◆近海練習航海部隊神戸港入港
本日は年度末ということですので、Weblog北大路機関のメイン記事、自衛隊関連行事の様子を掲載したいと思います。今回は、近海練習航海部隊神戸寄港の情景を紹介します。
ヘリコプター搭載護衛艦ひえい、は、はるな型護衛艦二番艦、最終艦ということなんですが、現在建造中のヘリコプター搭載護衛艦いせ、の就役とともに除籍される予定となっていますから、いよいよ来年度、明日からの新年度には除籍されるわけです。この、ひえい、神戸港に入港という一報とともに、撮りに行こう、という流れに。
海上自衛隊の近海練習航海については、海上自衛隊HPに情報が掲載されたのですが、この一報には寄港地と航海日程が掲載されています。それでは、この情報を得たらばどうするのか、もちろん、入港する港湾の入港情報や航路情報などが公開されているので、こちらから撮影に向かう時間を調べます。
今回は、0800時らしい、と教えていただいたので、いよいよ神戸港に向かいます。さて、困ったのは、入港が0800ということは、少なくとも一時間前には神戸港に到達したいのですけれども、困ったのは神戸と京都、何気なく離れています。70kmはあるのかな、新快速でもかなりの時間を要するのです。
時間が掛かるのですけれども、その前に0800から一時間引いた0700時に到着するような時間帯には新快速が運行されていないのですよ。そこで阪急です。阪急は0500から運行されてるんです。確かに速度ではJRの方が速いには速いんだけれども、阪急の方が市街地の中心部に駅があります。
駅までの地下鉄のことを考えると阪急の方が便利、ということになりました。つまり、京都駅よりは河原町駅の方が近いので、阪急の始発電車で向かうことにしました。それにしても、始発電車だから、特急や快速、快速急行や通勤特急は運行されていませんから、ゆったり京都本線普通電車の旅です。
河原町駅から十三駅まで普通電車で行くのですけれども、さすがは始発電車、西院駅を出て地下区間から地上に出てもまだまだ日の出までは時間があって、桂駅はじめ特急停車駅では、前日の終電が回送電車のまま留置されています。茨木市駅のあたりでようやく空が白ずんできました。
京都本線の車窓から見る夜明けです。良かった、本日は快晴みたいです。曇りの方が光り具合を、逆光を気にしなくていいのですけれども、空は蒼い方がいいです。十三駅に到着すると、そのまま神戸本線乗り換えです。神戸本線では特急の運行が始まっている時間でした。さすがに車内は空いてます。
三宮駅からはポートライナーに乗り換えます。ポートライナーは管制式の自動運転なんだけれども、初めての人は、ああ、運転士がいない、ということに、お約束ですね。神戸港は大阪湾展示訓練の時にお世話になったんだけれども、あのときは同じ神戸港とはいっても摩耶埠頭でした。
阪神基地も見学させてもらったことがあるのですけれども、今回の神戸港は考えてみれば、前回の練習艦隊入港行事以来。神戸には幾度も足を運んでも、神戸空港を利用することはありませんし、ポートライナーに乗車したのも久しぶりです。こうして一路ポートターミナルへと向かいます。快速は通過。
神戸港に降り立ったその瞬間から考えるのは撮影です。撮影位置は、どこから撮ろうか、考えたのですけれども、一つは旅客船ターミナルのところから撮るということですかね。ここは屋根があって、ポートターミナル駅から徒歩ですぐです。当日は雨が降る、という予報もあったので、屋根があるというのは重要です。
ポートターミナルには豊富な自販機と清潔なお手洗いもあるのですけれども、できればレストランがほしかった。今はもう営業をやめていたりするわけです。昼食は三宮までポートライナーで戻らなければ、かなり歩くことになります。前に練習艦隊が来たときは会食会場があったのですけれどもね。
撮影する候補としては対岸のタグボートが係留されている公園と埠頭から撮る、ということも考えられるのですけれども、天気の心配という酔いも、ここはやや距離があるような気がして、せっかく間近に停泊するのならば、距離のある場所から撮るのはもったいないかな、と考えました。
公園の区画、ここも自販機はあって、夜景を撮影するには理想的な場所なのですけれども、距離を越えていい写真が撮れるかといいますと、微妙。ただ、順光なのですよね。考えましたが、入港時間もどんどん近付いています、確認に行く時間は無いので安全柵を重視するのが失敗を避ける方策でしょう。
もうひとつは橋梁からの撮影。ポートターミナルからも非常に近い、と言いますかポートターミナルに隣接していて、そうだ、と思い立っていどうしても五分ほどで到着することが出来ます。かなり高い場所で、しかしその分艦船を眼下に、というかなり迫力のある写真を撮ることが出来ます。
唯一の難点は、有名な東京港の入り口、レインボーブリッジとちがって、護衛艦のような大型の艦船は橋梁の下を通るわけではないということで、角度的にいい写真を撮影できる、というわけなのですけれども、ここはポートターミナルの撮影ポイントが撮影者で満員だった場合に予備で使えるという位置づけですかね。
ポートターミナルで撮影ということになりました。ここ、橋梁なんで帽子とかカバーを落としたら下が海、というのも難点ですね。回想するが如く書いてみたのですけれども、回想というか、40Dで撮った早朝の阪急電車の写真、ここまでの道のりを思い出していて、考えているうちに入港予定の0800.
