北大路機関

京都防衛フォーラム:榛名研究室/鞍馬事務室(OCNブログ:2005.07.29~/gooブログ:2014.11.24~)

榛名防衛備忘録:中間報告、陸上航空集団案と機甲師団の大臣直轄部隊新編案

2014-03-31 23:51:57 | 北大路機関特別企画

◆陸上自衛隊の将来防衛を考える

 年度末特集最終回の第三回、今回は様々な私案と討議の末の防衛私観中間報告を本日も掲載しましょう。

Bs_img_1177 防衛大臣直轄部隊について。現在、防衛大臣直轄部隊は中央即応集団や機甲師団である第7師団等が挙げられます。さて、広域師団(装甲機動旅団・航空機動旅団)という提案を中間報告第一回に、方面即応集団(方面即応機動群・方面対テロ即応群)をローテ-ションで待機させ有事即応の態勢を構築する提案を行っています。それでは、大臣直轄部隊はどうあるべきでしょうか。

Hbimg_7298  今回提案するのは陸上自衛隊航空集団の創設です。陸上自衛隊航空集団という発想は1960年代から1970年代にかけ、航空部隊強化の一環として幾度か部内検討された、と言われています。ただ、今回提案する航空集団は、単純な機動力の集約ではなく、島嶼部防衛と重装備縮小という現状への一つの選択肢として、長期的に整備するものを提示します。

Aimg_2370 大臣直轄部隊。この私案が、この榛名防衛備忘録においてコンパクト化を極限まで追求し火力指数と打撃力を我が国周辺国と我が国の国際関係上突き付けられる状況へ対応できる防衛力を考えた際、第1空挺団と第1ヘリコプター団という機動力、第7師団という戦略予備の最重装備部隊を基幹とする現状こそ、もっとも友妥当なものでしょう。

Kimg_2637  航空集団。陸上自衛隊航空集団は、第1ヘリコプター団のMV-22可動翼機配備に合わせ、CH-47輸送ヘリコプター半数を広域師団航空機動旅団へ分散配備し、既存旅団ヘリコプター隊所要に加えて再編すれば各航空機動旅団へ8機のCH-47を配備できる、としました。

Gimg_2674  ここに近接航空支援を担う飛行隊を2個飛行隊程度有する部隊を配置し、有事の際、航空自衛隊が近接航空支援に忙殺される危惧を解消し、対地攻撃は航空自衛隊が装備する高度な航空機の場合、航空阻止任務に限定できるようする。もちろん、防空任務が切迫した際には、陸上自衛隊も航空自衛隊支援に加わります。

Gimg_0648  そこで、まず、第1ヘリコプター団を、MV-22可動翼機16機を装備する第101航空隊とUH-60JA等を装備する第102航空隊にCH-47JA輸送ヘリコプター16機を装備する第103航空隊、それにEC-225を装備する特別輸送航空隊の三個航空隊に再編します。

Aimg_7590  第1ヘリコプター団は、航空輸送の中枢として、第1空挺団の集中輸送支援や、指揮官の決心に依拠した戦略輸送に際し、最大の空輸能力を発揮するとともに、導入が開始されるMV-22可動翼機の集中運用による緊急展開能力、広域師団の航空機動旅団展開と伍する空挺部隊の緊急展開に寄与する航空科部隊最強部隊として維持する、という前提です。

Avimg_9956  第2航空団、として航空集団には第1ヘリコプター団と双璧を為す、近接航空支援任務に適した部隊を置くべき、こう考えるところです。具体的にはMV-22という高速度の進出力を持つ機体の導入により、その護衛と火力支援は従来の対戦車ヘリコプターや戦闘ヘリコプターでは不可能となるため、その支援に充てる航空部隊として想定しました。

Gimg_7422  第2航空団は、併せて陸上自衛隊の海兵隊化という政治要求を反映したものともなります。岩国の第1海兵航空団が運用するF/A-18CやAV-8Bの任務に当たる、砲兵火力を局限化した米海兵隊が戦闘攻撃機の航空打撃力へ依存した運用を念頭とした部隊、という事も出来るでしょう。

Img_9119 理想としては、岩国航空基地に岩国駐屯地を置き、米海兵隊の戦術運用を参考とした編成が望ましいのですが、岩国は厚木より空母航空団が移転する為、収容不可能です。そこで、近傍の防府分屯地、航空自衛隊の飛行教育部隊が展開している基地ですが、ここに一個飛行隊を置き、併せて十分な滑走路と飛行場機能を持つ九州の高遊原分屯地を駐屯地に格上げし、もう一個の飛行隊を此処に展開するべきと考えます。

Iimg_2562  高遊原配置の飛行隊は、水陸機動団との協同運用を重視しますが、併せて南西諸島での訓練基盤構築のため、可能であればキャンプシュワブ飛行場施設完成とともに返還される普天間航空基地を普天間駐屯地として陸上自衛隊へ移管し、一個飛行隊は普天間に置くべきと考えます。

Himg_3304  なお、装備については、COIN機でなければどういった戦闘機でも問題ありません。中古か新造を問わないものとし、F-16C戦闘機やF/A-18C戦闘攻撃機,JAS-39戦闘機,ジャギュア攻撃機、ミラージュ2000、ハリアー攻撃機、トーネード攻撃機、問いません。

Img_0866  最低限、航空自衛隊とのデータリンク能力を確保し友軍相撃を防ぎつつ、取得費用と維持費用を考慮し、決定すべきでしょう。航空自衛隊ほど対戦闘機戦闘を重視せず、自衛戦闘に留め、航空自衛隊の要請に応じ対応する程度のものとします。一方、北大路機関では、航空自衛隊へ有事の際に補助戦闘機へ転用可能な高等練習機を提案しています。具体的にJAS-39を挙げているのですが、陸空で共通化できる部分があれば、行うべきでしょう。

Himg_4140  ただし、簡単に示しましたが、陸上自衛隊には練習機がエンストロム480しかありません、T-7初等練習機に当たる機体もT-4練習機にあたる航空機もありません。独自の航空教育体系を構築するのは非効率ですので、航空自衛隊の支援を仰ぐか、米軍留学制度を構築するか、いずれにせよ何らかの対応が必要となります。

Img_1460  ですから、この第2航空団案は、十年単位で先の話となります。他方で、いつになろうとも必要である選択肢、とも考えるわけです。一方で教育訓練の問題、仮に将来、海上自衛隊がヘリコプター搭載護衛艦へF-35Bを搭載する、というような施策を仮に決定し、行う際、同様の課題が生じるでしょうね。

Nimg_8993  航空集団は、このほか、緊急展開部隊として第1空挺団を隷下に置き、統合運用を行うことが望ましいでしょう。実質的に、中央即応集団が現在果たしている位置を、航空集団が航空打撃力を持つ第二航空団と緊急展開能力を担う第1ヘリコプター団により担う、というかたち。

Nimg_9294  空挺団は現行編制の三個空挺大隊基幹が一つの理想形ですが、併せてC-2輸送機の配備により空輸能力が強化されるため、空挺特科大隊へM-777のような軽量砲を10門から16門程度配備する選択肢はありますし、理想としては空輸できる最強装備、機動戦闘車を中隊規模で配備し、各大隊へ小隊規模の機動戦闘車を増援に出せる事が望ましい。

Aimg_2533  このほか、現状の空挺団には少なくない大型車両が装備されているため、輸入車両であっても構わないので、空挺用の装備を増強すべきと考えます。特に例えばC-2輸送機10機でどれだけ展開できるか、MV-22やCH-47との連携を念頭に、トラックに空挺用の装備を導入する、スパキャット軽車両やムンゴ空挺軽装甲車等の導入は考えられていいでしょう。

Gimg_3436  このほか、海上自衛隊の中古KC-130R導入を参考に、仮に安価にC-130輸送機を中古で導入できるのであれば、その陸上自衛隊航空集団への導入を模索するのも一つの選択肢でしょう。このほか、米陸軍が国防費削減の影響で早期退役を検討しているC-27J輸送機等、打診してみる価値はあるやもしれません。

Aimg_2434  航空集団への輸送機導入案は、航空自衛隊の空輸能力への不安があるのではなく、平時訓練における利便性と、有事の際の輸送能力逼迫を想定し提案するものです。特に不整地輸送等、航空自衛隊は訓練を続けていますが、有事の際には、特に航空団の防空作戦能力維持への輸送能力が相当程度必要となりますので、検討の価値はあります、中古機を安価に取得できる場合に限りますが、ね。

Gimg_3764  他方で、安価に輸送機を取得できる場合、空挺団を簡素化した空挺連隊を西日本の何れか地域に配置する、第2落下傘連隊案というものを提示します。具体的には水陸機動団の拠点となる相浦駐屯地など、近傍に大村航空基地や佐世保基地もあり、水陸機動団との連携をおこなう上で有利です。

Gimg_39_47  また、水陸機動団が米海兵隊と連携し両用作戦能力を整備する際にはどうしても第3海兵師団の展開する沖縄へ駐屯する必要が出てきます。広域師団構想に際しても、南西諸島管区の平時駐屯に水陸両用旅団を挙げていますので、相浦より沖縄へ水陸機動団が移転したのち、第2落下傘連隊を新編し、航空集団第二の機動部隊として、相浦に駐屯させる選択肢はあるでしょう。この場合、輸送機は高遊原か大村の海上自衛隊飛行場地区への駐屯が理想です。

