2011年3月11日に東日本太平洋沿岸を襲った日本史上有数の大災害、それに伴う首相命令による十万自衛隊動員命令は当時さまざまな議論を巻き起こしました。






(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
◆自衛隊関連行事
今週の日曜日は新年度第一日目、四月一日です。その初日に行われるのが駒門駐屯地祭。富士の裾野の戦車部隊駐屯地の行事です。そしてもう一つは久里浜駐屯地祭が行われる。
富士は
東宝映画では怪獣決戦の集合場所ですが首都防衛への重装備部隊が待機する我が国では千歳と並ぶ最大規模の機甲部隊拠点。日曜日に一般公開される駒門駐屯地には第1戦車大隊、第1機甲教育隊。そして富士駐屯地富士学校には富士教導団戦車教導隊、実に11個中隊が首都を支える盤石な護りを構成しています。
第1戦車大隊の二個戦車中隊に加え、第1機甲教育隊は戦車四個中隊と偵察部隊を有し、実は駒門駐屯地は富士駐屯地よりも多い戦車中隊を有しています。教育部隊ですので独自の後方支援部隊を持たず機動運用は成りませんが、戦略予備として教官から構成される部隊、鉄の壮大な威容を観閲行進で見ることが出来るということ。
新年度の駒門駐屯地祭、機甲部隊中心の行事なのですが、一番の注目は第一機甲教育隊へ配備成った世界最新鋭の10式戦車でしょう。世界の戦車は既存戦車への過剰な防御力付与による重量の極限までの増大を背景に必要な防御力と最大の自動化による軽量化を実現、懸架装置の電子制御と新開発の国産砲を併せた戦後戦車半世紀技術の結晶として完成しました。
まあ、駒門駐屯地は、国際活動教育隊の隊長が駐屯地司令を務める駐屯地ですから、訓練展示などでは主力が国際教なのですが、ね。部隊規模では第一機甲教育隊、第一戦車大隊、第一高射特科大隊と比べれば人員規模は小さいのですが、陸幕直轄部隊ですから、ね、ううむ。
第一高射特科大隊、第一後方支援連隊戦車直接支援隊と高射直接支援隊、そして東部方面隊直轄の第364施設中隊、主にこうした部隊が駐屯していますので観閲行進は迫力、観閲行進と戦車の距離も近いのですよね。あと、首都直下型地震対処物資集積訓練が2011年2月14日から18日まで行われているのですよね、11万の部隊の支援を念頭とした演習でした。そう、あの震災の一ヶ月前。そういう意味で注目と言えるでしょう。
第一師団ですが、首都防衛という重責を担いつつも重装備軽装備とも更新の優先度が遅いように見え、しかも装備編制も軽装備を念頭に置かれているようで、まさか首都へ攻め込まれるとは考慮していない、という背景に起因しているのでは、とも。もっと、第七師団と並ぶような全自衛隊羨望となるような最優良装備を以て富士地区の恵まれた演習場に研鑽を積む部隊足り得ないか。
いっそ、教育部隊を首都防衛教導師団に改編、第一師団は中央即応集団を支える機械化緊急展開部隊として位置づけを置き換え、三個普通科連隊を中心に有事即応、連隊戦闘団を常時編制する部隊としては、と。いや、アメリカでもワシントンDCの警備は海兵隊ですし、フランスも官庁街は外人部隊が防衛。それに市街地戦闘は我が国防衛に欠くべからざる任務、首都防衛の部隊が重装備でこれに応える運用基盤を構築、必要と考えるのですがね。
さて、ここまでは駒門に行きたくなりそうな話。実は駒門、東京に近く要人が多く来場しますので、良い撮影位置はほぼ来賓席、ほら、観閲行進も全て来賓席が映らない場所即ち端っこから撮ってるじゃないですか、撮りにくいのですよ、だから場所を移動した。模擬戦の写真などはもう一度場所を戻してEOS-40Dのライブビューア機能をフルに活用したほど。
そして駒門駐屯地は、そこまで広い駐屯地ではない、正確には駐屯地の規模は起きくとも式典会場が決して広くないため、戦車部隊は観閲行進ぐらいが見せ場、というところなのが一つの難点。せっかくの戦車部隊なのに、と。しかし駐屯地は高速道路から近いですし、御殿場線からも徒歩で行くことが出来る駐屯地、交通の便利は良いのですよ、そして季節がら、うまくすれば桜と戦車という構図で撮影することも出来るかもしれません。とにもかくにも新年度自衛隊行事第一号、足を運ばれてみてはどうでしょうか。