しかし、時計は0800をどんどん過ぎてゆくのに、一向に護衛艦が入港してこない。・・・、お気づきでしょう、入港は0900だったのですよ。それなら、もう少しゆっくりと朝食と珈琲を満喫してから神戸港に行けばよかったかな、と。そうして一つ予定外がありますと、時計とともに、気になる事は徐々に増えて行きます。
ポートターミナル駅に到達すると、気になったのは防舷材の準備、一隻分しかないのですよね。そういえば、練習艦隊の出航に練習艦かしま、が参加していなかった、という話が聞こえてきたり、阪神基地に練習艦隊は入港する、という話もあったりして、どうなるのかな、と。
果たして、ひえい、は神戸港に来るのか、阪神基地に入港するのか、という話です。ここにこういう写真を掲載しているこの記事をご覧のみなさんは、もうどの艦が入港したのかは分かる訳なのですけれども、この写真を撮る前の段階にありました当事者の我々としては普通に来るのか分からずに不安なわけです。
ひえい、さわゆき、が神戸港に入港する、という話と一般公開の日程は阪神基地HPに発表されていたわけなのですけれども、これは予定なので変更もあり得るわけです。かしま、が参加していないかも、ということも今回の予定にはなかったことなのですし、不安は順調に膨らんでいきます。
しかし、こうなるともう運を信じるしかないんだ、と開き直りたくなる一方、今日が晴天な時点で運を使っているようにも思いました次第。思い起こせば今年度は幸運の連続でしたので、さすがに年度内の運は使い尽くしているだろう、と。2010年という意味では運は使っていないのですけれども、行事は2009年度。
あ、そうだ、神戸港にどの護衛艦/練習艦が入港したのか、わかったら教えてほしい、と名古屋支隊の要望事項がありましたので、とりあえず、0800、入港ナシ!の一報を入れます。さあてと、どうなるのでしょうか。名古屋支隊は順調に渋滞に巻き込まれています的な返信が来ました。なるほど。
ひえい、普通に考えれば入港歓迎行事が行われる訳なのですから、一番大きな、ひえい、が神戸港に入港すると考えるのは自然なのですけれども、これは理論上の話。もしかしたら、VIP専用の入港歓迎行事が阪神基地で実施されていたら、と考えたりもするわけで、困ってしまったわけです。
しかし、阪神基地へ入港する艦を撮影するために転進するにしても時間がありません。考えようによっては、一隻だけ入港、という可能性もある訳でして、ひえい、か、それ以外かの一隻が入港、という事はあるのでしょうか、入港歓迎行事を行っている以上、来ることは確かなのですが。
しばらくすると、ようやくマストが見えてきました。ファンネルとマストが一体化した、マック構造の、マックの形状から考えられるのは、はるな型、その一隻、ひえい、です。おお、ひえい、神戸港に予定通り入港ですね。入港は0900というのが正しかったようです。
今回、掲載した一連の写真は、どこにでもある護衛艦入港の情景なのですが、カメラを構えて、入港を待つ間は、こうしたことを考えつつ撮影していました次第。ひえい、は神戸港ポートターミナルに接岸しました。その様子は、これまでの悩んでいる文章とともに掲載した写真の通りです。
接岸するべく、ひえい、が近づいてくるとともに、入港作業の様子が見えてきます。艦橋、上甲板で手早く無駄な動きのない作業、こうした技術の高さは他の国の海軍艦艇を見るとよくわかります。どんな最新鋭の艦船でも出入港一つ、まともにできなければ、軍艦として以前にフネとして使い物になりませんからね。
そういう国の艦船を何隻か見た後で、やはり海上自衛隊の技術は高いと言い切れる訳です。組織とは人、人材を育てることこそが実力の起源、そのための幹部を育てるのが今回の近海練習航海、ということになるわけですね。そして高い技術が戦わずしての抑止力になるわけです。
そして船体も美しい、よく手入れされています。ひえい、は、はるな除籍後、海上自衛隊では最古参の護衛艦なのですけれども、整備は完ぺきと言える状況で、とても最古参と言う印象は与えません。流石は京都の霊峰比叡山の名を冠して先代の高速戦艦比叡の名を継ぐ一隻ですね。
ひえい、よくみてみると、はるな型ですが、はるな、とは若干かたちが違うようです。しかし、背負い式の5インチ砲、上部構造物、航空機格納庫と後部甲板の長大な飛行甲板、機能美を極めた一隻、という姿は変わりません、やっぱりDDHはいいですね。こうして、ひえい、以下近海練習航海部隊は神戸港に入港しました。
HARUNA
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