Jimg_2746  戦車師団は航空集団とともに大臣直轄部隊の双璧を為します。もちろん、他の師団の改編として創設する広域師団構想そのものが全て機動運用部隊と位置付けるため、陸上総隊の直轄運用を受ける点に代わりは無いのですが、広域師団(装甲旅団・航空旅団)、この重装備機動装備の関係のように、機甲師団と航空集団は大臣直轄の重装備機動装備、という位置づけと考えて差し支えありません。

Gimg_4553 第7師団は、基本現状の編成を維持しつつ、戦車定数削減の影響を受け、戦車連隊を構成する戦車中隊数が削減されるであろうことは予測できます。戦車連隊隷下の戦車中隊は独立運用されることはなく、戦車連隊の指揮下で運用されるため、中隊本部機能を合理化することは、不可能ではないでしょう。

Img_2278  こうして、12両で中隊を構成した場合、4個戦車中隊に連隊本部車両を加え、50両で連隊を維持することはできるかもしれません。結果、最盛期286両から大幅に縮小、3個戦車連隊で150両という列国の戦車師団と比較した場合でも非常に小型ではありますが、陸上自衛隊の最後の機動打撃部隊として維持できることとなります。

Img_4423 他方、現状で師団隷下の普通科連隊は6個普通科中隊を基幹とする日本最大の普通科連隊を構成し、半数に89式装甲戦闘車を装備し、ほかは73式装甲車を配備し装甲化を達成しています。他方、縮小された戦車連隊は現実問題として一両として無駄に損耗を出さない運用が求められる。

Img_3759 戦車支援戦闘車、戦車連隊から戦車削減と共に第5中隊が廃止されますが、この第5中隊の代替に戦車支援戦闘車を装備する中隊を置くべきではないか、と考えます。戦車支援戦闘車とは、ロシアのBMPT戦車支援戦闘車、開発中止となりましたが、BMPTのような車両を想定します。

Pimg_4057 BMPTはロシアが戦車削減を欧州通常戦力削減条約に基づき要求された際、旧式化したT-72戦車の車体を利用し、30mm機関砲2A42二門と焼夷気化弾頭型9M133対戦車ミサイル多連装発射器を砲塔に搭載し、戦車を市街地や狭隘地域での近接攻撃から防護する車両です。航空攻撃を含め戦車が苦手とする攻撃から防護するこの種の車両は、戦車定数が削減されるからこそ求められるでしょう。

Mimg_1877 併せて、広域師団の提案に際し全方面特科部隊の廃止と装甲機動旅団への編入を提示しましたが、第7特科連隊に対しても、現行編制では全般支援火力を担う第5大隊は配置されてきませんでしたが、広域師団と同様に第7特科連隊に対してもMLRSを装備させ、全般支援火力を置くべきと考えます。

Mimg_0055 このほか、少数配備で終了したOH-1観測ヘリコプターを第7師団へ重点配備するべきと考えます。現状で教育所要を除けば30機ほどしかありませんが、OH-1は機甲師団、水陸機動団、首都旅団、こうした重要部隊へ10機づつ集中配備するべきでしょう。

Gimg_3562 首都旅団について。東京は絶対防衛しなければなりません。このため、首都旅団は駿河甲州地区を第12旅団管区に移管し、首都近郊を中心として市街地戦闘を念頭とした中央即応連隊型の普通科連隊を、東京神奈川千葉埼玉を中心に配置し、支援に直接火力支援能力を有する機動戦闘車を重点配備するべきです。

Gimg_3596 即ち首都旅団の編成は航空機動旅団の軽装備部隊を、装輪装甲車強化のかたちで充実させ、一方で航空連隊を機動砲連隊に置き換え、遠距離打撃能力を持つヘリコプターよりも機動戦闘車の直接火力支援を重視、一方で情報収集能力を強化すべく軽ヘリコプターと観測ヘリコプターを重点配備する、こういうところでしょうか。

Mimg_6788  なお、前回か前々回までに掲載すべきものでしたが、方面隊の方面戦闘支援集団、後方支援部隊の一案について。これを方面戦闘支援集団とし、方面重特科団、方面施設団、方面後方支援団、方面教育団、この四個団と方面補給処を集約する作戦支援集団として、構想します。

Gimg_8996  方面重特科団は、広域師団への編入が適切ではない、ホークミサイル/03式中距離地対空誘導弾の高射特科連隊、88式/12式地対艦誘導弾を運用する地対艦ミサイル連隊、この2個連隊を以て編成します。装備に火砲が皆無ですので、方面重特科団とは呼ばず、方面ミサイル団と呼称してもいいかもしれません。

Gimg_5925  方面ミサイル団/方面重特科団、名称はいろいろ考えられます。さて、これまで方面特科団といえば、203mm自走榴弾砲かMLRSを運用する部隊を示しましたが、将来の陸上自衛隊私案では、MLRSを装甲機動師団へ移管するため、方面隊は中距離地対空誘導弾と地対艦ミサイルを集中運用するのみとなります。なお、現在の移動監視隊や無人偵察機隊は、この方面重特科団に所属させるのが理想でしょう。

Oimg_5646  方面施設団は、主として建設工兵にあたる部隊を集約した2個施設群を以て編成します。現状では戦闘工兵装備に当たる装甲ドーザや地雷原処理車などが方面隊に集約されていますが、これらは装甲機動旅団へ再度集約し、第一線の障害除去などに充てます。方面施設団は後方策源地や補給処から広域師団か装甲機動旅団・航空機動旅団の策源地までの補給路全般の維持にあたります。

Yimg_5984  方面後方支援団は、方面後方支援隊と基地通信を担う方面通信隊に方面会計隊や方面衛生隊を集約します。人員規模としては、特に駐屯地施設を後方支援の重整備施設として充てることが出来、加えて国内防衛産業の整備支援施設を防衛力の後方支援能力として応用できるため、海外の軍団支援能力ほど、規模は必要ありませんが、弾薬整備や重整備などを包括し行い、師団が前進を続けた場合でも対応できる体制の構築が求められます。

File0134 方面教育団は即応予備自衛官指揮隊、方面指揮所訓練支援隊、評価支援大隊、教育支援隊、陸曹教育隊、機甲教育隊、特科教育隊、以上を基幹とします。教育支援隊は全国の普通科連隊管区へ教育分遣隊を派遣し、連隊管区で実施される教育訓練を連隊の指揮下に入り教育支援します。

Himg_1116  方面教育団は有事の際、予備師団を編成します。有事の際には即応予備自衛官指揮隊師団司令部機能とし、を中心として、方面隊の7個予備自衛官大隊を包括指揮し、評価支援大隊と機甲教育隊の教育用戦車2個中隊を予備戦車大隊へ再編、陸曹教育隊と特科教育隊の重迫撃砲と榴弾砲を予備特科大隊へ再編、実質的に旧式装備主体の予備師団としての任務を方面教育団は担います。

Img_5480  この予備師団は、即応予備自衛官7個大隊2800名に予備の重装備大隊を併せ教育用戦車20両と火砲10門を加え4000名、続いて予備自衛官と教育中の自衛官を主体とした大隊が地域警備部隊として2100名、後方支援部隊は予備自衛官と駐屯地業務隊のみですが、7000名程度の小型師団となります。

Fsimg_7779  教育団の一員として仮設敵を務める評価支援大隊の戦車と装甲車がほぼ唯一の重装備で、このほか、教育隊の教官と陸曹教育隊も重要な防衛力ですが、併せて教育要員としての教官たちは広域師団の部隊が戦闘により消耗した際に、予備要員として第一線にある広域師団へ支援に回ります。

Img_4531  なお、仮に予備自衛官部隊の防護する後方へ侵攻された際、予備自衛官大隊が駐屯地近傍で拡大阻止として食い止めている際に、重装備で駆け付けます。全体として、後方支援部隊がほぼ皆無なので機動打撃など不可能、完全な張り付け師団ですが、広域師団が機動展開したのち、基盤的防衛力を構成できるでしょう。

Mimg_1431  普通科連隊の位置づけについて。管区普通科連隊を、常備自衛官の第一大隊、即応予備自衛官の第二大隊、予備自衛官共通教育中隊混成の第三大隊、そこに常備自衛官主体の本部管理中隊と重迫撃砲中隊と対戦車中隊を混成した火力中隊を以て普通科連隊は1400名を基幹とます。

Simg_9305  これは即応予備自衛官運用に関する特務即応予備自衛官制度案の論議を行った際に派出した理論ですが、普通科連隊を1400名とします。このうち、第1大隊と本部管理中隊と重迫撃砲中隊の700名が装甲機動旅団・航空機動旅団に配置されます。残る700名が予備自衛官主体となるもの。

Nimg_2043  実質普通科連隊ではなく普通科大隊ではないか、という指摘についてですが、常備自衛官と即応予備自衛官や予備自衛官など1400名の人員を以て管区を受け持つのですから、大隊ではなく連隊です。それでは、旅団に配備される部隊は700名程度なのですが、これは規模の上から大隊ではないのか、という視点について、その通り。

Fs_img_4022  例として京都を警備管区とする第7普通科連隊を念頭に考えてみます。機動旅団配備の大隊は7-1大隊(第7普通科連隊第1大隊)です。そして平時に連隊指揮下にあり、有事にも連隊が機動展開前では連隊指揮下にあり、方面隊が方面教育団を中心に方面予備師団を編成する際に初めて第2大隊は連隊指揮を離れ7-2大隊(第7普通科連隊第2大隊)を構成します、第7-3大隊(第7普通科連隊第3大隊)は訓練を強化する、こういうかたち。

Gimg_2437  普通科連隊としたのは、機動旅団配置に際し、第1大隊と共に連隊旗を奉じる本部管理中隊と火力中隊が機動旅団と共に行動する為、7-1大隊は、連隊として旅団に配属されるわけです。普通科連隊の位置づけについて、大隊ではなく連隊としたのは、こうした運用を想定したためです。