◆駐屯地祭・基地祭・航空祭
◆注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
◆海上自衛隊タンカー護衛任務も一時回避か
北朝鮮弾道ミサイル危機が継続していますが、イランの話題。ロイター通信によれば、イランのサレヒ外相が昨年一月より中断している核開発問題に関する協議を来月4月13日にも再開する方向で調整しているとのことです。
ホルムズ海峡危機として、イラン海軍が欧米からの核開発問題に端を発する経済制裁の発動への報復措置として掲げていたペルシャ湾とアラビア海とを結ぶ石油輸送の最重要海峡、ホルムズ海峡の封鎖実施という危機は、今回協議の再開を行ったことにより根本の問題である核開発問題については解消には至っていないものの、海峡封鎖事案の即座の発生という危機を脱したことになり、海上自衛隊による船団護衛の必要性も一旦は収まっているというべきところ。
今回の協議はトルコが発起し、国連安全保障理事会常任理事国にドイツを加えた六か国とイランとの協議というかたちとなり、会議の開場は発起したトルコ政府がイスタンブールを提案、現段階では会場の画定まで数日間を要するとされているのですが、ともあれ、再開されるという方針だけは定まったようです。昨年一月に流会した協議では、トルコのイスタンブールにおいて実施されたものの共通問題点の画定さえ成らず会議が空転、その後の今日に至る海峡危機、自衛隊の出動を検討する事態へと展開しました。
現状ではイラン核開発が、核兵器開発として進展した場合、イランの国是にイスラエルの破壊を掲げていることから、イラン革命防衛隊の外郭団体に位置付けられる組織によりイスラエルに対し使用される可能性が高いとし、イスラエル空軍は独力での核施設完全無力化に限界があるとしながらも、必要な措置を取る可能性を示唆してきています。これが、イスラエル空軍によるイラン空爆という状況に至れば、やはりホルムズ海峡危機は現実のものとなり、護衛艦による船団護衛実施の必要性は出てきます。
しかし、イランと日本の関係、今回の進展はトルコ政府の尽力によるものですが、元々日本政府とイラン政府の関係はイラン革命以前のパーレヴィ国王時代から続くもので、兎角欧州諸国がアメリカと一枚岩のイラン強硬姿勢を貫く中で比較的冷静な関係を構築してきたのが日本政府、これは中東石油依存度の高さに起因するものではあるのですが、本来は日本政府がアメリカとイランの関係を仲介することが望ましかったものです。イランとの良好な関係は自民党時代のもの、として民主党は清算したかったのでしょうか。
他方、これは繰り返しになるのですがホルムズ海峡危機は完全に収束したわけではありません。前述の通りイスラエル空軍単独空爆や協議会流会も十分に予測できる事態で、可能性として海峡封鎖が行われる、ということは認識しなければならないわけです。現在、日本は原子力発電所の点検停止によりあと二カ月程度で全ての原子炉が停止するという電力不足の危険性が生じている状況、石油確保の重要性は過去にないほど高まっています。万一の際、必要な任務を遂行するのに必要な法体系、交戦規則、全く手つかずのまま。危機は一時回避という実情に鑑みた対応が為されるべきでしょう。
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
◆陸上自衛隊も沖縄救援隊を編成
防衛省によれば、来月に迫る北朝鮮ミサイル危機へ備え、沖縄本島と石垣島に加え宮古島に対しミサイル部隊を展開させることとしました。
第四高射群のペトリオットミサイルPAC-3,小牧基地で撮影したものです。北朝鮮弾道ミサイル危機、先島諸島へ、航空自衛隊迎撃ミサイル部隊とともに陸上自衛隊を沖縄救援隊として展開、これまで南西諸島防衛に関する部隊運用研究が様々な角度から検証され、訓練が行われてきており、その最初の実任務となるのでしょう。
写真は岐阜基地へ機動訓練を行う饗庭野分屯基地第12高射隊。ミサイル破壊命令は30日に発令されるとされ、迎撃ミサイル部隊は中部航空方面隊隷下のペトリオットミサイルPAC-3を運用する部隊より編成され、近く愛知県名古屋港、そして広島県の呉基地より沖縄へ展開することとなるようです。
