◆日本政府、自衛隊派遣の意思無し
イギリスが油田で孤立した英国人技術者を救出するべくSASを投入したようです。
外務省は2月25日に退避勧告を発令したのですがそれから三日、現在十名前後の邦人がリビア国内に残留しているとのことで、そのうち数名は大使館関係者ですが、他の数名が商社やメーカー等の関係者で現在孤立状態にあるとのことで、トリポリ空港まで陸路での交通網が麻痺している事もあり深刻な状態となっています。人数ではU-4でも投入すれば規模的にも救出できそうなのですが、何故か政府からそういう話が出てきません。
こうした場合、外務大臣の要請に応じて自衛隊法では邦人輸送の為に自衛隊機を派遣する事や自衛艦を展開させることが出来るのですが、現在のところ外相や首相からそうした動きは無いようです。既に現時点でスペイン空軍が邦人十数名を救出した、アメリカのチャーターフェリーにより更に数名を脱出させている、とされ、韓国軍への協力を求めているとの情報もあるのですが、それでもなお数名は脱出できない状況に陥っているとのこと。
25日に退避勧告を出した時点で打つ手が遅すぎたような印象があります、先ほどU-4を投入すれば、と記載したのですが他方で空港までの陸路が閉鎖されているような状況では、中央即応集団のUH-60JAやCH-47JAといったヘリコプターを使用して特殊作戦群を投入し、高機動車か徒歩で直接邦人を収容に展開するか、護衛艦から哨戒ヘリコプターを展開させるくらいしか救出手段が無いように思います。
ソマリア沖海賊対処任務に当たる護衛艦から一隻を抽出して、リビア沖合に展開させてSH-60J/K哨戒ヘリコプターを発進させリビア国内へ進出、直接邦人を救出させる、護衛艦似た海賊対処の為の要員が乗艦していますので選択肢としてはこれが考えられます。
もしくはこの期に及んで自衛隊投入に政治が躊躇するならば海上保安庁のSSTを旅客機でイタリアに緊急展開させて、もっともSSTはそうした運用をそうていしていないのはわかってはいるのですが、ね。SH-60J/Kにより陸上から護衛艦へ、そしてリビアに投入しても良いのかもしれませんが、どの方策にしても時間が残っていません。
各国の救出任務に便乗出来ないのが現状の孤立邦人です。面子を捨ててアメリカ軍に孤立邦人の救出を、特別に作戦を実施してもらうように、これでは主権国家とは言い難い状況になりますが首相が大統領に直接電話により懇願するという選択肢も上記の選択肢を採らないのであれば考えてほしいです。
東京では明日未明に来年度予算を衆院で関連法案とは別に通過させ、何とか年度内に予算を成立させるめどを立てようとしているのですが、人命よりも予算の事で頭がいっぱいだった、というようなことでは日本国今後百年の国際関係と企業の海外進出に禍根を残します。護衛艦か、自衛隊機か、土下座して米軍か、とにかく、見捨てる、数名を無視して外務省による救出作業終了、という事だけは避けなければ、国家として成り立ち続けることは出来ないのではないでしょうか。
日本人は内向き、とか世界に出てゆく気がいが無い等々、TVを点ければ評論家の方々が仰っている事に出くわすことは少なくないのですが、諸外国は少なくとも自国民が海外でこうした緊急事態に陥った場合には救出に最大限努力します。まさか、こういう場合で梯子を外されるのでは究極の自己責任、究極の格差ではないですか。一度国を出たからには再び祖国の土を踏めない覚悟を、とは戦時中の出征兵士ではあるまいし、アデン湾には護衛艦が、小牧には空中給油機がいます。
政府専用機だけはニュージーランドにいますが14000kmも航続距離があるのですから投入はすぐ行えました、しかし、現時点では孤立した邦人を救出するには旅客機では間に合わない状況になってしまい、手遅れに近い状況。なんとかヘリコプター等の手段により救出を実げんしてほしいとおもうしだいです。
HARUNA
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