Img_8561 以上、中間報告としてこれまでの記事掲載と共に多くの討議により構築した陸上自衛隊の将来防衛に関する編成案を提示しました。年度末特別企画ということで三回にわたり掲載しましたが如何でしたでしょうか、少々飛躍が行きすぎましたが、当方の視点の一部分を示しました。本日は年度末、明日からの新年度もみなさまよろしくお願いいたします。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

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榛名防衛備忘録:中間報告、方面即応集団 “Armycorps Readiness Force”の創設案

2014-03-30 15:33:50 | 北大路機関特別企画

◆ARF:日本版MEU,待機交代制950名の即応部隊

 年度末中間報告特集第二回、広域師団と方面直轄部隊からの即応待機部隊、方面即応集団Armycorps Readiness Force創設案について。

Img_8441 札幌駐屯地に北部方面即応集団司令部、仙台駐屯地に東北方面即応集団司令部、朝霞駐屯地に東部方面即応集団司令部、伊丹駐屯地に中部方面即応集団、健軍駐屯地に西部方面即応集団司令部、各方面隊毎に方面即応集団を配置する案です。

Hbimg_0779 我が国への奇襲事案や、我が国の基本的生存権に影響する周辺事態、これらに際し陸上自衛隊が即座に防衛体制を立ち上げ、対応できる即応態勢の準備を構築することは、奇襲事案そのものの最大の障壁として抑止力を堅固なものとすると同時に、邦人の海外での安全や安心に繋げることが出来ます。その具体的施策として、方面即応集団ARF:Armycorps Readiness Force案というものを構想してみました。

Simg_6436  方面即応集団案とは、司令部機能のみ方面総監部に常設し、戦闘部隊を各師団から一ヶ月若しくは二カ月交代でローテーション抽出、演習場営舎と飛行場に臨時展開させ、各方面隊持ち回りで10分から120分以内で完全装備の下出動可能な即応待機部隊を置く、という提案です。方面即応集団ARF:Armycorps Readiness Force、米海兵隊の海兵遠征群MEU:Marine Expeditionary Unitの日本版、に位置付けられるもの。

Mimg_2360  方面即応集団ARFは、その発想背景に四輪駆動軽装甲車化普通科連隊構想の際に提示した、四輪駆動軽装甲車中隊に軽装甲機動車小隊を併せた中隊戦闘団の即応待機案を発展させたものです。方面即応集団ARFの基幹部隊は方面即応機動群AMU:Armycorps Mobility Readiness Unit 、方面対テロ即応群AATRU:Armycorps Anti-Terrorism Readiness Unit、とします。

Img_2231  その総員は人員950名を想定し、指揮機能120名のみ常設、あとは各部隊のローテーションです。ローテーションですので、高練度部隊を短期間集中的に出動できる態勢を維持し、少数と言えども最も強力な部隊が我が国の有事に際し、文字通り即座に出動できる態勢を目指すべきでしょう。

Gimg_8138 広域師団。前回、陸上自衛隊の新しい作戦部隊の将来像として現行師団と旅団を一旦師団に統合したうえで各5000名の装甲機動旅団と航空機動旅団に再編し、各方面隊に広域師団を置き、装甲機動旅団・航空機動旅団を機動運用に充てる提案を行いました。戦車と火砲の縮小が画定された新防衛大綱の装備体系下で政府が求める機動防衛力構築には当方が考える一つの回答として提示したわけです。

Img_4749 この編成案は、全ての師団旅団を機甲師団を除き12個の小型師団へ再編したうえで、戦車とヘリコプターを方面隊直轄部隊へ移管し、高度な装備体系を持つ方面隊直轄部隊と、機動性に優れた装備体系を持つ師団部隊に二分、然る後に方面直轄部隊の高度装備を師団に編入、装備密度を維持すべく小型師団を大型旅団へ縮小改編し、二個旅団を以て大型師団を創設する、というもの。

Iimg_2072  この装備の師団への編入をもって、方面即応集団は装甲戦闘車の数的充実の受け皿という任務も一形態を果たすことになり、短い任務を得る事となるのですが、司令部寄港を中心として、現役部隊からローテーションで即応待機部隊を置く事は出来ないか、としたのが今回の主題です。

Img_4794  即応部隊配置の意義は、見ての通り装甲機動旅団・航空機動旅団という全く異なる装備と運用を行う旅団が方面隊管内に置かれるため、各旅団内で即応部隊を配置したとしても即応部隊は災害対処初動部隊のような後方装備を主柱として実施するものと違い、装甲機動旅団・航空機動旅団では共通する装備品がほぼありません。

Img_0879  このため、方面隊の後方支援部隊とともに、方面隊単位で初動部隊を即応待機させ、これら部隊を一種の先遣部隊や強行偵察部隊、これは可能ならばそのまま制圧してしまうという意味を含むのですが、小規模な部隊として後続の巨大な広域師団の展開を円滑に行える主導権を初動で我が方へ確保しよう、というもの。

Amimg_1625  方面即応集団ARFの戦闘基幹部隊、方面即応機動群AMUは、広域師団を構成する装甲機動旅団・航空機動旅団から、中隊規模と小隊規模の部隊を抽出し、待機します。有事の際、国内から海外まで、その初動を担います、指揮部隊CE:Command Elementのもと、即応装甲戦闘部隊GCE:Ground Combat Elementと即応航空戦闘部隊ACE:Aviation Combat Element 及び即応戦闘支援部隊 LCE:Logistics Combat Elementより成る。

Img_3669 指揮部隊GCE-CEは常設部隊で、野外通信小隊・電子戦班を以て編成します。50名規模の部隊という想定で、方面即応集団ARF司令部は札幌や仙台に朝霞や伊丹と健軍という方面総監部に置かれますが、指揮部隊GCE-CEについては戦闘部隊と共に演習場近傍営舎に移動司令部を置きます。

Img_0799 地上戦闘部隊GCEの編成は、220名規模、各機動打撃旅団より装甲普通科中隊・戦車小隊・戦砲隊・施設小隊、以上を抽出します。機動打撃旅団は9個普通科中隊、9個戦車小隊、15個戦砲隊、12個施設小隊を持つ想定ですので、2か月待機として18か月乃至30か月おきに待機することとなります。

Fimg_8012 地上戦闘部隊GCEの装備は、戦車4両・装甲戦闘車14両・自走榴弾砲2門・近接戦闘車高射型2門、施設装甲車2両・指揮装甲車2両、以上を想定し、実質一年半おきに担当するため、戦車部隊と普通科部隊の旅団訓練計画などのローテーションが厳しい場合は、縮小編制とし、戦車2両・装甲戦闘車8両、とすることも考えられるでしょう。

Img_0616  海上自衛隊との連携を考えた場合、地上戦闘部隊GCEについて、この縮小編制であれば、おおすみ型輸送艦一隻に収容可能です。装甲車両は艦内の車両甲板で戦車をエアクッション揚陸艇LCACに搭載したままならば、なんとか収容できる上に、上甲板に一定程度のトラックなど輸送車両の搭載も可能です。

Uhimg_6028 航空戦闘部隊ACEの編成は、220名規模を想定します。部隊は各航空機動旅団より普通科中隊・情報小隊・多用途ヘリ4機・輸送ヘリ2機・戦闘ヘリ2機を抽出します。航空機動旅団は多用途ヘリ24機と戦闘ヘリ12機に輸送ヘリ8機を想定するため、このローテーションはかなり厳しいものですが、待機位置は飛行場とし、訓練を含め稼動機を待機機に兼ねさせれば対応できるかもしれません。

Iimg_2029  航空戦闘部隊ACEの陸上装備は、四輪駆動軽装甲車14両・軽装甲機動車7両・中距離多目的誘導弾2両、120mm重迫撃砲2門、とし、こちらは航空部隊が駐屯する飛行場へ前進待機します。基本、機内格納か吊下げ輸送で対応する装備で構成し、航空部隊が演習場に展開する際には同行する、という運用も考慮すべきでしょう。

 Bs_img_0860 航空戦闘部隊ACEの陸上部隊は、同時に装甲車両と共に航空自衛隊がC-1輸送機の後継として30機から40機程度を導入するC-2輸送機15機に収容できる装備を以て編成します。もちろん、これでは後方支援の維持が不可能ですので、一往復で展開させることはできませんが、海外に緊急展開させる必要が生じた際、中央の防衛大臣直轄部隊である第1空挺団の後詰めとしての部隊運用を想定できるもの。

Himg_4551_1 このほか、航空機はこの8機程度でしたら海上自衛隊のヘリコプター搭載護衛艦ひゅうが型に搭載し輸送することが可能です。艦内の航空機格納庫を転用すれば、装甲車両についても一定数搭載が可能でしょう。車両がRO-RO船方式で搭載可能なヘリコプター搭載護衛艦いずも型であれば、車両部隊と共に航空戦闘部隊ACEを輸送可能で、海上自衛隊が検討を始めた強襲揚陸艦についても実現すれば、その搭載で機動力を最大限発揮できます。

Mimg_1807 即応戦闘支援部隊LCEの編成は、輸送中隊・後方支援隊直接支援中隊・後方支援隊ヘリコプター野整備中隊を基幹とした150名規模の部隊を想定し、輸送中隊は7tトラック15両、戦車輸送車10両、の装備を想定します。このほか、各部隊は自前の3t半トラックや高機動車を装備していますので、輸送力がこの部隊のみ、というわけでは必ずしもありません。