ペトリオットミサイルは大型輸送機でも輸送可能ですが、航空自衛隊には装備されていないため、ミサイル部隊を構成する車両は発射器のほか、レーダー車やデータリンク機材など必要な装備を海上輸送します。この輸送手段として、呉基地からは海上自衛隊の輸送艦が展開を支援するとのことですが、名古屋港からは民間の船舶を利用し展開するとのこと。
併せて、弾道ミサイルが沖縄県へ落下した場合に迅速な救援活動を展開できるよう、先島諸島の宮古島、石垣島に対し陸上自衛隊では沖縄救援隊を編成し、前方展開させるという計画を進めています。この沖縄救援隊は推測ですが、ペトリオットミサイル部隊の警護任務も有しているのでしょう。
部隊は中央即応連隊や第一空挺団、または西部方面普通科連隊が展開することと考えられます。ともあれ、沖縄県の先島諸島にこれだけの部隊が実任務を遂行するべく展開することは自衛隊史においても例が無かった事例で、これは今後の日本の安全保障を大きう左右させる重要な措置となるやもしれません。
民間の船舶を利用し自衛隊が機動展開を実施する事例ですが、実は演習などで度々おこなわれています。これは本州や九州の演習場では連隊規模の実動訓練や火砲の長距離射撃などが狭く充分に行えないため、北海道の広大な演習場へ展開する必要があり、その移動手段として民間船舶は重宝されているということ。
実任務での派遣は先の東日本大震災において協力を受けていますし、このほか南西諸島では2010年10月の鹿児島県奄美大島豪雨災害において鹿児島県知事の要請を受けた自衛隊が、民間のフェリーにより災害派遣へ出動している事例、当時こちらでも紹介しました。
今回のミサイル破壊命令への先島諸島防衛に関する部隊出動は、弾道ミサイル迎撃舞台の展開と共に、同時に先島諸島への侵攻を計画しているとされる中国に対し、我が国の防衛に関する意思を明確に示す重要な機会となります。そうした意味で今回の一連の危機を考えてみる必要はあるかもしれません。
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
◆避けては通れない“ミサイル防護ギャップ”問題
田中防衛大臣は本日午前、防衛省での防衛会議において沖縄周辺へイージス艦とペトリオットPAC-3部隊を展開させ、弾道弾の飛来へ備える準備命令を発令しました。
これは自衛隊法に基づく弾道ミサイル破壊命令に備え、部隊の展開を行うことで、弾道弾の飛翔経路に沿い、全国のレーダーサイトでは弾道ミサイルへの警戒を高めると共に、今後は直衛の護衛艦と共にイージス艦が展開、沖縄本島や石垣島へペトリオットミサイルの高射隊が展開することとなるでしょう。
さて、先日NHK国会答弁を聞き流していたところ、弾道ミサイルからの国土防衛の最後の盾となるPAC-3について、その射程が15km程度と短いことから国土の大半を防空圏外としている現状へどう認識しているかを田中防衛大臣へ問うている一幕がありました。即ち、弾道弾脅威に際しその防護圏外に居住する国民がパニックに陥るのではないか、と。
海上自衛隊のイージス艦6隻のうち、4隻には弾道ミサイル防衛能力が付与されていて、弾道弾迎撃用に射程1300kmのスタンダードSM-3を搭載し警戒に当たっていますので、護衛艦隊護衛隊群の8個護衛隊に全てにイージス艦を配備するべく更に二隻のイージス艦を配備できれば、変わってくるとは思うのですが、現代のミサイルギャップ、いやミサイル防護ギャップというべきか、真剣に考える必要はあるでしょう。
ミサイル防護ギャップ、PAC-3は弾道弾を直撃し破壊するのですが射程が短く本来は航空基地や艦艇基地に戦略的補給拠点など戦略拠点防護用の装備ですので、国土に隙間なく敷き詰める防空体制というものは不可能、従って今回のように石垣島上空を飛行すると明示がある場合では展開も考えられるのですが、奇襲的に運用される場合には配備されている分屯基地を中心とした運用しか為せないところ。
航空自衛隊では戦闘機による対領空侵犯措置任務の空域が全国にほぼ均等となるよう整備されているのに対して、もちろん航空優勢維持と弾道弾攻撃対処は異なる概念ではあるのですが、一般的な視点から見れば対領空侵犯措置そして戦闘機や爆撃機の進入に備える戦闘機は全国均等なのに対し、弾道ミサイル防衛だけは不均衡とあっては生存権やら財産権やら思い出してしまうかもしれません。
