発表、ロシア国防省は、このミサイル発射は技術的トラブルにより点火回路に通電しミサイルが暴発したものであり、技術的誤作動だとの結論をイギリス政府へ通知したとのこと、また更にロシアの行動は公海上で発生した事を認めたとのこと。

 ウォレス国防大臣によれば、イギリス空軍の偵察機による警戒監視任務は再開され、更に同様の事案を回避する為に現在は偵察機を護衛するべく戦闘機が空中戦闘哨戒を実施しているとのことです。ただ、今回の事案はロシア側が公海上で発生した事、事故調査委員会を設置した事、謝罪は無いが警戒監視への非難も無かったとの点は注目に値するでしょう。

 第三次世界大戦も辞さない体制で大陸間弾道弾など核ミサイル部隊の演習を実施し、NATOを非難しウクライナ侵攻はNATOに原因と責任転嫁が有る中、実際に全面核戦争が起こるのではないか、この危惧がある訳ですが、偶発的衝突からの戦闘拡大をロシア側が回避しようとしているからこそ、事実を認め調査結果を通知したといえるのかもしれません。

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