Fimg_5868  装甲車両に対し戦車輸送車の数量は必ずしも十分ではありませんが、戦闘機動に際しては車載運用が考えにくく、併せて有事の際は相応の交通統制が考えられるため、一定程度の部隊は自走して展開する、という想定です。長期間の戦闘ではなく、即応の初動部隊ですので、過剰な後方支援部隊は機動力に影響し、逆に防衛基盤となる駐屯地などの支援を受けるという念頭で、この結論に至りました。

Gimg_9694 方面即応機動群750名、地上戦闘部隊GCEと航空戦闘部隊ACE。戦車4両・装甲戦闘車14両・自走榴弾砲2門・近接戦闘車高射型2門、施設装甲車2両・指揮装甲車2両、多用途ヘリ4機・輸送ヘリ2機・戦闘ヘリ2機、 四輪駆動軽装甲車14両・軽装甲機動車7両・中距離多目的誘導弾2両、120mm重迫撃砲2門、並べてみました。

Nimg_1199  高射特科部隊が近接戦闘車防空型機関砲のみですが航空部隊との連携で。対空レーダはありませんが、国内であれば航空自衛隊とのデータリンクで、海外ならば海上自衛隊の艦艇とのデータリンクで。施設部隊に架橋能力がありませんが、即応部隊なのですから可能な限り自走渡河能力で。

Pimg_4205  方面隊全体で少々大きめの駐屯地祭模擬戦程度の部隊ではありますが、各方面隊にこれだけの部隊が即応待機していること、有事の際には空挺団と方面即応集団が直ぐに立ち上がり駆けつけるという事ですので、本土侵攻や島嶼部攻撃に海外緊急展開、我が国の政治へ選択肢を増やす事では、間違いないでしょう。

Img_5343  方面対テロ即応群AATRU、方面即応集団ARFもう一つの基幹部隊は、ゲリラコマンドーによる特殊攻撃や原子力施設などへの非常事態へ対応する部隊で、方面特殊武器即応部隊NBCARE:NBC Areagroup Response Element、方面対テロ即応部隊ATRE:Anti-Terrorism Readiness Elementを基幹とする編成を考えてみました。

Img_8024 人員は全体で150名程度、この部隊は、各旅団のレンジャー資格保持者や特殊武器防護隊等を中心に150名規模のローテーションを想定します。中央特殊武器防護隊と中央即応連隊の機能を方面隊版として小型化した編成、こうしたものといえるでしょうか。

Nimg_1747 方面特殊武器即応部隊NBCAREは、50名程度の部隊で、本部班・NBC偵察班・NBC除染班・生物兵器衛生班・原子炉冷却小隊を以て編成、基本的に旅団特殊武器防護隊と相互連携を行う部隊と設定し、NBC偵察車1両・四輪駆動軽装甲車2両・除染車1両・場外消防車2両・野外電源車2両を主要な装備とします。

Timg_2546 原子炉冷却小隊は、航空部隊駐屯地より航空火災用消防車を場外消防車として待機状態に置くというもので、野外電源車も航空部隊用のものを即応態勢に置く、というもの。同じく即応体制を採って待機している航空戦闘部隊ACEの輸送ヘリコプターにより空中機動し展開する運用が考えられるかもしれません。

Img_7517 福島第一原発型の原子力事故や地下鉄サリン事件型の無差別テロ攻撃に、可能性が無視できない化学弾頭搭載弾道弾による攻撃や生物兵器によるテロに際し、主として即応体制を採ることで師団に先立ち展開し、第一に情報収集、第二に被害拡大阻止、第三にこれらの行動を通じての民心安定に寄与することが出来るでしょう。

Img_2424  方面対テロ即応部隊ATREは、警察力で対応できない状況や方面特殊武器即応部隊NBCAREの任務展開時にまだ現場付近に脅威が存在する際の排除任務、武装工作員浸透事案や重要施設占拠事案に際しての拡大阻止や、情報収集に必要であれば排除を特殊作戦群と協力し展開する部隊として必要と考えたもの。

Aimg_2450  方面対テロ即応部隊ATREの編成は概ね80名程度とし、本部班・情報小隊・レンジャー小隊・狙撃班・爆発物処理班を以て編成します。本来、防衛大臣直轄の特殊作戦群が特殊作戦団というような規模に拡大でき、隷下の特殊作戦大隊を方面隊へローテーションする配置が可能ならば、そちらの方が理想的でしょう。

Uhimg_6620 連絡用に軽ヘリコプターなどをこの即応群に配置することが望ましいのですが、当然ながら出動に際し航空戦闘部隊ACEの支援を受ける事も挙げられます。テロ事案に際しては、警察庁のSATや管区機動隊銃器対策部隊、海上保安庁のSST等の部隊が初動を担いますが、後詰めの自衛隊が即応体制で待機している状況を構築することで、我が国におけるテロ事案等の実施を困難とさせることが出来る。

Iimg_6473 方面即応集団ARF、実質二個中隊に所要の重装備と空中機動装備に後方支援装備を組み合わせた、縮小規模の機械化大隊戦闘団といえる編成と、テロ対策や原子力災害対処の小部隊を組み合わせたものですが、 各方面隊が、こうした部隊を維持し即応体制を採ることで我が国の防衛に資する全体的な波及効果は、相当大きいと考える次第です。

北大路機関:はるな

(本ブログに掲載された本文及び写真は北大路機関の著作物であり、無断転載は厳に禁じる)

 

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榛名防衛備忘録:中間報告、陸上総隊広域師団(装甲機動旅団・航空機動旅団)案の模索

2014-03-29 23:51:08 | 北大路機関特別企画

◆基幹戦闘部隊6万7600名+支援部隊・教育部隊

 UH-X次期多用途ヘリコプターを考える、ここから少々脱線し、陸上自衛隊の部隊編制についての様々な検討の中間報告的なものを。

Img_3076  陸上自衛隊の基幹戦闘部隊として、6個師団6万7600名程度とし、空中機動による機動展開重視の部隊と装甲機動による機動打撃重視の部隊を基幹とし、全師団を機動運用させ少数の陸上防衛力で我が国が想定するあらゆる任務への対応を目指す部隊編制案、まだ検討段階のものですが、その中間報告としました。

Gimg_8533  陸上総隊隷下、北部戦略予備の第7師団(機甲師団)、第2師団:第2旅団(機動打撃旅団)・第5旅団(航空機動旅団) 。東北第6師団:第9旅団(機動打撃旅団)・第6旅団(航空機動旅団) 。東部第1師団:第1旅団(首都旅団+中即連)・第12旅団(航空機動)・第10旅団(管理替・機動打撃旅団) 。

Gimg_5503  中部第3師団:第3旅団(機動打撃旅団)・第13旅団(航空機動旅団) 。西部第4師団:第4旅団(機動打撃旅団)・第8旅団(航空機動旅団)・第11旅団(管理替・水陸両用旅団) 。6個師団要員6万7000名程度+師団司令部付隊600名(各100名程度) 、冒頭に編成案を提示しますとこうしたもの。

Gimg_2585  基幹部隊は以上の通りですが、戦車300両・火砲300門の範囲内で達成可能な装備です。ただ、戦車に関しては中隊編制上可能ならば350両まで増勢が望ましい。空中機動部隊が多いですが、空中機動部隊は現状の編制を管理替えし、微増の範囲内と現行装備の近代化と現行計画の機数で達成可能です。

Gimg_2663  そんな規模で大丈夫か、と問われるかもしれませんが、抜本的な人員削減の背景は、空中機動部隊の集約とともに四輪駆動軽装甲車と軽装甲機動車と重迫撃砲を航空支援と共に運用する機動能力、戦車部隊に装甲戦闘車中隊を配属することで最小限の戦車の打撃力を最大限発揮可能とした、小型でも強力な編成をとったため。

Gimg_1175  四輪駆動軽装甲車と装甲戦闘車は増強装備ですが、共に国際平和維持活動や平和執行任務での主力装備となります。また、火力指数単位を維持強化するために必要な装備で、必要な装甲戦闘車は重旅団と機甲師団に各150両の計600両。戦車減勢に対し装甲戦闘車での代替は単純に世界の趨勢に乗るようではありますが、方法として一つ。

Img_9377 北大路機関では、方面航空隊を中心として普通科連隊と対舟艇対戦車隊を隷下に起き、空中機動させる方面空中機動混成団という提案を行ってきました。現状でUH-1J/H多用途ヘリコプターが20機とAH-1S対戦車ヘリコプターが16機、ここにOH-6D観測ヘリコプターが10機程度付き、機数では空中機動旅団を編成するに十分な規模を有しています。

Img_2103  他方、空中機動部隊を方面隊隷下に集約するという反面、新防衛大綱で大きく縮小される戦車部隊等の実情に鑑み、北大路機関では第一線で普通科小銃班の輸送に対応する四輪駆動軽装甲車を装備させる提案を行い、逆に戦車部隊は方面隊に装甲戦闘車と併せ集約する提案を行いました。

Img_5285 方面機械化混成団という提案は、過去に提示した滝ヶ原駐屯地の評価支援隊第一機械化大隊に範を採った戦車中隊に2個装甲化普通科中隊を混成運用する運用方式をさらに前進させ、機械化大隊を単体で運用するべく装甲車を戦車の火力支援と近接防護に転用可能な装甲戦闘車としたうえで機械化大隊を置く提案を行っています。

Img_3381 戦車単体で中隊規模の運用を展開すれば各個撃破されてしまうため、装甲戦闘車と共に機動運用を行う、こうした発想で二個機械化大隊を各方面隊に配置する。機動打撃に十分対応しますし、二個戦車中隊30両の戦車、この程度ならば全国の五個方面隊に分散配備できるでしょう。