PAC-3は射程15km程度、迎撃高度によっては13km程度にもなるようですが、例えば米陸軍が弾道ミサイル迎撃用戦域高高度防衛ミサイルとして開発しているTHAADであれば、射程は200km程度とされ、迎撃高度は最大150km、かなり広範囲を防空することが可能。プロジェクトコストが100億ドル以上と日本が取得する場合、ユニットコストに開発費分担分が課せられ、非常に高くなることが予想されますが、配備するほかないことにもなります。
弾道ミサイル防衛は、既存の防衛費枠内で行われる以上ほかの正面装備の取得を圧迫しますが、THAADであれば、中国大陸から我が国を標的とする核ミサイルに対しても、これは射程が長い分落下速度が増大するため迎撃の難度が北朝鮮からのものよりも高くなっているのですが、可能となる余地があります。
これまでは核恫喝には核抑止を以て応える相互確証破壊が一つの概念として定着していたのですが、日本はTHAADを装備することで、核兵器を持たず核恫喝に軍事的に対処する新しい抑止構造が生まれるかもしれません。そうした意味で意義はあるといえるでしょう。分かりやすく言えば、戦略ミサイル原潜部隊の整備コストと比較するべき、ということ。
ミサイル防護ギャップというものを、これはミサイルの射程と配備数を考えれば自然に気付くことではあるのですが、対潜哨戒、本土着上陸、様々な部分で全国に均衡的な抑止力をめざし防衛力が整備される中、もう少し世論として広く認識されるならば、弾道ミサイル迎撃体制の拡充という政策にも理解は出てくるのでしょうか。もちろん、地対空ミサイルが通常の攻撃ではないされないよう防衛力の均等化は必要ですので、予算全般が増勢を求められることになりますけれども。
こうした意味で、もちろん緊縮財政が叫ばれる今日ではあるのですが、元々日本は防衛費が国家予算に占める割合が低く、部隊編制を遡れば不況期に画定されたものが多く、不況期に維持しやすい編制です。弾道ミサイル防衛について、もう少し負担というものはできるのか、それともミサイル防護ギャップは容認せざるを得ないものとして国民が全般的に納得するのか、これは主権者として判断を迫られることとなっているやもしれませんね。
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
◆日米共同基地としての機能強化が望ましい
本日、航空自衛隊の本土防空中枢、対領空侵犯措置任務及び弾道弾本土防衛に関する総司令にあたる航空総隊司令部が航空自衛隊府中基地から米空軍横田基地へ移駐しました。
航空総隊司令部の移転は21日までに実質完了。我が国の防空中枢である航空総隊司令部を米空軍基地に移設することは、我が国の主権にかかわる問題であり、特に弾道弾関係の情報連携、弾道弾に関する地球規模の早期警戒網を有する米空軍との連携の重要性は認識できたのですが、それならば日米情報調整所のみを横田に創設し、データリンクで結べばよいのでは、と考えており、過去の記事でも記載しています。
ただし、この航空総隊司令部に関しては、横田基地への移設が既に2005年の米軍再編計画画定に際しての日米合意に盛り込まれていた決定事項で、日米間の綿密な調整と共に決定されている事項と考えるならば、双方の合意を背景としている決定は、なるほど履行することが妥当なのか、とも。
当方が考え方を変えることとしたのは、航空自衛隊が府中基地から米空軍横田基地へ司令部機能を移設するという考え方ではなく、横田基地はもともと帝国陸軍多摩飛行場、立川飛行場の補助飛行場としての位置づけにあり、最新鋭機の実験と更には試験機の本土防空への実戦投入をも行った陸軍航空審査部が置かれていた由緒ある飛行場が米軍に接収されたのを、一部が自衛隊へ返還された、と考えたところ。
航空自衛隊横田基地、新しく航空自衛隊の基地として創設されたのだ、とつまりはそういういうこと。歴史を紐解けば、厚木基地と海上自衛隊航空集団司令部との関係が似ていますね、航空集団司令部は厚木に置かれていますが60年代に返還が決定されるまでは千葉県の下総航空基地に航空集団司令部が置かれていました。厚木基地から米海軍が撤収するのに際して海上自衛隊が移駐、再度米海軍が移駐し今に至ります。
