■防衛フォーラム
空飛ぶクルマからヴァルキリーまで今回の防衛情報はアメリカ空軍関連の様々な情報をお伝えしましょう。無人戦闘機の在り方や空飛ぶクルマとの関係は自衛隊にも参考となる点があるはずです。
アメリカ空軍はe-VTOLを運用するジョビーアビエーションと評価試験契約を結びました。9月25日、ジョビーアビエーション社はエドワーズ空軍基地での評価試験契約を結び、空飛ぶクルマとして構想される電動ヘリコプター、e-VTOLの空軍での実用試験を開始することとなります。なお、空軍では構想自体は既に2020年から進められていました。
e-VTOL、ジョビーアビエーションの航空機は操縦士が1名、そして4名の人員か454㎏の貨物を搭載可能、最高速度は200km/hであり一回の充電で161㎞の航続距離を有するとの事です。空軍は近距離の連絡輸送や貨物輸送にe-VTOLを充てる構想で、当面はメーカーの操縦士が飛行試験と輸送試験を行い、次の段階で空軍操縦士が操縦する計画です。
ジョビーアビエーションのe-VTOL、用途は幾つかが考えられますが、広大な基地での整備員や整備部品の速やかな輸送、そしてロシアウクライナ戦争での戦訓は戦闘機をシェルターに格納するよりも広く分散させることで、e-VTOLがあれば飛行中隊が広い地域に分散した場合でも備品や弾薬と要員を秘匿したデポから即座に移動できる事でしょう。
アメリカ空軍はXQ-58ヴァルキリー無人機の自律飛行試験を実施しました。XQ-58はゲームチェンジャーとさえいわれる将来型の無人機で、攻撃能力等は拡張要素という扱いで特筆すべきは長大な航続距離とステルス性を有するのに対して、従来の無人機と比較し破格に取得費用を抑えているため、多数を揃え相手を飽和攻撃できる、という点です。
XQ-58ヴァルキリー無人機の自律飛行試験は8月22日、第40評価支援飛行隊によりフロリダ州のエグリン空軍基地を拠点に実施されました。今回行われた自律飛行は単なるプログラム慣性飛行ではなくAI人工知能を用いた飛行試験であり、戦闘機とのMUM有人無人共同運用の将来技術開発において重要なマイルストーンを果たした実験となりました。
XQ-58ヴァルキリー無人機は2019年に初飛行、航続距離は5600㎞で巡航速度882km/h、現在は母機からの管制飛行を念頭、545㎏までの装備を搭載、無人僚機としての運用も念頭に置いています。メーカーであるクレイトス社によれば年間500機程度の量産が可能で、年間50機の低量生産においても製造費用を400万ドルに抑えられるとしています。
アメリカ空軍と国防総省はB-21戦略爆撃機開発状況の総括報告を行いました。これは9月に行われた空軍協会航空宇宙サイバー作戦能力分科会において発表が行われたとの事で、ノースロップグラマン社によりB-21爆撃機試作機へエンジン搭載とエンジン稼働試験が開始されたことなどを開示しました。そして初飛行はもう少し先の事となるもよう。
B-21レイダー戦略爆撃機、レイダーの名称は1942年に東京や名古屋などを初空襲したドゥーリットル爆撃機部隊の愛称を冠したものです。エンジンの稼働試験のほかに、関連資材の開発や飛行プログラムについても順調に進められているとのこと、特にノースロップグラマン社は運用開始から初度作戦能力獲得までの短期間化も注力しているとのこと。
B-21戦略爆撃機の設計にはデジタルツイン方式を採用、サイバー空間にB-21そのものを疑似構築し、開発データを共有する体制を用いており、これにより物理的に遠隔地同士となっていす事業所や開発部署が開発状況を同じ工場内で作業しているほどの共有性を持つといい、この種の技術が爆撃機設計に応用されたのは世界でも初めてのこととされます。
アメリカ空軍はA-10攻撃機を2029年までに廃止する方針を改めて示しました。これはアメリカ空軍参謀総長のブラウン大将が3月7日に会見で示したもので、A-10攻撃機は頑丈な機体構造と防弾装甲とともに滞空時間の長さや30mm機関砲を筆頭に優れた近接航空支援能力を有するものの、この機体が活躍できる状況は最早将来無い、と結論しました。
A-10攻撃機は、イラクやアフガニスタンの戦場において絶大な威力を発揮し、基本的に武装勢力が有する火力では落とせない性能をもつとともに、なにより安定化作戦や警備作戦を展開する歩兵部隊に対して常に上空を滞空することで、即座に航空支援を加えられる態勢を維持、厳しい非正規戦闘に際して士気を高める不可欠の要素であると評されました。
将来戦闘に対してA-10攻撃機が活躍する状況はない、こう評価される背景にはアフガニスタンやイラクの戦場と異なり、中国軍との戦闘を想定する将来には、中国陸軍や空軍の有する膨大な地対空ミサイル部隊を相手に戦闘を展開する必要があり、A-10攻撃機の防弾は確かに23mm機関砲程度には有用でもミサイル戦場では生き残れないという結論です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)
(本ブログ引用時は記事は出典明示・写真は北大路機関ロゴタイプ維持を求め、その他は無断転載と見做す)