Img_0383 その中で提示した方面即応集団は方面空中機動混成団と方面機械化混成団を集中運用する、という観点からの提案ですが、即応集団の編制と共に、全国の師団旅団は、師団はそのままとし、現行の旅団あ二個旅団を以て一個師団に再編する提案を行いました。これは管区が隣接する北部第5旅団第11旅団を第5師団へ、中部第13旅団第14旅団を第13師団へ、第12旅団は第1師団より一部管区を編入し第12師団へ、第15旅団は第11旅団装備を一部受け取り第11師団へ、というもの。

Img_12680 陸上自衛隊は少数の大型師団で、とは、2005年に北大路機関のWeb運用を始めて以来の提案ですが、今回、一連の検討の結果として、誕生する13個の小型師団を再編する提案に至りました。元々、この13個の小型師団のうち、戦車師団を除いた12個師団は四輪駆動小型装甲車と軽装甲機動車を基幹装備とした提案を行っています。

Kimg_8563 しかし、それでは方面即応集団と師団の位置づけが不明確となります。そこで、再編した小型師団数が、概ね全国の各方面隊に二個残ることに着眼し、空中機動混成団を一個師団へ、機械化混成団を一個師団へ、二個旅団編制を採る事は出来ないか、と論理的帰結にいたったわけです。

Img_9034  もちろん、この選択肢を執った場合、機械化装備は機械化混成団一個分では一個師団を充足させるには程遠く、空中機動混成団の航空装備も一個師団を空中機動させるには程遠い、となります。一部を装甲化しても、一部を空中機動化しても、全体の運用は混乱し歪な編成となるだけでしょう。

Gimg_0205  旅団化改編とは、高度な装甲化装備か高度な空中機動装備で部隊を充足させるための師団のコンパクト化という苦肉の策として提示したものです。流石に、機械化大隊をいくつも持つ連隊を基幹とした重厚な師団や、空中機動師団をいくつも編成する、等ということは現実的ではないところ。

Fimg_5547  そこで、併せて提示した特務即応予備自衛官構想、一個普通科連隊を現役大隊と即応予備大隊と予備大隊に本部や迫撃砲部隊を区分し連隊管区とする提案の方式が役立ちます。基盤的防衛力はあくまで連隊を基幹とし、旅団と師団は現役部隊を有事運用し、予備役部隊は平時に師団旅団、有事に動かず後詰め部隊とする、連隊の二分化を提案しました。

Img_2260  人員面では、少なくとも年間訓練日数が5日の予備自衛官が40000名いますので、練度は厳しいですが、400名の大隊としただけで100個大隊相当になります。全部予備大隊とせず、即応予備自衛官で編成できる大隊は多くはありませんが、有事の際、後方警備には予備自衛官を招集し、再教育訓練として武装し演習場に展開させるだけで大きな抑止力となるでしょう。

Eimg_1765  基幹となる連隊区は各方面隊に7、装甲機動旅団平時管内に3管区と航空機動旅団平時管内に4管区の合計7管区で五方面隊で35管区、すると、基盤的防衛力は35個普通科連隊に配置されることとなるため、即応予備自衛官大隊も35個大隊、予備自衛官教育混成大隊も35個置くという前提です。

Simg_0563  基盤的防衛力は、そもそも装甲戦闘車とヘリコプターどちらかにより機動力が大幅に強化されますので、部隊の配置間隔は機動力が補える部分が大きくなります。ですから、第一線へ駆けつける時間は何処に奇襲を受けたとしても維持できるわけです。そのための高度装備なのですから。

Gimg_6645  方面広域師団、機動打撃旅団、航空機動旅団。師団は以上の二個旅団を基幹とする。機動打撃旅団、航空機動旅団は共に5000名の人員を以て編成する。機動打撃旅団は、3個普通科連隊を基幹とし、戦車大隊、特科連隊、高射特科隊、偵察隊、施設隊、通信隊、後方支援隊、飛行隊、を基幹とする。

Nimg_0713  各普通科連隊は常備一個大隊と重迫撃砲中隊より成り、戦車大隊は3個戦車中隊を基幹、大隊は二個装甲戦闘車化普通科中隊と戦車中隊を以て機械化大隊を編成する。特科連隊は火砲は直掩3個大隊のみを以て編成し、第5大隊は方面特科部隊を解体しMLRS大隊を充てる。

Fimg_6623  航空機動旅団は、四個普通科連隊と航空連隊に機動砲大隊と特科隊、高射特科中隊、施設隊、通信隊、後方支援隊を以て編成する。普通科連隊は、やはり一個大隊を基幹とし、重迫撃砲中隊を縮小し本部管理中隊へ集約すると共に軽装甲偵察中隊を配置し、普通科大隊は四輪駆動軽装甲車を基幹とします。

Fimg_6290  特科隊は3個中隊15門の榴弾砲を基幹とし、機動砲大隊は2個中隊を四分割し各普通科連隊へ充当する。航空連隊は、師団飛行隊を受け継いで強化し、多用途ヘリコプター24機と戦闘ヘリコプター12機を装備、将来的に可動翼機配備を以て輸送ヘリコプター8機を第1ヘリコプター団を半分解体し配備する。

Fs_img_3785 広域師団はこうして装甲機動旅団・航空機動旅団を以て編成されます。広域師団の人員は約 10000名、陸上自衛隊師団としては、かつての甲師団9000名よりも大型で、12000名の米軍歩兵師団を目指したかつての管区隊編成よりもやや小ぶりですが、打撃力と機動力は世界中どこと比較しても遜色在りません。

Gimg_6037  懸念事項は南海トラフ連動地震や首都直下巨大地震に際し、政府が東日本大震災と同規模の10万名動員を求めた場合です。予備大隊のほか、人員を削り過ぎた編成であることは確かで、海上自衛隊と航空自衛隊にも東日本大震災時以上の人員派遣が求められることとなるでしょう。

Gimg_6470_1  方面隊は地域司令部として維持します。機動運用する広域師団と戦車師団が展開したのち、予備自衛官部隊は基盤的防衛力として残されるかたちですので、これを包括指揮する。また、地域における兵站基盤と平時の通信や駐屯地維持業務など、平時も有事も任務の大きさは変わりません。

Dimg_05540  将来的、というのは現在、8機のCH-47を装備するヘリコプター隊が那覇と相馬原にあり、32機のCH-47を集中運用する第1ヘリコプター団が木更津に置かれています。陸上自衛隊全体で実に55機のCH-47が配備されているのですが、ここに当面、17機のMV-22が配備される計画となっています。

Aimg_7590_2  そこで、第1ヘリコプター団はMV-22配備開始と同意にCH-47を半数の16機抽出し、方面隊装備の機体と、延命を含め数的維持を強化に転換させ、航空機動旅団へ配備させます。第1ヘリコプター団は、MV-22が16機とCH-47J/JAを16機装備し、空中機動力を重輸送と高速輸送の両立を行い維持できるでしょう。

Nimg_8701  ただ、可能であれば、第1ヘリコプター団とともに、陸上自衛隊は米海兵隊を模範とした両用作戦能力整備へ島嶼部防衛能力を整備中ですので、第1ヘリコプター団を回転翼機と可動翼機中心の第1航空団へ改編した上で、支援戦闘機二個飛行隊と連絡偵察機を運用する第2航空団を、岩国か普天間の海兵隊へ司令部として配置し、高遊原や防府に飛行隊を置く、考えられるかもしれません。

Nimg_8645_1  陸上自衛隊航空集団案、として近く提案しようと考えているのですが、航空自衛隊の戦闘機ほど高性能、つまり第五世代戦闘機に拘ることなく、中古F-16やF/A-18CにJAS-39B等を導入できます。航空自衛隊の防空戦闘部隊が不足した際に近接航空支援の負担を航空自衛隊へ掛けずに済み、場合によっては防空戦闘への航空自衛隊統合任務部隊への抽出も想定できるでしょう。

Gimg_9127 地対艦ミサイル連隊や施設団と高射特科群などは方面隊直轄の部隊へ配置します。方面直轄集団として、隷下に方面戦闘支援団と方面教育団に方面補給処を置く、というものです。このあたりまだまだ理論模索の最中ですが、こちらについては改めて中間報告として提示できれば、と思います。

北大路機関:はるな

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平成二十五年度三月期 陸海空自衛隊主要行事実施詳報(2014.03.29・30)

2014-03-28 23:05:42 | 北大路機関 広報

◆自衛隊関連行事

 年度末梅を桜が追いかける、平成二十五年度陸海空自衛隊主要行事実施詳報は今回が最後となります。

Mimg_2043_1  次回からは平成二十六年度ですね。年度末、本当の年度末となりました。今週末は、自衛隊駐屯地祭や航空祭などは行われないのですが、アメリカ海軍横須賀基地の特別一般公開と江田島基地の特別一般公開が行われます。桜前線北上中、基地の桜は見頃のところも多いでしょう。

Img_5758 横須賀基地日米親善スプリングフェスタ2014、アメリカ海軍横須賀施設の一般公開です。模擬店や艦艇桟橋見学などが実施され、海上自衛隊基地と違い中々一般公開されない米海軍施設を見学することが出来るでしょう。三笠ゲートより手荷物検査と共に入場できます。念のため運転免許証か旅券など写真付き身分証明をご持参ください。

Eimg_0750 江田島基地には630本の桜が植えられています。江田島基地海上自衛隊幹部候補生学校構内一般公開、江田島基地旧海軍兵学校は毎日見学が可能ですが、順路に沿った見学のみとなっていますが、この季節の週末は観桜のための一般公開が行われます。呉から小用へ船でどうぞ。