横田基地ですが、特に警備面については航空自衛隊の基地全般と比較し、非常に高いレベルに位置していますので、ゲリラコマンドーの急襲はもちろん、弾道弾対処についても基地機能維持の面で高い水準にあります。航空総隊司令部の建物は建築に少なくとも三年以上を要していたともされますので、地下施設部分が相当堅牢に設計しているとも取れ、現時点では我が国の防空を考え、妥当な選択と言えるやもしれません。
今後ですが、可能であれば入間基地に展開している航空総隊司令部飛行隊を横田基地へ移駐できないか、U-4多用途機、T-4指揮連絡機を運用している同飛行隊は府中基地に滑走路が無いため入間基地に展開しているのですが、横田であれば滑走路があります。また可能であれば千歳基地の特別輸送飛行隊を横田へ移駐し、政府専用機を東京都に常駐させることはできないだろうか、とも。
航空総隊司令部飛行隊を横田へ移駐できたならば、航空基地としての機能の一部を米軍から航空自衛隊へ移管したという構図を立ち上げることが出来、本当の意味での日米共同基地としての機能をはたすことが出来ます。また、政府専用機、特にB-747は長大な航続距離を有していながら常駐は千歳基地と東京から遠く離れており、緊急に日米会談等が必要となった場合の即応性に問題があり、横田配備が望ましいといえましょう。
持論を押し付けることになってしまい恐縮ですが、例えばF-22,過去の話ですけれども要撃飛行隊に配備するのではなく総隊司令部飛行隊所属の戦略予備とし、横田基地等米軍の機密保持が行き届くところで共同管理という体裁を保てば自衛隊が導入できる余地があったと思いますし。B-747についても日本国内で整備支援が出来なくなるという理由から廃止が検討されているのですが、横田常駐とすればアメリカの民間軍事会社、普通の民間整備会社でもいいのですが、整備支援を受けることが出来、また何より政府専用機としての即応性が生まれます。そういう意味で航空自衛隊横田基地の誕生は好意的に受け止めたいと考えるところです。
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
■雪の舞鶴に憩う護衛艦と浜雪と峯雪
舞鶴基地へ行ってまいりました。朝から強風と吹雪、文字通り峯雪と浜雪というところ。
舞鶴基地に憩う元護衛艦はまゆき、そして護衛艦みねゆき。先日、護衛艦みねゆき除籍と誤報を掲載してしまいましたが、改めて訂正させていただきます、写真のとおり護衛艦みねゆき、は現役で来年度いっぱいは護衛艦として我が国の防衛警備と災害派遣へ任務にあたるとのことです。
艦番号126、と微かに読み取れますが、126が、はまゆき。みねゆき、よりものちに建造された護衛艦ですが船体の延命と運用期間を総合的に検討した結果、みねゆき、を延命し、はまゆき除籍という決定がなされた、そんなことを基地でお聞きしました。少々もったいない気もしますね。
はつゆき型護衛艦は12隻が建造され、護衛艦隊の中核を担った汎用護衛艦、対空対水上対潜に均衡が取れた各種装備を搭載しデータリンクぬりょくと航空機搭載、現在の汎用護衛艦の定義付けを行った海上自衛隊史にも特筆されるべき艦船の一隻に挙げられるべき護衛艦ですが、徐々に新しい護衛艦へ道を譲ってゆくこととなるのでしょう。
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
■南西諸島防衛を大きく進める提案にも
石垣市の中山市長が北朝鮮弾道ミサイル実験経路に石垣市が含まれていることからPAC-3の石垣配備を求めることとしました。この提案は中国の南西諸島への脅威へも大きな抑止力となるかもしれません。
石垣市の中山市長は石垣島ではあと数週間後にも北朝鮮の弾道ミサイルが頭上を通過する状況に際し、万一の島内への落下へ備える観点から弾道ミサイルの迎撃能力を有するペトリオットミサイルPAC-3の石垣島配備を政府に求めてゆく方針を示しました。この方針には市議会も配備を求める決議へ調性に入っているとのこと。