(第二北大路機関: http://harunakurama.blog10.fc2.com/記事補完-投稿応答-時事備忘録をあわせてお読みください)
空飛ぶクルマからヴァルキリーまで今回の防衛情報はアメリカ空軍関連の様々な情報をお伝えしましょう。無人戦闘機の在り方や空飛ぶクルマとの関係は自衛隊にも参考となる点があるはずです。
アメリカ空軍はe-VTOLを運用するジョビーアビエーションと評価試験契約を結びました。9月25日、ジョビーアビエーション社はエドワーズ空軍基地での評価試験契約を結び、空飛ぶクルマとして構想される電動ヘリコプター、e-VTOLの空軍での実用試験を開始することとなります。なお、空軍では構想自体は既に2020年から進められていました。
e-VTOL、ジョビーアビエーションの航空機は操縦士が1名、そして4名の人員か454㎏の貨物を搭載可能、最高速度は200km/hであり一回の充電で161㎞の航続距離を有するとの事です。空軍は近距離の連絡輸送や貨物輸送にe-VTOLを充てる構想で、当面はメーカーの操縦士が飛行試験と輸送試験を行い、次の段階で空軍操縦士が操縦する計画です。
ジョビーアビエーションのe-VTOL、用途は幾つかが考えられますが、広大な基地での整備員や整備部品の速やかな輸送、そしてロシアウクライナ戦争での戦訓は戦闘機をシェルターに格納するよりも広く分散させることで、e-VTOLがあれば飛行中隊が広い地域に分散した場合でも備品や弾薬と要員を秘匿したデポから即座に移動できる事でしょう。
アメリカ空軍はXQ-58ヴァルキリー無人機の自律飛行試験を実施しました。XQ-58はゲームチェンジャーとさえいわれる将来型の無人機で、攻撃能力等は拡張要素という扱いで特筆すべきは長大な航続距離とステルス性を有するのに対して、従来の無人機と比較し破格に取得費用を抑えているため、多数を揃え相手を飽和攻撃できる、という点です。
XQ-58ヴァルキリー無人機の自律飛行試験は8月22日、第40評価支援飛行隊によりフロリダ州のエグリン空軍基地を拠点に実施されました。今回行われた自律飛行は単なるプログラム慣性飛行ではなくAI人工知能を用いた飛行試験であり、戦闘機とのMUM有人無人共同運用の将来技術開発において重要なマイルストーンを果たした実験となりました。
XQ-58ヴァルキリー無人機は2019年に初飛行、航続距離は5600㎞で巡航速度882km/h、現在は母機からの管制飛行を念頭、545㎏までの装備を搭載、無人僚機としての運用も念頭に置いています。メーカーであるクレイトス社によれば年間500機程度の量産が可能で、年間50機の低量生産においても製造費用を400万ドルに抑えられるとしています。
アメリカ空軍と国防総省はB-21戦略爆撃機開発状況の総括報告を行いました。これは9月に行われた空軍協会航空宇宙サイバー作戦能力分科会において発表が行われたとの事で、ノースロップグラマン社によりB-21爆撃機試作機へエンジン搭載とエンジン稼働試験が開始されたことなどを開示しました。そして初飛行はもう少し先の事となるもよう。
B-21レイダー戦略爆撃機、レイダーの名称は1942年に東京や名古屋などを初空襲したドゥーリットル爆撃機部隊の愛称を冠したものです。エンジンの稼働試験のほかに、関連資材の開発や飛行プログラムについても順調に進められているとのこと、特にノースロップグラマン社は運用開始から初度作戦能力獲得までの短期間化も注力しているとのこと。
B-21戦略爆撃機の設計にはデジタルツイン方式を採用、サイバー空間にB-21そのものを疑似構築し、開発データを共有する体制を用いており、これにより物理的に遠隔地同士となっていす事業所や開発部署が開発状況を同じ工場内で作業しているほどの共有性を持つといい、この種の技術が爆撃機設計に応用されたのは世界でも初めてのこととされます。
アメリカ空軍はA-10攻撃機を2029年までに廃止する方針を改めて示しました。これはアメリカ空軍参謀総長のブラウン大将が3月7日に会見で示したもので、A-10攻撃機は頑丈な機体構造と防弾装甲とともに滞空時間の長さや30mm機関砲を筆頭に優れた近接航空支援能力を有するものの、この機体が活躍できる状況は最早将来無い、と結論しました。
A-10攻撃機は、イラクやアフガニスタンの戦場において絶大な威力を発揮し、基本的に武装勢力が有する火力では落とせない性能をもつとともに、なにより安定化作戦や警備作戦を展開する歩兵部隊に対して常に上空を滞空することで、即座に航空支援を加えられる態勢を維持、厳しい非正規戦闘に際して士気を高める不可欠の要素であると評されました。
将来戦闘に対してA-10攻撃機が活躍する状況はない、こう評価される背景にはアフガニスタンやイラクの戦場と異なり、中国軍との戦闘を想定する将来には、中国陸軍や空軍の有する膨大な地対空ミサイル部隊を相手に戦闘を展開する必要があり、A-10攻撃機の防弾は確かに23mm機関砲程度には有用でもミサイル戦場では生き残れないという結論です。
北大路機関:はるな くらま ひゅうが いせ
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