◆駐屯地祭・基地祭・航空祭

注意:本情報は私的に情報収集したものであり、北大路機関が実施を保証するものではなく、同時に全行事を網羅したものではない、更に実施や雨天中止情報などについては付記した各基地・駐屯地広報の方に自己責任において確認願いたい。情報には正確を期するが、以上に掲載された情報は天候、及び災害等各種情勢変化により変更される可能性がある。北大路機関

 

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マレーシア航空不明機捜索、海上自衛隊P-3C捜索拠点は豪州ピアーズ空軍基地へ

2014-03-27 23:47:13 | 防災・災害派遣

◆豪州パース沖の南極近海2500km海域

 3月8日に消息を絶ったマレーシア航空機行方不明は、全く予測できない状況が続いています。

Mimg_7022 この不明事案に対し、防衛省自衛隊はマレーシア政府の要請に応じ海上自衛隊よりP-3C哨戒機を、航空自衛隊よりC-130H輸送機を派遣し、当初不明機が墜落した可能性がある海域へ、自衛隊機は全体の捜索機の一割を担う規模で捜索を展開しました。事故か、テロか、そして自殺か、情報は錯そうする中、今なお不明機は発見されていません。

Img_9194 非常に残念ではありますが、ボーイング777は当初可能性として示唆された第三国へのハイジャックなどによる強制着陸を経て乗客乗員が人質という状況でも無事であるという可能性は低くなり、海上に不時着し漂流している可能性は零ではありませんが、厳しい状況となっています。

Img_1145 こうしたなか、マレーシア周辺国より供されたレーダ情報と、機体荒野電波信号を元に不明機はインド洋南端、南極海に近い豪州パースの南西2500km海域へ飛行し燃料切れなどの要素により墜落した可能性が高いという結論となり、豪州空軍ピアース空軍基地へ海上自衛隊機が展開することとなっています。

Gimg_1601 航空救難と言いますと、我が国が誇る世界最高の海洋救難用航空機、救難飛行艇US-2を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、パース沖2500kmという遠方海域はかのUS-2でも非常に厳しい海域です。そういいますのも、豪州南方海域は気象が厳しく、波高は平時から5m前後の水準で推移し、世界で最も厳しい海象が続くとされるところ。

Img_0697f 陸上からの救難航空機は、特に航空救難で多用されるヘリコプターの場合、展開して捜索する以上、陸上から沖合2500kmという距離での運用は、例えば空中給油のような手段か水上戦闘艦などを拠点としない限り、行動半径に含めることは出来ません。

Img_6052p 加えて、インド洋南端の南極近海は極端に海象が厳しく、船舶であれば砕氷艦しらせ、でも傾斜30度や40度という波浪に揉まれ、5m前後の波高が断続的に続く一方で、周辺には飛行場の無いフランス領の小島などを除けば絶海の孤島というべき海域で、しかも捜索範囲は我が国本州島の三倍という面積です。

Img_8287 このため、航空自衛隊のC-130輸送機は一旦本土待機とし、海上自衛隊のP-3C哨戒機のみが捜索に参加していますが、南シナ海に墜落したと当初想定されていた時点では40機の航空機が参加していたものの、2500km先の厳しい海象のもとで捜索できる航空機となりますと、最低限我が国のP-3C程度の性能が必要で、この種の航空機はこの地域に多くはありません。

Img_0250a アメリカ海軍、オーストラリア海軍、ニュージーランド空軍、海上自衛隊、韓国海軍、以上五カ国が9機のP-3C哨戒機やP-8A哨戒機を派遣中です。少々少ない印象がありますが、2500km沖合で捜索する能力を持ている航空機をかき集めたのが現状です。

Img_0941  お気づきの通り、マレーシア航空機の旗国であるマレーシア空軍や海軍は現状捜索に参加していませんが、性能の面で対応する航空機が無いのが現状です。特に不明機捜索に可能な高度まで降下することが海象上難しいため、単に航続距離の大きな航空機ではなく、相応の捜索機材を搭載していることが求められます。

Biimg_7341 さて、現場海域は水深3500m前後と深海域が広がる海域であるため、不明航空機が海上に墜落したとして、部品が拡散している状況を確認できたとしても、不明航空機の機体そのものが海底に着底していた場合は捜索が容易ではありません。特に墜落からかなり日数を経ている現状では、破片もかなりの距離を漂流しているでしょうから。

Iimg_9390  墜落海域を絞り込めれば、深海調査艇による捜索は可能です。こうした現状から、海上自衛隊は最大限各国と協調し、捜索を行うと共に、破片を洋上で発見した際には、潮流などの科学検証に基づく位置画定と深海調査艇などを中心とした海底捜索を行わなければ、その発見は難しいでしょう。

Img_9536 他方、墜落寸前まで操縦要員が努力し海上に不時着に成功していれば、生存者は零ではありませんし、船舶遭難などでは一ヶ月以上漂流し生還した事例も皆無ではありません。加えて、どういった原因で事故が生じたのかは航空技術の面で非常に重要な要素を含んでおり、最大限の捜索と原因究明が求められます。

北大路機関:はるな

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北朝鮮がノドンミサイル二発を日本海へ発射、日米韓首脳初会談へ照準か

2014-03-26 23:32:43 | 国際・政治

◆ノドンは対日攻撃用弾道弾

 今朝0200時頃、北朝鮮西岸より日本海に向け弾道ミサイル二発が発射されました。

Iimg_5660 ミサイルはその射程などからノドンミサイルと推測されますが、特筆すべきはこのミサイル発射を強行した同じ時間帯、オランダのハーグにおいて安倍総理と朴大統領を交えた日米韓首脳の初会談が行われていたまさに開始の時間で、首脳会談に対し圧力を考えたもの、ともいえるもの。

Mdimg_1185 ノドンミサイルは最大射程が1300kmあり、従来のスカッドCまでのミサイル装備体系が韓国領域内を標的としているのに対し、ノドンは東京を含めた日本本土を標的とする弾道弾です。初の実写試験は1993年に実施されましたが、これ以来ノドンミサイルは2006年にも発射実験が行われています。

Eimg_9071  射程がグアムやアラスカまで到達するテポドンや、米本土を標的とするテポドン2が我が国では大きく取り上げられていますが、射程の面では我が国に対する脅威として、対日用以外の用途が考えにくいノドンの方が脅威と言えるでしょう。

Mimg_7168 ミサイル発射は今朝0235時と0242時に各1発の合計2発で、黄海沿岸西海岸より発射し、日本海側まで650kmを飛翔し着弾しています。なお、発射位置がミサイル実験施設や基地施設を有しない地域よりの発射であったため、移動発射装置からの運用とみられています。

Gimg_7422 北朝鮮は2006年の弾道ミサイル実験を契機として国際連合安全保障理事会決議1695号によりミサイル事件を含むロケット開発の実施が禁止されることとなり、この姿勢は日朝平壌宣言においても日朝間の合意として定められており、今回のノドンミサイル実験は国際連合安全保障理事会決議1695号に反するもの。

Img_6314p その後、2009年と2012年4月及び2012年12月に北朝鮮は国際連合安全保障理事会決議1695号に反する形でロケットと称してミサイル実験を強行しています。この際に宇宙条約に基づく宇宙開発の権利が安保理決議に優先するという非常に意味不明な論理を振りかざしてきました。

Mdimg_1646 今回の実験は、過去の弾道ミサイル実験に際しての自らの言い分、宇宙開発の一端であれば安保理決議を無視できるという自らの苦し言い分を、北朝鮮は自ら純粋な弾道ミサイル実験を行うことにより反故にした、こうした見方が出来るかもしれません。

Img_6521  あわせて、北朝鮮は今回のミサイル発射に際し、民間航空機や船舶に対する警戒海域の設定を行わず発射を突如強行しています。万一第三国の船舶や航空機へ被害が生じれば、武力攻撃となる事案でもあり、これは看過できるものではありません。

Himg_35060 政府は今回の事案を受け、安倍総理は首相官邸危機管理センターを中心とした情報収集と被害有無を確認すると共に関係各省庁との局長級会議の実施を通じ、最大限の対応を明示しています。被害は確認されていませんが、菅官房長官は厳重抗議するとともに、小野寺防衛大臣によれば注視すべき事案として、自衛隊は情報収集と警戒態勢を強化していることを示唆しました。

北大路機関:はるな

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防衛省サイバー防衛隊新編へ、ネットワーク防護監視及びサイバー攻撃対処担う

2014-03-25 23:50:41 | 国際・政治

◆サイバー戦対処の基盤部隊目指す

 防衛省によれば、明日自衛隊はサイバー防衛隊が新編される、とのこと。

Bs_img_4312 サイバー防衛隊は明日26日に新編され、新編時の人員は概ね90名程度の人員を以て展開されます。今日の防衛は高度にネットワーク化され、情報伝送と共有化に指揮系統の迅速化などを担っています。こうしたなか、防衛情報ネットワークの遮断やインフラ制御に関わるサイバー攻撃や技術情報に対する攻撃の脅威は非常に大きなものがあります。

Biimg_0805 サイバー攻撃に対し、サイバー防衛隊はネットワークを攻撃に対し監視すると共に、脅威情報の平時からの収取と分析などの調査をおこなうと共に、実際のサイバー攻撃を受けた際には攻撃源の検知などを実施し、的確に対処することが主眼となります。

