■必要な巡洋艦の艦形
今回から、大型水上戦闘艦という意味での巡洋艦について、見てゆく事としましょう。
自衛隊の活動範囲が1990年代には考えられないほど広域化した現状において、邦人保護と国際平和維持活動支援に海賊対処等平時の警備行動、有事の際における補助戦闘や両用作戦などへの対処を念頭に置きますと、海上自衛隊に必要な艦艇として巡洋艦の必要性は一定程度あり、活動海域の増大により小型艦艇により対応できるものではないとしました。
一方で、平時任務を重視した場合には従来の護衛艦でも対応できるものではありません。護衛艦ももともと長期間の運用は想定しているのですが、もともと想定している長期間の運用には現在行われているソマリア沖海賊対処任務のように、数ヶ月間の長期間を工場的に遂行しているかは疑問です。
さて、必要な能力について。邦人保護任務を念頭としますと、一にも二にも必要となるのは航空機です。航空機の進出速度は艦艇とは比較にならないほどに非常に大きく、また事態発生が沿岸部ならば艦艇による対処は可能となるでしょうが、内陸部の場合には艦艇での対応能力よりも、艦艇からの航空機運用能力がなければ、端的に言えば活動できる部分が非常に限られることとなるでしょう。
ただ、航空機運用能力をどの程度と見積もるかにより艦艇の船体規模が変わってきます。具体的には、全通飛行甲板を有するものであるのか、後部飛行甲板とするものか、というところです。全通飛行甲板型としますと、多くの航空機を同時運用可能となるのですが、その分で上部構造物、そして艦砲など固有装備の搭載能力が大きく制限されます。
また、全通飛行甲板型の艦艇は乾舷を大きくとらなければ飛行甲板が海水に洗われ航空機運用能力が大きく制限されてしまいますのでエレベータと艦内格納庫が必須となり、必然的に船体が大型化してしまいます。他方、後部飛行甲板を有する艦、としますと、あまり大型になりすぎません、これは維持費用や燃料消費にもかかわってくるもの。
巡洋艦とみますと、イタリア海軍がかつて運用したヘリコプター巡洋艦やフランス海軍の練習巡洋艦のようにもちろん格納庫の上に以降甲板を設置する方式もありますが、格納庫の後ろに飛行甲板を配置することである程度船体規模を抑えることも可能です。ただ、小さければよいというものでもありませんので、留意する部分の一つにすぎませんが。
北大路機関:はるな
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
今回から、大型水上戦闘艦という意味での巡洋艦について、見てゆく事としましょう。
自衛隊の活動範囲が1990年代には考えられないほど広域化した現状において、邦人保護と国際平和維持活動支援に海賊対処等平時の警備行動、有事の際における補助戦闘や両用作戦などへの対処を念頭に置きますと、海上自衛隊に必要な艦艇として巡洋艦の必要性は一定程度あり、活動海域の増大により小型艦艇により対応できるものではないとしました。
一方で、平時任務を重視した場合には従来の護衛艦でも対応できるものではありません。護衛艦ももともと長期間の運用は想定しているのですが、もともと想定している長期間の運用には現在行われているソマリア沖海賊対処任務のように、数ヶ月間の長期間を工場的に遂行しているかは疑問です。
さて、必要な能力について。邦人保護任務を念頭としますと、一にも二にも必要となるのは航空機です。航空機の進出速度は艦艇とは比較にならないほどに非常に大きく、また事態発生が沿岸部ならば艦艇による対処は可能となるでしょうが、内陸部の場合には艦艇での対応能力よりも、艦艇からの航空機運用能力がなければ、端的に言えば活動できる部分が非常に限られることとなるでしょう。
ただ、航空機運用能力をどの程度と見積もるかにより艦艇の船体規模が変わってきます。具体的には、全通飛行甲板を有するものであるのか、後部飛行甲板とするものか、というところです。全通飛行甲板型としますと、多くの航空機を同時運用可能となるのですが、その分で上部構造物、そして艦砲など固有装備の搭載能力が大きく制限されます。
また、全通飛行甲板型の艦艇は乾舷を大きくとらなければ飛行甲板が海水に洗われ航空機運用能力が大きく制限されてしまいますのでエレベータと艦内格納庫が必須となり、必然的に船体が大型化してしまいます。他方、後部飛行甲板を有する艦、としますと、あまり大型になりすぎません、これは維持費用や燃料消費にもかかわってくるもの。
巡洋艦とみますと、イタリア海軍がかつて運用したヘリコプター巡洋艦やフランス海軍の練習巡洋艦のようにもちろん格納庫の上に以降甲板を設置する方式もありますが、格納庫の後ろに飛行甲板を配置することである程度船体規模を抑えることも可能です。ただ、小さければよいというものでもありませんので、留意する部分の一つにすぎませんが。
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