沖縄県近海には恐らくイージス艦が展開し、射程1000kmをこえるSM-3により日本領土への着弾が想定される場合に備えた迎撃準備を行うことと考えられるのですが、水平線のかなたに展開するイージス艦と射程は短くとも実際に迎撃準備を行うペトリオットミサイルとは、住民感情という意味で大きな違いがあるのでしょう。
ペトリオットミサイルは石垣島へ配備となれば構成車両は非常に多く、一個高射隊であっても、特に発射装置などは上甲板に上げることが難しく、おおすみ型輸送艦一隻により全て輸送できるぎりぎりのきぼとなるでしょうが、民間のカーフェリーにより輸送支援を受ければ十分に輸送することができると考えます。
しかし、今回の提案、これは弾道ミサイル破壊命令という実任務での派遣となりますが、緊急時の応急的なもの、というだけではなく、恒久的な分屯基地として、新たに一個高射隊を創設し、石垣島に配備する、ということが実現すれば、これは南西諸島の防衛を根本的に前進させる重要な一歩となるやもしれません。
PAC-3の発射装置などは対航空機用のPAC-2と共通のもので、PAC-3の射程は十数kmですが、PAC-2の射程は100km程度と非常に大きいものがあるわけです。これまで、南西諸島では沖縄本島以外にレーダーサイト程度しか部隊が置かれておらず、防空監視という任務は重要ですが即応能力に欠けていました。そこで大部隊の配置は不可能ながら沿岸監視程度を置けないか検討していたところ。
PAC-3の配備が行われれば、南西諸島に対する空挺部隊による強襲作戦や航空部隊による打撃能力に大きな制約を加えるものとなり、南方からの航空脅威へは那覇基地からの戦闘機緊急発進が実施され到達するまでの時間において、脅威対象の航空作戦を阻害することができるということ。
それだけではなく、2009年の弾道ミサイル危機に際してはいつような場合、航空自衛隊のミサイル部隊への警護任務として陸上自衛隊が支援にあたっています。地対空ミサイルは陸上からの攻撃に最も脆弱性を有していまして、これはミサイルに強い陸上部隊が航空部隊に対して脆弱である一方で航空部隊はミサイルに対し脆弱という一種のジャンケン的な要素を含んでいるのですが。
陸上部隊のポテンシャルとは、即ち相手方に安易に手を出させない、同時に防護の意思ありという重大な決意表明であるのですし、警備支援、という形でも陸上自衛隊の中隊規模の部隊が機動展開し、石垣島に固めることができたなら、南西諸島防衛において重要な最初の一手を打ったことになるわけです。
那覇基地へE-2Cの配備が考えられている、など南西諸島防衛への重要な施策はいくつか挙げられているのですけれども、筆頭にあるべきはまず抑止する能力、容易に我が国領域へ上がられないようにし、最悪の事態に展開しないよう努力することが重要、これは言うまでもありません。
ただ、今回のミサイル危機が、特に北朝鮮がどういった要素から南西sy等上空を飛行する経路を選んでいるのかが未知数で、かりに一部い言われているような沖縄の米軍を狙いフィリピンに落下させる目的なのか、周辺国への配慮なのか、つまり次に実験を行うと仮定して再度この経路を使用するのか、別の経路を選定するのか、一回限りかそうでないのかが問題で、ここが難しい。
もっとも、これまで、沖縄では実際に脅威が切迫したとしてもその対処に軍事力を用いることに懐疑的で、一見やるよりやられる選択、というような印象の声が大きく報じられることが多いのですけれども、首長は住民の安全という最も優先されるべき部分を選択した、このことはやはりしっかりするべき部分はしっかりしている、と思いました次第です。
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
◆自衛隊関連行事
今週末は自衛隊関連行事はありませんが米軍が横須賀基地を一般公開します。
日米親善よこすかスプリングフェスタ2012。日曜日0900から1700まで、入場は1500までですが、アメリカ海軍横須賀施設、いわゆる米軍横須賀基地が一般公開されます。三笠公園内ゲートが開放されるとのこと。会場内には駐車場は無いということで公共交通機関を利用とのこと.