Img_1234 この部隊規模は90名程度を以て発足しますが、こののちに順次拡大改編されることとなり、サイバー防衛隊を基幹として、順次陸海空各自衛隊のサイバー防備部隊を拡大してゆく、という方向のようです。これまで、各部隊ではプログラム部隊等の少数の部隊のほか、コンピュータ技能を個人的に有する人員の集約も含め自隊防護を行ってきました。

Img_6964  その後、有識者の支援やネットワーク防護専門民間企業などの支援を受け、そのネットワーク防護に必要な人員の養成を継続してきました。サイバー攻撃について、様々な領域の脆弱性を就いて実施されるため、ネットワーク全体を監視することは容易なことではありません。

Bimg_5062 防衛省ではサーバー防衛隊は関係各省庁とネットワークセキュリティ専門の民間企業と共に協力し実施してゆく、という方向性を示しており、その任務範囲も当初は防衛省と自衛隊各部隊の防護を行うという事ですが、必要に応じ関係各省庁の防護支援も行う可能性がある、とのこと。

Img_9649 正直なところ、新編最初の90名がどの程度の防護を行うことが出来るのか、という点は当方として未知数です。一方で、民間企業との協力を行うのであれば、この90名に限った視点から考える事は出来ませんし、更に将来的にどの程度まで人員を拡大するのか、という点についても未知数、というところ。

Img_5343 他方で、興味深い、と言いますか、今回余り注視されていない部分として、サイバー空間での武力行使、武力というものを実力行使と書き換えても意味を同じとした上での視点ですが、これが憲法上の問題を有するか、という部分が、所謂識者からあまり注視されていない部分に興味がわきます。

Iimg_5946 これは国際法上の概念としての武力行使、日本国憲法上禁止されている武力行使とは国連憲章の概念に基づく武力攻撃であり、影響力の行使としての武力行使、経済制裁や外交上の制裁に出入国制限といった部分は含まれていない、と考えられます、対してサイバー攻撃を憲法上どう考えるのか、この命題に対する回答は示されていません。

Himg_3189 この命題に対する対応そのもので防衛に関する概念は変化するものですから、サイバー防衛隊の能力に期待するところは大きいのですが、併せて我が国としてサイバー攻撃をどのようなものとして考慮し対応するのか、という視点に対しても、興味が涌くところです。

北大路機関:はるな

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榛名防衛備忘録:UH-X次期多用途ヘリコプターを考える⑤ 最新鋭NH-90,UH-XとSH-Xの共鳴

2014-03-24 23:17:49 | 先端軍事テクノロジー

◆NH-90派生需要はUH-90/100機&SH-90/90機

 陸上自衛隊次期多用途ヘリコプターの選択肢として、前回UH-60の増備を提案しました。しかし、米陸軍では既にUH-60後継機の開発が模索されており、決して技術的に2020年代にも安泰な機種とは言い切れません。

Uimg_1800  こうしたなか、提案するのはNH-90という全く新しい機種です。その背景に、UH-60の増備を提案した際、その根拠として既に配備されている機種であるという部分に加えて、航空自衛隊が新しく40機を救難ヘリコプターとして導入する方針が発表されており、この量産効果に乗ることが望ましい、としてきました。それならば、もう一つの量産効果に関する命題、海上自衛隊がSH-60哨戒ヘリコプターの後継機として、勿論現時点では未知数ですが、相当数が生産されることとなるであろう母機に用いる航空機を、陸上自衛隊もUH-Xとして選定する事は出来ないものでしょうか。

Uimg_1793  NH-90は、欧州共同開発により1995年に初飛行を果たした中型多用途ヘリコプターです。海上自衛隊が次期哨戒ヘリコプターに関心を寄せている、ともいわれており真偽のほどは定かではありませんが、仮に海上自衛隊がSH-60J/Kの後継機としてNH-90派生型にSH-90を開発はするのであれば、海上自衛隊所要として60機から最大90機程度の需要が生まれます。20名の人員を空輸可能で、主開発国の一つであるドイツ連邦軍などはUH-1H多用途ヘリコプター後継機として、NH-90を充てています。もちろん、陸上自衛隊が検討する際には、海上自衛隊航空行政と同一歩調を取る必要性は言うまでもありません。

Uimg_2112  もちろん、AW-101が海上自衛隊へ採用される可能性もあります、既に掃海輸送ヘリコプターとして運用されている実績があるため、AW-101が少々大型すぎる点や整備負担が大きい三発機という部分を圧してSH-101として採用されるのでしたら、陸上自衛隊はNH-90を導入する必要は必ずしもありません。しかし、機体規模がUH-60に比較的近く、C-130輸送機へ搭載する必要上から全高に制約があり機内容積を制限しているUH-60に対して、より大型のA-400M輸送機へ搭載する想定のNH-90,これは航空自衛隊のC-2輸送機への搭載という可能性も示唆するものですが、機内容積に余裕があるこの機種、装備する利点は大きい。

Uimg_1814 NH-90は、20名の人員を収容し、航続距離1000km、巡航速度300km/h、比較的優秀な航空機です。陸上自衛隊がUH-Xとして導入する場合、方面ヘリコプター隊所要で20機の飛行隊を5個、100機となります。大きな胴体を有するものの空虚重量は5.4tでUH-60の4.9tに近く、エンジン出力も同型で同水準です。対して、胴体後部にハッチを有しているため嵩張る装備の空輸に適しており、複合素材を多用しているため海上での運用に際し機体の劣化を防ぎます。エンジンの既存航空機との互換性も大きく、MCH-101で運用されているロールスロイスRTM322-01/9エンジンかSH-60やUH-60に搭載されているGE-T700-T6E1エンジンを双発で搭載するため、互換性も比較的高い点が利点と言えるでしょう。

Uimg_1897 他方、UH-Xとしてみた場合、比較的大型の機体であることは否定しません。特に、将来的に次期観測ヘリコプターとして多数が装備されているOH-6D観測ヘリコプターの後継機などを考える必要性が生じた場合、これは多分に無人航空機では対応できない連絡輸送等の用途を含めた場合となりますが、OH-6DとUH-1H/JにUH-60をNH-90の一機種で置き換えるという視点は必ずしも理想ではなく、軽ヘリコプターとして、もう一機種のUH-X,これは軽ヘリコプターですのでLH-Xとするべきかもしれませんが、選定し、もしくは開発するという可能性を含みます。

Uimg_2021 軽ヘリコプターLH-X,当方は候補としてアグスタA-109、ユーロコプターEC-135等を提案するところですが、相互互換性を考え、川崎重工が国産開発する計画を示し、現在停滞中である国産UH-Xを開発する、という選択肢は、勿論含むべき、と考えます。ただ、仮に来年度である2015年度から川崎重工がUH-Xを開発開始したとして、初飛行は早くて2017年度、飛行試験を経て量産が開始されるのが2019年度、量産機が運用開始となるのは2020年代となるでしょう。それでは遅いため、まず、NH-90を方面ヘリコプター隊へ配備するべく暫定的に選定してはどうか、というもの。

Uimg_2025 悠長、と思われるかもしれませんが、並行調達した際には各機種へ予算が分散してしまい少数長期調達という状況に陥ります。したがって、LH-X乃至国産UH-X開発が行われる、中期防衛力整備計画二期分10年の期間にはNH-90を多用途ヘリコプターとして配備し、一方で耐用年数に余裕のあるUH-1を最大限師団飛行隊と旅団飛行隊へ移管し、飛行隊を維持、方面ヘリコプター隊へのNH-90の配備が完了し次第、LH-Xの調達を本格化させ、OH-6D観測ヘリコプターとUH-1J多用途ヘリコプターの輸送任務を置き換えるヘリコプター調達を行うべきだ、と考えるわけです。

Uimg_5619 もちろん、他の候補機は色々と考えられますし、仮に海上自衛隊がNH-90を次期哨戒ヘリコプターの母機として選定した際にも、開発は陸上自衛隊UH-Xの開発期間よりも長くなることが、もちろん搭載器材は部分研究開発を行っているため思うほど長くは無いやもしれませんが、一朝一夕には終わらない可能性があります。そして、哨戒ヘリコプターは三菱重工がHSS-2以来の生産している実績がありますので、三菱重工が生産するところとなるのかもしれませんが、肝心の三菱重工は航空自衛隊のUH-60救難ヘリコプターにより生産ラインがいっぱいとなっている可能性も捨てきれません。

Uimg_5491 いっそのこと、NH-90はSH-90導入以前にUH-90導入による運用基盤構築を主眼とした有償軍事供与、即ち自衛隊が導入するMV-22のように直輸入し、最初の数年間は神戸空港のユーロコプター整備工場に整備を委託する、という調達慣例を大きく改めてみる方法もあり得るでしょうか。もちろん、多用途ヘリコプターを一貫して調達してきたのは富士重工からですので、現在のAH-64D戦闘ヘリコプター調達中断以降悪化した富士重工との関係を防衛省が反省し、AH-64Dの再契約を行うと共にUH-Xに協力を受ける、という選択肢が望ましい、とは思うのですが、現状で停滞しているままよりは、取り急ぎ抑止力を維持するためにもUH-Xの必要性を痛感するため、こうした提案を行ってみました。

北大路機関:はるな

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榛名防衛備忘録:UH-X次期多用途ヘリコプターを考える④ UH-60の配備増強という選択肢

2014-03-23 23:56:00 | 先端軍事テクノロジー

◆多用途ヘリコプターの軽ヘリコプターとの分化

 前回、自衛隊の多用途ヘリコプターに新型機を開発するのではなく、既存のUH-60を増加装備するという提案を掲載しました。今回は、その続き。

Uimg_99_33  もちろん、陸上自衛隊にとっては非常に大きな取得費用ではありますが、救難機として用いるための前方赤外線監視装置や気象レーダ装置等を簡素化し、暗視ゴーグル対応操縦計器とGPS程度に抑えた簡素型とした場合、取得費用は抑えられる可能性があります。

