第37期女流名人位戦・挑戦者、昇降級者予想

１月23日に「第37期女流名人位戦予選・リーグ入り予想」の記事を書いたが、２枠の竹部さゆり女流三段、３枠の中村真梨花女流二段、４枠の山田朱未女流二段のリーグ入りを当てた（１枠は予想せず）。読みが当たったのは嬉しいが、女流棋士側もある程度人数がいたのだから、私に３人も当てられてしまうようではダメである。予想に頭を悩ませるぐらいの棋力が、各女流にほしい。
そんな中、予想外だったのが５枠・蛸島彰子女流五段のリーグ入りで、私が予想した山口恵梨子女流１級（当時）に勝つとは思わなかった。このふたりは昨年も決勝で当たり山口女流１級が勝っていたので、今回も現役女子高生の勝利を信じていた。山口女流１級自身も当然勝つつもりでいたと思うが、そう簡単にはいかないのが将棋の厳しいところである。
山口女流１級は今年３月に高校を卒業した。これから思いっきり将棋に専念できるわけで、檜舞台に立つチャンスはいくらでも巡ってくる。とにかくいまは、将棋の勉強に集中することである。
蛸島女流五段のリーグ入りは見事の一語。Ｂ級リーグでは台風の目となって、暴れまくってください。

これで今期の女流名人位戦のＡ級・Ｂ級メンバーが確定、以下の通りとなった。ここから、女流名人位挑戦者と、昇降級者の予想をしてみる。

Ａ級：降級３名
１位　清水市代女流王位・女流王将
２位　千葉涼子女流三段（休場）
３位　岩根 忍女流二段
４位　甲斐智美女流二段
５位　斎田晴子女流四段
６位　本田小百合女流二段　▼降級
７位　早水千紗女流二段　▼降級
８位　石橋幸緒女流四段　◎挑戦
９位　上田初美女流二段
10位　北尾まどか女流初段　▼降級

Ａ級は、私が現女流棋界最強と信じている石橋女流四段が、挑戦権を獲得すると予想する。対抗は上田初美女流二段。上田女流二段は、石橋女流四段、里見香奈女流名人・倉敷藤花に次いで、現在では女流棋界３番目の実力者と信じる。真摯に将棋に取り組み、どんどん力を吸収している感がある。上田女流二段は近いうちにまた、タイトル戦に登場するだろう。
降級者はむずかしいが、清水女流二冠、岩根女流二段、甲斐女流二段、斎田女流四段の安定した実力を考えると、消去法で、残りの３名に落ちていただくしかない。本田女流二段の「残留力」も、ここまでと見た。

Ｂ級：昇級３名、降級５名
１位　中井広恵女流六段　△昇級
２位　矢内理絵子女王　△昇級
３位　井道千尋女流初段　▼降級
４位　貞升 南女流１級　▼降級
５位　室田伊緒女流初段　▼降級
６位　蛸島彰子女流五段　▼降級
６位　長沢千和子女流四段　▼降級
６位　竹部さゆり女流三段
６位　山田朱未女流二段
６位　中村真梨花女流二段　△昇級

Ｂ級は、蛸島女流五段と長沢女流四段のリーグ復帰で、新旧織り交ぜての戦いとなった。中井－蛸島、中井－長沢、蛸島－長沢戦は、オールドファンには堪らない組み合わせであろう。
昇級者は、矢内女王、中井女流六段に、私が将来の女流名人と目している中村女流二段でキマリであろう。キマリではあるが、最近の矢内女王にはオーラを感じない。以前もチラッと書いたが、女流棋士会が分裂して以後、矢内女王には心からの笑みがなくなった気がする。落ち着いた表情が、沈んだ表情に見える。
私は矢内女王と面識がないし、人となりを知らないので推測の域を出ないが、あの騒動では、かなり心を痛めたと思う。しかし過去なんてゴミであって、そんなものは早く捨てるべきである。矢内女王は、現・女流棋士会の顔として生きてゆくほうを選択したのだ。そこを早く割り切って、対局に専念してもらいたい。
降級者は、申し訳ないが、蛸島女流五段、長沢女流四段はすぐ決まった。Ｂ級リーグは降級が５名なので、順位に星ひとつ分の価値がある。新参者（６位）のベテランは、やはりつらい。
残り３名のうち、井道女流初段、貞升女流１級を選んだ。井道女流初段は、Ａ級で負けすぎた。前期は里見・現女流名人に勝ったから実力はあるのだろうが、Ｂ級に落ちればＢ級の将棋になってしまう。このメンバーで上位５名に入るのはむずかしいと判断した。
貞升女流１級は女流王位リーグ入りの実績もあるが、「女流１級」という肩書が弱々しい。居飛車急戦を得意にすると聞いたことがあり、固さで勝負という女流将棋界の中では好感が持てるが、希望と予想は違う。
いまひとりは大いに悩んだが、素敵四間飛車の室田女流初段を降級とした。これはもう「カン」である。
残留にした竹部女流三段は、隠れた実力者と思う。あまり悪手を指さないイメージがある。山田女流二段は勢いのある将棋。こちらもなんとか残留しそうだ。

いろいろ書いたが、リーグ戦で戦えるのは名誉なこと。19名の女流棋士は、悔いのないよう、精一杯戦ってもらいたい。