またペット同伴は禁止で、荒天中止、危険物とアルコールは持ち込めないとのことです。そして手荷物検査が行われ、場合によっては国籍確認へ旅券か身分証明書をもとめられることがあるとのこと。 スプリングフェスタでは。式典、アメリカン屋台、ステージイベント、第七艦隊音楽隊の音楽演奏が行われると発表されています。
今どの程度咲いているのかは京都からは分かりませんけれども、観桜会が中心ということですので、例えば横須賀軍港めぐり、と合わせて横須賀を散策してみるのもいいやもしれませんね。なお、横須賀軍港めぐり遊覧船、定員がありますので、足を運ばれる方は予約をしてゆくといいかもしれません。先日就役した掃海艇えのしま、は横須賀配備ですし。
昨年は桜花どころではありませんでしたからね。他方、四月の自衛隊関連行事、北朝鮮の弾道ミサイル事案が懸念事項です。2009年はそれなりに影響がありましたからね。防衛省はPAC-3を沖縄へ重点展開させるとのことですが、これをやって本州方面へ飛来されたらば政治的に目も当てられないことになるやも。
◆駐屯地祭・基地祭・航空祭
◆注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関
◆くらま出港!江田内の練習艦隊
先日、江田島基地の幹部候補学校から一般幹部候補課程・飛行幹部候補課程修了者を乗艦させた近海練習航海部隊・外洋練習航海部隊の出港を撮影してまいりました。
卒業式、ということですが、その規模は物凄いものです。ヘリコプター搭載護衛艦くらま撮影が主目的で、練習艦隊は撮れればいいね、という程度だったものですから、海上自衛隊幹部候補学校の卒業式というものがあそこまで盛大に行われるとは知りませんでしたし、うれしい誤算です。
護衛艦くらま、練習艦かしま以下五隻が並び、卒業生見送りの時間には続々と交通船が艦に向かうと共に上空をSH-60哨戒ヘリコプターの編隊、P-3Cの日米合同編隊、T-5練習機編隊、T-90練習機編隊が飛行、地方隊展示訓練観閲飛行に匹敵、小規模な航空祭と同程度、ちびっこヤング大会の編隊飛行より大規模な編隊と言えるでしょう。
特別警備隊、驚いたのは海上自衛隊の特殊部隊であり江田島に基地を置く特別警備隊がMP-5短機関銃の訓練用擬製銃を携行し特別機動船三隻で見送りを行っていたことです。最初は水中処分隊かな、とおもいきやMP-5を携行、海上自衛隊の特殊部隊を写真に記録できるとは。
本日の記事では、護衛艦くらま、の雄姿を掲載して行きますが、広島の宇品港から高速船で江田島高田港に入りますと、対岸には江田島基地が広がり、護衛艦くらま、の姿も。これだけで江田島まで足を運んだという甲斐があったものですが、思えば呉基地は何度も足を運ぶものの、江田島に上陸したのは今回が初めて。
かなり早めの時間に江田島に到達したのですけれども、五隻が一列になる撮影位置、正直な話としては選定に失敗しました。聞くところでは予行を何度も実施しているので、数日前に展開して予行を望見し艦隊の動きなどを見ておけば、予行で出港した部隊が、もう一度戻ってきて、出港と入港が撮影できたとのこと、現地でお世話になった広島の方にお教えいただきました、なるほど。
その後、広島の方のご厚意で呉駅まで送っていただき、潜水艦あらしお、が前日に除籍された、という事を教え頂きました。・・・、その同時間帯に、その日掲載した記事で護衛艦みねゆき除籍と当方が誤報していたことをお教えいただき、大慌てで潜水艦あらしお除籍の記事に置き換えることが出来ました次第です。最後になりましたが、当日ご一緒いただきました皆様、ご一緒いただきお送りいただいた広島の方、ありがとうございました。
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)