Uimg_0719  そして、UH-60Kを陸上自衛隊が導入した場合、三菱重工において航空自衛隊向けUH-60Kの生産が続いているところですので、量産効果が一定程度見込めるかもしれないでしょう。なによりも機体が量産されている時期に合わせて調達するというところに、大きな意味がありますから、ね。

Uimg_0744  さて、如何に取得費用を提言させるのか。前方赤外線監視装置と気象レーダ装置等が陸上自衛隊のUH-60JAに搭載された背景として、これらは悪天候時や雲中飛行といった極限状態での運用に威力を発揮するものではあるのですけれども、この装備は特殊作戦仕様の機体か救難ヘリコプター仕様でなければ、米軍でもUH-60には、装備していないものです。

Uimg_1116  この装備が行われた背景には、一説にはヘルファイア対戦車ミサイルや機関砲などを搭載する武装型へ転用する将来構想があったため、とも一説としてありますが、実行されていたならば、多用途ヘリコプターの運用幅を大きく広げる者であったものの、事実は定かではありません。

Uimg_2842  そして多用途ヘリコプターに前方赤外線監視装置と気象レーダ装置等、不可欠化と問われれば、在るに越したことは無いとしても、不可欠とは言い難く、それよりも高性能化を希求しすぎる事で調達数が低下し、機数が少なくなることの方が遙かに甚大な影響を及ぼします。この対応により飛行能力が低下すると危惧する向きもあるかもしれませんが、夜間飛行は暗視ゴーグルにより対応でき、UH-1Jも同様の手段で夜間飛行に対応しています。

Uimg_1215  それでは次に、競争入札、過度な平等気球が結果的に超k的な装備調達計画に影響を及ぼしているのではないか、と指摘している当方ですが、その制度、競争入札について。陸上自衛隊がUH-Xを選定する場合、最重視するのは運用経費で、特に既存機との運用基盤の共通性です。

Uimg_4171  競争入札においての事項は、航空自衛隊救難ヘリコプター等の既存航空機及び将来ヘリコプターとして導入が決定されている航空機との部品互換性や整備互換性を重視する航空機、と提示すれば、最有力はUH-60,対抗する航空機として既に運用している機体が揚がるのは当然と言えましょう。

Uimg_5980  競合機とは。海上自衛隊が既に運用しているMCH-101の派生型としてのKW-101,陸上自衛隊が要人輸送ヘリコプターとして運用している機体の最新型であるEC-725,となり、長期運用費用の面と機体取得費用の面から、この三機種を選定すれば、と考えるところ。

Uimg_7684  1:1でUH-1JをUH-60Kで置き換えることは、少々厳しいかもしれません。それは多分い防衛費の上限という制約に起因しまして、40機の調達が20年間の維持経費を含め1900億円、もう少し機体の簡素化により取得費用を抑えられる可能性は示唆しましたが、方面航空隊へ20機の導入は、厳しい。

Uimg_8580  UH-1Jの兵員輸送能力は11名で貨物搭載量は1800kg、対してUH-60は15名を輸送し機内1170kgと機外4050kgの輸送が可能であるため、UH-1Jの20機分220名の人員をUH-60JAは15機で空輸可能です。飛行隊を考えた場合、UH-60Kは8機の2個飛行隊で各方面ヘリコプター隊へ16機配備、というところでしょうか。

Img_8454  5個方面隊所要80機、既に第1ヘリコプター団と第12ヘリコプター隊に第15ヘリコプター隊等にUH-60JAが装備されていまして、こちらの将来更新を考慮すれば更に40機加えた120機、というところでしょうか。米軍の師団飛行隊や旅団へ配属される分遣隊にUH-60が含まれるのですが、無い袖は自衛隊として振れません。

Pimg_1155  師団飛行隊等に装備する場合、3機程度配備するとして更に30機程度必要となりますが、この場合はUH-Xではなく軽ヘリコプター選定としてOH-6観測ヘリコプターの後継機も見込んだLH-X選定を行う事となるでしょう、考えられる候補はアグスタA-109や海上自衛隊へTH-135として装備されているユーロコプターEC-135,川崎/ユーロコプターBK-117C-2 / EC-145など。

Pimg_6519  UH-Xとしてみた場合、LH-X候補として提示しましたアグスタA-109、ユーロコプターEC-135、川崎/ユーロコプターBK-117C-2 / EC-145は共に性能面で不十分です。UH-Xは最前線への強襲等を展開するため、ある程度の防御力と機動飛行を想定せねばなりません。

Iimg_9780  しかし、LH-Xであれば最前線での運用というよりは、光学監視装置を搭載して遠距離からの特科航空観測と指揮官連絡、ヘリコプター隊や方面航空隊の本部航空機など、そこまでドンパチ賑やかな状況には投入されませんので、これらの機体でも十分対応できるでしょうが、本文の論旨から外れるので、別の機会としましょう。

Gimg_9062  さて。UH-60K,陸上自衛隊次期多用途ヘリコプター候補として考えた場合、川崎重工へ設計開発が見込まれていた、OH-1派生型の機体よりは相当高くなります。しかし、UH-1後継機の選定を長々と続け、設計し試験飛行し部隊運用承認を待っているほどの時間的余裕はありません。それならば、UH-60KをUH-Xとして提案するのですが、如何でしょうか。

北大路機関:はるな

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江田島幹部候補生学校卒業式(2014-03-21)練習艦隊出航 PowerShotG-12撮影速報

2014-03-22 23:44:09 | 海上自衛隊 催事

◆向かうは無限の大海原、未踏の未来へ

 海上自衛隊幹部候補生学校卒業式と練習艦隊出航の様子を撮影しましたのでお伝えしましょう。

Esimg_1647 江田島卒業式と練習艦隊近海練習航海部隊、外洋練習航海部隊出港の様子、当方の撮影は三年連続となりました、快晴となった一昨年に対し昨年は生憎の荒天、さてさて、本年の江田島気象予報にはやや期待と心配を両含みの面持ちを見上げつつ、江田島へ向かうことに。

Esimg_1448 練習艦隊かしま以下、5隻堂々の出航の様子です。今年は快晴に恵まれた、と言いたいところですが、昨日は未明から断続的に小雨と快晴が繰り返す狐の嫁入りという様相、出港直前には視界が1km未満となるほどの豪雨突風に見舞われましたが、幸運、出港時には天候は回復です。

Esimg_1474 江田島へは広島の宇品港から市営高速艇にて中町行きに乗船、高田港にて下船しました。かしま、しらね、しらゆき、せとゆき、あさゆき、あさぎり、本年の近海練習航海及び外洋練習航海は5隻の参加となっていましたが、しまゆき、のみ水道を航行しているのを高速艇から望見しました。

Esimg_1485 練習艦かしま。単縦陣で進む艦隊を如何に正面から撮るのか、ということが、江田島撮影の大きな目標でして、毎回高田港から三高港方面へ向かい、行き過ぎてしまうのですが、今回の撮影位置は少々足りませんでした、もう少し津久茂瀬戸の水道よりで撮影するべきでしたね。

Esimg_1497 練習艦せとゆき、護衛艦あさぎり、ヘリコプター搭載護衛艦しらね、の順に単縦陣で外洋へ出港します。艦隊の背景に並ぶ白い建物の一群が江田島海軍兵学校として世界にその名を轟かせた、今日の海上自衛隊幹部候補生学校江田島基地の様子です。荒天を突き抜けた陽射しとともに進む様子が美しい。

Esimg_1560 ヘリコプター搭載護衛艦しらね、護衛艦あさゆき、飛行幹部候補生課程修了者とともに外洋練習航海部隊が江田島を出港してゆきます。しらね、は予定通りならば来年のヘリコプター搭載護衛艦いずも就役とともに長い現役生活から自衛艦旗を返納し任務に終止符を打ちます、舞鶴の精鋭だ。

Esimg_1569 護衛艦あさぎり、明日、近海練習航海部隊は大阪へ入港します。天保山埠頭、朝早くには入港することでしょう、一般公開も行われます、足を運ばれる方も多いのでしょうね。さて、この護衛艦あさぎり、つい数年前までは練習艦へ種別変更されていましたが、南西諸島の緊張に伴い、護衛艦へ復帰しました。

Esimg_1589 しらね、今回撮影したいのはこの一隻なのですが、目の前を行く近海練習航海部隊もともに撮影したいところで、交互に撮影と撮影、其処で今回はサンニッパ搭載50Dから標準中望遠ズームEOS7DにPowerShotG-12まで総動員、G-12を定点撮影に充て、後の二台で交互撮影という感じ。

Esimg_1602 ヘリコプター搭載護衛艦しらね、古鷹山を背景に進んでゆきます。この古鷹山は帝国海軍が兵学校訓練の一環として登山の場となり、古鷹山下水清く、と謡われた江田島海軍兵学校ですが、重巡洋艦古鷹の艦名由来ともなった名山、感慨深く眺めていましたら、なんと偶然お隣のご老人が戦時中、重巡洋艦青葉乗員として経験しておられたのだと。青葉型は古鷹型の改良型ですね。こういう話を聞けるのも江田島ならでは。

Esimg_1640 こうして艦隊は出港してゆきました。実はこの時、いつもお世話になっている方、昨年は貴重な機会を頂いた方々が自動車にて長躯展開されていまして、豪雨の中車に入れてもらい、色々とお世話になりました。最後になりましたが、本当にありがとうございました。

北大路機関:はるな

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